JPH09213494A - X線装置 - Google Patents

X線装置

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JPH09213494A
JPH09213494A JP1564296A JP1564296A JPH09213494A JP H09213494 A JPH09213494 A JP H09213494A JP 1564296 A JP1564296 A JP 1564296A JP 1564296 A JP1564296 A JP 1564296A JP H09213494 A JPH09213494 A JP H09213494A
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JP
Japan
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ray
anode target
stator
stator coil
rotating body
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JP1564296A
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English (en)
Inventor
Katsuhiro Ono
勝弘 小野
Koichi Kitade
康一 北出
Takayuki Kitami
隆幸 北見
Hideo Abu
秀郎 阿武
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、比較的簡略な構成によりこの種
回転陽極型X線管やX線装置の破損を未然に確実に防止
することができるX線装置を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 この発明は、X線装置の起動又はX線撮
影のためにステータ駆動電源33からステータコイル1
3bに陽極ターゲット15が回転するに足る所定の回転
駆動電力が所定時間供給され、この所定時間内に陽極タ
ーゲットが所定の回転数に達しない場合はX線曝射のた
めの動作が禁止される制御手段を有しているX線装置で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、X線装置に係わ
り、とくに液体金属を潤滑剤として使用する動圧軸受を
内蔵する回転陽極型X線管を備えたX線装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばCTスキャナのようなX線断層撮
影装置や、X線露光装置等のX線装置には、多くの場
合、X線発生源として回転陽極型X線管が組み込まれて
いる。この回転陽極型X線管は、周知のように、円盤状
の陽極ターゲットを、相互間に軸受部を有する回転体お
よび固定体で機械的に支え、真空容器外の回転体の位置
に対応した位置に配置したステータの電磁コイルに回転
駆動電力を供給して高速回転させながら、陰極から電子
ビームを放出させて陽極ターゲットに当て、X線を放射
する。
【0003】軸受部は、ボールベアリングのようなころ
がり軸受や、軸受面にらせん溝を形成するとともにガリ
ウム(Ga)、又はガリウム−インジウム−錫(Ga−
In−Sn)合金のような、少なくとも動作中は液状と
なる液体金属潤滑剤を用いた動圧式すべり軸受で構成さ
れる。後者のすべり軸受を用いた例は、たとえば特公昭
60−21463号、特開昭60−97536号、特開
昭60−117531号、特開昭60−160552
号、特開昭62−287555号、特開平2−2279
47号、或いは特開平2−227948号等の各公報に
開示されている。
【0004】上記各公報に開示されている回転陽極型X
線管の動圧軸受の軸受面間に充填される液体金属潤滑剤
は、実用になる比較的低い融点をもつものでも、その融
点はおよそ10℃である。すなわち、例えばGa−In
−Sn合金の融点は、低融点のものでも10.7℃であ
り、ビスマス(Bi)を相対的に多く含むBi−In−
Pb−Sn合金では同様に57℃である。
【0005】このような回転陽極型X線管を搭載したX
線装置は、少なからず軸受部の液体金属潤滑剤の融点以
下の温度環境で使用される場合があるので、装置の運転
前はX線管の軸受部の潤滑剤は凍った状態になってい
る。この状態では陽極ターゲットの回転が不可能である
とともに、無理に回転力を加えると軸受面が損傷を受け
てしまう。
【0006】そのため、X線管の陽極ターゲットの回転
開始前に、軸受部を融点以上の温度に加熱して潤滑剤を
液状に融解してから動作を開始するようにする必要があ
る。その目的で、上記の特開昭60−160552号公
報には、X線管の管内または管外に、加熱コイル、熱放
射体、あるいは高周波放射体のような熱源を設けること
や、陰極フィラメントの熱放射を利用することが開示さ
れている。
【0007】また、特開平5−217531号公報に
は、動圧軸受部の潤滑剤の温度を直接的又は間接的に検
出できるようにしておき、回転起動に際して予めステー
タコイルに電流を供給し、それによる軸受部の損失熱で
凍った金属潤滑剤を熱し、潤滑剤の温度が融点以上に達
したら陽極ターゲットを所定モードで回転させる発明が
開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記前
者の構成すなわちX線管の管内または管外に加熱コイル
や熱放射体、高周波放射体のような熱源を設けること
は、余分の熱源を配置する必要があり、不都合である。
また、陰極フィラメントの熱放射を利用することは、軸
受部の温度上昇に長時間要する不都合がある。
【0009】さらにまた、X線装置の設置環境が例えば
極低温等の過酷な環境である場合は、回転起動の前に一
定時間予熱しても、X線管内の金属潤滑剤が必ず液状に
なっているとは限らない。また、X線管内の予熱されに
くい例えば潤滑剤収容室の内部に溜まって凍っている金
属潤滑剤は、容易には溶融せず、動圧軸受に必要十分な
液体金属潤滑剤が流動しきれない状態が起こりやすい。
このように、初期に一定時間予熱しても、動圧軸受に本
来的に必要十分な動圧が発生しない場合も考えられる。
そして、そのために陽極ターゲットの回転数が十分高く
なっていない状態でX線曝射の動作に入ると、陽極ター
ゲットの焦点軌道面が溶融したり、発生したガスにより
激しい放電が起ったり、さらにはX線装置の電源制御装
置が破損してしまうなどの致命的な損傷を引き起こして
しまうおそれがある。
【0010】この発明は、以上のような事情に鑑みてな
されたもので、比較的簡略な構成によりこの種回転陽極
型X線管やX線装置の破損を未然に確実に防止すること
ができるX線装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、X線装置を
起動又はX線撮影をするためにステータ駆動電源からス
テータコイルに陽極ターゲットが回転するに足る所定の
回転駆動電力が所定時間供給され、この所定時間内に陽
極ターゲットが所定の回転数に達しない場合はそれわ検
出してX線曝射のための動作が禁止される制御手段を有
しているX線装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下その実施例を図面を参照して
説明する。なお同一部分は同一符号であらわす。概略構
成を示す図1の例えばCTスキャナのようなX線装置
は、一部の構成としてX線管装置10と、これを駆動制
御する電源装置11を備えている。X線管装置10は、
回転陽極型X線管12と、その回転体及び陽極ターゲッ
トを回転させるためのステータ13とを備えている。
【0013】回転陽極型X線管12は、真空容器14の
内部に重金属からなる円盤状陽極ターゲット15が円筒
状回転体16の一端に突設された回転軸部16aに一体
的に固定されている。また、陽極ターゲット15の焦点
軌道面に対向して、電子ピームを放出する陰極17が配
置されている。
【0014】円筒状回転体16の内側には、円柱状固定
体18が同軸状に嵌合されており、回転体の下端開口部
にスラストリング19が固着されている。固定体18の
下端部は、陽極支持部20に結合され、それは真空容器
のガラス円筒容器部14aに気密接合されている。回転
体16と固定体18との嵌合部分には、前述の各公報に
示されるようならせん溝を有する各一対のラジアル方向
動圧軸受21,22、及びスラスト方向動圧軸受23,
24が設けられている。
【0015】各動圧軸受は、図2の(a )〜(d)に示
すようならせん溝を備えている。同図の(a )は固定体
18の側面図、(b)はスラストリング19の縦断面
図、(c)は(a)のc−cにおける上面図、(d)は
(b)のd−dにおける上面図である。同図に示される
ように、2組のラジアル方向動圧軸受21,22は、鉄
または鉄合金製の固定体18の外周軸受面に形成された
ヘリンボンパターンのらせん溝21a,22aと、回転
体の鉄または鉄合金からなる内側円筒の内周軸受面とで
構成される。また、一方のスラスト方向動圧軸受23
は、固定体18の先端軸受面18b面に形成されたサー
クル状のヘリンボンパターンらせん溝23aと回転体底
面とで構成され、他方のスラスト方向動圧軸受24は、
回転体の一部となるスラストリング19の軸受面19a
に形成されたサークル状のヘリンボンパターンらせん溝
24aと固定体の肩部の軸受面とで構成される。各軸受
を構成する軸受面に形成されているらせん溝は、およそ
20μmの深さを有している。
【0016】これら回転体及び固定体の各軸受の軸受面
は、動作中、およそ20μmの軸受間隙を保つようにな
っている。回転中心軸上にある固定体18には、その中
心部分が軸方向にくり抜かれた孔からなる潤滑剤収容室
25が形成されている。また、この固定体18の中間部
の外周壁がわずかにテーパ状に削られて径小部18aが
形成され、それによって構成される円周状の空間に潤滑
剤の一部が溜まるようになっている。また、中心部分の
潤滑剤収容室25から径小部18aの空間に通じる4つ
の放射方向通路26が等角度で対称的に穿設されてい
る。
【0017】そして、回転体と固定体との間の隙間や、
各軸受のらせん溝、潤滑剤収容室、径小部の空間、放射
方向通路を含む内部空間には、Ga−In−Sn合金か
らなる液体金属潤滑剤が供給されている。この金属潤滑
剤の全体積は、上記の内部空間の全容積のおよそ60%
に相当する量である。
【0018】回転体16の主要部は、3重の円筒からな
り、上述のように内側が鉄又は鉄合金製の軸受円筒で、
その外側が鉄からなる強磁性体円筒、外側が銅円筒であ
り、一体的に結合されている。これらは、回転体16を
取り巻くガラス円筒容器部14aの外周に配置されたス
テータ13と協動して電磁誘導モータの回転子として動
作する。ステータ13は、円筒状の鉄芯13aと、それ
に巻かれたステータコイル13bとを備えている。な
お、この実施例のステータコイル13bは、3相巻線で
ある。また、軸受構成部材は、鉄又は鉄合金に限らず、
例えば前述の各公報に記載されているようなモリブデン
材その他の材料を使用できる。
【0019】電源装置11は、CTスキャナの全体を駆
動する主電源・制御装置31、X線管装置10の内部の
X線管12に接続されてX線曝射を制御するX線曝射制
御装置32、ステータコイル13bに回転駆動電力を供
給して回転体及び陽極ターゲットの回転を制御するステ
ータ駆動電源装置33、回転状態検出装置34を備えて
いる。
【0020】回転状態検出装置34は、ステータ駆動電
源装置33からステータコイル13bに駆動電力が供給
される回路に挿入されており、ステータ消費電力を検出
して回転体16の回転数や回転抵抗等の回転状態を電気
的に検出する装置である。なお、ステータ消費電力は、
回転状態検出装置34の出力側からみた負荷回路側すな
わちステータコイル系に消費される電力である。
【0021】そして、ステータ消費電力と回転体及び陽
極ターゲットの回転数は、特開平5ー114497号公
報にも開示されているように、図3に示す関係になる。
すなわち、軸受が正常な状態で高速回転していれば、ス
テータ消費電力Pは比較的小さい値を示す。それに対し
て、何らかの原因で回転体を回転させるために要するト
ルクが増加した場合は、ステータ消費電力は大きい値を
示す。
【0022】このことから、ステータ消費電力Pを検出
することにより、回転体の回転状態すなわち例えば回転
数を検出することができる。そこで、軸受が正常な状態
で所定電圧をステータコイルに供給した時の回転体の回
転数が、例えば40rps(毎秒の回転数)のステータ
消費電力を基準消費電力Psとし、同じステータコイル
供給電圧でそれ以下のステータコイル消費電力を示す場
合を正常な回転状態OKとみなす。したがって、この状
態ではいつでもX線曝射を許可する信号がX線曝射制御
装置に送られているようになっている。
【0023】一方、同じステータコイル供給電圧で、基
準消費電力Psよりも大きいステータ消費電力を示す場
合は、回転体の回転状態すなわち軸受動作が異常状態N
Gであるとみなし、X線管への高電圧の供給すなわちX
線曝射を禁止する電気的信号がX線曝射制御装置に送ら
れるようになっている。なおこの異常状態を示す電気的
信号により、X線管のX線曝射は勿論、CTスキャナの
架台内のX線管及びX線検出器を搭載した架台回転部の
回転を禁止する制御が行われるように構成してもよい。
なお、これらは演算回路等を含むマイクロコンピュータ
によるシーケンス制御プログラム等により高精度で自動
制御が可能なように構成することができる。
【0024】なお、X線管の回転体及び陽極ターゲット
の回転数を直接高精度で検出するため、図4のような回
転数検出装置を使用してもよい。すなわち、真空容器の
ガラス製容器部分14aを通して管外から見通せる位置
の回転体16の下端部外周面の一部に、黒色のマーク1
6cを付着しておく。そして、ガラス製容器部分14a
の外側に回転数検出器41を配置してある。この回転数
検出器41は、X線遮蔽材からなるケース42の内部に
レーザ光の発振素子43、及び回転体16の表面で反射
するレーザ光を受ける受光素子44が併設されている。
そして、両素子の動作を制御するとともに信号の増幅や
演算処理をする信号処理部45を内蔵している。これら
は、ステータ駆動電源・制御装置、及びX線曝射制御装
置に電気的に接続されている。動作においては、ケース
42に設けられたレーザ光用ゲートを通して回転体16
の表面にレーザ光を照射するとともにそこで反射するレ
ーザ光を受光し、黒色マークでの低反射強度から回転体
の回転数を演算して検出することができる。
【0025】そこで、図5の(a)及び(b)により、
この発明の動作設定例を説明する。X線管内の動圧軸受
が正常な状態での回転体の回転数が40rpsである場
合のステータ消費電力を基準消費電力Psとして設定し
てある。ものとする。一方、このX線管の動圧軸受部に
充填されている金属潤滑剤は、約11℃の融点をもつ材
料であるとする。そして、ある1日のX線撮影業務のた
めの装置使用が終了し、CTスキャナの主電源又はX線
管装置のステータコイルへの電圧供給がOFF状態で、
室温が約5℃の環境中に数時間又はそれ以上の時間にわ
たって置かれたものとする。この状態では、X線管の軸
受部の温度は次第に室温近くまで下がるので、潤滑剤は
凍った状態になる。
【0026】そして翌日、このCTスキャナを再度立ち
上げてX線撮影を行うに当たり、まずCTスキャナの主
電源をONにして起動するとともに、ステータ駆動電源
装置33からX線管装置のステータコイル13bに所定
の周波数及び電圧、例えば50Hzで200Vの回転駆
動電圧を予め設定した所定最長時間、例えば15分間に
わたって供給する動作プロセスに入る。このステータコ
イルへの回転駆動電圧の供給所定最長時間は、同図の横
軸すなわち時間軸のdからcまでの時間である。
【0027】200Vというステータコイルへの回転駆
動電圧は、もし金属潤滑剤が完全に溶融していて動圧軸
受が正常な動作をする条件のもとでは、回転体及び陽極
ターゲットの飽和回転数が約130rpsとなる電圧で
ある。また、15分間という印加時間は、CTスキャナ
のウォーミングアップ時間に相当し、且つこのCTスキ
ャナの設置許容温度範囲においてX線管内の金属潤滑剤
がこの回転駆動電圧(200V)の供給により普通では
この時間内に完全に溶融するとともに回転体が飽和回転
数に到達できる時間に相当する。
【0028】例えば上述の環境下では、動圧軸受部の金
属潤滑剤が凍った状態にあるため、ステータコイルに2
00Vの回転駆動電圧を供給しても、初期には回転体1
6は当然回転しない。そのため、回転状態検出装置で検
出されるステータコイル消費電力は、基準消費電力Ps
をはるかに超えている。それによって、X線管へのX線
曝射用電圧或いは架台回転部の回転を禁止する電気信号
がX線曝射制御装置に送られ続けるようになっている。
したがって、この状態ではX線管に高電圧が印加される
ことはなく、非回転の陽極ターゲットに電子ビームが照
射されて焦点軌道面が部分的に溶融してしまうというよ
うな致命的な破損は生じない。
【0029】そしてこのステータコイルへの回転駆動電
圧の供給により、動圧軸受を構成する回転体及び固定体
には回転磁界による電磁誘導うず電流損が発生し、これ
らは発熱する。それによって、軸受部の温度は徐々に上
昇する。とくにこの実施例のX線管は、ステータの内側
領域に動圧軸受が同軸的に配置されており、且つまた、
ステータで発生する交流磁界が鉄または鉄合金製の軸受
構成部材に効率よく達するとともに誘導電流損による発
熱が効率よく生じる。こうして、例えば10分程度経過
すると、軸受部の金属潤滑剤は融解し、液状となる。
【0030】回転体には回転磁界によりはじめから回転
トルクが発生しているので、少なくとも軸受部の金属潤
滑剤が溶融すれば、軸受面にすべりを生じながら回転体
が回転を始める。この回転開始時点を時間軸のbであら
わしている。そして、金属潤滑剤の温度がさらに上昇す
るとともに各部に供給されている潤滑剤がすべて完全に
溶融し、軸受に動圧が発生すると、回転体の回転数は上
昇し、それにともなってステータ消費電力は低下する。
【0031】そして、予め設定してある基準消費電力P
sに対応する回転数(40rps)に到達すると、それ
に相当するステータ消費電力が検出されているので、架
台回転部の回転を許可するとともに、X線管へのX線曝
射用電圧の印加を許可する電気信号がX線曝射制御装置
に送られる。これは同図の時間軸のcの時点である。同
時にまた、回転体の回転数を不必要に高めないために、
ステータコイルへの供給電圧を例えば100Vに切り換
えるようになっている。それによって、回転体の回転数
は例えば約50rpsに落ちつき、以後、この回転数が
維持される。
【0032】その後、X線撮影を行う時は、X線曝射に
先だつスタンバイ操作の開始時点eでX線曝射制御装置
からステータ駆動電源装置に、ステータコイルへの供給
電圧を例えば200Vに切り換えて回転トルクを高め回
転数を高める制御信号を送るようになっている。そし
て、200Vを3秒間供給した後、ステータコイルへの
供給電圧を例えば150Vに切り換えて(f時点)、回
転数を例えば約150rpsに維持し、所定時間例えば
30秒間にわたりX線管からX線放射するように、X線
曝射制御装置からX線管装置に高電圧及び制御信号を送
るようになっている。このX線曝射時間を、同図に符号
Xであらわしている。このX線曝射によるX線撮影が終
了した後、ステータコイルへの供給電圧を100Vに下
げて(g時点)、次のX線撮影開始のスタンバイまで約
50rpsでの一定回転を継続する。
【0033】なお、この約50rpsでの回転体及び陽
極ターゲットの回転は、その日のX線撮影業務が終了す
るまで継続される。それによって、X線管の軸受部の金
属潤滑剤は完全に液状に維持されるとともに、X線撮影
時の所定回転数への立ち上げを短時間にできる。なお、
X線管の陽極ターゲットの熱入力が許容される範囲であ
れば、被撮影物のX線撮影場所の決定のための透視目的
のX線撮影をはじめ、例えばヘリカルスキャンモードで
のX線断層撮影は、この約50rpsでの回転を継続し
たままで行うこともできる。
【0034】ところで、予め設定した起動初期のステー
タコイルへの給電最長時間(aからdまでの15分間)
に、例えば金属潤滑剤が溶融しなかったり、別の原因で
回転体が回転しなかったり、或いはこの設定最長時間内
に基準回転数に到達しない場合は、回転状態検出装置か
らX線曝射制御装置に、X線管へのX線曝射用電圧の印
加を許可する電気信号は当然送られず、同図(a)に点
線で示すように、この時間経過時点dで直ちにステータ
コイルへの回転駆動電圧の供給をOFFにし、且つ異常
を知らせる警報や表示を出すようになっている。このよ
うにして、X線管の陽極ターゲットが正常回転しない場
合のX線管及びCTスキャナの破損を未然に確実に防止
することができる。
【0035】なお、上記のX線撮影のためのスタンバイ
すなわち回転トルクを高める制御信号を発した時点e以
降の、X線曝射(X)の直前hにおいて、ステータ消費
電力を検出してX線曝射を許容する陽極ターゲット回転
数に達しているか否かを演算処理し、その結果に基づい
てX線曝射を禁止するか許可するかの制御信号を出すよ
うに構成してもよい。それによって、一層高い信頼性が
得られる。
【0036】図6に示す実施例は、その日の装置の起動
後は、ステータコイルへの回転駆動電力の供給を停止す
る動作モードを有する装置の場合である。そこで、起動
と同時にステータコイルに200Vの回転駆動電圧を供
給して、陽極ターゲットの回転数が予め設定した例えば
120rpsの基準回転数に達するまでの所要時間が例
えば5分であったとする。この基準回転数及び所要時間
は回転状態検出装置又はステータ駆動電源・制御装置に
記憶される。
【0037】そして、比較的長い時間を経過した後に、
X線撮影を行うために操作者の操作によりスタンバイ信
号が出されると、その時点jでステータコイルに200
Vの回転駆動電圧が上記起動初期の基準回転数(120
rps)に達する所要時間(5分)に相当する時間だけ
供給される(jからmまで)。X線管の軸受部の金属潤
滑剤が起動時と同程度に再凍結している場合は、陽極タ
ーゲットは起動初期と同様の回転を始めてこの設定時間
(5分経過後の時点mまで)以内に基準回転数(120
rps)まで達することが予測されるので、ステータコ
イルへの供給電圧を150Vに切り換えられて100r
psに維持され、X線管曝射Xを行うように制御され
る。
【0038】なお、潤滑剤の温度が比較的高い状態にあ
って且つ他に異常がなければ、陽極ターゲットは一点鎖
線のように比較的早く回転数が上昇し、上記よりも早期
にX線曝射を許可する制御が行われる。一方、何らかの
原因で上記所要時間(5分)以内に基準回転数に達しな
い場合は、異常と判断してX線曝射を禁止する信号が出
されるようになっている。この装置によれば、ステータ
の消費電力を低減できるとともに、X線曝射直前の陽極
ターゲットの回転状態を検知してX線管及び装置の安全
を確実に維持することができる。
【0039】図7に示す実施例は、装置の起動後、陽極
ターゲットを常時50rpsで連続回転させ、この回転
数でいつでもX線撮影できる装置である。なお、X線曝
射を許容する陽極ターゲットの最低回転数(40rp
s)を基準値として設定してある。そして、連続的又は
一定時間毎(n,o,p,…)に自動的に陽極ターゲッ
トの回転数を検出して上記基準値と比較し、この基準値
を上回っている場合はX線撮影を許可する信号を出し、
又はこれを下回った場合はX線撮影を禁止する信号を出
すようにしてある。また、X線撮影の直前にも、同様に
陽極ターゲットの回転数を検出して上記基準値と比較
し、X線撮影を許可、又は一点鎖線のように基準値を下
回っている時はX線曝射を禁止する信号を発するように
してある。これによって、X線管の動圧軸受やその他の
原因による回転異常をX線曝射の前に知らせ、X線管や
X線装置の破損を未然に防止することができる。
【0040】なお、回転体の回転状態検出装置は、上記
実施例ではステータコイルの消費電力を検出する構成で
あるが、それに限らず、例えばステータコイル巻線間の
位相のずれの程度や、力率等を検出する構成であっても
よい。
【0041】また、ステータ駆動電源としては、インバ
ータ3相電源を使用することができる。また、ステータ
コイルへの回転駆動エネルギーの制御は、供給電力、又
は供給電圧、又は供給電流、又は供給電源周波数の少な
くとも一つを変化させる方式を採用することができる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
X線管の動圧軸受部の金属潤滑剤が凍っている場合でも
効率よくこの潤滑剤を加熱して回転駆動できるととも
に、所定時間内に金属潤滑剤が凍ったままで液状になら
なかったり或いは何らかの原因で陽極ターゲットの回転
数が所定回転数に達しない場合には、不所望にX線管に
X線曝射のための高電圧が印加されたり或いはステータ
コイルに回転駆動電圧が継続して印加それてしまうこと
がなく、且つ予めX線撮影の禁止が操作者に知らされ
る。したがって、X線管やX線装置に致命的な損傷を引
き起こすことがなく且つ使用上の混乱を未然に防止する
ことができる。こうして、金属潤滑剤の融点以下の温度
環境下や、何らかの原因で回転抵抗が異常に上昇した場
合でも、X線装置の安全が保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す概略構成図。
【図2】図1の一部の構造を示す図
【図3】図1の装置の要部の動作を説明する特性図。
【図4】図1の装置に適用できる回転検出装置を示す要
部断面図。
【図5】図1の動作を説明するシーケンス制御図。
【図6】この発明の他の実施例の動作を説明するシーケ
ンス制御図。
【図7】この発明のさらに他の実施例の動作を説明する
シーケンス制御図。
【符号の説明】
10…X線管装置 11…電源装置 12…回転陽極型X線管 13…ステータ 13b…ステータコイル 14…真空容器 15…陽極ターゲット 16…回転体 17…陰極 18…固定体 21,22,23,24…動圧軸受 32…X線曝射制御装置 33…ステータ駆動電源装置 34,41…回転状態検出装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿武 秀郎 栃木県大田原市下石上1385番の1 株式会 社東芝那須電子管工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極ターゲット、この陽極ターゲットに
    向けて電子ビームを放出する陰極、上記陽極ターゲット
    が固定された回転体、この回転体に同軸状に嵌合する固
    定体、これら回転体及び固定体の嵌合部に所定の融点を
    もつ液体金属潤滑剤が充填された動圧軸受を有するX線
    管と、このX線管の回転体の外周に配置されたステータ
    コイルと、このステータコイルに駆動電力供給するよう
    に設けられたステータ駆動電源装置と、上記X線管の陰
    極から陽極ターゲットへの電子ビーム入射によるX線曝
    射を制御するX線曝射制御装置とを具備するX線装置に
    おいて、上記X線装置の起動又はX線撮影のために上記
    ステータ駆動電源からステータコイルに上記陽極ターゲ
    ットが回転するに足る所定の回転駆動電力が所定時間供
    給され、この所定時間内に上記陽極ターゲットが所定の
    回転数に達しない時はこれを検出して上記X線曝射のた
    めの動作が禁止される制御手段を有していることを特徴
    とするX線装置。
  2. 【請求項2】 上記所定時間内の陽極ターゲット回転状
    態の検出を、上記ステータコイル系で消費されるステー
    タ消費電力又は力率の検出により規定値と比較演算して
    制御する請求項1記載のX線装置。
  3. 【請求項3】 上記所定時間内に陽極ターゲットの回転
    数が規定値を超えたら、上記X線曝射のための動作を許
    可するとともに、上記ステータコイルへの供給電力、又
    は供給電圧、又は供給電流、又は供給周波数の少なくと
    も一つを変化させる制御手段を備えている請求項1記載
    のX線装置。
  4. 【請求項4】 上記X線管の動圧軸受の構成部材の少な
    くとも一部は、鉄又は鉄合金で構成されている請求項1
    記載のX線装置。
  5. 【請求項5】 陽極ターゲット、この陽極ターゲットに
    向けて電子ビームを放出する陰極、上記陽極ターゲット
    が固定された回転体、この回転体に同軸状に嵌合する固
    定体、これら回転体及び固定体の嵌合部に所定の融点を
    もつ液体金属潤滑剤が充填された動圧軸受を有するX線
    管と、このX線管の回転体の外周に配置されたステータ
    コイルと、このステータコイルに駆動電力を供給すよう
    に設けられたステータ駆動電源装置と、上記X線管の陰
    極から陽極ターゲットへの電子ビーム入射によるX線曝
    射を制御するX線曝射制御装置とを具備するX線装置に
    おいて、上記X線装置の起動のために上記ステータ駆動
    電源からステータコイルに所定回転駆動電力を供給して
    上記陽極ターゲットを初期回転始動させるとともにその
    回転数を所定回転数まで上昇させた後上記ステータコイ
    ルへの供給電力を低減又は遮断し、その後上記陽極ター
    ゲットを再度回転始動させる時に上記ステータコイルに
    上記初期回転始動時と同等の回転駆動電力を供給し、該
    回転駆動電力の供給開始から上記初期回転始動時の上記
    所定回転数と同じ回転数までに達する所要時間が、上記
    の初期回転始動時の所要時間よりも長い時は、上記X線
    曝射のための動作が禁止される制御手段を有しているこ
    とを特徴とするX線装置。
  6. 【請求項6】 陽極ターゲット、この陽極ターゲットに
    向けて電子ビームを放出する陰極、上記陽極ターゲット
    が固定された回転体、この回転体に同軸状に嵌合する固
    定体、これら回転体及び固定体の嵌合部に所定の融点を
    もつ液体金属潤滑剤が充填された動圧軸受を有するX線
    管と、このX線管の回転体の外周に配置されたステータ
    コイルと、このステータコイルに駆動電力を供給するよ
    うに設けられたステータ駆動電源装置と、上記X線管の
    陰極から陽極ターゲットへの電子ビーム入射によるX線
    曝射を制御するX線曝射制御装置とを具備するX線装置
    において、上記X線装置の起動のために上記ステータ駆
    動電源からステータコイルに所定回転駆動電力を供給し
    て上記陽極ターゲットを初期回転始動させた後、前記ス
    テータコイルにほぼ一定の回転駆動電力を供給し続ける
    とともに、上記陽極ターゲットの回転数が予め設定した
    X線曝射許容値を下回った時は、上記X線曝射のための
    動作が禁止される制御手段を有していることを特徴とす
    るX線装置。
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