JP3140325B2 - 台車の牽送装置 - Google Patents

台車の牽送装置

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JP3140325B2
JP3140325B2 JP07094807A JP9480795A JP3140325B2 JP 3140325 B2 JP3140325 B2 JP 3140325B2 JP 07094807 A JP07094807 A JP 07094807A JP 9480795 A JP9480795 A JP 9480795A JP 3140325 B2 JP3140325 B2 JP 3140325B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、資材を積載する台車
を牽引もしくは押すことによって、上記台車を軌道に沿
って走行させるための牽送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の牽送装置としては図3に
示すものがある。この牽送装置Aは、シールド工法にお
いて使用されるものである。シールド工法においては、
立坑からシールド機を発進させて、地中に坑道を形成す
る。この種の建設工事では多くの作業が輻輳して行われ
るので、資材を搬送する台車52が走行する軌道51
は、他の建設機械の走行あるいは他の作業の邪魔になら
ないように地面上あるいは坑道の路盤上に敷設されてい
る。そして、台車52を牽引する牽送装置Aもこの軌道
51上を走行する。
【0003】牽送装置Aは、台車52を牽引もしくは押
すことによって地上または坑道に敷設された軌道51上
を走行させ、上記台車52に積載されている建設資材と
してのセグメント57を運搬する。
【0004】上記牽送装置Aは、軌道51上に配置され
た走行車輪53,54と、車輪53,54を軸支する基台
55を備えている。この基台55には、モータ58とバ
ッテリー59を含んでいる駆動装置56が搭載されてい
る。この駆動装置56は上記走行車輪53を駆動して軌
道51上を走行させるものである。車輪53の回転力は
チェーン60で車輪54に伝達される。この牽送装置A
は、車輪53を駆動装置56で直接に駆動する直接車輪
駆動方式を採用している。
【0005】また、今一つの牽送装置としては、図4に
示すラック・ピニオン方式を採用したものがある。この
牽送装置Bは、基台65と、この基台65に軸支されて
おり軌道61に沿って敷設したラック62に噛合するピ
ニオン63とを有している。ピニオン63は、基台65
に固定されている駆動装置66によって回転駆動され
る。ピニオン63が回転することによって、牽送装置B
が軌道61に沿って走行する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記前者の
直接車輪駆動方式の牽送装置Aは、走行車輪53と軌道
51の摩擦力によって力を伝達するので、牽送装置Aの
重量が牽引する重量(台車52とセグメントを加えた重
量)よりも軽いと走行車輪53が軌道51上でスリップ
して牽引できなくなる。したがって、牽送装置Aの重量
を台車52の重量よりも十分に重くしなければならない
という制約がある。
【0007】また、図3(A)に示すように、牽送装置A
が台車52を押しているときに、基台55を支える前車
輪53を支点とするモーメントM1が生じて、牽送装置
Aの後部A1が持ち上がり、台車52を押す力が失われ
てしまうことや脱輪してしまうことがある。また、図3
(B)に示すように、牽送装置Aが台車52を牽引してい
るときに、基台55を支える後車輪54を支点とするモ
ーメントM2が生じて、牽送装置Aの前部A2が持ち上
がり、台車52を牽引する力が失われてしまうことや脱
輪してしまうことがある。この牽送装置Aの持ち上がり
は、特に、台車52に大きな重量の資材を搭載した場合
に起こり易い。
【0008】上記牽送装置Aの持ち上がりの原因になる
モーメントは、走行車輪53,54の車軸の高さが、台
車52と牽送装置Aとの連結位置P1の高さと一致して
いない場合に発生する。上記高さが一致していることは
稀であり、ほとんどの場合には上記高さは一致していな
い。
【0009】一方、後者のラックピニオン方式の牽送装
置Bは、ラック62とピニオン63が噛合しているの
で、スリップを生じることがなく力を伝達できる。従っ
て、牽送装置Bの重量が台車65の重量よりも小さくて
も牽送力を発揮できる。
【0010】しかし、この牽送装置Bも、牽送装置Bで
台車67を押しているときに、図4に示すように牽送装
置Bの基台65を支える前輪軸68を支点とするモーメ
ントM3が生じて、牽送装置Bの後部B1が持ち上がっ
て、ピニオンがラックから離脱して、押す力が消失した
り脱輪したりすることがある。逆に、牽送装置Bで台車
67を牽引しているときには、上記後輪軸69を支点と
するモーメントが生じて、牽送装置Bの前部B2が持ち
上がって、ピニオンがラックから離脱して、牽引力が消
失したり脱輪したりすることがある。上記牽送装置Bの
持ち上がりの原因になるモーメントは、ピニオン63の
回転軸63aの高さが、台車67と牽送装置Bとの連結
位置P2の高さと異なる場合に発生する。上記高さが一
致していることは稀であり、ほとんどの場合には上記高
さは一致していない。上記牽送装置Bの持ち上がりは、
台車67の搭載重量が大きくて牽送重量が増大した場合
に起こり易い。
【0011】そこで、従来は、牽送装置の基台に上記モ
ーメントが発生しても持ち上がりが起こらないような十
分な重量を持っている重りを搭載して、上述の牽送装置
の持ち上がりを防止している。あるいは、上記重りに替
えて、重心が移動自在な特殊な重り装置を設けて、上記
持ち上がりを防止している。このような重りもしくは重
り装置は、消費エネルギーの大幅な増加と大型化を招く
問題がある。
【0012】そこで、本発明の目的は、牽送重量が自重
よりも重くても台車を牽送することができる上に、牽送
重量および台車との連結位置の高さがどのような値であ
っても、重心を移動させる手段無しで、軌道からの持ち
上がりや脱輪を防止できる牽送装置を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明の台車の牽送装置は、資材を積載す
る台車を牽引あるいは押して所定の場所に敷設された軌
道上を走行させて上記台車に資材を搬送させる台車の牽
送装置において、一端と他端が上記軌道の始点と終点に
固定されていて、上記軌道に沿って設けられている鎖ベ
ルトと、上記軌道上に配置されて軌道上を走行させられ
る一対の前車輪と後車輪を軸支している基台と、上記前
車輪と後車輪の間の位置で上記基台に回転自在に軸支さ
れていて、上記鎖ベルトを上にして上記鎖ベルトに噛合
する主鎖歯車と、上記基台に固定されており、上記主鎖
歯車に回転力を与える駆動装置と、上記基台に固定され
ており、上記台車に対する連結装置とを備えていること
を特徴としている。
【0014】また、請求項2の発明の台車の牽送装置
は、請求項1に記載の台車の牽送装置において、上記基
台に主鎖歯車と同一面内の下方に2個の案内歯車を備
え、上記鎖ベルトを上記主鎖歯車の上側に掛けわたすと
共に上記2個の案内歯車の下側に掛けわたしていること
を特徴としている。
【0015】
【作用】請求項1の発明の上記牽送装置は、基台に固定
されている駆動装置が主鎖歯車を回転させる。すると、
主鎖歯車は鎖ベルトを回転方向に移動させる。鎖ベルト
が主鎖歯車に対して軌道方向に移動することによって、
基台は前車輪および後車輪とともに軌道上を走行する。
【0016】基台に固定されている連結装置で基台に台
車を連結すれば、この牽送装置で台車を牽引もしくは押
すことによって台車で資材を搬送することができる。
【0017】この発明の牽送装置は、鎖ベルトを主鎖歯
車の上側に噛合わせながら主鎖歯車を回転させて駆動力
を得ているので、牽送重量が自重よりも重くても台車を
牽送することができる。
【0018】また、この発明の牽送装置は、基台に主鎖
歯車が軸支されていて、主鎖歯車は鎖ベルトを上にして
鎖ベルトに噛合している。従って、牽送荷重が大きくて
牽送装置を持ち上げるモーメントが発生しても主鎖歯車
が鎖ベルトから離脱することがない。さらに、この持ち
上げモーメントは、鎖ベルトに弛みがなくなると、主鎖
歯車から延びている鎖ベルトを軌道に向かって引っ張る
張力を発生させる。この鎖ベルトに生じた張力は、主鎖
歯車を軌道に向かわせる力になる。従って、この発明に
よれば、上記持ち上げモーメントが生じたときに、主鎖
歯車を軌道に向かわせる張力を鎖ベルトに発生させるこ
とができるから、基台の持ち上がりを未然に防止するこ
とができる。
【0019】したがって、この発明によれば、牽送重量
および台車との連結位置の高さがどのような値であって
も、重心を移動させる手段無しで、軌道から持ち上がっ
て牽引力や押す力が消失することがなく、さらに、脱輪
を防止できる。
【0020】また、請求項2の台車の牽送装置によれ
ば、2個の案内鎖歯車が、鎖ベルトを下にして鎖ベルト
に噛合している。この案内鎖歯車は、主鎖歯車によって
持ち上げられた鎖ベルトを主鎖歯車の両側で軌道に沿う
ように案内する。
【0021】したがって、請求項2の発明によれば、主
鎖歯車から延びている鎖ベルトを主鎖歯車の両側で強制
的に確実に軌道に沿わせることができる。したがって、
軌道から鎖ベルトが浮き上がることを防止できる。した
がって、鎖ベルトが、軌道に交差する他の運搬作業を邪
魔することを防止できる。さらに、上記案内鎖歯車の存
在によって、主鎖歯車に対する鎖ベルトの噛合を確実に
することができる。しかも、上記案内鎖歯車は、上記主
鎖歯車からの鎖ベルトを最短距離で軌道に案内すること
ができる。すなわち、案内鎖歯車は、主鎖歯車からの鎖
ベルトを軌道に対して垂直に案内することができる。従
って、主鎖歯車からの鎖ベルトに発生する張力の略全部
を主鎖歯車を軌道に向かって引っ張る力にすることがで
きる。したがって、請求項2の発明によれば、軌道から
の持ち上がりや脱輪を一層確実に防止できる。
【0022】
【実施例】以下、この発明を図示の実施例により詳細に
説明する。
【0023】図1にこの発明の台車の牽送装置の実施例
を示す。この実施例は、資材を積載する台車Dを牽引あ
るいは押して所定の場所に敷設された軌道1上を走行さ
せて台車Dに資材を搬送させる牽送装置Eである。図1
(A)に示すように、上記軌道1は、平行に配置されてい
るレール31と32と、このレール31と32と地面Z
との間に配置されている横木34と、レール31と32
の間の略中央に配置されている支持板35を備えてい
る。
【0024】この牽送装置Eは、支持板35上に支持板
35に沿って設けられている鎖ベルト2を有している。
上記鎖ベルト2は、一端2Aと他端2Bが鎖ベルト固定
具27と28で支持板35の始点35Aと終点35Bに
固定されている。また、この牽送装置Eは、基台3を有
しており、基台3には前車輪5と後車輪6が軸支されて
いる。図1(A)および図2に示すように、前車輪5と後
車輪6は、鎖ベルト2を挟んで軌道1上に配置されてお
り、軌道1上を走行させられるようになっている。
【0025】上記基台3は、枠体10と枠体10の下面
に固定されている車輪台11,12と歯車台13を備え
ている。上記前車輪5と後車輪6は車輪台11と12に
軸支されている。上記基台3の上面3Aのうちの軌道方
向やや後方の位置には、変速機7が固定されており、こ
の変速機7には主鎖歯車8が軸支されている。この主鎖
歯車8は鎖ベルト2を上にして鎖ベルト2に噛合してい
る。
【0026】上記基台3の歯車台13の下面に固定され
ているブラケット15と16には、案内鎖歯車17と1
8が軸支されている。この案内鎖歯車17と18は、主
鎖歯車8の回転面と同一平面内にかつ主鎖歯車8の軸8
Aよりも下方でブラケット15と16に軸支されてい
る。また、上記案内鎖歯車17の軸17Aと案内鎖歯車
18の軸18Aは、上記前車輪5および後車輪6の車軸
5Aおよび6Aよりも下方に位置し、鎖ベルトを支持板
35から高く持ち上がらないようにしている。また、上
記案内鎖歯車17の軸17Aと案内鎖歯車18の軸18
Aは、上記主鎖歯車8の軸8Aに対して軌道方向前方と
後方に所定の寸法だけ位置ズレしている。そして、上記
1対の案内鎖歯車17と18は、主鎖歯車8から下方に
延在している鎖ベルト2を下にして鎖ベルト2に噛合し
ている。そして、上記鎖ベルト2は案内鎖歯車17から
軌道1に沿って軌道方向前方に延びている一方、鎖ベル
ト2は案内鎖歯車18から軌道1に沿って軌道方向後方
に延びている。
【0027】図1(A)に示すように、上記変速機7には
モータ20が接続されている。このモータ20は基台3
の上面3Aに固定されている。モータ20は、基台3に
搭載されているバッテリー24に接続されており、この
バッテリー24から電力を得て、変速機7を介して主鎖
歯車8に回転力を与える。上記モータ20とバッテリー
24と変速機7が駆動装置を構成している。尚、電力源
は必ずしもバッテリーからでなくてもよく、軌道1に沿
って配された電力線から得てもよい。
【0028】また、上記基台3の上面3Aのうちの軌道
方向中央よりもやや前方の位置にはブラケット21を介
して連結装置22が軸支されている。この連結装置22
は、シリンダ部22Aとシリンダ部22Aの先端に軸支
されたカム腕22Bを有している。このカム腕22B
は、折れ曲がり部22B−1が枠体10に軸支されてい
る。また、カム腕22Bの先端にはピン23が上向きに
固定されている。このピン23は、シリンダ部22Aが
収縮したときに、台車Dの軌道方向後端に固定されてい
る被連結部25に係合して、牽送装置Eを台車Dに連結
できるようになっている。そして、シリンダ部22Aを
伸長させることによって、ピン23を被連結部25から
離脱できるようになっている。
【0029】上記牽送装置Eは、基台3に固定されてい
るモータ20が変速機7を介して主鎖歯車8を回転させ
る。すると、主鎖歯車8は鎖ベルト2に沿って回転方向
に移動する。すると、鎖ベルト2を下にして鎖ベルト2
に噛合している一対の案内鎖歯車17と18は、持ち上
げられる状態の鎖ベルト2を主鎖歯車8の両側で軌道1
に沿うように案内する。主鎖歯車8と案内鎖歯車17と
18とが、両端を固定された鎖ベルト2に対して軌道方
向に移動することによって、その反作用として基台3は
前車輪5および後車輪6とともに軌道1上を走行する。
【0030】基台3に固定されている連結装置22のシ
リンダ部22Aを収縮させて、ピン23と被連結部25
との係合によって、基台3に台車Dを連結すれば、この
牽送装置Eで台車Dを牽引もしくは押すことによって台
車Dで資材を搬送することができる。
【0031】この実施例の牽送装置Eは、主鎖歯車8,
案内鎖歯車17,18を鎖ベルト2に噛合させながら主
鎖歯車8を回転させているので、主鎖歯車8の回転力を
確実に鎖ベルト2に伝達できる。したがって、牽送重量
が自重よりも重くても台車Dを牽送することができる。
牽送重量とは、台車Dの重量と台車Dに搭載されている
資材の重量との和である。
【0032】また、この牽送装置Eは、基台3に主鎖歯
車8と一対の案内鎖歯車17,18が軸支されている。
そして、主鎖歯車8は鎖ベルト2を上にして鎖ベルト2
に噛合している一方、一対の案内鎖歯車17,18は鎖
ベルト2を下にして鎖ベルト2に噛合している。従っ
て、牽送重量が大きくて牽送装置Eを軌道1から持ち上
げるモーメントが発生しても主鎖歯車8が鎖ベルト2か
ら離脱することがない。さらに、この持ち上げモーメン
トは、鎖ベルトに弛みがなくなると、主鎖歯車8から案
内鎖歯車17,18に向かって延びている鎖ベルト2に
軌道1に向かって下向きに引っ張る張力を発生させる。
この鎖ベルト2に生じた張力は、主鎖歯車8を軌道1に
向かわせる力になる。したがって、この牽送装置Eによ
れば、上記持ち上げモーメントが生じたときに、鎖ベル
ト2の張力で、主鎖歯車8を下方に向かわせることがで
きる。したがって、基台3の持ち上がりを未然に防止す
ることができる。
【0033】従って、この実施例によれば、牽送重量お
よび台車Dとの連結位置の高さがどのような値であって
も、牽送装置Eの重心を移動させる手段無しで、軌道1
からの持ち上がりや脱輪を防止できる。従って、この実
施例によれば、常に安全かつ車輪のスリップのない高効
率の資材の運搬を実現することができる。
【0034】また、上記実施例は、鎖ベルト2が、地上
に敷設された軌道1に沿って延設されていて、かつ、案
内鎖歯車17,18によって、主鎖歯車8から延びてい
る鎖ベルト2を主鎖歯車8の両側で強制的に確実に軌道
1に沿わせることができる。したがって、軌道1からの
鎖ベルト2の浮き上がりを防止でき、他の建設機械の走
行あるいは他の作業の邪魔になることがない。さらに、
上記一対の案内鎖歯車17,18の存在によって、鎖ベ
ルト2が主鎖歯車8に噛合している部分を長くすること
ができるから、主鎖歯車8に対する鎖ベルト2の噛合を
確実にすることができる。したがって、主鎖歯車8から
鎖ベルト2への駆動力の伝達能力を向上させることがで
きる。更に、上記案内鎖歯車17,18は、主鎖歯車8
からの鎖ベルト2を最短距離で軌道1に案内することが
できる。したがって、主鎖歯車8からの鎖ベルト2に発
生する張力の略全部を、主鎖歯車8を軌道1に向かって
引っ張る力にすることができる。したがって、この実施
例によれば、軌道1からの持ち上がり防止と脱輪防止を
確実にすることができる。
【0035】尚、上記実施例では、軌道1が地面に敷設
されていたが、軌道1が地中に形成された坑道に敷設さ
れていてもよい。
【0036】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1の発
明の台車の牽送装置は、一端と他端が軌道の始点と終点
に固定されていて、軌道に沿って設けられている鎖ベル
トと、鎖ベルトを挟んで軌道上に配置されて軌道上を走
行させられる一対の前車輪と後車輪を軸支している基台
と、前車輪と後車輪の間の位置で基台に回転自在に軸支
されていて、鎖ベルトを上にして鎖ベルトに噛合する主
鎖歯車と、基台に固定されており、主鎖歯車に回転力を
与える駆動装置と、基台に固定されており、上記台車に
対する連結装置とを備えている。
【0037】したがって、請求項1の発明の牽送装置に
よれば、主鎖歯車,案内鎖歯車を鎖ベルトに噛合させな
がら主鎖歯車を回転させて駆動力を得ているので、牽送
重量が自重よりも重くても台車を牽送することができ
る。
【0038】また、請求項1の発明の牽送装置は、基台
に主鎖歯車が軸支されていて、主鎖歯車は鎖ベルトを上
にして鎖ベルトに噛合している。したがって、牽送荷重
が大きくて牽送装置を持ち上げるモーメントが発生して
も主鎖歯車が鎖ベルトから離脱することがない。さら
に、この持ち上げモーメントは、鎖ベルトに弛みがなく
なると、主鎖歯車から延びている鎖ベルトに軌道に向か
う張力を発生させる。この鎖ベルトに生じた張力は、主
鎖歯車を軌道に向かわせる力になる。従って、この発明
によれば、上記持ち上げモーメントが生じたときに、鎖
ベルトの張力で主鎖歯車を下方に向かわせることができ
る。したがって、基台の持ち上がりを未然に防止するこ
とができる。
【0039】したがって、請求項1の発明によれば、牽
送重量および台車との連結位置の高さがどのような値で
あっても、重心を移動させる手段なしで、主鎖歯車が鎖
ベルトから離脱して牽引力や押す力が消失するのを防止
でき、さらに、軌道からの持ち上がりや脱輪を防止でき
る。
【0040】また、請求項2の台車の牽送装置によれ
ば、上記主鎖歯車と同一面内の下方に2個の案内歯車を
備え、鎖ベルトが上記2個の案内鎖歯車の下側に掛けわ
たされている。この案内鎖歯車は、主鎖歯車によって持
ち上げられた鎖ベルトを主鎖歯車の両側で軌道に沿うよ
うに案内する。
【0041】したがって、請求項2の発明によれば、主
鎖歯車から延びている鎖ベルトを主鎖歯車の両側で強制
的に確実に軌道に沿わせることができる。したがって、
軌道から鎖ベルトが浮き上がることを防止できる。した
がって、鎖ベルトが、軌道に交差する他の運搬作業を邪
魔することを防止できる。さらに、上記案内鎖歯車の存
在によって、主鎖歯車に対する鎖ベルトの噛合を確実に
することができる。しかも、上記案内鎖歯車は、上記主
鎖歯車からの鎖ベルトを最短距離で軌道に案内すること
ができる。即ち、案内鎖歯車は、主鎖歯車からの鎖ベル
トを軌道に対して垂直に案内することができる。したが
って、主鎖歯車からの鎖ベルトに発生する張力の略全部
を主鎖歯車を軌道に向かって引っ張る力にすることがで
きる。したがって、請求項2の発明によれば、軌道から
の持ち上がりや脱輪を一層確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)はこの発明の牽送装置の実施例の平
面図であり、図1(B)は上記平面図のX‐X断面図であ
る。
【図2】 上記平面図のY‐Y断面図である。
【図3】 図3(A)は従来の牽送装置の後部が持ち上が
っている様子を示す側面図であり、図3(B)は上記牽送
装置の前部が持ち上がっている様子を示す側面図であ
る。
【図4】 今一つの従来例の側面図である。
【符号の説明】
1…軌道、2…鎖ベルト、3…基台、5…前車輪、6…
後車輪、7…変速機、8…主鎖歯車、17,18…案内
鎖歯車、20…モータ、22…連結装置、22A…シリ
ンダ部、22B…カム腕、23…ピン、D…台車、E…
牽送装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 淳二郎 大阪府大阪市阿倍野区松崎町2丁目2番 2号 株式会社奥村組内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21F 13/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 資材を積載する台車を牽引あるいは押し
    て、軌道上を走行させる台車の牽送装置において、 一端と他端が上記軌道の始点と終点に固定されていて、
    上記軌道に沿って設けられている鎖ベルトと、 上記軌道上に配置されて軌道上を走行させられる一対の
    前車輪と後車輪を軸支している基台と、 上記前車輪と後車輪の間の位置で上記基台に回転自在に
    軸支されていて、上記鎖ベルトを上にして上記鎖ベルト
    に噛合する主鎖歯車と、 上記基台に固定されており、上記主鎖歯車に回転力を与
    える駆動装置と、 上記基台に固定されており、上記台車に対する連結装置
    とを備えていることを特徴とする台車の牽送装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の台車の牽送装置におい
    て、 上記基台に主鎖歯車と同一面内の下方に2個の案内歯車
    を備え、上記鎖ベルトを上記主鎖歯車の上側に掛けわた
    すと共に上記2個の案内歯車の下側に掛けわたしている
    ことを特徴とする台車の牽送装置。
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