JP3153048B2 - 低真空精錬による低窒素鋼の溶製方法 - Google Patents

低真空精錬による低窒素鋼の溶製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低い真空度領域で効率
的に脱窒素を促進することにより、簡易な真空排気設備
での低窒素鋼の溶製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶鋼の窒素濃度を低下させる方法とし
て、減圧を利用したRH、DHが広く用いられている。
しかし、これらの方法は、例えば、電気炉で溶製された
溶鋼の如く窒素濃度が数100ppm と高い場合には脱窒
素効果が現れるものの、数10ppm にまでにしか低下せ
ず、従って、転炉で溶製された溶鋼の如く窒素濃度が3
0ppm 以下程度の場合には、ほとんど脱窒素が期待でき
ない状態である。これは、酸素や硫黄が5ppm 程度以上
含まれる溶鋼は、反応界面への酸素や硫黄の吸着のため
脱窒素速度が本質的に遅いためであり、実質的に脱窒素
反応を引き起こすには、溶鋼中の窒素分圧よりも高真空
度に雰囲気を調整し、溶鋼内部から窒素ガス気泡を発生
させる必要がある。しかし、溶鋼の窒素が30ppm とす
ると、平衡する窒素分圧は5Torr以下となるため、溶鋼
内部からの窒素ガス気泡発生のためには、高真空度を維
持する排気系が必須となり、排気設備に多大な設備投資
が必要となるという大きな問題があった。
【0003】これに対して、特開昭60−184619
号公報には、炭素濃度が0.1%以上の溶鋼に酸素ガス
を上吹きすることで脱窒素せしめる方法が開示されてい
る。しかし、この方法では、処理前の炭素濃度が0.1
%以上のため、脱炭幅が大きく、短時間で処理するため
には送酸速度を大きくする必要があった。このことは高
真空化で多量のガスが発生し激しいスプラッシュを発生
させるという操業上の大きな問題を生じた。また、常
時、酸素ガスを吹き付けているため、処理後半の低炭素
領域では酸化鉄が多量に生成し、耐火物溶損等の操業上
の問題が生じた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上で示したように、
RHやDHにおいては、溶鋼内部からの窒素ガス気泡発
生のためには、高真空度を維持する排気系が必須とな
り、排気設備に多大な設備投資が必要となるという大き
な問題があり、また、特開昭60−184619号公報
に開示されている方法においては、激しいスプラッシュ
の発生や耐火物溶損等の操業上の問題が生じた。従っ
て、本発明の目的とするところは、スプラッシュの発生
や耐火物溶損等の操業上の問題を生ずることなく、か
つ、高真空度を維持する必要なしに効率的な脱窒素を可
能とする技術にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、取鍋内溶鋼に
直胴型浸漬管を浸漬し該管内を減圧するとともに、低部
よりガスを供給し鋼浴を攪拌する真空精錬において、真
空度が10〜300Torrの範囲で、気泡活性面積をS
(m2 )、溶鋼量をW(ton)、攪拌ガス流量をQ(Nm
3 /分)、真空度をP(Torr)とした場合に、S×
{(Q1/2 )/((P/760)2/3)}/Wを0.01
0以上に、かつ、{Q/(P/760)}/Sを50以
下にすることにより、真空下に暴露されている自由表面
での脱窒素反応を極限まで促進することを特徴とする低
真空精錬による低窒素鋼の溶製方法にある。ここにおい
て、酸素ガス等の酸化性ガスを上吹き、もしくは、イン
ジェクションにより鋼中に供給し脱炭反応を引き起こす
ことにより、より効率的な脱窒が可能となる。
【0006】
【作用】図1に本発明を実施した場合の模式図を示す。
溶鋼内部からの窒素ガス気泡の発生がないような低真空
下での脱窒素反応は、真空に暴露されている鋼浴自由表
面での脱窒素反応(表面反応)が主体である。この反応
の基本式は(1)式で表される。 脱窒素速度(K)=(A・k/W)([N]2 −PN2/E)…(1) ここで、Aは反応界面積、kは化学反応速度定数、Wは
溶鋼量、[N]は窒素濃度、PN2は反応界面での窒素分
圧、Eは平衡定数である。一般に、kは酸素や硫黄の反
応界面への吸着により大きく低下し、未脱酸溶鋼の場合
には非常に小さいものでしかない。これに対して、高真
空によりPN2を低下しても、反応の駆動力である
([N]2 −PN2/E)の値は大幅には増大せず、表面
反応による脱窒素に対しては、この意味での高真空度へ
の到達は必要ないことになる。
【0007】従って、表面反応による脱窒素を促進する
には、Aの値を増大することが必要となる。本発明者ら
は、脱窒素速度を支配するAに対する詳細な検討を重ね
た結果、以下のような事項を明かにした。 1)自由表面での反応界面積(A)の大部分は、浴内に
吹き込まれた気泡が浮上し、浴表面で破泡する領域で支
配されている。この領域を気泡活性面(S)と名付ける
と、気泡活性面は、ガスが垂直方向に吹き込まれた場合
には、ノズルより片側12度の角度で逆円錐状に気泡が
広がり浮上するとして求めることができ、気泡活性面
は、この逆円錐が自由表面と交わる部分の円の面積に対
応する。また、壁面からガスが水平方向に吹き込まれた
場合も、ノズルから垂直に吹き込んだ場合と同様に求め
ることができるが、逆円錐と自由表面との交差面が壁面
にさえぎられる部分は除外される。また、Sを大きくす
るには、取鍋内溶鋼に直胴型浸漬管を浸漬し該管内を減
圧するとともに、低部よりガスを供給し鋼浴を攪拌する
真空精錬装置を用いる必要がある。
【0008】2)気泡活性面での反応は、自由表面で気
泡がはじける時に微細な粒滴が生成し、新しく生成した
粒滴表面が、脱窒素反応を阻害する酸素や硫黄の吸着が
少ない活性な面であることによるものである。従って、
単に表面を波立てるのみでは効果はなく、気泡をはじけ
させる必要がある。種々の検討の結果、自由表面の脱窒
素速度(K)は、気泡活性面で気泡がはじけて生成する
微細な粒滴の発生量に比例し、それは、S×
{(Q1/2 )/((P/760)2/3)}/Wというパラ
メータで規定できることが明かになった。図2は、脱窒
素速度定数(K=log ([N]1 /[N]2 )/t:
[N]1 は処理開始時の窒素濃度(ppm)、[N]2 は処
理後の窒素濃度(ppm)、tは処理時間(分)を示す。)
と、S×{(Q1/2 )/((P/760)2/3)}/Wと
いうパラメータの関係を示したものであるが、0.01
0以上で脱窒素速度が大きくなることがわかる。
【0009】3)単位気泡活性面積当りのガス流量が大
きすぎる場合や、真空度が高すぎる場合には、気泡活性
面の反応効率は低下する。つまり、単位気泡活性面積当
りのガス流量が大きすぎる場合、狭い領域に多量の気泡
が集中して存在することになるため、気泡が合体し粗大
化し、気泡がはじけた場合のエネルギーが大きくなりす
ぎ、粒滴の飛散高さが高くなる。従って、粒滴の雰囲気
空間での滞留時間が長くなり、その間に粒滴表面に酸素
や硫黄の吸着が起こり活性度が低減すると同時に、一部
の粒滴は壁面に付着し反応に寄与しなくなる。また、真
空度が高い場合にも表面直下で気泡が激しく膨張するた
め、気泡がはじけた場合のエネルギーが大きくなりす
ぎ、同様な弊害が生じる。
【0010】図3は、この結果を{Q/(P/760)
}/Sをパラメータとして示したものであるが、{Q
/(P/760) }/Sが50以上では脱窒素速度定数
が低下することがわかる。つまり、過度にガスを吹き込
んだり、真空度を向上させても脱窒素は促進されないこ
とを示している。 したがって、本発明は新しい冶金原
理に立脚し、低真空下で最大限に表面反応を促進させる
ことにより、脱窒素反応を行わせるものである。
【0011】ところで、本発明を実施する際の真空度は
300〜10Torrの範囲である。この理由は、300To
rrよりも低真空下では(1)式の([N]2 −PN2
E)で規定される反応の駆動力自体が小さくなり脱窒素
しにくいためであり、10Torrよりも高真空にしても、
たとえ{Q/(P/760) }/Sが50以下であって
も表面直下での気泡の膨張速度が圧力の低下に追従でき
ずに効果が飽和するとともに、真空排気系の設備投資が
多大になるためである。図4には、脱窒素速度定数と真
空度の関係を示すが、300Torr以下では脱窒素が進行
しにくく、逆に、10Torr以上でも脱窒素速度定数は向
上しないことがわかる。
【0012】また、本発明の効果は、酸素濃度が高い未
脱酸溶鋼や、硫黄濃度が50ppm 以上含まれる溶鋼のよ
うに、吸着により化学反応速度が低下した状態に対して
のみならず、完全脱酸状態で、かつ、硫黄濃度も極めて
低い溶鋼に対しても、同様に成立するものである。さら
に、酸素ガス等の酸化性ガスを上吹き、もしくは、イン
ジェクションにより鋼中に供給し脱炭反応を引き起こす
ことにより粒滴の発生量が増加し、より効率的な脱窒が
可能となる。
【0013】
【実施例】実施例は図1と同様の、取鍋内溶鋼に直胴型
浸漬管を浸漬し該管内を減圧するとともに、低部よりガ
スを供給し鋼浴を攪拌する真空精錬装置で実施した。約
175トンの溶鋼を各種真空度で約15分間処理し、処
理前後の窒素濃度から脱窒素速度定数(K=log
([N]1 /[N]2 )/t:[N]1 は処理開始時の
窒素濃度(ppm)、[N]2 は処理後の窒素濃度(ppm)、
tは処理時間(分)を示す。)を計算した。処理前の窒
素濃度は約100ppm であった。ガス吹き込みは取鍋底
に設置したポーラス煉瓦、及び、浸漬ランスを用いて行
い、吹き込み深さを変更するとともに気泡活性面積を変
化させた。気泡活性面は、ノズルより片側12度の角度
で逆円錐状に気泡が広がり浮上するとし、この逆円錐が
自由表面と交わる部分の面積として計算した。尚、S×
{(Q1/2 )/((P/760)2/3)}/Wをパラメー
タΠと、{Q/(P/760) }/SをパラメータΣと
した。
【0014】表1に示す試験番号1から13は実施例で
あるが、いずれも高いK値を示している。試験番号14
〜16はΠが0.010よりも小さい場合であるが、ガ
ス流量、真空度、気泡活性面積のいずれが変化してΠを
低下させてもKは低下している。試験番号17〜18は
Σが50よりも大きい場合であるが、ガス流量、真空
度、気泡活性面積の相対関係でΣが増大した結果、Kが
低下している。試験番号19はΠ、Σは本発明範囲にあ
るものの、平均真空度が450Torrと悪い場合である
が、反応の駆動力が小さいためKは小さい。また、試験
番号20はΠ、Σは本発明範囲にあるものの、平均真空
度が1Torrと高真空の場合であるが、高真空であるにも
かかわらず試験番号1と同程度のKでしかなく、この場
合には高真空を維持するために多大の設備投資が必要と
なる。ところで、試験番号12、13は、処理中に酸素
ガスの上吹き、もしくは吹込みを実施した場合の結果で
あるが、COガスの発生により高い脱窒速度を示してい
る。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】本発明により、低い真空度領域での効率
的な脱窒素が可能となり、簡易な真空排気設備での低窒
素鋼の溶製が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の模式図、
【図2】脱窒素速度定数と、S×{(Q1/2 )/((P
/760)2/3)}/Wというパラメータの関係を示した
図、
【図3】脱窒素速度定数と、{Q/(P/760) }/
Sというパラメータの関係を示した図、
【図4】脱窒素速度定数と真空度の関係を示した図であ
る。ここで、S×{(Q1/2 )/((P/76
0)2/3)}/Wは0.05から0.15、{Q/(P/
760)}/Sは5〜20の範囲のデータを用いた。
【符号の説明】
1 浸漬管 2 取鍋 3 溶鋼 4 ポーラス煉瓦 a 攪拌用ガス気泡 b 気泡活性面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21C 7/00 - 7/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋内溶鋼に直胴型浸漬管を浸漬し該管
    内を減圧するとともに、低部よりガスを供給し鋼浴を攪
    拌する真空精錬装置において、真空度が10〜300To
    rrの範囲で、気泡活性面積をS(m2 )、溶鋼量をW
    (ton)、攪拌ガス流量をQ(Nm3 /分)、真空度をP
    (Torr)とした場合に、S×{(Q1/2)/((P/7
    60)2/3)}/Wを0.010以上に、かつ、{Q/
    (P/760)}/Sを50以下にすることを特徴とす
    る低真空精錬による低窒素鋼の溶製方法。
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