JP3144475B2 - 電界放出型冷陰極の製造方法 - Google Patents

電界放出型冷陰極の製造方法

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JP3144475B2
JP3144475B2 JP16893897A JP16893897A JP3144475B2 JP 3144475 B2 JP3144475 B2 JP 3144475B2 JP 16893897 A JP16893897 A JP 16893897A JP 16893897 A JP16893897 A JP 16893897A JP 3144475 B2 JP3144475 B2 JP 3144475B2
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gate electrode
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oxide film
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J9/00Apparatus or processes specially adapted for the manufacture, installation, removal, maintenance of electric discharge tubes, discharge lamps, or parts thereof; Recovery of material from discharge tubes or lamps
    • H01J9/02Manufacture of electrodes or electrode systems
    • H01J9/022Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes
    • H01J9/025Manufacture of electrodes or electrode systems of cold cathodes of field emission cathodes

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電界放出型冷陰極に
関し、特に先鋭な先端形状のエミッタを有する電界放出
型冷陰極とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電界放出型冷陰極は、先鋭なコーン形状
のエミッタと、サブミクロンオーダの開口を有しエミッ
タに近接して形成されるゲート電極とにより、エミッタ
先端に高電界を集中し、真空中でエミッタ先端から電子
を放出させる素子で、別に設けたアノード電極でその電
子を受ける。近年微細加工技術の発展により小型化が進
み3極管型の超小型電子管や薄型表示装置の超小型電子
銃の構成要素として広く使用されている。従来の電界放
出型冷陰極は100V程度の電圧をエミッタとゲート電
極の間にかけることにより10nmオーダーの先鋭な曲
率半径を有するエミッタから電子が放出されていた。し
かしながら、動作電圧が100V以上では消費電力や制
御回路の面から動作条件が制限を受けるため、低電圧で
の動作が求められていた。その一つの方法として、ゲー
ト電極の開口部の径を微細化する方法がある。しかしな
がら、ゲート電極の開口部の径を微細化するとゲート・
エミッタ間の絶縁膜の膜厚も薄くなり絶縁耐圧が劣化す
るので、絶縁耐力の劣化が抑制できるゲート電極の開口
部の径の微細化手法が求められていた。
【0003】この要求に対応するため従来、例えば特開
平5−94762号公報、特開平8−321255号公
報や特開平7−65706号公報にゲート電極の開口部
の径の微細化手法が開示されている。
【0004】図13は特開平5−94762号公報で開
示された第1の従来例の電界放出型冷陰極の製造工程を
示す模式的断面図であり、(a)はシリコン基板に絶縁
膜を形成した状態、(b)は絶縁膜をマスクにシリコン
基板をエッチングし凸部を形成した状態、(c)はシリ
コン基板上に絶縁膜を形成し、ゲート電極材料を堆積し
た状態、(d)は不要部をエッチング等で除去して電界
放出型冷陰極が形成された状態である。図中符号701
はシリコン基板、701aはシリコン基板の凸部、70
2、703は絶縁膜、704はエミッタ、707はゲー
ト電極、707aはゲート電極材料である。
【0005】第1の従来例を図13を参照して工程順に
説明する。まず、図13(a)に示すように、シリコン
基板701表面を熱酸化して酸化膜よりなる絶縁膜70
2を0.2〜0.3μm厚に形成する。次に、図13
(b)に示すように、絶縁膜702の表面にレジストを
用いてパターニングし、絶縁膜702を所望の形状にエ
ッチングにする。次に、このエッチングされた絶縁膜7
02をマスクとしてシリコン基板701の表面をドライ
エッチング法により等方的にエッチングし図のような凸
部701aを形成する。次に図13(c)に示すよう
に、シリコン基板701の表面を熱酸化し、0.3〜
0.5μm程度の深さの酸化膜よりなる絶縁膜703を
形成する。この際、凸部701aの表面も酸化されるた
め酸化膜の下に円錐形状のエミッタ704が形成され
る。次に、モリブデン等のゲート電極材料707aを斜
め方向からの回転電子ビーム蒸着により0.2μm厚程
度に堆積し、ゲート電極707を絶縁膜703上に形成
する。次に図13(d)に示すように、絶縁膜702お
よびエミッタ704上の絶縁膜703を弗酸で除去す
る。この工程でエミッタ704上のゲート電極材料70
7aはリフトオフされエミッタ704が露出し、電界放
出型冷陰極が形成される。
【0006】この第1の従来例ではゲート電極707の
下の絶縁膜703を絶縁性の良い熱酸化膜で形成するこ
とによりエミッタ704とゲート電極707との間の距
離短縮が可能となっている。
【0007】次に第2の従来例を説明する。図14は特
開平8−321255号公報で開示された第2の従来例
の電界放出型冷陰極の製造工程を示す模式的断面図であ
り、(a)はシリコン基板に絶縁膜とゲート電極を形成
した状態、(b)は絶縁膜とゲート電極をエッチングし
て開口部を形成し、酸化絶縁膜をエッチングにより開口
部より後退させた状態、(c)は犠牲層を形成しエミッ
タ材料層を堆積させた状態、(d)は不要部をエッチン
グ等で除去して電界放出型冷陰極が形成された状態であ
る。図中符号801はシリコン基板、803、814は
絶縁膜、804はエミッタ、807はゲート電極、81
2は犠牲層、813はエミッタ材料層である。
【0008】まず、図14(a)に示すように、シリコ
ン基板801上に熱酸化膜などの絶縁膜803を形成
し、更に窒化膜などの絶縁膜814をCVD法を用いて
0.2μm成長し、0.2μm厚のモリブデンなどのゲ
ート電極807をスパッタ法などで堆積する。次に、図
14(b)に示すように、フォトリソグラフィレジスト
等(不図示)をパターニングし、それをマスクにRIE
法により円形状の開口をゲート電極807、絶縁膜81
4および絶縁膜803に形成し、さらに弗酸により絶縁
膜803を選択的にウェットエッチングして開口端より
も後退させる。次に、図14(c)に示すように、斜め
方向からの電子ビーム蒸着によりアルミなどの犠牲層8
12を形成し、さらに垂直方向からの電子ビーム蒸着に
よりモリブデンなどのエミッタ材料層813を堆積す
る。この際に開口内のシリコン基板1上には先鋭なエミ
ッタ4が形成される。次に、図14(d)に示すように
犠牲層807をリン酸でエッチングして、エミッタ材料
層813をリフトオフし除去することにより図のような
電界放出型冷陰極が完成する。
【0009】この方法ではゲート電極807の下の絶縁
膜を膜質の異なる2層で形成し、その一方をサイドエッ
チングさせることにより絶縁膜の表面距離を長くしてゲ
ート電極とエミッタまたはシリコン基板間の絶縁性を向
上させている。
【0010】次に、第3の従来例について説明する。図
15は特開平7−65706号公報で開示された第3の
従来例の電界放出型冷陰極の製造工程を示す模式的断面
図であり、(a)はシリコン基板上に窒化膜と酸化膜を
堆積して所望の形状に等方的と異方的にエッチングして
凸部をシリコン基板に形成した状態、(b)は熱酸化に
よりシリコン基板表面に絶縁膜を形成した状態、(c)
は絶縁膜を蒸着法により堆積して襟状の成長部を形成
し、ゲート電極材料を堆積した状態、(d)は不要部を
エッチング等で除去して電界放出型冷陰極が形成された
状態である。図中符号901はシリコン基板、901a
はシリコン基板の凸部、903、919は絶縁膜、90
4はエミッタ、907はゲート電極、907aはゲート
電極材料、917は窒化膜、918は酸化膜、919a
は絶縁膜の襟状の成長部である。
【0011】まず、図15(a)に示すようにシリコン
基板901上に300nm厚の窒化膜917と300n
m厚の酸化膜918をCVD法により堆積し、フォトリ
ソグラフィを利用し酸化膜918および窒化膜917を
パターニングし、これをマスクとしてシリコン基板90
1をSF6等のエッチングガスで初期は等方的にエッチ
ングし次に異方的にエッチングし、図のように先端が細
い凸部901aがシリコン基板901上に形成される。
次に、図15(b)に示すように、熱酸化を施しシリコ
ン基板901表面に酸化膜よりなる絶縁膜903を形成
する。この工程でシリコン基板901上の凸部901a
は絶縁膜903の下で先鋭化しエミッタ904が形成さ
れると同時にエミッタ904の側壁に形成された絶縁膜
903はマスク膜である窒化膜917酸化膜918より
も幅が広くなる。次に図15(c)に示すように、蒸着
法により1μm厚の酸化膜よりなる絶縁膜919を形成
する。この工程でエミッタ904の側壁の絶縁膜903
のうち窒化膜917および酸化膜918よりも幅の広い
領域の上部から蒸着時の絶縁膜919が堆積していき、
図のような襟状の成長部919aが形成される。次に、
斜め方向からゲート電極907として200nm厚のク
ロムなどを堆積する。この際、ゲート電極907は絶縁
膜919の襟状の成長部919a上にも成長しエミッタ
904に最も近い領域では絶縁膜903上にまで成長す
る。次に図15(d)に示すように、弗酸で絶縁膜90
3をエッチングすることによりゲート電極材料層907
aや窒化膜917はリフトオフされ、エミッタ904が
露出して電界放出型冷陰極が完成する。この方法では蒸
着で形成した襟状の成長部919aを利用することによ
りゲート電極907とエミッタ904との間の距離を狭
く形成することが可能である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の第1の問題
点は、ゲート電極下の絶縁膜を絶縁性の良い熱酸化膜で
形成し、酸化膜厚でゲート電極とエミッタ間の距離を決
める第1の従来例で代表される方法では、微細化により
絶縁膜の沿面での耐圧劣化が生じることである。これは
ゲート・エミッタ間の距離が熱酸化膜の膜厚で決まるこ
とから、ある程度以上の膜厚では十分な耐圧があるが、
ゲート・エミッタ間の距離を短縮することにより酸化膜
厚が薄くなると酸化膜厚で決まるゲート電極とエミッタ
間の絶縁膜表面の沿面距離が短縮し、短縮による沿面放
電、リーク電流の発生などによりゲート電極とエミッタ
間の耐圧が劣化するためである。
【0013】次に第2の問題点は、微細化を進めると絶
縁膜の耐圧が劣化していくことである。これは微細化に
より第1の従来例で示すようなゲート電極の開口の径が
絶縁膜厚で決まる方法では絶縁膜厚は薄くなり、それに
伴い絶縁膜中の結晶欠陥等による耐圧劣化の影響が顕著
になり耐圧が劣化していくためである。また、第2の
例で示されたような蒸着でエミッタを形成する手法で
も、ゲート開口部の径が微細化していくとエミッタの高
さが低くなるため、ゲート電極の高さをエミッタの高さ
に合わせて低くしないとエミッション電流特性の劣化が
生じるために、絶縁膜厚を薄くする必要があるためであ
る。従って、第2の従来例のように絶縁膜を2層以上と
しサイドエッチング量を変えて絶縁膜表面の沿面距離を
長くするだけでは耐圧の向上を図ることはできない。
【0014】次に第3の問題点は、エミッタ近傍の絶縁
膜形状を変えてゲート電極の開口幅を微細化する方法で
は、ゲート電極の強度が劣化しゲート電極とエミッタ間
の距離が安定しないことである。これは第3の従来例の
ようにゲート電極材料を蔭の領域に回り込んで形成させ
る方法では、場所により膜厚の変化が生じ、場所により
強度的に弱い領域が生じ、機械的に折れるなどの不良が
生じやすくなるためである。
【0015】次に第4の問題点は、エミッタ近傍の絶縁
膜のゲート電極の形状が変わる方法でゲート電極とエミ
ッタ間距離を微細化させる方法では、エミッタ先端の電
界強度が変化し特性が安定しないことである。これは第
3の従来例のようにエミッタの極近傍でゲート電極が盛
り上がる構造となっていると、エミッタ上部の電位分布
は盛り上がった点できまる電位によって影響され、エミ
ッタ先端の電位分布が粗になり、結果的にエミッタ先端
の電界強度が低下し、エミッシヨン電流が劣化するなど
の変化が生じるためである。
【0016】本発明の目的は、ゲート電極とエミッタ間
の耐圧の劣化を抑制した上で、ゲート電極とエミッタ間
の距離を短縮し、動作電圧の低減を可能とする電界放出
型冷陰極を簡単な製造工程で提供することにある。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の電界放出型冷陰
極の製造方法は、先鋭な先端形状を有するエミッタが上
表面に形成されエミッタ引き出し電極となる基板と、基
板上に絶縁膜を介して形成されエミッタを間隔をおいて
取り囲む開口を有するゲート電極とにより構成された電
界放出型冷陰極の製造方法であって、 シリコン基板上に
所定の形状で形成されたマスクを用いて、そのシリコン
基板にエミッタ形成領域を囲かつそのエミッタ形成領
域側の内側端部でそのシリコン基板に段差形成される
ように絶縁膜となる第1の酸化膜を形成する工程と、第
1の酸化膜の形成されたシリコン基板の上に絶縁膜とな
る第2の酸化膜を形成する工程と、第2の酸化膜の上に
ゲート電極を形成する工程と、第2の酸化膜とゲート電
シリコン基板の段差に囲まれた領域内側に対応す
所定の位置に所定の大きさの開口を形成する工程
と、開口より第1の酸化膜と第2の酸化膜を選択的に
リコン基板の表面と平行な方向に段差を超える位置まで
エッチングして、ゲート電極とシリコン基板との間に空
間を形成する工程と、開口を用いて該開口下部のシリコ
ン基板上にエミッタ材料を堆積してエミッタを形成する
工程とを含み、また、第2の酸化膜の上にゲート電極を
形成する工程の前に、後のエッチング工程において第2
の酸化膜とエツチング速度の遅い第3の絶縁膜を第2の
酸化膜の上に形成する工程を含み、ゲート電極は第3の
絶縁膜の上に形成してもよく、ゲート電極とシリコン基
板との間に空間を形成する工程の後に、第4の絶縁膜を
少なくとも露出したゲート電極表面とシリコン基板表面
と第1および第2の酸化膜の表面に形成する工程と、空
間内部の面の開口外側に堆積された第4の絶縁膜以外の
第4の絶縁膜を選択的に除去する工程とを有してもよ
い。
【0021】本発明によれば、エミッタ近傍のエミッタ
とゲート電極間を空洞とし、絶縁膜と基板との境界面は
エミッタの形成される基板表面より低い位置にあり、境
界面とエミッタの形成される基板表面との段差が絶縁膜
とエッミタとの間に形成されており、ゲート電極を支え
る絶縁膜の厚さは空洞部のエミッタとゲート間距離より
も厚くなっているのでエミッタとゲート電極間の絶縁性
が高くなり、エミッタとゲート間距離を短縮することに
より動作電圧の低い電界放出型冷陰極を提供できる。
【0022】また、エミッタ近傍の空洞内のゲート電極
およびシリコン基板の少なくとも一方に絶縁膜を形成す
ることによりシリコン基板とゲート電極間の絶縁膜の沿
面距離が長くなり、沿面によるエミッタとゲート電極間
の耐圧を向上させることも可能となる。
【0023】また本発明によれば、従来の工程にシリコ
ン基板上に選択的に酸化を行う工程を追加することによ
り容易に本発明の電界放出型冷陰極を形成できる。
【0024】さらに、高耐圧で低電圧動作が可能な本発
明の電界放出型冷陰極を表示素子、例えばフラットパネ
ルデイスプレイあるいはデイスプレイ用陰極管に適用す
ることにより、電流特性の安定した装置を提供すること
が可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施
の形態の電界放出型冷陰極の模式的断面図、図2は本発
明の第1の実施の形態の電界放出型冷陰極の模式的上面
図、図3は本発明の第1の実施の形態の電界放出型冷陰
極の製造工程の第1の実施例を示す模式的断面図であ
り、(a)はシリコン基板に形成しパターニングした絶
縁膜をマスクとしてシリコン基板をエッチングし、凸部
を形成した状態、(b)はシリコン基板表面に酸化膜に
より絶縁膜を形成し、窒化膜を堆積させて所定の形状に
パターニングした状態、(c)は窒化膜をマスクとして
シリコン基板に第2の絶縁膜を形成し、ゲート電極材料
を堆積させた状態、(d)は不要部をエッチング等で除
去して電界放出型冷陰極が形成された状態である。図1
は図2のA−A断面を示す。図中符号101はシリコン
基板、101aはシリコン基板に形成された凸部、10
2、103、106は絶縁膜、103aは絶縁膜端部、
104はエミッタ、106aはシリコン段差部、107
はゲート電極、107aはゲート電極材料である。
【0026】第1の実施の形態の電界放出型冷陰極は、
図1および図2に示すように、上に凸型の段差部106
aと先鋭な先端を有するエミッタ104とが形成された
n型のシリコン基板101、エミッタ104を取り囲む
ように形成されたゲート電極107、絶縁膜103およ
び絶縁膜106とにより構成されている。シリコン段差
部106aの内側にエミッタ104は形成され、絶縁膜
103および絶縁膜106の絶縁膜端部103aはシリ
コン段差部106aの外側に、即ち絶縁膜とシリコン基
板との境界面はエミッタの形成されるシリコン基板表面
よりも低くなるように形成されている。これにより、ゲ
ート電極107を支える絶縁膜103および絶縁膜10
6を合わせた厚さはゲート電極107とエミッタ104
間の距離よりも大きく設定することができている。
【0027】従って、ゲート電極107とエミッタ電極
となるシリコン基板101の間の耐圧は絶縁膜103と
絶縁膜106の絶縁耐圧とゲート電極107とエミッタ
104との間の空洞部の放電などによる耐圧で決まるこ
とになる。ゲート電極107とエミッタ104との間の
耐圧は放電で決まるがこれは動作時の真空度を改善する
ことにより改善することができる。また、放電時の電流
量をエミッタ104に抵抗を形成するなどの方法で制限
することにより、大電流を抑制することが可能である。
また、絶縁膜のトータル膜厚は、この構造ではゲート電
極107とエミッタ104との間の距離とは関係なく設
定できるため、絶縁膜で決まる耐圧は絶縁膜にかかる電
界強度が破壊電界未満となるような膜厚に設定すること
により十分な耐圧を得ることができる。
【0028】図11は本発明と従来例との電界放出型冷
陰極におけるゲート開口部の径と耐圧との関係を示すグ
ラフである。従来例では耐圧はゲート開口部の径の微細
化に伴い絶縁耐圧も劣化していくが、本発明では絶縁膜
厚を変えることなくゲート開口部の径を微細化できるた
め耐圧の劣化は少なくなっている。図12は本発明で作
製した電界放出型冷陰極のゲート電圧とエミッション電
流との関係を従来の電界放出型冷陰極と比較して示した
グラフである。本発明の電界放出型冷陰極はゲート開口
部の径が微細化できたことにより半分の電圧で動作する
ことができている。
【0029】次に本発明の第1の実施の形態の電界放出
型冷陰極の製造工程の第1の実施例について図3を参照
して説明する。
【0030】初めに、図3(a)に示すように、約10
15cm-3の濃度のn型シリコン基板101の表面に、熱
酸化により形成された酸化膜などにより約300nm厚
の絶縁膜102を形成した後、フォトリソグラフィ法を
用い絶縁膜102が例えば0.5μm程度の径の円形状
になるようにパターニングを行い、パターニングされた
絶縁膜102をマスクとしてシリコン基板101を、S
F6などのエッチングガスで等方的にエッチングし、シ
リコン基板101上に凸部101aを形成する。
【0031】次に図3(b)に示すように、シリコン基
板101に熱酸化を行い約100nm厚の酸化膜による
絶縁膜103を形成する。この工程でシリコン基板上の
凸部101aの先端は先鋭化され、エミッタ104が形
成される。次に、減圧下でのCVD成長法により窒化膜
105を堆積しフォトリソグラフィにより図のようにパ
ターニングする。
【0032】次に図3(c)に示すように、パターニン
グされた窒化膜105をマスクとしてシリコン基板10
1に熱酸化を行い、絶縁膜103の下の露出した領域の
シリコン基板101を酸化し、酸化膜よりなる絶縁膜1
06を約300nm厚に形成する。この工程により絶縁
膜103の下面にシリコン段差部106aを端部として
絶縁膜106が形成される。次に、リン酸などを用い窒
化膜105をエッチングで除去した後、斜め方向からの
回転蒸着法により例えばタングステンなどの材料よりな
るゲート電極材料107aを約100nmから200n
mの厚さに形成する。
【0033】次に図3(d)に示すように、弗酸で絶縁
膜103および絶縁膜106をエッチングし、シリコン
段差部106aの外側までサイドエッチングを行う。こ
の工程で絶縁膜102および前工程で絶縁膜102上に
形成されたゲート電極材料107aはリフトオフ除去さ
れエミッタ104が露出し電界放出型冷陰極が完成す
る。
【0034】このように簡略な方法で、ゲート開口部の
径を変えることなくゲート電極を支える絶縁膜厚を増加
することができ、さらに耐圧性の良い熱酸化で絶縁膜が
形成できるため絶縁膜の耐圧を劣化させることなくゲー
ト開口部の径を微細化することができる。また、この方
法ではエミッタ近傍のゲート電極の形状をエミッタより
も高くならないようにできるためエミッタ先端の電界強
度がゲート形状の変化により劣化することもない。
【0035】次に本発明の第1の実施の形態の電界放出
型冷陰極の製造工程の第2の実施例について図4および
図5を参照して説明する。図4は本発明の第1の実施の
形態の電界放出型冷陰極の製造工程の第2の実施例の前
半を示す模式的断面図であり、(a)はシリコン基板に
形成しパターニングした絶縁膜をマスクとしてシリコン
基板に熱酸化により酸化膜を形成しをエッチングにより
酸化膜を側壁としたシリコン基板凸部を形成した状態、
(b)は絶縁膜および酸化膜をマスクとしてシリコン基
板をエッチングし凸部の高さを調整した状態、(c)は
絶縁膜を除去してシリコン基板を熱酸化し酸化膜の下に
エミッタを形成した状態、(d)は酸化膜を除去して絶
縁膜を形成し、絶縁膜上に堆積した窒化膜をパターニン
グした状態である。図5は本発明の第1の実施の形態の
電界放出型冷陰極の製造工程の第2の実施例の後半を示
す模式的断面図であり、(a)は窒化膜をマスクとして
シリコン基板に絶縁膜を形成し、窒化膜を除去した状
態、(b)はゲート電極と平坦化膜を堆積した後エッチ
バックによりエミッタ上方のゲート電極を露出させた状
態、(c)は平坦化膜をマスクとして露出したゲート電
極をエッチングしエミッタ上の絶縁膜を露出させた状
態、(d)は平坦化膜と絶縁膜の不要部をエッチング等
で除去して電界放出型冷陰極が形成された状態である。
図中符号201はシリコン基板、201aはシリコン基
板に形成された凸部、202、203、206は絶縁
膜、203aは絶縁膜端部、204はエミッタ、205
は窒化膜、206aはシリコン段差部、207はゲート
電極、208、209は酸化膜、210は平坦化膜であ
る。
【0036】図4(a)に示すように、約1015cm-3
の濃度のn型シリコン基板201の表面に、熱酸化によ
り形成された窒化膜などで約500nm厚の絶縁膜20
2を形成した後、絶縁膜202をフォトリソグラフィで
所定の形状にパターニングし、これをマスクとしてシリ
コン基板201に熱酸化を行い約200nm厚の酸化膜
208を形成する。この工程によりシリコン基板201
上に凸部201aが形成される。次に、酸化膜208に
RIEを施しシリコン基板1上の凸部201aの側壁以
外の酸化膜208を除去する。
【0037】次に図4(b)に示すように絶縁膜202
および酸化膜208をマスクとしてシリコン基板201
をRIE法によりエッチングし凸部201aの高さを調
整する。この工程で後に形成されるエミッタ204の先
端の高さとゲート電極207の高さを設定している。
【0038】次に図4(c)に示すように絶縁膜202
をリン酸で除去した後、シリコン基板201を凸部20
1aが先鋭化するまで熱酸化し例えば約300nmの酸
化膜209を形成する。この工程で同時に先鋭なエミッ
タ4が形成される。
【0039】次に図4(d)に示すように、酸化膜20
9を除去した後50nmから200nmの膜厚に酸化を
施し、シリコン基板201表面に酸化膜よりなる絶縁膜
203を形成した後、CVD法により窒化膜205を約
100nm厚に堆積しフォトリソグラフィ法により窒化
膜205を所定の形状にパターニングする。
【0040】次に図5(a)に示すように、パターン化
された窒化膜205をマスクとして選択的にシリコン基
板201に熱酸化を施し、100nmから500nm程
度の酸化膜よりなる絶縁膜206を形成した後、リン酸
などのエッチング液でマスクとなった窒化膜205を除
去する。この工程で、シリコン基板201には絶縁膜2
03の下面の絶縁膜206の先端との接点にシリコン段
差部206aが形成され、エミッタ204を中心として
シリコン段差部206aより離れた領域では絶縁膜の膜
厚の合計は厚くなっている。
【0041】次に図5(b)にすように、タングステ
ンなどの金属膜よりなるゲート電極207を蒸着法ある
いはスパッタ法などの方法で約100nmから200n
m厚に堆積する。次にBPSG膜などのリフロー性の平
坦化膜210を300nmから1000nm厚に堆積し
た後エッチバックを施しエミッタ204上のゲート電極
207を平坦化膜210から露出させる。
【0042】次に図5(c)の示すように、平坦化膜2
10をマスクとして、露出したゲート電極膜207をS
F6などのガスでエツチングし、エミッタ上部の絶縁膜
203を露出させる。
【0043】次に図5(d)に示すように、弗酸で酸化
膜エッチングを行い平坦化膜210および絶縁膜20
3、絶縁膜206をエッチングする。これにより、エミ
ッタ204の先端が露出し、絶縁膜端部203aはシリ
コン段差部206aよりも外側になり電界放出型冷陰極
が完成する。
【0044】なお本実施例では絶縁膜202を窒化膜で
説明したが、これは窒化膜上に酸化膜を形成した2層構
造とし、酸化膜208のエッチバック工程のマスクとし
て上層の酸化膜を利用してもかまわない。
【0045】第1の実施例はエミッタをエッチングで形
成しゲート開口を斜め蒸着とリフトオフで形成していた
のに対して、第2の実施例はエミッタを酸化で形成しゲ
ート開口をエッチバックで形成したものである。
【0046】次に本発明の第1の実施の形態の電界放出
型冷陰極の製造工程の第3の実施例について図6を参照
して説明する。図6は本発明の第1の実施の形態の電界
放出型冷陰極の製造工程の第3の実施例を示す模式的断
面図であり、(a)はシリコン基板上に酸化膜と窒化膜
を形成してパターニングした状態、(b)は窒化膜をマ
スクとしてシリコン基板に酸化膜を形成し、マスクを除
去した後、絶縁膜とゲート電極を堆積した状態、(c)
はゲート電極と酸化膜に開口を形成し、2層の絶縁膜を
横方向にエッチングし、犠牲膜を形成した後、エミッタ
材料層を堆積した状態、(d)は犠牲層とエッミタ以外
のエミッタ材料層をエッチング等で除去して電界放出型
冷陰極が形成された状態である。図中符号301はシリ
コン基板、303、306は絶縁膜、303aは絶縁膜
端部、304はエミッタ、305は窒化膜、306aは
シリコン段差部、307はゲート電極、311は酸化
膜、312は犠牲層、313はエミッタ材料層である。
【0047】図6(a)に示すようにn型のシリコン基
板301上に約50nm厚の酸化膜311を熱酸化法に
より形成し、CVD法により約100nm厚の窒化膜3
05を形成し、フォトリソグラフィにより酸化膜311
および窒化膜305を所定の形状にパターニングする。
【0048】次に図6(b)に示すように窒化膜305
をマスクとしてシリコン基板301に熱酸化を行い約1
00nmから500nmの膜厚の酸化膜よりなる絶縁膜
306を形成する。次に、リン酸および弗酸により窒化
膜305および酸化膜311を除去した後、約200n
mのCVD法で堆積した酸化膜よりなる絶縁膜303を
形成し、更にスパッタ法によりゲート電極307を10
0nmから200nm厚に堆積する。この絶縁膜306
を形成する工程で酸化膜311の膜厚を変えることによ
りシリコン段差部306aの形状を変えることができ、
例えば酸化膜311の膜厚を厚くすると熱酸化により絶
縁膜306を形成する際に酸化の横方向広がりが大きく
なり、シリコン段差部306aの形状はなめらかにな
り、動作時にシリコン段差部306aのエツジに電界が
かかることを抑制することができる。これは他の実施例
でも適用できる。
【0049】次に図6(c)に示すように、ゲート電極
307と絶縁膜303にフォトリソグラフィを用い約
0.1μmから0.5μmの径の開口をRIEにより形
成した後、弗酸でウェットエッチングを行い絶縁膜30
3および絶縁膜306を横方向にエッチングする。その
後、犠牲層312としてアルミなどを斜め方向からの蒸
着により形成し更に垂直方向からの蒸着によりタングス
テンなどのエミッタ材料層313を堆積する。この工程
で開口のシリコン基板301上には先鋭な形状のエミッ
タが形成される。
【0050】次に図6(d)に示すように、リン酸で犠
牲層312をエッチングすることにより犠牲層312上
部のエミッタ材料層313をリフトオフし、エミッタ3
04を露出させ電界放出型冷陰極が完成する。
【0051】このようにエミッタを蒸着で形成する方法
によっても本発明の電界放出型冷陰極は容易に形成する
ことができる。また、絶縁膜306を形成する工程で酸
化膜311の膜厚を制御するあるいは絶縁膜311を形
成する前にシリコン基板301をあらかじめエッチング
しておくことにより、酸化時に絶縁膜306がシリコン
基板301の上表面に揃って平坦になるように設定する
ことも可能である。これによりゲート電極307も平担
化され、エミッタ304にかかる電界が安定化し安定な
電流特性が得られるようになる。
【0052】次に本発明の第2の実施の形態の電界放出
型冷陰極について図7を参照して説明する。図7は本発
明の第2の実施の形態の電界放出型冷陰極の模式的断面
図であり、図中符号401はシリコン基板、403、4
06、414は絶縁膜、403aは絶縁膜端部、404
はエミッタ、406aはシリコン段差部、407はゲー
ト電極である。
【0053】n型のシリコン基板401上に凸型のシリ
コン段差部406aと先鋭な先端を有するエミッタ40
4が形成され、それを取り囲むように形成された例えば
タングステンよりなる約100nmから200nmの膜
厚のゲート電極407とその下面に形成された約20n
mから100nmの窒化膜よりなる絶縁膜414と、酸
化膜よりなり約30nmから200nmの膜厚の絶縁膜
403および酸化膜よりなり100nmから500nm
の膜厚の絶縁膜406により構成されている。
【0054】ここで、シリコン段差部406aの内側に
エミッタ404は形成され、絶縁膜403および絶縁膜
406の2層の絶縁膜端部403aはシリコン段差部4
06aの外側になるように形成されている。この実施例
ではゲート電極407の下に絶縁膜414が形成されて
いるため、エミッタ404とゲート電極414間の沿面
距離は絶縁膜403と絶縁膜406の膜厚で決まる値よ
りも長くなっている。これにより沿面距離に関わる耐圧
が改善することができる効果がある。また、絶縁膜41
4を窒化膜とし絶縁膜403および絶縁膜406を酸化
膜とするように、弗酸によるエッチング速度が異なる材
質とすることにより1回のエッチングで容易に所望の形
状を得ることができる。
【0055】次に本発明の第3の実施の形態の電界放出
型冷陰極の製造工程について図8を参照して説明する。
図8は本発明の第3の実施の形態の電界放出型冷陰極の
製造工程を示す模式的断面図であり、(a)は第1の実
施の形態により完成した電界放出型冷陰極の状態、
(b)は表面全体に窒化膜からなる絶縁膜と酸化膜を形
成した状態、(c)はゲート電極で覆われた領域以外の
酸化膜を除去し、残った酸化膜をマスクとして絶縁膜を
エッチングし、マスクの酸化膜を除去してゲート電極と
シリコン基板の対向面に絶縁膜を有する電界放出型冷陰
極が形成された状態である。図中符号501はシリコン
基板、503、506、514は絶縁膜、503aは絶
縁膜端部、504はエミッタ、506aはシリコン段差
部、507はゲート電極、515は酸化膜である。
【0056】図8(a)は図3(d)と同一であり第1
の実施の形態と同じ工程で形成することができる。
【0057】次に図8(b)に示すように、例えば減圧
でのCVD法で約20nmから100nmの膜厚の窒化
膜よりなる絶縁膜514を全表面に形成し、熱酸化によ
り約5nmの酸化膜515を絶縁膜514の表面に形成
する。
【0058】次に図8(c)に示すように異方性エッチ
ングでゲート電極507で覆われた領城以外の酸化膜5
15を除去する。次に残った酸化膜515をマスクとし
てリン酸により絶縁膜514をエッチングし、マスクの
酸化膜515を弗酸でエッチングして除去してゲート電
極とシリコン基板の対向面に絶縁膜を有する電界放出型
冷陰極が完成する。
【0059】この方法では第2の実施の形態よりも更に
沿面距離が長くなり、耐圧の向上が可能である。
【0060】次に第4の実施の形態の電界放電型冷陰極
について図9と図10を参照して説明する。図9は本発
明の第4の実施の形態の電界放電型冷陰極の模式的断面
図であり、図10は本発明の第4の実施例の形態の電界
放電型冷陰極の模式的上面図である。図10中のB−B
の断面図が図9である。図中符号601はシリコン基
板、603、606は絶縁膜、603aは絶縁膜端部、
604はエミッタ、606aはシリコン段差部、607
はゲート電極、616は空洞である。
【0061】これまでの実施の形態ではエミッタ単体で
の形状について説明したが、本実施の形態はエミッタア
レイとして複数個のエミッタを形成する場合の例であ
る。n型のシリコン基板601上に凸型の段差部606
aと先鋭な先端を有する複数個のエミッタ604とが形
成され、それぞれのエミッタ604をその開口が取り囲
むように形成された例えばタングステンよりなり約10
0nmから200nmの膜厚のゲート電極607と、シ
リコン段差部606aの外側に形成された約30nmか
ら200nmの膜厚の絶縁膜603および100nmか
ら500nmの膜厚の酸化膜よりなる絶縁膜606とに
より構成されている。
【0062】内側のエミッタ間のゲート電極607の下
は空洞616となっている。図10に示されるように外
側のエミッタの周囲にシリコン段差部606aが形成さ
れておりその外側に酸化膜端部603aが形成されてい
る。これによりピッチが約2μm以下と狭い場合ににお
いても、複数個のエミッタ604の間のゲート電極60
7の下の領域は、シリコン基板601とゲート電極60
7との間の狭い距離ではあるが空洞とすることにより耐
圧を確保し、ゲート電極607を支える領域は絶縁膜6
03と絶縁膜606の合計膜厚で耐圧を確保することに
より高耐圧の電界放出型冷陰極を形成することができ
る。
【0063】なお、この例ではエミッタアレイ全体を空
洞615としているが、ゲート電極607が重さで湾曲
し下がらないように複数個の酸化膜段差部603aで囲
まれた領域にエミッタを分割してもかまわない。
【0064】表示装置に電子銃として組み込む場合は、
このエミッタアレイのエミッタに対向して蛍光層を有す
る陽極層が配置され、エミッタから放射された電子を受
けて蛍光層が発光する。
【0065】この電界放出型冷陰極を電子銃として、表
示装置に適用した場合、通常真空中での動作が要求され
るため、表示装置に電子銃を組み込んだ後に絶縁不良で
交換することは困難であった。また、フラットパネルデ
ィスプレイの場合には、動作電圧を低減できるとドライ
ブ回路での消費電力低減にも効果があり低電圧で動作す
る電界放出型冷陰極が求められていた。そこで本実施例
の電界放出型冷陰極をフラットパネルデイスプレイに適
用することにより、複数の電子銃が電流変動なく低電圧
で動作し、低消費電力で寿命の長い表示動作が可能とな
る。なお表示装置としてはフラットパネルを例に説明し
たが、これはデイスプレイ用陰極管(CRT)でも同様
である。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように本発明の電界放出型
冷陰極は、高耐圧で低電圧動作が可能であるという効果
がある。
【0067】それはエミッタ近傍のエミッタとゲート電
極間が空洞となっており、またゲート電極を支える絶縁
膜の厚さを空洞部のエミッタとゲート間距離よりも厚く
することができるので、エミッタとゲート間距離を短縮
することによって微細化しても絶縁膜の膜厚減少による
耐圧劣化が無く、微細化により動作電圧を低くできるか
らである。
【0068】さらに、エミッタ近傍の空洞内のゲート電
極あるいはシリコン基板の少なくとも一方に絶縁膜を形
成することによりシリコン基板とゲート電極間の絶縁膜
の沿面距離が長くなり、沿面によるエミッタとゲート電
極間の耐圧を向上させるという効果がある。
【0069】また本発明の製造方法によれば、従来の工
程にシリコン基板上に避択的に酸化を行う工程を追加す
ることにより容易に本発明の電界放電型冷陰極を形成す
ることができ、さらに絶縁膜の表面の平坦性も得られる
ためにゲート電極の形状も平坦となり安定した電流特性
を実現することができる。
【0070】また、高耐圧で低電圧動作が可能な本発明
の電界放出型冷陰極を表示素子、例えばフラットパネル
デイスプレイあるいはデイスプレイ用陰極特に適用する
ことにより、電流特性の安定した装置を提供することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電界放出型冷陰極
の模式的断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の電界放出型冷陰極
の模式的上面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態の電界放出型冷陰極
の製造工程の第1の実施例を示す模式的断面図である。
(a)はシリコン基板に形成しパターニングした絶縁膜
をマスクとしてシリコン基板をエッチングし、凸部を形
成した状態である。(b)はシリコン基板表面に酸化膜
により絶縁膜を形成し、窒化膜を堆積させて所定の形状
にパターニングした状態である。(c)は窒化膜をマス
クとしてシリコン基板に第2の絶縁膜を形成し、ゲート
電極材料を堆積させた状態である。(d)は不要部をエ
ッチング等で除去して電界放出型冷陰極が形成された状
態である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の電界放出型冷陰極
の製造工程の第2の実施例の前半を示す模式的断面図で
ある。(a)はシリコン基板に形成しパターニングした
絶縁膜をマスクとしてシリコン基板に熱酸化により酸化
膜を形成しをエッチングにより酸化膜を側壁としたシリ
コン基板凸部を形成した状態である。(b)は絶縁膜お
よび酸化膜をマスクとしてシリコン基板をエッチングし
凸部の高さを調整した状態である。(c)は絶縁膜を除
去してシリコン基板を熱酸化し酸化膜の下にエミッタを
形成した状態である。(d)は酸化膜を除去して絶縁膜
を形成し、絶縁膜上に堆積した窒化膜をパターニングし
た状態である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の電界放出型冷陰極
の製造工程の第2の実施例の後半を示す模式的断面図で
ある。(a)は窒化膜をマスクとしてシリコン基板に絶
縁膜を形成し、窒化膜を除去した状態である。(b)は
ゲート電極と平坦化膜を堆積した後エッチバックにより
エミッタ上方のゲート電極を露出させた状態である。
(c)は平坦化膜をマスクとして露出したゲート電極を
エッチングしエミッタ上の絶縁膜を露出させた状態であ
る。(d)は平坦化膜と絶縁膜の不要部をエッチング等
で除去して電界放出型冷陰極が形成された状態である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の電界放出型冷陰極
の製造工程の第3の実施例を示す模式的断面図である。
(a)はシリコン基板上に酸化膜と窒化膜を形成してパ
ターニングした状態である。(b)は窒化膜をマスクと
してシリコン基板に酸化膜を形成し、マスクを除去した
後、絶縁膜とゲート電極を堆積した状態である。(c)
はゲート電極と酸化膜に開口を形成し、2層の絶縁膜を
横方向にエッチングし、犠牲膜を形成した後、エミッタ
材料層を堆積した状態である。(d)は犠牲層とエッミ
タ以外のエミッタ材料層をエッチング等で除去して電界
放出型冷陰極が形成された状態である。
【図7】本発明の第2の実施の形態の電界放出型冷陰極
の模式的断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の電界放出型冷陰極
の製造工程を示す模式的断面図である。(a)は第1の
実施の形態により完成した電界放出型冷陰極の状態であ
る。(b)は表面全体に窒化膜からなる絶縁膜と酸化膜
を形成した状態である。(c)はゲート電極で覆われた
領域以外の酸化膜を除去し、残った酸化膜をマスクとし
て絶縁膜をエッチングし、マスクの酸化膜を除去してゲ
ート電極とシリコン基板の対向面に絶縁膜を有する電界
放出型冷陰極が形成された状態である。
【図9】本発明の第4の実施の形態の電界放電型冷陰極
の模式的断面図である。
【図10】本発明の第4の実施例の形態の電界放電型冷
陰極の模式的上面図である。
【図11】本発明と従来例との電界放出型冷陰極におけ
るゲート開口部の径と耐圧との関係を示すグラフであ
る。
【図12】本発明で作製した電界放出型冷陰極のゲート
電圧とエミッション電流との関係を従来の電界放出型冷
陰極と比較して示したグラフである。
【図13】特開平5−94762号公報で開示された第
1の従来例の電界放出型冷陰極の製造工程を示す模式的
断面図である。(a)はシリコン基板に絶縁膜を形成し
た状態である。(b)は絶縁膜をマスクにシリコン基板
をエッチングし凸部を形成した状態である。(c)はシ
リコン基板上に絶縁膜を形成し、ゲート電極材料を堆積
した状態である。(d)は不要部をエッチング等で除去
して電界放出型冷陰極が形成された状態である。
【図14】特開平8−321255号公報で開示された
第2の従来例の電界放出型冷陰極の製造工程を示す模式
的断面図である。(a)はシリコン基板に絶縁膜とゲー
ト電極を形成した状態である。(b)は絶縁膜とゲート
電極をエッチングして開口部を形成し、酸化絶縁膜をエ
ッチングにより開口部より後退させた状態である。
(c)は犠牲層を形成しエミッタ材料層を堆積させた状
態である。(d)は不要部をエッチング等で除去して電
界放出型冷陰極が形成された状態である。
【図15】特開平7−65706号公報で開示された第
3の従来例の電界放出型冷陰極の製造工程を示す模式的
断面図である。(a)はシリコン基板上に窒化膜と酸化
膜を堆積して所望の形状に等方的と異方的にエッチング
して凸部をシリコン基板に形成した状態である。(b)
は熱酸化によりシリコン基板表面に絶縁膜を形成した状
態である。(c)は絶縁膜を蒸着法により堆積して襟状
の成長部を形成し、ゲート電極材料を堆積した状態であ
る。(d)は不要部をエッチング等で除去して電界放出
型冷陰極が形成された状態である。
【符号の説明】
101、201、301、401、501、601、7
01、801、901シリコン基板 101a、201a、701a、901a シリコン
基板に形成された凸部 102、103、106、202、203、206、3
03、306、403、406、414、503、50
6、514、603、606、702、703、80
3、814、903、919 絶縁膜 103a、203a、303a、403a、503a、
603a 絶縁膜端部 104、204、304、404、504、604、7
04、804、904エミッタ 106a、206a、306a、406a、506a、
606a シリコン段差部 107、207、307、407、507、607、7
07、807、907ゲート電極 107a、707a、907a ゲート電極材料 205、305、917 窒化膜 208、209、311、505、918 酸化膜 210 平坦化膜 312、812 犠牲層 313、813 エミッタ材料層 616 空洞 919a 絶縁膜の襟状の成長部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 1/304 H01J 9/02 H01J 29/04 H01J 31/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先鋭な先端形状を有するエミッタが上表
    面に形成されエミッタ引き出し電極となる基板と、前記
    基板上に絶縁膜を介して形成され前記エミッタを間隔を
    おいて取り囲む開口を有するゲート電極とにより構成さ
    れた電界放出型冷陰極の製造方法であって、 シリコン基板上に所定の形状で形成されたマスクを用い
    該シリコン基板に前記エミッタ形成領域を囲かつ
    該エミッタ形成領域側の内部端部で該シリコン基板に段
    形成されるように絶縁膜となる第1の酸化膜を形成
    る工程と、 前記第1の酸化膜の形成された前記シリコン基板の上に
    絶縁膜となる第2の酸化膜を形成する工程と、 前記第2の酸化膜の上にゲート電極を形成する工程と、 前記第2の酸化膜と前記ゲート電極との、前記シリコン
    基板前記段差に囲まれた領域内側に対応する所定の位
    置に所定の大きさの開口を形成する工程と、 前記開口より前記第1の酸化膜と第2の酸化膜を選択的
    前記シリコン基板の表面と平行な方向に前記段差を超
    える位置までエッチングして、前記ゲート電極と前記シ
    リコン基板との間に空間を形成する工程と、 前記開口を用いて該開口下部の前記シリコン基板上にエ
    ミッタ材料を堆積してエミッタを形成する工程とを含む
    ことを特徴とする電界放出型冷陰極の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の酸化膜の上にゲート電極を形
    成する工程の前に、後のエッチング工程において前記第
    2の酸化膜よりもエツチング速度の遅い第3の絶縁膜を
    前記第2の酸化膜の上に形成する工程を含み、前記ゲー
    ト電極は前記第3の絶縁膜の上に形成する請求項に記
    載の電界放出型冷陰極の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ゲート電極と前記シリコン基板との
    間に空間を形成する工程の後に、第4の絶縁膜を少なく
    とも露出した前記ゲート電極表面と前記シリコン基板表
    面と前記第1および第2の酸化膜表面とに形成する工程
    と、前記空間内部の面の前記開口外側に堆積された前記
    第4の絶縁膜以外の前記第4の絶縁膜を選択的に除去す
    る工程とを有する前記請求項に記載の電界放出型冷陰
    極の製造方法。
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