JP3150741B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

車両用空調装置

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JP3150741B2 JP34493591A JP34493591A JP3150741B2 JP 3150741 B2 JP3150741 B2 JP 3150741B2 JP 34493591 A JP34493591 A JP 34493591A JP 34493591 A JP34493591 A JP 34493591A JP 3150741 B2 JP3150741 B2 JP 3150741B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車室外空気の汚染度に
応じて内外気の取入れを自動調整する車両用空調装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、多くの車両には、温度設定器の設
定に応じて車室内の空調を行う車両用空調装置が具備さ
れている。この空調装置は、内気取入口と外気取入口と
を選択的に切替え開口させる内外気切替ダンパを有し、
通常、外気導入モードまたは内気循環モードが選択でき
るようになっている。上記空調装置において、市街地等
の空気汚染が激しい場所で外気導入モードが選択された
場合、車室外の汚染された空気が車室内に流入し、乗車
している者の快適感を損ない兼ねない。
【0003】上記のような問題に対応すべく、外気取入
れ口に外気の汚染度を検出するためのガスセンサを有
し、ガスセンサの検出信号に応じて、外気導入モードと
内気循環モードとの切替えを自動調整する車両用空調装
置がある。この空調装置は、上記ガスセンサの検出信号
から外気の汚染度を判断し、外気の汚染度に応じて的確
にモード切替えを実施することにより、汚染空気が車室
内に流入するのを防止するようになっている。
【0004】上記ガスセンサには、通常、SnO2 焼結
体等の金属酸化物半導体を用いた固体熱導型のものが使
用される。このガスセンサは、還元性ガスが付着すると
ガス濃度に応じて抵抗値が低下するようになっており、
ガスセンサの抵抗値の変化(ガスセンサの出力電圧の変
化)によって外気汚染度が判定される。
【0005】尚、上記ガスセンサは、再現性に乏しいた
め、初期抵抗値は製品によって個々に異なる。即ち、所
定のガス濃度のときに一定の抵抗値を示すようなガスセ
ンサを製造することは困難であり、同じガス濃度であっ
ても製品によって個々に抵抗値が異なる。このため、ガ
スセンサの抵抗値を1対1でガス濃度に対応させて絶対
値(例えばppmで表す)に変換すれば、製品によって
誤差が大きくなり、正確な外気汚染度の判定が行えな
い。
【0006】但し、初期値aΩのガスセンサをガス濃度
100ppmの空気中に入れると、抵抗値はn・aΩに
なるならば、初期値bΩのガスセンサを同濃度の空気中
に入れると、抵抗値はn・bΩになるといったように、
抵抗値の変化率に対するガス濃度はどのセンサも同じで
ある。
【0007】そこで、ガスセンサの抵抗値のピーク値
(検出される抵抗値のなかで汚染度が低いときの値)を
基準値として、抵抗値の基準値に対する変化率から外気
汚染度を判定する方法が考えられる。上記の基準値を基
準として相対的に内外気切替基準を定めれば、この内外
気切替基準よりもガスセンサの抵抗値が低くなったと
き、外気汚染度が高いと判定することができ、このとき
内気循環モードにすればよい。
【0008】尚、上記基準値は、以下のようにして求め
られる。即ち、自動車のキースイッチがONされると、
外気汚染度に応じたガスセンサの抵抗値が検出されるよ
うになるが、車両の走行する場所に応じて抵抗値は変化
するので、より高い抵抗値が検出される度に、基準値を
更新するのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の場合、市街地や
工業地帯等の外気汚染度の高い場所ばかりを走行してい
る場合と、郊外の外気汚染度の低い場所を走行している
場合とでは、基準値は当然後者の方が高くなる。上記の
内外気切替基準は、基準値を基準として相対的に定めら
れるので、外気汚染度の高い場所(以下、汚染地域と称
する)よりも、汚染地域でない所の方が内外気切替基準
が高くなる。従って、従来の車両用空調装置では、汚染
地域でない所を走行しているときは、比較的外気汚染度
が低くても外気導入モードにならないといった事態が生
じることになり、走行場所に応じた適切な内外気切替え
が行われているとはいえない。
【0010】本発明は、上記に鑑みなされたものであ
り、その目的は、走行場所に応じた適切な内外気切替え
が実施され、汚染地域でない所を走行しているとき、比
較的汚染度が低い外気を車室内に導入できる車両用空調
装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の車両用空調装置
は、上記の課題を解決するために、車室外空気の取り入
れと車室内空気の取り入れとを切替える切替手段と、車
室外空気の汚染度を検出する検出手段と、上記検出手段
によって、より外気汚染度が低い検出値が検出される度
に、該検出値を基準値として更新する更新手段と、上記
基準値を基準として相対的に得られる内外気切替基準を
上記検出手段の検出値と比較して車室外空気の汚染度を
判定し、汚染度が高いときに車室内空気が取り入れられ
るように上記切替手段の動作を制御する制御手段とを備
えている車両用空調装置であって、さらに、自車走行位
置が市街地や工業地帯等の、外気汚染度が高い汚染地域
にあるか否かを識別する識別手段と、この識別手段の出
力に基づいて上記内外気切替基準を変更する変更手段と
を備えていることを特徴としている。
【0012】
【作用】上記の構成によれば、制御手段は、検出手段の
検出値と内外気切替基準との比較結果に応じて切替手段
の動作を制御し、汚染度が高い外気を車室内に取り込ま
ないように、車室外空気の取り入れと車室内空気の取り
入れとを自動的に切替えるようになっている。
【0013】そして、内外気切替えのタイミングを決定
する上記内外気切替基準は、より外気汚染度が低い検出
値が検出される度に、該検出値を基準値として更新する
更新手段によって求められた基準値から相対的に得られ
るものであり、例えば基準値の所定倍が内外気切替基準
とされる。
【0014】この場合、外気汚染度が高い汚染地域ばか
りを走行しているのと、そうでない地域を走行している
のとでは、基準値が大きく異なるため、このままでは車
両走行場所によって内外気切替基準も異なり、非汚染地
域においては汚染度が低くても外気導入モードにならな
いことになる。しかしながら、本発明の車両用空調装置
は、自車走行位置外気汚染度が高い汚染地域にあるか否
かを識別する識別手段を備え、この識別手段の出力に基
づいて、変更手段により、非汚染地域における外気導入
モードの範囲を拡げるように上記内外気切替基準が変更
される。これにより、非汚染地域を走行しているとき、
比較的汚染度が低い外気が車室内に導入されるようにな
る。
【0015】
【実施例】本発明の一実施例を図1ないし図7に基づい
て説明すれば、以下の通りである。
【0016】本実施例に係る車両用空調装置は、図1に
示すように、内気取入口と外気取入口とを選択的に切替
え開口させる内外気切替ダンパ(以下、切替ダンパと称
する)1と、上記切替ダンパ1を駆動する内外気切替ア
クチュエータ(以下、アクチュエータと称する)2とか
ら構成される切替手段を備えている。
【0017】また、上記空調装置は、所定の処理プログ
ラムが格納されているROM、処理データを一時格納す
る領域が形成されているRAM、およびROMに格納さ
れている処理プログラムに従って所定の演算処理を行う
CPUを有する制御手段としてのコントローラ3を備え
ている。このコントローラ3は、後述のガスセンサ5の
出力に基づいて、内気取入口を開口して内気循環を行う
内気循環モード(以下、RECモードと称する)、或い
は、外気取入口を開口して外気導入を行う外気導入モー
ド(以下、FREモードと称する)を選択し、上記アク
チュエータ2を制御して各モードに応じた切替ダンパ1
の切替えを行うようになっている。
【0018】上記切替ダンパ1、アクチュエータ2、お
よびコントローラ3は、取入れられた空気を冷却・加熱
して設定温度に調節する図示しない調節手段と共にエア
ーコントロールユニット(以下、A/Cユニットと称す
る)4を構成しており、このA/Cユニット4は、図2
に示すように、車室に設けられている。
【0019】また、上記空調装置は、エンジンルーム内
に設けられて車室外空気の汚染度を検出する検出手段と
してのガスセンサ5を有している。上記ガスセンサ1
は、例えばSnO2 焼結体等の金属酸化物半導体を用い
た固体熱導型のものであり、還元性ガスが付着するとガ
ス濃度に応じて抵抗値RS が低下するようになってい
る。このガスセンサ1は、図3に示すように、金属酸化
物半導体を加熱して活性化するためのヒータコイル5a
を有し、このヒータコイル5aには5Vのヒータ電圧が
印加されている。そして、ガスセンサ1には5Vの電圧
が印加されており、ガスセンサ1の出力側は上記コント
ローラ3に接続されている。
【0020】また、ガスセンサ5とコントローラ3との
接続ラインには、一端が接地された所定の負荷抵抗RL
が接続されている。従って、ガスセンサ5の出力電圧V
S は、 VS =5RL /(RS +RL ) …(1) となる。そして、コントローラ3は、上記ガスセンサ1
から入力される電圧VS に基づいて、上式1から導かれ
る次式2 RS =RL (5−VS )/VS …(2) の演算を行い、検出値としてのガスセンサ1の抵抗値R
S を割り出す。
【0021】上記コントローラ3は、図4(a)に示す
ように、FREモードのときに検知されるガスセンサ1
の抵抗値RS が、FREモードからRECモードに切替
えられるときの内外気切替基準RR (以下、切替基準と
称する)以下になったとき、同図(b)に示すように、
FREモードからRECモードに切替える。また、コン
トローラ3は、同図(a)に示すように、RECモード
のときに検知されるガスセンサ1の抵抗値RS が、RE
CモードからFREモードに切替えられるときの切替基
準RF 以上になったとき、同図(b)に示すように、R
ECモードからFREモードに切替える。上記の切替基
準RR ・RF は、ハンチング防止のためにRR <RF
されている。
【0022】そして、コントローラ3は、抵抗値RS
ピーク値(検出される抵抗値RS のなかで車室外空気の
汚染が少ないときの値)を基準値RS0とし、基準値RS0
から相対的に切替基準RR ・RF を定め、基準値RS0
対する抵抗値RS の変化率からモード切替えタイミング
を判断する。例えば、同図(a)に示すように、基準値
S0のa倍(0<a<1)の値が、切替基準RR (RR
=a・RS0)として設定される。また、基準値RS0のb
倍(0<b<1,a<b)の値が、RECモードからF
REモードに切替えられるときの切替基準RF (RF
b・RS0)として設定される。
【0023】コントローラ3は、上記基準値RS0を格納
する領域が形成されたRAMを有している。そして、コ
ントローラ3は、運転者により自動車のキースイッチが
ONされたとき、先ず最初に検出されるガスセンサ5の
抵抗値RS を基準値RS0として上記RAM内に格納し、
その後、RAM内に格納されている基準値RS0よりも大
きい抵抗値RS が検出される毎に、その値を新たに基準
値RS0としてRAMに格納するようになっている。尚、
RECモードからFREモードに切替えられた場合、車
室内外の汚染度が略同じになるので、この時点の汚染度
が新たな基準とされ、このときから再び基準値RS0の更
新が開始されるようになっている。即ち、FREモード
に切替えらるとき検出される抵抗値RS が、RAM内に
格納されている基準値RS0に関わらず、基準値RS0とし
て新たにRAMに格納される。
【0024】本実施例の車両には、図1に示すように、
自車走行位置を認識するナビゲーションシステム6が採
用されており、ナビゲーションシステム6の出力はコン
トローラ3に入力される。そして、上記切替基準RR
F を決定するaおよびbの値は、識別手段としてのナ
ビゲーションシステム6の出力に応じて、コントローラ
3により設定される。
【0025】上記ナビゲーションシステム6の一例を図
5に示している。ナビゲーションシステム6は、人工衛
星から送信される位置情報を受信する受信装置7と、基
準点から見てどの方向にあるかを検出する方位検出装置
8と、基準点からどれだけ離れた位置にあるかを検出す
る距離検出装置9と、自車位置を地図上に設定する自車
位置設定装置10と、地図メモリ11と、汚染度地域メ
モリ12と、中央処理装置13と、表示装置14とから
構成されている。
【0026】上記中央処理装置13は、受信装置7や方
位検出装置8、距離検出装置9からの情報を基に現在位
置を算出し、表示装置14に自車走行位置を表示させ
る。また、上記汚染度地域メモリ12には、予め空気汚
染度が高いと予想される、市街地や工業地帯等の汚染地
域のデータが格納されている。そして、上記中央処理装
置13は、算出された自車走行位置が、汚染地域に該当
する場合、汚染地域を示す信号(例えば「1」)を、汚
染地域に該当しない場合、非汚染地域を示す信号(例え
ば「0」)をそれぞれコントローラ3に出力する。
【0027】そして、コントローラ3は、汚染地域を示
す信号「1」が入力された場合、非汚染地域を示す信号
「0」が入力された場合よりも、切替基準RR を大きく
する(即ち、FREモードになり難くする)。本実施例
においては、汚染地域を示す信号「1」が入力された場
合、切替基準RR =0.8RS0に設定され、非汚染地域を
示す信号「0」が入力された場合、切替基準RR =0.6
S0に設定される。
【0028】上記の構成において、本車両用空調装置の
動作を、コントローラ3の制御動作を示す図6のフロー
チャートに基づいて以下に説明する。
【0029】先ず、運転者により自動車のキースイッチ
がONされることにより、図示しない車載バッテリから
同じく図示しない安定化電圧回路を介して所定の安定電
圧がガスセンサ5に印加される。これにより、ガスセン
サ5からは車室外空気の汚染度に応じた電圧信号V
S が、コントローラ3に入力される(S1)。このと
き、コントローラ3は、上式2で表される演算を行い、
ガスセンサ1の抵抗値RS を割り出す(S2)。
【0030】次に、コントローラ3は、前回RECモー
ドの設定を行ったかどうか(即ち、現在RECモードで
あるかどうか)を判断し(S3)、RECモードでなけ
れば、現在設定されている基準値RS0とS2で割り出し
た抵抗値RS とを比較する(S4)。そして、コントロ
ーラ3は、抵抗値RS が現在の基準値RS0より大きい
(RS >RS0)とき、抵抗値RS を新たに基準値RS0
して更新する(S5)一方、抵抗値RS が基準値RS0
下のときは基準値RS0の更新は行わない。上記S4・5
は、検出される抵抗値RS の最大値を基準値RS0として
更新する動作である。また、コントローラ3は、S3に
おいて前回RECモードの設定を行ったと判断すれば、
切替基準RF =0.9RS0と抵抗値RS とを比較し(S1
4)、抵抗値RS が切替基準RF 以上(RS ≧0.9
S0)のとき(このとき、FREモードに切替えられ
る)、抵抗値RS を基準値RS0として新たに更新する
(S15)。上記S3〜S5、およびS14・S15で
示されるコントローラ3の動作プログラムが、特許請求
の範囲に記載されている更新手段を構成している。勿
論、更新手段をコントローラ3とは別の独立した構成に
することもできる。
【0031】尚、キースイッチがONされた初期におい
ては、モード設定は初めてであり(S3でNOと判
断)、基準値RS0は0(ゼロ)に設定されている(S4
でYESと判断)ので、初期入力された電圧信号VS
ら得られた抵抗値RS が基準値RS0として設定される
(S5)。
【0032】上記ピーク値更新動作(S4・5)後、コ
ントローラ3は、ナビゲーションシステム6から汚染地
域を示す信号「1」が入力されているか否かを判断する
(S6)。汚染地域を示す信号「1」が入力されている
場合、切替基準RR =0.8RS0に設定し(S7)、非汚
染地域を示す信号「0」が入力されている場合、切替基
準RR =0.6RS0に設定する(S8)。このS6〜S8
で示されるコントローラ3の動作プログラムが、特許請
求の範囲に記載されている変更手段を構成している。勿
論、変更手段をコントローラ3とは別の独立した構成に
することもできる。
【0033】そして、コントローラ3は、S7またはS
8で設定された切替基準RR と抵抗値RS とを比較し
(S9またはS10)、抵抗値RS が切替基準RR 以下
(RS ≦RR )のとき、RECモードに設定する(S1
1)一方、抵抗値RS が切替基準RR よりも大きいと
き、FREモードに設定する(S12、S13)。この
後、コントローラ3の動作は再びS1に移行する。
【0034】また、コントローラ3は、S3において前
回RECモードの設定を行ったと判断すれば、上述のよ
うに切替基準RF =0.9RS0と抵抗値RS とを比較する
(S14)。そして、抵抗値RS が切替基準RF 以上
(RS ≧0.9RS0)のとき、抵抗値RS を基準値RS0
して新たに更新する(S15)と共に、アクチュエータ
2を制御して切替ダンパ1を切替えさせてFREモード
にする(S13)一方、S14において抵抗値RS が切
替基準RF より小さいと判断したとき、RECモードの
ままモード設定を変えない(S11)。この後、コント
ローラ3の動作は再びS1に移行し、以下、同様の動作
が繰り返される。
【0035】ここで、検出される抵抗値RS の経時変化
の一例を図7(a)に、そして、このときの設定モード
の変化を同図(b)に示す。自動車のキースイッチが投
入されてから同図中の点Aにいたるまで、検出されたガ
スセンサ5の抵抗値RS が基準値RS0として更新され、
ピーク点Aのときの抵抗値RS が基準値RS0として用い
られる。このとき、車両は汚染地域を走行しており、切
替基準RR は0.8RS0に設定されている。従って、切替
基準RR =0.8RS0と交差する点BにおいてFREモー
ドからRECモードに切替えられる。この後、切替基準
F =0.9RS0と交差する点Cにおいて、再びFREモ
ードに戻され、このときの抵抗値RS が基準値RS0とし
てリセットされる。この後、点Cよりも大きい抵抗値R
S が検出される度に基準値RS0として更新され、以下、
同様にしてモード切替えが実施される。次に、車両が非
汚染地域に入った場合、抵抗値RS のピーク点D(この
ときの抵抗値RS が基準値RS0として用いられる)は、
当然、汚染地域走行中のピーク点Aよりも大きくなる。
車両は非汚染地域を走行中であるので、切替基準RR
0.6RS0に変更されており、切替基準RR =0.6RS0
交差する点EにおいてFREモードからRECモードに
切替えられる。この後、切替基準RF =0.9RS0と交差
する点Fにおいて、再びFREモードに戻され、このと
きの抵抗値RS が基準値RS0としてリセットされる。こ
の後、点Fよりも大きい抵抗値RS が検出される度に基
準値RS0として更新され、以下、同様にしてモード切替
えが実施される。
【0036】上記のように、汚染地域走行中と、非汚染
地域走行中とでは、基準値RS0が大きく異なっている
(点Aと点D)が、本実施例では、基準値RS0に対する
抵抗値RS の変化率(RS /RS0)を、汚染地域(0.
8)と非汚染地域(0.6)とで変えて切替基準RR を設
定しているので、非汚染地域でのFREモードの範囲が
拡げられ、比較的汚染度の低い外気も車室内に導入可能
となっている。これにより、走行場所に応じた適切な内
外気切替えが実現される。
【0037】尚、本実施例では、ナビゲーションシステ
ム6からの汚染地域または非汚染地域を示す信号に基づ
いて、切替基準RR のみが変えられるようになっている
が、切替基準RF についても汚染地域か非汚染地域かに
よって変更する構成であってもよい。本実施例の場合、
汚染地域では切替基準RF =0.9RS0に、非汚染地域で
は切替基準RF =0.7RS0に設定することにより、走行
場所に応じた適切な内外気切替えが実現される。
【0038】ところで、近年、安全、円滑な快適ドライ
ブを可能にするために、渋滞している道路の状況や、駐
車場の位置など、様々な情報を運転者に知らせる道路交
通情報通信システムの開発が進んでいる。現在、首都圏
を中心とした道路脇に交通情報送信装置が設置され、車
両に搭載された交通情報受信装置によって、道路の渋滞
情報が受信できるようになっている。
【0039】そこで、上記の交通情報受信装置が搭載さ
れている車両の場合、図8に示すように、交通情報受信
装置15をコントローラ3に接続した構成の車両用空調
装置を用いることができる。この場合、コントローラ3
は、ナビゲーションシステム6の情報と共に、交通情報
受信装置15の受信情報に基づいて、以下のように切替
基準RR を変更する。
【0040】即ち、図9に示すように、コントローラ3
は、前記同様にしてS1〜S5の動作を行った後、ナビ
ゲーションシステム6からの信号により、汚染地域か否
かを判断する(S6)。そして、コントローラ3は、ナ
ビゲーションシステム6から非汚染地域を示す信号
「0」が入力されている場合(S6)、さらに、交通情
報受信装置15の受信情報より道路が渋滞しているか否
かを判断する(S16)。
【0041】そして、コントローラ3は、渋滞している
と判断した場合、切替基準RR を0.8RS0に設定する
(S7)一方、渋滞していないと判断したときは、切替
基準RR を0.6RS0に設定する(S8)。このように構
成すれば、例えば、非汚染地域にある高速道路で渋滞が
生じた場合でも、適切な内外気切替えが実施できるよう
になる。勿論、コントローラ3は、切替基準RR のみな
らず切替基準RF を変更する構成であってもよい。
【0042】
【発明の効果】本発明の車両用空調装置は、以上のよう
に、車室外空気の取り入れと車室内空気の取り入れとを
切替える切替手段と、車室外空気の汚染度を検出する検
出手段と、上記検出手段によって、より外気汚染度が低
い検出値が検出される度に、該検出値を基準値として更
新する更新手段と、上記基準値を基準として相対的に得
られる内外気切替基準を上記検出手段の検出値と比較し
て車室外空気の汚染度を判定し、汚染度が高いときに車
室内空気が取り入れられるように上記切替手段の動作を
制御する制御手段とを備えている車両用空調装置であっ
て、自車走行位置が汚染地域にあるか否かを識別する識
別手段と、この識別手段の出力に基づいて上記内外気切
替基準を変更する変更手段とを備えている構成である。
【0043】それゆえ、非汚染地域における外気導入モ
ードの範囲を拡げるように、自車走行位置に応じて内外
気切替基準を変更することができ、これにより、走行場
所に応じた適切な内外気切替えが実施され、汚染地域で
ない所を走行しているとき、比較的汚染度が低い外気を
車室内に導入できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すものであり、車両用空
調装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】上記空調装置の車両における取付け位置の一例
を示す説明図である。
【図3】上記空調装置のガスセンサを示す回路図であ
る。
【図4】上記ガスセンサの抵抗値RS と内外気切替基準
R ・RF とに応じて内気循環モードと外気導入モード
とが切替えられることを説明する説明図である。
【図5】上記空調装置に用いられるナビゲーションシス
テムの要部の構成を示すブロック図である。
【図6】上記空調装置のコントローラの動作を示すフロ
ーチャートである。
【図7】上記ガスセンサの抵抗値RS の経時変化の一例
と、このときの設定モードの変化とを示す説明図であ
る。
【図8】本発明の他の実施例を示すものであり、ナビゲ
ーションシステムと交通情報受信装置とが搭載されてい
る車両に具備される車両用空調装置の要部の構成を示す
ブロック図である。
【図9】上記空調装置のコントローラの動作を示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1 内外気切替ダンパ(切替手段) 2 内外気切替アクチュエータ(切替手段) 3 コントローラ(制御手段、更新手段、変更手段) 5 ガスセンサ(検出手段) 6 ナビゲーションシステム(識別手段) RS ガスセンサの抵抗値(検出値) RS0 基準値 RR 内外気切替基準
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 貴志 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 石川 俊和 広島県安芸郡府中町新地3番1号 ナル デック株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−271913(JP,A) 特開 平4−270955(JP,A) 特開 平4−154425(JP,A) 特開 昭61−27720(JP,A) 特開 昭59−23722(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60H 1/24 B60H 1/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車室外空気の取り入れと車室内空気の取り
    入れとを切替える切替手段と、車室外空気の汚染度を検
    出する検出手段と、上記検出手段によって、より外気汚
    染度が低い検出値が検出される度に、該検出値を基準値
    として更新する更新手段と、上記基準値を基準として相
    対的に得られる内外気切替基準を上記検出手段の検出値
    と比較して車室外空気の汚染度を判定し、汚染度が高い
    ときに車室内空気が取り入れられるように上記切替手段
    の動作を制御する制御手段とを備えている車両用空調装
    置であって、自車走行位置が汚染地域にあるか否かを識
    別する識別手段と、この識別手段の出力に基づいて上記
    内外気切替基準を変更する変更手段とを備えていること
    を特徴とする車両用空調装置。
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