JP3150837B2 - 透明光学樹脂成形品の製造法 - Google Patents

透明光学樹脂成形品の製造法

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JP3150837B2
JP3150837B2 JP02851094A JP2851094A JP3150837B2 JP 3150837 B2 JP3150837 B2 JP 3150837B2 JP 02851094 A JP02851094 A JP 02851094A JP 2851094 A JP2851094 A JP 2851094A JP 3150837 B2 JP3150837 B2 JP 3150837B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透明光学樹脂成形品の
製造法に関する。さらに詳しくは、たとえばコンタクト
レンズ、眼内レンズやその材料などの眼用レンズ、眼用
レンズ材料などの透明光学樹脂成形品の製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、コンタクトレンズや眼用レンズの
製造法としては、たとえば重合成分を容器内で塊状重合
し、えられた重合体に切削、研磨加工を施して所望の形
状とする方法が知られている。かかる方法では、均一な
重合体をうるために重合成分が液体である必要があり、
たとえば固体や気体の単量体を単独で用いたばあいに
は、かかる塊状重合法によって製造することができなか
った。また、2種類以上の単量体の組合わせにおいても
一方が固体または気体の単量体であるばあいには、他の
単量体に均一に混合、溶解させる必要があり、溶解混合
しない固体または気体の単量体を用いたばあいには、塊
状重合法によって製造することができないという問題点
があった。
【0003】このように従来の塊状重合法では、適用可
能な単量体の選択の自由度がきわめて小さいという問題
点がある。
【0004】そこで、かかる問題点を鑑みてあらかじめ
適当な方法にて重合体を作製しておき、その重合体を圧
縮成形してコンタクトレンズあるいは眼内レンズを製造
する方法が提案されている。
【0005】特開昭60−49906号公報には、熱可
塑性樹脂からえられた粉末を1〜100kg/cm2
圧力下で圧縮成形し、レンズまたはレンズブロックをう
る方法が開示されている。しかしながら、かかる方法に
おいては、重合体として熱可塑性樹脂しか用いることが
できず、えられるレンズは架橋構造を有さないものであ
るので、耐溶剤性や機械的強度に劣るなどの問題があ
る。また、かかるレンズに親水性重合体が用いられてい
るばあいには、架橋構造を有しないため、成形後に水和
処理を行なうと親水性重合体が水中に溶解して溶出する
という問題もある。
【0006】特開昭61−41118号公報には、圧縮
成形によって半加工品を重合体のガラス転移温度よりも
高い温度で再成形する方法が開示されている。しかしな
がら、かかる方法においても、用いられる重合体がセル
ロースエステル、メタクリル樹脂、ポリカーボネートな
どの熱可塑性樹脂に限定されており、前記と同様の問題
がある。
【0007】特公昭47−9625号公報には、わずか
に架橋された三次元構造を有する親水性重合体をそのガ
ラス転移温度よりも高い温度で型内で圧縮し、成形して
含水性ソフトコンタクトレンズをうる方法が開示されて
いる。かかる方法によってえられるレンズは、確かに架
橋構造を有するので、たとえば親水性重合体が用いられ
ているばあいであっても、水和処理によって重合体が溶
解して溶出するといった問題がない。しかしながら、重
合体が成形前にすでに架橋されているので、加熱した
り、圧力を負荷しても重合体中の架橋の組み替えや再構
築などが生じる確率がきわめて低い。したがって、圧縮
成形を行なって所望の形状の成形物をえたとしても、成
形前の架橋構造による内部応力が発生するため、次第に
成形前の形状に戻るという問題があり、かかる方法によ
ってえられるコンタクトレンズや眼内レンズには、いち
じるしい経時的な形状変化が発生し、使用に耐えられな
いなどの問題がある。
【0008】米国特許第5,198,477号明細書に
は、一般式: −(−CR1 =CR2 −A−)− (式中、Aは1またはそれ以上のR3 基によって置換さ
れていてもよいアルキレン基またはアルケニレン基、R
1 およびR2 はそれぞれ水素原子または低級アルキル
基、R3 は低級アルキル基、フッ素化低級アルキル基ま
たはシロキサン基を示す)で表わされる繰り返し単位を
有する重合体を、有機過酸化物とともに圧縮成型し、架
橋されたコンタクトレンズをうる方法が開示されてい
る。かかる方法では、確かにえられる成形品が架橋構造
を有しているので、機械的強度などにすぐれるといった
利点はあるが、前記繰り返し単位しか有しないので自由
度がきわめて小さく、たとえばコンタクトレンズに要求
される諸特性をすべて満足しうるものではない。また、
架橋の形成の際には過酸化物が用いられており、これら
化合物は取扱い上きわめて危険であるという問題点もあ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、耐溶剤性にすぐれ、光
学的な歪みがなく、透明性にすぐれ、成形後に経時的な
形状変化が生じず、さらに親水性光学樹脂成形品をうる
際に水和処理を行なったばあいであっても、水に溶解す
ることがない光学樹脂成形品を容易にうることができる
方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、不
飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルおよび不飽
和カルボン酸無水物から選ばれた少なくとも1種のモノ
マーを含有した重合成分を重合してなる未架橋の重合体
を、ポリオールの存在下で加熱圧縮成形することを特徴
とする透明光学樹脂成形品の製造法に関する。
【0011】
【作用および実施例】本発明の透明光学樹脂成形品の製
造法は、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル
および不飽和カルボン酸無水物から選ばれた少なくとも
1種のモノマーを含有した重合成分を重合してなる未架
橋の重合体を、ポリオールの存在下で加熱圧縮成形する
ものである。
【0012】本発明の製造法によれば、加熱圧縮成形時
に未架橋の重合体がポリオールによって架橋されるの
で、耐溶剤性にすぐれ、光学的な歪みがなく、透明性に
もすぐれ、成形後に重合体中で発生する内部応力がきわ
めて小さいことから経時的な形状変化がほとんど生じな
い、たとえばコンタクトレンズ、眼内レンズなどの眼用
レンズなどの光学樹脂成形品が容易にえられる。また、
本発明では、コンタクトレンズとして有用なモノマー、
たとえばシリコーン含有モノマーなどを重合してなる重
合体をもポリオールにて架橋させることが可能であるた
め、多種類の重合体に適用しうるという利点もある。さ
らに、本発明の製造法によれば、不飽和カルボン酸、不
飽和カルボン酸エステルおよび不飽和カルボン酸無水物
から選ばれた少なくとも1種のモノマーを含有した重合
成分を重合してなる未架橋の重合体の2種以上を混合し
たばあいであっても、これら官能基を有する重合体分子
間で加熱圧縮成形に用いたポリオール中の水酸基と反応
し、架橋構造が形成され、前記重合体間での相分離が防
止され、従来の方法では不可能であった透明性にすぐれ
た光学樹脂成形品をうることができる。
【0013】さらに、本発明の製造法により得られる
学樹脂成形品、親水性を有するものを用い、成形した
際に良好に架橋されているので、水和処理を行なったば
あいであっても、水に溶解するというようなことがな
い。
【0014】本発明に用いられる重合体は、前記したよ
うに、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルお
よび不飽和カルボン酸無水物から選ばれた少なくとも1
種のモノマーを含有した重合成分を重合してえられる未
架橋のものであり、かかる重合体は、これらモノマーに
基づく、カルボキシル基、カルボン酸エステル基および
酸無水物基から選ばれた少なくとも1種の官能基を有す
るものである。
【0015】なお、本発明においては、加熱圧縮成形時
に、後述する加熱温度範囲内で容易にポリオールとのあ
いだでエステル化またはエステル交換反応が進行すると
いう点から、前記不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸
エステルおよび不飽和カルボン酸無水物の代表例として
あげられる、たとえば(メタ)アクリル酸、フマル酸、
クロトン酸などの不飽和カルボン酸;メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレ
ート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メ
タ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリ
レート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、トリス[(トリメチル
シロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリレート、
2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレー
ト、ジエチルフマレート、ジブチルフマレート、クロト
ン酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル;無水マレ
イン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などの不飽
和カルボン酸無水物などのなかから選ばれた少なくとも
1種のモノマーを含有した重合成分を重合してえられた
線状重合体を用いることが好ましい。なお、前記線状重
合体とは、分岐鎖を有する重合体を含む概念である。
【0016】前記未架橋の重合体中のカルボキシル基、
カルボン酸エステル基および酸無水物基から選ばれた少
なくとも1種の官能基の個数は、後述するポリオールの
水酸基と反応し、重合体分子間でのエステル化またはエ
ステル交換反応による架橋構造が形成されるのに必要な
量に基づいて決定すればよく、とくに限定がない。
【0017】また、本発明において、目的とする光学樹
脂成形品が、たとえばコンタクトレンズまたは眼内レン
ズやその材料であるばあいには、たとえば酸素透過性や
親水性などの所望の物性を向上せしめるために、前記不
飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルおよび不飽
和カルボン酸無水物のほかに、重合成分として、これら
と共重合可能な他の単量体を用いることができる。
【0018】前記他の単量体としては、たとえばスチレ
ン、(α−アルキル)スチレン、(α−アルキル)−p
−メチルスチレン、(α−アルキル)−p−トリス(ト
リメチルシロキシ)シリルスチレンなどのベンゼン核上
で置換された(α−アルキル)スチレンなどのスチレン
類;酢酸ビニル、酢酸シクロペンチル、ピバリン酸ビニ
ルなどのビニルエステル類;クロロプレン、イソプレ
ン、ブタジエンなどのジエン類;N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類;
N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルラクタム類;エ
チルビニルエーテルなどのビニルエーテル類などがあげ
られ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いる
ことができる。
【0019】なお、本発明においては、前記不飽和カル
ボン酸、不飽和カルボン酸エステルおよび不飽和カルボ
ン酸無水物から選ばれた少なくとも1種のモノマーの使
用量は、重合成分の15重量%以上、なかんづく35重
量%以上であることがすぐれた耐溶剤性、形状安定性な
どの物性を発現するのに効果的な架橋構造を形成しやす
いという点から好ましい。なお、前記重合成分全体、す
なわち重合成分の100重量%が前記不飽和カルボン
酸、不飽和カルボン酸エステルおよび不飽和カルボン酸
無水物から選ばれた少なくとも1種のモノマーであって
もよい。
【0020】また、前記不飽和カルボン酸、不飽和カル
ボン酸エステルおよび不飽和カルボン酸無水物から選ば
れた少なくとも1種のモノマーを含有した重合成分を重
合してなる未架橋の重合体は、単独でまたは2種以上を
混合して用いることができる。
【0021】本発明においては、ポリオールとしては、
重合体中のカルボキシル基、カルボン酸エステル基およ
び酸無水物基から選ばれた少なくとも1種の官能基と反
応して容易に架橋構造を形成するという点から1分子内
に少なくとも2個の水酸基を有するものが用いられる。
【0022】前記ポリオールの代表例としては、たとえ
ばエチレングリコール、トリメチレングリコール、グリ
セロール、ブタンジオール、ブタントリオール、ペンタ
ンジオール、ヘキサンジオール、ジグリセロール、一般
式(I):
【0023】
【化1】
【0024】(式中、R4 はたとえばエチレンオキシド
基、ノルマルプロピレンオキシド基、イソプロピレンオ
キシド基、テトラメチレンオキシド基などで代表される
炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルキレンオキ
シド基、nは2〜600の整数を示す)で表わされるポ
リアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環
式多価アルコール、p−キシレン−α,α´−ジオール
などの芳香族多価アルコール、一般式(II):
【0025】
【化2】
【0026】(式中、R5 およびR6 はそれぞれ独立し
て炭素数3〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン
基または一般式:
【0027】
【化3】
【0028】(式中、pは1〜6の整数を示す)で表わ
される基、R7 、R8 、R9 、R10、R11およびR12
それぞれ独立してメチル基またはフェニル基、mは0ま
たは1〜50の整数を示す)で表わされるシリコーン含
有ポリオールなどがあげられ、これらは単独でまたは2
種以上を混合して用いることができる。
【0029】前記未架橋の重合体を前記ポリオールの存
在下で加熱することにより、たとえば以下の式(A)〜
(C)で表わされるエステル化またはエステル交換反応
が起こり、重合体分子間で架橋構造が形成する。
【0030】たとえば、重合体としてポリメタクリル
酸、ポリオールとしてヘキサンジオールを用いたばあい
には、式(A):
【0031】
【化4】
【0032】で表わされるエステル化反応により、架橋
が形成される。
【0033】また、重合体としてポリメチルメタクリレ
ート、ポリオールとしてヘキサンジオールを用いたばあ
いには、式(B):
【0034】
【化5】
【0035】で表わされるエステル交換反応により、架
橋が形成される。
【0036】また、重合体としてたとえば無水マレイン
酸単位を含む重合体を用い、ポリオールとしてヘキサン
ジオールを用いたばあいには、式(C):
【0037】
【化6】
【0038】(式中、Rは置換基、qはおよびrは正の
整数を示す)で表わされるように、酸無水物の環が開環
し、エステル化反応が進行し、架橋が形成される。
【0039】本発明によれば、不飽和カルボン酸、不飽
和カルボン酸エステルおよび不飽和カルボン酸無水物か
ら選ばれた少なくとも1種のモノマーを含有した重合成
分を重合してなる未架橋の重合体がポリオールの存在下
で加熱圧縮成形されると同時に架橋されるが、該重合体
の架橋は、エステル化およびエステル交換反応のいずれ
にもとづくものであってもよい。
【0040】本発明において、前記未架橋の重合体は、
ポリオールの存在下で加熱圧縮成形されるが、これらを
加熱圧縮成形する前にあらかじめ混合しておくことが、
重合体がポリオールの作用によって均一に架橋されうる
点から好ましい。
【0041】前記未架橋の重合体とポリオールとの混合
方法としては、えられる光学樹脂成形品に脈理や光学的
な歪みなどが発生しにくいという点から、これらを粉末
状にしたのち、または粉末状にすると同時に均一に混合
する方法が好ましい。前記混合方法にはとくに限定がな
いが、たとえば以下の(イ)〜(ハ)の方法などがあげ
られる。
【0042】(イ)重合体およびポリオールを、たとえ
ば混合粉砕機などを用いて機械的に充分に混合する方
法。
【0043】なお、かかる方法においては、用いる重合
体の形状にはとくに限定がなく、ペレット状、シート
状、ブロック状、粉末状などのいずれの形状のものであ
ってもよい。
【0044】(ロ)重合体およびポリオールを、一括し
てまたはそれぞれ溶媒(A)中に溶解させ、該重合体お
よびポリオールの濃度が所定の濃度となるように調整さ
れた溶液を調製したのち、重合体およびポリオールを溶
解させず、かつ前記溶媒(A)と混合しうる溶媒(B)
中へ、重合体およびポリオールの溶液を注ぎ、生成した
重合体とポリオールが混在した沈殿物を回収する方法。
【0045】なお、前記溶媒(A)および溶媒(B)の
種類は、用いる重合体およびポリオールの種類によって
異なり、一概には決定することができないが、たとえば
重合体としてポリメチルメタクリレートおよびポリオー
ルとしてヘキサンジオールを用いたばあいには、溶媒
(A)がテトラヒドロフランおよび溶媒(B)がn−ヘ
キサンの組合わせが好ましい。
【0046】(ハ)前記(ロ)の方法とは逆に、前記
(ロ)と同様にしてえられた重合体およびポリオールの
溶液中へ、溶媒(B)を注いで沈殿物をうる方法。
【0047】なお、前記(ロ)および(ハ)の方法にお
いて、重合体およびポリオールの溶液の濃度が高く、繊
維状の沈殿物がえられたばあいには、該沈殿物を乾燥し
たのち、たとえば粉砕機などを用いて粉末状の混合物と
すればよい。
【0048】本発明においては、前記したように、重合
体およびポリオールは粉末状の混合物とすることが好ま
しいが、重合体とポリオールとが均一に混合されていれ
ば、シート状やブロック状の混練物として用いることも
できる。
【0049】前記混練物をうる方法としては、たとえば
重合体を混練機などを用いて充分に混練したのち、ポリ
オールを添加して混合し、ロールを用いてシート状にし
たり、押出してブロック状にしたりする方法などがあげ
られる。
【0050】前記未架橋の重合体とポリオールとの使用
割合は、用いる重合体中のカルボキシル基、カルボン酸
エステル基および酸無水物基から選ばれた少なくとも1
種の官能基の重合体分子中における存在割合、重合体の
分子量、ポリオールの分子量、水酸基の個数などによっ
て異なるため、一概には決定することができないが、該
官能基が水酸基によってエステル化されて架橋構造を好
適に形成しうるように重合体およびポリオールの配合量
を決定することが好ましい。
【0051】たとえば、重合体の側鎖中におけるカルボ
キシル基、カルボン酸エステル基および酸無水物基から
選ばれた少なくとも1種の官能基の割合が、重合体1分
子中の重合単位に対して50モル%以上である重合体を
用いるばあいには、加熱圧縮成形に供せられる重合体中
の全官能基数と混合するポリオール中の水酸基数との比
(水酸基数/官能基数)の値が0.005〜0.5程度
となるように調整することが好ましい。かかる比の値が
0.005よりも小さいばあいには、えられる成形品の
耐溶剤性が向上しにくくなったり、また2種以上の重合
体を用いて加熱圧縮成形を行なうと、架橋構造が充分に
形成されず、えられる成形品の透明性が劣るようになる
傾向があり、また0.5よりも大きいばあいには、えら
れる成形品の架橋密度が大きくなりすぎてかえって機械
的性質、たとえば耐衝撃強度などが低下する傾向があ
る。一方、たとえば重合体の側鎖中における前記官能基
の割合が、重合体1分子中の重合単位に対して50モル
%未満である重合体を用いるばあいには、重合体の側鎖
中において、ポリオール中の水酸基と反応して架橋構造
を形成しうる部位が相対的に少なくなるので、前記比
(水酸基数/官能基数)の値が0.05〜1.2程度と
なるように調整することが好ましい。かかる比の値が
0.05よりも小さいばあいには、えられる成形品の耐
溶剤性が向上しにくくなったり、また2種類以上の重合
体を用いて加熱圧縮成形を行なうと、架橋構造が充分に
形成されず、えられる成形品の透明性が劣るようになる
傾向があり、また1.2よりも大きいばあいには、えら
れる成形品の架橋密度が大きくなりすぎ、かえって機械
的性質、たとえば耐衝撃強度などが低下する傾向があ
る。
【0052】未架橋の重合体とポリオールとの組み合わ
せの一例として、ポリメチルメタクリレートなどの単独
重合体およびヘキサンジオールなどを用いるばあいに
は、ポリメチルメタクリレート100部(重量部、以下
同様)に対してヘキサンジオールが0.1〜20部、な
かんづく0.5〜10部であることがえられる成形品の
耐溶剤性の向上や、2種以上の重合体を用いたばあいに
充分に架橋構造が形成され、えられる成形品の透明性が
向上する点およびえられる成形品の耐衝撃強度などが低
下しにくいという点から好ましい。
【0053】なお、本発明においては、前記未架橋の重
合体のカルボキシル基、カルボン酸エステル基および酸
無水物基から選ばれた少なくとも1種の官能基とポリオ
ール中の水酸基とのエステル化反応を促進させる目的
で、たとえば前記未架橋の重合体とポリオールとの混合
物を圧縮成形する前に触媒を混合してもよい。
【0054】前記触媒にはとくに限定がなく、通常の触
媒を用いることができるが、たとえばp−トルエンスル
ホン酸などの酸触媒、一般式(III): R13−O−M (III) (式中、R13は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐鎖状
のアルキル基、Mはナトリウム原子またはカリウム原子
を示す)で表わされるアルカリ金属アルコキシドなどの
塩基性触媒があげられる。なお、かかる触媒の使用量
は、用いる重合体およびポリオールの種類などに応じて
適宜調整することが好ましい。
【0055】また、本発明においては、前記触媒のほか
にも、たとえば染料、顔料などの着色剤、紫外線吸収剤
などの添加剤を用いることができ、かかる添加剤を含有
した透明光学樹脂成形品をうるばあいには、重合成分に
該添加剤を配合し、該添加剤を含有した未架橋の重合体
をえたのち、ポリオールと混合する方法や、未架橋の重
合体とポリオールとを混合する際に該添加剤を添加する
方法などを採用することができる。
【0056】前記未架橋の重合体をポリオールの存在下
で、好ましくはあらかじめこれらを混合物としたもの
を、加熱圧縮成形することによって、たとえばコンタク
トレンズや眼内レンズなどの眼用レンズおよびその材料
などの透明光学樹脂成形品をうることができる。
【0057】加熱圧縮成形には、所望の形状の成形品を
うるための成形型を有する圧縮成形機が用いられるが、
かかる圧縮成形機は、所定の圧力および温度を成形型に
付与することができるものであればとくに限定はない。
【0058】前記成形型としては、目的とする透明光学
樹脂成形品の形状を正確に転写して設計されたものであ
ればよい。たとえばコンタクトレンズをえようとするば
あいには、コンタクトレンズに必要とされる規格の雄型
および雌型が用いられる。また、たとえば眼内レンズを
えようとするばあいには、光学部の直径が約3〜5mm
のレンズとその縁から外へ向かって設けられたループと
から構成される成形型が用いられ、かかる複雑な形状の
成形型としては、通常の放電加工などの方法によって製
造されたものを用いることができる。なお、たとえばコ
ンタクトレンズ材料や眼内レンズ材料などの眼用レンズ
材料は、切削、研磨などの機械的加工を施して所望のコ
ンタクトレンズや眼内レンズとするばあいもあるので、
かかる成形の際には、たとえばブロック状の成形品をう
ることができるような成形型を用いればよい。
【0059】なお、前記成形型の材質としては、たとえ
ばステンレス鋼、ガラス、石英、セラミックス、クロム
合金、スズ、鉛、銀、アンチモン、ビスマスなどをベー
スとした精密刻印用合金などがあげられ、目的に応じて
適宜選択すればよい。
【0060】加熱圧縮成形は、目的とする透明光学樹脂
成形品の容積に応じ、前記未架橋の重合体、ポリオール
および必要に応じて触媒を、好ましくはこれらを粉末状
にしてその必要量を圧縮成形機の成形型内に充填し、所
望の圧力および温度で行なわれる。
【0061】たとえば、コンタクトレンズ形状の成形品
をうるばあいには、およそ20mg程度の混合物を充填
して圧縮成形を行なえばよい。また、ブロック状の成形
品をうるばあいには、直径がおよそ10mm程度の円柱
状の型内に約1.5g程度を充填して圧縮成形を行なえ
ばよい。かかる量を充填し、成形してえられた成形品に
機械加工を施すことにより、コンタクトレンズなどの光
学樹脂成形品を容易にうることができる。
【0062】前記加熱圧縮成形時の温度は、約150〜
500℃であることが好ましく、所望の透明光学樹脂成
形品をうるためには、用いる重合体のガラス転移温度よ
りも高いことが好ましい。
【0063】重合体として、ポリメチルメタクリレート
などのアルキルメタクリレートエステルを一構成成分と
するものを圧縮成形するばあいには、p−トルエンスル
ホン酸などの触媒の存在下で前記温度範囲内、およそ2
60℃以上で成形することが好ましい。かかる温度より
も低い温度で成形したばあいには、重合体とポリオール
の分子間でのエステル交換反応が生じにくく、架橋が生
成しにくくなって、えられる光学樹脂成形品の物性、た
とえば耐溶媒性などが低下する。
【0064】一方、無水マレイン酸や無水イタコン酸な
どの酸無水物を一構成成分とする重合体とメタクリル酸
などの遊離の酸を成分として有する重合体を用いるばあ
いには、通常、触媒は必要ではなく、前記温度範囲内で
成形すれば架橋が容易に生成される。
【0065】いずれの重合体を用いるばあいにも、前記
温度の上限値よりも温度が高いと、重合体やポリオール
の分解が生じやすくなり、所望の物性を満足する成形品
がえられにくくなる傾向がある。
【0066】前記加熱圧縮成形時の圧力は、所望の物性
を満足しうる透明光学樹脂成形品をうることができるよ
うに適宜調整すればよく、とくに限定がないが、通常1
0〜1000kg/cm2 程度であることが好ましい。
【0067】また加熱圧縮成形に要する時間は、設定し
た温度および圧力によって適宜調整すればよく、とくに
限定がないが、たとえば5〜120分間程度であること
が好ましい。
【0068】なお、前記加熱圧縮成形時の温度および圧
力は、成形開始時から終了時まで一定であってもよく、
ばあいによっては時間とともに適宜変更してもよい。
【0069】つぎに、本発明の透明光学樹脂成形品の
造法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発
明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0070】実施例1 スチレン(以下、STという)51.5部(重量部、以
下同様)、無水マレイン酸(以下、MAAhという)4
8.5部およびアゾビスジメチルバレロニトリル(以
下、V−65という)0.7部をテトラヒドロフラン
(以下、THFという)中で重合させ、未架橋の共重合
体(側鎖中における官能基(酸無水物基)の割合:50
モル%、以下、PST/MAAhという)をえた。
【0071】このPST/MAAh98部と1,6−ヘ
キサンジオール(以下、HDOLという)8部をTHF
に溶解させた溶液をn−ヘキサンに注いで白色沈殿物を
えた。
【0072】えられた白色沈殿物を乾燥させたのち、粉
砕機を用いて粉砕し、PST/MAAhとHDOLとが
混合された粉末をえた。なお、PST/MAAh中の酸
無水物基数とHDOL中の水酸基数との比(水酸基数/
酸無水物基数)の値は0.28である。
【0073】かかる粉末0.17gを内径25mmのス
テンレス鋼製の成形型内に充填し、温度180℃、圧力
300kg/cm2 の条件で60分間加熱圧縮成形を行
ない、フィルム状の成形品をえた。
【0074】えられた成形品は、眼用レンズ(コンタク
トレンズや眼内レンズなど)に必要なすぐれた透明性お
よび硬さを有するものであり、偏光板を用いたところ、
光学的な歪がほとんどないものであった。また、以下に
示す方法にしたがって、えられた成形品の耐溶剤性を調
べた。その結果を表1に示す。表1に示された結果か
ら、えられた成形品は、耐溶剤性にすぐれていることが
わかる。
【0075】[耐溶剤性試験]圧縮成形によってえられ
たフィルムに機械加工を施し、厚さ0.2mmのフィル
ムにした。このフィルムを室温下でTHF中に浸漬して
6時間放置したのち、フィルムの外観を目視にて観察
し、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0076】(評価基準) A:若干膨潤しているにとどまる。 B:膨潤がいちじるしい。 C:溶解している部分がある。 D:完全に溶解している。
【0077】比較例1 実施例1において、PST/MAAhとHDOLとが混
合された粉末0.17gのかわりに、HDOLが混合さ
れていない未架橋のPST/MAAhの粉末0.17g
を用いたほかは、実施例1と同様にして圧縮成形を行な
い、成形品をえた。かかる成形品は透明で硬いものであ
った、偏光板で光学歪みが観察され、コンタクトレンズ
や眼内レンズなどの光学成形品として好ましいものでは
なかった。
【0078】つぎに実施例1と同様にして耐溶剤性試験
を行なった。その結果を表1に示す。表1に示された結
果からわかるように、えられた成形品は耐溶剤性に劣る
ものであった。
【0079】実施例2 トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン(以下、
SiSTという)80.3部、MAAh19.7部およ
びV−65 0.3部をTHF中で重合させ、未架橋の
共重合体(側鎖中における官能基(酸無水物基)の割
合:50モル%、以下、PSiST/MAAhという)
をえた。
【0080】PSiST/MAAh95部とHDOL5
部をTHFに溶解させた溶液をメタノールに注ぎ白色沈
殿物をえた。
【0081】えられた沈殿物を乾燥したのち、粉砕機に
て粉砕し、PSiST/MAAhとHDOLとが混合さ
れた粉末をえた。なお、PSiST/MAAh中の酸無
水物基数とHDOL中の水酸基数との比(水酸基数/酸
無水物基数)の値は0.44である。
【0082】かかる粉末0.38gを実施例1と同様の
型を用い、温度180℃、圧力300kg/cm2 で6
0分間加熱圧縮成形を行ない、フィルム状の成形品をえ
た。えられたフィルムは無色で眼用レンズ(コンタクト
レンズ、眼内レンズなど)に必要なすぐれた透明性およ
び硬さを有するものであり、偏光板を用いたところ、光
学的な歪みがほとんどないものであった。この成形品の
耐溶剤性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表
1に示す。表1に示された結果からわかるように、えら
れた成形品は耐溶剤性にすぐれたものであった。
【0083】比較例2 実施例2において、PSiST/MAAhとHDOLと
が混合された粉末0.38gのかわりに、HDOLが混
合されていないPSiST/MAAh0.34gを用い
たほかは、実施例2と同様に圧縮成形を行ない、成形品
をえた。えられた成形品は透明で硬いものであったが、
偏光板で若干光学歪みが観察され、コンタクトレンズあ
るいは眼内レンズなどの光学成形品として好ましいもの
ではなかった。
【0084】つぎに実施例1と同様にして耐溶剤性試験
を行なった。その結果を表1に示す。表1に示された結
果からわかるように、えられた成形品は耐溶剤性に劣る
ものであった。
【0085】実施例3 実施例2でえられた未架橋のPSiST/MAAh91
部と重合度がおよそ17のポリエチレングリコール9部
とをTHFに溶解させた溶液をメタノールに注ぎ、白色
沈殿物をえた。
【0086】えられた沈殿物を乾燥し、粉砕機にて粉砕
し、PSiST/MAAhとポリエチレングリコールと
が混合された粉末をえた。なお、PSiST/MAAh
中の酸無水物基数とポリエチレングリコール中の水酸基
数との比(水酸基数/酸無水物基数)の値は0.13で
ある。
【0087】かかる粉末0.12gを内径15mmのス
テンレス鋼製の型内に充填し、温度180℃、圧力80
0kg/cm2 で35分間加熱圧縮成形を行ない、フィ
ルム状の成形品をえた。えられた成形品は透明性にすぐ
れ、硬く、偏光板を用いたところ、光学的な歪みがほと
んどなく、眼用レンズ(コンタクトレンズ、眼内レンズ
など)の光学樹脂成形品として好ましいものであった。
えられた成形品の耐溶剤性を実施例1と同様にして調べ
た。その結果を表1に示す。表1に示された結果からわ
かるようにえられた成形品は、耐溶剤性にすぐれるもの
であった。
【0088】実施例4 メチルメタクリレート(以下、MMAという)65.7
部と無水イタコン酸(以下、ITAhという)34.3
部およびV−65 0.14部をTHF中で重合して、
未架橋の共重合体(側鎖中における官能基(カルボン酸
メチルエステル基および酸無水物基)の割合:100モ
ル%、以下、PMMA/ITAhという)をえた。
【0089】PMMA/ITAh95部とHDOL5部
をTHFに溶解させた溶液をn−ヘキサンに注ぎ、白色
沈殿物をえた。
【0090】えられた沈殿物を乾燥させたのち、粉砕機
にて粉砕し、PMMA/ITAhとHDOLとが混合さ
れた粉末をえた。なお、PMMA/ITAh中のカルボ
ン酸メチルエステル基および酸無水物基の数とHDOL
中の水酸基数との比(水酸基数/カルボン酸メチルエス
テル基および酸無水物基の数)の値は0.29である。
【0091】かかる粉末0.14gを実施例3と同様の
条件で加熱圧縮成形を行ない、フィルム状の成形品をえ
た。えられた成形品は無色透明で硬く、偏光板を用いた
ところ、光学的な歪みがほとんどなく、光学樹脂成形品
として好ましいものであった。またかかる成形品の耐溶
剤性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に
示す。表1に示された結果からわかるように、えられた
成形品は、耐溶剤性にすぐれたものであった。
【0092】比較例3 実施例4において、PMMA/ITAhとHDOLとが
混合された粉末0.14gのかわりに未架橋のPMMA
/ITAhの粉末0.14gを用いたほかは、実施例4
と同様にして圧縮成形を行ない、成形品をえた。かかる
成形品は透明で硬いものであったが、実施例1と同様に
して耐溶剤性試験を行なったところ、耐溶剤性に劣るも
のであった。
【0093】実施例5 ST48.3部、ITAh51.7部およびV−65
0.13部をTHF中で重合し、未架橋の共重合体(側
鎖中における官能基(酸無水物基)の割合:50モル
%、以下、PST/ITAhという)をえた。
【0094】PST/ITAh95部とHDOL5部を
THFに溶解させた溶液をn−ヘキサンに注ぎ白色沈殿
物をえた。
【0095】えられた白色沈殿物を乾燥させたのち、粉
砕機にて粉砕し、PST/ITAhとHDOLとが混合
された粉末をえた。なお、PST/ITAh中の酸無水
物基数とHDOL中の水酸基数との比(水酸基数/酸無
水物基数)の値は0.19である。
【0096】えられた粉末0.16gに実施例3と同様
の条件で圧縮成形を施し、フィルム状の成形品をえた。
えられた成形品は無色透明で硬く、偏光板を用いたとこ
ろ、光学的な歪みがほとんどなく、光学樹脂成形品とし
て好ましいものであった。またかかる成形品の耐溶剤性
を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示
す。表1に示された結果からわかるように、えられた成
形品は、耐溶剤性にすぐれたものであった。
【0097】比較例4 実施例5において、PST/ITAhとHDOLとが混
合された粉末0.16gのかわりに未架橋のPST/I
TAhの粉末0.15gを用いたほかは、実施例5と同
様にして圧縮成形を行ない、成形品をえた。えられた成
形品は透明で硬いものであったが、耐溶剤性試験を行な
ったところ、耐溶剤性に劣るものであった。
【0098】実施例6 メチルビニルエーテル(以下、MVEという)とMAA
hとからなる未架橋の共重合体(MVEとMAAhとの
モル比:50/50、側鎖中における官能基(酸無水物
基)の割合:50モル%、以下、MVE/MAAhとい
う)93.5部とHDOL6.5部をTHFに溶解させ
た溶液をn−ヘキサンに注ぎ、白色沈殿物をえた。
【0099】えられた白色沈殿物を乾燥したのち、粉砕
機にて粉砕し、MVE/MAAhとHDOLとが混合さ
れた粉末をえた。なお、MVE/MAAh中の酸無水物
基数とHDOL中の水酸基数との比(水酸基数/酸無水
物基数)の値は0.22である。
【0100】かかる粉末0.15gに実施例3と同様の
条件で圧縮成形を施し、フィルム状の成形品をえた。え
られた成形品は黄色に着色していたが透明で硬く、偏光
板を用いたところ、光学的な歪みがほとんどなく、光学
樹脂成形品として好ましいものであった。またかかる成
形品の耐溶剤性を実施例1と同様にして調べた。その結
果を表1に示す。表1に示された結果からわかるよう
に、えられた成形品は、耐溶剤性にすぐれたものであっ
た。
【0101】比較例5 実施例6において、MVE/MAAhとHDOLとが混
合された粉末0.15gのかわりに、HDOLが混合さ
れていない未架橋のMVE/MAAhの粉末0.13g
を用いたほかは、実施例6と同様にして圧縮成形を行な
い、成形品をえた。かかる成形品は黄色透明で硬いもの
であったが、実施例1と同様にして耐溶剤性試験を行な
ったところ、耐溶剤性に劣るものであった。
【0102】実施例7 未架橋のポリメタクリル酸(側鎖中における官能基(カ
ルボキシル基)の割合:100モル%、以下、PMAA
という)93部とHDOL7部をエタノールに溶解させ
た溶液をn−ヘキサンに注ぎ、白色沈殿物をえた。
【0103】えられた沈殿物を乾燥したのち、粉砕機に
て粉砕し、PMAAとHDOLとが混合された粉末をえ
た。なお、PMAA中のカルボキシル基数とHDOL中
の水酸基数との比(水酸基数/カルボキシル基数)の値
は0.11である。
【0104】かかる粉末0.05gをコンタクトレンズ
形状の真鍮製の成形型内に充填し、温度220℃、圧力
800kg/cm2 で60分間加熱圧縮成形を行ない、
成形品をえた。えられた成形品は無色透明で正確な所望
のコンタクトレンズ形状を有するものであった。
【0105】この成形品を蒸留水中でおよそ2時間煮沸
して水和処理を施したところ、水和されたハイドロゲル
コンタクトレンズをうることができた。かかるソフトコ
ンタクトレンズには、室温下で1週間放置したのちであ
っても、溶出や重合体の溶解が認められず、さらに水和
処理を施した直後のものと比較して形状変化がなく、該
ソフトコンタクトレンズが安定性にすぐれたものである
ことがわかった。
【0106】比較例6 実施例7において、PMAAとHDOLとが混合された
粉末0.05gのかわりに、HDOLが混合されていな
い未架橋のPMAAの粉末0.05gを用いたほかは、
実施例7と同様にして成形品を作製した。えられた成形
品は、正確な所望のコンタクトレンズ形状を有するもの
であったが、かかる成形品に実施例7と同様にして水和
処理を施したところ、変形がいちじるしく、水和処理終
了時点では亀裂が入り、ソフトコンタクトレンズとして
使用することができるものではなかった。
【0107】実施例8 未架橋のポリメチルメタクリレート(側鎖中における官
能基(カルボン酸メチルエステル基)の割合:100モ
ル%、以下、PMMAという)90.3部、HDOL
7.3部およびp−トルエンスルホン酸2.4部をTH
Fに溶解させた溶液をn−ヘキサンに注ぎ、白色沈殿物
をえた。
【0108】えられた沈殿物を乾燥したのち、粉砕機に
て粉砕し、PMMAとHDOLとp−トルエンスルホン
酸とが混合された粉末をえた。なお、PMMA中のカル
ボン酸メチルエステル基数とHDOL中の水酸基数との
比(水酸基数/カルボン酸メチルエステル基数)の値は
0.14である。
【0109】えられた粉末0.22gを内径25mmの
ステンレス鋼製の型内に充填し、温度260℃、圧力3
00kg/cm2 で60分間加熱圧縮成形を行ない、フ
ィルム状の成形品をえた。
【0110】えられた成形品は、ほぼ透明で硬く、偏光
板を用いたところ、光学的な歪みがほとんどなく、コン
タクトレンズや眼内レンズなどの光学樹脂成形品として
好ましいものであった。かかる成形品の耐溶剤性を実施
例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。表1
に示された結果からわかるように、えられた成形品は、
耐溶剤性にすぐれたものであることがわかった。
【0111】比較例7 実施例8において、PMMAとHDOLとp−トルエン
スルホン酸とが混合された粉末0.22gのかわりに、
HDOLおよびp−トルエンスルホン酸が混合されてい
ない未架橋のPMMAの粉末0.31gを用いたほか
は、実施例8と同様にして圧縮成形を行ない、成形品を
えた。えられた成形品は無色透明で硬いものであった
が、耐溶剤性試験を行なったところ、耐溶剤性に劣るも
のであった。
【0112】
【表1】
【0113】
【発明の効果】本発明の製造法においては、加熱圧縮成
形時に未架橋の重合体がポリオールによって架橋される
ので、該製造法によってえられる、たとえば眼用レン
ズ、眼用レンズ材料などの透明光学樹脂成形品は、耐溶
剤性にすぐれ、機械的強度が大きいと同時に、光学的な
歪みがなく、相分離がおさえられて透明性にもすぐれ、
成形後に重合体中で発生する内部応力がきわめて小さい
ことから経時的な形状変化や物理化学的変化がほとんど
生じず、さらに親水性光学樹脂成形品をうる際に水和処
理を行なったばあいであっても溶解することがないとい
う効果を奏する。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エ
    ステルおよび不飽和カルボン酸無水物から選ばれた少な
    くとも1種のモノマーを含有した重合成分を重合してな
    る未架橋の重合体を、ポリオールの存在下で加熱圧縮成
    形することを特徴とする透明光学樹脂成形品の製造法。
  2. 【請求項2】 ポリオールが1分子内に少なくとも2個
    の水酸基を有するものである請求項記載の透明光学樹
    脂成形品の製造法。
  3. 【請求項3】 透明光学樹脂成形品が眼用レンズ材料で
    ある請求項または記載の透明光学樹脂成形品の製造
    法。
  4. 【請求項4】 透明光学樹脂成形品が眼用レンズである
    請求項または記載の透明光学樹脂成形品の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101759169B1 (ko) * 2016-11-15 2017-07-19 김하정 휴대용 방음 헬멧

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