JP3360122B2 - 亜鉛含有リン酸三カルシウムからなる亜鉛徐放性生体用セラミックス - Google Patents

亜鉛含有リン酸三カルシウムからなる亜鉛徐放性生体用セラミックス

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛含有リン酸三
カルシウムからなる亜鉛徐放性生体用セラミックスに関
する。
【0002】
【従来の技術】硬組織代替用として既に使用が認められ
た生体用セラミックスは、アルミナ、水酸アパタイト、
リン酸三カルシウム、AW結晶化ガラス、炭素等であ
る。これらの材料を硬組織代替用として用いる場合に
は、組織修復促進、骨形成促進、骨吸収防止という薬理
的作用を、これらの材料が有しているわけではない。従
って、これらの材料には、これらの作用を付与するため
に他の薬剤を添加又は服用することが必要となる。とこ
ろで、亜鉛が生体内に入ると、高濃度の場合には毒性を
発現するが、ある特定の濃度範囲では、上記の三つの薬
理的作用を有していることが知られおり、硬組織代替用
として用いる生体用セラミックスには、亜鉛を用いるこ
とが試みられている。そして、生体用セラミックスに亜
鉛を添加したZnO(10−50wt%)−CaO(3
0−40wt%)−P(10−40wt%)系及
びZnSO(10−50wt%)−CaO(30−4
0wt%)−P(10−40wt%)系セラミッ
クスからなる生体用セラミックスが既に提案されてい
る。上記の亜鉛を含有する生体用セラミックスにおいて
は、亜鉛の含有量が多い結果となっている。そのため
に、生体適合性(安全性)が低い相であると言われてい
る、リン酸三カルシウムおよび水酸アパタイト以外の相
を含有しており、その結果、上記の亜鉛を含有する生体
用セラミックスは生体適合性(安全性)が低いという問
題点を有していた。また、上記の亜鉛を含有する生体用
セラミックスに上記の三つの薬理的作用が実際に有るか
どうか調べた動物実験の結果では、薬理的作用は認めら
れていない。上記の亜鉛を含有する生体用セラミックス
に薬理的作用が認められない理由としては、生体適合性
の低いことが原因とされている。一方、リン酸三カルシ
ウム相又は水酸アパタイト相又はこれら両相から成る生
体用セラミックスは、線維性結合組織の介在なしに材料
と骨が直接結合するほど生体適合性が高い。リン酸三カ
ルシウム相単独又はこれに水酸アパタイトを加えた2相
から構成され、同時に、上記三つの作用を有する濃度で
亜鉛を持続的に徐放する機能を有するセラミックスがあ
れば、生体適合性が高く、なおかつ上記三つの薬理的作
用を有する生体用セラミックスとなる。しかしながら、
そのような生体用セラミックスは現在存在していない。
硬組織代替用の生体用セラミックスにおいては、上記三
つの作用を有する亜鉛徐放性の性質を有し、リン酸三カ
ルシウム相単独又はこれに水酸アパタイトを加えた2相
から構成される生体適合性が高い亜鉛含有生体用セラミ
ックスの開発が望まれてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、亜鉛
含有リン酸三カルシウムからなる生体適合性が高い新規
な亜鉛徐放性生体用セラミックスを提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、特定量の亜鉛を固溶して含有するリン酸
三カルシウム、及びこれに水酸アパタイトを含むセラミ
ックスを合成したところ、このセラミックスは、骨形成
促進、骨吸収防止、組織修復促進効果のある亜鉛をセラ
ミックス材料中から徐々に放出できるものであり、リン
酸三カルシウム、又はこれに水酸アパタイトからなる相
により構成されるているので、生体適合性が高いもので
あることを見いだして、本発明を完成することができた
ものである。
【0005】すなわち、本発明によれば、Zn0.01
26〜1.26重量%、好ましくはZn0.06〜0.
70重量%を固溶したリン酸三カルシウム[Ca(P
]から成ることを特徴とするセラミックス、及
び Zn0.0150〜8.00重量%を固溶したリン酸
三カルシウムに、水酸アパタイト、又はリン酸三カルシ
ウム又はその両者が添加され、全体のZn含有量が0.
0126〜1.26重量%、好ましくはZn0.06〜
0.70重量%であることを特徴とする亜鉛徐放性生体
用セラミックスが、提供される。又、本発明によれば、
Zn0.0126〜1.26重量%を固溶したリン酸三
カルシウム[Ca(PO]から成ることを特徴
とする亜鉛徐放性生体用セラミックス、又は Zn0.0
150〜8.00重量%を固溶したリン酸三カルシウム
に、水酸アパタイト、又はリン酸三カルシウム又はその
両者が添加され、全体のZn含有量が0.0126〜1.
26重量%、好ましくは、Zn0.06〜0.70重量
%であることを特徴とする亜鉛徐放性生体用セラミック
スが、提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の亜鉛徐放性生体用セラミ
ックスは、Zn0.0126〜1.26重量%、好ましく
はZn0.06〜0.70重量%を固溶して含有するリ
ン酸三カルシウムから成るものである。セラミックスの
製造に際しては、カルシウム化合物又はイオン、リン化
合物又はイオン、亜鉛化合物又はイオンの固相反応又は
液相反応又はメカノケミカル反応によって、原料粉末を
調整するが、粉体の焼結性の点から好ましくは液相反応
によって原料粉末を調整する。液相反応法においては、
リン酸三カルシウムを形成する溶液中に全体として含ま
れる亜鉛が前記割合となるように亜鉛化合物を添加し
て、生成した沈澱物をろ別し、乾燥、仮焼して、バイン
ダーを加え、加圧成形し、焼結して製造する。リン酸三
カルシウムを含む溶液は、カルシウムエトキサイドなど
のカルシウムアルコキサイドとリン酸溶液の組み合わせ
たもの、水酸化カルシウムけんだく液にリン酸を添加し
たもの、硝酸カルシウム溶液とリン酸アンモニウム溶液
を組み合わせたもの、及びリン酸溶液に炭酸カルシウム
を添加したものなどが用いられる。亜鉛は、酢酸亜鉛な
どのカルボン酸亜鉛、硝酸亜鉛、リン酸亜鉛、炭酸亜
鉛、乳酸亜鉛などの化合物が用いられる。上記リン酸三
カルシウム溶液に、セラミックスとなったときに、Zn
の含有量が0.0126〜1.26重量%、好ましくは
0.06〜0.70重量%となるように計算して添加す
る。このようにして、得られる溶液から得られる沈澱物
を、ろ別し、乾燥、仮焼、焼結すると、亜鉛をリン酸三
カルシウム相に固溶体として含んだセラミックスが得ら
れる。上記製造に際し、乾燥は、40〜150℃、好ま
しくは60ー100℃で行われる。バインダーとして
は、加圧成形したときに形を維持できるようにするもの
であれば、差し支えない。一般にはポリビニルアルコー
ルなどが用いられる。焼成は、900〜1200℃、好
ましくは、1050〜1200℃の範囲で行うことがで
きる。亜鉛の含有量が、0.0126重量%未満とする
と、亜鉛を持続的に徐放させるためには量が不十分であ
り、適当でない。一方、1.26重量%を越える場合
は、毒性が発現することが考えられるので、適当でな
い。本発明においては骨中亜鉛濃度の100倍以下の亜
鉛濃度となるようにしている。亜鉛は骨中にすでに0.
0126〜0.0200重量%含まれており、亜鉛の薬
理効果を確保する観点から、本発明の亜鉛徐放性生体用
セラミックスにおいては骨中濃度よりも高い割合の亜鉛
濃度を用いることができる。
【0007】本発明の亜鉛徐放性生体用セラミックス
は、Zn0.0150〜8.00重量%を固溶して含有す
るリン酸三カルシウムに、水酸アパタイト又はリン酸三
カルシウム又は両者を添加して、全体として含まれるZ
n含有量が0.0126〜1.26重量%、好ましくはZ
n0.06〜0.70重量%である亜鉛含有セラミック
スである。このセラミックスの製造に際しては、初めに
Znを0.0150〜8.00重量%の特定量を含有す
る、亜鉛を固溶した状態で含有するリン酸三カルシウム
を、上記方法により製造する。次に、粉砕処理して粉末
とし、引き続いて、水酸アパタイト又はリン酸三カルシ
ウム又はその両者からなる粉末を混合し、バインダーを
添加して、加圧成形後、焼結してZn含有濃度が0.0
126〜1.26重量%、好ましくは0.06〜0.7
0重量%となるようにして、製造するものである。この
製造方法において、乾燥、仮焼、バインダー及び焼結の
条件は、上記と同じである。この場合には、上記の場合
より高含有量の亜鉛を含むリン酸三カルシウムを初めに
製造し、これに水酸アパタイト又はリン酸三カルシウム
又は両者を添加することで亜鉛含有量を調整し、最終的
にZn含有量を0.0126〜1.26重量%、好ましく
は0.06〜0.70重量%とすることが必要である。
希釈以前の亜鉛固溶リン酸三カルシウムの亜鉛含有量を
0.0150〜8.00重量%とした理由は、 亜鉛含有
量が0.0150重量%未満では、骨中亜鉛の最低含有
量又は骨中亜鉛含有量未満の量となり、期待する薬理効
果を得ることができないこと、又、亜鉛の含有量が8.
00重量%の場合は、亜鉛のリン酸三カルシウムに対す
る固溶限界であり、亜鉛濃度8.00重量%以上では高
温焼成時にCaZn(POやガラス相等の毒性
不純物相を生成する結果となることを、考慮して定めた
ものである。次に、最終的に得られるセラミックスのZ
n含有量が0.0126重量%未満の場合には、亜鉛を
持続的に徐放するためには不十分であり、適当でない。
又、1.26重量%を越える場合には、毒性が発現する
可能性があるので、適当でない。
【0008】上記のセラミックスにおいては、リン酸三
カルシウムからなるセラミックスは、イオン半径0.0
6〜0.08nmのZn、Mg、Fe等のイオンを容易
に固溶して含むことができる。従って、Zn0.012
6〜1.26重量%を固溶したリン酸三カルシウムを容
易に得ることができる。これに対して、水酸アパタイト
は、イオン半径0.06〜0.08nmの上記イオンを固
溶しにくい性質を有している。ところで、リン酸三カル
シウムは水中や体液中で溶解すると、熱力学的に安定性
の高い水酸アパタイトに転化する。そこで、当初、リン
酸三カルシウムに亜鉛を固溶させて含ませておき、リン
酸三カルシウム単独又は水酸アパタイトとの複合セラミ
ックスとすれば、亜鉛含有リン酸三カルシウムは溶解し
てCa、P、Znイオンとなり、溶解によって生成した
CaとPイオンのみを水酸アパタイトに変化させること
ができる。これにより、結果として骨形成促進、骨吸収
防止、組織修復促進効果のある亜鉛イオンだけを材料周
囲に徐放する生体用セラミックスを提供することができ
る。
【0009】本発明による亜鉛徐放性生体用セラミック
スにおいては、相組成が生体適合性の高いリン酸三カル
シウム相またはリン酸三カルシウム相と水酸アパタイト
相から成り、かつ亜鉛濃度が骨中亜鉛濃度の100倍
(1.26重量%)以下であるので、セラミックス自体
の生体適合性が高いものである。また材料中の亜鉛固溶
リン酸三カルシウムが生体内で水酸アパタイトに転化す
る際に、周囲組織に亜鉛を徐放して骨形成の促進、骨吸
収の防止をするためセラミックスと周囲の骨組織が早く
結合するものである。
【0010】
【実施例】以下本発明を実施例に基づいて説明する。本
発明はこの実施例に限定されるものではない。実施例1
〜3では、Znを固溶体化して含有するリン酸三カルシ
ウムについて、又実施例4〜6では、Znを固溶体化し
て含有するリン酸三カルシウムに、水酸アパタイト及び
リン酸三カルシウムを添加して得られるものについての
実施例である。これらの実施例で得られたセラミックス
については、どのような相から構成されているかについ
ては、粉末X線回折パターンにより確認を行う。又、p
H5.0の酢酸ー酢酸ナトリウム緩衝液及び細胞培養液
に浸漬してZn溶出試験を行う。さらに、得られたセラ
ミックス上で細胞を培養して毒性試験を、家兎の大腿骨
中に埋め込んで新生骨の形成試験を行う。
【0011】実施例1 カルシウムエトキサイドと85%リン酸と酢酸亜鉛を、
(Ca+Zn)/Pモル比=1.50、Zn/(Ca+
Zn)モル比=0〜20mol%となるよう窒素雰囲気
下アルコール中で反応させ、濾別、乾燥、850℃仮
焼、バインダーとしてPVAを3%添加、加圧成形後1
100℃、5時間の条件で焼結し、セラミックスを得
た。得られたセラミックスの相組成を粉末X線回折法で
調べたところ、Zn:0〜8.00重量%未満では生体
適合性の高いβ型リン酸三カルシウム相のみ又はこれと
少量の水酸アパタイト相から成ることがわかった。また
各ピークの2θ値が変化しており、亜鉛が固溶している
ことがわかった。Zn:8.00重量%以上ではCaZ
(POやガラス相が不純物として共存した。
すなわち、Zn:8.00重量%が亜鉛の固溶限界であ
ること、及びZn:0.0126〜1.26重量%の範囲
では、生体適合性の高いβ型リン酸三カルシウム単相又
はこれと少量の水酸アパタイト相を含むセラミックスが
得られることが確認された。図1に得られたセラミック
スの粉末X線回折パターンを純粋なβ型リン酸三カルシ
ウムの粉末X線回折パターンと共に示す。
【0012】実施例2 Zn含有量0〜1.26重量%、直径13mm、厚さ1m
mの亜鉛固溶リン酸三カルシウムセラミックス1個を5
0mlの酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に
浸漬し、37℃で60日間放置した。放置後の液の亜鉛
濃度をICPで分析したところ、Znが溶出しているこ
とが確認された。その結果を図2に示す。
【0013】実施例3 直径2.5mm、長さ10mm、Zn含有量0〜0.31
6重量%の亜鉛固溶リン酸三カルシウムセラミックスを
麻酔下で家兎大腿骨中に埋入した。1ヶ月後にと殺し
て、亜鉛固溶リン酸三カルシウムセラミックスが埋入さ
れた大腿骨を取り出し、セラミックスの長軸に平行な薄
切片を作成し、セラミックス周囲の骨組織を染色した。
セラミックス周囲の骨組織の画像を顕微鏡を通してコン
ピューターに取り込み、新たに形成された骨組織の面積
を画像解析によって求めた。その結果、亜鉛固溶リン酸
三カルシウムセラミックスの周囲では、純粋なリン酸三
カルシウムセラミックス周囲に比べて、新生骨の形成量
が多いことが確認された。特にZn含有量0.316重量
%のリン酸三カルシウムセラミックスは、亜鉛を含まな
いリン酸三カルシウムセラミックスに比較して、統計的
に有意水準8%で新生骨形成量が増加した(標本数
6)。その結果を図3に示す。また、亜鉛固溶リン酸三
カルシウムセラミックスと骨との間には線維性結合組織
の介在は認められず、生体適合性の高いこともあわせて
確認された。
【0014】実施例4 Ca(OH)1.620mol、HPO1.20m
ol、Zn(NO 0.180molを超純水に加
えて沈殿を生成し、これを濾別、乾燥、850℃で仮
焼、粉砕して7.99重量%亜鉛固溶リン酸三カルシウ
ム粉末を得た。この亜鉛固溶リン酸三カルシウム粉末に
純粋なリン酸三カルシウム粉末及び水酸アパタイト粉末
を混合、粉砕、バインダーとしてPVAを3%添加、加
圧成形後1100℃、1時間の条件で焼結し、亜鉛固溶
リン酸三カルシウム−リン酸三カルシウム−水酸アパタ
イト複合セラミックスを得た。以下これを単に「複合セ
ラミックス」と略記する。得られた複合セラミックスの
相組成を粉末X線回折法で調べたところ、亜鉛含有量
0.0126〜1.26重量%の範囲では、β型リン酸三
カルシウム相と水酸アパタイト相のみから成ることが確
認された。その結果を図4に示す。
【0015】実施例5 Zn含有量0〜1.26重量%、 直径13mm、厚さ1
mmの複合セラミックスを酢酸−酢酸ナトリウム(pH
5)緩衝液50ml中に1個投入し、37℃で60日間
放置した。また生体内環境をよりよく模擬するために同
一の複合セラミックス5個を細胞培養液(5%CO
囲気)5ml中に投入し、37℃で7日間放置した。放
置後の液の亜鉛濃度をICPで分析したところZnが溶
出していることが確認された。酢酸−酢酸ナトリウム
(pH5)緩衝液中での溶出量を図5に、細胞培養液中
での溶出量を図6に示す。
【0016】実施例6 直径13mm、厚さ1mmの複合セラミックス及び亜鉛
を含まない複合セラミックスを直径16mmの細胞培養
用ディッシュに入れ、この中にマウス骨原性細胞MC3
T3−E1を500個と細胞培養液1mlを投入して、
4日間上記細胞を複合セラミックス上で培養した。ここ
に、骨原性細胞とは骨を形成する骨芽細胞の前駆細胞で
あり、細胞分化によって骨芽細胞に変化する細胞であ
る。培養後細胞をグルタールアルデヒド固定、染色後、
両複合セラミックス上の細胞数を顕微鏡下にて計数し
た。亜鉛を含む複合セラミックス上の細胞数nと亜鉛を
含まない複合セラミックス上の細胞数n0との比n/n
0(相対増殖率)を求めた。その結果、亜鉛含有量0.
0126〜1.26重量%の範囲では、亜鉛の増加とと
もに骨原性細胞の相対増殖率が大きくなることが確認さ
れた。すなわち、亜鉛含有量0.0126〜1.26重量
%の範囲で、骨形成促進効果が確認された。また亜鉛含
有量1.26重量%以上では相対増殖率は急激に小さく
なり、亜鉛の毒性が発現することが確認された。これら
の結果を図7に示す。
【0017】実施例7 直径2.5mm、長さ10mm、亜鉛含有量0〜0.31
6重量%の複合セラミックスを麻酔下で家兎大腿骨中に
埋入した。1ヶ月後にと殺して、複合セラミックスが埋
入された大腿骨を取り出し、複合セラミックスの長軸に
平行な薄切片を作成し、セラミックス周囲の骨組織を染
色した。複合セラミックス周囲の骨組織の画像を顕微鏡
を通してコンピューターに取り込み、新たに形成された
骨組織の面積を画像解析によって求めた。その結果複合
セラミックスの周囲では、亜鉛を含まない複合セラミッ
クスすなわちリン酸三カルシウム−水酸アパタイト複合
セラミックスの周囲に比べて新生骨の形成量が多いこと
が確認された。特にZn含有量0.316重量%の複合
セラミックスは、亜鉛を含まない複合セラミックスに比
較して、統計的に有意水準5%で新生骨形成量が増加し
た(標本数6)。その結果を図8に示す。また、亜鉛を
含む複合セラミックスと骨との間には線維性結合組織の
介在は認められず、生体適合性の高いこともあわせて確
認された。
【0018】
【発明の効果】本発明による亜鉛含有リン酸三カルシウ
ムを含むセラミックスによれば、相組成はリン酸三カル
シウム相単独、又は、リン酸三カルシウム相と水酸アパ
タイト相であり、他の相を含まないので、生体適合性が
極めて高く、亜鉛はリン酸三カルシウム中に固溶体とし
て含有させてあるので、生体環境下で亜鉛を徐放させる
ことができ、骨形成促進、骨吸収防止、及び組織修復促
進などの効果を得ることができる。そして、このセラミ
ックスは、硬組織代替用の生体用セラミックスとして使
用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】亜鉛を固溶体として含むセラミックスの相組成
を示す粉末X線回折パターン
【図2】亜鉛を固溶体として含むセラミックスの亜鉛含
有量と、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液中での亜鉛溶出量
との関係を示す図
【図3】亜鉛を固溶体として含むセラミックスの亜鉛含
有量と、家兎大腿骨中での新生骨形成量との関係を示す
【図4】亜鉛を固溶体として含むセラミックスの相組成
を示す粉末X線回折パターン
【図5】亜鉛を固溶体として含むセラミックスの亜鉛含
有量と、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液中での亜鉛溶出量
との関係を示す図
【図6】亜鉛を固溶体として含むセラミックスの亜鉛含
有量と、細胞培養液中での亜鉛溶出量との関係を示す図
【図7】亜鉛を固溶体として含むセラミックスの亜鉛含
有量と、骨原性細胞の相対増殖率との関係を示す図
【図8】亜鉛を固溶体として含むセラミックスの亜鉛含
有量と、家兎大腿骨中での新生骨形成量との関係を示す
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ピエール レイロール 茨城県つくば市東1−1−4 工業技術 院産業技術融合領域研究所内 (72)発明者 河村 春生 茨城県つくば市下広岡500−67 (56)参考文献 特開 昭55−140756(JP,A) 特開 昭60−161368(JP,A) 特開 昭62−162668(JP,A) 特開 昭55−130854(JP,A) 特開 昭64−24009(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/447 A61L 27/00 C01B 25/32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Zn0.0126〜1.26重量%を固溶
    したリン酸三カルシウム[Ca(PO]から成
    ることを特徴とする亜鉛徐放性生体用セラミックス。
  2. 【請求項2】 Zn0.0150〜8.00重量%を固溶
    したリン酸三カルシウムに、水酸アパタイト、又はリン
    酸三カルシウム又はその両者が添加され、全体のZn含
    有量が0.0126〜1.26重量%であることを特徴と
    する亜鉛徐放性生体用セラミックス。
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