JP3149054B2 - 自己保護機能を有する半導体デバイス - Google Patents

自己保護機能を有する半導体デバイス

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JP3149054B2
JP3149054B2 JP33567595A JP33567595A JP3149054B2 JP 3149054 B2 JP3149054 B2 JP 3149054B2 JP 33567595 A JP33567595 A JP 33567595A JP 33567595 A JP33567595 A JP 33567595A JP 3149054 B2 JP3149054 B2 JP 3149054B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパワー半導体デバイ
スの構造に関し、特に静電誘導サイリスタ(SIサイリ
スタ)、ゲート・ターン・オフ・サイリスタ(GTOサ
イリスタ)、MOS制御サイリスタ(MCT)等の自己
保護機能を有する半導体デバイス構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来よりSIサイリスタ等のサイリスタ
系パワー半導体デバイスをインバーター等応用回路にス
イッチングデバイスとして用いる場合、回路上の不慮の
トラブルや外部の不慮の仕様を越す過電圧過電流印加に
より前記パワー半導体デバイスが永久破壊に至ることが
あった。特に、回路に流れる電流を遮断するターンオフ
スイッチングモードにおいて、遮断電流の減少に伴い増
大する過電圧上昇は最もパワー半導体デバイスにとって
厳しい条件となり、ターンオフ破壊に至ることがある。
以下、SIサイリスタを例に説明する。
【0003】図8は従来の埋込ゲート型SIサイリスタ
の断面図である。nベース基板101の主表面上にチ
ャンネルを規定する複数のpベース領域102、及び
該pベース領域102に電気的に接続するpガード
層103を形成する。pベース領域102上にnエピ
タキシャル層104を形成し、該nエピタキシャル層1
04上にnエミッタ層105を形成する。pガード
層103上には、表面より拡散形成されたp引出しゲ
ート層106が設けられる。nベース基板101の他
の主表面には、pエミッタ領域107とnアノード
ショート領域108が交互に形成され、その全面にアノ
ード電極(A)109が形成される。カソード電極
(K)110はnエミッタ層上に形成される。ゲート
電極(G)111は、露出するpベース領域102上
及びpガード層を含むp引出しゲート層106上に
形成される。
【0004】次に、図8に示されるSIサイリスタのタ
ーンオフ動作を図9より説明する。図9(a)は簡略ゲ
ート回路GCを含む簡易試験回路図、同図(b)はター
ンオフ動作時の主電圧:V,主電流:I,ゲート電圧:
,ゲート電流:Iの波形を示す図である。同図
中、実線は正常にターンオフが動作した場合であり、破
線は過電圧が印加された場合を示し、V´のように´記
号を付す。尚、SIサイリスタは順阻止電圧:2500
V,実効電流:300Aの設計例であり、nベース基
板101の厚みが400μm,デバイス径が34mmφ
である。
【0005】正常なターンオフは以下のように動作す
る。順方向電流(I)をゲート逆バイアス(−V
により、ゲートから外部に蓄積電荷を引抜くことによ
り、ゲート接合近傍から空乏層が生成され、主電流Iの
減衰と共に半導体デバイス両端に順阻止電圧(主電圧)
Vが立上がる。この順阻止電圧は主回路の配線インダク
タンス等のため、電源電圧V以上の値VDMに達した
後、電源電圧Vまで減衰してターンオフ動作を完了す
る。
【0006】一方、回路の不都合や外部の瞬時の過電圧
がターンオフ時に印加されると以下のように動作する。
ポイント(P1)にて過電圧VDM´が印加されると、
SIサイリスタの順阻止電圧の能力を越えてしまい、遮
断中の主電流I´が急激に増加し、それにつられゲート
電流I´も増加する。その結果、SIサイリスタは永
久破壊となる。また、負荷急変等により遮断電流つまり
順方向電流Iの値が突然増加すると、順阻止電圧にオ
ーバシュート電圧分が加算され、順阻止電圧のピーク値
DMの増大となることもある。ここで、オーバーシュ
ート電圧は、主回路の配線等のインダクタンスをLとす
ると、L×(dI/dt)により規定される。
【0007】SIサイリスタでは上述のようにターンオ
フ破壊が発生する。破壊を防止する手段として、高周波
動作の要求度が低いGTOサイリスタ等の場合、シュー
トスルーと呼ばれ、過電圧を検知し、ターンオフ中にゲ
ート回路に正のゲート信号をいれ、強制的に全導通させ
ることにより、過電圧を回避するやり方が用いられるこ
とがある。しかし、高周波動作の要求が高いSIサイリ
スタ等の場合、GTOサイリスタよりシュートスルー耐
量が低目となる場合があること、また回路上ターンオフ
スイッチング中単発の過電圧にもかかわらずターンオフ
の失敗がなくターンオフが成功するほうが望ましいこと
などの理由により、前記シュートスルーはしないで済ま
せたいニーズがある。
【0008】また、トランジスタ系半導体デバイスで
は、過電流をモニター部で検知してゲート信号を発しデ
バイス破壊を防ぐ自己保護機能を内蔵することが提案さ
れている(電気学会研究会資料、EDD−93−27、
山崎,関等による「過電圧保護機能内蔵型IGBT」参
照)。しかし、サイリスタ系半導体デバイスは、トラン
ジスタ系半導体デバイスに比べて順方向に電流を流した
とき、電流飽和が小さく順方向電圧降下が低いのが特徴
である。そのため、サイリスタ系半導体デバイスでは、
トランジスタ系半導体デバイスでの自己保護機能を適用
することが従来実現されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】サイリスタ系パワー半
導体デバイスは電圧形インバーターに多く用いられてお
り、その際の半導体デバイスの破壊原因として最も多い
のはターンオフ破壊である。上述したようにターンオフ
破壊は、遮断電流が流れた後、電圧が急激に上昇するた
め生じる。従来、サイリスタ系パワー半導体デバイスに
おいてターンオフ時の異常な電圧上昇に対してターンオ
フ破壊に至らせず無事にターンオフ動作させることは難
しく、ターンオフスイッチング中の不慮の過電圧に対し
て問題があった。
【0010】それゆえ、本発明の目的は、ターンオフス
イッチング中の不慮の過電圧に対してターンオフ破壊を
防止しターンオフ動作させる自己保護機能を有する半導
体デバイスを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】サイリスタ系パワー半導
体デバイスにおいて、過電圧が印加された際にゲート回
路に一時的に電流を流す自己保護機能構造をアノード・
ゲート間に設ける。その自己保護機能構造は、一導電型
の半導体基板と、前記半導体基板の一主面上に設けられ
た反対導電型の第1の半導体層と、前記第1の半導体層
上に設けられた一導電型の第2の半導体層と、前記第1
の半導体層と電気的に接続するように前記第2の半導体
層上に設けられたゲート電極と、前記半導体基板の前記
一主面に対向する他の主面上に全面若しくは選択的に設
けられた反対導電型の第1の半導体領域と、前記第1の
半導体領域を含む前記半導体基板の前記他の主面上に設
けられたアノード電極とからなる。前記第1の半導体層
は任意のピッチで分布する複数の第2の半導体領域から
なり、前記複数の第2の半導体領域のうち隣接する第2
の半導体領域は重なるように分布される。また、前記第
2の半導体層の表面に任意のピッチで分布する一導電型
の複数の第3の半導体領域を設けることもできる。更
に、前記第3の半導体領域に隣接するように前記第2の
半導体層の表面に反対導電型の第4の半導体領域を設け
ることもできる。また更に、前記半導体基板の前記他の
主面上に前記第1の半導体領域に隣接するように一導電
型の第5の半導体領域を設けることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明による自己保護機能構造を
SIサイリスタに適用した例を図1を参照して説明す
る。
【0013】SIサイリスタのセグメント部は、n
ース基板11と、該nベース基板11の一主面側にチ
ャンネルを規定するように格子状若しくはすだれ状に設
けられたpベース領域12と、これらpベース領域
12上に設けられたnエピタキシャル層13と、その上
に設けられたnエミッタ層14と、nベース基板1
1の他の主面上に設けられた複数のpエミッタ領域1
5と、nベース基板11の前記他の主面上にそれらp
エミッタ領域15に隣接するように設けられた複数の
アノードショート領域16とからなる。
【0014】また、SIサイリスタの自己保護機能構造
部は同図中破線に囲まれた部分であり、nベース基板
11の前記一主面側に設けられた露出するpガード層
20と、該pガード層20に接すると共に互いに接す
るように設けられた複数の狭チャンネルpベース領域
21と、該pベース領域21上に設けられたnエピタ
キシャル層13と、nエピタキシャル層13上に互いに
離間するように設けられた複数のnエミッタ領域22
と、nベース基板11の他の主面上に複数のpエミ
ッタ領域15に隣接するように設けられた複数のn
域23とからなる。
【0015】pエミッタ領域15及びnアノードシ
ョート領域16及びn領域23の全面に亘ってアノー
ド電極(A)17が設けられ、nエミッタ層14上に
カソード電極(K)18が設けられる。また、露出した
ベース領域12上にゲート電極(G)19、加えて
ガード層20、nエピタキシャル層13及びn
ミッタ領域22上を電気的に接続するように形成された
ゲート電極(g)24が設けられる。なお、ゲート電極
(g)24はゲート電極(G)19の一部分であり、同
時に形成される。
【0016】次に、自己保護機能構造の順方向電圧電流
特性を図2を参照して説明する。なお自己保護機能構造
は、ゲート電極の一部つまりゲート電極(g)24から
これに対向したアノード電極(A)17に至るまでをい
う。アノード電極(A)17へゲート電極(g)24に
対し正のバイアスを印加する時の電圧をVAg、電流を
Agとする。また、VDGM:順方向阻止耐圧(ピー
ク繰り返しオフ電圧),V:自己保護電圧,V:実
用順方向阻止耐圧,I:順方向電流を示す。ここで、
はVDGM以下に設定され、Vは例えば0.8〜
0.9Vに設定される。
【0017】同図に示されるように、Vにおいて順方
向電流増加が−dI/dVの傾きにより発生し、V
らVまで順阻止電圧が低下し、そのかわり順方向電流
が発生する。その後、また電圧が増大し、電流が流
れにくい状態になる。このようなVAg−IAg特性は
サイリスタ構造のラッチアップ特性に類似しているよう
にみえるが、V/Vが一桁以上大きいこと及び−d
I/dVが一桁以下に低いことが大きく異なる。以下、
同図に示されるVAg−IAg特性を「難ラッチアップ
特性」と称する。
【0018】通常のpnpnサイリスタではVは0.
1×V以下であり、本発明の自己保護機能のVとは
大きく違う。仮に、本発明の自己保護機能においてV
を通常のpnpnサイリスタと同様の値に設定すると、
急激な大電圧印加により、いちいちON状態が発生して
しまいデバイス本体(図1ではSIサイリスタ)のスチ
ッチングが成立しなくなってしまう。それゆえ、本発明
ではVを最低限必要な阻止電圧とする必要がある。難
ラッチアップ特性とは、ラッチアップし難い特性、点孤
し難い特性のことである。
【0019】次に、図1に示されるようなSIサイリス
タにおいて、ターンオフ動作をする際に過電圧が印加さ
れる状態が発生し自己保護機能が動作した場合のスイッ
チング波形を図3に示す。同図中、実線:通常動作の波
形,破線:過電圧が印加された際の波形,dV/d
t:ターンオフ時の最大電圧上昇率,V:主電圧,I
:主電流,I:ゲート電流を示し、V´等の添字
´は過電圧が印加された場合を示す。なお、図9(a)
に示される簡易試験回路を用いて、過電圧をターンオフ
スイッチングモードにてポイントP1にて印加してい
る。
【0020】ターンオフの際に、自己保護電圧V以上
の過電圧がアノード電極17に正、カソード電極18に
負に印加されると、自己保護機能構造部におけるn
ース基板11とpベース領域21との間にも同じ電圧
が印加されるため、上述した難ラッチアップ特性が作用
し、アノード電極17からゲート電極(g)24へ流れ
込む電流経路が生ずる。このゲート電極(g)24へ流
入する電流は、正常動作時のゲート引き抜き電流に加算
され、外部のゲート回路に流れる。このときのピーク電
流値をIとすると、ゲート電流I´はほぼΔI
増加し、テイル電流的に主電流I´(ターンオフ電
流)がΔI分増加することになる。このような現象
は、図2に示す電圧VAgがVを達すると−dI/d
Vの傾きで電流IAgが増加する難ラッチアップ特性に
対応している。次いで順方向電流Iが流れた後、主電
圧V´は正常時に回復し、ターンオフが終了する。こ
れは、図2に示す電圧VAgがVまで下がりIの電
流を順方向に流した後、再び電流を流しにくいようV
Ag値が上昇する難ラッチアップ特性に対応している。
【0021】このように、ターンオフ時に過電圧が印加
されても、過電圧を自己保護機能構造部でゲート回路に
流れ込む電流にて緩和することでターンオフ破壊を避け
ることができる。なお、Vx値はdV/dtが大きく
なる程低くなっており、安全動作等が考慮されている。
【0022】
【実施例】以下、本発明による各実施例をより詳細に説
明する。まず、第1の実施例乃至第5の実施例を図4
(a)乃至(e)より説明する。なお、それら各実施例
は、自己保護機能構造部のみを説明しており、SIサイ
リスタ等のデバイス部の説明は省略する。また、図1と
共通するものは同一の符号とする。
【0023】第1の実施例は図1に示される自己保護機
能構造部と形状は同じであり、以下のような条件におけ
る一例を説明したものである。図1に示されるようなS
Iサイリスタの順阻止耐圧を2500Vに設定したと
き、ターンオフ時に自己保護機能の動作する条件を最大
順方向電圧上昇率dV/dt=5000V/μs、自
己保護電圧V=2200V以下に抑えるように設定す
る。
【0024】図4(a)に示されるように、ピッチ25
μmのPエミッタ領域15はn領域23と交互に拡
散深さ7μmに形成される。また、nエミッタ領域2
2はピッチm=15μm、拡散窓幅s=5μm、接合深
さ3μmに形成される。狭チャンネルpベース領域2
1は互い重なるように配置され、その重なった部分にチ
ャンネルが形成される。そのチャンネル幅Xch=−3μ
mであり、pベース領域21はチャンネルが閉じる形
でピッチ15μmに形成される。
【0025】第2の実施例を図4(b)より説明する。
第2の実施例は、nベース基板11の一主面上に設け
られた露出するpガード層20と、該pガード層2
0に接すると共に互いに接するように設けられた複数の
狭チャンネルpベース領域21と、該pベース領域
21上に設けられたnエピタキシャル層13と、nエピ
タキシャル層13上に設けられたnエミッタ層25
と、nベース基板11の他の主面上に互いに離間する
ように設けられた複数のpエミッタ領域15と、それ
らpエミッタ領域15に隣接して設けられた複数のn
領域23と、pエミッタ領域15及びn領域23
上に設けられたアノード電極(A)17と、pガード
層20及びnエピタキシャル層13を含むnエミッタ
層25上に設けられたゲート電極(g)24とからな
る。
【0026】ここで、ゲート電極(g)24側ではn
エミッタ層25が形成され、アノード電極(A)17側
ではn領域23がpエミッタ領域15に比べて拡散
深さが深くなるように形成される。
【0027】第3の実施例を図4(c)より説明する。
第3の実施例は、nベース基板11のアノード電極
(A)17側の表面に互いに離間するように複数のp
エミッタ領域15のみが形成されることが第2の実施例
と異なるところである。
【0028】第4の実施例を図4(d)より説明する。
第4の実施例は、第1の実施例に比べて異なることろ
は、nエピタキシャル層13上にnエミッタ領域22
とp領域26が交互に隣接して設けられること、また
ベース基板11のアノード電極(A)17側の表面
にn領域23とpエミッタ領域15とが互いに離間
するようにも交互に設けられることである。nエミッ
タ領域22はp領域26に比べて拡散深さが深くなる
ように形成される。
【0029】第5の実施例を図4(e)より説明する。
第5の実施例は、nベース基板11の一主面上に設け
られたpベース層27と、該pベース層27上に設けら
れたnエピタキシャル層13と、nエピタキシャル層1
3上に設けられたnエミッタ層25と、nベース基
板11の他の主面上に設けられたpエミッタ層28と、
pエミッタ層28上に設けられたアノード電極(A)1
7と、pベース層27及びnエピタキシャル層13を含
むnエミッタ層25上に設けられたゲート電極(g)
24とからなる。なお、pベース層27の不純物濃度は
比較的薄く形成される。
【0030】次に、自己保護機能構造部内の接合構造と
図2に示す難ラッチアップ特性との関係について図5を
参照して説明する。図5(a)は、第1,第2及び第3
の実施例における、自己保護電圧Vに対する−dI/
dV値を示す。同図によれば、第1の実施例の場合が最
も−dI/dV値が低く、難ラッチアップ特性における
値が低くなる。
【0031】図5(b)は、狭チャンネルpベース領
域21間のチャンネル幅Xchと自己保護電圧Vと関係
を示す。チャンネル幅Xchは、閉塞ぎりぎりの状態を
0、重なっている状態を−方向、離れた状態を+方向に
とる。同図によれば、V値はXchが縮まる程上昇する
関係にある。
【0032】図5(c)は、K・S(カソード・ショー
ト)率に対する実用順方向阻止耐圧Vの関係を示す。
K・S率とはカソード側のnエミッタ領域22のない
ショットキー領域の占める割合であり、図4(a)を参
照すると(m−s)/mである。図5(c)に示される
様に、K・S率とV値はほぼ比例しており、nエミ
ッタ領域22の配置によりVが決定される。
【0033】このように、難ラッチアップ特性は様々な
接合構造に規定される。第1乃至第5の実施例はその接
合構造の一例である。それゆえ、SIサイリスタ等の主
デバイス部の構造や設計条件に合致した様々な自己保護
機能構造部を形成することができる。
【0034】次に、第5の実施例の自己保護機能構造部
をGTOサイリスタに適用した例を説明する。図6に示
されるように、GTOサイリスタのセグメント部はn
ベース基板11と、該nベース基板11の一主面側に
設けられたpベース層30と、該pベース層30上
に設けられたnエミッタ層14と、nベース基板1
1の他の主面上に設けられた複数のpエミッタ領域3
1と、nベース基板11の前記他の主面上にそれらp
エミッタ領域31に隣接するように設けられた複数の
アノードショート領域32とからなる。また、自己
保護機能構造部は、nベース基板11の一主面上に設
けられたpベース層27と、該pベース層27上に設け
られたnエミッタ層25と、nベース基板11の他
の主面上に交互に隣接するように設けられたpエミッ
タ領域33及びnアノードショート領域34とからな
る。アノード電極(A)17は、pエミッタ領域3
1、nアノードショート領域32、pエミッタ領域
33及びnアノードショート領域34上に共通に形成
される。カソード電極(K)18は、nエミッタ層1
4上に形成される。ゲート電極(G)19はpベース
層30の露出した部分上に形成されると同時に、ゲート
電極(g)24はpベース層27を含むnエミッタ層
25上に形成される。
【0035】ここで、自己保護機能構造部のpベース層
27の不純物濃度は、セグメント部のpベース層30
の不純物濃度の約1/2である。自己保護機能構造部に
おけるpエミッタ領域33に対するnアノードショ
ート領域34の割合は、セグメント部におけるpエミ
ッタ領域31に対するnアノードショート領域32の
割合のほぼ3倍である。
【0036】このように、図1に示されるSIサイリス
タと同様に、GTOサイリスタにおいても自己保護機能
構造部をゲートの引出し電極部分に形成することができ
る。GTOサイリスタにおいても、自己保護機能構造部
での難ラッチアップ特性の働きによりターンオフ時の過
電圧に対してターンオフ破壊を招くことがない。
【0037】次に、図7より自己保護機能構造部の配置
例を説明する。同図は、SIサイリスタのカソード電極
側の平面図である。第1の例として、自己保護機能構造
部を中央に配置し、その周囲にセグメント部を形成する
(同図(a))。第2の例として、自己保護機能構造部
をセグメント部の外周囲に配置する(同図(b))。自
己保護機能構造部はこれらの配置例に限ることなく、S
Iサイリスタ等のデバイスの形状に応じて様々に配置で
きることはいうまでもない。
【0038】なお、本発明の自己保護機能構造部は、S
Iサイリスタ、GTOサイリスタにかぎらず、MOS系
のデバイスいずれにも適用することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明による自己保護機能を有する半導
体デバイスであると、ターンオフ動作中に過電圧が順方
向に印加されたときに破壊に至ることを防ぐことができ
る。例えば、順阻止耐圧を2500VとするSIサイリ
スタにおいて、自己保護機能構造部を設けることによ
り、実応用における事故発生率が1/10に減少するこ
とが確認されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自己保護機能を有するSIサイリ
スタを摸式的に示す断面図である。
【図2】自己保護機能の特性である難ラッチアップの特
性を示す特性図である。
【図3】SIサイリスタの自己保護機能がターンオフ時
に動作した時のスイッチング波形を示す図である。
【図4】(a)乃至(e)は自己保護機能構造の第1の
実施例乃至第5の実施例を摸式的に示す断面図である。
【図5】第1実施例乃至第5の実施例の特性を示す図で
ある。
【図6】第5の実施例に示す自己保護機能構造を適用し
たGTOサイリスタを摸式的に示す断面図である。
【図7】自己保護機能構造の配置例を摸式的に示す平面
図である。
【図8】従来のSIサイリスタを摸式的に示す断面図で
ある。
【図9】(a)は簡易ゲート回路GCを含む簡易試験回
路図、(b)はターンオフ時のスイッチング波形図であ
る。
【符号の説明】
11…nベース基板、12…pベース領域 13…nエピタキシャル層、14……nエミッタ層 15…pエミッタ領域、16…nアノードショート
領域 17…アノード電極(A)、18…カソード電極(K) 19…ゲート電極(G)、20…pガード層 21…狭チャンネルpベース領域、22…nエミッ
タ領域 23…n領域、24…ゲート電極(g) 25…nエミッタ層、26…p領域、27…pベー
ス層 28…pエミッタ層、30…pベース層、31…p
エミッタ領域 32…nアノードショート領域、33…pエミッタ
領域 34…nアノードショート領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−257266(JP,A) 特開 平6−268205(JP,A) 特開 昭61−183965(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/74 H01L 29/744

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一導電型の半導体基板と、前記半導体基
    板の一主面側に設けられた反対導電型のゲート領域及び
    一導電型の第1のエミッタ領域と、前記半導体基板の前
    記一主面に対向する他の主面側に設けられた反対導電型
    の第2のエミッタ領域と、前記第2のエミッタ領域を含
    む前記半導体基板の前記他の主面上に設けられた第1の
    アノード電極と、前記第1のエミッタ領域上に設けられ
    たカソード電極と、前記ゲート領域上に設けられた第1
    のゲート電極とを有する半導体デバイスにおいて、 前記半導体基板の前記一主面上に設けられ、前記ゲート
    領域と電気的に接続された反対導電型の第1の半導体層
    と、 前記第1の半導体層上に設けられた一導電型の第2の半
    導体層と、 前記第1の半導体層と電気的に接続するように前記第2
    の半導体層上に設けられ、かつ前記第1のゲート電極に
    連続するように設けられた第2のゲート電極と、 前記半導体基板の前記他の主面上に全面若しくは選択的
    に設けられた反対導電型の第1の半導体領域と、 前記第1の半導体領域を含む前記半導体基板の前記他の
    主面上に設けられ、かつ前記第1のアノード電極に連続
    するように設けられた第2のアノード電極とからなる自
    己保護機能構造を有する半導体デバイス。
  2. 【請求項2】 前記第1の半導体層は、任意のピッチで
    分布する複数の第2の半導体領域からなると共に前記複
    数の第2の半導体領域のうち隣接する第2の半導体領域
    は重なることを特徴とする請求項1記載の自己保護機能
    構造を有する半導体デバイス。
  3. 【請求項3】 前記第2の半導体層の表面に任意のピッ
    チで分布する一導電型の複数の第3の半導体領域を設け
    ることを特徴とする請求項1記載の自己保護機能構造を
    有する半導体デバイス。
  4. 【請求項4】 前記第3の半導体領域に互いに隣接する
    ように前記第2の半導体層の表面に複数の反対導電型の
    第4の半導体領域を設けることを特徴とする請求項3記
    載の自己保護機能構造を有する半導体デバイス。
  5. 【請求項5】 前記半導体基板の前記他の主面上に前記
    第1の半導体領域に互いに隣接するように複数の一導電
    型の第5の半導体領域を設けることを特徴とする請求項
    1記載の自己保護機能構造を有する半導体デバイス。
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