JP3143660B2 - 亜鉛含有リン酸三カルシウムからなるセラミックス及び亜鉛徐放性生体用セラミックス - Google Patents
亜鉛含有リン酸三カルシウムからなるセラミックス及び亜鉛徐放性生体用セラミックスInfo
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Description
カルシウムからなるセラミックスに関する。
た生体用セラミックスは、アルミナ、水酸アパタイト、
リン酸三カルシウム、AW結晶化ガラス、炭素等であ
る。これらの材料を硬組織代替用として用いる場合に
は、組織修復促進、骨形成促進、骨吸収防止という薬理
的作用を、これらの材料が有しているわけではない。従
って、これらの材料には、これらの作用を付与するため
に他の薬剤を添加又は服用することが必要となる。とこ
ろで、亜鉛が生体内に入ると、高濃度の場合には毒性を
発現するが、ある特定の濃度範囲では、上記の三つの薬
理的作用を有していることが知られおり、硬組織代替用
として用いる生体用セラミックスには、亜鉛を用いるこ
とが試みられている。そして、生体用セラミックスに亜
鉛を添加したZnO(10−50wt%)−CaO(3
0−40wt%)−P2O5(10−40wt%)系及
びZnSO4(10−50wt%)−CaO(30−4
0wt%)−P2O5(10−40wt%)系セラミッ
クスからなる生体用セラミックスが既に提案されてい
る。上記の亜鉛を含有する生体用セラミックスにおいて
は、亜鉛の含有量が多い結果となっている。そのため
に、生体適合性(安全性)が低い相であると言われてい
る、リン酸三カルシウムおよび水酸アパタイト以外の相
を含有しており、その結果、上記の亜鉛を含有する生体
用セラミックスは生体適合性(安全性)が低いという問
題点を有していた。また、上記の亜鉛を含有する生体用
セラミックスに上記の三つの薬理的作用が実際に有るか
どうか調べた動物実験の結果では、薬理的作用は認めら
れていない。上記の亜鉛を含有する生体用セラミックス
に薬理的作用が認められない理由としては、生体適合性
の低いことが原因とされている。一方、リン酸三カルシ
ウム相又は水酸アパタイト相又はこれら両相から成る生
体用セラミックスは、線維性結合組織の介在なしに材料
と骨が直接結合するほど生体適合性が高い。リン酸三カ
ルシウム相単独又はこれに水酸アパタイトを加えた2相
から構成され、同時に、上記三つの作用を有する濃度で
亜鉛を持続的に徐放する機能を有するセラミックスがあ
れば、生体適合性が高く、なおかつ上記三つの薬理的作
用を有する生体用セラミックスとなる。しかしながら、
そのような生体用セラミックスは現在存在していない。
硬組織代替用の生体用セラミックスにおいては、上記三
つの作用を有する亜鉛徐放性の性質を有し、リン酸三カ
ルシウム相単独又はこれに水酸アパタイトを加えた2相
から構成される生体適合性が高い亜鉛含有生体用セラミ
ックスの開発が望まれてきた。
含有リン酸三カルシウムからなる新規なセラミックスを
提供することである。
決するために、特定量の亜鉛を固溶して含有するリン酸
三カルシウム、及びこれに水酸アパタイトを含むセラミ
ックスを合成したところ、このセラミックスは、骨形成
促進、骨吸収防止、組織修復促進効果のある亜鉛をセラ
ミックス材料中から徐々に放出できるものであり、リン
酸三カルシウム、又はこれに水酸アパタイトからなる相
により構成されるているので、生体適合性が高いもので
あることを見いだして、本発明を完成することができた
ものである。
26〜1.26重量%(但し、0.4〜1.26重量%
を除く。)、好ましくはZn0.06〜0.70重量%
(0.4〜0.70重量%を除く。)を固溶したリン酸
三カルシウム[Ca3(PO4)2]から成ることを特
徴とするセラミックス、及び Zn0.0150〜8.0
0重量%を固溶したリン酸三カルシウムに、水酸アパタ
イト、又はリン酸三カルシウム又はその両者が添加さ
れ、全体のZn含有量が0.0126〜1.26重量%
(0.4〜1.26重量%を除く。)、好ましくはZn
0.06〜0.70重量%(0.4〜0.70重量%を
除く。)であることを特徴とするセラミックスが、提供
される。
0.0126〜1.26重量%(但し、0.4〜1.26
重量%を除く。)、好ましくはZn0.06〜0.70
重量%(但し、0.4〜0.7重量%を除く。)を固溶
して含有するリン酸三カルシウムから成るものである。
セラミックスの製造に際しては、カルシウム化合物又は
イオン、リン化合物又はイオン、亜鉛化合物又はイオン
の固相反応又は液相反応又はメカノケミカル反応によっ
て、原料粉末を調整するが、粉体の焼結性の点から好ま
しくは液相反応によって原料粉末を調整する。液相反応
法においては、リン酸三カルシウムを形成する溶液中に
全体として含まれる亜鉛が前記割合となるように亜鉛化
合物を添加して、生成した沈澱物をろ別し、乾燥、仮焼
して、バインダーを加え、加圧成形し、焼結して製造す
る。リン酸三カルシウムを含む溶液は、カルシウムエト
キサイドなどのカルシウムアルコキサイドとリン酸溶液
の組み合わせたもの、水酸化カルシウムけんだく液にリ
ン酸を添加したもの、硝酸カルシウム溶液とリン酸アン
モニウム溶液を組み合わせたもの、及びリン酸溶液に炭
酸カルシウムを添加したものなどが用いられる。亜鉛
は、酢酸亜鉛などのカルボン酸亜鉛、硝酸亜鉛、リン酸
亜鉛、炭酸亜鉛、乳酸亜鉛などの化合物が用いられる。
上記リン酸三カルシウム溶液に、セラミックスとなった
ときに、Znの含有量が0.0126〜1.26重量%
(但し、0.4〜1.26重量%を除く。)、好ましく
は0.06〜0.70重量%(但し、0.4〜0.70
重量%を除く。)となるように計算して添加する。この
ようにして、得られる溶液から得られる沈澱物を、ろ別
し、乾燥、仮焼、焼結すると、亜鉛をリン酸三カルシウ
ム相に固溶体として含んだセラミックスが得られる。上
記製造に際し、乾燥は、40〜150℃、好ましくは6
0ー100℃で行われる。バインダーとしては、加圧成
形したときに形を維持できるようにするものであれば、
差し支えない。一般にはポリビニルアルコールなどが用
いられる。焼成は、900〜1200℃、好ましくは、
1050〜1200℃の範囲で行うことができる。亜鉛
の含有量が、0.0126重量%未満とすると、亜鉛を
持続的に徐放させるためには量が不十分であり、適当で
ない。一方、1.26重量%を越える場合は、毒性が発
現することが考えられるので、適当でない。本発明にお
いては骨中亜鉛濃度の100倍以下の亜鉛濃度となるよ
うにしている。亜鉛は骨中にすでに0.0126〜0.0
200重量%含まれており、亜鉛の薬理効果を確保する
観点から、本発明の亜鉛徐放性生体用セラミックスにお
いては骨中濃度よりも高い割合の亜鉛濃度を用いること
ができる。
0〜8.00重量%を固溶して含有するリン酸三カルシ
ウムに、水酸アパタイト又はリン酸三カルシウム又は両
者を添加して、全体として含まれるZn含有量が0.0
126〜1.26重量%(0.4〜1.26重量%を除
く。)、好ましくはZn0.06〜0.70重量%
(0.4〜0.70重量%を除く。)である亜鉛含有セ
ラミックスである。このセラミックスの製造に際して
は、初めにZnを0.0150〜8.00重量%の特定
量を含有する、亜鉛を固溶した状態で含有するリン酸三
カルシウムを、上記方法により製造する。次に、粉砕処
理して粉末とし、引き続いて、水酸アパタイト又はリン
酸三カルシウム又はその両者からなる粉末を混合し、バ
インダーを添加して、加圧成形後、焼結してZn含有濃
度が0.0126〜1.26重量%(但し、0.4〜
1.26重量%を除く。)、好ましくは0.06〜0.
70重量%(0.4〜0.70重量%を除く。)となる
ようにして、製造するものである。この製造方法におい
て、乾燥、仮焼、バインダー及び焼結の条件は、上記と
同じである。この場合には、上記の場合より高含有量の
亜鉛を含むリン酸三カルシウムを初めに製造し、これに
水酸アパタイト又はリン酸三カルシウム又は両者を添加
することで亜鉛含有量を調整し、最終的にZn含有量を
0.0126〜1.26重量%(但し、0.4〜1.26
重量%を除く。)、好ましくは0.06〜0.70重量
%(但し、0.4〜0.70重量%を除く。)とするこ
とが必要である。希釈以前の亜鉛固溶リン酸三カルシウ
ムの亜鉛含有量を0.0150〜8.00重量%とした理
由は、 亜鉛含有量が0.0150重量%未満では、骨中
亜鉛の最低含有量又は骨中亜鉛含有量未満の量となり、
期待する薬理効果を得ることができないこと、又、亜鉛
の含有量が8.00重量%の場合は、亜鉛のリン酸三カ
ルシウムに対する固溶限界であり、亜鉛濃度8.00重
量%以上では高温焼成時にCaZn2(PO4)2やガ
ラス相等の毒性不純物相を生成する結果となることを、
考慮して定めたものである。次に、最終的に得られるセ
ラミックスのZn含有量が0.0126重量%未満の場
合には、亜鉛を持続的に徐放するためには不十分であ
り、適当でない。又、1.26重量%を越える場合に
は、毒性が発現する可能性があるので、適当でない。
カルシウムからなるセラミックスは、イオン半径0.0
6〜0.08nmのZn、Mg、Fe等のイオンを容易
に固溶して含むことができる。従って、Zn0.012
6〜1.26重量%(但し、0.4〜1.26重量%を
除く。)を固溶したリン酸三カルシウムを容易に得るこ
とができる。これに対して、水酸アパタイトは、イオン
半径0.06〜0.08nmの上記イオンを固溶しにくい
性質を有している。ところで、リン酸三カルシウムは水
中や体液中で溶解すると、熱力学的に安定性の高い水酸
アパタイトに転化する。そこで、当初、リン酸三カルシ
ウムに亜鉛を固溶させて含ませておき、リン酸三カルシ
ウム単独又は水酸アパタイトとの複合セラミックスとす
れば、亜鉛含有リン酸三カルシウムは溶解してCa、
P、Znイオンとなり、溶解によって生成したCaとP
イオンのみを水酸アパタイトに変化させることができ
る。これにより、結果として骨形成促進、骨吸収防止、
組織修復促進効果のある亜鉛イオンだけを材料周囲に徐
放する生体用セラミックスを提供することができる。
スにおいては、相組成が生体適合性の高いリン酸三カル
シウム相またはリン酸三カルシウム相と水酸アパタイト
相から成り、かつ亜鉛濃度が骨中亜鉛濃度の100倍
(1.26重量%)以下であるので、セラミックス自体
の生体適合性が高いものである。また材料中の亜鉛固溶
リン酸三カルシウムが生体内で水酸アパタイトに転化す
る際に、周囲組織に亜鉛を徐放して骨形成の促進、骨吸
収の防止をするためセラミックスと周囲の骨組織が早く
結合するものである。
発明はこの実施例に限定されるものではない。実施例1
〜3では、Znを固溶体化して含有するリン酸三カルシ
ウムについて、又実施例4〜6では、Znを固溶体化し
て含有するリン酸三カルシウムに、水酸アパタイト及び
リン酸三カルシウムを添加して得られるものについての
実施例である。これらの実施例で得られたセラミックス
については、どのような相から構成されているかについ
ては、粉末X線回折パターンにより確認を行う。又、p
H5.0の酢酸ー酢酸ナトリウム緩衝液及び細胞培養液
に浸漬してZn溶出試験を行う。さらに、得られたセラ
ミックス上で細胞を培養して毒性試験を、家兎の大腿骨
中に埋め込んで新生骨の形成試験を行う。
(Ca+Zn)/Pモル比=1.50、Zn/(Ca+
Zn)モル比=0〜20mol%となるよう窒素雰囲気
下アルコール中で反応させ、濾別、乾燥、850℃仮
焼、バインダーとしてPVAを3%添加、加圧成形後1
100℃、5時間の条件で焼結し、セラミックスを得
た。得られたセラミックスの相組成を粉末X線回折法で
調べたところ、Zn:0〜8.00重量%未満では生体
適合性の高いβ型リン酸三カルシウム相のみ又はこれと
少量の水酸アパタイト相から成ることがわかった。また
各ピークの2θ値が変化しており、亜鉛が固溶している
ことがわかった。Zn:8.00重量%以上ではCaZ
n2(PO4)2やガラス相が不純物として共存した。
すなわち、Zn:8.00重量%が亜鉛の固溶限界であ
ること、及びZn:0.0126〜1.26重量%の範囲
では、生体適合性の高いβ型リン酸三カルシウム単相又
はこれと少量の水酸アパタイト相を含むセラミックスが
得られることが確認された。図1に得られたセラミック
スの粉末X線回折パターンを純粋なβ型リン酸三カルシ
ウムの粉末X線回折パターンと共に示す。
mの亜鉛固溶リン酸三カルシウムセラミックス1個を5
0mlの酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に
浸漬し、37℃で60日間放置した。放置後の液の亜鉛
濃度をICPで分析したところ、Znが溶出しているこ
とが確認された。その結果を図2に示す。
6重量%の亜鉛固溶リン酸三カルシウムセラミックスを
麻酔下で家兎大腿骨中に埋入した。1ヶ月後にと殺し
て、亜鉛固溶リン酸三カルシウムセラミックスが埋入さ
れた大腿骨を取り出し、セラミックスの長軸に平行な薄
切片を作成し、セラミックス周囲の骨組織を染色した。
セラミックス周囲の骨組織の画像を顕微鏡を通してコン
ピューターに取り込み、新たに形成された骨組織の面積
を画像解析によって求めた。その結果、亜鉛固溶リン酸
三カルシウムセラミックスの周囲では、純粋なリン酸三
カルシウムセラミックス周囲に比べて、新生骨の形成量
が多いことが確認された。特にZn含有量0.316重量
%のリン酸三カルシウムセラミックスは、亜鉛を含まな
いリン酸三カルシウムセラミックスに比較して、統計的
に有意水準8%で新生骨形成量が増加した(標本数
6)。その結果を図3に示す。また、亜鉛固溶リン酸三
カルシウムセラミックスと骨との間には線維性結合組織
の介在は認められず、生体適合性の高いこともあわせて
確認された。
ol、Zn(NO3)20.180molを超純水に加
えて沈殿を生成し、これを濾別、乾燥、850℃で仮
焼、粉砕して7.99重量%亜鉛固溶リン酸三カルシウ
ム粉末を得た。この亜鉛固溶リン酸三カルシウム粉末に
純粋なリン酸三カルシウム粉末及び水酸アパタイト粉末
を混合、粉砕、バインダーとしてPVAを3%添加、加
圧成形後1100℃、1時間の条件で焼結し、亜鉛固溶
リン酸三カルシウム−リン酸三カルシウム−水酸アパタ
イト複合セラミックスを得た。以下これを単に「複合セ
ラミックス」と略記する。得られた複合セラミックスの
相組成を粉末X線回折法で調べたところ、亜鉛含有量
0.0126〜1.26重量%の範囲では、β型リン酸三
カルシウム相と水酸アパタイト相のみから成ることが確
認された。その結果を図4に示す。
mmの複合セラミックスを酢酸−酢酸ナトリウム(pH
5)緩衝液50ml中に1個投入し、37℃で60日間
放置した。また生体内環境をよりよく模擬するために同
一の複合セラミックス5個を細胞培養液(5%CO2雰
囲気)5ml中に投入し、37℃で7日間放置した。放
置後の液の亜鉛濃度をICPで分析したところZnが溶
出していることが確認された。酢酸−酢酸ナトリウム
(pH5)緩衝液中での溶出量を図5に、細胞培養液中
での溶出量を図6に示す。
を含まない複合セラミックスを直径16mmの細胞培養
用ディッシュに入れ、この中にマウス骨原性細胞MC3
T3−E1を500個と細胞培養液1mlを投入して、
4日間上記細胞を複合セラミックス上で培養した。ここ
に、骨原性細胞とは骨を形成する骨芽細胞の前駆細胞で
あり、細胞分化によって骨芽細胞に変化する細胞であ
る。培養後細胞をグルタールアルデヒド固定、染色後、
両複合セラミックス上の細胞数を顕微鏡下にて計数し
た。亜鉛を含む複合セラミックス上の細胞数nと亜鉛を
含まない複合セラミックス上の細胞数n0との比n/n
0(相対増殖率)を求めた。その結果、亜鉛含有量0.
0126〜1.26重量%の範囲では、亜鉛の増加とと
もに骨原性細胞の相対増殖率が大きくなることが確認さ
れた。すなわち、亜鉛含有量0.0126〜1.26重量
%の範囲で、骨形成促進効果が確認された。また亜鉛含
有量1.26重量%以上では相対増殖率は急激に小さく
なり、亜鉛の毒性が発現することが確認された。これら
の結果を図7に示す。
6重量%の複合セラミックスを麻酔下で家兎大腿骨中に
埋入した。1ヶ月後にと殺して、複合セラミックスが埋
入された大腿骨を取り出し、複合セラミックスの長軸に
平行な薄切片を作成し、セラミックス周囲の骨組織を染
色した。複合セラミックス周囲の骨組織の画像を顕微鏡
を通してコンピューターに取り込み、新たに形成された
骨組織の面積を画像解析によって求めた。その結果複合
セラミックスの周囲では、亜鉛を含まない複合セラミッ
クスすなわちリン酸三カルシウム−水酸アパタイト複合
セラミックスの周囲に比べて新生骨の形成量が多いこと
が確認された。特にZn含有量0.316重量%の複合
セラミックスは、亜鉛を含まない複合セラミックスに比
較して、統計的に有意水準5%で新生骨形成量が増加し
た(標本数6)。その結果を図8に示す。また、亜鉛を
含む複合セラミックスと骨との間には線維性結合組織の
介在は認められず、生体適合性の高いこともあわせて確
認された。
ムを含むセラミックスによれば、相組成はリン酸三カル
シウム相単独、又は、リン酸三カルシウム相と水酸アパ
タイト相であり、他の相を含まないので、生体適合性が
極めて高く、亜鉛はリン酸三カルシウム中に固溶体とし
て含有させてあるので、生体環境下で亜鉛を徐放させる
ことができ、骨形成促進、骨吸収防止、及び組織修復促
進などの効果を得ることができる。そして、このセラミ
ックスは、硬組織代替用の生体用セラミックスとして使
用することができる。
を示す粉末X線回折パターン
有量と、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液中での亜鉛溶出量
との関係を示す図
有量と、家兎大腿骨中での新生骨形成量との関係を示す
図
を示す粉末X線回折パターン
有量と、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液中での亜鉛溶出量
との関係を示す図
有量と、細胞培養液中での亜鉛溶出量との関係を示す図
有量と、骨原性細胞の相対増殖率との関係を示す図
有量と、家兎大腿骨中での新生骨形成量との関係を示す
図
Claims (2)
- 【請求項1】 Zn0.0126〜1.26重量%(但
し、0.4〜1.26重量%を除く。)を固溶したリン
酸三カルシウム[Ca3(PO4)2]から成ることを
特徴とするセラミックス。 - 【請求項2】 Zn0.0150〜8.00重量%を固溶
したリン酸三カルシウムに、水酸アパタイト、又はリン
酸三カルシウム又はその両者が添加され、全体のZn含
有量が0.0126〜1.26重量%(但し、0.4〜
1.26重量%を除く。)であることを特徴とするセラ
ミックス。
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