JP3149090B2 - 細胞質雑種植物の作成方法 - Google Patents

細胞質雑種植物の作成方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、細胞融合方法により、直接ダイコン由来の
サイトプラストからその細胞質遺伝子をナタネ等のブラ
シカ属植物由来のプロトプラストに導入し、細胞質雑種
を作成する方法に関するものである。
(従来の技術および発明が解決しようとする問題点) 細胞質にある核外遺伝子には細胞質雄性不稔(Cytopl
asmic Male Sterility:以下CMSと略す)などの有用遺伝
子が存在することが知られている。細胞質の有用形質を
栽培品種に導入するためには、戻し交配を用いる従来法
のほかに、X線などによって核を不活化したプロトプラ
ストを用いた非対称細胞融合による細胞質雑種作成法な
どが行われている。ブラシカ属植物でも非対称融合によ
る細胞質雑種の作成が報告されている[セオレティカル
アンド アプライド ジェネティクス(Theor.Apll.G
enet.)、73、809−814(1987);第10回植物組織培養
シンポジウム講演要旨集第166項(1987)]。しかし、
これらの報告の中で、核を不活化したにもかかわらず、
染色体の脱落が完全でないことが問題点としてあげられ
てきた。
近年プロトプラストを超遠心分陸することにより細胞
核のみを脱落させた脱核細胞を作成する方法が提案され
ている[フィジオロジア プランタルム(Physiol.Plan
t.)、53、385−391(1981)]。
この脱核細胞はサイトプラストとよばれている。
サイトプラストを単離する方法にはタバコ及びトウモ
ロコシの培養細胞を用いて行った例がある。しかし、サ
イトプラストを得るためには培養細胞を用いなければな
らないこと、あるいは再現性よく十分な量のサイトプラ
ストが得られないことなどの理由から、上記方法はいま
だ実用化には至っていない。
又、サイトプラストは核を持たないため、これを片親
にして細胞融合を行えば、X線処理などによる核の不活
化を行うことなくサイブリッドが得られると考えられる
が、サイトプラストを用いてサイブリッドを得たという
報告は、タバコで1例あるのみであり[モレキュラー
アンド ジェネラル ジェネティクス(Mol.Gen.Gene
t.)、185、211−215(1982)]、サイブリッドの作出
は未だ困難であるというのが現状である。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らの検討によれば、ダイコンの下胚軸由来の
プロトプラストをパーコールとマニトールを用いた不連
続密度勾配遠心にかけると、再現性よくサイトプラスト
を単離することができ、これをヨード化合物処理したナ
タネのプロトプラストと融合させ、得られた融合細胞を
培養してコロニーを形成させ、更に不定芽を形成させる
ことにより、容易に目的とするサイブリッドが得られる
ことが分かった。即ち、本発明の要旨は、ダイコン由来
のサイトプラストとヨード化合物処理したブラシカ属植
物由来のプロトプラストとを融合させ、次いで得られた
融合細胞を培養してコロニーを形成させ、該コロニーか
ら植物体を再生させることを特徴とする細胞質雑種植物
の製造方法に存する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明を使用するダイコンとしては、CMS系統などが
あげられ、特にUK−1及びコセナという2系統が好適で
ある。
また、ブラシカ属植物としては、春蒔ナタネ、秋蒔ナ
タネ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー及びハボ
タン等の各栽培品種があげられる。
先ず、サイトプラストの単離方法について述べる。
ダイコン下胚軸より、常法に従い酵素処理によってプ
ロトプラストを単離し、それらをW5液[プラント セル
リボーツ(Plant Cell Rep.)、、196−198(198
4)]中に懸濁する。パーコールとマニトールを混合し
た各々の比重の異なる3層の溶液を重層した不連続密度
勾配を作成し、W5液中に懸濁したプロトプラストを静か
に乗せる。この3層の溶液のパーコール濃度は比重の重
いものから順に50%、20%、0%である。このチューブ
を8℃、4000r.p.m.の条件で超遠心分離機を用いて30分
遠心分離すると、プロトプラストは3層の比重の異なる
細胞群に分かれる。この内、一番上層に位置する細胞群
がサイトプラストである。これらを細胞質供与体として
細胞融合に用いる。
一方、細胞質受容体として用いるブラシカ属植物のプ
ロトプラストは、常法に従って、植物体の一部を細分
し、セルラーゼやペクチナーゼ等の細胞壁分解酵素を含
む酵素液で25−30℃、5−20時間処理して得られる。得
られたプロトプラストは、ヨードアセトアミド等のヨー
ド化合物2−40mMで4−35℃、5−10分間処理し、プロ
トプラストが単独で分裂できないようにしておく。プロ
トプラストとサイトプラストを融合させる溶液として
は、40%のポリエチレングリコール(以下PEGと略す)
を含むW5液を用い、プロトプラストとサイトプラストを
1:2の割合で混合し、室温で融合させる。
上述のように融合処理した細胞は、PEGを除去したの
ち、同じシャーレにKM液体培地[プランタ(Planta)、
126、105−110(1975)]を加え、グリメリウスの方法
[フィジオロジア プランタルム(Physiol.Plant.)、
61、38−44(1984)]に従って培養し、不定芽を誘導す
る。これらの不定芽を、常法に従って生育させ、バーミ
キュライト上に移植して発根させると、目的とする細胞
質雑種植物を得ることができる。
(実施例) 以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
1) ダイコンからのサイトプラストの調製 ダイコン(コセナ)の下胚軸を発芽後5−7日目の植
物より切り取り、2%セルラーゼRS、0.5%マセロザイ
ムR−10、及び0.05%ペクトリアーゼY−23を含む0.4M
サッカロース液中で細かく刻み、そのまま25℃で16時間
放置する。この酵素液から常法に従い、プロトプラスト
を調製する。
2) サイトプラストの調製 先ず、比重の異なる3種類の溶液を調製する。それら
は、1)0.9Mマニトールと、パーコール(Pharmacia
製)を1:1の割合で混合したもの、2)0.6Mマニトール
とパーコールを4:1の割合で混合したもの、3)0.6Mマ
ニトール、である。これらの日立社製の超遠心機SCP70
のスイングローターRPS−55T用の遠心チューブ内に、下
層より1)、2)、3)、の順に各1mlずつ静かに重層
する。先に調製しておいたプロトプラストをW5液中に10
5個/mlの濃度になるように懸濁し、それを上記の遠心チ
ューブの最上に静かに重層後8℃、40000r.p.m.の条件
で30分間遠心分離する。
遠心分離後チューブを取り出すと、プロトプラストは
3層に分画されている。この3層のうち、最上層にサイ
トプラスト画分が位置している。この最上層をパスツー
ルピペットで静かに吸い取り、W5液に懸濁し、800r.p.
m.、5分の条件でサイトプラストを洗ったのち、直ちに
融合操作に移す。このとき、サイトプラストを長時間
(10分以上)放置しておかないようにする。
3) 葉肉プロトプラストの調製及びヨードアセトアミ
ド処理 春蒔ナタネの無菌苗から葉を取り、常法に従ってプロ
トプラストを調製する。葉肉プロトプラストは、W5液に
2×105個/mlの濃度で懸濁し、これに100mMのヨードア
セトアミド液を最終濃度が5mMになるように加え、室温
で、10分間放置したのち、800r.p.m.で5分間遠心分離
してプロトプラストを集め、その後W5液で2回洗ってヨ
ードアセトアミド処理プロトプラストを得た。
4) 細胞融合 ヨードアセトアミド処理した葉肉プロトプラストと単
離したサイトプラストを1:2の割合で最終濃度2×106
/mlになるように混合し、その混合液を100μlのドロッ
プとして6cmシャーレに3−4個のドロップをおいた。
これらのドロップ内で、2種の細胞が沈むまで5分間放
置した。次に、40%のPEGを含むW5液50μlを各ドロッ
プに加え、5分放置した。その後、PEG液を吸い取り、1
3%PEGを含むW5液を50μl加え、5分放置した。13%PE
Gを吸い取り、0.7%PEGを加え、5分放置した。6.7%PE
Gを吸い取り、0.4Mグルコース、2,4−ジクロロフェノキ
シ酢酸(以下2,4−Dと略す)1mg/、ナフタレン酢酸
(以下NAAと略す)0.1mg/、ベンジルアミノプリン
(以下BAPと略す)0.4mg/を含むKM液体培地をシャー
レに加え、25−27℃、100−200luxで培養を行った。
5) 融合細胞の培養 4)の培養液中で7日〜10日間培養したのち、0.1Mサ
ッカロース、2,4−D1mg/、NAA0.1mg/、BAP0.4mg/
を含むKM液体培地を等量加えさらに培養を続けたとこ
ろ、3〜4週間で0.5〜1mmのコロニーが形成された。こ
のコロニーを0.2Mマンニトール、0.1Mサッカロース、2,
4−D1mg/、BAP0.1mg/、アガロース0.5%含むMS修正
培地に移し、約1か月培養して2mm程度にまで増殖させ
た。このカルスを0.2Mマンニトール、0.06Mサッカロー
ス、インドール酢酸(以下IAAと略す)0.1mg/、ゼア
チン2mg/、硫酸アデニン80mg/、カゼイン加水分解
物100mg/、0.6%アガロースを含むMS修正培地に置床
し、不定芽形成を誘導した。カルスは約1か月後に0.03
Mサッカロース、IAA0.1mg/、ゼアチン2mg/、アガロ
ース0.8%を含む培地に植え継ぎ、不定芽誘導を促し
た。
得られた不定芽は0.1mg/BAP、0.1Mサッカロース、
0.8%アガロースを含むB5培地で成育させ、その後0.1mg
/NAA、0.1Mサッカロース、0.8%アガロースを含むMS
培地で発根させた。植物体はバーミキュライトに移植
し、さらに培地に移して育てた。
得られた植物は染色体数が2n=38(菜種型)を示し、
それらの50%がCMS型のミトコンドリアDNAを持ってい
た。
(発明の効果) 本発明によれば、ダイコンCMS細胞質は戻し交配の手
法を経ることなく、短期間でブラシカ属植物に導入する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今村 順 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 株式会社植物工学研究所内 (56)参考文献 特開 昭64−20041(JP,A) 育種学雑誌 第36巻[別2 ](1986),p.106−107 育種学雑誌 第37巻[別1 ](1987),p.280−281 育種学雑誌 第38巻[1](1988), p.43−52 鎌田博 外1名著「植物のバイオテク ノロジー」中公新書787,p.143−154

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ダイコンの下胚軸由来のサイトプラストと
    ヨード化合物処理したブラシカ属植物由来のプロトプラ
    ストとを融合させ、次いで得られた融合細胞を培養して
    コロニーを形成させ、該コロニーから植物体を再生させ
    ることを特徴とする細胞質雑種植物の作成方法。
JP12397089A 1989-05-17 1989-05-17 細胞質雑種植物の作成方法 Expired - Fee Related JP3149090B2 (ja)

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育種学雑誌 第38巻[1](1988),p.43−52
鎌田博 外1名著「植物のバイオテクノロジー」中公新書787,p.143−154

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