JP3513603B2 - スピーカシステム - Google Patents

スピーカシステム

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JP3513603B2 JP2002291072A JP2002291072A JP3513603B2 JP 3513603 B2 JP3513603 B2 JP 3513603B2 JP 2002291072 A JP2002291072 A JP 2002291072A JP 2002291072 A JP2002291072 A JP 2002291072A JP 3513603 B2 JP3513603 B2 JP 3513603B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピーカシステム
に関し、特に、音質の向上を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスピーカシステムにおいては、一
般にエンクロージャーの密閉性が重視される。これは、
エンクロージャーからの音圧漏洩が周波数特性に悪影響
を与えるからである。即ち、エンクロージャーから漏れ
た音波は、スピーカシステムからの直接音と干渉し、周
波数特性を乱し、特に、スピーカユニットから離れた部
位から漏れる音波ほど、エンクロージャー内における音
圧の位相が揃い易く、鋭い干渉を生じる。
【0003】従って、代表的なスピーカユニットのエン
クロージャーのバッフルへの取り付けは、その取付面の
気密を保持することが鉄則とされており、この取付手法
は、教科書的に扱われている。例えば、図11(A),
(B)に示すように、スピーカユニット1を、その外周
部のフランジ部2内面とエンクロージャー3のバッフル
板4前面とを密着させて取り付けるか、或いは、スピー
カユニット1を、そのフランジ部2外面とバッフル板4
後面とを密着させて取り付けるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、スピーカシス
テムの低域特性は、ユニットの最低共振周波数に制限さ
れ、又、それを取り付けるエンクロージャーが十分な容
量を備えることが、そのユニットの最低共振周波数を再
生する条件となるが、従来のエンクロージャーの密閉性
を重視したスピーカシステムにあっては、エンクロージ
ャー内部の空気のバネのもつ慣性振動による振動板への
影響によって、スピーカシステムの低域周波数特性及び
過渡特性に悪影響を与えてしまい、特に、スピーカユニ
ットの要求するエンクロージャー容量より実装容量が小
さいときには、低域特性の減衰が顕著になってしまう。
【0005】低域再生には大口径の振動板を有するスピ
ーカユニットが適しているが、この大口径の振動板の使
用は、エンクロージャー容量の拡大をもたらし、スピー
カシステムの大型化を避けられない。このため、低音域
を再生しようとするスピーカシステムは、一般的に大型
になって重量が嵩み、高価で取り扱い性に劣るものとな
っている。
【0006】このような問題点を解決し、システムを小
型化するために、バスレフ、共鳴室や音響管によって、
ロードをかけたシステム、内部に吸音材を充填した密閉
型システム、モーショナルフィードバック等の出力検知
による補正や、イコライザ等の電子回路を伴ったシステ
ム等が提案されているが、いずれも構造の複雑化を来
し、製作コストの上昇が避けられない。又、これらの場
合、システムに固有な、特有の音質的傾向があった。
尚、スピーカシステムのキャビネット(エンクロージャ
ー)として、従来、図12に示すように、スピーカユニ
ット5を補助バッフル板6に取り付け、これをキャビネ
ット(エンクロージャー)7前面のバッフル板8に対し
て間隔をおいて取り付けた形式のR−J型キャビネット
が知られている。しかし、このR−J型キャビネットに
あっては、キャビネット7内・外を連通する通気路が、
バッフル板8の開口部9の両側端に位置して開口してお
り、低音特性は向上するものの、中音域の出力音圧レベ
ルが低下し、低音再生限界周波数付近に山が現れる特性
となる欠点がある。
【0007】又、従来、振動板の背後に、振動板と所定
の距離だけ離間して仕切板を対峙し、該仕切板と振動板
によって形成される音響空間の内周側をスピーカボック
ス内の空間に連通し、外周側を通気孔リングを介してス
ピーカボックスの前面側に開放するように構成したもの
提案されている(特開平2−195796号公報参
照)。
【0008】このものでは、仕切板と振動板によって形
成される空間が、内周側でスピーカボックス内の空間に
連通しており、外周側でスピーカボックスの前面に開放
されているため、この空間がスピーカの低音再生出力を
効果的に誘導するダクトとして機能し、低音を増強する
ことができる。
【0009】しかし、この技術にあっては、振動板、即
ち、コーンに仕切板並びに通気孔リングを一体的に取り
付けてスピーカユニットを構成し、これによって、上述
したような空間部を形成する構成であるため、スピーカ
ユニット自体を特別な仕様としなければならず、既設の
スピーカシステムに容易には適用できない。又、コーン
の構造も複雑化し、重量の増加を来し、コスト的にも不
利である。更に、上述したような空間部は屈曲した構成
であるから、エンクロージャー内の空気の放出がスムー
ズに行われず、エンクロージャー内部の空気のバネのも
つ慣性振動による振動板への影響を効果的に防止し得る
ものとは言えない。
【0010】本発明は以上のような従来の課題を解決す
るためなされたものであり、スピーカシステムにおい
て、スピーカユニットのエンクロージャーのバッフル板
ヘの取付構造の簡単な改良によって、スピーカシステム
の小型、軽量化を図りつつ、スピーカシステムの低域周
波数特性及び過渡特性の向上等を図ることを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1に係
る発明のスピーカシステムは、エンクロージャーと、該
エンクロージャーの前面のバッフル板の開口部に取り付
けられるスピーカユニットと、を含んで構成されるスピ
ーカシステムにおいて、前記スピーカユニット外周部位
に、前記バッフル板の開口部の略全内周に沿って形成さ
れてエンクロージャー内・外を連通する所定の通気路を
設けたことを特徴としている。
【0012】また、前記スピーカユニットを、その外周
部後面とバッフル板前面との間に前記通気路となる隙間
部が形成されるように、前記バッフル板に取り付けたこ
とを特徴としている。
【0013】さらに、前記スピーカユニットを、その外
周部前面とバッフル板後面との間に前記通気路となる隙
間部が形成されるように、前記バッフル板に取り付けた
ことを特徴としている。
【0014】前記隙間部は、スピーカユニット外周部内
面とバッフル板前面との間若しくはスピーカユニット外
周部外面とバッフル板背面との間に、複数のスペーサを
介在させることにより形成されることを特徴としてい
る。
【0015】また、前記スペーサを略管状の部材から構
成し、該管状の部材を貫通する取付具をスピーカユニッ
ト外周部とバッフル板とに固定したことにより形成され
ることを特徴としている。
【0016】請求項2に係る発明は、前記スペーサを所
定の振動吸収率を有する素材により形成したことを特徴
としている。
【0017】請求項3に係る発明は、前記スペーサを、
スピーカユニット若しくはバッフル板に一体成形したこ
とを特徴としている。
【0018】請求項4に係る発明は、前記隙間部は、前
記スピーカユニット外周部に、該外周部後面から後方に
突出する複数のスペーサ部と、スピーカユニット外周部
後面から後方の位置に位置して各スペーサ相互を連結す
るリング状のリブ部と、を一体成形し、該リブ部をバッ
フル板前面に取り付けることによって形成されることを
特徴としている。
【0019】請求項5に係る発明は、前記隙間部は、前
記スピーカユニット外周部に、該外周部前面から前方に
突出する複数のスペーサ部と、スピーカユニット外周部
前面から前方の位置に位置して各スペーサ相互を連結す
るリング状のリブ部と、を一体成形し、該リブ部をバッ
フル板後面に取り付けることによって形成されることを
特徴としている。
【0020】請求項6に係る発明は、前記エンクロージ
ャーは、バスレフポート若しくはバスレフのための低音
放射穴を有することを特徴としている。
【0021】かかる本発明の作用について説明する。本
発明において、エンクロージャー内・外を連通する所定
の通気路は、サウンドホールの働きをし、バスレフ動作
によって、エンクロージャー内部の共鳴音を放出し、低
音域を増強させる。又、エンクロージャー内部の空気の
バネのもつ慣性振動による振動板への影響が減ぜられ、
全再生帯域にわたる過渡特性が向上し、伸びやかで重苦
しさのない音質が得られる。
【0022】更に、通気路を、スピーカユニット外周部
位に、前記バッフル板の開口部の略全内周に沿って形成
するようにしたから、スピーカユニットの外周部位から
均一に空気が出入りし、スピーカユニットのコーン紙の
カーブがなだらかに通気路に向かって形成されるため、
エンクロージャー内部の空気圧力変化による、コーン紙
の受ける抵抗が効果的に減じられ、音質の向上をより効
果的に図ることができる。
【0023】特に、通気路がスピーカユニットに近接し
た位置に形成されているため、低音の周波数特性を増強
すると同時に、それ以外の周波数での特性の乱れを防止
することができる。特に、請求項1〜5に係る発明のよ
うに、通気路となる隙間部を、スピーカユニット外周部
内面とバッフル板前面との間若しくはスピーカユニット
外周部外面とバッフル板背面との間に、複数のスペーサ
を介在させることにより形成したものでは、スペーサは
バッフル板にスピーカユニットのフレームの振動を伝達
し、あたかもコントラバスの駒(ブリッジ)のような動
作をし、エンクロージャーを振動させて共鳴を増加させ
る。
【0024】又、設計意図によって、請求項2に係る発
明の如く、スペーサを、ゴム等の樹脂等の振動吸収率の
大きい素材、或いは金属等の小さい素材により形成すれ
ば、バッフル板の共振をコントロールすることも可能で
ある。
【0025】請求項6に係る発明において、バスレフダ
クトによるバスレフポートを設けたものや、バスレフの
ための低音放射穴を設けたものでは、バスレフポートや
低音放射穴の共振周波数を可能な限り低くとることによ
って、最低音域をとることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、添付された図面を参照して
本発明を詳述する。先ず、本発明の基本概念について説
明する。スピーカシステムの小型化と、それに伴う低域
特性の低下の問題は、スピーカユニットの振動板をエン
クロージャー内部の空気ばねによる制動によって受ける
影響から切り離すことによって解決できる。
【0027】例えば、ギター、コントラバス等の楽器
は、弦という非常に表面積の小さい振動板しか有してい
ないにもかかわらず、共鳴箱の働きによって良好な低音
を出す。又、倍音成分となる高調波も極めて豊かであ
る。これは振動素子である弦の振動が駒を通じて共鳴箱
に伝えられて、胴の共鳴を最大限利用しているからであ
る。
【0028】この例から明らかなように、スピーカシス
テムによる低音の最も簡易で能率的に再生には、エンク
ロージャーを共鳴箱として利用することがである。従っ
て、本発明では、スピーカユニット外周部位に、前記バ
ッフル板の開口部の略全内周に沿って形成されてエンク
ロージャー内・外を連通する所定の通気路を設けること
によって、例えば、スピーカユニットをエンクロージャ
ーのバッフル板開口面に密着させず、低音の回り込みに
よる低域周波数特性の低下が発生しない程度に、開口部
から離された位置に設置することによって、振動板がエ
ンクロージャー内部の空気ばねによって受ける影響を回
避し、エンクロージャーを共鳴箱として効率的に利用す
ることを基本概念とするものである。
【0029】次に、かかる本発明の基本概念に基づくス
ピーカシステムの実施形態を説明する。図1は、第1の
実施形態のスピーカシステム縦断面図である。この図に
おいて、スピーカシステムは、エンクロージャー10
と、該エンクロージャー10の前面のバッフル板11の
開口部12に取り付けられるスピーカユニット13と、
を含んで構成される。
【0030】前記スピーカユニット13は、その外周部
のフランジ部14後面とバッフル板11前面との間にエ
ンクロージャー10内・外を連通する所定の通気路とな
る隙間部が形成されるように、前記バッフル板11に取
り付けられている。この実施形態においては、スピーカ
ユニット13外周部のフランジ部14内面とバッフル板
11前面との間に、複数の管状のスペーサ15を介在さ
せて、このスペーサ15に挿通した取付具としてのビス
16によって、スピーカユニット13をバッフル板11
に取り付けるようにしている。
【0031】この場合、スピーカユニット13のフラン
ジ部14外周部とバッフル板11の開口部周囲に夫々等
間隔で8つのビス挿通孔を設け、図3に示すように、ビ
ス16をスピーカユニット13側挿通孔、スペーサ15
の孔、バッフル板11側挿通孔に順に挿通し、このビス
16の先端ねじ部のバッフル板11背面からの突出端部
にナット17を嵌合して締め付ける。上記スペーサ15
としては、金属等の硬質部材からなるもの(振動伝達
型)、ゴム材やコイルバネ等の弾性部材からなるもの
(振動吸収型)等が使用される。
【0032】前記振動吸収型のスペーサ15の場合に
は、ナット17とバッフル板11との間にゴム材等の弾
性部材からなるワッシャを介在させるのが好ましい。
【0033】図2は、第2の実施形態のスピーカシステ
ムの縦断面図である。この実施形態においては、スピー
カユニット13は、そのフランジ部14前面とバッフル
板11後面との間に所定の距離の隙間部が形成されるよ
うに取り付けられている。この実施形態においては、ス
ピーカユニット13のフランジ部14前面とバッフル板
11後面との間に、複数の管状のスペーサ15を介在さ
せて、このスペーサ15に挿通したビス16によって、
スピーカユニット13をバッフル板11に取り付けるよ
うにしている。
【0034】前記スペーサ15は、スピーカユニット1
3若しくはバッフル板11に一体成形するようにしても
良い。例えば、図4に示すように、バッフル板11に予
めスペーサ部15Aを一体成形し、このスペーサ部15
Aにスピーカユニット13のフランジ部14を取り付け
れば良い。この取り付けには、同図4に示すように、リ
ベット15B或いは割りピンを用いれば良い。或いは、
ピンと該ピンに嵌め込まれるCリングを用いれば良い。
【0035】尚、図5に示すように、バッフル板11の
外面の開口部12周りに陥凹部11Aを形成し、この陥
凹部11A内側において、フランジ部14とスペーサ1
5と、バッフル板11との締結を行うようにすれば、ス
ピーカユニット13がバッフル板11前面から張り出す
ことがなく、スピーカシステム10の形状がスマートと
なる。
【0036】図6(A),(B)は、第3及び第4の実
施形態のスピーカシステムのスピーカユニットの斜視図
である。図6(A)の実施形態は、スピーカユニット1
3のフランジ部14に、該フランジ部14後面から後方
に突出する複数のスペーサ部18と、フランジ部14後
面から後方の位置に位置して各スペーサ部18相互を連
結するリング状のリブ部19と、を一体成形し、該リブ
部19をビス及びナットを用いてバッフル板前面に取り
付けるようにしたものである。
【0037】同図(B)の実施形態は、スピーカユニッ
ト13のフランジ部14に、該フランジ部14前面から
前方に突出する複数のスペーサ部20と、フランジ部1
4前面から前方の位置に位置して各スペーサ部20相互
を連結するリング状のリブ部21と、を一体成形し、該
リブ部21をビス及びナットを用いてバッフル板背面に
取り付けるようにしたものである。
【0038】図7は、第5の実施形態のスピーカシステ
ムにおけるスピーカユニットの斜視図である。この実施
形態は、バッフル板11の開口部12内周面から張り出
す取付片部26を形成する一方、スピーカユニット13
の外周面にも張り出す取付片部27を形成し、取付片部
26に取付片部27をビス28等により取り付けるよう
にしたものである。この実施形態においては、開口部1
2内周面とスピーカユニット13外周部との間に通気路
となる隙間部が形成される。
【0039】かかる構成のスピーカシステムによれば、
スピーカユニット外周部位に、前記バッフル板の開口部
の略全内周に沿って形成されてエンクロージャー内・外
を連通する所定の通気路を設けることによって、次のよ
うな作用・効果を奏する。即ち、エンクロージャー内・
外を連通する所定の通気路は、サウンドホールの働きを
し、バスレフ動作によって、エンクロージャー内部の共
鳴音を放出し、低音域を増強させる。
【0040】又、エンクロージャー内部の空気のバネの
もつ慣性振動による振動板への影響が減ぜられ、全再生
帯域にわたる過渡特性が向上し、伸びやかで重苦しさの
ない音質が得られる。更に、通気路を、スピーカユニッ
ト外周部位に、前記バッフル板の開口部の略全内周に沿
って形成するようにしたから、スピーカユニットの外周
部位から均一に空気が出入りし、スピーカユニットのコ
ーン紙のカーブがなだらかに通気路に向かって形成され
るため、エンクロージャー内部の空気圧力変化による、
コーン紙の受ける抵抗が効果的に減じられ、音質の向上
をより効果的に図ることができる。
【0041】特に、通気路がスピーカユニットに近接し
た位置にバッフル板の開口部の略全内周に沿って形成さ
れているため、低音の周波数特性を増強すると同時に、
それ以外の周波数での特性の乱れを防止することができ
る。因みに、通気路がスピーカユニットから大きく離れ
ている場合には、従来技術でも述べたように、低音の周
波数特性を増強できるものの、それ以外の周波数での特
性の乱れが発生するという欠点がある。
【0042】従って、スピーカユニットの要求するエン
クロージャー容積より実装容積が小さいときでも、低域
特性の減衰を抑えることが可能となり、小型のエンクロ
ージャーで、高能率且つ高耐入力が可能な大口径の振動
板を持つスピーカユニットを使用でき、スピーカシステ
ムの高能率化と小型化を同時に図ることができる。
【0043】特に、通気路となる隙間部を、スピーカユ
ニット外周部内面とバッフル板前面との間若しくはスピ
ーカユニット外周部外面とバッフル板背面との間に、複
数のスペーサを介在させることにより形成した実施形態
では、次のような利点を有する。即ち、スペーサはバッ
フル板にスピーカユニットのフレームの振動を伝達し、
あたかもコントラバスの駒(ブリッジ)のような動作を
し、エンクロージャーを振動させて上述した共鳴を増加
させる。
【0044】又、設計意図によって、スペーサを、ゴム
等の樹脂等の振動吸収率の大きい素材、或いは金属等の
小さい素材により形成すれば、バッフル板の共振をコン
トロールすることも可能である。
【0045】更に、スペーサの付加、バッフル板の開口
部の形状変更、スピーカユニットの外周部の形状変更等
の簡単な改良により、スピーカユニット外周部に通気口
を形成できるため、スピーカユニット自体を特別な仕様
とする必要がなく、既設のスピーカシステムにも容易に
は適用でき、スピーカユニットの構造の複雑化、重量の
増加を来さず、コスト的にも有利である。
【0046】又、図1に示すように、バスレフダクト2
9によるバスレフポートを設けたものや、図示しないが
バスレフのための低音放射穴を設けたものでは、バスレ
フポートや低音放射穴の共振周波数を可能な限り低くと
ることによって、最低音域をとることができる。
【0047】かかる本発明の実施形態は、種々の音響機
器に備えられたスピーカシステム、特にSRシステム、
家庭用オーディオのスピーカシステム、ラジオカセット
プレーヤ、カラオケ機、パソコン、テレビ等のスピーカ
システムに適用できる。特に、スピーカユニットを、壁
面、自動車のドア等に内蔵したものでは、スピーカユニ
ットをこの取付部(バッフル板となる)に上記の実施形
態の方法で取り付ければ良い。又、外観の美観を高める
べく、通気路の外方に向けての開口を、音を通す布等で
覆うようにしても良い。
【0048】尚、重低音域の再生を目的とする場合、本
発明の構成を用いてスピーカユニットを設置したスピー
カシステムに、更に共鳴ダクトを加えたり、モーショナ
ルフィードバックや、イコライザ操作を加えて、低域再
生限界周波数を効率的に伸長することも可能である。
【0049】ここで、本発明者らは、下記の仕様をベー
スにした本発明のスピーカシステム(スペーサ使用でバ
スレフダクト有り、バスレフダクト無し)と、上述した
仕様をベースにした従来のスピーカシステム(スペーサ
不使用、バスレフダクト無し)との周波数特性を比較す
る実験を行った。
【0050】(スピーカシステムの仕様)163L(内
寸容積181L)の実容積を持つ密閉型エンクロージャ
ー(内寸H90.8cm×W45.2cm×D44.2
cm)に、スピーカユニットとしての38cm口径のウ
ーハーユニット(fo=40HZ)を、例えば、図1及
び図2の実施形態の如く、バッフル板からスペーサによ
って所定距離X離して取り付ける。
【0051】前記所定距離Xは、音楽信号をヒアリング
しながら、スペーサ長さを、5mm、10mm、15m
m、20mmと変更し、周波数特性、インピーダンス特
性を測定し、最も適当な値とする。更に、超低域特性を
改善するべく、例えば8cm×38cmのバスレフダク
ト(塩化ビニル製パイプ)2本を設けるようにした。
【0052】この場合、バッフル板の下部に開口部を形
成し、エンクロージャー内に水平に配したパイプダクト
を、その前端開口部が開口部に連通するように固定す
る。これによって、エンクロージャー内部がバスレフダ
クトを介してエンクロージャー外部と連通する。
【0053】使用した38cm口径のウーハーユニット
は、密閉型のエンクロージャーの場合、実容積の理想値
は、225Lであるが、上記のように実容積は165L
(理想値の72.4%)であり、従来のスピーカシステ
ムの特性は、図8のグラフに示すように、大口径でS0
の大きいスピーカユニットを、容積の足りないエンクロ
ージャーに取り付けたため、低域は150HZから減衰
する特性となっている。従って、重量感がなく、中音域
の抜けの悪い音質で、HiFi再生には使用できない。
【0054】本発明のスピーカシステム(15mmのス
ペーサ使用でバスレフダクト無し)の特性は、図9のグ
ラフに示すように、60HZまで略フラットな特性を得
ることができた。又、本発明のスピーカシステム(10
mmのスペーサ使用で8cm×38cmのバスレフダク
ト2本[バスレフダクトの長さは、エンクロージャーの
奥行きいっぱいに可能な限り長くした。]有り)の特性
は、図10のグラフに示すように、6dbダウン値の低
音再生限界は50HZで、60HZ〜100HZは全く
フラットな周波数特性となった。
【0055】従って、このスピーカシステムでは、ジャ
ズ、クラシック等のコントラバス等の低音楽器の音が歪
み感を伴ったり、こもったり、誇張されることなく率直
に、リアルに再生される。又、同時に、ピチカートや、
エレキベースのスラップ奏法に特徴的な弦を弾く時に発
生する高音のノイズ成分の音色が格段に改善された。
【0056】尚、スチフネスS0が小さく、実行振動質
量M0の大きいスピーカユニットと、本発明の構成(ス
ペーサ使用)との組み合わせにより、システムの更なる
小型化(現状の同型スピーカユニット使用時のエンクロ
ージャー容積比で約30%減)が、低域特性の劣化なし
で、容易にかつ低コストで実現できることも判明した。
また、上記では、38cm口径のスピーカユニットのも
のについて説明したが、次に他の口径(例えば、30c
m口径)のスピーカユニットにおける、バッフル板から
の最適距離X2を求めるための実験式を以下に示す。即
ち、38cm口径のスピーカユニットの振動板開口面積
とその最適距離Xとの比率を他の口径(例えば、30c
m口径)のスピーカユニットに適用したところ38cm
口径のスピーカユニットと同様の効果が得られた。従っ
て、38cm口径のスピーカユニットの振動板開口面積
をSa、他の口径(例えば、30cm口径)のスピーカ
ユニットの振動板開口面積をSbとすると、38cm口
径のスピーカユニット使用時の最適距離X1は10mm
なので、Sa:X1=Sb:X2従って、X2=(X1
・Sb)/Saとなり、ここで、Sa=80384平方
mm、X1=10mmなので、バッフル板からの最適距
離X2=10Sb/80384で与えられる。
【0057】更に、本発明者らは次の(1)〜(3)よ
うな実験も行った。(1)小口径スピーカユニットにス
ペーサを用いてエンクロージャーに通気孔を形成して音
質を調べる。(2)20cm口径程度の中口径スピーカ
ユニットにスペーサを用いてエンクロージャーに通気孔
を形成して音質を調べる。この場合、スペーサとして厚
さ1mm程度のワッシャ形状のものを使用した。
【0058】これらの実験結果によると、概ね音階表記
で5度下に当たる低音がでるようになる他、楽器の分
離、奥行き感、実在感を高めることができた。尚、20
cm口径程度の中口径スピーカユニットにおいては、エ
ンクロージャーの容積が標準値の数分の1程度に小さく
した場合には、エンクロージャーの内部インピーダンス
を低減するために、エンクロージャー内部に吸音材を充
填するのが好ましい。この場合、エンクロージャーの共
鳴の効果よりも、通気路によって、エンクロージャー内
部の空気のバネのもつ慣性振動による振動板への影響が
減ぜられる効果が特に期待できる。
【0059】(3)低音、中音、高音が夫々独立したス
ピーカユニットで構成されている3ウエイスピーカシス
テムにスペーサを用いてエンクロージャーに通気孔を形
成して音質を調べる。
【0060】この実験結果によると、低音、中音、高音
の各スピーカユニット全てにわたり音質の向上が認めら
れた。即ち、本発明は、低音のみならず、中音、高音の
スピーカユニットにおいても音質の向上を図れる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スピーカユニット外周部位に、前記バッフル板の開口部
の略全内周に沿って形成した簡単な構成によって、エン
クロージャーの小型化、軽量化を図りつつ、低音域の拡
張化、低歪み化、高能率化を図れると共に、過渡特性、
経済性に優れた高音質のスピーカシステムを提供でき
る。
【0062】特に、請求項1〜5に係る発明によれば、
通気路となる隙間部を、スピーカユニット外周部内面と
バッフル板前面との間若しくはスピーカユニット外周部
外面とバッフル板背面との間に、複数のスペーサを介在
させることにより形成したから、エンクロージャーを振
動させて共鳴を増加させることができ、本発明の効果を
より効果的に発揮できる。
【0063】又、請求項2に係る発明によれば、スペー
サを、ゴム等の樹脂等の振動吸収率の大きい素材、或い
は金属等の小さい素材により形成したから、バッフル板
の共振をコントロールすることが可能である。
【0064】請求項6に係る発明によれば、バスレフダ
クトによるバスレフポートを設けたものや、バスレフの
ための低音放射穴を設けるようにしたから、バスレフポ
ートや低音放射穴の共振周波数を可能な限り低くとるこ
とによって、最低音域をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るスピーカシステムの第1の実施
形態の縦断面図
【図2】 第2の実施形態の縦断面図
【図3】 バッフル板、スペーサ部、スピーカユニット
のビスによる締結方法を説明する斜視図
【図4】 第1の実施形態の変形例を示す図で、(A)
は斜視図、(B)は断面図
【図5】 第1の実施形態の他の変形例を示す縦断面図
【図6】 (A),(B)は第3及び第4の実施形態の
斜視図
【図7】 第5の実施形態の斜視図
【図8】 従来のスピーカシステムの周波数特性の実験
結果を示すグラフ
【図9】 本発明のスピーカシステムの周波数特性の実
験結果を示すグラフ
【図10】 本発明のスピーカシステムの周波数特性の
実験結果を示すグラフ
【図11】 (A),(B)は従来のスピーカシステム
の一例の縦断面図
【図12】 従来のスピーカシステムの他の例の斜視図
【符号の説明】 10 エンクロージャー 11 バッフル板 12 開口部 13 スピーカユニット 14 フランジ部 15 スペーサ 15A スペーサ部 18 スペーサ部 19 リブ部 20 スペーサ部 21 リブ部 26 取付片部 27 取付片部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 1/28 310 H04R 1/02 101 G10D 3/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンクロージャーと、該エンクロージャ
    ーの前面バッフル板の開口部に取り付けられるスピーカ
    ユニットと、を含んで構成されるスピーカシステムにお
    いて、前記スピーカユニットを前記バッフル板の開口面
    に密着させず低音の回り込みによる低域周波数特性の低
    下が発生しない程度に、開口部から離れた位置に開口部
    のほぼ全内周にエンクロージャー内・外を連通する通気
    路となる隙間部を形成し、スピーカユニットの振動板が
    エンクロージャー内部の空気ばねによって受ける影響を
    回避し、スピーカユニット外周部内面とバッフル板前面
    との間あるいはスピーカユニット外周部外面とバッフル
    板の背面との間に、複数の管状のスペーサを介在させて
    前記隙間部を形成し、該スペーサがバッフル板にスピー
    カユニットのフレームの振動を伝達し、コントラバスに
    おける駒と同様の動作をするようにしたことによりエン
    クロージャーを共鳴箱として効率的に利用することを特
    徴とするスピーカシステム。
  2. 【請求項2】 前記スペーサを所定の振動吸収率を有す
    る素材により形成したことを特徴とする請求項1記載の
    スピーカシステム。
  3. 【請求項3】 前記スペーサを、スピーカユニット若し
    くはバッフル板に一体成形したことを特徴とする請求項
    1あるいは請求項2に記載のスピーカシステム。
  4. 【請求項4】 前記隙間部は、前記スピーカユニット外
    周部に、該外周部後面から後方に突出する複数のスペー
    サ部と、スピーカユニット外周部後面から後方の位置に
    位置して各スペーサ相互を連結するリング状のリブ部
    と、を一体成形し、該リブ部をバッフル板前面に取り付
    けることによって形成されることを特徴とする請求項1
    記載のスピーカシステム。
  5. 【請求項5】 前記隙間部は、前記スピーカユニット外
    周部に、該外周部前面から前方に突出する複数のスペー
    サ部と、スピーカユニット外周部前面から前方の位置に
    位置して各スペーサ相互を連結するリング状のリブ部
    と、を一体成形し、該リブ部をバッフル板後面に取り付
    けることによって形成されることを特徴とする請求項1
    記載のスピーカシステム。
  6. 【請求項6】 前記エンクロージャーは、バスレフポー
    ト若しくはバスレフのための低音放射穴を有することを
    特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1つに記載のス
    ピーカシステム。
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