以下では、本考案の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1および図2は、本考案の第1実施形態に係る二輪車駐輪装置1の斜視図である。また、図3は、二輪車駐輪装置1を側方から見た透視図である。図2は、二輪車駐輪装置1によって二輪車V1の前輪W1が保持されている状態を示している。
二輪車駐輪装置1は、単車などの二輪車V1の前輪W1を地面G1に対して垂直に保持して、当該二輪車V1を地面G1に対して垂直に駐輪させるように構成されている。地面G1は、駐車場の床面であり、コンクリート等の床面であってもよいし、機械式立体駐車場のパレット床面であってもよい。たとえば、四輪車両用のパレットには、左右輪に対応した一対の溝が形成されている場合がある。このようなパレットを利用して、二台の二輪車V1のための駐輪スペースを確保することができる。この場合、前記地面G1は、パレットに形成された溝の底面であってもよい。二輪車V1には、たとえば、原動機付自転車などの小型二輪車、中型二輪車、および大型二輪車が含まれる。
二輪車駐輪装置1は、前後方向D1に延びる前輪進入路2と、前輪W1を保持するための前輪保持機構3と、前輪保持機構3を前後方向D1に移動可能に保持するスライド機構4と、二輪車駐輪装置1から二輪車V1を取り出すときの人力を低減させる補助機構5とを備えている。
前輪保持機構3は、前輪W1の前部を保持する前部保持体6と、前輪W1の下部を保持する下部保持体7と、前輪W1の上部を保持する上部保持体8と、下部保持体7を回動可能に保持する保持機構10を含む。前部保持体6、下部保持体7および上部保持体8は、それぞれ、前輪W1の一部を収容するための収容溝9を形成している。前部保持体6および下部保持体7は、協働して二輪車V1の前輪W1を保持することができる。また、前部保持体6、下部保持体7および上部保持体8は、協働して二輪車V1の前輪W1を保持することができる。上部保持体8は、たとえば、大型二輪車を駐輪させる場合、すなわち、前輪W1の外径が大きい場合に使用される。前部保持体6および下部保持体7に加えて、上部保持体8を使用することにより、前輪W1をより安定して保持することができる。
下部保持体7は、保持機構10によって、前後方向D1に直交する水平な軸線(左右方向D2に延びる軸線)まわりに回動可能に保持されている。保持機構10は、待機位置(図1および図3に示す位置)と、待機位置よりも前側の位置である保持位置(図2に示す位置)との間で、下部保持体7を回動可能に保持している。下部保持体7を待機位置に位置させることにより、二輪車V1を前部保持体6に向かって前進させたときに、前輪W1の下部を下部保持体7内に進入させることができる。また、下部保持体7を保持位置に位置させることにより、下部保持体7を前部保持体6と協働させて前輪W1を保持することができる。前部保持体6および保持機構10は、メインフレーム11によって一体的に保持されている。また、上部保持体8は、サブフレーム12を介してメインフレーム11に保持されている。
スライド機構4は、前後方向D1に延びる左右一対のレール13と、複数のスライド用ローラとを含む。複数のスライド用ローラは、後述する水平ローラ38および鉛直ローラ39(図4参照)を含む。一対のレール13は、左右に間隔を空けて平行に配置されている。各レール13は、たとえばボルト14によって、地面G1に固定されている。各レール13には、前後方向D1に延びるスライド溝15が形成されている。一対のレール13は、互いのスライド溝15が向かい合うように配置されている。スライド機構4の各ローラは、いずれかのレール13内に配置されている。また、スライド機構4の各ローラは、メインフレーム11の下部に連結されている。メインフレーム11の下部は、一対のレール13間に配置されている。
一対のレール13の前端部は、左右方向D2に延びる連結フレーム16によって連結されている。また、一対のレール13の後端部は、スロープ部材17によって連結されている。スロープ部材17は、前側ほど高くなるように傾斜した傾斜面17aを含む。図3に示すように、傾斜面17aは、地面G1とほぼ同じ高さから各レール13の上面よりやや低い位置まで延びている。図1および図2に示すように、傾斜面17aの前端部には、平面視矩形状の切欠き部17bが形成されている。切欠き部17bは、左右方向D2に関して、スロープ部材17の中央部に位置している。切欠き部17bは、スロープ部材17の前端から後側に向かって延びている。
メインフレーム11が前後方向D1に押されると、スライド機構4の各ローラが対応するレール13内で転動しながら、メインフレーム11が前後方向D1に移動する。メインフレーム11は、2つのフロントストッパ18に当接して前端位置(図2に示す位置)で停止する。また、メインフレーム11は、2つのリアストッパ19(図2参照)に当接して後端位置(図1および図3に示す位置)で停止する。スライド機構4は、前端位置と後端位置との間で、メインフレーム11を前後方向D1に移動可能に保持している。2つのフロントストッパ18は、連結フレーム16の後端部に取り付けられている。また、2つのリアストッパ19は、スロープ部材17の前端部に取り付けられている。
また、メインフレーム11は、後端位置で待機するように構成されている。より具体的には、図3に示すように、メインフレーム11の後端部は、後端位置戻し用ばね20を介してスロープ部材17に連結されている。メインフレーム11を後端位置から前進させると、後端位置戻し用ばね20が弾性変形する。したがって、メインフレーム11を後端位置から前進させると、メインフレーム11は、後端位置戻し用ばね20の復元力によって後側に引っ張られる。そのため、メインフレーム11に一定値以上の荷重が与えられていない状態では、メインフレーム11は、後端位置で待機する。
また、メインフレーム11は、前端位置からの後退が規制されるように構成されている。より具体的には、スライドストッパ21と、このスライドストッパ21に対応する突起22とが二輪車駐輪装置1に設けられている。スライドストッパ21は、メインフレーム11の前端下部の左側面に取り付けられている。スライドストッパ21は、左側のレール13の上方に配置されている。また、突起22は、左側のレール13の上面前端部に配置されている。突起22は、左側のレール13に取り付けられたプレートによって形成されている。スライドストッパ21は、メインフレーム11が前端位置に達すると同時に突起22よりも前側に位置するように配置されていてもよいし、メインフレーム11が前端位置に達する直前から突起22よりも前側に位置するように配置されていてもよい。
スライドストッパ21は、メインフレーム11によって、前後方向D1に回転可能に保持されている。より具体的には、スライドストッパ21の先端部(下端部)は、スライドストッパ21の上端部を中心に前後方向D1に回動できるように構成されている。スライドストッパ21は、メインフレーム11に取り付けられた回動規制ピン23aに当接している。スライドストッパ21は、回動規制ピン23aによって、前側への回動が規制されている。また、スライドストッパ21は、メインフレーム11に取り付けられた回動規制ばね23bに連結されている。スライドストッパ21が後側に回動すると、スライドストッパ21は、回動規制ばね23bの復元力によって回動前の位置に戻る。
スライドストッパ21が突起22の後側に位置する状態で、メインフレーム11を前進させると、スライドストッパ21が回動規制ばね23bの復元力に抗して後側に回動しながら、スライドストッパ21の先端部が突起22を乗り越える(図2参照)。その後、スライドストッパ21は、回動規制ばね23bの復元力によって、回動前の位置に戻る。一方、スライドストッパ21が突起22の前側に位置する状態で、メインフレーム11を後退させると、スライドストッパ21の先端部が突起22に当接して、スライドストッパ21を前側に回動させる力がスライドストッパ21に働く。しかし、スライドストッパ21の前側への回動は回動規制ピン23aによって規制されている。したがって、メインフレーム11は、スライドストッパ21と突起22の係合により、前端位置からの後退が規制される。
スライドストッパ21には、レバー24を介してワイヤー25が接続されている。図1に示すように、ワイヤー25は、ペダル26に接続されている。ペダル26が踏まれることにより、スライドストッパ21は、スライドストッパ21の先端部が突起22より上方に位置する所定位置まで後側に回動する。したがって、ペダル26を踏んでメインフレーム11を後退させることにより、スライドストッパ21を突起22に当接させることなく、メインフレーム11を後退させることができる。すなわち、ペダル26を踏むことにより、メインフレーム11の後退の規制を解除することができる。
補助機構5は、下部保持体7を後退させる力を、下部保持体7を待機位置へと回動させる力に変換するように構成されている。より具体的には、補助機構5は、ガイド部材27と、ガイド部材27に対応する被ガイド部材28とを含む。この実施形態では、ガイド部材27および被ガイド部材28が、たとえば、2つずつ設けられている。
2つのガイド部材27は、左右に間隔を空けて平行に配置されている。2つのガイド部材27は、それぞれ、地面G1に固定されている。2つのガイド部材27は、それぞれ、地面G1に直接的に固定されていてもよいし、他の部材を介して地面G1に固定されていてもよい。この実施形態では、2つのガイド部材27は、それぞれ、地面G1に固定された一対のレール13に固定されている。各ガイド部材27は、対応するレール13の上面に沿って前後方向D1に延びている。
また、各ガイド部材27は、対応するレール13の上面とほぼ同じ高さから後側ほど高くなるように傾斜したガイド面27aを含む。ガイド面27aは、直線的に傾斜していてもよいし、曲線的に傾斜していてもよい。また、ガイド面27aの一部は、水平に形成されていてもよい。この実施形態では、ガイド面27aの全体が、後側ほど高くなるように直線的に傾斜している。ガイド面27aの幅(左右方向D2への長さ)は、たとえば一定である。この実施形態では、ガイド面27aは、ガイド部材27の上面に相当する。
また、各被ガイド部材28は、支持軸29と、円筒状の転動ローラ30とを含む。2つの支持軸29は、それぞれ、下部保持体7の右側方および左側方に水平な姿勢で配置されている。2つの支持軸29は、それぞれ、サイドブラケット31を介して下部保持体7の右側面および左側面に固定されている。各被ガイド部材28の転動ローラ30は、対応する支持軸29の先端部に回転可能に連結されている。各被ガイド部材28の転動ローラ30は、左右方向D2に関する位置が対応するガイド面27aと一致するように配置されている。
2つの被ガイド部材28は、下部保持体7とともに前後方向D1に移動する。また、2つの被ガイド部材28は、下部保持体7とともに待機位置と保持位置との間で回動する。下部保持体7が待機位置へと回動すると、各被ガイド部材28は上昇する。下部保持体7が待機位置にある状態では、各被ガイド部材28は、各ガイド部材27よりも上方に位置する。一方、下部保持体7が保持位置にある状態では、各被ガイド部材28は、各ガイド面27aの下端部とほぼ同じ高さに位置する。
メインフレーム11を前端位置に位置させ、さらに下部保持体7を保持位置に位置させた状態で、下部保持体7を所定位置まで後退させると、各転動ローラ30が対応するガイド面27a上で転動しながら、各被ガイド部材28が対応するガイド面27aに沿って上方に案内される。すなわち、各被ガイド部材28が後退しながら上昇する。下部保持体7は、各被ガイド部材28の上昇に伴って待機位置へと回動する。したがって、下部保持体7を後退させる力が、下部保持体7を待機位置へと回動させる力に変換され、下部保持体7が待機位置へと回動する。
図4は、二輪車駐輪装置1の一部を拡大した斜視図である。また、図5は、図4の一部をさらに拡大した斜視図である。
前部保持体6は、たとえば、V字状に折り曲げられた前プレート32を含む。前プレート32は、収容溝9に相当するV字状の溝を形成している。前プレート32は、互いに対向する2つの側壁部32aと、2つの側壁部32aの一端部同士を連結する矩形の平板部32bとを含む。2つの側壁部32aは、それぞれ平板状であり、平板部32bに対して互いに逆方向に同じ大きさで傾斜している。
また、下部保持体7は、たとえば、V字状に折り曲げられた2つの下プレート33を含む。各下プレート33は、V字状の溝を形成している。各下プレート33は、互いに対向する2つの側壁部33aと、2つの側壁部33aの一端部同士を連結する矩形の平板部33bとを含む。各下プレート33の2つの側壁部33aは、それぞれ平板状であり、平板部33bに対して互いに逆方向に同じ大きさで傾斜している。2つの下プレート33は、互いの溝が連通し、側面視L字状になるように連結されている。この実施形態では、2つの下プレート33のうち、後側に位置する下プレート33によって、前輪W1の下部が進入する下部保持体7の入口部が形成されている。また、収容溝9は、2つの下プレート33の溝によって形成されている。
上部保持体8は、たとえば、V字状に折り曲げられた上プレート34を含む。上プレート34は、収容溝9に相当するV字状の溝を形成している。上プレート34は、互いに対向する2つの側壁部34aと、2つの側壁部34aの一端部同士を連結する矩形の平板部34bとを含む。2つの側壁部34aは、それぞれ平板状であり、平板部34bに対して互いに逆方向に同じ大きさで傾斜している。
メインフレーム11は、たとえば、2本のパイプ35と、メインブラケット36と、複数(たとえば4つ)の柱状体37とを含む。2本のパイプ35は、それぞれ、側面視L字状に形成されている。2本のパイプ35は、左右に間隔を空けて平行に配置されている。2本のパイプ35は、角部(L字の角部)を前側にして配置されている。メインブラケット36は、各パイプ35の角部に連結されている。2本のパイプ35は、メインブラケット36を介して互いに連結されている。また、4つの柱状体37は、それぞれ、2本のパイプ35の4つの端部(長手方向の端部)に連結されている。
前部保持体6は、収容溝9を後側に向けて、上側の2つの柱状体37に連結されている。また、下部保持体7は、収容溝9を上方に向けて、保持機構10に回動可能に保持されている。保持機構10は、下側の2つの柱状体37に連結されている。したがって、下部保持体7は、保持機構10を介してメインフレーム11に連結されている。また、上部保持体8は、収容溝9を後側に向けて、サブフレーム12に連結されている。サブフレーム12は、上側の2つの柱状体37に連結されている。したがって、上部保持体8は、サブフレーム12を介してメインフレーム11に連結されている。
スライド機構4の複数のローラは、メインフレーム11の下部の左側方および右側方に配置されている。この実施形態では、たとえば、4つのローラが、メインフレーム11の下部の左側方および下部右側方にそれぞれ配置されている。複数のローラは、たとえば、4つの水平ローラ38と、4つの鉛直ローラ39とを含む。各水平ローラ38は、左右方向D2に延びる水平軸線まわりに回転するように構成されている。また、各鉛直ローラ39は、鉛直軸線まわりに回転するように構成されている。4つの水平ローラ38は、2つずつに分かれて、前後方向D1に間隔を空けて配置されている。4つの水平ローラ38は、左右対称に配置されている。同様に、4つの鉛直ローラ39は、2つずつに分かれて、前後方向D1に間隔を空けて配置されている。4つの鉛直ローラ39は、左右対称に配置されている。
メインフレーム11が前後方向D1に押されると、4つの水平ローラ38および4つの鉛直ローラ39が対応するレール13内で転動しながら、メインフレーム11が前後方向D1に移動する。このとき、メインフレーム11の左右方向D2への移動は、4つの鉛直ローラ39と対応するレール13との係合により規制される。また、メインフレーム11の上下方向への移動は、4つの水平ローラ38と対応するレール13との係合により規制される。これにより、メインフレーム11が安定した姿勢で前後方向D1に移動する。
また、保持機構10は、筒状の回転軸40と、この回転軸40の内周を挿通する支持軸41とを含む。回転軸40および支持軸41は、それぞれ、左右方向D2に沿う姿勢で、下側の2つの柱状体37の間に配置されている。支持軸41の一端部および他端部は、それぞれ、下側の2つの柱状体37に固定されている。また、回転軸40は、下部保持体7に固定されている。回転軸40および支持軸41は、互いの中心軸線まわりに相対回転可能に構成されている。これにより、下部保持体7は、メインフレーム11に対して、回転軸40の中心軸線まわりに前後方向D1に回動することができる。
下部保持体7の前側への回動は、2つの被支持部材42(図3〜図5を参照)がそれぞれ2つの支持台43に支持されることにより停止する。2つの被支持部材42は、それぞれ、下部保持体7の右側方および左側方に配置されている。各被支持部材42は、サイドブラケット31を介して下部保持体7に固定されている。また、2つの支持台43は、それぞれ、2本のパイプ35に固定されている。各被支持部材42は、左右方向D2に関する位置が対応する支持台43と一致するように配置されている。下部保持体7が所定位置まで前側に回動すると、2つの被支持部材42が、それぞれ、2つの支持台43によって支持される。
また、下部保持体7の後側への回動は、ローラ支持ブラケット44によって回動可能に支持された補助ローラ45が地面G1に当接することにより、待機位置で停止する。補助ローラ45は、左右方向D2に延びる軸線まわりに回転するように構成されている。また、ローラ支持ブラケット44は、下部保持体7の2つの下プレート33のうち、後側に位置する下プレート33の平板部33bの外面に連結されている。下部保持体7が待機位置にある状態で、メインフレーム11を前後方向D1に移動させると、補助ローラ45が地面G1を転動する。これにより、下部保持体7を前後方向D1にスムーズに移動させることができる。補助ローラ45およびローラ支持ブラケット44は、下部保持体7が待機位置にある状態で、後側の下プレート33の平板部33b(平行部)が地面G1と平行になるように下部保持体7を支持する。また、下部保持体7が待機位置にあり、さらにメインフレーム11が後端位置にある状態では、補助ローラ45は、スロープ部材17の切欠き部17bに収容される(図1参照)。
また、下部保持体7は、待機位置で待機するように構成されている。より具体的には、待機位置戻し用ばね46(図3参照)が下部保持体7の右側方に配置されている。下部保持体7は、待機位置戻し用ばね46を介してメインフレーム11の後端部に連結されている。下部保持体7が保持位置へと回動すると、待機位置戻し用ばね46が弾性変形する。したがって、下部保持体7が保持位置へと回動すると、下部保持体7は、待機位置戻し用ばね46の復元力によって後側に引っ張られる。そのため、下部保持体7に一定値以上の荷重が与えられていない状態では、下部保持体7は、待機位置で待機する。
サブフレーム12は、たとえば、U字状に折り曲げられたパイプである。サブフレーム12は、左右に間隔を空けて平行に対向する2つの側部12aと、2つの側部12aの一端部同士を連結する連結部12bとを含む。サブフレーム12は、倒立姿勢で、メインフレーム11の上方に配置されている。上部保持体8は、2つの側部12aに固定されている。また、サブフレーム12の2つの下端部は、それぞれ、上側の2つの柱状体37に回動可能に連結されている。
サブフレーム12は、メインフレーム11に対して、サブフレーム12の2つの下端部を通り左右方向D2に延びる軸線まわりに回動できるように構成されている。また、サブフレーム12は、前側に傾斜した状態と後側に傾斜した状態との間で、前後に回動できるように構成されている。サブフレーム12の回動は、2つの回動規制部材47によって所定範囲内に規制される。各回動規制部材47は、たとえば、切欠き部が形成された平板状の部材である。2つの回動規制部材47は、それぞれ、上側の2つの柱状体37に取り付けられている。サブフレーム12の各側部12aは、対応する回動規制部材47の切欠き部に収容されている。
また、サブフレーム12は、前側または後側に傾斜した状態に維持されるように構成されている。より具体的には、図4に示すように、2つの傾斜用ばね48が、それぞれ、メインフレーム11およびサブフレーム12の左右に配置されている。2つの傾斜用ばね48の一端部は、それぞれ、サブフレーム12の2つの側部12aに取り付けられている。また、2つの傾斜用ばね48の他端部は、メインブラケット36に取り付けられている。サブフレーム12の2つの側部12aは、常時、2つの傾斜用ばね48によって下方に引っ張られている。したがって、サブフレーム12は、2つの傾斜用ばね48によって前側または後側に傾斜した状態に維持されている。
前部保持体6および下部保持体7によって前輪W1が保持された状態で、サブフレーム12を後側に倒す(回動させる)と、上部保持体8の収容溝9に前輪W1の上部が収容される(図2参照)。これにより、前部保持体6、下部保持体7および上部保持体8によって前輪W1が保持される。またこのとき、サブフレーム12は、2つの傾斜用ばね48によって、後側に傾斜した状態に維持される。したがって、前部保持体6、下部保持体7および上部保持体8によって前輪W1が保持された状態が維持される。上部保持体8は、前輪W1の上部のうち、側面視において二輪車V1のフロントフォークF1(図9参照)に直交し、かつ前輪W1の中心部を通る軸線L1と交差する部分を含む箇所を保持するように配置されている。
図6〜図9は、それぞれ、二輪車駐輪装置1を使用して二輪車V1を駐輪させるときの動作を説明するための透視図である。図6〜図9では、二輪車駐輪装置1の一部の図示を省略している。
二輪車駐輪装置1を使用して二輪車V1を駐輪させるときには、たとえば二輪車V1の側方に立った状態で両手で二輪車V1のハンドルを持って二輪車V1を前側に押す。そして、図6に示すように、前輪進入路2の後側から前輪W1を前輪進入路2内に進入させる。これにより、前輪W1がスロープ部材17を登って、前輪W1の下部が下部保持体7内に進入する。このとき、メインフレーム11は後端位置にあり、下部保持体7は待機位置にある。
次に、二輪車V1をさらに前進させる。好ましくは、前輪W1が前輪進入路2に進入した勢いを維持させたまま、二輪車V1をさらに前進させる。二輪車V1をさらに前進させると、図7に示すように、二輪車V1を押す力によって、メインフレーム11が前進する。また、このとき、下部保持体7に作用する力(下部保持体7を保持位置へと回動させる力)は比較的小さい。そのため、下部保持体7は、待機位置にある状態、または保持位置へと僅かに回動した状態で前進する。したがって、2つの被ガイド部材28は、比較的高い位置に保持され、それぞれ2つのガイド部材27に接することなく前進する。
メインフレーム11を前進させ続けると、図8に示すように、メインフレーム11は、フロントストッパ18に当たって、前端位置で停止する。また、メインフレーム11が前端位置で停止すると、二輪車V1の慣性力が下部保持体7に作用する。したがって、メインフレーム11が前端位置で停止すると、下部保持体7を保持位置へと回動させる大きな力が下部保持体7に作用する。これにより、下部保持体7は、保持位置へと回動する。
前輪W1は、下部保持体7の保持位置への回動に伴って、メインフレーム11に対して徐々に前進する。そして、図8に示すように、前輪W1の前部が、前部保持体6内に進入して、前部保持体6に当接する。また、これに伴って、下部保持体7が保持位置に達して、下部保持体7の回動が停止する。このようにして、前輪W1は、前部保持体6および下部保持体7によって2箇所で支持され、地面G1に対して垂直に保持される。したがって、二輪車V1が地面G1に対して垂直に保持される。また、前部保持体6および下部保持体7の収容溝9がV字状に形成されているので、前輪W1は側方への移動が規制された状態で保持される。これにより、二輪車V1を安定させた状態で駐輪させることができる。
前輪W1の外径が大きい場合には、前輪W1が前部保持体6および下部保持体7によって保持された後、さらに、前輪W1の上部を上部保持体8内に進入させる。より具体的には、図9に示すように、サブフレーム12を後側に倒して、前輪W1の上部を上部保持体8内に進入させる。これにより、前輪W1が、前部保持体6、下部保持体7および上部保持体8によって3箇所で支持される。そのため、前輪W1がより安定して保持される。
図10〜図12は、それぞれ、二輪車駐輪装置1から二輪車V1を取り出すときの動作を説明するための透視図である。図10〜図12では、二輪車駐輪装置1の一部の図示を省略している。
二輪車駐輪装置1に駐輪された二輪車V1を二輪車駐輪装置1から取り出すときには、ペダル26(図1参照)を踏んで、スライドストッパ21と突起22との係合によるメインフレーム11の後退の規制を解除する。また、上部保持体8を使用している場合には、予めサブフレーム12を前側に倒して、前輪W1から上部保持体8を離す。その後、たとえば二輪車V1の側方に立った状態で両手で二輪車V1のハンドルを持って、二輪車V1を後側に引っ張る。好ましくは、前輪W1が二輪車駐輪装置1から完全に出るまで、二輪車V1を減速させることなく後側に引っ張る。二輪車V1が後側に引っ張られる前は、メインフレーム11は前端位置にあり、下部保持体7は保持位置にある。
図10に示すように、二輪車V1を後側に引っ張ることにより、前部保持体6および下部保持体7とともに、メインフレーム11が後退する。またこのとき、下部保持体7は、前輪W1にかかる二輪車V1の重量によって保持位置に保持されている。したがって、下部保持体7は、保持位置にある状態で後退する。そのため、前輪W1は、前部保持体6および下部保持体7によって保持された状態で後退する。したがって、二輪車V1を後退させているときに、前輪W1がふらつくことを防止することができる。これにより、二輪車V1を安定して後退させることができる。
また、図10に示すように、メインフレーム11が所定位置まで後退すると、2つの被ガイド部材28の転動ローラ30が、それぞれ、2つのガイド部材27のガイド面27aに当接する。そして、各転動ローラ30が対応するガイド面27aに当接した後は、図11に示すように、各転動ローラ30が対応するガイド面27a上を転動しながら、各被ガイド部材28が対応するガイド面27aに沿って上昇する。すなわち、各被ガイド部材28は、後退しながら上昇する。
図11に示すように、下部保持体7は、各被ガイド部材28の上昇に伴って待機位置へと回動する。より具体的には、下部保持体7を後退させる力(二輪車V1の慣性力、および人が二輪車V1を後側に引っ張る力)が、下部保持体7を待機位置へと回動させる力に変換され、下部保持体7が待機位置へと回動する。各被ガイド部材28および各ガイド面27aは、たとえば、メインフレーム11が後端位置に達するまでに、下部保持体7が待機位置に回動するように構成されている。なお、各被ガイド部材28および各ガイド面27aは、少なくとも、前輪W1の重心が回転軸40(図5参照)よりも後側に移動するまで、下部保持体7を待機位置へと回動させるように構成されていればよい。
前輪W1は、下部保持体7の待機位置への回動に伴って、メインフレーム11に対して徐々に後退する。これにより、図11および図12に示すように、前輪W1の前部が、前部保持体6から離れて、前部保持体6および下部保持体7による前輪W1の保持が解除される。また、各転動ローラ30が対応するガイド面27aを登り切ると、前輪W1の重心は、回転軸40よりも後側に移動している。したがって、各転動ローラ30が対応するガイド面27aを登り切った後は、下部保持体7は、前輪W1にかかる二輪車V1の重量によって待機位置へと回動する。そして、補助ローラ45(図5参照)が地面G1に接して、下部保持体7の回動が待機位置で停止される。
前輪W1は、下部保持体7が待機位置に達した後に、二輪車V1の慣性力によって後退する。これにより、メインフレーム11は、下部保持体7が待機位置に達した後に後端位置に達する。そして、前輪W1は、メインフレーム11が後端位置に達した後に、スロープ部材17を下って二輪車駐輪装置1の後側に案内される。このようにして、前輪W1が下部保持体7から離れ、二輪車駐輪装置1から二輪車V1が取り出される。したがって、前輪W1の重心が回転軸40に達した後は、二輪車V1に大きな力(人力)を与えることなく、二輪車V1を後退させることができる。
また、各被ガイド部材28および各ガイド面27aは、下部保持体7が待機位置に達するまで、各被ガイド部材28を各ガイド面27aに沿って上昇させるように構成しても良い。これにより、下部保持体7を待機位置まで強制的に回動させるため、下部保持体7がより速く後端位置に達し、二輪車駐輪装置1から二輪車V1をより速く取り出すことができる。
以上のように本実施形態では、前部保持体6および下部保持体7によって前輪W1が保持された状態で、二輪車V1を後退させると、前輪W1および下部保持体7が後退する。そして、下部保持体7に固定された各被ガイド部材28が、対応するガイド面27aによって上方へと案内されて、下部保持体7が待機位置へと回動する。すなわち、二輪車V1を後退させる力(とくに慣性力)を利用して、下部保持体7を待機位置へと回動させることができる。これにより、下部保持体7を待機位置へと回動させるときの人力を低減することができる。したがって、二輪車駐輪装置1から二輪車V1を取り出すときの人力を低減することができる。そのため、小さな力で二輪車駐輪装置1から二輪車V1を取り出すことができる。
また、この実施形態では、下部保持体7の2つの下プレート33のうち、後側に位置する下プレート33によって、前輪W1の下部が進入する下部保持体7の入口部が形成されている。この入口部には、下部保持体7が待機位置にある状態で地面G1と平行になる平板部33b(平行部)が設けられている。前輪W1の下部は、平板部33bを通って下部保持体7内に進入する。したがって、下部保持体7の入口部が前側ほど高くなるように傾斜している場合に比べて小さな力で前輪W1の下部を下部保持体7内に進入させることができる。また、下部保持体7の入口部が後側ほど高くなるように傾斜している場合に比べて小さな力で前輪W1の下部を下部保持体7内から出すことができる。このように、この実施形態では、前輪W1の下部を下部保持体7内に進入させるとき、および前輪W1の下部を下部保持体7内から出すときの何れの場合でも小さな力で前輪W1を移動させることができる。
また、この実施形態では、スライドストッパ21が、前端位置からの下部保持体7の後退を規制する。したがって、スライドストッパ21は、下部保持体7に固定された各被ガイド部材28の後退を規制することができる。そのため、スライドストッパ21は、各被ガイド部材28が対応するガイド面27aによって上方へと案内されることを規制することができる。これにより、前部保持体6および下部保持体7によって前輪W1が保持されている状態で、下部保持体7が待機位置へと回動することを規制することができる。したがって、意図しない外力によって、前部保持体6および下部保持体7による前輪W1の保持が解除されることを防止することができる。
また、この実施形態では、下部保持体7は保持機構10を介してメインフレーム11に保持されている。よって、下部保持体7は、下部保持体7が後端位置に達するまでに待機位置に回動する。したがって、下部保持体7が後端位置に達した直後に、前輪W1の下部を下部保持体7内から取り出すことができる。これにより、二輪車駐輪装置1からスムーズに二輪車V1を取り出すことができる。
また、この実施形態では、上部保持体8は、前輪W1の上部のうち、側面視において二輪車V1のフロントフォークF1に直交し、かつ前輪W1の中心部を通る軸線L1と交差する部分を保持するように配置されている。前輪W1の上部のうち軸線L1と交差する部分は、前輪W1をより安定して保持できる位置である。したがって、このような前輪W1の部分を上部保持体8によって保持することにより、比較的小さな力で前輪W1をより安定して保持することができる。そのため、前輪W1を保持したときの前輪W1の安定性を損なうことなく、前部保持体6、下部保持体7およびメインフレーム11の剛性を低減して、二輪車駐輪装置1の重量を低減することができる。
また、この実施形態では、各転動ローラ30が対応するガイド面27a上を転動しながら、各被ガイド部材28が対応するガイド面27aによって案内される。したがって、各被ガイド部材28が対応するガイド面27aによって案内されるときの抵抗を低減して、より小さな力で下部保持体7を待機位置へと回動させることができる。これにより、より小さな力で二輪車駐輪装置1から二輪車V1を取り出すことができる。
図13は、本考案の第2実施形態に係る二輪車駐輪装置201を側方から見た透視図である。この図13において、前述の図1〜図12に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。同様に、以下の図14〜図20において、前述の図1〜図12に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、前部保持体6が前輪進入路2の所定位置で固定されており、前部保持体6と下部保持体7との前後方向D1への距離を調節できることである。
下部保持体7は、保持機構10を介してメインフレーム211に保持されている。メインフレーム211は、スライド機構4によって、前端位置(図16参照)と後端位置(図13に示す位置)との間で前後方向D1に移動可能に保持されている。なお、メインフレーム211の前端位置は、前輪W1の外径の大きさによって異なる。メインフレーム211は、後端位置戻し用ばね20によって、後端位置で待機するように構成されている。また、下部保持体7は、待機位置戻し用ばね46(図3参照)によって、待機位置で待機するように構成されている。
メインフレーム211は、左右に間隔を空けて平行に配置された一対のフレーム50と、一対のフレーム50の間に配置された連結プレート51とを含む。一対のフレーム50は、それぞれ、前後方向D1に延びている。一対のフレーム50は、連結プレート51によって連結されている。一対のフレーム50は、スライド機構4の一対のレール13の間に配置されている。各フレーム50には、スライド機構4の4つのローラ(2つの水平ローラ38および2つの鉛直ローラ39)が取り付けられている。また、一対のフレーム50には、下部保持体7の回動を保持位置で停止させるための2つの支持台43がそれぞれ取り付けられている。
また、前部保持体6は、取付部材52に固定されている。取付部材52は、取付ブラケット53と、取付パイプ54とを含む。取付ブラケット53は、一対のレール13の前端部に固定されている。取付ブラケット53は、側面視において、一対のレール13の前端部から上方に延びている。取付パイプ54は、取付ブラケット53の上端部に固定されている。また、前部保持体6は、収容溝9を後側に向けて、取付パイプ54の上端部に固定されている。したがって、前部保持体6は、取付部材52を介して一対のレール13の前端部に固定されている。
また、サブフレーム12は、取付パイプ54の上端部に回動可能に連結されている。したがって、上部保持体8は、サブフレーム12および取付部材52を介して一対のレール13の前端部に固定されている。サブフレーム12は、取付部材52に対して、サブフレーム12の2つの下端部を通り左右方向D2(紙面に垂直な方向)に延びる軸線まわりに回動できるように構成されている。上部保持体8は、前輪W1の上部のうち、側面視において二輪車V1のフロントフォークF1(図9参照)に直交し、かつ前輪W1の中心部を通る軸線L1と交差する部分を含む箇所を保持するように配置されている。
また、メインフレーム211は、後端位置からの前進、および前端位置からの後進が規制されるように構成されている。より具体的には、たとえば、二対のスライドストッパ221および突起222が二輪車駐輪装置201に設けられている。2つのスライドストッパ221は、左右に間隔を空けて配置されている。より具体的には、2つのスライドストッパ221は、それぞれ、左右一対のフレーム50の上面に取り付けられている。つまり、左フレーム50の上面に一つのスライドストッパ221が取り付けられており、右フレーム50の上面に残る一つのスライドストッパ221が取り付けられている。これら2つのスライドストッパ221は、それぞれ、一対のレール13の上方に配置されている。また、2つの突起222は、それぞれ、左右一対のレール13の上面に形成されている。すなわち、一つの突起222は左レール13の上面に形成されており、残る一つの突起222は右レール13の上面に形成されている。これらの2つの突起222は、前後方向D1に間隔を空けて配置されている。一方の突起222(前進規制用の突起222a)は、他方の突起222(後退規制用の突起222b)よりも後側に配置されている。
二対のスライドストッパ221および突起222のうち、一方のスライドストッパ221および突起222は、メインフレーム211の前進を規制するように構成されており、他方のスライドストッパ221および突起222は、メインフレーム211の後進を規制するように構成されている。より具体的には、前進規制用のスライドストッパ221は、後側への回動が規制され、前側への回動が許容されるように構成されている。前進規制用のスライドストッパ221が前側に回動すると、前進規制用のスライドストッパ221は、回動規制ばね223bの復元力によって、回動前の位置に戻る。また、後進規制用のスライドストッパ221は、前側への回動が規制され、後側への回動が許容されるように構成されている。後進規制用のスライドストッパ221が後側に回動すると、後進規制用のスライドストッパ221は、回動規制ばね223bの復元力によって、回動前の位置に戻る。
メインフレーム211が後端位置にある状態では、前進規制用のスライドストッパ221が前進規制用の突起222aよりも後側に位置する。したがって、メインフレーム211を後端位置から前進させると、前進規制用のスライドストッパ221の先端部が前進規制用の突起222aに当接して、前進規制用のスライドストッパ221を後側に回動させる力が前進規制用のスライドストッパ221に働く。しかし、前進規制用のスライドストッパ221は後側への回動が規制されている。したがって、メインフレーム211は、前進規制用のスライドストッパ221と前進規制用の突起222aとの係合によって後端位置からの前進が規制される。
一方、メインフレーム211が前端位置にある状態では、後退規制用のスライドストッパ221が後退規制用の突起222bよりも前側に位置する(図16参照)。したがって、メインフレーム211を前端位置から後退させると、後退規制用のスライドストッパ221の先端部が後退規制用の突起222bに当接して、後進規制用のスライドストッパ221を前側に回動させる力が後進規制用のスライドストッパ221に働く。しかし、後退規制用のスライドストッパ221は前側への回動が規制されている。したがって、メインフレーム211は、後退規制用のスライドストッパ221と後退規制用の突起222bとの係合によって前端位置からの後退が規制される。
図示はしないが、各スライドストッパ221には、レバーを介してワイヤーが接続されている。また、各ワイヤーは、図示はしないペダルに接続されている。各ペダルが踏まれることにより、各スライドストッパ221は、スライドストッパ221の先端部が対応する突起222より上方に位置する所定位置まで回動する。したがって、前進規制用のスライドストッパ221に対応するペダルを踏むことにより、後端位置からのメインフレーム211の前進の規制を解除することができる。また、後退規制用のスライドストッパ221に対応するペダルを踏むことにより、前端位置からのメインフレーム211の後進の規制を解除することができる。
図14〜図17は、それぞれ、二輪車駐輪装置201を使用して二輪車V1を駐輪させるときの動作を説明するための透視図である。図14〜図17では、二輪車駐輪装置201の一部の図示を省略している。
二輪車駐輪装置201を使用して二輪車V1を駐輪させるときには、たとえば二輪車V1の側方に立った状態で両手で二輪車V1のハンドルを持って二輪車V1を前側に押す。そして、図14に示すように、前輪進入路2の後側から前輪W1を前輪進入路2内に進入させる。これにより、前輪W1がスロープ部材17を登って、前輪W1の下部が下部保持体7内に進入する。このとき、メインフレーム211は後端位置にあり、下部保持体7は待機位置にある。また、メインフレーム211は、前進規制用のスライドストッパ221と前進規制用の突起222aとの係合によって後端位置からの前進が規制されている。
次に、二輪車V1をさらに前進させる。このとき、メインフレーム211の前進が規制されているので、二輪車V1を前進させる力の殆どが下部保持体7に伝達される。すなわち、図15に示すように、下部保持体7は、二輪車V1を前進させる力によって保持位置へと回動する。下部保持体7は、2つの被支持部材42がそれぞれ2つの支持台43によって支持されることにより保持位置に達する。そして、下部保持体7が保持位置まで達した後は、前進規制用のスライドストッパ221に対応するペダル(図示せず)を踏んで、後端位置からのメインフレーム211の前進の規制を解除する。その後、二輪車V1を前側に押して、メインフレーム211を前進させる。
メインフレーム211が前進することにより、前部保持体6および上部保持体8と、下部保持体7との前後方向D1への距離が変化する。そして、図16に示すように、メインフレーム211が移動すると、前輪W1の前部が前部保持体6内に進入して突き当たり、その突き当たった位置がメインフレーム211の前端位置となる。これにより、前輪W1が、前部保持体6および下部保持体7によって2箇所で支持され、地面G1に対して垂直に保持される。したがって、二輪車V1が地面G1に対して垂直に保持される。
前輪W1の外径が大きい場合には、前輪W1が前部保持体6および下部保持体7によって保持された後、さらに、前輪W1の上部を上部保持体8内に進入させる。より具体的には、図17に示すように、サブフレーム12を後側に倒して、前輪W1の上部を上部保持体8内に進入させる。これにより、前輪W1が、前部保持体6、下部保持体7および上部保持体8によって3箇所で支持される。そのため、前輪W1がより安定して保持される。したがって、二輪車V1がより安定して保持される。
図18〜図20は、それぞれ、二輪車駐輪装置201から二輪車V1を取り出すときの動作を説明するための透視図である。図18〜図20では、二輪車駐輪装置201の一部の図示を省略している。
二輪車駐輪装置201に駐輪された二輪車V1を二輪車駐輪装置201から取り出すときには、後退規制用のスライドストッパ221に対応するペダル(図示せず)を踏んでメインフレーム211の後退の規制を解除する。また、上部保持体8を使用している場合には、予めサブフレーム12を前側に倒して、前輪W1から上部保持体8を離す。その後、たとえば二輪車V1の側方に立った状態で両手で二輪車V1のハンドルを持って、二輪車V1を後側に引っ張る。好ましくは、前輪W1が二輪車駐輪装置201から完全に出るまで、二輪車V1を減速させることなく後側に引っ張る。二輪車V1が後側に引っ張られる前は、メインフレーム211は前端位置にあり、下部保持体7は保持位置にある。
二輪車V1を後側に引っ張ることにより、メインフレーム211が後退する。これにより、図18に示すように、前輪W1の前部が、前部保持体6から離れて、前部保持体6および下部保持体7による前輪W1の保持が解除される。また、メインフレーム211が後退するとき、下部保持体7は、前輪W1にかかる二輪車V1の重量によって保持位置に保持されている。したがって、下部保持体7は、保持位置にある状態で後退する。そして、図18に示すように、メインフレーム211が所定位置まで後退すると、2つの被ガイド部材28の転動ローラ30が、それぞれ、2つのガイド部材27のガイド面27aに当接する。その後、図19に示すように、各転動ローラ30が対応するガイド面27a上を転動しながら、各被ガイド部材28が対応するガイド面27aに沿って上昇する。すなわち、各被ガイド部材28は、後退しながら上昇する。
図19に示すように、下部保持体7は、各被ガイド部材28の上昇に伴って待機位置へと回動する。より具体的には、下部保持体7を後退させる力(二輪車V1の慣性力、および人が二輪車V1を後側に引っ張る力)が、下部保持体7を待機位置へと回動させる力に変換され、下部保持体7が待機位置へと回動する。各被ガイド部材28および各ガイド面27aは、たとえば、メインフレーム211が後端位置に達するまでに、下部保持体7が待機位置に回動するように構成されている。なお、各被ガイド部材28および各ガイド面27aは、少なくとも、前輪W1の重心が回転軸40(図5参照)よりも後側に移動するまで、下部保持体7を待機位置へと回動させるように構成されていればよい。
図20に示すように、前輪W1は、下部保持体7の待機位置への回動に伴って、メインフレーム211に対して徐々に後退する。また、各転動ローラ30が対応するガイド面27aを登り切ると、前輪W1の重心は、回転軸40よりも後側に移動する。したがって、各転動ローラ30が対応するガイド面27aを登り切った後は、下部保持体7は、前輪W1にかかる二輪車V1の重量によって待機位置へと回動する。そして、補助ローラ45(図5参照)が地面G1に接して、下部保持体7の回動が待機位置で停止される。
前輪W1は、下部保持体7が待機位置に達した後に、二輪車V1の慣性力によって後退する。これにより、メインフレーム211は、下部保持体7が待機位置に達した後に後端位置に達する。そして、前輪W1は、メインフレーム211が後端位置に達した後に、スロープ部材17を下って二輪車駐輪装置1の後側に案内される。このようにして、前輪W1が下部保持体7から離れ、二輪車駐輪装置201から二輪車V1が取り出される。したがって、前輪W1の重心が回転軸40に達した後は、二輪車V1に大きな力(人力)を与えることなく、二輪車V1を後退させることができる。
以上のように本実施形態では、第1実施形態と同様に、二輪車V1を後退させる力(とくに慣性力)を利用して、下部保持体7を待機位置へと回動させることができる。これにより、二輪車駐輪装置201から二輪車V1を取り出すときの人力を低減することができる。したがって、小さな力で二輪車駐輪装置201から二輪車V1を取り出すことができる。
また、本実施形態では、メインフレーム211を前後方向D1に移動させることにより、前部保持体6と下部保持体7との前後方向D1への距離を調節することできる。したがって、前輪W1の外径に合わせて前部保持体6と下部保持体7との前後方向D1への距離を調節することができる。そのため、前部保持体6および下部保持体7は、外径の異なる複数種の前輪W1を保持することができる。これにより、本実施形態に係る二輪車用駐輪装置201は、前輪の大きさがより小さな二輪車からより大きな二輪車まで駐輪させることができる。したがって、小型車から大型車までより広い範囲の大きさの二輪車V1を駐輪させることができる。
この考案の実施の形態の説明は以上であるが、この考案は、前述の第1および第2実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。たとえば、前述の第1および第2実施形態では、上部保持体8と、サブフレーム12などの上部保持体8に関連する構成とが設けられている場合について説明した。しかし、上部保持体8およびこれに関連する構成が設けられていなくてもよい。
また、前述の第1および第2実施形態では、二輪車V1を前後方向D1に移動させる人力によって下部保持体7を前後方向D1に移動させる場合について説明した。しかし、人力に限らず、他の動力(たとえば、電力、液圧、空圧)によって下部保持体7を前後方向D1に移動させてもよい。また、人力に加えて、他の動力を補助動力として利用してもよい。この場合、下部保持体7を前後方向D1に移動させるときの人力を低減することができる。
また、前述の第1および第2実施形態では、下部保持体7の前後方向D1への移動を補助する回転体として、ローラ(補助ローラ45)を用いる場合について説明した。しかし、下部保持体7の移動を補助する回転体としては、ローラに限らず、球などのその他の回転体であってもよい。
また、前述の第1および第2実施形態では、メインフレーム11、211は、下部保持体7が待機位置に達した後に後端位置に達する場合について説明した。しかし、下部保持体7は、メインフレーム11、211が後端位置に達するのと同時に待機位置に達するように構成されていてもよい。また、下部保持体7は、メインフレーム11、211が後端位置に達した後に待機位置に達するように構成されていてもよい。
また、前述の第1実施形態では、メインフレーム11が前端位置に達した後に、下部保持体7が保持位置に達する場合について説明した。しかし、メインフレーム11が前端位置に達する前に、下部保持体7が保持位置に達するように構成されていてもよい。
また、前述の第2実施形態では、前進規制用および後退規制用のストッパとして2つスライドストッパ221が設けられている場合について説明した。しかし、前進規制用および後退規制用のストッパとして機能する1つのストッパが設けられていてもよい。
具体的には、たとえば、前進規制用の突起222aおよび後退規制用の突起222bを同一のレール13の上面に前後方向D1に間隔を空けて取り付ける。また、前進規制用および後退規制用のストッパとして機能する1つのストッパを突起222a、222bが取り付けられたレール13の上方に配置する。より具体的には、メインフレーム211を前後方向D1に移動させたときに、このストッパの下端部が突起222a、222bに係合する高さに当該ストッパを配置する。そして、このストッパの前側および後側への回動を規制する。さらに、このストッパを、当該ストッパの上端部を中心に下端部を左右方向D2に回動できるように構成する。
このように構成すれば、このストッパの下端部を前進規制用の突起222aに係合させることにより、メインフレーム211および下部保持体7の前進を規制することができる。また、このストッパの下端部を後退規制用の突起222bに係合させることにより、メインフレーム211および下部保持体7の後進を規制することができる。さらに、たとえばワイヤー等によりこのストッパの下端部を左右方向D2に引っ張って、このストッパの下端部を左右方向D2に回動させれば、前進および後退の規制を解除することができる。
その他、実用新案登録請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。