JP3144934B2 - 蛇行制御方法 - Google Patents

蛇行制御方法

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JP3144934B2 JP00807193A JP807193A JP3144934B2 JP 3144934 B2 JP3144934 B2 JP 3144934B2 JP 00807193 A JP00807193 A JP 00807193A JP 807193 A JP807193 A JP 807193A JP 3144934 B2 JP3144934 B2 JP 3144934B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属板のタンデム圧延
操業において、圧延時の圧延材料の安定した通板性を確
保するための圧延機列の運転制御技術に関する。
【0002】
【従来技術】金属板のタンデム圧延は、高精度な金属薄
板を大量生産できるプロセスであり、タンデム圧延機列
を構成する各圧延機間で圧延材料に張力を作用させるこ
とができるため、非常に安定した圧延操業が可能であ
る。圧延材に張力を作用させた場合、例えば、圧下レベ
リングにある程度の最適値からの偏差が存在しても、そ
れがそのまま左右の伸び率差になるのではなく、張力の
再配分によって伸び率の左右差が抑制されるため、通板
事故に直結することは少ない。しかしながら、圧延材の
先端および後端については、前方あるいは後方張力を作
用させることができないので、張力による上記安定化作
用が半減し通板事故を生じやすくなる。特に、後端通過
時には尻絞りという通板事故が発生することが多く、蛇
行制御あるいは尻絞り制御と呼ばれる圧下制御が従来法
として実施されている。なお、以下の説明では、多くの
場合、作業側および駆動側のことを「左」および「右」
という表現で簡略表現する。「左」は作業側を、「右」
は駆動側を意味する。
【0003】尻絞りは、圧延材後端近傍における作業側
と駆動側の伸び率差に起因する材料の蛇行が主原因と考
えられており、尻絞りの現象が現れ始める時点すなわち
圧延材後端が直前の圧延機から出た時点から、当該圧延
機の圧下設定値の左右差の制御すなわちレベリング制御
を実施するというのが蛇行制御の従来法である。このと
きの検出端としては、当該圧延機の圧延荷重の左右差や
蛇行センサーによる板のオフセンター量の検出信号等が
用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような蛇行制御
の従来法は、圧延材後端が直前の圧延機から出た時点か
ら実質的に制御が開始されるため、実質的な制御の動作
時間が短く、尻絞り防止に間に合わない場合がある。ま
た、当該圧延機の圧下レベリングに最適値からの偏差が
あった場合は、圧延材後端が直前の圧延機を出た時点
で、それまで作用していた後方張力がなくなり、張力の
左右差による補償効果がなくなるため急激な蛇行が始ま
ることになり、その症状が現れてから圧下レベリング制
御を始めたのでは手遅れになる場合が多い。
【0005】本発明は尻絞りの防止をより十分に行なう
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】本発明では、
大略で、圧延材後端が直前の圧延機を出た時点から制御
を開始するのではなく、圧延材後端に達する前の定常圧
延状態で、タンデム圧延機列の各圧延機の圧下レベリン
グを最適な状態にしておく。圧延材後端が直前の圧延機
を出たことによって起きる最も大きな変化は、言うまで
もなく後方張力がなくなることである。したがって、こ
の時から急激な蛇行が始まるのであれば、それは当該圧
延機の圧下レベリングが最適値からずれていて、これを
後方張力の左右差で補償していた場合である。このこと
から、圧延材後端に達する前の定常圧延状態の間に、各
圧延機間の張力の左右差をできるだけ零に近づけておく
のが、尻絞り事故防止の決め手になるものと考えられ
る。このためには、各圧延機間の圧延材に作用する張力
の左右差を検出あるいは推定し、これを零に近づける操
作を行えばよい。しかしながらタンデム圧延状態では、
各圧延機の圧下レベリング操作は、各圧延機間の張力分
布を通じて、すべての圧延機における圧延状態に影響を
およぼすので、たとえ張力の左右差が一ヶ所だけであっ
ても、圧下レベリング修正は一般に全圧延機に対して行
われなければならない。
【0007】したがって、本願の第一の発明では、タン
デム圧延機列による定常圧延状態において、ロール周速
ならびに作業側および駆動側の圧下設定値のデータを同
時点サンプリングし、これらのデータに基づいて、圧延
材に作用している各圧延機間の張力の左右差を推定し、
該張力の左右差を零にすることを目標として、各圧延機
の圧下設定値の左右差を制御する。
【0008】以下に詳細に説明する。N基の圧延機から
構成されるタンデム圧延機列の第iスタンド出側板厚左
右差すなわち板ウェッジ量hdfi は、圧下レベリングS
dfi,圧延荷重分布の左右差すなわち線荷重差pdfi
および、圧延材板幅中心のミルセンターからの距離を作
業側を正として表した材料オフセンター量xci によっ
て次式で表現できる。
【0009】 hdfi =(b/aBi )Sdfi +Didfi +Eici (i=1〜N) ・・・(1) ここで、bは圧延材の板幅、aBi は補強ロール圧下支
点間距離、Ei は材料オフセンター量が板ウェッジにお
よぼす影響係数すなわち第一種平行剛性であり、Di
線荷重差pdfi が板ウェッジにおよぼす影響係数すなわ
ち第二種平行剛性である。また、一般に添字dfは左右差
を表し、作業側から駆動側の値を差し引いたものを表す
ものとする。式(1)は純粋に圧延機側の変形特性を表
しているものであるが、式(1)中の線荷重差pdfi
は、主として圧延材料側の条件に左右される圧延荷重式
の左右差として次式のように表現される。 pdfi =pdfi 〔kdfi ,hdf(i-1) ,hdfi ,σdf(i-1) ,σdfi〕 i=1〜N ・・・(2) ここで、kdfi は圧延材の変形抵抗左右差、σdfi は第
iスタンド出側張力の左右差であり、式(2)は圧延理
論で与えられる圧延荷重式の作業側と駆動側の差として
与えられる。張力差σdfi を決める主要因は、各スタン
ドの先進係数の左右差fdfi および後進係数の左右差f
bdfi であり、これらは圧延理論で与えられる先進係数
式および後進係数式の左右差として与えられ、次式によ
うな要因に左右されるものである。 fdfi =fdfi 〔kdfi ,hdf(i-1) ,hdfi ,σdf(i-1),σdfi 〕 (i=1〜N) ・・・(3) fbdfi =fbdfi 〔kdfi ,hdf(i-1) ,hdfi ,σdf(i-1) ,σdfi 〕 (i=1〜N) ・・・(4) 次に、データサンプリング時は十分定常圧延状態が実現
されているものと仮定すると、各スタンド間で新たな張
力変動が発生しないという条件より、次式を得る 。 VR(i+1)bdf(i+1) =VRidfi (i=1〜N−1) ・・・(5) ここで、VRi は第iスタンドのロール周速である。式
(5)の他、タンデム圧延機入側材料の座屈や平面内で
の全体としての回転がないのが通常であるから次式も成
立する。 fbdf1 =0 ・・・(6) また、定常圧延条件より、各圧延機前後のマスフロー一
定条件を考慮すると次式を得る。 hdf(i-1)(i-1) +vdf(i-1)(i-1) =hdfii +vdfii (i=1〜N) ここで、Vi は第iスタンド出側の圧延材速度であり、
hは圧延材の平均板厚である。上式の導出にあたって
は、hdf がhに比べて、vdf がvに比べてそれぞれ一
次の微小量であるという条件を使用しており、この条件
のもとでhは板幅中心の板厚であってもよい。上式の両
辺を第iスタンドのロール周速VRi で除すことにより
次式を得る。 hdf(i-1)bi +fbdfi(i-1) =hdfi +fdfii (i=1〜N) ・・・
(7) さらに、圧延中に実測可能なデータとして圧延荷重があ
るが、これは作業側および駆動側の補強ロール圧下支点
位置に取り付けられた圧延荷重測定装置すなわちロード
セルによって検出される。そこで、第iスタンドのロー
ドセルによる測定値の左右差をPdfi とするとき、
これは線荷重差pdfi と材料オフセンター量xci と次
の関係を有する。 Pdfi =〔b2/(6aBi )〕pdfi +(2/aBi )Pici +(aWi/aBi )Fdfi (i=1〜N) ・・・(8) ここで、Fdfi はロールベンディング力の左右差、aWi
は作業ロールの支点間距離であり、一般の操業ではF
dfi =0であるから、その場合、式(8)右辺第三項は
不要である。
【0010】さて、以上の式(1)〜(8)を利用し
て、各スタンド間の張力の左右差を求め、これを零にす
るような圧下制御を行うのが本発明の基本的考え方であ
る。この意味で、まず、現状の圧延状態の把握を行わな
ければならない。以上の方程式系に現われる変数の内、
圧延機寸法aBi ,aWi ,板幅b,ロール周速VRi
圧延荷重Pi ,圧延荷重の左右差Pdfi ,ロールベンデ
ィング力の左右差Fdfi ,先進係数fi ,後進係数fbi
等は、既知量か、測定可能あるいは設定計算等で推定
可能な量であり、これらの変数を除外した未知数を列挙
すると次のようになる。 Pdfi (i=1〜N),hdfi (i=0〜N),pdfi (i=1〜N), xci (i=1〜N),fdfi (i=1〜N),kdfi (i=1〜N), σdfi (i=0〜N) ・・・(9) Pdfi (i=1〜N)は一般に計測可能な値であるが、
トータルPi に比べるとPdfi の絶対値は非常に小さ
く、請求項7で規定しているようなロードセルの較正方
法を採用しなければ精度的に十分信頼できるデータを得
ることは困難であるので、ここではまず未知数として取
り扱う。
【0011】上記(9)に示す変数をすべて未知数とし
た場合、8N+2個の未知数が存在することになる。こ
れに対して、式(1)〜(8)の方程式の数は7N個で
あるから、未知数の数をN+2個分減らさなければ、タ
ンデム圧延の蛇行に関する現状把握を行うことはできな
い。したがって、未知数(9)の内、少なくともN+2
個の値は、測定するか別の方法で推定する必要があり、
この選択の方法によって種々の実施態様が考えられる。
しかしながら、少なくともロール周速および圧下設定値
の左右差は同時点のデータを一斉に測定する必要があ
り、このため圧延中の作業側および駆動側の圧延荷重,
ロール周速のデータの同時点サンプリングは本発明の必
須要件となる。圧延荷重Pi は式(8)中に現れるのみ
であり、Pdfi を未知数とする場合は、式(8)および
未知数Pdfi をともに省略することにすれば、Pi の実
測値がなくても上述の議論はまったく同様に成立する。
【0012】本願の第二の発明は、第一の発明に対し
て、Pdfi のデータがある程度信頼できる場合の実施態
様に相当し、ロール周速,圧下設定値とともに圧延荷重
も左右差を含めて同時点データを採取することを前提と
している。この場合は、未知数が7N+2個、方程式の
数が7N個であるから、Pdfi を除いた未知数(9)の
うち少なくとも2個は測定値または推定値を採用しなけ
ればならない。この2個以上の変数の選び方によって種
々の実施態様が考られるが、Pdfi を未知数とする場合
に比べて利用可能なデータが多くなり、計測あるいは推
定しなければならないデータは少なくなり、さらに、同
じ計測データを得た場合でも既知量が多い場合は、最小
自乗解の精度が上がるため制御の収束性が高くなる。
【0013】一例として、未知数(9)のうち、入側板
ウェッジhdfO ,出側板ウェッジhdfN を測定し、圧延
材の変形抵抗左右差kdfi (i=1〜N)を温度の板幅
方向測定等を通じて推定する方法について説明する。本
願の第三の発明の対象としている冷間圧延の場合には、
ほとんどの場合、変形抵抗に左右差が存在することはな
く、kdfi =0(i=1〜N)としてよい。したがっ
て、この場合、タンデム圧延機列入出側ウェッジの計測
を実施すれば、残る未知数は7N個となり、式(1)〜
(8)を解くことによってすべての未知数の値が求ま
り、蛇行に関する現状把握が可能となる。このようにし
て計算された張力の左右差σdfi は一般には零ではない
ので、次にこれを零にするためのレベリング操作基本量
ΔSdfi を計算しなければならない。目標は、σdfi
0(i=0〜N)とすることであるから、この条件を式
(1)〜(8)の方程式系に代入する。このようにする
と逆に未知数がN+1個少なくなってしまうが、我々の
求めたいものはσdfi を実現できるSdfi であるから、
dfi (i=1〜N)が新たな未知数となる。さらに、
dfi を変更することによって出側の板ウェッジも変化
するためhdfN を新たな未知数としなければならない。
このようにして求められた圧下レベリングSdfiをS2
dfi とし、最初に測定されていた値をS1 dfi とする
と、σdfi =0を実現するためのレベリング操作基本量
ΔSdfi は次式で計算される。
【0014】 ΔSdfi =S2 dfi −S1 dfi (i=1〜N) ・・・(10) なお、ここで算出したΔSdfi は、張力の左右差σdfi
を一気に零にする理論解を求めたことになっており、実
際の制御に際しては、上記操作基本量ΔSdfi にチュー
ニングファクターを乗ずる等の制御の常套手段を採用す
ることはいうまでもない。ただし、本制御は定常圧延状
態における各圧延機の相互依存関係を用いるので、サイ
クルタイムはタンデム圧延機の第1スタンドから最終ス
タンドまで材料が移送する時間より長くするほうが好ま
しい。
【0015】さて、本願の第四の発明で対象とする熱間
圧延の場合には、圧延材の板幅方向の温度分布が必ずし
も左右対称ではないので、変形抵抗の左右差kdfi も必
ずしも零ではなくなる。そこで、タンデム圧延機列入側
および/または出側の圧延材の温度を板幅方向に2点以
上測定し、このデータに基づいて各圧延機に圧延材が達
した時点の圧延材の板幅方向温度分布の推定計算を実施
し、変形抵抗の左右差kdfi の推定計算を行う。後は、
上記の冷間圧延の場合と同様に、圧下設定値の左右差,
ロール周速,タンデム圧延機列入出側における板ウェッ
ジ量を測定することにより、各圧延機間の張力左右差を
零にするための圧下レベリング操作基本量を求めること
ができる。
【0016】さて、これまでは圧延中の張力左右差を間
接的に計算することを前提としてきたが、本願の第五お
よび第六の発明は、これを直接的に検出する手段を導入
した場合の実施態様である。すなわち、タンデム圧延機
列の各圧延機間において圧延材の張力を検出するための
ロールを配置した場合の実施態様であり、例えば、熱間
タンデムミルの場合は、ルーパロールの左右支持部にロ
ードセルを配備することによって張力差の直接的検出が
可能となる。ただし、ルーパロードセル荷重差Rdfi
は、張力差の他に材料オフセンターの影響も含まれ、次
式のような関係式が成立する。
【0017】 Rdfi =〔{b2/(6aLi )}σdfi +(2/aLii bΧci 〕 (sinθi +sinθi+1 )hi (i=1〜N−1) ・・・(11) ここで、Rdfi はルーパ角度を補正した鉛直方向の荷重
の左右差、aLi はルーパロールの支点間距離、θi
よびθi+1 はルーパロールを境にして第iおよび第i+
1スタンド側の圧延板面が水平面となす角度、hi は第
iスタンド出側板厚、Χci はルーパ位置における材料
オフセンター量であり、近似的には、第iおよび第i+
1スタンドにおける材料オフセンター量xci ,x
c(i+1) の内挿すなわち次式で求めることができる。 Χci =βici +(1−βi )xc(i+1) ・・・(12) なお、簡単のため以下の議論では式(11)は式(1
2)を既に代入したものとして取り扱い、Χci および
式(12)を新たな変数および方程式とは数えないもの
とする。冷間タンデム圧延機の場合はルーパロールの代
わりにテンションロールを用いることになるが、張力検
出の基本原理は同じであり、式(11)は全く同様に使
用できる。式(1)〜(8)に式(11)を加えると方
程式の数は、8N−1個となるから、8N+2個の未知
数に対して、3個不足していることになる。
【0018】本願第五の発明の対象としている冷間圧延
の場合には、上述したようにkdfi=0(i=1〜N)
と考えることができるから未知数が7N+2個となる。
したがって、圧延機が3基以上の冷間タンデムミルの場
合、未知数の数が方程式の数よりも少なくなり、唯一解
あるいは最小自乗解を求めることが可能となる。しかし
ながらテンションロールのロードセル出力左右差は、張
力の左右差σdfi を零にすることによって大きく変化す
るので、σdfi =0(i=0〜N)とおくときには、圧
延荷重の左右差とともにRdfi を未知数としなければな
らず、方程式の数が不足してしまう。この場合、Rdfi
(i=1〜N−1)を含めると、未知数の数は8N個と
なる。したがって方程式の数が1個不足することから、
本願第三の発明の場合と同様に、タンデム圧延機列入側
板厚を板幅方向2点以上測定し、入側板ウェッジhdfO
に実測値を用いればよい。この場合、最初の現状把握の
ための方程式系では、方程式の数の方が未知数の数より
も多くなるが、余分の方程式系を用いて最小自乗解を算
出すればより精度の高い解が得られる。
【0019】本願第六の発明の対象としているルーパロ
ードセルを装備した熱間タンデム圧延機列の場合も、未
知数が8N+2個に対して方程式の数が8N−1個であ
り、未知数が3個多い状態となる。したがって、タンデ
ム圧延機列の入出側板厚を板幅方向2点以上測定し、入
側板ウェッジhdfO および出側板ウェッジhdfN に測定
値を用い、さらに、タンデム圧延機列入側および/また
は出側の圧延材の温度を板幅方向2点以上計測し、これ
らのデータに基づいて各圧延機における変形抵抗左右差
のうち、少なくとも一つ、例えば、kdf1 あるいはk
dfN を推定する。このようにすることによって方程式系
を解くことができ、蛇行現象に関する現状把握が可能と
なる。
【0020】次に、kdfi(i=1〜N)の値は、すで
に求められた値から大きく変化することは考えられない
ので、この値を固定し、張力の左右差σdfi(i=0〜
N)を零とし、圧延荷重の左右差Sdfi(i=1〜
N),ルーパロードセル荷重左右差Rdfi(i=1〜N
−1)および出側板ウェッジhdfN を新たに未知数とし
て方程式系(1)〜(8)および(11)を連立して解
き、求められたレベリングの変化量より、レベリング操
作量基本量ΔSdfi を求めればよい。
【0021】なお、以上の説明は、本発明の実施態様を
代表例をあげて説明してきたものであり、上記実施態様
のバリエーションとして、上記説明では未知数として取
り扱っていたものに測定値あるいは推定値を採用し既知
量として取り扱っても本発明の趣旨は変わらないことは
言までもない。図1には、本発明の蛇行制御方法のアル
ゴリズムの概要を示しているが、図1に従って本発明の
蛇行制御方法の流れを再度確認する。計測値としては、
圧下設定値の左右差およびロール周速が必須データであ
り、その他、必要に応じて入出側板ウェッジ,変形抵抗
左右差,張力測定装置の出力左右差,圧延荷重の左右差
が測定値あるいは推定値として既知量として取り扱わ
れ、定常圧延時の方程式系を解き、張力の左右差を求め
る。次に、張力の左右差を零とおき、圧下設定値の左右
差を新たな未知数として再び方程式系を解き、圧下レベ
リングの目標値を求め、現状の圧下レベリングとの差と
して圧下レベリング操作基本量を求め、これにチューニ
ングファクターを乗じた値を圧下レベリングの制御出力
とする。
【0022】なお、図1のアルゴリズムのうちσdfi
求める手続は制御出力を求めるには必ずしも必要ではな
いが、現状の圧延状態を把握して圧下レベリング修正が
必要かどうかを判断したり、S2 dfi を求めたときの各
種変数の値の現在値からの変化量から、計算値の合理性
チェックを行う場合なでには基準値として必要となる。
さて、以上の各発明では、圧下設定値の左右差の測定
が必須要件となっており、このため、作業側および駆動
側の圧下設定値の検出およびその左右差を演算しなけれ
ばならないが、このとき、タンデム圧延機列を構成する
各圧延機の圧下設定値の精度が非常に重要となる。とこ
ろで、式(1)からもわかるようにここで言うSdfi
は、現状の圧延条件で、pdfi =0,xci =0の条件
でhdfi=0が圧延機側の条件として成立するような理
想化されたレベリング値であり、これを正確に測定ある
いは算出するためには、圧下設定値の零点調整および圧
延機のハウジングおよび圧下系の非対称性に特別の注意
を払わなければならない。
【0023】そこで、本願の第七の発明では、油圧方式
のロールベンディング装置を用いて、上下作業ロール間
に作用する荷重を検定するという観点でロードセルの較
正を高精度に行い、その上で、非圧延時に圧下装置を操
作してキスロール締め込みテストを実施し、作業側およ
び駆動側の圧下設定位置と圧延荷重測定装置の出力を同
時に採取し、各時点の条件に対応するロール系の変形を
計算して分離し、その結果として求められるハウジング
および圧下系の変形特性の作業側および駆動側の非対称
性のデータを使用して、圧延中の作業側および駆動側の
圧下設定値の差の測定値を補正し利用する。
【0024】図2に典型的な板圧延機の側面を示す。図
2の圧延機は4段圧延機であり、作業ロール8−1,8
−2を補強ロール9−1,9−2で支持しており、上補
強ロール9−1は、補強ロールバランス装置6−1,6
−2によって圧延荷重測定装置1および圧下装置12に
押し付けられており、圧下装置の移動に追随するように
構成されている。また、インクリース作業ロールベンデ
ィング装置2−1,2−2および3−1,3−2は、ロ
ールバランスの役割も兼ねており、作業ロールチョック
10−1および10−2を介して作業ロール8−1およ
び8−2を補強ロール9−1および9−2に押し付けて
いる。図2には、参考までにロールバランスと逆方向の
力を加えるディクリース作業ロールベンディング装置4
−1,4−2および5−1,5−2も図示しているが、
本発明の圧延荷重測定装置の較正方法では、合力として
上下作業ロールギャップを開く方向のロールベンディン
グ力を負荷することを前提としており、ディクリース作
業ロールベンディング装置は必須要件ではない。なお、
図2の作業ロールベンディング装置は油圧方式であり、
少なくとも圧延荷重測定装置1側の作業ロールベンディ
ング装置2−1,2−2には、作動シリンダーに供給さ
れる作動油の圧力測定装置14が装備されていることを
前提としている。このような圧延機において非圧延時に
図2のように上下作業ロールギャップを開いた状態でロ
ールベンディング装置2−1,2−2によって2水準以
上の負荷を与え、圧力測定装置14による油圧の実績値
と作動シリンダーの有効断面積およびシリンダーの本数
から作業ロールベンディング力を算出し、これと圧延荷
重測定装置1によって測定される荷重との対応関係をデ
ータとして得る。ロールギャップを開いた状態では、作
業ロール胴部は無負荷であり、作業ロールベンディング
装置によって加えられた荷重は、ロールおよびスピンド
ル等の重量分を除いて、直接圧延荷重測定装置1に伝達
されることになる。したがって加えたロールベンディン
グ力と圧延荷重測定装置1による測定値は、ロールおよ
びスピンドル等の重量分のバイアスを除いて、理想的に
は一致するべきであり、この観点に立って圧延荷重測定
装置1の零点または零点と感度の両方を較正するという
のが、本願第七の発明の構成要件となっている圧延荷重
測定装置較正方法の基本的な考え方である。なお本発明
でいう感度とは電流または電圧と荷重の比例係数のこと
をいう。
【0025】図3には、実績ホットストリップミル仕上
圧延機のNO.6スタンドを用いて上記方法によって得られ
たデータの一例を示す。図3ではロールベンディング力
の負荷を5水準とり、負荷時および除荷時のデータをす
べてプロットしている。図では、ほとんど同じロールベ
ンディング力の値に対して圧延荷重測定装置の出力に有
意差のあるデータが見られるが、これは負荷時と除荷時
の相違であり、ロールチョックとハウジングとの摩擦力
によるヒステリシスが顕在化したものと考えられる。従
来技術の一つとして一定のロールバランス力を負荷して
圧延荷重測定装置の零点調整を行うという方法がある
が、これによって圧延荷重測定装置の零点をチェックす
る場合、図3に見られるようなヒステリシスの最大値が
そのまま零点の誤差になる危険性がある。これに対して
図3のように複数の負荷水準に対するデータを採取し、
例えば、最小自乗法によってこれを直線近似するという
データ処理を施すことにより、このようなヒステリシス
の影響を最小限にとどめることが可能となる。また、一
般に、圧力測定装置14に使用される油圧回路の圧力セ
ンサーは、圧延荷重測定装置1に比べるとはるかに小形
で安価であり、十分に精度チェックがなされた圧力セン
サーを定期的に交換したり、同じ油圧回路に複数個のセ
ンサーを導入してお互いに精度チェックを行うことも容
易であり、精度管理が非常に容易なものである。したが
って、これを用いて非常に高価で容易に交換できない圧
延荷重測定装置の精度管理が可能となることの利点は非
常に大きい。
【0026】図3では、圧延荷重測定装置の零点と感度
の両方を較正することを目的として直線の勾配も含めた
データの最小自乗近似を行っているが、零点のみを較正
するのが目的であれば、図4のように勾配を1に固定し
た直線近似を行えばよい。例えば、零点と感度の両方の
較正を行う場合は、図3のデータの直線近似により次式
が得られる。
【0027】 PW =1.039F−59.6 ・・・(13) PD =1.022F−82.9 ・・・(14) ここで、PW ,PD はそれぞれ作業側および駆動側の圧
延荷重測定装置の出力値、Fはロールベンディング力で
あり、単位はともにtonfである。本発明では、Fの値は
十分に較正された正確な値であると考えるので、上下作
業ロール間に負荷される真の荷重を作業側および駆動側
で評価した値をQW ,QD とするとき、式(13),
(14)より、QW ,QD は測定値PW ,PD より次式
によって求められる。
【0028】 QW =(PW +59.6)/1.039 ・・・(15) QD =(PD +82.9)/1.022 ・・・(16) なお、このようにして測定あるいは算出された圧延中の
W ,QD の値には、ロールベンディング力Fも含まれ
ているので、圧延材と作業ロールの間に作用している真
の荷重を推定したい場合は、QW ,QD の値からそれぞ
れの時点のロールベンディング力Fの測定値を差し引け
ばよい。また、式(15),(16)のような演算を行
う代わりに、実質的に同様の感度およびバイアス調整を
電気的に行ってもよい。
【0029】零点の較正のみを目的とする場合は、図4
の勾配を1に固定した直線近似より次式の関係が得られ
る。 PW =F−55.1 ・・・(17) PD =F−80.4 ・・・(18) したがって、ロールベンディング力を含む真の荷重Q
W ,QD は、測定荷重PW,PD より次式によって求め
られる。 QW =PW +55.1 ・・・(19) QD =PD +80.4 ・・・(20) 以上の手続きでは、ロールおよびスピンドル等の重量に
関しては一切触れていないが、物理的には、ロールベン
ディング力Fと圧延荷重測定装置1の検出値の間には、
ロールおよびスピンドル等の重量分のバイアスが存在す
る筈である。しかしながら、この値はロール交換を行わ
ない限り一定であるので、上下作業ロール間に作用する
荷重を検出したという圧延荷重検出の本来の目的にした
がって、このバイアス分は圧延荷重検出装置自身のバイ
アス分で吸収するという考え方をとっている。もちろん
ロールおよびスピンドル等の重量分を正確に考慮してロ
ールベンディング力Fと真の荷重QW ,QD の関係を記
述することも可能であるが、その場合でも、上記手続き
の基本は同じである。
【0030】ところで、上述の方法によって圧延荷重測
定装置の較正を行った後、ロール交換を実施した場合
は、ロールの重量分が異なるので、理論的には圧延荷重
の零点はロールの重量差分だけ変化することになる。こ
れに対処するためには、ロール交換直後に再び上述の方
法によって圧延荷重測定装置の較正を行なうベきであ
る。このようにすることによってロール交換前と同等の
圧延荷重測定装置の精度維持が可能となる。以上のよう
な手続きにしたがって圧延荷重測定装置の較正を行った
上で、キスロール締め込みテストを実施し、ハウジング
および圧下系の変形特性の分折を実施し、作業側および
駆動側の変形特性の相違を把握できれば、左右対称に負
荷された圧延荷重Pi によって発生するレベリング誤差
【0031】
【数1】
【0032】を次式の形で計算することが可能となる。
【0033】
【数2】
【0034】したがって、式(21)で計算されるレベ
リング誤差を、実測値に加えてSdfiの値とすることに
よって正確なレベリングSdfi の値を得ることができ
る。なお、上記のハウジングおよび圧下系の変形特性差
を新たなウェッジ発生要因として式(1)に付け加えて
定式化しても物理的には全く等価である。
【0035】ところで、上記のように圧延機の左右の変
形特性を別個に分折してレベリング相当量を算出する場
合には、圧下設定値の零点調整方法も重要な問題とな
る。圧下装置の零点調整の従来法には、圧延荷重測定装
置を基準とする方法と銅棒やアルミニウム板を締め込ん
で行う方法とがあるが、後者は人手を必要とする非定常
作業であるため好ましくない。前者の方法は、簡便かつ
自動化にも適する方法であるが、圧延荷重測定装置の精
度に依存する方法である。そこで、本願第七の発明に示
すようにロールベンディング装置を用いて圧延荷重測定
装置に較正を高精度に実施した後に零点締込時上下作業
ロール間に作用する荷重が左右対称になる位置を圧下設
定値の零点とすることが好ましい。このように零点調整
を実施しておけば、零点調整時の荷重が圧延荷重として
左右対称に負荷された時点では、Sdfi =0となり、上
記のハウジングおよび圧下系の非対称変形は零点調整荷
重から現時点の圧延荷重の偏差分に対しのみ補正すれば
よいことになる。ただし、式(1)中の第一種平行剛性
i および第二種平行剛性Di は、ハウジングおよび圧
下系の変形特性を含んだ特性係数であるので、これらの
中に上記のようにして抽出されたハウジングおよび圧下
系の変形特性が反映されることは言うまでもない。
【0036】
【実施例】
(実施例1)タンデムコールドストリップミルの圧延に
おいて、圧延中の圧下レベリングSdfi ,圧延荷重左右
差Pdfi ,テンションロール反力左右差Rdfi およびロ
ール周速Vi の同時点データを採取する。これらのデー
タが得られれば、kdfi =0(i=1〜N)と仮定する
ことにより、変数(9)のうち未知数の数は6N+2個と
なる。これに対して方程式の数は式(11)を含めて8
N−1個となり式(1)〜(8)および(11)の方程
式系をすべて線形近似することにより、最小自乗法によ
って変数(9)のうち未知数を精度よく求めることができ
る。このようにして求められた張力の左右差σdfi の値
が許容値を超える場合に圧下レベリングの修正を実施す
る。圧下レベリング操作基本量ΔSdfi を求める場合、
上記説明にあるようにσdfi =0(i=0〜N)とおい
て方程式系を解くが、このとき、Sdfi ,Pdfi ,R
dfi は新たに未知数となる。したがって、未知数の数は
8N個となり、方程式の数よりも1個多くなってしま
う。このときに入出側の板ウェッジの測定値を使用する
方法を本願の第五の発明で規定しているが、本実施例
は、出側板厚測定装置の精度が十分ではない場合の例で
ある。すなわち、板の蛇行状態を板厚偏差を介して定量
的に検討するためには非常に高い板厚検出精度が要求さ
れ、特に板厚が薄くなるタンデム圧延機出側の検出装置
がこれを満足できない場合である。この場合でも、入側
板厚は比較的厚いため、検出精度は十分満足できるレベ
ルにあるのが通常であり、hdfo に検出値を用いること
は可能である。
【0037】これで未知数の数は8N−1個となり、上
記方程式系を解くことによって全ての解を求めることが
可能となる。また一つの変形態様としては、材料オフセ
ンター量xci はレベリングを多少操作してもそれほど
大きく変わるものではないので、xci を現状に関する
解に固定することにより、未知数をさらに少なくするこ
とができ、レベリングの目標値S2 dfi を最小自乗解と
して求めることが可能となる。このようにして計算され
た圧下レベリングの目標値と現在値から圧下レベリング
操作基本量を計算し、これにチューニングファクターを
乗じて制御出力とする。このような制御サイクルを数回
経ることによって、各圧延機間で圧延材に作用する張力
差を零に近づけることができ、圧延材の蛇行や尻絞りを
未然に防ぐことが可能となる。なお、タンデム圧延機
入,出側にもテンションロールを設け、Rdfo ,RdfN
を測定し利用する実施態様も考えられるが、この場合で
もσdfi =0とするときにはRdfo ,RdfN も未知数と
しなけれなばならないので、未知数と方程式の数のバラ
ンスは上記実施態様と同様である。図5には本実施例1
のアルゴリズムを示す。
【0038】(実施例2)ホットストリップ仕上ミル仕
上圧延において、圧延中の圧下レベリングSdfi,圧延
荷重左右差Pdfi ,ルーパロール反力左右差Rdfi およ
びロール周速Viの同時点データおよび仕上圧延機入出
側材料の温度の幅方向分布を測定する。材料の幅方向温
度分布の測定結果に基づいて仕上圧延機内の各圧延機ロ
ールバイトにおける温度推定計算を実施し、これより変
形抵抗左右差kdfi =0(i=1〜N)の値を推定す
る。以上のデータを得た時点で変数(9)のうち、未知数
の数は6N+2個となる。これに対して方程式の数は式
(11)を含めて8N−1個となり式(1)〜(8)お
よび(11)の方程式系をすべて線形近似することによ
り、最小自乗法によって変数(9)のうちの未知数を精度
よく求めることができる。このようにして求められた張
力の左右差σdfi の値が許容値を超える場合に圧下レベ
リングの修正を実施する。圧下レベリング操作基本量Δ
dfi を求める場合、上記説明にあるようにσdfi =0
(i=0〜N)とおいて方程式系を解くが、このとき、
dfi ,Pdfi ,Rdfi は新たに未知数となる。したが
って、未知数の数は8N個となり、方程式の数よりも1
個多くなってしまう。このときに入出側の板ウェッジの
測定値を使用する方法を本願の第六の発明では規定して
いるが、このとき、出側板ウェッジは現状解を求める場
合には使用できるが、張力の左右差を零とする圧下レベ
リングの目標値を求める際には一般に圧下レベリングの
操作によって出側板ウェッジは変化するため、出側板ウ
ェッジを測定値に固定することは不合理である。したが
って、圧下レベリングの目標値を求める場合に使用でき
るのは入側板ウェッジのみであるが、これを利用するこ
とにより、方程式の数と未知数の数は合致し、上記方程
式系を解くことによって全ての解を求めることが可能と
なる。また一つの実施態様としては、材料オフセンター
量xciはレベリングを多少操作してもそれほど大きく変
わるものではないので、xciを現状に関する解に固定す
ることにより、未知数をさらに少なくすることができ、
レベリングの目標値S2 dfi を最小自乗解として求める
ことが可能となる。このようにして計算された圧下レベ
リングの目標値と現在値から圧下レベリング操作基本量
を計算し、これにチューニングファクターを乗じて制御
出力とする。このような制御サイクルを数回経ることに
よって、各圧延機間で圧延材に作用する張力差を零に近
づけることができ、圧延材の蛇行や尻絞りを未然に防ぐ
ことが可能となる。なお仕上圧延機入,出側にもテンシ
ョンロールを設け、Rdfo ,RdfN を測定し利用する実
施態様も考えられるが、この場合でもσdfi =0とする
ときにはRdfo ,RdfN も未知数としなけれなばならな
いので、未知数と方程式の数のバランスは上記実施態様
と同様である。図6には本実施例2のアルゴリズムを示
す。
【0039】(実施例3)図2に示すような4段圧延機
を用いて、作業ロールベンディング装置を用いた圧延荷
重測定装置の較正を作業ロール組み替え毎に実施し、補
強ロール組み替えのタイミングでは、上記圧延荷重測定
装置の較正を実施後、キスロール締め込みテストを実施
し、圧下設定値と圧延荷重測定装置の関係のデータよ
り、ロール変形分を分離して、ハウジングおよび圧下系
の変形特性を、作業側および駆動側別個に抽出して設定
計算用コンピュータにデータを記憶する。作業ロール組
み替え毎に圧延荷重測定装置の較正を実施することによ
り、作業ロール等の重量の変化にかかわりなく、上下作
業ロール間に作用する荷重を圧延荷重測定装置で正確に
検出することが可能となる。また、補強ロール組み替え
毎にキスロール締め込みテストを実施してハウジングお
よび圧下系の変形特性の抽出を行うことにより、補強ロ
ールチョックと圧下スクリューあるいはライナーとの弾
性接触面の変形特性の変化を直ちに検出し補償すること
が可能となる。
【0040】図7は、実績ホットストリップミル仕上圧
延機NO.7スタンド(4段圧延機)において、本願の圧延
荷重測定装置の較正方法にしたがって、ロールベンディ
ング力と圧延荷重測定装置の対応関係のデータを採取し
たものである。図7では、圧延荷重測定装置の零点調整
のみを目的として勾配を1に固定した直線近似を行って
いるが、これらの近似直線より、真の荷重QW ,QD
次式で計算される。
【0041】 QW =PW +90.5 ・・・(22) QD =PD +59.7 ・・・(23) これに対して同じ圧延機で半年後に採取したデータを図
8に示しているが、これより次の補正式を得る。
【0042】 QW =PW +59.6 ・・・(24) QD =PD +131.1 ・・・(25) したがって、式(22)〜(25)の補正を行わない場
合、作業側と駆動側の圧延荷重差としては、半年の間に
(90.5−59.7)−(59.6−131.1)=102.3 tonfの変化が
あったことになる。このような変化をそのままにしてレ
ベリング制御を実施した場合、通板作業に深刻な悪影響
を与えることになり、圧延荷重の正確な零点調整は非常
に重要であることがわかる。
【0043】図9は、キスロール締め込みテストによっ
て得られた圧下設定値と測定荷重の関係の一例であり、
図10は図9のデータよりロール系の変形を分離して、
ハウジングおよび圧下系の変形特性を抽出したものであ
る。なお、図10では、作業側および駆動側それぞれの
ハウジングおよび圧下系の変形特性を、左右の圧延荷重
測定装置の出力の合計として定義される圧延荷重と対応
づけるため、縦軸はそれぞれの測定荷重を2倍して圧延
荷重として表現している。図10のデータによると、圧
延荷重が1000 tonf変化した場合のハウジングおよび圧
下系の変形量の左右差(作業側−駆動側)は−58μm
となっており、ハウジングおよび圧下系の変形特性に無
視できない左右差があり、図10のデータに基づいてこ
れを補正して圧下レベリングの測定値とすることが非常
に重要であるこさがわかる。
【0044】
【発明の効果】本発明の板圧延機の圧下設定方法を用い
ることにより、定常圧延中にタンデム圧延機列の各圧延
機間で圧延材に作用する張力差をほぼ零にすることがで
き、その結果、通板時の事故はほとんど皆無の状態とな
り、作業率および歩留を大きく向上させることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の蛇行制御方法のアルゴリズムを示す
フロ−チャ−トである。
【図2】 代表的な板圧延機である4段圧延機の側面図
である。
【図3】 実績ホットストリップミル仕上圧延機NO.6ス
タンドにおいて無負荷時にロールベンディング力を加
え、圧延荷重測定装置の出力との対応関係をプロット
し、データを最小自乗法により直線近似したグラフであ
る。
【図4】 図3と同じデータに対して、データを勾配1
の直線で近似したグラフである。
【図5】 本発明の実施例1のアルゴリズムを示すフロ
−チャ−トである。
【図6】 本発明の実施例2のアルゴリズムを示すフロ
−チャ−トである。
【図7】 実施例2の対象とした実績ホットストリップ
ミル仕上圧延機NO.7スタンドにおいて無負荷時にロール
ベンディング力を加え、圧延荷重測定装置の出力との対
応関係をプロットし、データを勾配1の直線で近似した
グラフである。
【図8】 図7と同じ圧延機で図7のデータ採取の半年
後に同様のデータを採取し、データを勾配1の直線で近
似したグラフである。
【図9】 キスロール締め込みテストによって得られた
圧下設定値と圧延荷重測定装置による測定荷重の関係
を、作業側(WS)と駆動側(DS)別個に示すグラフ
である。
【図10】 図9のデータからロール系の変形を計算し
分離することにより得られるハウジングおよび圧下系の
変形特性を、ハウジングおよび圧下系の変形量と圧延荷
重の関係で、WSおよびDS別個に示すグラフである。
【符号の説明】
1:圧延荷重測定装置 2−1,2−2,3−1,3−2:インクリース作業ロ
ールベンディング装置 4−1,4−2,5−1,5−2:ディクリース作業ロ
ールベンディング装置 6−1,6−2,7−1,7−2:補強ロールバランス
装置 8−1,8−2:作業ロール 9−1,9−2:補強ロール 10−1,10−2:作業ロールチョック 11−1,11−2:補強ロールチョック 12:圧下装置 13:ハウジ
ング 14:作業ロールベンディング装置作動油圧測定装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−170519(JP,A) 特開 昭60−238026(JP,A) 特開 平3−165913(JP,A) 特開 平4−100622(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 37/00 - 37/78 B65H 29/20

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2台以上の圧延機で連続的かつ同時に金
    属板を圧延するタンデム圧延操業において、圧延中のロ
    ール周速ならびに作業側および駆動側の圧下設定値を同
    時点サンプリングし、これらのデータに基づいて、圧延
    材に作用している各圧延機間の張力の左右差を推定し、
    該張力の左右差を零にすることを目標として、タンデム
    圧延の定常時の方程式系を用いて圧下設定値左右差の操
    作基本量を求め、これに基づいて各圧延機の圧下設定値
    の左右差を制御することを特徴とする蛇行制御方法。
  2. 【請求項2】 2台以上の圧延機で連続的かつ同時に金
    属板を圧延するタンデム圧延操業において、圧延中のロ
    ール周速,作業側および駆動側の圧下設定値および圧延
    荷重を同時点サンプリングし、これらのデータに基づい
    て、圧延材に作用している各圧延機間の張力の左右差を
    推定し、該張力の左右差を零にすることを目標として、
    タンデム圧延の定常時の方程式系を用いて圧下設定値左
    右差の操作基本量を求め、これに基づいて各圧延機の圧
    下設定値の左右差を制御することを特徴とする蛇行制御
    方法。
  3. 【請求項3】 2台以上の圧延機で連続的かつ同時に金
    属板を圧延する冷間タンデム圧延操業において、圧延中
    のロール周速ならびに作業側および駆動側の圧下設定値
    を同時点にサンプリングし、さらに、上記データ採取時
    点とほぼ同時点のタンデム圧延機列入出側の板厚を板幅
    方向2点以上測定し、これらのデータに基づいて、圧延
    機に作用している各圧延機間の張力の左右差を推定し、
    該張力の左右差を零にすることを目標として、タンデム
    圧延の定常時の方程式系を用いて圧下設定値左右差の操
    作基本量を求め、これに基づいて各圧延機の圧下設定値
    の左右差を制御することを特徴とする蛇行制御方法。
  4. 【請求項4】 2台以上の圧延機で連続的かつ同時に金
    属板を圧延する熱間タンデム圧延操業において、圧延中
    のロール周速ならびに作業側および駆動側の圧下設定値
    を同時点にサンプリングし、さらに、上記データ採取時
    点とほぼ同時点のタンデム圧延機列入出側の板厚を板幅
    方向2点以上、およびタンデム圧延機列入側および/ま
    たは出側の圧延材の温度を板幅方向2点以上測定し、こ
    れらのデータに基づいて、圧延材に作用している各圧延
    機間の張力の左右差を零にすることを目標として、タン
    デム圧延の定常時の方程式系を用いて圧下設定値左右差
    の操作基本量を求め、これに基づいて各圧延機の圧下設
    定値の左右差を制御することを特徴とする蛇行制御方
    法。
  5. 【請求項5】 2台以上の圧延機で連続的かつ同時に金
    属板を圧延する冷間タンデム圧延操業において、圧延中
    のロール周速,作業側および駆動側の圧下設定値、およ
    び圧延機間の圧延材張力測定装置による作業側および駆
    動側の張力検出を同時点にサンプリングし、さらに、上
    記データ採取時点とほぼ同時点のタンデム圧延機列入出
    側の板厚を板幅方向2点以上測定し、これらのデータに
    基づいて、圧延材に作用している各圧延機間の張力の左
    右差を推定し、該張力の左右差を零にすることを目標と
    して、タンデム圧延の定常時の方程式系を用いて圧下設
    定値左右差の操作基本量を求め、これに基づいて各圧延
    機の圧下設定値の左右差を制御することを特徴とする蛇
    行制御方法。
  6. 【請求項6】 2台以上の圧延機で連続的かつ同時に金
    属板を圧延する冷間タンデム圧延操業において、圧延中
    のロール周速,作業側および駆動側の圧下設定値、およ
    び圧延機間の圧延材張力測定装置による作業側および駆
    動側の張力検出値を同時点にサンプリングし、さらに、
    上記データ採取時点とほぼ同時点のタンデム圧延機列入
    出側の板厚を板幅方向2点以上、およびタンデム圧延機
    列入側および/または出側の圧延材の温度を板幅方向2
    点以上測定し、これらのデータに基づいて、圧延材に作
    用している各圧延機間の張力の左右差を推定し、該張力
    の左右差を零にすることを目標として、タンデム圧延の
    定常時の方程式系を用いて圧下設定値左右差の操作基本
    量を求め、これに基づいて各圧延機の圧下設定値の左右
    差を制御することを特徴とする蛇行制御方法。
  7. 【請求項7】 タンデム圧延機列を構成する圧延機が、
    油圧方式の作業ロールベンディング装置と、圧下装置の
    負荷を測定する圧延荷重測定装置を有し、該各圧延機に
    おいて非圧延時でロールギャップ開の状態で、該作業ロ
    ールベンディング装置によって上下作業ロールギャップ
    を開く方向の負荷を2水準以上与え、該作業ロールベン
    ディング装置の作動シリングへの供給油の圧力測定装置
    によって検出される油圧力と該作動シリンダの有効断面
    積と作動シリンダの数から計算されるロールベンディン
    グ力と、補強ロールの支持荷重を測定する該圧延荷重測
    定装置の出力との対応関係を分折し、両者の相関関係を
    作業側および駆動側をそれぞれ分離して分折し、該圧延
    荷重測定装置の零点または零点と感度の両方を較正し、
    さらに、非圧延状態で圧下装置を操作して上下作業ロー
    ルを接触せしめ、さらに圧下装置を締め込み、その途中
    経過のうちの複数の時点において、作業側および駆動側
    の圧下設定位置と圧延荷重測定装置の出力を同時に採取
    し、各時点の条件に対応するロール系の変形を計算して
    分離し、その結果として求められるハウジングおよび圧
    下系の変形特性の作業側と駆動側の非対称性のデータを
    使用して、圧延中の作業側および駆動側の圧下設定値の
    差の測定値を補正する請求項1記載の蛇行制御方法。
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