JP3151753B2 - 油圧緩衝器 - Google Patents

油圧緩衝器

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JP3151753B2
JP3151753B2 JP21466892A JP21466892A JP3151753B2 JP 3151753 B2 JP3151753 B2 JP 3151753B2 JP 21466892 A JP21466892 A JP 21466892A JP 21466892 A JP21466892 A JP 21466892A JP 3151753 B2 JP3151753 B2 JP 3151753B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、発生減衰力をソレノ
イド利用で高低調整する油圧緩衝器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】発生減衰力をソレノイド利用で高低調整
する油圧緩衝器としては、従来から種々提案されてい
る。
【0003】例えば、図4に示すユニフロー型の油圧緩
衝器にあっては、シリンダ1内にピストンロッド2の先
端側を出没可能に挿通すると共に、該ピストンロッド2
の先端にシリンダ1内に摺動可能に収装されたピストン
部3を連設し、該ピストン部3がシリンダ1内にロッド
側室R1とピストン側室R2とを区画形成するとしてい
る。
【0004】ピストン部3には、伸側の減衰バルブ3a
及びチェック弁3bが配設され、減衰バルブ3aを介し
てのロッド側室R1のピストン側室R2への連通及びチ
ェック弁3bを介してのピストン側室R2のロッド側室
R1への連通を可能にしている。
【0005】そして、該油圧緩衝器は、シリンダ1の下
端内部にベースバルブ部4を配設すると共に、シリンダ
1の外周に外筒5を配設し、該外筒5とシリンダ1との
間にリザーバ室R3を形成している。
【0006】ベースバルブ部4には、圧側の減衰バルブ
4a及びチェック弁4bが配設されており、減衰バルブ
4aを介してのピストン側室R2のリザーバ室R3への
連通及びチェック弁4bを介してのリザーバ室R3のピ
ストン側室R2への連通を可能にしている。
【0007】一方、該油圧緩衝器は、シリンダ1及び外
筒5の上端側に近接配置された減衰力調整部10を有し
ており、該減衰力調整部10がロッド側室R1からの作
動油のリザーバ室R3への流入の可不可の選択を可能に
している。
【0008】そして、該減衰力調整部10は、この従来
例にあって、ケーシング11と、ソレノイド12と、弁
体13と、バルブガイド14と、を有してなり、ケーシ
ング11内にソレノイド12及び弁体13を収装し、バ
ルブガイド14でケーシング11の開口端を閉塞するよ
うにして所謂カートリッジ化され、緩衝器本体への連設
時にはその軸芯部にピストンロッド2の挿通を可能にす
るように構成されている。
【0009】また、該減衰力調整部10は、内部構造的
には、ケーシング11の開口端を閉塞するバルブガイド
14の上端側に弁体13を昇降可能に介装すると共に、
該弁体13の上方にソレノイド12を配設するとしてい
る。
【0010】そして、ソレノイド12への励磁時に弁体
13が上昇して、ロッド側室R1のリザーバ室R3への
連通を可能にする流路が開放され、ロッド側室R1から
の作動油のリザーバ室R3への流入を可能にするように
設定されている。
【0011】ところで、上記流路は、バルブガイド14
の内周に形成されピストンロッド2の外周との間に隙間
を形成することになる環状溝14aと、該環状溝14a
に連通しバルブガイド14の上端側に径方向に開穿され
る油孔14bと、該油孔14bに連通しバルブガイド1
4の上端外周に開口する環状溝14cと、バルブガイド
14の下端外周側に縦方向に形成され弁体13側とリザ
ーバ室R3側との連通を可能にする切欠孔14dと、か
ら構成されている。
【0012】尚、該切欠孔14dは、バルブガイド14
の下端外周側に肉厚に形成されシリンダ1の上端と外筒
5の上端を閉塞する部位に開穿されている。
【0013】これに対して、弁体13は、上記環状溝1
4cをバルブガイド14の上端側の外周から閉塞するよ
うに隣接されてなるもので、その下降時に上記環状溝1
4cを閉塞し、その上昇時に上記環状溝14cを開放す
るように設定されている。
【0014】それ故、この従来の油圧緩衝器によれば、
減衰力調整部10がケーシング11内に所定の構成部品
を収装してカートリッジ化されていることで、該カート
リッジ化された減衰力調整部10についての製品試験を
緩衝器本体の製品試験と別個に行うことを可能にし、減
衰力調整部10を連設した後における油圧緩衝器の不良
品の輩出の危惧を減らし、油圧緩衝器の生産に際しての
経済性を向上し得ることになる利点がある。
【0015】一方、この従来の油圧緩衝器によれば、ソ
レノイド12が励磁されて減衰力調整部10における流
路が開放されている限りにおいて、シリンダ1内にピス
トンロッド2が没入される圧側行程時にはシリンダ1内
をピストン部3が下降し、このとき、ロッド側室R1に
おいて不足する作動油が伸側のチェック弁3bを介して
ピストン側室R2から流入されると共に、ピストン側室
R2において余剰となる作動油もチェック弁3bを介し
てロッド側室R1に流入される。
【0016】そして、ピストン側室R2からロッド側室
R1に流入された上記の余剰油は、所謂開放状態にある
減衰力調整部10を介してリザーバ室R3に流出され
る。
【0017】また、シリンダ1内からピストンロッド2
が突出される伸側行程時には、シリンダ1内をピストン
部2が上昇することになり、このとき、ピストン側室R
2において不足する作動油が圧側のチェック弁4aを介
してリザーバ室R3から補給されると共に、ロッド側室
R1において余剰となる作動油が開放状態にある減衰力
調整部10を介してリザーバ室R3に流出されることに
なる。
【0018】従って、ソレノイド12が励磁されている
限りにおいて、伸圧いずれの行程時にもロッド側室R1
側からの作動油が開放状態にある減衰力調整部10を介
してリザーバ室R3に流出されることになり、このとき
各側の減衰バルブ3a,4aが不作動状態におかれて、
該減衰力調整部10、即ち、弁体13で設定される低い
減衰力発生に止まることになる。
【0019】これに対して、減衰力調整部10におい
て、ソレノイド12への励磁が解除されて弁体13が下
降することになると、バルブガイド14に形成の環状溝
14cが弁体13で閉塞されることになり、ロッド側室
R1とリザーバ室R3とを連通する流路が閉塞されるこ
とになる。
【0020】それ故、伸側行程時には、ロッド側室R1
からの作動油が高いクラッキング圧の下で開放される伸
側の減衰バルブ3aを介してピストン側室R2に流入
し、圧側行程時には、ピストン側室R2からの作動油が
高いクラッキング圧の下で開放される圧側の減衰バルブ
4aを介してリザーバ室R3に流入することになる。
【0021】そして、各側の減衰バルブ3a,4aが高
いクラッキング圧の下で開放されて作動油の流通を可能
にすることで、高い減衰力が発生されることになる。
【0022】従って、上記従来の油圧緩衝器によれば、
所要時にソレノイド12への励磁を解除することで発生
減衰力を高くすることが可能になり、例えば、該油圧緩
衝器が車両に搭載される場合に、通常は低い減衰力発生
でソフトな乗り心地を得るようにしながら、急制動時や
急発進時あるいはロール時における姿勢制御の際には高
い減衰力の発生状態に変更することが可能になり、車両
の走行安定性を向上し得ることになる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の油圧緩衝器にあっては、その伸縮ストロークを
大きく採れない不都合が指摘されている。
【0024】即ち、上記従来の油圧緩衝器にあっては、
減衰力調整部10がケーシング11の開口端をバルブガ
イド14で閉塞するようにしてカートリッジ化されてお
り、その内部に区画形成される空間内に弁体13及びソ
レノイド12を直列状態に収装するとしている。
【0025】そして、上記減衰力調整部10が緩衝器本
体に連設されるときは、バルブガイド14がシリンダ1
の上端を閉塞する軸封部材となるように設定されてい
る。
【0026】従って、該油圧緩衝器にあっては、緩衝器
本体の軸線方向の外部に減衰力調整部10が配設される
ことになり、該油圧緩衝器が配設される、例えば、車両
における取付スペースから看れば、緩衝器本体、即ち、
シリンダ1を短くする必要を生じ、該シリンダ1が短く
なる分該油圧緩衝器の伸縮ストロークが制限されること
になり、効果的な減衰特性を得られなくなる危惧があ
る。
【0027】この発明は、前記した事情に鑑みて創案さ
れたものであって、その目的とするところは、所定の伸
縮ストロークが保障されて効果的な減衰特性が所望の通
り実現されて、例えば、車両への搭載に最適となるのは
勿論のこと、さらにはその短寸法化にも寄与し、車両へ
の搭載性を向上するに最適となる油圧緩衝器を提供する
ことである。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、この発明の構成を、シリンダ内に出没可能に挿
通されたピストンロッドの先端に連設されシリンダ内に
ロッド側室とピストン側室とを区画形成するピストン部
のシリンダ内での摺動時にシリンダの外部に配在の減衰
力調整部におけるソレノイドへの励磁によって減衰力調
整部を介してのロッド側室のシリンダ外に形成のリザー
バ室への連通の可不可が選択されるように形成されてな
ると共に、減衰力調整部において低い減衰力発生とされ
る一方でピストン部に配設の減衰バルブ及びシリンダの
下端内部のベースバルブ部に配設の減衰バルブにおいて
高い減衰力発生とされるように形成されてなる油圧緩衝
器において、減衰力調整部は、その開口端がシリンダ外
に配設の外筒の上端内周に連設されるように形成された
ケーシングと、該ケーシング内に開口端側に収装されそ
の内周に磁性部材を隣設させるソレノイドと、該ソレノ
イドの上端側に昇降可能に配設される弁体と、該弁体を
その外周に摺接させながらその内周に軸受け部材を隣設
させシリンダの上端を閉塞する軸封部材と、を有してな
り、ケーシングの外筒への連設時にソレノイド及び弁体
の内周側にシリンダの上端側を臨在させる一方で軸封部
材の軸芯部にピストンロッドを挿通させるように設定さ
れてなり、軸封部材,弁体及び磁性部材にロッド側室の
リザーバ室への連通を可能にする流路が形成されてなる
と共に、該流路が弁体の最下降時に閉塞されるように形
成されてなるとするものである。
【0029】
【作用】それ故、カートリッジ化された減衰力調整部
は、これを構成するケーシングの開口端が緩衝器本体を
構成する外筒に溶接等によって連設されることで緩衝器
本体と一体化されると共に、その際にシリンダの上端側
がソレノイド及び弁体の内周側に臨在されることにな
り、従って、減衰力調整部をシリンダの外部に有すると
しても、該油圧緩衝器の全体長さを徒らに大きくしな
い。
【0030】
【実施例】以下、図示した実施例に基づいて説明する
が、この発明の一実施例に係る油圧緩衝器にあっても、
図1に示すように、ユニフロー型に形成されており、減
衰力調整部10の構成を異にする他は、前記した従来例
(図4参照)と同様に構成されている。
【0031】それ故、その構成の同一なる部分について
は、図中に同一の符号を付してその詳しい説明を省略
し、以下には、この発明における減衰力調整部10の構
造を説明する。
【0032】即ち、減衰力調整部10は、図2に示すよ
うに、ケーシング11と、ソレノイド20と、弁体30
と、軸封部材15と、を有してなり、ケーシング11内
にソレノイド20以下の構成部品を収装して、該減衰力
調整部10を所謂カートリッジ化するように構成されて
いる。
【0033】ケーシング11は、図示例にあって、略筒
状に形成されて図中下端側とされる本体部11aと、該
本体部11aの上端に連設されるキャップ部11bと、
からなり、本体部11aの図中下端となるその開口端の
外周が外筒5の上端内周に熔接等によって連設されるよ
うに形成されてなると共に、その開口端側の内周にソレ
ノイド20を収装させるように形成されている。
【0034】そして、上端側のキャップ部11b内に
は、その内周がピストンロッド2の外周に摺接されるシ
ール11cが収装されている。
【0035】尚、図示例にあって、ケーシング11を構
成する本体部11aは磁性材で形成されている。
【0036】ソレノイド20は、ケーシング11内に所
謂ガタツクことがないように収装されると共に、シール
部材21,22の配在で液密構造下に収装されており、
その内周に筒状に形成された磁性部材23を隣設させて
いる。
【0037】該磁性部材23の内周には、該減衰力調整
部10が緩衝器本体に連設される際に、シリンダ1の上
端側の外周が隣接されるとしているが、該磁性部材23
は、その軸線方向に沿うように開穿された切り溝23a
を有しており、該切り溝23aは、該減衰力調整部10
における流路、即ち、ロッド側室R1のリザーバ室R3
への連通を可能にする流路を構成する。
【0038】因に、該磁性部材23は、その上端外周に
水平に延設される鍔部23bを有しており、該鍔部23
bにも上記切り溝23aに連通する切り溝23cを有し
ている。
【0039】また、該磁性部材23の上端、即ち、鍔部
23bの内周側の上端は、その上方に配設されている後
述の軸封部材15の下端に当接されている。
【0040】ところで、ソレノイド20は、上記磁性部
材23の外周に介装されるように配設され非磁性材から
なる筒状ボビン部材24と、該筒状ボビン部材24内に
収容されるように配設されるコイル25と、を有するよ
うに構成されている。
【0041】また、該ソレノイド20の上端、即ち、上
記筒状ボビン部材24の上端には、その下端面で前記シ
ール部材21を所定位置に定着させながら、その上端が
前記磁性部材23の上端、即ち、鍔部23bの上端と面
一になるように位置決められた環状コア部材26が隣設
されている。
【0042】因に、該環状コア部材26の上端と上記鍔
部23bの上端には、後述する弁体30の下端が離着座
される。
【0043】そして、該環状コア部材26と上記鍔部2
3bとの間には空間(符示せず)が形成されていて、該
空間内には後述する弁体30を上昇方向に附勢する板バ
ネからなるリタンスプリング27が配在されている。
【0044】それ故、該ソレノイド20にあっては、そ
の励磁時に、上記磁性部材23及び環状コア部材26の
配在されているが故に、弁体30をソレノイド20側に
吸着することになり、また、その励磁の解除時に、リタ
ンスプリング27が配在されているが故に、速やかに上
記弁体30の上記磁性部材23及び環状コア部材26か
ら離脱を許容し得ることになる。
【0045】弁体30は、ソレノイド20の上端に隣設
されて該ソレノイド20への励磁時に図中下降するよう
に移動して、その下端が上記磁性部材23及び環状コア
部材26の上端に着座するように構成されてなるもの
で、後述する軸封部材15に摺動可能に介装されてい
る。
【0046】即ち、該弁体30は、軸封部材15の外周
に上下動可能に介装される筒状部31と、該筒状部31
の下端外周に水平に延設されるフランジ部32と、を有
するように形成されてなるもので、筒状部31の上端側
の外周に水平方向に突設されるストッパ33と前記環状
コア部材26との間に配在されるスプリング34によっ
て上昇方向に附勢されるとしている。
【0047】そして、該弁体30は、上記フランジ部3
2に前記磁性部材23の鍔部23bに形成の切り溝23
aに連通する切り溝32aを有しており、上記筒状部3
1に上記切り溝32aに連通する切り溝31aを有して
いる。
【0048】それ故、該弁体30にあっては、ソレノイ
ド20の励磁時に、スプリング34の附勢力に抗して下
降されてその下端が前記磁性部材23及び環状コア部材
26の上端に着座されると共に、ソレノイド20への励
磁の解除時に、スプリング34の附勢力によって上昇さ
れその下端が上記磁性部材23及び環状コア部材26の
上端から離脱されることになる。
【0049】軸封部材15は、非磁性材で形成されて、
シリンダ1の上端を閉塞しながらロッド側室R1とリザ
ーバ室R3との連通を可能にする流路を形成すると共
に、その軸芯部へのピストンロッド2の挿通を可能にす
るように、その内周にピストンロッド2の外周に摺接す
る軸受け部材16を有している。
【0050】尚、該軸封部材15は、軸受け部材16を
含むその内周側の上端が上方に配設の前記シール11c
に当接されるとしており、該軸封部材15の外周側の上
端と上記シール11cとの間には非磁性材からなる環状
プレート17が配在されるとしている。
【0051】また、該軸封部材15は、図示例にあって
は、前記したように、バルブガイドとしても機能するよ
うに設定されており、従って、その外周側の下端に筒状
に延設された垂下部15aを有してなり、該垂下部15
aの内周にシリンダ1の上端を嵌装させながら、該垂下
部15aの外周に前記弁体30における筒状部31の下
端側内周及びフランジ部32の内周を摺接させるとして
いる。
【0052】尚、上記垂下部15aの下端に前記磁性部
材23の上端、即ち、鍔部23bの内周側の上端が当接
されている。
【0053】ところで、ロッド側室R1とリザーバ室R
3との連通を可能にする流路は、上記垂下部15aの内
周側と外周側を連通するように該垂下部15aに径方向
に開穿される油孔15bと、該油孔15bに連通されな
がら該垂下部15aの外周に開口するように形成される
環状溝15cと、からなる。
【0054】そして、上記環状溝15cは、前記弁体3
0が上昇されている場合に、これが開放状態におかれる
と共に、上記弁体30が上昇されている場合に、その筒
状部31によって閉塞状態におかれることになるように
設定されている。
【0055】尚、上記環状溝15cが弁体30の上昇で
開放状態におかれる場合には、これが上記弁体30の筒
状部31に形成の切り溝31a及び該切り溝31aと連
通する上記弁体30のフランジ部32に形成の切り溝3
2aに連通することになるのは勿論である。
【0056】それ故、該軸封部材15にあっては、ロッ
ド側室R1とリザーバ室R3との連通を可能にする流路
の構成を該軸封部材15の外周側の下端に筒状に延設さ
れた垂下部15aに形成の油孔15b及び環状溝15c
とからなるとするので、その構成が簡素となり、該流路
を通過する作動油に余計な流路抵抗を招来させないこと
が可能になる。
【0057】それ故、以上のように形成されたこの実施
例に係る油圧緩衝器にあって、減衰力調整部10は、ケ
ーシング11内にソレノイド20及び弁体30等の所定
の構成部品が収装されてカートリッジ化されることにな
り、従って、該カートリッジ化された減衰力調整部10
についての製品試験を緩衝器本体の製品試験と別個に行
うことが可能になる。
【0058】また、該カートリッジ化された減衰力調整
部10は、これを構成するケーシング11の開口端が緩
衝器本体を構成する外筒5に溶接等によって連設される
ことで緩衝器本体に一体化されることになる。
【0059】このとき、該減衰力調整部10を構成する
ソレノイド20の内周側に磁性部材23を介してである
がシリンダ1の上端側が大きく嵌装されることになるの
で、緩衝器本体の上端側外部に減衰力調整部10を配設
するとしても、油圧緩衝器全体の長さを徒らに大きくし
ないで済むことになる。
【0060】そして、この実施例に係る油圧緩衝器にあ
っては、減衰力調整部10においてソレノイド20への
励磁が解除されて弁体30が上昇状態におかれると、シ
リンダ1内のロッド側室R1とリザーバ室R3との連通
が可能な状態になる。
【0061】このとき、シリンダ1内にピストンロッド
2が没入される圧側行程時には、シリンダ1内をピスト
ン部3が下降することになり、このとき、ロッド側室R
1において不足する作動油がピストン部3に配設の伸側
のチェック弁3bを介してピストン側室R2から流入さ
れると共に、ピストン側室R2において余剰となる作動
油も上記チェック弁3bを介してロッド側室R1に流入
される。
【0062】そして、ピストン側室R2からロッド側室
R1に流入された上記の余剰油は、所謂開放状態にある
減衰力調整部10を介してリザーバ室R3に流出され
る。
【0063】また、シリンダ1内からピストンロッド2
が突出される伸側行程時には、シリンダ1内をピストン
部2が上昇することになり、このとき、ピストン側室R
2において不足する作動油がベースバルブ部4に配設の
圧側のチェック弁4aを介してリザーバ室R3から補給
されると共に、ロッド側室R1において余剰となる作動
油が上記減衰力調整部10を介してリザーバ室R3に流
出される。
【0064】従って、ソレノイド20への励磁が解除さ
れている場合にあっては、伸圧いずれの行程時にもロッ
ド側室R1側からの作動油が開放状態にある減衰力調整
部10を介してリザーバ室R3に流出されることにな
り、このとき各側の減衰バルブ3a,4aが不作動状態
におかれて、該減衰力調整部10、即ち、弁体30で設
定される低い減衰力発生に止まる。
【0065】そして、減衰力調整部10において、ソレ
ノイド20が励磁されると、弁体30が下降してロッド
側室R1とリザーバ室R3とを連通する流路が閉塞され
ることになる(図2参照)。
【0066】それ故、この場合の伸側行程時には、ロッ
ド側室R1の作動油がピストン部3に配設の伸側の減衰
バルブ3aを介して、ピストン側室R2に流入すること
になり、また、圧側行程時には、ピストン側室R2の作
動油がベースバルブ部4に配設の圧側の減衰バルブ4a
を介して、リザーバ室R3に流入することになる。
【0067】そして、各側の減衰バルブ3a,4aが高
いクラッキング圧の下で開放されて作動油の流通を可能
にすることで、高い減衰力が発生されることになる。
【0068】従って、この発明に係る油圧緩衝器にあっ
ては、所要時にソレノイド20を励磁することで発生減
衰力を高くすることが可能になり、例えば、該油圧緩衝
器が車両に搭載される場合に、通常は低い減衰力発生で
ソフトな乗り心地を得るようにしながら、急制動時や急
発進時あるいはロール時における姿勢制御の際には高い
減衰力の発生状態に変更することが可能になり、車両の
走行安定性を向上し得ることになる。
【0069】図3は、減衰力調整部10の他の実施例を
示すものであるが、該減衰力調整部10は、前記した図
2に示す実施例に比較して部分的に差異があるのみで、
その基本的な構成は異ならない。
【0070】よって、以下には、その構成の異なる部分
についてのみ説明する。
【0071】先ず、ソレノイド20部分において、シリ
ンダ1の上端側の外周に隣接されることになる筒状の磁
性部材23は、前記した実施例の場合と異なり、その上
端に鍔部23b(図2参照)を有しない構成とされてい
る。
【0072】もっとも、該磁性部材23が切り溝23a
を有してなること勿論である。
【0073】そして、ソレノイド20の上端、即ち、該
ソレノイド20を構成する筒状ボビン部材24の内周側
の上端が、凹部を形成するように抉られていると共に、
該ソレノイド20の外周側の上端にシール部材21を定
着させるように配設される環状コア部材26が、前記し
た実施例に比較して、厚肉に形成されてなるとしてい
る。
【0074】そしてまた、上記凹部には、前記した実施
例における板バネからなるリタンスプリング27(図2
参照)に代えて、コイルスプリングからなるリタンスプ
リング28が収装されて、弁体30を上昇方向に附勢し
ている。
【0075】次に、弁体30部分においては、該弁体3
0が軸封部材15の外周に上下動可能に摺接する筒状ス
ライダ33と、該筒状スライダ33の下端側の外周に嵌
着された環座34と、からなるとしている。
【0076】因に、上記リタンスプリング28の上端
は、上記環座34の内周側の下端に当接されるとしてい
る。
【0077】上記筒状スライダ33の下端側には、軸封
部材15に形成の環状溝15cに連通することある切り
溝33aが形成されている。
【0078】該切り溝33aは、弁体30がソレノイド
20への励磁で小さいストロークで下降されるとき、上
記環状溝15cにわずかな開度で連通することになる
が、上記弁体30がソレノイド20への励磁で大きく下
降されるときには、上記環状溝15cとの連通が遮断さ
れることになるように設定されている。
【0079】尚、図示例にあって、上記環座34には切
り溝が形成されていない。
【0080】上記弁体30部分において、環座34の外
周側の下端には前記環状コア部材26の上端面にその外
周側が着座されるように配設された非磁性材からなる環
状プレート35の内周側が臨在されている。
【0081】そして、上記環状プレート35の外周側の
上端には非磁性材で筒状に形成されたガイド36の下端
が当接されており、該ガイド36の上端には非磁性の板
バネからなるリタンスプリング37が当接されている。
【0082】尚、上記リタンスプリング37は、前記ケ
ーシング11を構成するキャップ部11bの下端との間
に挟持されている。
【0083】また、上記ガイド36は、その外周がケー
シング11を構成する本体部11aの内周に隣接されて
おり、その内周側には上記環座34を臨在させている。
【0084】それ故、該弁体30部分にあっては、ソレ
ノイド20への励磁で弁体30、即ち、環座34が下降
することになるが、ソレノイド20からの磁力が小さい
場合には、環座34の下降量が環状プレート35で制限
されて小さいストローク量に抑制されることになる。
【0085】そしてこのとき、筒状スライダ33に形成
の切り溝33aが流路を構成する環状溝15cにわずか
な開度で連通することになり、該切り溝33aが環状溝
15cに比較的大きい開度で連通する場合に比較して、
大きい流路抵抗が生じることになって、やや高い減衰力
の発生が可能になる。
【0086】また、該弁体30部分にあっては、ソレノ
イド20からの磁力が大きい場合には、環座34が環状
プレート35を撓ませる程に大きいストローク量で下降
することになり、このとき、筒状スライダ33に形成の
切り溝33aが環状溝15cに連通しなくなって、ロッ
ド側室R1とリザーバ室R3との連通を可能にする流路
が閉塞されることになり、従って、シリンダ1内におけ
るピストン部3の摺動時には、減衰バルブ3a,4aの
作動で高い減衰力が発生されることになる。
【0087】前記した図2及び図3の各実施例にあって
は、この発明に係る油圧緩衝器における減衰力調整部1
0がソレノイド20への励磁時に高い減衰力が発生され
るように設定されてなるとするが、これに代えて、減衰
力調整部10がソレノイド20への励磁の解除時に高い
減衰力が発生されるように設定されるとしても良いこと
勿論である。
【0088】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、油圧
緩衝器における減衰力調整部は、これを構成するケーシ
ング内に所定の構成部品が収装されてカートリッジ化さ
れることになり、従って、該カートリッジ化された減衰
力調整部についての製品試験を緩衝器本体の製品試験と
別個に行うことが可能になる利点がある。
【0089】また、該カートリッジ化された減衰力調整
部は、これが緩衝器本体に連設される際に、シリンダの
上端側を深く挿入させるようになるので、これが緩衝器
本体に連設されるとしても該油圧緩衝器の全体長さを徒
らに大きくしないことが可能になる利点がある。
【0090】そして、緩衝器本体を構成するシリンダの
有効長さを減殺しないので、所定の特性の減衰力発生と
その高低調整が実現されることになり、例えば、車両へ
の搭載に最適となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係る油圧緩衝器を一部破
断して示す正面図である。
【図2】図1に示す油圧緩衝器における減衰力調整部を
拡大して示す部分拡大縦断面図である。
【図3】この発明の他の実施例に係る減衰力調整部を図
2と同様に示す部分拡大縦断面図である。
【図4】従来例としての油圧緩衝器を示す縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 シリンダ 2 ピストンロッド 3 ピストン部 3a,4a 減衰バルブ 4 ベースバルブ部 5 外筒 10 減衰力調整部 11 ケーシング 15 軸封部材 16 軸受け部材 20 ソレノイド 23 磁性部材 30 弁体 R1 ロッド側室 R2 ピストン側室 R3 リザーバ室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−162391(JP,A) 実開 平4−42941(JP,U) 実開 平4−90746(JP,U) 特表 平5−506915(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16F 9/46 B60G 17/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダ内に出没可能に挿通されたピス
    トンロッドの先端に連設されシリンダ内にロッド側室と
    ピストン側室とを区画形成するピストン部のシリンダ内
    での摺動時にシリンダの外部に配在の減衰力調整部にお
    けるソレノイドへの励磁によって減衰力調整部を介して
    のロッド側室のシリンダ外に形成のリザーバ室への連通
    の可不可が選択されるように形成されてなると共に、減
    衰力調整部において低い減衰力発生とされる一方でピス
    トン部に配設の減衰バルブ及びシリンダの下端内部のベ
    ースバルブ部に配設の減衰バルブにおいて高い減衰力発
    生とされるように形成されてなる油圧緩衝器において、
    減衰力調整部は、その開口端がシリンダ外に配設の外筒
    の上端内周に連設されるように形成されたケーシング
    と、該ケーシング内に開口端側に収装されその内周に磁
    性部材を隣設させるソレノイドと、該ソレノイドの上端
    側に昇降可能に配設される弁体と、該弁体をその外周に
    摺接させながらその内周に軸受け部材を隣設させシリン
    ダの上端を閉塞する軸封部材と、を有してなり、ケーシ
    ングの外筒への連設時にソレノイド及び弁体の内周側に
    シリンダの上端側を臨在させる一方で軸封部材の軸芯部
    にピストンロッドを挿通させるように設定されてなり、
    軸封部材,弁体及び磁性部材にロッド側室のリザーバ室
    への連通を可能にする流路が形成されてなると共に、該
    流路が弁体の最下降時に閉塞されるように形成されてな
    ることを特徴とする油圧緩衝器
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