JP3153757B2 - X線装置 - Google Patents

X線装置

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JP3153757B2
JP3153757B2 JP01635696A JP1635696A JP3153757B2 JP 3153757 B2 JP3153757 B2 JP 3153757B2 JP 01635696 A JP01635696 A JP 01635696A JP 1635696 A JP1635696 A JP 1635696A JP 3153757 B2 JP3153757 B2 JP 3153757B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、X線装置に係わ
り、とくに液体金属を潤滑剤として使用する動圧軸受を
内蔵する回転陽極型X線管を備えたX線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、CTスキャナ或いは循環器撮影
用のX線撮影装置や、X線露光装置等のX線装置には、
多くの場合、X線放射源として回転陽極型X線管が組み
込まれている。この回転陽極型X線管は、周知のよう
に、円盤状の陽極ターゲットを、相互間に軸受部を有す
る回転体および固定体で機械的に支え、回転体の位置に
対応した真空容器外位置に配置したステータの電磁コイ
ルに回転駆動電力を供給して高速回転させながら、陰極
から電子ビームを放出させて陽極ターゲットに当て、X
線を放射する。
【0003】その軸受部は、ボールベアリングのような
ころがり軸受や、軸受面にらせん溝を形成するとともに
ガリウム(Ga)、又はガリウム−インジウム−錫(G
a−In−Sn)合金のような、少なくとも動作中は液
状となる液体金属潤滑剤を用いた動圧式のすべり軸受で
構成される。後者の動圧軸受を用いた例は、たとえば特
公昭60−21463号、特開昭60−97536号、
特開昭60−117531号、特開昭60−16055
2号、特開昭62−287555号、特開平2−227
947号、或いは特開平2−227948号等の各公報
に開示されている。
【0004】上記各公報に開示されている回転陽極型X
線管の動圧軸受の軸受面間に供給される液体金属潤滑剤
は、実用になる比較的低い融点をもつものでも、その融
点は約10℃である。すなわち、例えばGa−In−S
n合金の融点は、低融点のものでも10.7℃であり、
ビスマス(Bi)を相対的に多く含むBi−In−Pb
−Sn合金では同様に約57℃である。
【0005】このような回転陽極型X線管を搭載したX
線装置は、少なからず軸受部の液体金属潤滑剤の融点以
下の温度環境で使用される場合があるので、装置の運転
前はX線管の軸受部の潤滑剤は凍った状態になってい
る。この状態では陽極ターゲットの回転が不可能である
とともに、無理に回転力を加えると軸受面が損傷を受け
てしまう。
【0006】そのため、X線管の陽極ターゲットの回転
開始前に、軸受部を融点以上の温度に加熱して潤滑剤を
液状に融解してから動作を開始するようにする必要があ
る。その目的で、上記の特開昭60−160552号公
報には、X線管の管内または管外に、加熱コイル、熱放
射体、あるいは高周波放射体のような熱源を設けること
や、陰極フィラメントの熱放射を利用することが開示さ
れている。
【0007】また、特開平5−217531号公報に
は、動圧軸受部の潤滑剤の温度を直接的又は間接的に検
出できるようにしておき、回転起動に際して予めステー
タコイルに電流を供給し、それによる軸受部の損失熱で
凍った金属潤滑剤を熱し、潤滑剤の温度が融点以上に達
したら陽極ターゲットを所定モードで回転させる発明が
開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記前
者の構成すなわちX線管の管内または管外に加熱コイル
や熱放射体、高周波放射体のような熱源を設けること
は、余分の熱源を配置する必要があり、不都合である。
また、陰極フィラメントの熱放射を利用することは、軸
受部の温度上昇に長時間要する不都合がある。上記後者
の発明は、軸受部の温度を検出するので正確な動作制御
ができる点で有効であるが、その温度検出のための構成
が複雑になるので、さらなる改良が望まれている。
【0009】さらにまた、X線装置の設置環境が例えば
極低温等の過酷な環境である場合は、回転起動の前に一
定時間予熱しても、X線管内の金属潤滑剤のすべてが必
ず液状になっているとは限らない。また、X線管内の予
熱されにくい例えば潤滑剤収容室の内部に溜まって凍っ
ている金属潤滑剤は、容易には溶融せず、動圧軸受に必
要十分な液体金属潤滑剤が流動しきれない状態が起こり
やすい。このように、初期に一定時間予熱しても、動圧
軸受に本来的に必要十分な動圧が発生しない場合も考え
られる。
【0010】或いはまた、ある一日のX線撮影業務の間
で、次のX線撮影までに陽極ターゲットの回転を数時間
も停止しておくと、金属潤滑剤が再び凍結することも考
えられる。また、停止している回転体及び陽極ターゲッ
トを回転始動させる電力は非常に大きく且つラッシュ電
流も大きいものとなる。そのため、陽極ターゲットの回
転数が十分高くなっていない状態でX線放射の動作に入
ると、陽極ターゲットの焦点起動面が溶融したり、発生
したガスにより放電が起こったり、さらにはX線装置の
電源制御装置が破損してしまうなどの致命的な損傷を引
き起こしてしまうおそれがある。なお、ボールベアリン
グを使用したX線管では、ボールや回転レース、或いは
潤滑剤の消耗を抑制するため、X線撮影が終了した後は
制動をかけるとともに回転駆動電力の供給を遮断して、
回転体及び陽極ターゲットの回転を停止するのが普通で
ある。
【0011】なお、上記後者の公報には、ステータコイ
ルに常時駆動電力を供給して連続回転させることが記載
されているが、それによれば上述のような潤滑剤の再凍
結による不都合は解消されるものの、供給電力が無駄に
なる不都合がある。
【0012】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたもので、比較的簡略な構成により装置運転の省エ
ネルギーになり且つ即座のX線撮影に対応できるX線装
置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は、ステータ駆
動電源からステータコイルに供給する回転駆動電力を大
小に変化させことを繰り返し、又は間欠的に供給する制
御手段を有するX線装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下その実施例を図面を参照して
説明する。なお同一部分は同一符号であらわす。概略構
成を示す図1の例えばCTスキャナのようなX線装置
は、一部の構成としてX線管装置10と、これを駆動制
御する電源装置11を備えている。X線管装置10は、
回転陽極型X線管12と、その回転体を回転させるため
のステータ13とを備えている。
【0015】回転陽極型X線管12は、真空容器14の
内部に重金属からなる円盤状陽極ターゲット15が円筒
状回転体16の一端に突設された回転軸16aに一体的
に固定されている。また、陽極ターゲット15の焦点軌
道面に対向して、電子ピームを放出する陰極17が配置
されている。
【0016】円筒状回転体16の内側には、円柱状の固
定体18が同軸状に嵌合されており、回転体の下端開口
部にスラストリング19が固着されている。固定体19
の下端部は、陽極支持部20に結合され、それは真空容
器のガラス円筒容器部14aに気密接合されている。
【0017】回転体16と固定体19との嵌合部分に
は、前述の各公報に示されるようならせん溝を有する各
一対のラジアル方向動圧軸受21,22、及びスラスト
方向動圧軸受23,24が設けられている。
【0018】各動圧軸受は、図2の(a)〜(d)に示
すようならせん溝を備えている。同図の(a)は固定体
18の側面図、(b)はスラストリング19の縦断面
図、(c)は(a)のc−cにおける上面図、(d)は
(b)のd−dにおける上面図である。同図に示される
ように、2組のラジアル方向動圧軸受21,22は、鉄
または鉄合金製の固定体18の外周軸受面に形成された
ヘリンボンパターンのらせん溝21a,22aと、回転
体の鉄または鉄合金からなる内側円筒の内周軸受面とで
構成される。また、一方のスラスト方向動圧軸受23
は、固定体18の先端軸受面18b面に形成されたサー
クル状のヘリンボンパターンらせん溝23aと回転体底
面とで構成され、他方のスラスト方向動圧軸受24は、
回転体の一部となるスラストリング19の軸受面19a
に形成されたサークル状のヘリンボンパターンらせん溝
24aと固定体の肩部の軸受面18cとで構成される。
各軸受を構成する軸受面に形成されているらせん溝は、
およそ20μmの深さを有している。
【0019】これら回転体及び固定体の各軸受の軸受面
は、動作中、およそ20μmの軸受間隙を保つようにな
っている。回転中心軸上にある固定体18には、その中
心部分が軸方向にくり抜かれた孔からなる潤滑剤収容室
25が形成されている。また、この固定体18の中間部
の外周壁がわずかにテーパ状に削られて径小部18aが
形成され、それによって構成される円周状の空間に潤滑
剤の一部が溜まるようになっている。また、中心部分の
潤滑剤収容室25から径小部18aの空間に通じる4つ
の放射方向通路26が等角度で対称的に穿設されてい
る。
【0020】そして、回転体と固定体との間の隙間や、
各軸受のらせん溝、潤滑剤収容室、径小部の空間、放射
方向通路を含む内部空間には、Ga−In−Sn合金か
らなる液体金属潤滑剤が供給されている。この金属潤滑
剤の全体積は、上記の内部空間の全容積のおよそ60%
に相当する量である。
【0021】回転体16の主要部は、3重の円筒からな
り、上述のように内側が鉄又は鉄合金製の軸受円筒で、
その外側が鉄からなる強磁性体円筒、外側が銅円筒であ
り、一体的に結合されている。これらは、回転体16を
取り巻くガラス円筒容器部14aの外周に配置されたス
テータ13と協動して電磁誘導モータの回転子として動
作する。ステータ13は、円筒状の鉄芯13aと、それ
に巻かれたステータコイル13bとを備えている。な
お、この実施例のステータコイル13bは、3相巻線で
ある。また、軸受構成部材は、鉄又は鉄合金に限らず、
例えば前述の各公報に記載されているようなモリブデン
材その他の材料を使用できる。
【0022】電源装置11は、CTスキャナの全体を駆
動する主電源・制御装置31、X線管装置11の内部の
X線管12に接続されてX線放射を制御するX線放射制
御装置32、ステータコイル13bに駆動電力を供給し
て回転体16の回転を制御するステータ駆動電源・制御
装置33、回転状態検出装置34を備えている。
【0023】回転状態検出装置34は、ステータ駆動電
源・制御装置33からステータコイル13bに駆動電力
が供給される回路に挿入されてステータコイル13bの
消費電力を検出して回転体16の回転状態を電気的に検
出する装置である。ステータコイルの消費電力と回転体
の回転数は、特開平5ー114497号公報にも開示さ
れているように、軸受が正常な状態で回転していれば、
ステータコイルの消費電力は比較的小さい所定の値を示
す。それに対して何らかの原因で回転体を回転させるト
ルクが増加した場合は、ステータコイルの消費電力が大
きい値を示す。したがって、ステータコイルの消費電力
を検出することにより、回転体の回転状態すなわち例え
ば回転数を検出することができる。これらはマイクロコ
ンピュータを含む装置で演算処理するように構成するこ
とができる。
【0024】なお、動圧軸受が正常動作を始めた以降
に、X線管の回転体及び陽極ターゲットの回転数を直接
高精度で検出するため、図4のような回転数検出装置を
使用してもよい。すなわち、真空容器のガラス製容器部
分14aを通して管外から見通せる位置の回転体16の
下端部外周面の一部に、黒色のマーク16cを付着して
おく。そして、ガラス製容器部分14aの外側に回転数
検出器41を配置してある。この回転数検出器41は、
X線遮蔽材からなるケース42の内部にレーザ光の発振
素子43、及び回転体16の表面で反射するレーザ光を
受ける受光素子44が併設されている。そして、両素子
の動作を制御するとともに信号の増幅や演算処理をする
信号処理部45を内蔵している。これらは、ステータ駆
動電源・制御装置、及びX線曝射制御装置に電気的に接
続されている。動作においては、ケース42に設けられ
たレーザ光用ゲートを通して回転体16の表面にレーザ
光を照射するとともにそこで反射するレーザ光を受光
し、黒色マークでの低反射強度から回転体の回転数を演
算して検出することができる。
【0025】図5の(a)及び(b)により、この発明
の制御手段の動作設定例を説明する。なお、X線管内の
動圧軸受が正常な状態で、回転体の回転数が100rp
sでのステータコイル消費電力を上限基準消費電力Pm
に、同様に25rpsでの消費電力を下限基準消費電力
Pnに設定してあるものとする。一方、このX線管の動
圧軸受部に充填されている金属潤滑剤は、約10℃の融
点をもつ材料であるとする。そして、1日の撮影のため
の使用が終了し、CTスキャナの主電源又はX線管装置
のステータコイルへの電圧供給がOFF状態で、室温が
約5℃の環境中に数時間又はそれ以上の時間にわたって
置かれたものとする。この状態では、X線管の軸受部の
温度は同じく約5℃であり、ほぼこの温度にある潤滑剤
は、当然、凍った状態である。
【0026】そして翌日、このCTスキャナを再度立ち
上げてX線撮影業務を行うに当たり、まずCTスキャナ
の主電源をONにするとともに、ステータ駆動電源装置
33からX線管装置のステータコイル13bに所定の周
波数及び電圧、例えば50Hzで100Vの回転駆動電
圧を所定時間、例えば20分間にわたって供給する動作
プロセスに入る。このステータコイルへの回転駆動電圧
の供給は、同図の横軸すなわち時間軸のaからである。
【0027】100Vというステータコイルへの回転駆
動電圧は、もし金属潤滑剤が完全に溶融していて動圧軸
受が正常な動作をする条件のもとでは、陽極ターゲット
が固定された回転体の飽和回転数が例えば約100rp
sとなる電圧である。また、20分間という印加時間
は、CTスキャナのウォーミングアップ時間に相当し、
且つこのCTスキャナの設置許容温度範囲においてX線
管内の金属潤滑剤がこの回転駆動電圧の供給により普通
では完全に溶融して回転体が定常回転数に到達できる時
間に相当する。
【0028】例えば上述の環境下では、動圧軸受部の金
属潤滑剤が凍った状態にあるため、ステータコイルに1
00Vの駆動電圧を供給しても、初期には回転体16は
当然回転しない。そのため、回転状態検出装置で検出さ
れるステータコイル消費電力は、基準消費電力をはるか
に超えているので、X線管へのX線放射用電圧或いは架
台回転部の回転を不可能にする電気信号がX線放射制御
装置に送られている。したがって、この状態ではX線管
に高電圧が印加されることはない。
【0029】そしてこのステータコイルへの回転駆動電
圧の供給により、動圧軸受を構成する回転体及び固定体
には回転磁界による電磁誘導うず電流損が発生し、これ
らは発熱する。それによって、軸受部の温度は徐々に上
昇する。とくにこの実施例のX線管は、ステータコイル
の内側領域に動圧軸受が同軸的に配置されているので、
ステータコイルで発生する交流磁界が軸受構成部材に効
率よく達し、誘導電流損により効率よく発熱する。こう
して、例えば10分程度経過すると、軸受部の金属潤滑
剤は融解し、液状となる。
【0030】回転体には回転磁界によりはじめから回転
トルクが発生しているので、少なくとも軸受部の金属潤
滑剤が溶融すれば、軸受面にすべりを生じながら回転体
が回転を始める。これは同図(b)のb時点である。そ
して、金属潤滑剤の温度がさらに上昇して完全に液状と
なり、軸受に動圧が発生すると回転体の回転数は上昇
し、それにともなってステータコイルの消費電力が低下
する。
【0031】そして、予め設定してある回転数(100
rps)に到達すると、それに対応するステータコイル
の上限基準消費電力Pmが検出されるので、回転体及び
陽極ターゲットの回転数を必要以上に高めないために、
ステータコイルへの回転駆動電圧の供給を遮断するよう
に自動制御される。。これは同図の時間軸のc時点であ
る。同時にまた、架台回転部の回転をいつでも可能にす
るとともに、X線管へのX線放射用電圧の印加をいつで
も可能にする電気信号がX線放射制御装置に送られる。
【0032】ステータコイルへの回転駆動電圧の供給を
遮断した時点cからは、回転体及び陽極ターゲットは慣
性によって回転が継続されるが、その回転数は次第に低
下し、やがて、予め設定した下限の回転数例えば約25
rpsに達する。この時点dで、回転体の回転数が検出
され、ステータコイルに100Vの回転駆動電圧が再び
供給されるように自動制御される。。それによつて、陽
極ターゲットの回転数は急上昇し、再び100rpsの
上限基準回転数に到達する。そして、この到達時点eで
上述と同様にステータコイルへの回転駆動電圧の供給が
遮断されるように自動制御される。以後はこのようなス
テータコイルへの回転駆動電圧の供給、遮断を繰り返す
制御が継続される。
【0033】一方、任意の時点fでX線断層撮影を行う
場合は、この時点でステータコイルへの供給電圧を例え
ば140Vに切り換えて高い回転トルクを与え、回転数
を急速に上昇させるとともに、例えば3秒後の時点gで
ステータコイルへの供給電圧を例えば120Vに切り換
える。この供給電圧は、架台回転部の回転でX線管に加
わる遠心力の影響で低下する分を補って陽極ターゲット
の回転数を例えば100rpsに維持するように設定さ
れた電圧である。そして、断層撮影のために、架台回転
部の回転を所定時間(R)にわたり継続しつつ、必要な
時点でX線管からX線を所定時間(X)放射するよう
に、X線放射制御装置からX線管装置に高電圧及び制御
信号を送るように自動制御される。
【0034】なお、このX線撮影時(fからh)は、上
述のようなステータコイルへの回転駆動電圧の供給、遮
断の繰り返し制御は禁止される。そして、X線撮影が終
了した後の時点hで、ステータコイルへの電圧供給は遮
断され、次のX線撮影開始時点まで、上述のようなステ
ータコイルへの回転駆動電圧の供給、遮断の繰り返し制
御(i,j,k,l,…)が継続される。そして、この
ような動作制御が、その日のX線撮影業務が終了するま
で自動的に継続されるようになっている。なお、上述の
ように陽極ターゲットは、その日のX線撮影業務が終了
するまで回転停止することなく回転が継続される。
【0035】以上のような制御による動作で、装置の立
ち上げ後、X線管の動圧軸受部は金属潤滑剤が常に完全
に液状に維持される温度に保つことができるとともに、
X線撮影時の所定回転数への急激な立ち上げも短時間に
確実容易にできる。そして、このような動作を維持する
ためのステータコイルへの供給電力は、わずかでよく、
省エネルギーの点でも有意義である。また、陽極ターゲ
ットを不所望に高速回転させ続けないので、例えば金属
潤滑剤と軸受構成部材との不所望な反応の促進が抑制さ
れ、動圧軸受の疲労促進を抑制することができる。
【0036】なお、上述の実施例はステータコイルへの
回転駆動電力の間欠的な供給、停止の制御を、回転体及
び陽極ターゲットの回転数を検知してその信号により制
御するように構成した装置であるが、それに限られな
い。すなわち、例えばステータコイルに回転駆動電力を
供給するタイミング(各時点d,i,k,…)及び供給
している時間を、一定の時間間隔で繰り返す制御手段で
構成してもよい。或いはまた、回転数と時間とを組み合
わせた制御手段にしてもよい。
【0037】図6の(a)及び(b)に示す実施例は、
ステータコイルに常時40Vの回転駆動電力を供給し続
けるとともに、これに60Vを重畳させた100Vの回
転加速電圧を一定時間間隔で供給して陽極ターゲットの
回転数を間欠的に高める制御手段のものである。同図の
横軸上の時点a−b,c−d,e−f,g−hが100
Vの回転加速電圧の供給時間であり、i−j,k−lは
X線放射時間をあらわしている。上記の40Vの常時供
給電圧は、50rpsの陽極ターゲット回転数が得られ
る電圧である。なおこの常時供給電圧は、陽極ターゲッ
トからX線放射がいつでも可能な最低限の回転数又はそ
れを上回る回転数を得る電圧である。
【0038】したがってこの実施例によれば、陽極ター
ゲットはX線放射のための電子ビーム入射を許容する回
転数の範囲で変動しているが、必要な時はいつでもX線
撮影をすることができる。すなわち、X線撮影に際して
ステータコイルへの回転駆動電力を切り換える必要がな
く、瞬時にX線撮影に移ることができる。また、ステー
タコイルの回転駆動平均電力も比較的小さくて済む。
【0039】図7に示す実施例は、ステータコイルに常
時供給し続ける回転駆動電力を必要最小限に設定した制
御手段のものである。すなわち、ステータコイルへの常
時供給駆動電圧は、例えば30Vであり、この供給電圧
での陽極ターゲットの回転数は例えば20rpsであ
る。そして、200Vに達する駆動電圧分を間欠的に加
算して供給する。
【0040】なお、ステータコイルへの上記の常時供給
駆動電圧(30V)及びそれによる陽極ターゲット回転
数(20rps)は、通常の条件で動圧軸受が正常の動
作をし、陽極ターゲットを回転停止することなく回転を
継続できる値である。なお、動圧軸受を有するX線管で
は、動圧を発生する最小回転数があるため、それ以上の
回転数を維持することが望ましい。そのため、実用上
は、陽極ターゲットを最小限5rps以上の回転数での
回転を維持するように制御する。
【0041】一方、X線撮影の時(i−j)は、同じ2
00Vの回転駆動電圧を供給して回転数を約170rp
sに維持し、例えば透視撮影(Xp)及びそれに続いて
X線写真撮影(Xq)を行う。その後は、再び前と同様
のステータコイルへの駆動電圧供給モードで継続するよ
うになっている。
【0042】この実施例によれば、動圧軸受に常に動圧
を発生させることができ、安定な回転性能を維持させる
ことができる。そして、X線管撮影時の所要回転数への
加速も比較的瞬時にでき、且つステータコイルへの供給
平均電力も比較的少なくて済む。また、ステータコイル
への供給駆動電圧を撮影時も待機時も同じ電圧に設定す
ることにより、電源装置を簡略化することができる。
【0043】以上述べたようにこの発明のX線装置は、
X線管の動圧軸受の回転性能を常に正常に維持できると
ともに、それに要する平均電力量を必要最小限に止めて
省エネルギー効果を確保することができる。また、陽極
ターゲットを回転停止することなく連続的に回転させる
ので、X線撮影のために陽極ターゲットを所定の高速回
転数まで短時間に上昇させることも可能である。しかも
それによって、ステータコイルに流れるラッシュ電流を
比較的小さい値に抑えることができ、各電源装置の安定
動作を維持することができる。
【0044】なお、ステータコイルに供給する電力は、
商用電力周波数のほか、それと異なる例えば高い周波数
であってもよく、あるいはパルス状波形の電圧であって
もよい。
【0045】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
装置を一旦立ち上げた後は、X線管の動圧軸受部の金属
潤滑剤を常に液状に保って最適な回転性能を維持させる
ことがてきる。また、X線撮影に備える間に回転体及び
陽極ターゲットを停止させないので、X線撮影をする場
合に陽極ターゲットを必要な回転数に短時間で高めるこ
とができる。そして、このような性能を維持するのに要
する平均電力量を最小限に止めることができる。こうし
て、X線装置の安全、安定な動作が保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す概略構成図。
【図2】図1の一部の側面図及び平面図。
【図3】図1の装置の一部の動作を説明する特性図。
【図4】この発明の他の実施例を示す要部断面図。
【図5】図1の装置の動作を説明するシーケンス制御
図。
【図6】この発明のさらに他の実施例の動作を説明する
シーケンス制御図。
【図7】この発明のさらに他の実施例の動作を説明する
シーケンス制御図。
【符号の説明】
10…X線管装置 11…電源装置 12…回転陽極型X線管 13…ステータ 13b…ステータコイル 14…真空容器 15…陽極ターゲット 16…回転体 17…陰極 18…固定体 21,22,23,24…動圧軸受 32…X線放射制御装置 33…ステータ駆動電源・制御装置 34…回転状態検出装置 41…回転数検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 平八 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (56)参考文献 特開 平5−217531(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05G 1/00 - 1/70

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極ターゲット、この陽極ターゲットに
    向けて電子ビームを放出する陰極、上記陽極ターゲット
    が固定された回転体、この回転体に同軸状に嵌合する固
    定体、これら回転体及び固定体の嵌合部に設けられたら
    せん溝及び軸受間隙に所定の融点をもつ液体金属潤滑剤
    が充填された動圧軸受を有する回転陽極型X線管と、こ
    のX線管の回転体の外周に配置されたステータコイル
    と、このステータコイルに電圧を与えるように設けられ
    たステータ駆動電源装置と、上記X線管の陰極から陽極
    ターゲットへの電子ビーム入射によるX線放射を制御す
    るX線放射制御装置とを具備するX線装置において、上記X線管からX線を放射させる時間帯を除いた時間帯
    に、上記ステータ駆動電源装置から上記ステータコイル
    に供給する回転駆動電力を、上記動圧軸受に動圧が発生
    する最小回転数以上の回転数が維持できる範囲内で大小
    変化を繰り返し、又は間欠的に繰り返し供給 する制御手
    段を有することを特徴とするX線装置。
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