JP3140593B2 - 透明混合樹脂組成物及び硬化樹脂組成物 - Google Patents

透明混合樹脂組成物及び硬化樹脂組成物

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JP3140593B2
JP3140593B2 JP05017811A JP1781193A JP3140593B2 JP 3140593 B2 JP3140593 B2 JP 3140593B2 JP 05017811 A JP05017811 A JP 05017811A JP 1781193 A JP1781193 A JP 1781193A JP 3140593 B2 JP3140593 B2 JP 3140593B2
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吉弘 魚津
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屈折率の異なる二種の
重合体を相溶性よく混合したことを特徴とする所望とす
る屈折率を有する硬化樹脂組成物、及びこれを作り得る
透明混合樹脂組成物に関する
【0002】光学デバイスや半導体レーザーなどの急激
な進歩によって、光通信システムが実用化されるように
なってきており、この光通信システムの基本技術となる
のは光ファイバであるといわれている。この光通信シス
テムに使われる光ファイバとしては石英系光ファイバ、
多成分ガラス系光ファイバ、プラスチック系光ファイバ
等が開発され、これらの光ファイバを用いて種々の光フ
ァイバケーブルが企業化されている。
【0003】光ファイバは高屈折率のコア(芯)と低屈
折率のクラッド(鞘)により構成され、これら光ファイ
バは芯−鞘界面で光を反射転送させるステップインデッ
クス型と、光ファイバ断面系内にその中心から周辺部に
向かって連続的な屈折率分布を有したグレーテッドイン
デックス型とに分けられる。
【0004】また、光ファイバを中心とする情報伝達手
段とあわせて、光学部品(例えば、屈折率分布型レンズ
や光デバイス等)の研究も活発化しており、これらの光
学材料はオプトエレクトロニクス分野において将来重要
な役割を担うものと予想される。
【0005】以上のような光学材料の分野において用い
る素材としては、屈折率を所望のものに調整できる素材
の出現が期待されている。
【0006】
【従来の技術および本発明が解決しようとする課題】先
に述べたように、光ファイバのうち石英系光ファイバや
多成分ガラス系光ファイバは、長距離伝送用として利用
されることが多く、良好な光伝送特性を有しているとい
う特徴があるが、脆いという難点がある。一方、プラス
チック系光ファイバは、光伝送特性はガラス系光ファイ
バに対して劣るものの、大口径光ファイバとすることで
き、加工性に優れているために短距離伝送用として企業
化されている。また、最近になって、石英やガラスのコ
アにプラスチックのクラッドを備えたプラスチッククラ
ッドシリカコア系光ファイバが中距離伝送用光ファイバ
としての特性を有していると期待されている。
【0007】上記プラスチック光ファイバの芯材は、ポ
リメチルメタクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、
ポリカーボネート系樹脂、ポリ−4-メチルペンテン-1、
重水素化ポリメチルメタクリレートおよび重水素化ポリ
スチレン等で代表される透明で高屈折率の有機高分子材
料にて構成されている。またクラッド材料としては、低
い屈折率を有するシリコン系やフッ素系樹脂が多く使わ
れており、特にフッ素系樹脂は、低屈折率であるととも
に、その耐候性が良好であるという面からも注目されて
いる。(例えば、特開昭49−107790号公報、特
開昭49−108321号公報、特開昭49−1155
56号公報、特開昭51−52849号公報、特開昭5
3−60242号公報)。
【0008】しかし、クラッド材料として用いられるフ
ッ素系樹脂は、(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエ
ステル系樹脂やフッ化ビニリデン系共重合体等の単一高
分子材料であることが多く、必要性能の多様化に対応で
きなくなっている。このため、これら屈折率の異なる樹
脂のブレンド等によるクラッド材の性能改善が試みられ
ているが、これら異屈折率の異なる樹脂をブレンドした
樹脂組成物を光ファイバのクラッド材や光学デバイスに
応用した例はほとんど知られていない。この理由とし
て、屈折率の異なる二種のプラスチック材料をブレンド
した場合、樹脂相互の相溶性が悪く、ほとんどの場合不
透明か半透明な樹脂組成物になってしまうからである。
【0009】最近、屈折率の異なる樹脂の混合系であり
ながら、相溶性の優れた樹脂混合系の例が、特開昭59
−6245号公報、特開昭59−41348号公報、特
開昭62−57449号公報等に開示され、光学分野に
おいて広範な用途に適するとの記述がなされているが、
屈折率を所望のものに調節できるとともに、樹脂組成物
の透明性に優れており、かつ、機械的強度が十分な成形
物となし得る樹脂組成物はほとんど開発されていない。
樹脂ブレンド系で透明な樹脂組成物として知られている
ものは、フッ化ビニリデン系樹脂とビニルエステル系共
重合体とのブレンド系樹脂のみであり、その製造法とし
ては各ポリマを溶融状態で混練する方法と、ポリマを共
通溶媒に溶解して樹脂混合物とした後に、溶媒を除去し
て製造する方法ある。
【0010】フッ化ビニリデン系樹脂とビニルエステル
系共重合体とのブレンド系樹脂組成物は屈折率を調整で
きる範囲が狭いという難点があり、さらに広い範囲で屈
折率を調整し得るとともに透明性に優れたブレンド系の
開発を進め、本発明者等は種々の屈折率の異なるポリマ
のブレンド体ならびにブレンド体の製造方法について提
案してきた。(特願昭63−118134号、特願昭6
2−262725号、特願昭62−294220号、特
願昭63−118133号、特願平1−281725
号)。
【0011】これらのブレンド体においても、耐熱性は
先のフッ化ビニリデン系樹脂とビニルエステル系共重合
体とのブレンド系と同等以上であり、さらに広範囲に屈
折率を調整しうる改良されたものの開発が待たれてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は上記
目標を達成し得た樹脂組成物を得ることを目的として検
討した結果、メチルメタクリレート系重合体とトリシク
ロ[5・2・1・0 2.6 ]デカニル(メタ)アクリレ
ートとを混合したものを適宜重合開始剤を用い重合する
ことによって所望の屈折率の硬化樹脂組成物が得られる
ことを見いだし、本発明を完成したもので、本発明の要
旨は、メチルメタクリレートを主要成分とする重合体
(A)とトリシクロ[5・2・1・0 2.6 ]デカニル
(メタ)アクリレートが含まれる単量体(B)とからな
る光重合可能な透明混合樹脂組成物にある。
【0013】本発明において用いるトリシクロ[5・2
・1・0 2.6 ]デカニル(メタ)アクリレートは、そ
の重合体が重合体(A)よりも高屈折率であり、例えば
トリシクロ[5・2・1・0 2.6 ]デカニルメタクリ
レートホモポリマの屈折率(n )は1.529であ
り、ポリメチルメタクリレートの屈折率(n )の1.
489より高屈折率である。トリシクロ[5・2・1・
2.6 ]デカニル(メタ)アクリレートが含まれる
量体(B)としては、トリシクロ[5・2・1・0
2.6]デカニル(メタ)アクリレートが15重量%
上含まれる単量体で、とくにトリシクロ[5・2・1・
2.6 ]デカニル(メタ)アクリレート15〜90重
量%と他のビニル単量体85〜10重量%とよりなる
量体混合物を用いるのが好ましい。
【0014】このトリシクロ[5・2・1・02.6]デカニル
(メタ)アクリレートと併用して用いられる単量体とし
ては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プ
ロピル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)ア
クリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル
(メタ)アクリレート、その他の脂環式(メタ)アクリ
レート等が挙げられ、これら単量体は得られる重合体の
屈折率の調整および得られる重合体の透明性を高めるの
に大きく寄与するものである。
【0015】また、フッ素化アルキル(メタ)アクリレ
ートも単量体から生成するポリマが重合体(A) と相溶性
が良好なものである場合には、本発明の目的を損なわな
い範囲で用いることも可能である。
【0016】トリシクロ[5・2・1・02.6]デカ
ニル(メタ)アクリレートは単量体(B)中に90重量
%以下、さらに好ましくは80重量%以下で用いること
が好ましい。これはこのトリシクロ[5・2・1・0
2.6]デカニル(メタ)アクリレートを多量に含む単
量体(B)よりの重合体と、重合体(A)との相溶性を
損なわれる傾向があるからである。
【0017】また、本発明において用いられるメチルメ
タクリレートを主成分とする重合体(A) としては、メチ
ルメタクリレートのホモポリマを用いてもよいし、メチ
ルメタクリレートと他の共重合可能な単量体との共重合
体を用いてもよい。メチルメタクリレートと共重合可能
な単量体としては、メチルアクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレー
ト、n-プロピル(メタ)アクリレート、tert−ブチル
(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレー
ト、フェニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、2-(n-ブトキシエチル)(メタ)アクリ
レート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグ
リシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエ
チル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプ
ロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオ
ロプロピル(メタ)アクリレート、1-トリフルオロメチ
ル−2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、
2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル(メタ)アク
リレート、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ(メタ)アクリ
レート、その他の脂環式(メタ)アクリレート等のごと
き(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0018】これらの単量体の中でメチルメタクリレー
トより低い屈折率を有する単量体をメチルメタクリレー
トと共重合したものは、メチルメタクリレートホモポリ
マより屈折率の小さなものとなるが、該重合体(A)と
単量体(B)との混合物から形成される重合体との相溶
性は悪くなる傾向があり、得られた硬化樹脂組成物の透
明性を損なわないように留意することが必要である。
【0019】また、重合体(A) がメチルメタクリレート
より高い屈折率を有する単量体とメチルメタクリレート
との共重合体にて構成されていると、該重合体(A) と単
量体(B) より形成された重合体間の相溶性は良くなると
いう傾向がある。
【0020】本発明の透明混合樹脂組成物において
合体(A)と単量体(B)の混合割合は、重合体(A)
75〜25重量%、単量体(B)25〜75重量%であ
り、この範囲以外の透明混合樹脂組成物より形成される
硬化樹脂組成物は相溶性が悪く、白化しやすい傾向にあ
る。
【0021】本発明の透明混合樹脂組成物を重合するの
に用いる重合開始剤としては、光重合触媒が用いられ
る。例えばベンゾイン、ベンゾインイソブチルエーテ
ル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフ
ェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスル
フィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのイオ
ウ化合物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−
2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物、ベン
ゾイルパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシ
ドなどのパーオキシド化合物等が挙げられる。また、光
重合開始剤と同時に光増感剤を併用することもできる。
【0022】本発明において用いるトリシクロ[5・2
・1・02.6]デカニルメタクリレートはホモポリマ
のガラス転移温度(Tg)が175℃、トリシクロ[5
・2・1・02.6]デカニルアクリレートはホモポリ
マのガラス転移温度(Tg)が120℃とメチルメタク
リレートのホモポリマのガラス転移温度(Tg 110
℃)より高いため、本発明の硬化樹脂組成物はそのガラ
ス転移温度が向上する。またその吸湿正も低くなる。
【0023】
【発明の効果】本発明は低屈折率のメチルメタクリレー
ト系重合体とトリシクロ[5・2・1・0 2.6 ]デカ
ニル(メタ)アクリレートを含む単量体をその相溶性を
損なわない範囲で適宜混合し、硬化処理することによ
り、所望の屈折率を有する透明な硬化樹脂組成物が得ら
れる透明混合樹脂組成物であり、また本発明の硬化樹脂
組成物は従来の組成物よりも耐熱性の向上を果たしたも
のである。またこの硬化樹脂組成物は光ファイバ用鞘材
あるいは芯材として、さらにはグレーデッドインデック
ス型光ファイバ材料としても使用できる。
【0024】以下、実施例にて本発明をさらに詳細に説
明する。
【0025】
【実施例1】ポリメチルメタクリレート(nD=1.489、
[η]=0.425、25℃ MEK中で測定、以下同じ)40重量
部、トリシクロ[5・2・1・02.6]デカニルメタクリレート
40重量部、メチルメタクリレート20重量部、1-ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン0.5重量部からなる混
合物を作成し、この混合物を2枚のポリエステルフィル
ムに挟み、25℃で紫外線を照射することによって硬化樹
脂組成物よりなる透明なフィルムを得た。このフィルム
の屈折率は1.509 であり、光線透過率は91%であった。
またこのフィルムのガラス転移温度(Tg)は 135℃であっ
た。
【0026】
【比較例1】トリシクロ[5・2・1・02.6]デカニルメタク
リレート67重量%、メチルメタクリレート33重量%とか
らなる重合体(nD=1.516、[η]=0.350)60重量部とポ
リメチルメタクリレート(nD=1.489、[η]=0.425)40
重量部をメチルエチルケトン900重量部に溶解した。こ
の溶液をフィルム上に流し、厚さ0.1mm とした後にメチ
ルエチルケトンを揮発させた。そのとき、そのフィルム
は白化した。
【0027】
【実施例2】ポリメチルメタクリレート(nD=1.489、
[η]=0.425)45重量部、トリシクロ[5・2・1・02.6]デ
カニルアクリレート33重量部、メチルメタクリレート22
重量部、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
0.8重量部からなる混合物を作成し、この混合物を2枚
のポリエステルフィルムに挟み、30℃で紫外線を照射す
ることによって透明なフィルムを得た。このフィルムの
屈折率は1.505 であり、光線透過率は92%であった。ま
たこのフィルムのガラス転移温度(Tg)は 113℃であっ
た。
【0028】
【実施例3〜6】ポリマとしてメチルメタクリレート98
重量%、メチルアクリレート2重量%とからなる重合体
(nD=1.489、[η]=0.335)、単量体混合物としてトリ
シクロ[5・2・1・02.6]デカニルメタクリレート70重量%
とメチルメタクリレート30重量%の混合物に1-ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン 1.0重量%を加えたも
のを使用し、[表1]に示すように混合して樹脂組成物
とし、実施例1と同様にして光重合を行い、硬化樹脂組
成物よりなるフィルムを得、その特性を[表1]に示し
た。
【表1】
【0029】
【実施例7〜10】ポリマとしてメチルメタクリレート98
重量%、メチルアクリレート2重量%とからなる重合体
(nD=1.489、[η]=0.335)を用い、単量体混合物ポリ
マと単量体混合物の割合を50:50とし、その混合物に1-
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.0重量%を
加えたものを実施例1と同様にして光重合した。ただ
し、単量体混合物はメチルメタクリレート(C) とトリシ
クロ[5・2・1・02.6]デカニルメタクリレート(D) の混合
比を変更した検討を行った。結果を[表2]に示す。得
られた硬化樹脂組成物の特性を[表2]に示した。
【表2】
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 20/18 G02B 1/04 G02B 6/00 CA,REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メチルメタクリレートを主要成分とする
    重合体(A)75〜25重量%とトリシクロ[5・2・
    1・02.6]デカニル(メタ)アクリレートが含まれ
    単量体(B)25〜75重量%とからなる光重合可能
    な透明混合樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 トリシクロ[5・2・1・02.6]デ
    カニル(メタ)アクリレートが単量体(B)中に15〜
    90重量%含まれることを特徴とする請求項1記載の透
    明混合樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の透明混合
    樹脂組成物が重合されてなる硬化樹脂組成物。
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