JP3151996B2 - 空洞含有ポリエステル系フィルム - Google Patents

空洞含有ポリエステル系フィルム

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JP3151996B2
JP3151996B2 JP5495193A JP5495193A JP3151996B2 JP 3151996 B2 JP3151996 B2 JP 3151996B2 JP 5495193 A JP5495193 A JP 5495193A JP 5495193 A JP5495193 A JP 5495193A JP 3151996 B2 JP3151996 B2 JP 3151996B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高品位な艶消し感を有
し、かつ十分な表面剥離強度を有する空洞含有複合ポリ
エステル系フィルムに関する。更に詳しくは、ラベル、
ステッカー、ポスター、カード、記録用紙、包装材料、
ビデオプリンター用紙、ビデオプリンター受像紙、包装
材料、バーコードラベル、バーコードプリンター受像
紙、熱転写受像紙、感熱記録紙、昇華転写受像紙、イン
クジェット受像紙、オフセット印刷用紙、フォーム印刷
用紙、地図、無塵紙、表示板、白板、電子白板、印画
紙、化粧紙、壁紙、建材、紙幣、離型紙、折り紙、カレ
ンダー、磁気カード、トレーシング紙、伝票、配送伝
票、感圧記録紙、複写用紙、臨床検査紙、パラボラアン
テネ反射板、ディスプレイ反射板などの基材用途に適し
た空洞含有複合ポリエステル系フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂を主原料とした紙代替物である
合成紙は、天然紙に比べて、耐水性、吸湿寸法安定性、
表面安定性、印刷の光沢性と鮮明性、機械的強度などに
優れている。近年、これらの長所を活かした用途展開が
進められている。
【0003】合成紙の主原料としては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリエステルなどが用いられている
が、この中でもポリエチレンテレフタレートを代表とす
るポリエステルは、耐熱性が高い点や、腰が強いという
点で優れており、広範な用途展開が可能である。
【0004】ポリエステルを主原料とした紙と類似した
機能を有するフィルムを得る方法として、微細な空洞を
フィルム内部に多量に含有させる方法が提案されてい
る。この方法では、フィルム自体に適度な柔軟性付与さ
れるため、良好な筆記性や鮮明な印刷、転写性を得るこ
とができる。
【0005】しかし、この方法でえられるフィルムは、
(1)フィルム表面に粘着加工を施してラベル等として
用いた後に引き剥すと、フィルム表面付近の空洞がクラ
ックとして作用し、フィルム表面が破り取られる、
(2)フィルム表面の光沢感が強く、紙代替材料として
は外観が劣るといった問題点があった。
【0006】このうち(1)の表面剥離強度不足に関し
ては、空洞を有するフィルムの片面または両面に空洞を
含有しないフィルムを積層する方法が提案されている。
更に、(2)の問題を解決するために、表層を構成する
樹脂中に炭酸カルシウムやシリカ等の無機粒子を添加す
る方法が用いられている。しかし、フィルム表面に十分
な艶消し感を付与するためには無機粒子を大量に添加せ
ざるを得ず、その結果、表層を構成する樹脂の強度が大
きく低下し、表面剥離強度があまり改善されないという
欠点を有していた。逆に、十分な表面剥離強度を確保す
るために空洞を有さないフィルム層の厚みを大きくする
と、フィルム全体の柔軟性が損なわれ、合成紙本来の特
徴である筆記性や印刷、転写性が損なわれるという欠点
があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の欠点、即ち、紙代替素材として高品位な艶消し感と
十分な表面剥離強度とを有し、かつ良好な筆記性や鮮明
な印刷、転写性をも有するフィルムが極めて得難いとい
う課題を解決せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、ポリエ
ステルに該ポリエステルに非相溶な熱可塑性樹脂が少な
くとも一種類以上混合された重合体混合物を少なくとも
1軸に配向することにより製造される微細な空洞を多数
含有するポリエステルフィルム(A層)の片面または両
面に、熱可塑性樹脂を主体とするフィルム(B層)を設
けた複合フィルムであって、B層表面の突起数50個/
mm 以上の領域において突起数の最大値を与える突起
高さ(Y:μm)と突起数(X:個/mm )との関係
を表す分布曲線を下記(1)式の範囲内にしたことを特
徴とする空洞含有ポリエステルフィルムである。 −1ogX+4 ≧ Y ≧ −0.51ogX+1.5 (1)式 (但し、X≧50、Y≧0)
【0009】本発明におけるA層のポリエステルとは、
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸
のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタン
ジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコール
とを重縮合させて製造されるポリエステルである。これ
らのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールと
を直接反応させてからほか芳香族ジカルボン酸のアルキ
ルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後
重縮合させるか、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリ
コールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造
される。かかるポリエステルの代表例としてはポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、あ
るいはポリエチレンー2、6ーナフタレートなどが挙げ
られる。このポリエステルはホモポリマーであってもよ
く、第三成分を共重合したものであっっても良い。いず
れにしても本発明においては、エチレンテレフタレート
単位、ブチレンテレフタレート単位あるいはエチレンー
2、6ーナフタレート単位が70モル%以上、好ましく
は80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であ
るポリエステルを用いるのが好ましい。
【0010】本発明のA層に混合される非相溶樹脂は、
ポリエステルに非相溶性のものでなければならない。具
体的には、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹
脂、ポリアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ
スルホン系樹脂、セルロース系樹脂などがあげられる。
特にポリスチレン系樹脂あるいはポリメチルペンテン、
ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂が好んで用
いられる。ポリエステルに混合させる非相溶樹脂の量
は、目的とする空洞の量によって異なってくるが、A層
を構成する重合体混合物全体に対して3重量%〜39重
量%が好ましく、特に8〜35重量%が好ましい。3重
量%未満では、空洞の生成量を多くすることに限界があ
り、目的の柔軟性や軽量性あるいは描画性が得られな
い。逆に、40重量%以上では、ポリエステルフィルム
の持つ耐熱性や強度、特に腰の強さが著しく損なわれ
る。
【0011】また、A層中には、フィルムの隠蔽性等を
向上させるため、ポリエステル中あるいは非相溶樹脂中
に無機または有機の粒子を必要に応じて添加してもよ
い。A層中に添加可能な粒子としては、シリカ、カオリ
ナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミ
ナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化
チタン、有機白色顔料等が例示されるが特に限定される
ものではない。また、A層に粒子を添加する場合には、
後述のB層に添加する粒子のうち最大の平均粒径を有す
るものよりも小さい平均粒径を有する粒子を添加するこ
とが好ましい。これにより、隠ぺい性と描画性を持ち、
艶消し感の有るフィルムが得られる。
【0012】本発明のA層を構成する重合体混合物は、
たとえば、各樹脂のチップ(および/または粒子)を混
合し押出機内で溶融混練した後、押出して固化する方法
や、あらかじめ混練機によってこれらを混練したものを
更に押出機より溶融押出しして固化する方法、またポリ
エステルの重合工程においてこれらを添加し、かくはん
分散して得たチップを溶融押出しして固化する方法など
で得られる。
【0013】本発明は複合フィルムであり、A層の片面
または両面に熱可塑性樹脂フィルム(B層)が複合され
ている。熱可塑性樹脂の種類は特に制限されるものでは
なく例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹
脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系
樹脂などがあげられる。この中でも、A層との接合力の
強さや、得られるフィルムの特性の点から、B層もポリ
エステル系樹脂であることが好ましい。更に、A層に用
いられるポリエステルと基本的に類似の構造単位を有す
るポリエステルが最も好ましい。例えば、A層のポリエ
ステルとしてエチレンテレフタレートを主体とするポリ
エステルを用いた場合、B層にはエチレンテレフタレー
トあるいはエチレンイソフタレート等を主体とする樹脂
を用いるのが最も好ましい。また、B層には後述のごと
く特定の粒子が添加されるが、粒子と熱可塑性樹脂との
界面での微細空洞生成を防止するため、必要に応じてB
層の樹脂に共重合成分を導入したり、可塑剤や溶融粘度
低下剤あるいは増粘剤等の添加剤を小量添加してもよ
い。
【0014】本発明ではB層表面において、突起数50
個/mm2 以上の領域において突起数の最大値を与える
突起高さ(Y:μm)と突起数(X:個/mm2)との
関係を表す分布曲線を下記(1)式の範囲内とすること
が必要である。 −logX+4 ≧ Y ≧ −0.5logX+1.5 (1)式 (但し、X≧50、Y≧0)
【0015】突起分布曲線を上記の範囲内にすること
は、本発明の最も重要な要件である。これによって、フ
ィルムの柔軟性を維持しながら、優れた表面の艶消し感
と優れた表面剥離強度とを有するフィルムが得られる。
そして、突起分布曲線において突起高さYが−1ogX
より大きな領域にある場合は表面剥離強度が不良と
なる。また、突起高さYが−0.51ogX+1.5
り小さな領域にある場合は、優れた艶消し感がなかった
り、表面にザラツキ感が生じたりする。いずれにして
も、突起分布曲線が上記範囲外の場合、十分な艶消し感
と表面剥離強度とを満足させようとすると、B層の厚み
を大きくせざるをえず、その結果、フィルムの柔軟性が
損なわれる。
【0016】本発明のA層およびB層の厚さは特に制限
されるものではなく任意であるが、フィルムに適度な柔
軟性を付与するためには、A層の片面または両面に形成
される各々のB層の厚みがA層厚みの5分の1以下であ
ることが好ましい。また、フィルムに十分な表面剥離強
度を付与するためには、B層厚みが0.5μm以上であ
ることが好ましい。また、本発明の複合フィルムでは、
B層表面の突起分布曲線が(1)式の範囲内にある場合
は、B層の厚さが薄くても十分な表面剥離強度を得るこ
とができる。そのため、B層の厚さは10μm以下であ
ることが好ましく、更に6μm以下であることが好まし
い。
【0017】本発明の(1)式の範囲内の表面突起分布
曲線を有するフィルム表面は、平均粒子径が0.8μm
以上である粒子が、総計1重量%以上添加されることに
よって得られる。そして、平均粒子径が0.8μmに満
たない場合には、十分な艶消し感が得られない。一方、
平均粒子径の上限はないが、平均粒子径が大きくなりす
ぎると表面にザラツキ感が生じやすくなると同時に、
(1)式よりも大きな分布曲線となり表面剥離強度の低
下を引き起こすため6μm以下であることが好ましい。
また、粒子の添加量の総計が、B層に対して1重量%以
下では、十分な艶消し感が得られない。一方、添加量の
上限は制限されないが、フィルムの表面強度とフィルム
の柔軟性を損なわないためには、B層に添加される無機
粒子の総計を50重量%以下、更に20重量%以下とす
ることが好ましい。
【0018】本発明のB層に添加される粒子の組成は、
特に制限されるものではなく任意である。例えばシリ
カ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライ
ト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化
亜鉛、酸化チタン等が例示される。このなかでも、合
ゼオライト粒子、シリカマイクロビーズの2次凝集体、
炭酸カルシウム微粒子の2次凝集体、酸化チタン微粒子
の2次凝集体等が好ましく、特に合成ゼオライト粒子が
最も好ましい。合成ゼオライト粒子を用いる場合は、熱
処理品であっても未熱処理品であっても構わないが、2
00℃以上の温度でいったん熱処理したものを用いるこ
とが好ましい。さらに、1000℃以上の温度で焼結処
理を施したものが最も好ましい。また、シリカマイクロ
ビーズの2次凝集体を用いる場合には、10〜50nm
の1次粒径を有するシリカマイクロビーズを球状に凝集
させ、その後適当な条件で焼結処理したものを用いるの
が好ましい。また、炭酸カルシウム微粒子や酸化チタン
の2次凝集体を用いる場合も同様に、凝集体を適当な条
件で焼結させたものを用いるのが好ましい。また、これ
らの粒子をフィルム中に添加するに際し、樹脂中に粒子
を添加する以前に、何らかの成分(例えば着色剤、耐光
剤、蛍光剤、帯電防止剤あるいはマトリックス樹脂と親
和性のある成分や逆に親和性が乏しい成分等)を粒子に
吸着させた後に用いてもよい。また、B層には、必要に
応じて隠ぺい性や描画性を向上させるため、前記の形態
を有する粒子以外の粒子を併用添加してもよい。
【0019】また、本発明のA層および/またはB層の
樹脂中には、用途に応じて着色剤、耐光剤、蛍光剤、帯
電防止剤などを添加することも可能である。
【0020】本発明の好ましい実施態様としては、A層
とB層との接合部における非相溶樹脂界面には実質的に
空洞が発現せず、かつフィルム全体の平均空洞含有率が
10体積%以上50体積%以下であることが好ましい。
これは、A層とB層との接合部における非相溶樹脂界面
に実質的に空洞が存在しないフィルムとすることによ
り、フィルムの表面剥離強度を更に向上させ、B層厚み
をより薄くしてフィルム全体の柔軟性を向上させること
が可能となるからである。ただし、A層とB層との接合
部以外の非相溶樹脂界面の一部に空洞が生じていること
は本発明必須の要件である。そして、好ましい空洞含有
率は、複合フィルム全体に対して10体積%以上50体
積%以下さらに好ましくは40%以下である。これは、
空洞率が10体積%より少ない場合は複合フィルム全体
のの柔軟性が不十分となり、筆記性や描画性が不良とな
る傾向にあるからである。逆に空洞率が50体積%以上
の空洞含有フィルムは、それ自体延伸工程での破断が多
発するため製造しにくく、得られたフィルムも表面剥離
強度や引っ張り強度などが不十分となるため好ましくな
い。
【0021】本発明の複合フィルムを得る方法は任意で
あり、特に制限されるものではないが、A層とB層とを
複合する方法としては、例えば、共押出法、ラミネート
法、コーティング法等があげられる。そのなかでも、A
層の樹脂とB層の樹脂を別々の押し出し機に供給した
後、溶融状態で積層して同一のTダイから押し出す共押
出し法が最も好ましい。
【0022】また、A層とB層との接合部における非相
溶樹脂界面に実質的に空洞を発現させず、かつA層とB
層との接合部以外の非相溶樹脂界面に空洞を発現させる
ためには、A層とB層とを共押出しした直後の未延伸複
合シートにおいて、A層の非相溶樹脂の分散状態が厚み
方向に対して分布を持ち、層中央部の分散径に比べ、A
層とB層との接合部付近の分散径をより小さくなる分布
とすることが好ましい。さらにA層とB層との接合部に
おける非相溶樹脂が長さ方向に糸を引いたような状態
(糸引き状態)をつくりだすことが特に好ましい。この
場合、糸引き状態をA層とB層との接合部のごく近傍の
みに生じさせるようにすることが好ましい。これは、A
層とB層との接合部の非相溶樹脂が糸引き状態にならな
い場合、非相溶樹脂の分散系が小さくても、接合部に小
さな空洞ができてしまい、そこをきっかけに表面剥離が
生じる傾向があるからである。
【0023】上記のごとく非相溶樹脂が分散された未延
伸複合シートは、A層の樹脂の溶融・押出し条件を適当
に選ぶことによって得られる。たとえば、押出機から押
出ダイまでのメルトラインの管壁や押出ダイのスリット
で働くせん断応力を通常より高くすることによって、表
層付近にのみ小径かつ偏平な非相溶樹脂の分散状態を作
り出すことができる。 これらの条件に加え、さらに接
合部近傍におけるポリエステルと非相溶樹脂との溶融粘
度差を、中央部における両者の相対粘度差よりも小さく
することにより、接合部近傍の非相溶樹脂の偏平度をよ
り大きくして糸引き状態とすることが可能である。一般
に、ポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂はポリ
エステルよりも溶融粘度が大きく、かつ温度上昇による
粘度低下の割合が大きい。この現象を利用し、AB層界
面付近の樹脂温度を中央部のそれよりも低く制御するこ
とによって、相対粘度差を上記のごとく制御することが
可能となる。そして、このように樹脂温度分布を制御す
るためには、例えば、通常の溶融押出し方法では樹脂が
押出機から押出ダイまでのメルトラインや押出ダイを通
過する過程で昇温制御するのに対し、これとは逆に減温
制御すればよい。
【0024】また、共押出しによって複合フィルムを得
る方法では、A層とB層の樹脂温度を独立に制御するこ
とも非相溶樹脂の糸引き状態を得るために有効な手段で
ある。具体的には、B層の温度をA層の温度よりも低く
することが好ましく、温度差は5〜15℃の範囲が更に
好ましい。
【0025】こうして得られた未延伸複合シートは、更
に速度差をもったロール間での延伸(ロール延伸)やク
リップに把持して拡げていくことによる延伸(テンター
延伸)や空気圧によって拡げることによる延伸(インフ
レーション延伸)などによって少なくとも1軸に配向処
理される。この延伸・配向工程において、ポリエステル
と非相溶樹脂との界面で剥離が生じ、空洞が多数発生す
る。
【0026】未延伸複合シートを延伸・配向処理する条
件は、腰の強い空洞含有フィルムを得るための重要なポ
イントとなる。以下では、最も好んで用いられる逐次2
軸延伸方法、特に未延伸複合シートを長手方向次いで幅
方向に延伸する方法を例にとり、延伸・配向条件を説明
する。まず、第1段の縦延伸工程では、周速が異なる2
本あるいは多数本のロール間で延伸する。このときの加
熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の
加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよ
い。ただし、非相溶樹脂界面に空洞を多数発現させるた
めには、延伸温度をポリエステルの2次転移温度Tg+
10℃以上かつTg+50℃以下で、3〜5倍に延伸す
る。次いで1軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方
向に縦延伸温度以上かつポリエステルの融点Tm−10
℃以下の温度で、2.5〜5倍延伸する。
【0027】このようにして得られた2軸延伸フィルム
に対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター
中で行うのが好ましく、ポリエステルの融点Tm−50
℃〜Tmの範囲で行うのが好ましい。
【0028】また、本発明の空洞含有ポリエステル系複
合フィルムは、少なくともそのいずれか一方の表面に塗
布層を有していても構わない。そして、塗布層を設ける
ことにより、インキやコーティング剤などのぬれ性や接
着性を改良することができる。塗布層を構成する化合物
としては、ポリエステル系樹脂が好ましいが、この他に
も、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ア
クリル系樹脂などの通常のポリエステルフィルムの接着
性を向上させる手段として知られている化合物等が適用
可能である。また塗布層を設ける方法としては、グラビ
アコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレ
イコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート
方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式
など通常用いられている方法が適用できる。塗布する段
階としては、配向処理を行う前の複合シートにあらかじ
め塗布する方法、1軸方向に配向した空洞含有複合フィ
ルム表面に塗布し、それを更に直角方向に配向させる方
法、配向処理の終了した空洞含有複合フィルム表面に塗
布する方法などのいずれの方法も可能である。
【0029】かくして得られた空洞含有ポリエステル系
フィルムは、従来提案されているポリスチレンやポリプ
ロピレンを空洞発現剤として用いた空洞含有ポリエステ
ル系フィルムに対し、高品位な艶消し感と優れた表面剥
離強度とを高いレベルで兼備しており、かつ十分な柔軟
性を有している。
【0030】
【実施例】次に本発明の実施例および比較例を示す。本
発明に用いる測定・評価方法を以下に示す。 1)ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをフェノール(6重量部)とテトラクロロ
エタン(4重量部)の混合溶媒に溶解し、30℃で測定
する。 2)ポリスチレン系樹脂のメルトフローインデックス JIS−K7210に準じて200℃、荷重5kgで測
定する。 3)ポリプロピレン系樹脂のメルトフローインデックス JIS−K6758−1981に準じて行う。 4)見かけ比重 フィルムを5.00cm×5.00cmの正方形に正確
に切り出し、その厚みを50点測定し平均厚みをtμm
とし、それの重さを0.1mgまで測定しwgとし、下
式によって計算する。 見かけ比重(−)=w/5×5×t×10000 5)フィルムの平均空洞率 下式によって計算する。 空洞含有率(体積%)=100×(1−真比容積/見か
け比容積) ただし、 真比容積=x1/d1 +x2/d2 +x3/d3 +…+xi/d
i +… 見かけ比容積=1/フィルムの見かけ比重 上式におけるxiはi成分の重量分率、diはi成分の
真比重を表す。実施例中の計算において用いる真比重の
値は、ポリエチレンテレフタレート1.40、一般用ポ
リスチレン1.05、ポリプロピレン0.91、アナタ
ーゼ型二酸化チタン3.9、ルチル型二酸化チタン4.
2である。 6)無機粒子の平均粒子径 球状またはサイコロ状あるいはその中間形状を有する粒
子については、フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(日
立製作所製 S−510型)を用いて10000倍で観
察し、任意の100個の粒子の平均径を用いて評価す
る。それ以外の形状を有する粒子は、粉体をEGスラリ
ー中に高速攪拌により充分に分散して得られたスラリー
中における粒度分布を島津製作所製光透過形遠心沈降式
粒度分布測定機SA−CP3型を用いて測定した分布に
おける積算50%の値を用いる。 7)A層とB層の接合部の定義とB層の厚さ 複合フィルムをエポキシ樹脂で包埋して硬化させた後、
ミクロトームを用いてフィルム長手方向に平行かつフィ
ルム面方向に垂直な切断面を作成する。このとき、ミク
ロトームで切断する方向は、フィルム長手方向に平行な
方向である。そしてこの切断面をメタライジングした
後、日立製作所製S−510型走査型電子顕微鏡で30
00倍に拡大して観察する。観察はB層表面から複合フ
ィルムの内層に向かって観察し、最初に非相溶樹脂の分
散物が確認された部位をA層とB層の接合部として定義
する。そしてB層表面から接合部までの距離でB層の厚
さを求める。 8)A層とB層の接合部における空洞の大きさおよび空
洞の有無 7)で定義した接合部に存在する非相溶樹脂とポリエス
テルとの界面のうち、ミクロトームの刃が進入してきた
方向に観察される空洞の長径を1μm単位で測定する。
なお、空洞の長径を1μm以下の精度で計測すること
は、切断時のフィルムの変形を考慮すると無意味であ
る。また、この方法で検出されない空洞がたとえ存在し
たとしても、それは非常に微細な空洞であって、複合フ
ィルムの表面剥離強度にはほとんど影響をおよばさな
い。従って、この方法で空洞が検出されない場合を実質
的に空洞が存在しないと定義する。 9)表面光沢度 日本電色(株)グロスメーター(VGS−1001D
P)を用いて、60゜グロス(以下、Gl60)を測定
し、光沢度の評価とした。 Gl60 70〜100・・・× 45〜69 ・・・△ 20〜44 ・・・○ 10〜19 ・・・◎ 10)表面剥離強度 セロテープ(18mm幅、ニチバン製)を用い、セロテ
ープ剥離テストにより表面剥離強度を評価する。剥離角
は空洞含有フィルムを平面に保ち約150度方向で行
う。剥離される空洞含有フィルムの面積より、以下のよ
うに差別化する。 クラス5・・・全体が剥離した クラス4・・・ほとんど剥離した クラス3・・・半分程度、剥離した クラス2・・・ほとんど剥離しない クラス1・・・まったく剥離しない 11)フィルムの柔軟性(重ね書き性) フィルムを10枚重ねて上からボールペンで強く書き、
いちばん下のフィルムに跡が残れば○、残らなければ×
とする。
【0031】実施例 1 原料として固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレ
ート樹脂80重量%にメルトフローインデックス2.0
g/10分の一般用ポリスチレン15重量%および平均
粒径0.3μm(電顕法)のアナターゼ型二酸化チタン
5重量%を混合したものをA層の原料とし、B層の原料
として固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート
樹脂98重量%と平均粒子径1.5μmで表面にギザギ
ザの凹凸を有する球状の合成ゼオライト粒子(水沢化学
(株)製JC−20)2重量%を混合したものをB層の
原料とした。これらの原料を各々別個の2軸スクリュー
押出機に供給し、Tダイの直前でA層とB層とを積層
し、T−ダイから溶融押出しした。次いで押し出し物を
静電気的に冷却回転ロールに密着固化し、各層がそれぞ
れB/A=30/350μmの重合体混合物の未延伸シ
ートを得た。この時のA層の押出機の温度は原料投入部
にもっとも近いところを250℃とし、徐々に昇温し、
溶融部では最高295℃にした。溶融部では約10分間
混練し、スクリュー最先端部は290℃となるようにし
た。その後、メルトライン温度は徐々に下げ、最終的に
T−ダイスでは280℃となるようにした。またB層の
温度は押出機の温度は原料投入部にもっとも近いところ
を250℃とし、徐々に昇温し、溶融部では最高285
℃にした。溶融部では約1分間混練し、スクリュー最先
端部は280℃となるようにした。その後温度はそのま
までメルトラインに原料を供給し、T−ダイの直前でA
層の片面に接合し、そのままT−ダイスに供給した。こ
の時、T−ダイスリット間隔は1.0mmで、その部分
での重合体混合物の融液の平均流速は8.8m/秒であ
った。このようにして得られた未延伸複合シートの断面
を観察したところ、AB層界面付近では、ポリスチレン
が糸引き状分散していた。次いで、この未延伸複合シー
トをロール延伸機で83℃で3.3倍縦延伸を行い、引
き続きテンターで145℃で3.5倍横延伸したあと2
35℃で4%緩和させながら熱処理し、内部に多数の空
洞を含有するポリエステルフィルムを得た。厚みはB/
A=3/35μmであった。得られた空洞含有複合ポリ
エステル系フィルムの突起分布曲線を図1、特性を表1
に示す。
【0032】実施例 2 B層の原料としてポリエチレンテレフタレート樹脂93
重量%と平均粒子径3.3μmで表面にギザギザの凹凸
を有する球状の合成ゼオライト粒子(水沢化学(株)製
JC−40)7重量%を混合したものを用い、フィルム
を3層構造として各層の厚みをB/A/B=4/42/
4μmとすること以外は実施例1と全く同様の方法で実
施例2の空洞含有複合ポリエステル系フィルムを得た。
得られたフィルムの特性を表1に示した
【0033】比較例 1 B層の原料としてポリエチレンテレフタレート樹脂9
9.5重量%と平均粒子径3.3μmで表面にギザギザ
の凹凸を有する球状の合成ゼオライト粒子(水沢化学
(株)製JC−40)0.5重量%を混合したものを用
いること以外は実施例1と全く同様の方法で比較例1の
空洞含有複合ポリエステル系フィルムを得た。得られた
フィルムの特性を表1に示した。
【0034】比較例 2 B層の原料としてポリエチレンテレフタレート樹脂85
重量%と平均粒子径が3.5μm(遠心沈降法)の不定
型多孔質シリカ15重量%を混合したものを用いた。こ
れ以外は実施例1と全く同様の方法で比較例2の空洞含
有複合ポリエステル系フィルムを得た。得られたフィル
ムの特性を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】本発明の空洞含有ポリエステルフィルム
は、従来のポリスチレンやポリオレフィンを空洞発現剤
として用いて得られる空洞含有ポリエステル系フィルム
の柔軟性を損なうことなく、優れた表面の艶消し感をと
十分な表面剥離強度とを有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例でえられた空洞含有複合ポリ
エステル系フィルムの突起分布曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 利武 滋賀県大津市堅田2丁目1番1号 東洋 紡績株式会社 総合研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルに該ポリエステルに非相溶
    な熱可塑性樹脂が少なくとも1種類以上混合された重合
    体混合物を少なくとも1軸に配向することにより製造さ
    れる微細な空洞を多数含有するポリエステルフィルム
    (A層)の片面または両面に、熱可塑性樹脂を主体とす
    るフィルム(B層)を設けたフィルムであって、B層の
    表面の突起数50個/mm 以上の領域において突起数
    の最大値を与える突起高さを基準とした突起高さ(Y:
    μm)と突起数(X:個/mm )との関係を表す分布
    曲線が下記(1)式を満足することを特徴とする空洞含
    有ポリエステル系フィルム。 −1ogX+4 ≧ Y ≧ −0.51ogX+1.5 (1)式 (但し、X≧50、Y≧0)
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