JP3155741U - 片麻痺者麻痺側下肢支持振出し誘導装具 - Google Patents

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Abstract

【課題】麻痺側下肢の運動能力が低い片麻痺者の立位、歩行、階段昇降における麻痺側下肢の運動性を補助、誘導する安価で、容易に装着でき、脚の太さや長さの異なる方にも使用できる歩行補助装具を提供する。【解決手段】下腿から膝関節前面に当てる膝誘導板aと、膝誘導板を下腿に固定する下腿バンドb−1,b−2,b−3,b−4、そして、膝誘導板の上後方端部に取り付けた膝誘導板を操作する膝伸ばしベルトcと膝持ち上げベルトdからなる。この2本のベルトを操作することにより膝関節の伸展や振り出しを容易に誘導することができる。また、正常歩行の振り出しパターンに近い下肢の動きを誘導して訓練することができる。さらに、階段昇降においては、適切な位置に足部を誘導することを容易にして介助者の負担を軽減することができる。【選択図】図2

Description

本考案は、脳卒中片麻痺者や下肢の運動障害がある方の、歩行等において、下肢の運動の補助や誘導を容易にする道具であり、下腿から膝関節部に装着する歩行補助装具に関するものである。
更に詳細には、立位保持や歩行そして階段昇降の介助やその動作能力を高める訓練に有効な道具として、また、安価で、容易に装着でき、脚の太さや長さが異なる方にも使用できる歩行補助装具として開発したものである。
片麻痺者の麻痺側下肢の運動能力が低い場合、立位や歩行そして階段昇降において、片麻痺者本人の身体的負担は大きく、また、精神的にも恐怖感が伴うことが多い。さらに、介助者の介助負担は大きい。このために、車いす生活を余儀なくされている方が見られている。
従来より、片麻痺者の麻痺側下肢の支持性が低下した方に対して、立位や歩行訓練を行う場合は、膝関節を伸展位に固定する長下肢装具などを用いることがある。
脳卒中片麻痺者の歩行において、麻痺側下肢を前に振り出すことが出来ない場合は、介助者の手や足を使い、麻痺側下肢を前に送り出す介助方法をとることがある。
脳卒中片麻痺者が階段昇降をする際、昇りにおいて麻痺した足部を1段持ち上げることが難しい場合は、麻痺側下肢全体を持ち上げる介助が必要となる。
また下りにおいて、麻痺した足部を1段下の段の適切な位置に足部を置くことができない場合は、足部をゆっくりと下ろしながら適切な位置に誘導する介助が必要となる。このような介助は、介助者が直接に下肢を持つなどして行われ、介助者の身体能力によっては2人の介助者が必要になることがある。
片麻痺者の麻痺側下肢の膝関節を伸展位に固定する長下肢装具などを使用して行う立位や歩行訓練では、下肢の支えや振り出しにおいて本人の力が発揮されにくい状態になる。下肢に体重が負荷されたときに膝関節が曲がらないように力を入れるタイミング、力の入れ方を訓練できる装具が切望されている。また、振り出しの際には膝関節が伸展位で固定されていることにより足部が地面と接触しやすくなり、このため下肢を外側に回す不自然な歩き方で練習してしまうことになる。この様なことから、振り出しの際には膝関節を屈曲させることができる装具が切望されている。
長下肢装具は、個々人のサイズに合わせて作成され、適合調整など作成に時間がかかるとともに作成費用が高くかかる。また、身体状態の変化により長下肢装具が必要なくなった場合に、他者にはサイズが合わず再利用しにくい。費用が安く、容易に装着でき、脚の太さや長さが異なる方にも使用できる装具が切望される。
長下肢装具は、麻痺側膝関節を完全に伸展した状態で固定されるため、膝関節が屈曲して硬くなった方の場合に使用が難しくなる。また、膝関節が屈曲位で硬くなった状態において下肢に体重が負荷されると、膝関節が屈曲する力がより強く働くため、このような方では立位や歩行において下肢で支えることが難しくなる。このような方の下肢の支持を補助できる装具が切望されている。
片麻痺者が階段を昇る際、麻痺側の足部を1段持上げることが難しい方がみられるが、これを介助する場合は、階段という平地ではない転落の危険がある場面において、麻痺側下肢全体を持上げる必要がある。また、階段を下りる際、麻痺側足部を1段下の段の適切な位置に足部を置くことができない方では、足部を適切な位置に誘導する介助が必要となる。この様な介助を、安定した姿勢で安全に楽に介助することができる歩行補助装具が切望されている。
本装具の基本構造は、下腿から膝関節前面に当てる膝誘導板[a]と、膝誘導板を下腿に固定する下腿バンド[b−1、2、3、4]、そして膝誘導板を操作する2本のベルト[c][d]からなる。
膝誘導板[a]の構造は、長方形の板の表面を低反発素材で覆い、長方形の長辺と平行の中心線で「く」の字に折り曲げた構造をとる。膝誘導板の谷側を下腿から膝関節そして大腿下部1/4まで包むように当てる。膝誘導板が「く」の字の形状であることにより、自重で膝関節が屈曲する力に対して、膝誘導板が曲がりにくい構造となっている。膝誘導板の膝関節付近での身体との接点は、膝蓋骨の左右膝関節面であり、圧の集中が起こりにくい広い面での接触となっており身体への圧迫は少ない。また膝が伸びたり曲がったりするときの膝蓋骨の上下動を邪魔しない位置になっており、自力で膝を伸ばす運動を妨げないようになっている。
膝誘導板[a]と下腿を固定する下腿バンドは、下腿のふくらみの形状に適合するように、3本のバンド[b−1、b−2、b−3]にマジックテープを取り付けて、下腿に巻く構造にしている。特に脚が細くなるアキレス鍵付近のバンド[b−3]は細く回せる形状になっている。又、装具本体と足裏にマジックテープ付ベルト[b−4]で固定する。これは膝伸展ベルトまたは膝持ち上げベルトの引き上げにより装具自体が上方へ持ち上らないようにする為の構造である。この下腿バンドは、装着を容易にし、脚の太さや長さが異なる方に対して幅広く使用できる構造となっている。
膝誘導板の左右上後方端部に金具を取り付け、膝の伸びを誘導する膝伸ばしベルト[c]と、膝の振り出しを誘導する膝持上げベルト[d]を同部位に取り付ける。このベルト取り付け位置が膝関節の運動軸より上方に離れていることで、下肢に体重が負荷されて膝関節が曲がる力に対して、より少ない力で膝関節を伸展することができる。また、下肢の振り出しを誘導する際に、膝持ち上げベルトによって膝関節を前上方へ誘導すると膝関節に屈曲する力が働き、足部より膝関節が前に出ていき、続いて膝関節が伸展して足部が前に振り出される正常な振り出しパターンに近い動きを誘導する事ができる。
脳卒中片麻痺者の麻痺側の下肢に体重をかけたとき、支える力が弱く膝が曲がってしまう場合、本装具の膝伸ばしベルトを後上方に引き上げることで、楽に膝を伸ばして支えを補助することができる。また、支える力の入れ方と力を入れるタイミングを訓練する事ができる。
麻痺側の下肢を前に振り出せない場合、本装具の膝持ち上げベルトを前上方に引き上げることで、膝が曲がり、楽に下肢を振り出すことができる。また、狭い部屋における方向転換に必要な側方や後方への振り出しも簡単に誘導することができる。さらに、正常歩行の振り出しパターンに近い動きを誘導することができて、振り出しの訓練としても有効に利用することができる。
麻痺側の下肢で、支えることが難しく、振り出すことも難しい場合、介助者は、後方の膝伸ばしベルトと前方の膝持ち上げベルトを交互に引き上げて、支えと振り出しを介助することができる。この作業を交互に繰り返すことで、リズムある歩行の訓練をすることができる。
階段において上段に麻痺した足を持ち上げることができない場合、本装具の膝持ち上げベルトを引き上げることで、楽に足を持ち上げることができる。また、下の段に足を降ろして適切な位置に置くことが難しい場合、膝持ち上げベルトを引き上げて足を下段の適切な位置に誘導することができる。これにより階段昇降の介助や訓練を安全・確実に行え、片麻痺者の動作負担及び介助者の介助負担を軽減する事ができる。
図1は、本考案の歩行補助具の形態の概要を説明する為の本体表面図である。 図2は、本考案の歩行補助具の実施形態の説明する為の装着側面図である。 図3は、本考案の歩行補助具の実施形態の説明する為の装着正面図である。
[a] 本考案の歩行補助具本体部分
[b−1]下腿のふくらみの形状に適合するように固定するマジックテープ付バンド
[b−2]下腿のふくらみの形状に適合するように固定するマジックテープ付バンド
[b−3]下腿のふくらみの形状に適合するように固定するマジックテープ付バンド
[b−4]装具本体と足裏を固定するマジックテープ付ベルト
[c] 膝の伸びを誘導する後上方に向かう膝伸ばしベルト
[d] 膝を前上方に持ち上げて振り出しを誘導する膝持上げベルト

Claims (1)

  1. 本装具の基本構造は、下腿から膝関節前面に当てる膝誘導板と、それを下腿に固定するバンド、そして膝誘導板を操作する2本のベルトからなる。
    膝誘導板[a]の構造は、長方形の板の表面を低反発素材で覆い、長辺と平行の中心線を「く」の字に折ったものである。膝誘導板の谷側を下腿から膝関節そして大腿下部1/4まで包むように当てる。膝誘導板が「く」の字の形状であることにより、自重で膝関節が屈曲する力に対して、膝誘導板が曲がりにくい構造となっている。膝誘導板の膝関節付近での接点は、膝蓋骨の左右膝関節面であり、圧の集中が起こりにくい広い面での接触となっており、また膝が伸びたり曲がったりするときの膝蓋骨の上下動を邪魔しない配置になっている。
    下腿から膝関節前面に当てる膝誘導板[a]と下腿を固定し、ベルトの引き上げにより装具自体が上方へ持ち上らないようにする為の構造である。また、多様な下肢の大きさに適合し、装着を容易にするための構造である。
    下腿のふくらみの形状に適合するように、3本のバンド[b−1 b−2 b−3]にマジックテープを取り付けて、下腿に巻くようになっている。特に下方[b−3]の細くなるアキレス腱付近のバンドは細く回せる形状になっている。又、装具本体と足裏を固定するマジックテープ付ベルト[b−4]で装着する。膝誘導板の左右上後方端部に金具を取り付け、膝の伸びを誘導する膝伸ばしベルト[c]と、膝の振り出しを誘導する膝持上げベルト[d]を取り付ける。 このベルト取り付け位置は、膝関節の運動軸より上方に離れていることで、下肢に体重が負荷されて膝関節が曲がる力に対して、より少ない力で膝関節を伸展することができる。
    また、下肢の振り出しを誘導する際に、膝持ち上げベルトによって膝関節を前上方へ誘導すると膝関節に屈曲する力が働き、足部より膝関節が前に出ていき、続いて膝関節が伸展して足部が前に振り出される正常な振り出しパターンに近い動きを誘導する事ができる。
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