JP3144531B2 - 水性インキ組成物 - Google Patents

水性インキ組成物

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JP3144531B2 JP28306294A JP28306294A JP3144531B2 JP 3144531 B2 JP3144531 B2 JP 3144531B2 JP 28306294 A JP28306294 A JP 28306294A JP 28306294 A JP28306294 A JP 28306294A JP 3144531 B2 JP3144531 B2 JP 3144531B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マーキングペンに使用
するパール調の水性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、パール調の水性インキ組成物とし
ては、例えば、必須成分として、(1)昼光蛍光性顔料、
(2)酸化チタン及び酸化チタンでコーティングされたマ
イカ片からなるパール顔料から選ばれる隠蔽性付与顔
料、(3)アルカリ可溶性水溶性樹脂及び(4)ロジンエステ
ルエマルジョンとを含有してなるマーキングペン用水性
蛍光顔料インキ(特開平5−45633号公報)が知ら
れている。また、平均粒子径5〜100μmのパール顔
料をインキ全量に対して5〜50重量%と、インキ全量
に対して5〜30重量%の分散剤兼固着剤と、着色剤と
してインキ全量に対して0〜20重量%の染料又は顔料
を含有してなることを特徴とするメタリック調及びパー
ル調水性インキ組成物(特開平5−117569号公
報)も知られている。
【0003】前記特開平5−45633号公報に開示の
酸化チタンでコーティングされたマイカ片からなるパー
ル顔料は、比重約3.0、平均粒子径が市販されている
もので、5〜100μであり、低粘度のインキでは、容
易にインキ中で沈降分離がおき、さらに、インキを長時
間放置したものは、沈降したパール顔料がハードケーキ
を形成し、ペン体中に存在させた撹拌子の動きを制限し
たりする問題点があった。また、十分なインキ撹拌ので
きないまま流出したインキは、パール顔料が含有されて
いないか、若しくは、含有量が非常に少なく、パール感
のないインキが流出することとなる問題点があった。
【0004】これらの問題点を防止するために、分散剤
を添加してパール顔料を分散し、沈降しづらい系をつく
ったり、沈降しても容易に再分散するような組成を作っ
たりする種々の組成のパール調の水性インキ組成物(例
えば、前記特開平5−117569号公報)が提案され
ているが、これらは、初期の分散に効果があっても、長
期間経過後のハードケーキの防止には不十分であって、
現状では所望の効果を奏するに至っていないという課題
がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来の
課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の高分子活性
剤又は樹脂にて、パール顔料を分散せしめ、さらにイン
キのpHを10〜12に調整することで、長期間経過後
のパール顔料のハードケーキの防止に非常に効果がある
ことを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の水性インキ組成物は、パール顔料を
分散させた水性インキ組成物において、分散剤がナトリ
ウム塩、若しくはアンモニウム塩の高分子活性剤又は樹
脂であり、かつ、インキのpHが10〜12であること
を特徴とする。
【0006】
【作用】本発明の水性インキ組成物が、pH10〜12
の領域で良好なハードケーキ防止特性を有する理由は、
パール顔料表面への高分子であるための良好な吸着とそ
の立体障害効果を有すると共に、アニオン性であるため
の高pH領域では、分子鎖中に−イオンをもつため、−
イオン同志の電気的反発が強く、分子鎖同志が絡み合い
にくくなり、粒子同志の結合を強く疎外しているものと
考えられる(この点に関しては更に実施例で詳しく説明
する)。
【0007】以下に、本発明の内容を説明する。本発明
に使用する分散剤としては、ナトリウム塩、若しくはア
ンモニウム塩の高分子活性剤又は樹脂であり、例えば、
β‐ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウ
ム塩およびアンモニウム塩、無水マレイン酸とオレフィ
ン化合物の共重合物のナトリウム塩およびアンモニウム
塩、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩およびアン
モニウム塩、ポリスチレン‐無水マレイン酸‐ポリオキ
シアルキレン共重合体のナトリウム塩およびアンモニウ
ム塩、スチレン‐無水マレイン酸共重合体のナトリウム
塩およびアンモニウム塩、などが挙げられる。また、こ
の分散剤は、インキ全量に対して、有効成分で1重量%
以上で用いられる。有効成分の配合量が、1重量%より
少ないと効果が出ず、多ければ多いほど効果が高いが、
インキの粘性、ペンとしての特性等、必要な特性が得ら
れるだけの添加が望ましく、有効成分で1.0〜10.
0重量%、好ましくは、2.0〜6.0重量%である。
【0008】本発明の水性インキ組成物のpHは、10
〜12で使用される。pHが10未満の場合は、水酸化
ナトリウム、アミン類などのアルカリ剤を添加してpH
調整する必要がある。pHが10未満のまま使用する
と、長期間経過後のハードケーキの防止には不十分なも
のとなり、例えば、ペン体中に存在させた撹拌子を埋め
て、硬く沈降物を形成するため、撹拌子を動かなくして
しまうこととなるので好ましくない。また、pHが12
より大きい場合は、インキの安全性、その他のインキ材
料の安定性に影響を与えるため、実用的ではない。
【0009】本発明に使用されるパール顔料は、酸化チ
タン、酸化鉄などの高屈折率の金属酸化物でコーティン
グされたマイカ片からなり、屈折率の高い金属酸化物の
層と屈折率の低いマイカの層との境界で反射した光が、
パール光沢をもたらすものであり、平均粒径15μ以下
のものが好ましい。組成物中に占めるパール顔料の配合
割合は、任意に用いることができるが、好ましくは、1
0〜20重量%の範囲で使用される。この配合量より少
なければ、パール感が不足して実用性に欠け、多すぎれ
ば、液の粘性が高くなり過ぎたり、ペン先の毛細管から
のインキ流出を疎外することとなる。
【0010】さらに、本発明の水性インキ組成物に、必
要に応じて染料、顔料などの着色材、描線の乾燥速度を
調整するためのアルコールやグリコールなどの有機溶
剤、水溶性樹脂や樹脂エマルジョンなどの固着剤を添加
しても、最終のインキで、pH10〜12の範囲であれ
ば差し支えない。いずれにしても、使用するペンの機構
や所望する描線濃度、特性を考慮しパール感を損なわ
ず、インキとして経時的に安定した配合組成にすること
が望ましい。
【0011】
【実施例】次に、実施例によって本発明を更に詳細に説
明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0012】実施例1 パール顔料(イリオシ゛ン 111 メルクシ゛ャハ°ン(株)製 粒度15μ以下) 13重量% 無水マレイン酸‐ジイソブチレンの共重合物のナトリウム塩 10重量% (ホ°リスター OM 日本油脂(株)製 有効性分 25%) フタロシアニングリーン(C.I.ヒ°ク゛メントク゛リーン 7) 3重量% エチレングリコール 10重量% スチレン‐アクリル酸エステル共重合樹脂エマルジョン 5重量% (AE-333 日本合成ゴム(株)製、固形分55%) 精製水 59重量% 計 100重量%
【0013】実施例2 パール顔料(イリオシ゛ン 111 メルクシ゛ャハ°ン(株)製 粒度15μ以下) 13重量% 無水マレイン酸‐ジイソブチレンの共重合物のアンモニウム塩 10重量% (ホ°リスター OMA 日本油脂(株)製 有効性分 25%) フタロシアニングリーン(C.I.ヒ°ク゛メントク゛リーン 7) 3重量% エチレングリコール 10重量% スチレン‐アクリル酸エステル共重合樹脂エマルジョン 5重量% (AE-333 日本合成ゴム(株)製、固形分55%) 1N NaOH 水溶液 15重量% 精製水 44重量% 計 100重量%
【0014】比較例1 パール顔料(イリオシ゛ン 111 メルクシ゛ャハ°ン(株)製 粒度15μ以下) 13重量% 無水マレイン酸‐ジイソブチレンの共重合物のナトリウム塩 10重量% (ホ°リスター OM 日本油脂(株)製 有効性分 25%) フタロシアニングリーン(C.I.ヒ°ク゛メントク゛リーン 7) 3重量% エチレングリコール 10重量% スチレン‐アクリル酸エステル共重合樹脂エマルジョン 5重量% (AE-333 日本合成ゴム(株)製、固形分55%) 1/2N 塩酸 13重量% 精製水 46重量% 計 100重量%
【0015】比較例2 パール顔料(イリオシ゛ン 111 メルクシ゛ャハ°ン(株)製 粒度15μ以下) 13重量% 無水マレイン酸‐ジイソブチレンの共重合物のアンモニウム塩 10重量% (ホ°リスター OMA 日本油脂(株)製 有効性分 25%) フタロシアニングリーン(C.I.ヒ°ク゛メントク゛リーン 7) 3重量% エチレングリコール 10重量% スチレン‐アクリル酸エステル共重合樹脂エマルジョン 5重量% (AE-333 日本合成ゴム(株)製、固形分55%) 精製水 59重量% 計 100重量%
【0016】上記実施例、比較例の各組成物を撹拌混合
機で、3時間混合分散してパール調のインキを得た。そ
れぞれ調整したインキを底面直径30mm、高さ70mmの
ガラス瓶に液面高さ50mmとなるようにインキをいれ、
遠心分離機で3000Gを30分間かけてパール顔料を
強制沈降させた後、液面から直径6.45mmのステンレ
スボール(重量1.1g)を沈降物上に落下させて、沈
降物の硬さを判定した。
【0017】さらに、それぞれのインキを弁機構を備
え、直径6.45mmのステンレスボール(重量1.1
g)を内蔵させたペンに各10本づつ充填して組立て、
ペン先側を上にして、室温で1カ月間放置したのち、各
試料ペンを上下に振り、ボールが可動するまでの回数を
測定し、10本の平均を算出した。これらの結果を下記
表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】(表1の考察)実施例1、2は、本発明の
範囲となる分散剤がナトリウム塩、若しくはアンモニウ
ム塩の高分子活性剤であり、かつ、インキのpHを実施
例1ではpH11.3、実施例2ではpH11.7とした
ものである。これに対して比較例1、2は、本発明の範
囲外となる場合であり、実施例と同一の高分子活性剤を
使用したものであるが、インキのpHを比較例1ではp
H9.0、比較例2ではpH8.5としたものである。上
記表1のステンレスボールの落下テスト及びボールが可
動する回数テストから明らかなように、実施例1、2
は、比較例1、2よりも柔らかい沈降物を形成すること
が判る。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、長期間経過後のパール
顔料のハードケーキを防止するため、ペン体中に存在さ
せた撹拌子にて、容易に十分なインキ撹拌ができると共
に、流出したインキは、パール感の優れた描線となる水
性インキ組成物が提供される。また、撹拌子も市販のも
のが使用でき、重量、個数も少なくて済むため、製品を
製造する能率が向上し、製品の原材料費、労務費を低コ
ストに抑えることができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パール顔料を分散させた水性インキ組成
    物において、分散剤がナトリウム塩、若しくはアンモニ
    ウム塩の高分子活性剤又は樹脂であり、かつ、インキの
    pHが10〜12であることを特徴とする水性インキ組
    成物。
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