JP3143324B2 - 基礎構造及び基礎の施工方法 - Google Patents

基礎構造及び基礎の施工方法

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JP3143324B2 JP06148481A JP14848194A JP3143324B2 JP 3143324 B2 JP3143324 B2 JP 3143324B2 JP 06148481 A JP06148481 A JP 06148481A JP 14848194 A JP14848194 A JP 14848194A JP 3143324 B2 JP3143324 B2 JP 3143324B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築物の地盤に構築さ
れる基礎構造及び基礎の施工方法に関し、特に、束基礎
又は独立基礎を省略できる基礎構造及び基礎の施工方法
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、建物の建築工法としてパネル工法があり、このパネ
ル工法は、矩形に組まれた芯材に面材を貼り付けてなる
パネルを接合して、建物を工業的に量産する工法であ
る。
【0003】このパネル工法において、1階の床パネル
を支持する基礎は、図4に示すようにして構築されてい
た。図4は基礎の概略斜視図である。
【0004】同図において、建物の外周位置に外部布基
礎100が構築され、建物の内側には内部布基礎110
が構築され、これら外部布基礎100および内部布基礎
110の上には、図示しない台輪が敷き込まれる。そし
て、これら外部布基礎100および内部布基礎110の
間には、束基礎120が構築され、この束基礎120の
上には、床受材122が取り付けられている。
【0005】こうして構築された基礎の上に床パネルを
敷き込んで、床パネルの外端に半土台(図示せず)を取
り付けて1階の床部が構築される。
【0006】ここで、束基礎120は、床受材122を
取り付けて床パネルを支持するものであるが、この束基
礎を構築するには、割栗石を敷き込んだり、杭を打ち込
んだりしなければならないので手間がかかるものであっ
た。しかも、束基礎は、布基礎のようには連続させずに
点在させるものであることからも、基礎地業が面倒であ
った。
【0007】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたもので、その目的は、束基礎や独立基礎を省略し
て、基礎の構築作業を簡略化できる基礎構造及び基礎の
施工方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、建物の構築領域で地盤を連
続的に掘削して形成された根切り部に所定間隔で設置さ
れる複数のプレキャストコンクリート底盤と、鉛直方向
に直立して建物を支持する立上部と、この立上部の下部
から側方に突出するフーティング部と、を有し、前記プ
レキャストコンクリート底盤間に架設されるプレキャス
トコンクリート基礎と、前記フーティング部の上に載置
されて、前記プレキャストコンクリート基礎間に架け渡
される床梁の端部を支持する支持台と、を有し、 前記フ
ーティング部は、上面から下面に貫通する複数のコンク
リート充填口を有し、このコンクリート充填口よりコン
クリートを充填する際に前記支持台が前記コンクリート
によって固定可能にされていることを特徴とする。
【0009】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の基礎構造において、前記支持台は、上端面に前記床
梁との取付部を有することを特徴とする。
【0010】そして、請求項3記載の発明は、請求項1
又は請求項2記載の基礎構造において、前記床梁は、鋼
材にて構成されることを特徴とする。
【0011】さらに、請求項4記載の発明は、建物の構
築領域で地盤を連続的に掘削して形成された根切り部に
所定間隔で複数のプレキャストコンクリート底盤を設置
する工程と、鉛直方向に直立して建物を支持する立上部
と、この立上部の下部から側方に突出すると共に、上面
から下面に貫通する複数のコンクリート充填口が形成さ
れたフーティング部と、を有するプレキャストコンクリ
ート基礎を、前記プレキャストコンクリート底盤間に架
設する工程と、前記プレキャストコンクリート基礎間に
架け渡される床梁の端部を支持する支持台を、前記フー
ティング部の上に載置する工程と、前記コンクリート充
填口よりコンクリートを充填すると共に、このコンクリ
ートによって前記支持台を固定する工程と、を含むこと
を特徴とする。
【0012】
【作用】請求項1又は請求項4記載の発明によれば、プ
レキャストコンクリート(以下、PCという)底盤間に
PC基礎を架設して基礎を構築する。そして、PC基礎
に形成されたフーティング部に支持台を載置し、この支
持台に床梁を架け渡し、PC基礎及び床梁にて床を支持
させて、建物の上部構造体を構築する。
【0013】そして、請求項2記載の発明によれば、支
持台の上端面に設けられた取付部によって床梁を強固に
固定することができる。
【0014】また、請求項3記載の発明によれば、床梁
が鋼材にて構成されているので、木質の床梁と比較し
て、強度も高くて価格も安くすることができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は、実施例に係る基礎構造の一部を切
り欠いた斜視図である。そして、図2は、図1における
PC布基礎の設置状態を示す斜視図である。図2におい
て、PC布基礎10が、根切り部20に設置されたPC
底盤30間に架設されている。
【0016】根切り部20は、地盤100を布掘りして
形成されており、この根切り部20のコーナー部および
所定位置にPC底盤30が設置されている。
【0017】このPC底盤30は、補強鉄筋(図示せ
ず)を内部に有して強化されたコンクリート板であるた
め、建築現場で補強鉄筋をこのPC底盤30上に配設す
る作業を省略できる。また、このPC底盤30は、上面
が滑らかな平面となっており、PC布基礎10を架設す
るときにこの上面に位置合わせのための墨出しを行える
ようになっている。
【0018】そして、このPC底盤30を根切り部20
に設置するときには、このPC底盤30の設置位置にモ
ルタル22の山を載置し、このモルタル22の山を潰す
ようにしてPC底盤30を載置する。そして、このPC
底盤30を掛矢等で叩いて所定の高さで上面がほぼ水平
になるよう調整作業を行う。なお、この作業は、水糸や
水準器やレーザー光線による水準装置等を用いて水平レ
ベルおよび高さを確認しながら行う。
【0019】次に、こうして設置されたPC底盤30間
に架設されるPC布基礎10について説明する。図2に
示すように、PC布基礎10には二種類があり、両端部
に凹部11が形成されたPC布基礎12(図2中右側)
と、一方の端部に凹部11が形成され他方の端部に凸部
13が形成されたPC布基礎14(図2中左側)とがあ
る。そして、これらのPC布基礎12、14は、いずれ
も立上部16とフーティング部18とを有する。
【0020】PC布基礎12を例にとって説明すると、
立上部16は、鉛直方向に直立して上端面に建物を載置
して支持するもので、所定の厚さで直方体形状に形成さ
れ、内部に図示しない補強用の鉄筋が埋設されてコンク
リートにて構成され、両端部には、肉厚が厚くなって横
断面コ字状の凹部11が形成されている。そして、PC
布基礎12同士を直線状に接合するときには、それぞれ
の凹部11を対向させて設置し、この凹部11の内部に
鉄筋を配設してコンクリートを打設し、連結部の強化を
図れるようになっている。
【0021】フーティング部18は、立上部16を直立
させて支持するものであって、立上部16の両側面にお
いて、内部に図示しない鉄筋を有して下端から側方に直
角に突出して形成されて、設置時に上面が水平となる。
さらに、上面は滑らかな面となっている。また、このフ
ーティング部18は、立上部16の中央部に形成されて
おり、上記凹部11の側面にはこのフーティング部18
は形成されない構成となっている。したがって、図2に
示すように、このPC布基礎12は、凹部11の下端面
を架設部としてPC底盤に載置できる。そして、このフ
ーティング部18は、根切り部20の地盤との間に所定
間隔の隙間が形成されて、この隙間にコンクリートを打
設できるようになっている。
【0022】また、このフーティング部18にはコンク
リート充填口19が形成されている。このコンクリート
充填口19は、フーティング部18の上面から下面に貫
通する複数の矩形の穴であって、このコンクリート充填
口19からコンクリートを打設養生し固化させて、フー
ティング部18を地盤100に強固に固定できるように
なっている。
【0023】次に、PC布基礎14は、一方の端部に凸
部13を有する点で上記PC布基礎12と異なる。
【0024】凸部13は、基礎のコーナー部において、
上記PC布基礎12と直角に接合するため、立上部16
の一方の端部に軸に直角に突出して形成されるものであ
る。そして、この凸部13の前端面には図示しない鉄筋
が突出しており、この鉄筋を接合されるPC布基礎12
の凹部11に挿入し、この凹部11にコンクリートを打
設、養生し固化したときに、PC布基礎12とPC布基
礎14とをしっかりと結合することができる。
【0025】また、この凸部13が形成された端部には
フーティング部18が形成されず、フーティング部18
は立上部16の中央部に形成された構成となっている。
その他の構成は上記PC布基礎12と同様である。
【0026】なお、PC布基礎12およびPC布基礎1
4は、いずれも予め工場で表面が処理された状態となっ
ている。
【0027】そして、これらのPC布基礎10は、PC
底盤30の上面に設置位置の墨出しを行い位置合わせを
して、PC底盤30間に架け渡して設置される。このP
C布基礎10にはフーティング部18が一体的に形成さ
れているので、建築現場でフーティングを構築する必要
がない。
【0028】こうして、図2に示すようにPC布基礎1
0が設置固定されると、次に、図1に示すように支持台
40をフーティング部18の上に設置する。
【0029】支持台40は、図示しない床を支持するた
めの床梁44を架設するものである。詳しくは、対向す
るPC布基礎10のフーティング部18に、対向する状
態で一対が設置されて、床梁44を架け渡して設置でき
るようにするものである。
【0030】この支持台40も、上述したPC布基礎1
0又はPC底盤30と同様に、PC製で直方体のブロッ
クをなし、厚みがフーティング部18の突出長さを超え
ない程度となっている。そして、支持台40の下端面
は、滑らかな面となっているので、フーティング部18
の上端面に安定して載置できるようになっている。そし
て、支持台40の上端面には取付ボルト42が設けられ
て、床梁44との取付固定が容易に行えるようになって
いる。
【0031】すなわち、床梁44には、図1に示すよう
に、端部に取付板46が設けられ、この取付板46に形
成された取付穴46aに取付ボルトを挿通して、ナット
48にて固定することで、床梁44を支持台40に取付
固定することができる。
【0032】なお、取付ボルト42の代わりに、めねじ
が形成されたインサートを支持台40の上端面に形成し
ておき、ボルトを螺合させて床梁44を取付固定するよ
うにしてもよい。
【0033】ここで、床梁44は、木材であってもよい
が、近年の木材の価格高騰に鑑みて、H形鋼などの鋼材
を用いることが好ましい。また、鋼材は、防蟻処理が不
要であるという利点もある。
【0034】こうして、フーティング部18上に設置さ
れた支持台40に、床梁44を取付固定すれば、この床
梁44にて床を支持できるので、図4の従来例に示すよ
うな束基礎120や独立基礎を省略することができる。
【0035】ただし、上述した基礎構造において、PC
布基礎10及び支持台40は、設置してあるにすぎず、
固定がなされていないのでコンクリートを打設して固定
する必要がある。そして、この固定作業は、PC布基礎
10及び支持台40の設置後、床梁44の取り付け前に
行うのが最も効率的である。
【0036】具体的には、フーティング部18に形成さ
れたコンクリート充填口19にコンクリートを打設、養
生し固化する作業を行って、フーティング部18を地盤
100に固定するとともに、支持台40の下端部をもコ
ンクリートにて固定するだけでたりる。又、支持台40
の下には、アンカーボルト又はアンカー鉄筋を突出させ
て設けておき、これらをコンクリートと一体化させて固
定することが好ましい。
【0037】そして、PC底盤30にPC布基礎10を
架設すると、地盤100とフーテイング部18との間に
隙間が形成されるので、コンクリートを打設したときに
この隙間から侵入したコンクリートが前記コンクリート
充填口19に下から満たされて、上端部から溢れ出たこ
とを確認してコンクリートの充填を確実に行うことがで
きる。この作業は、フーティング全体を構築する作業と
比較すると、打設するコンクリートが少量なので養生期
間も短期間で足り、コンクリート打設、養生作業を簡略
化できる。そして、コンクリート充填口19内にコンク
リートを打設、養生し固化すると、このフーティング部
18を地盤100にしっかりと固定することができる。
【0038】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能
である。例えば、支持台を図3に示すように変形しても
よい。すなわち、図3において、支持台50は、上部に
切欠52が形成されてなり、この切欠52に床梁54を
はめ込んで取り付けられるようにしたものである。この
ような構成とすれば、図1における支持台40の取付ボ
ルト42を省略できるので、支持台の製造が容易にな
る。
【0039】あるいは、図5に示すように支持台70上
部に凹形溝72を構成しておき、床梁74の端部にはア
ンカー筋又はアンカーボルト76を設けておいて、前記
凹形溝72にこのアンカーボルト76を入れ込んだ状態
で配置しコンクリートを打設して両者を固定するように
してもよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1又は請求
項4記載の発明によれば、PC基礎のフーティング部に
支持台を設置し、この支持台に床梁を架設するので、束
基礎又は独立基礎を省略できるという効果がある。そし
て、束基礎を省略できることで束工事の他に地業、砕石
締め固めすることなどが不用となるため基礎工事の工程
が短縮できる。
【0041】さらに、請求項2記載の発明によれば、取
付部によって床梁を強固に固定できるという効果があ
る。
【0042】そして、請求項3記載の発明によれば、鋼
材の床梁を用いて、強度の向上及びコストの削減を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る基礎構造の一部を切り欠いた斜視
図である。
【図2】図1におけるPC布基礎の設置状態を示す斜視
図である。
【図3】実施例の変形例を一部切り欠いて示す斜視図で
ある。
【図4】従来の基礎の概略斜視図である。
【図5】実施例の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 PC布基礎 16 立上部 18 フーティング部 20 根切り部 30 PC底盤 40、50 支持台 42 取付ボルト(取付部) 44、54 床梁 52 切欠(取付部) 100 地盤

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建物の構築領域で地盤を連続的に掘削し
    て形成された根切り部に所定間隔で設置される複数のプ
    レキャストコンクリート底盤と、 鉛直方向に直立して建物を支持する立上部と、この立上
    部の下部から側方に突出するフーティング部と、を有
    し、前記プレキャストコンクリート底盤間に架設される
    プレキャストコンクリート基礎と、 前記フーティング部の上に載置されて、前記プレキャス
    トコンクリート基礎間に架け渡される床梁の端部を支持
    する支持台と、 を有し、 前記フーティング部は、上面から下面に貫通する複数の
    コンクリート充填口を有し、このコンクリート充填口よ
    りコンクリートを充填する際に前記支持台が前記コンク
    リートによって固定可能にされている ことを特徴とする
    基礎構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の基礎構造において、 前記支持台は、上端面に前記床梁との取付部を有するこ
    とを特徴とする基礎構造。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の基礎構造に
    おいて、前記床梁は、鋼材にて構成されることを特徴と
    する基礎構造。
  4. 【請求項4】 建物の構築領域で地盤を連続的に掘削し
    て形成された根切り部に所定間隔で複数のプレキャスト
    コンクリート底盤を設置する工程と、 鉛直方向に直立して建物を支持する立上部と、この立上
    部の下部から側方に突出すると共に、上面から下面に貫
    通する複数のコンクリート充填口が形成されたフーティ
    ング部と、を有するプレキャストコンクリート基礎を、
    前記プレキャストコンクリート底盤間に架設する工程
    と、 前記プレキャストコンクリート基礎間に架け渡される床
    梁の端部を支持する支持台を、前記フーティング部の上
    に載置する工程と、前記コンクリート充填口よりコンクリートを充填すると
    共に、このコンクリートによって前記支持台を固定する
    工程と、 を含むことを特徴とする基礎の施工方法。
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