JP3143916B2 - ヒトbcdfを含有するパーキンソン病治療支持剤 - Google Patents

ヒトbcdfを含有するパーキンソン病治療支持剤

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JP3143916B2 JP02267452A JP26745290A JP3143916B2 JP 3143916 B2 JP3143916 B2 JP 3143916B2 JP 02267452 A JP02267452 A JP 02267452A JP 26745290 A JP26745290 A JP 26745290A JP 3143916 B2 JP3143916 B2 JP 3143916B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ヒトBCDFを有効成分とするパーキンソン病
治療支持剤に関する。
〔従来の技術〕
神経組織の脳への移植の研究の歴史は古く、前世紀の
後半から試みられ、その後も散発的には行われていたが
機能修復という点から見ると大きな成果はえられなかっ
た。1979年、Bjrklundらはパーキンソン病モデルラッ
トにおいて、欠落したドーパミン(DA)を補うため、胎
仔の黒質(脳内のドーパミン産生の主要の場)から得た
DA細胞(神経細胞の一種でドーパミンを産出する細胞)
を尾状核に移植すると、障害された運動機能を回復でき
ることを報告した。これは移植により、脱落した脳機能
を修復させることが可能であることを示した最初のもの
である。
尚、尾状核は大脳基底核の主要な核であり、筋トーヌ
スや運動の制御に関係している。また黒質と神経連絡が
あり、ドーパミンが黒質から供給される。この尾状核を
構成する神経細胞はドーパミン受容性であるから、黒質
でのドーパミン産生が低下すると、運動の制御が障害、
即ちパーキンソン氏病になるわけである。従来、黒質−
尾状核系の障害により生じた運動機能障害の治療には尾
状核のドーパミン量を増やすためにLドーパ投与(内
服)が行われていた。
Bjrklundの報告を契機として神経組織の脳への移植
研究は盛んとなり、現在では脳内のいろいろな部位で移
植研究が行われている。一方1985年以来、この脳移植を
実際に臨床に応用したパーキンソン病を治療しようとす
る試みが始まった。1987,1988年にはスウェーデン、メ
キシコ、中国、キューバ、アメリカ、イギリス、スペイ
ンの各国で、パーキンソン病患者自身の副腎随質組織
片、あるいは流産胎児(5−11W)の黒質組織片を一側
の尾状核に移植し、機能の改善を計ろうとの試みが行わ
れている。現在まで、世界全体で約200例の手術報告が
あるが、結果はあまり芳しくない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、BCDFとともにDA細胞を脳へ移植し、
パーキンソン病を効率的に治療させ得るパーキンソン病
治療支持剤の提供である。
〔課題を解決するための手段〕 ヒトBCDFは、B細胞の分化を誘導し抗体産出を増強す
る因子として、その構造が決定された(Nature 324 73
1986)。このBCDFは、現在、BSF−2(B cell stimulat
ing factor−2)またはIL−6(Inter leukin−6)と
呼称されている。
本発明者達は、鋭意研究を重ねた結果、ヒトBCDFを有
効成分とする薬剤をDA細胞とともに脳へ移植するとパー
キンソン病を、効率良く治療する事が出来る事を見出
し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ヒトBCDFを有効成分とするパー
キンソン病治療支持剤である。本発明に係るヒトBCDFは
例えば下記のアミノ酸配列(I)又は(II)を有する。
アミノ酸配列(I): アミノ酸配列(II)はヒトBCDFのN末端にAlaが1つ
付加されたポリペプチド(以下ヒトAla−BCDFと記す)
である。しかし、本発明で用いるヒトBCDFは必ずしも上
記アミノ酸配列(I)又は(II)で示される構造をとる
必要はない。
即ち、ヒトBCDFのN末端及び/又はC末端より1個も
しくは複数個のアミノ酸が付加された構造を有するも
の、ヒトBCDFの構造中の1個もしくは複数個のアミノ酸
が他のアミノ酸に置換された構造を有するものも、ヒト
BCDF活性を有する限り本発明のヒトBCDFとして用いるこ
とができる。好ましくはヒトBCDF又はヒトAla−BCDFを
用いるのがよい。本発明に係るヒトBCDFの含量は該パー
キンソン病治療支持剤支持剤中0.0001〜100%重量%、
好ましくは0.1〜1.0重量%である。
また本発明のヒトBCDFを有効成分とするパーキンソン
病治療支持剤には血清アルブミン等の安定化剤や人工脳
脊髄液、またマンニトール等の賦形剤を含有させてもよ
い。
また、本パーキンソン病治療支持剤は脳組織内または
脳室内に浸透圧ポンプ等を用いて直接投与してもよい。
さて、本発明に用いるヒトBCDFはヒトT細胞、B細
胞、線維芽細胞等により既知の方法(Proc.Natl.Acad.S
ci.USA,82.5490(1985))により生産、精製したもので
も大腸菌、酵母、サル細胞(COS細胞)、ハムスター細
胞など適当な宿主にヒトBCDFをコードする遺伝子を適当
なベクターを用いて形質転換された株を培養することに
より生産、精製したヒトBCDFを用いてもよい。尚、これ
らの製造法の詳細については特開昭61−115024、特開昭
63−42688、特開昭63−56291号公報及び特開昭63−1579
96を参考にされたい。
〔効 果〕
本発明のヒトBCDFを有効成分として含有するパーキン
ソン病治療支持剤は神経系細胞の分化を増強することに
よりパーキンソン病における機能障害を改善する。即
ち、ヒトBCDFを有効成分として含有するパーキンソン病
治療支持剤は、パーキンソン病の治療に有用である。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明す
る。
〔実施例1. パーキンソン病モデルラットへのDA細胞移
植による運動障害の修復に対するヒトBCDFの修復増強作
用〕 ウィスター系ラット(♀、80−90g)の一側(左側)
黒質に6ハイドロキシドーパミン(6−OHDA)(2μg/
μg、4μ)を注入し、黒質線条体DA路を破壊し、パ
ーキンソン病モデルラットを作製した。
このように作製した本ラットでは、左右の尾状核にお
けるDA含量およびDA遊離のインバランスのため運動障害
(回転運動)をおこす。
本ラットに、メタンフェタミン(3mg/kg)を腹腔内投
与すると、メタンフェタミン誘起回転運動(以下、回転
運動、平均10回以上/分破壊側へ回転運動)をおこす。
尚、メタンフェタミンとは交感神経興奮作用を有する
覚醒剤で自発運動を惹起させる。このメタンフェタミン
を投与すると、黒質−尾状核系が賦活され、尾状核の患
側と正常側ではDAの比率が数10−数100倍となり、これ
により回転運動が生じるのである。
このモデルラットのDA含量の低下した側の尾状核に胎
仔ラット(胎生14〜16日)脳からトリプシン処理により
得た黒質DA細胞浮遊液を移植すると、数週間(4〜6週
間)後には移植細胞からのDA供給が行なわれるので、回
転移動は低下してくる。本実験系を用いて、ヒトBCDFの
作用を検討した。
(1) 対照群:DA細胞浮遊液(1×106/ml0.5%グルコ
ース液+生理食塩水液) (2) ヒトBCDF:DA細胞浮遊液(1×106/ml0.5%グル
コース液+生理食塩水液)に.ヒトBCDFを最終濃度30ng
/mlになるように添加したもの (1)(2)とも、DA路を破壊した側の尾状核内に2
カ所(浮遊液5μ×2回)移植した。DA細胞移植前及
び移植2週間後の結果を第1表に示した。
対照群、ヒトBCDF群ともに、移植前は黒質破壊側に10
〜15回/分の回転運動を起こした。移植2週間後、対照
限に比べヒトBCDF群では、回転数の有意の低下が認めら
れた。
処置4週間以降対照群では、回転運動はほぼ消失した
が、ヒトBCDF群では移植細胞による機能回復が強く、破
壊と反対側に回転するようになった。以上より、パーキ
ンソン病モデルラットにおけるDA移植後の運動障害(回
転運動)の修復は、対照群に比べ、ヒトBCDFにおいて修
復の増強が認められた。
一方、脳内にはアストログリアが多数存在しているの
で、移植されたDA細胞は、アストログリア(マクロファ
ージ様の役割を果たし、感染や神経細胞の壊死等で分裂
増強する)と共存した条件下で機能を回復したと考えら
れる。事実、ヒトBCDFはin vitro(30ng/ml)の系で、
アストログリアのシート上に播かれた脳幹部ニューロン
の神経突起の伸展を促進し、また、大脳皮質由来アスト
ログリアの分裂を促進した(4日培養後の分裂期にある
細胞の割合;対照群39.1%、BCDF群58.5%)。
〔実施例2. パーキンソン病モデルラットへのDA細胞移
植による運動障害の修復に対するヒトBCDFの修復増強作
用〕 実施例1の実験系において、ヒトBCDFに認められた修
復増強作用が、ヒトBCDFによることを確認するため抗ヒ
トBCDF抗体(ウサギにヒトBCDFをアジュバントと共に免
疫して得られた抗血清)を用いた中和実験を行なった。
即ち、移植するDA細胞浮遊液を0.5%グルコース・生理
食塩水+ヒトBCDF(3〜30ng/ml)+抗ヒトBCDF抗体(1
50μg/ml)溶液で調整した。抗ヒトBCDF抗体1μgはヒ
トBCDF1ngを中和することができる。
本実施例において パーキンソン病モデルラット(移植前の動物)は10
回以上/分の回転運動を起こした。
対照群では、回転運動は移植2週間後に移植前の40
−50%レベルに低下し、4週間後には消失した。
ヒトBCDF群では、回転運動は移植2週間後に移植前
の10−30%レベルに低下し、4週間後には消失した。
ヒトBCDF+抗ヒトBCDF抗体群では、回転運動は移植
2週間後には全く回復が認められなかった。移植4週間
後は、対照群と、ヒトBCDF群と差はなかった。
以上の結果から、ヒトBCDFの修復増強作用は抗BCDF抗
体の処理により消失することが判明した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−106827(JP,A) 特開 昭62−26229(JP,A) BJORKLUND,A.,et a l.,Brain Research, 177,1979,pp.555−560 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 38/00 - 38/42 A61P 25/00 - 25/16 CA(STN) MEDLINE(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトB細胞分化因子(以下BCDFと記す)を
    有効成分とする、胎仔の黒質由来の神経細胞の移植によ
    るパーキンソン病治療を支持するための医薬。
  2. 【請求項2】ヒトBCDFが下記のアミノ酸配列(I)を有
    するものである請求項(1)記載の胎仔の黒質由来の神
    経細胞の移植によるパーキンソン病治療を支持するため
    の医薬。 アミノ酸配列(I):
  3. 【請求項3】ヒトBCDFが下記のアミノ酸配列(II)を有
    するものである請求項(1)記載の胎仔の黒質由来の神
    経細胞の移植によるパーキンソン病治療を支持するため
    の医薬。 アミノ酸配列(II):
  4. 【請求項4】ヒトBCDFが原核生物で作られたものである
    請求項(1)記載の胎仔の黒質由来の神経細胞の移植に
    よるパーキンソン病治療を支持するための医薬。
JP02267452A 1990-01-09 1990-10-04 ヒトbcdfを含有するパーキンソン病治療支持剤 Expired - Fee Related JP3143916B2 (ja)

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JP2-1978 1990-01-09
JP197890 1990-01-09

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BJORKLUND,A.,et al.,Brain Research,177,1979,pp.555−560

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