JP3154214B2 - ヘッドホン - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はヘッドホンに係り、とく
にドライブユニットの背面側を囲むようにハウジングを
設け、上記ドライブユニットによって音声を再生するよ
うにしたヘッドホンに関する。

【０００２】

【従来の技術】音楽等を外に漏れないように一人で楽し
むためにヘッドホンが用いられる。このようなヘッドホ
ンのドライブユニットの背面側を囲むように設けられて
いるハウジングの構造によって、オープンエア型と密閉
型とに区別される。

【０００３】オープンエア型のヘッドホンはハウジング
に開口が形成されており、外からの音がハウジング内に
入ってくるようになっているヘッドホンである。これに
対して密閉型のヘッドホンは、ドライブユニットを内部
に収納しているハウジングが密閉されており、低音域ま
で特性が延び、高音と低音のバランスがよいという特徴
をもっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ハウジングに開口が形
成されているオープンエア型のヘッドホンは、外部から
音が入ってきて爽やかな聴感になる。ところがオープン
エア型の場合には、とくに低音域での制動が不足し、低
音の音圧が高くなりすぎて高音と低音のバランスが悪化
する傾向がある。

【０００５】これに対して密閉型のヘッドホンは上記の
ような低音での制動不足を解消することができ、高音と
低音のバランスが良好で、低音域まで特性が延びるとい
う利点がある。ところがハウジングが密閉されているた
めに、外から音が入って来ず、爽やかな聴感を得ること
ができない。

【０００６】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たものであって、外部からの音が入ってくるようにし、
これによって爽やかな聴感を得るとともに、低音域での
制動不足を解消して高音と低音のバランスが悪化するの
を防止し、オープンエア型と密閉型の両方の利点を兼備
えるようにしたヘッドホンを提供することを目的とする
ものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】第１の発明は、ドライブ
ユニットの背面側を囲むようにハウジングを設けて成る
ヘッドホンにおいて、前記ハウジングに開口を形成する
とともに、該開口をダイヤフラムで塞ぐようにしたこと
を特徴とするヘッドホンに関するものである。

【０００８】第２の発明は、上記第１の発明において、
前記ハウジングの開口が前記ドライブユニットを取付け
ているバッフル板の背面側に形成されていることを特徴
とするヘッドホンに関するものである。

【０００９】第３の発明は、上記第１の発明において、
前記ハウジングの開口が前記ドライブユニットを取付け
ているバッフル板の前面側に形成されていることを特徴
とするヘッドホンに関するものである。

【００１０】第４の発明は、上記第１の発明において、
前記ダイヤフラムで閉塞されている開口に開閉可能に蓋
を装着したことを特徴とするヘッドホンに関するもので
ある。

【００１１】

【作用】第１の発明において、ハウジングに形成されて
いる開口を塞ぐように設けられているダイヤフラムは外
来音、とくに高音域の外来音に対して透過性を有すると
ともに、このダイヤフラムがその共振周波数よりも低い
音に対して抵抗となり、これによって低音の音圧が必要
以上に高くなるのを抑える。

【００１２】第２の発明によれば、バッフル板の背面側
においてハウジングの開口にダイヤフラムが設けられる
ことになり、このダイヤフラムによって外乱音、とくに
高音側の外来音の侵入を許容するとともに、低音での音
圧レベルの上昇を抑えることになる。

【００１３】第３の発明によれば、バッフル板の前面側
においてハウジングの開口に取付けられるダイヤフラム
が外来音、とくに高音側の外来音をハウジング内に導入
するとともに、低音域での制動作用を行なうことにな
る。

【００１４】第４の発明によれば、ハウジングに形成さ
れている開口を蓋体で覆うことによって、密閉型のヘッ
ドホンとして用いることが可能になり、再生音の漏洩を
シャッタアウトすることになる。

【００１５】

【実施例】図２および図３は本発明の一実施例に係るヘ
ッドホンを示すものであって、このヘッドホンは左右一
対のハウジング１０を備えている。ハウジング１０は玉
子を縦に２分割したような形状を有している。そしてハ
ウジング１０はハンガ１１によって回動可能に支持され
ている。ハンガ１１には上方へ延びるようにほぼＵ字状
をなすスライドアーム１２が設けられている。

【００１６】スライドアーム１２はストッパ１３に対し
て摺動可能に連結されている。そして左右のストッパ１
３がヘッドバンド１４によって連結されるようになって
いる。そして一方の、例えば右方のハウジング１０のハ
ンガ１１には、図３に示すようにコード１５が引出され
るようになっている。このコード１５によって音声信号
をハウジング１０内のドライブユニットのコイルに流す
ようにしている。

【００１７】次に図１、図４、および図５によってハウ
ジング１０の内部の構造につき説明する。ハウジング１
０の内部にはバッフル板１９が取付けられており、この
バッフル板１９によってドライブユニット２０が支持さ
れるようになっている。なおここでドライブユニット２
０は、例えばドーム型のダイナミックスピーカから構成
されている。そして図１においてバッフル板１９の側壁
部分には音孔２１が形成されるとともに、この音孔２１
を塞ぐように不織布２２が取付けられている。またハウ
ジング１０の開口縁部にはイヤーパッド２３が取付けら
れるようになっている。イヤーパッド２３はカバー２４
によって覆われている。

【００１８】図１に示すように、ハウジング１０には円
形の開口２８が形成されている。この開口２８はバッフ
ル板１９に支持されているドライブユニット２０のほぼ
背面側に位置している。そして開口１８の周縁部に設け
られているリブ２９によって、ダイヤフラム３０が支持
されている。ダイヤフラム３０は開口２８を塞ぐように
して固定リング３１によって固定されている。そして開
口２８は、合成樹脂製の蓋３２によって開閉可能になっ
ている。すなわち蓋３２の内側に設けられている係止用
リブ３３が開口２８の内周縁に係合されるようになって
おり、これによって開口２８を閉じるようにしている。

【００１９】以上のような構成において、ヘッドバンド
１４を用いてこのヘッドホンを頭部に装着するととも
に、ハウジング１０を左右の耳にそれぞれ当てがい、イ
ヤーパッド２３が耳と接触するように装着する。そして
コード１５を通してハウジング１０内のバッフル板１９
によって支持されているドライブユニット２０のボイス
コイルに電流を通ずることによって、ドライブユニット
２０が音声を再生する。従ってこのような音声を、この
ヘッドホンによって聴くことができるようになる。

【００２０】そしてハウジング１０の開口２８を閉じて
いる蓋３２を開くと、オープンエア型のヘッドホンとし
て利用することができる。図６はこのようなオープンエ
ア型のヘッドホンとして聴いた場合の外来音の伝達特性
を示している。同図において鎖線で示す密閉型に比べ
て、実線で示す本実施例のヘッドホンは、とくにダイヤ
フラム３０の共振周波数の近傍において密閉型に比べて
高い外来音の伝達特性をもっている。ここではダイヤフ
ラム３０の振動特性を１〜２ＫＨｚの共振周波数に設定
してあり、この周波数の近傍においては、ダイヤフラム
３０がコンダクティブな音響動作を行なって外来音の侵
入を許容する。従ってこのようなヘッドホンによれば、
とくに外来音の侵入を許容することによって、オープン
エア型の特徴である爽やかな感じの聴感を得ることが可
能になる。

【００２１】ダイヤフラム３０はスティフネスとして作
用し、低音域の周波数に対してはレジスティブな音響動
作を行なう。すなわち低音域の音圧が上昇するのを抑え
ることになる。従って図７において実線で示すように、
低音域の音圧が異常に上昇するのを抑えるようになり、
高音域と低音域のバランスが良好になる。なおハウジン
グ１０に開口２８を形成するとともに、ダイヤフラム３
０を取付けないと同図において１点鎖線で示すような特
性になり、低音域の音圧出力が高くなって高音域と低音
域のバランスが悪化することになる。このような欠点は
開口２８にダイヤフラム３０を取付けることによって解
消され、密閉型と同じような周波数特性になる。これに
よって密閉型の特徴である低音域までの良好な特性を得
ることが可能になる。

【００２２】このように本実施例に係るヘッドホンは、
ハウジング１０の所定の位置に開口２８を設け、ここに
ダイヤフラム３０から成る振動板を取付けるとともに、
蓋３２を開閉可能に装着するようにしたものである。一
般にハウジング１０に開口を設けて開放するだけでは、
とくに低音域で制動不足になり、トーンバランスが悪化
する。このことはバッフル板の前方に開口を設けた場合
においても同じである。

【００２３】ところが開口２８にダイヤフラム３０を取
付けることによって、再生音質を変えずに外来音を取入
れることができ、オープンエア型の特性をもたせること
が可能になる。また開口２８を蓋３２で覆うことによっ
て、再生音質を変えずに再生音の漏洩をシャッタアウト
できるようになる。これによってアウトドア用とインド
ア用の両方の用途に用いることが可能になる。とくに電
車の中等で使用する場合であって、シャカシャカ音が外
に漏れるのを防止したい場合には、ハウジング１０の開
口２８を蓋３２に覆うようにすればよい。

【００２４】図８は変形例のヘッドホンのハウジング１
０の構造を示している。このハウジング１０において
は、バッフル板１９よりも前面側に開口２８を設けるよ
うにしている。そしてこの開口２８のリブ２９にダイヤ
フラム３０を装着し、固定リング３１で固定している。
しかも開口２８を蓋３２で閉じるようにしている。

【００２５】このような変形例においても、蓋３２を外
すとダイヤフラム３０が外来音、とくに高音域に対して
透過性を有するために、外来音のハウジング１０内への
侵入を許容することになる。しかも低音域の音圧に対し
てダイヤフラム３０が制動板として機能するために、低
音域での制動不足を解消し、トーンバランスの悪化を防
止することになる。従ってこのような構成によっても、
上記実施例とほぼ同様の作用効果を奏することが可能に
なる。

【００２６】なお上記実施例あるいは変形例において
は、開口２８に取付けられる蓋３２はその係止用リブ３
３によって開口２８のエッジの部分に装着されるように
なっているが、蓋３２の取付けについては、スライド
式、ヒンジ式、あるいはねじによる固定式等の各種の方
式に変更することが可能である。

【００２７】

【発明の効果】第１の発明は、ハウジングに開口を形成
するとともに、この開口をダイヤフラムで塞ぐようにし
たヘッドホンに関するものである。

【００２８】上記開口に取付けられているダイヤフラム
によって、外来音、とくに高音域の外来音の侵入を許容
し、ヘッドホンに対して爽やかな聴感を与えることがで
きる。しかもダイヤフラムが低音域に対して制動板とし
て機能し、これによって低音域の制動不足を解消してト
ーンバランスの悪化を防止し、密閉型と同様の周波数特
性を得ることが可能になる。

【００２９】第２の発明によれば、ハウジングの開口が
ドライブユニットを取付けているバッフル板の背面側に
形成されるようにしたものである。従って背面側の開口
に設けられているダイヤフラムによって、外来音を取入
れ、しかも低音域の制動不足を補うことが可能になる。

【００３０】第３の発明によれば、ハウジングの開口が
ドライブユニットを取付けているバッフル板の前面側に
形成されるようにしたものである。従ってこのようなバ
ッフル板の前面側の開口に設けられるダイヤフラムによ
って、外来音、とくに高音域の外来音を取入れるととも
に、低音域の音圧レベルの上昇を抑え、高音と低音のバ
ランスの悪化を防止できるようになる。

【００３１】第４の発明は、ダイヤフラムで覆われてい
る開口に開閉可能に蓋を装着するようにしたものであ
る。従ってこのような蓋で開口を覆うことによって、密
閉型ヘッドホンと同様の構造になり、外来音が内部に入
るのを防止するとともに、再生音の漏洩を防止できるよ
うになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例のヘッドホンの要部横断面図である。

【図２】ヘッドホンの全体の構造を示す正面図である。

【図３】ヘッドホンの全体の構造を示す側面図である。

【図４】ハウジングの正面図である。

【図５】ハウジングの縦断面図である。

【図６】外来音の伝達特性を示すグラフである。

【図７】再生音の特性変化を示すグラフである。

【図８】変形例のヘッドホンのハウジングの横断面図で
ある。

【符号の説明】 １０ ハウジング １１ ハンガ １２ スライドアーム １３ ストッパ １４ ヘッドバンド １５ コード １９ バッフル板 ２０ ドライブユニット ２１ 音孔 ２２ 不織布 ２３ イヤーパッド ２４ カバー ２８ 開口 ２９ リブ ３０ ダイヤフラム ３１ 固定リング ３２ 蓋 ３３ 係止用リブ

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドライブユニットの背面側を囲むように
   ハウジングを設けて成るヘッドホンにおいて、 前記ハウジングに開口を形成するとともに、該開口をダ
   イヤフラムで塞ぐようにしたことを特徴とするヘッドホ
   ン。
2. 【請求項２】 前記ハウジングの開口が前記ドライブユ
   ニットを取付けているバッフル板の背面側に形成されて
   いることを特徴とする請求項１に記載のヘッドホン。
3. 【請求項３】 前記ハウジングの開口が前記ドライブユ
   ニットを取付けているバッフル板の前面側に形成されて
   いることを特徴とする請求項１に記載のヘッドホン。
4. 【請求項４】 前記ダイヤフラムで閉塞されている開口
   に開閉可能に蓋を装着したことを特徴とする請求項１に
   記載のヘッドホン。