JP3156839B2 - 防音構造 - Google Patents

防音構造

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JP3156839B2
JP3156839B2 JP05694896A JP5694896A JP3156839B2 JP 3156839 B2 JP3156839 B2 JP 3156839B2 JP 05694896 A JP05694896 A JP 05694896A JP 5694896 A JP5694896 A JP 5694896A JP 3156839 B2 JP3156839 B2 JP 3156839B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル等の発破
掘削工事において主として低周波音を遮音するのに用い
る防音構造に関する。
【0002】
【従来の技術】トンネル掘削工事等において発生する発
破音は、衝撃的で広帯域の周波数を含みなおかつ音圧レ
ベルが高いという特徴がある。そのため、発破音がトン
ネル坑外に漏洩すると、近隣に騒音をもたらすことはも
ちろん、発破音に含まれる低周波成分が障子、窓などの
建具を振動させてがたつき音を発生させる。
【0003】そのため、発破を行う際には、坑口から切
羽の間にトンネル断面を遮蔽するように防音壁を所定数
設置し、発破音が坑外に洩れないように工夫していた。
図5は、かかる防音壁1を斜視図で示したものである。
同図で示すように、防音壁1は、爆風圧に十分耐えられ
る剛性を持ったH型鋼等でトンネル断面にわたって骨組
2を構築し、該骨組2に防音パネル3を取り付けて構成
してある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
通常の防音パネル3は、騒音対策用に製造されたものや
重量則にのっとって改良されたものを使用することが多
く、発破音に対する遮音性能が劣っていた。例えば、遮
音材としての2枚の鉄板あるいはパンチングメタルを1
0cm程度の間隔で対向配置してその間を中空部とし、
該中空部にグラスウールなどの吸音材を5cm程度の厚
みで配設し、残りの厚みは中空のまま残しておくという
標準的な防音パネルでは、パネル寸法や材質の関係上、
剛性がかなり小さくなり、発破によって生じる低周波音
でちょうど共振してしまうという問題や、パネル全体並
びにパネル各部の減衰性能も十分ではないという問題を
生じていた。
【0005】かかる問題は、発破で生じた低周波音によ
って防音パネルに大きな面外曲げ振動が発生し、その振
動が外部に低周波音を二次放射して周辺に被害をもたら
す原因となる。
【0006】このような事態を避けるため、防音パネル
をコンクリートで形成して遮音性能を向上させることも
あるが、組立、解体、撤去、転用等において困難が生じ
ることは避けられない。
【0007】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、組立、解体等の取扱いが容易でなおかつ低周
波音に対する十分な遮音特性を持った防音構造を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の防音構造は請求項1に記載したように、所
定の枠組の一方の面に遮音板を取り付けて一対のパネル
部材をそれぞれ構成し、該一対のパネル部材を前記遮音
板が互いに反対側になるように所定の緩衝部材を介して
相互に連結して防音パネルを構成するとともに、所定の
骨組を坑内断面全体に構築し、前記防音パネルのうち、
坑外側に位置するパネル部材のみを前記骨組に固定して
前記防音パネルを前記断面全体に配設したものである。
【0009】また、本発明の防音構造は、前記遮音板を
鉄板および多孔質鋳鉄板を積層してなる複合板で構成し
たものである。
【0010】また、本発明の防音構造は、前記緩衝部材
を超低反発弾性ゴムを多孔質鋳鉄で挟んで構成したもの
である。
【0011】また、本発明の防音構造は、前記枠組を4
0cm乃至80cm間隔の格子で構成したものである。
【0012】
【0013】本発明の防音構造においては、一対のパネ
ル部材が緩衝部材を介して相互に連結されており、坑外
側に位置するパネル部材だけが坑内断面全体に構築され
た骨組に固定される。
【0014】したがって、発破音が坑内側のパネル部材
に到達したとき、坑内側のパネル部材に生じる振動は、
緩衝部材の作用および遮音板の制振作用によって抑制さ
れ、坑外側のパネル部材においては、該パネル部材の遮
音板の制振作用でその振動がさらに抑制される。
【0015】ここで、前記遮音板を鉄板および多孔質鋳
鉄板を積層してなる複合板で構成した場合、他の制振材
でに比較して遮音板の減衰性だけでなく剛性が著しく向
上し、制振作用による低周波音の遮音効果が飛躍的に高
まる。また、遮音板の面密度が増加するので、騒音の低
減も期待できる。
【0016】また、前記緩衝部材を超低反発弾性ゴムを
多孔質鋳鉄で挟んで構成した場合、緩衝部材の減衰性お
よび衝撃振動抑制作用が向上し、低周波音の遮音効果が
さらに高まる。
【0017】また、前記枠組を40cm乃至80cm間
隔の格子で構成した場合、遮音板およびパネル部材全体
の剛性が向上するとともに、パネル部材同士が多点で結
合されることとなり、かくして、各パネル部材の面外曲
げ剛性が向上して固有振動数が高くなり、発破音の主要
周波数との共振が回避される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る防音構造の実
施の形態について、添付図面を参照して説明する。な
お、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の
符号を付してその説明を省略する。
【0019】図1(a) は、本実施形態に係る防音構造を
示した側面図、(b) はA―A線に沿う断面図、図2は、
該防音構造に用いる防音パネルの分解斜視図である。こ
れらの図でわかるように、防音パネル11は、2つのパ
ネル部材、すなわち坑外側に配置されるパネル部材1
2、坑内側に配置されるパネル部材13およびそれらを
相互に連結する緩衝部材14とから概ね構成され、坑外
側のパネル部材12は、トンネル断面全体にわたって構
築されたH型鋼の骨組2にボルト等で固定してある。そ
して、防音パネル11は、トンネル全体にくまなく配設
され、図5の防音壁1と同様に防音構造を形成する。
【0020】坑外側のパネル部材12および坑内側のパ
ネル部材13は実質的に同一構造であり、各パネル部材
12、13は、L状断面のアングルを格子状に組んで構
成した枠組19の一方の面に遮音板15を取り付けると
ともに、他方の面にはゴム等で形成した台座18を取り
付けて構成してある。そして、防音パネル11は、これ
らのパネル部材12、13を各遮音板15が反対の側に
なるように対向配置して各台座18を向かい合わせに
し、該台座18に緩衝部材14の両端をそれぞれ接合し
てある。
【0021】ここで、枠組19は、パネル全体の剛性を
高める役割を果たすとともに、遮音板15や緩衝部材1
4を固定支持する役割も果たしている。したがって、遮
音板15やパネル部材12、13全体が発破音に含まれ
る低周波音に共鳴して大きな面外曲げ振動を発生しない
ように、枠組19の格子寸法を40cm乃至80cm間
隔、できれば50乃至60cm程度の間隔とし、面外振
動の固有振動数を比較的高めに設定しておく。
【0022】遮音板15は、剛性の確保並びに減衰性の
向上を図るため、1.6mm厚程度の鉄板16と10m
m厚程度の多孔質鋳鉄板17とを接合して複合板とす
る。
【0023】緩衝部材14は、50mm径程度の円筒形
をなし、減衰性の向上並びに衝撃振動の抑制を図るた
め、10mm厚程度の超低反発弾性ゴム21を20mm
厚程度の多孔質鋳鉄22で挟んで構成してある。
【0024】本実施形態に係る防音構造においては、一
対のパネル部材12、13が緩衝部材14を介して相互
に連結されており、坑外側に位置するパネル部材12だ
けが坑内断面全体に構築された骨組2に固定してある。
また、枠組19の格子寸法を調整することによってパネ
ル部材12、13全体の剛性を高くするとともに、遮音
板15自体の剛性並びに減衰性を高めてあり、さらに、
緩衝部材14の減衰性並びに衝撃振動抑制機能を高めて
ある。
【0025】そのため、発破音が坑内側のパネル部材1
3に到達したとき、該パネル部材13に生じる振動は大
幅に抑制され、坑外側のパネル部材12への二次放射が
減少するとともに、緩衝部材14を介して該パネル部材
12に伝達される振動も抑制される。
【0026】したがって、坑外側のパネル部材12の振
動は著しく抑制され、坑外へ二次放射される低周波音は
大幅に低減する。
【0027】以上説明したように、本実施形態に係る防
音構造によれば、2つのパネル部材を緩衝部材で連結し
坑外側のパネル部材だけを骨組に固定するようにしたの
で、発破音に含まれる低周波音が防音パネルに到達して
も、防音パネルは、緩衝部材の振動抑制作用によりその
振動が抑制される。
【0028】したがって、従来のように防音パネルが大
きく振動し、その振動が周囲に低周波音を二次放射する
といったおそれがなくなり、低周波音公害を低減するこ
とが可能となる。また、発破作業に使用する薬量を少な
くしたり作業時間を昼間に限定したりする必要もない。
【0029】そして、このように単独設置で十分な遮音
効果を期待できることから坑口から発破個所まで何カ所
も防音壁を構築する必要がなくなるとともに、転用や解
体撤去が困難なコンクリート製とする必要もなくなる。
【0030】したがって、製造、組立、解体、撤去、転
用等を含めた防音壁のコストを大幅に低減することが可
能となる。また、このように取扱いが容易でかつ遮音性
能が高いため、大断面トンネルでは特に有効な手段とな
る。すなわち、トンネル断面が大きくなっても、H型鋼
等の骨組の剛性を向上させるだけで防音壁全体の遮音性
能を確保することができる。
【0031】また、遮音板を鉄板および多孔質鋳鉄板を
積層してなる複合板で構成したので、遮音板の剛性およ
び減衰性が向上し、低周波音の遮音効果がさらに高ま
る。また、遮音板の面密度が増加するので、騒音の低減
も期待できる。
【0032】また、緩衝部材を超低反発弾性ゴムを多孔
質鋳鉄で挟んで構成したので、緩衝部材の減衰性および
衝撃振動抑制作用が向上し、低周波音の遮音効果がさら
に高まる。
【0033】また、枠組を40cm乃至80cm間隔の
格子で構成したので、遮音板およびパネル部材全体の剛
性が向上するとともに、パネル部材同士が多点で結合さ
れることとなり、かくして、各パネル部材の面外曲げ剛
性が向上して固有振動数が高くなり、発破音の主要周波
数との共振を回避することができる。
【0034】本実施形態では、トンネル断面に設置され
る防音壁に適用した例を説明したが、トンネルに限ら
ず、例えば立坑の底部で発破を行うような場合に上述し
た防音構造を水平方向に構築するようにしてもよい。
【0035】また、本実施形態では、坑外側のパネル部
材と坑内側のパネル部材とを同一構造としたが、必ずし
も同一の構造とする必要はなく、例えば、図3のよう
に、坑外側パネル部材31の枠組のうち、外周部分32
を坑外側パネル部材12の枠組19より若干大きくかつ
深くすることにより、坑外側パネル部材12および坑内
側パネル部材31を緩衝部材14を介して連結したとき
に該緩衝部材14が坑外側パネル部材31の枠組外周部
分32で隠れるようにしてもよい。
【0036】かかる構成によれば、緩衝部材14が露出
しなくなり、運搬中あるいは使用中に損傷を受けるおそ
れがなくなる。
【0037】また、本実施形態では、遮音板15を平板
としたが、必ずしも平板とする必要はなく、枠組の格子
寸法とのかねあいで折曲げ板や波板あるいは湾曲板と
し、遮音板自体の剛性をさらに向上させるようにしても
よい。図4は、折曲げ形成された鉄板41と同じく折り
曲げ形成された多孔質鋳鉄板42を積層した遮音板43
を一例として示したものである。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係る防音構
造によれば、組立、解体等の取扱いが容易でなおかつ低
周波音に対する十分な遮音特性を持たせることができ
る。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る防音構造の図であり、(a) は
防音構造を示した側面図、(b)はA―A線に沿う断面
図。
【図2】本実施形態に係る防音構造に用いる防音パネル
の分解斜視図。
【図3】変形例に係る防音パネルの断面図。
【図4】別の変形例に係る防音パネルの断面図。
【図5】従来技術に係る防音壁の全体斜視図。
【符号の説明】
11 防音パネル 12 坑外側パネル部材 13、31 坑内側パネル部材 14 緩衝部材 15、43 遮音板 16、41 鉄板 17、42 多孔質鋳鉄板 18 台座 19、32 枠組 21 超低反発弾性ゴム 22 多孔質鋳鉄板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 11/38 E21D 9/00 E01F 8/00 E04B 1/86

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の枠組の一方の面に遮音板を取り付
    けて一対のパネル部材をそれぞれ構成し、該一対のパネ
    ル部材を前記遮音板が互いに反対側になるように所定の
    緩衝部材を介して相互に連結して防音パネルを構成する
    とともに、所定の骨組を坑内断面全体に構築し、前記防
    音パネルのうち、坑外側に位置するパネル部材のみを前
    記骨組に固定して前記防音パネルを前記断面全体に配設
    したことを特徴とする防音構造。
  2. 【請求項2】 前記遮音板を鉄板および多孔質鋳鉄板を
    積層してなる複合板で構成した請求項1記載の防音構
    造。
  3. 【請求項3】 前記緩衝部材を超低反発弾性ゴムを多孔
    質鋳鉄で挟んで構成した請求項1若しくは請求項2記載
    の防音構造。
  4. 【請求項4】 前記枠組を40cm乃至80cm間隔の
    格子で構成した請求項1乃至請求項3のいずれか一に記
    載の防音構造。
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