JP3139888B2 - 半導体レーザ素子 - Google Patents

半導体レーザ素子

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JP3139888B2 JP05167188A JP16718893A JP3139888B2 JP 3139888 B2 JP3139888 B2 JP 3139888B2 JP 05167188 A JP05167188 A JP 05167188A JP 16718893 A JP16718893 A JP 16718893A JP 3139888 B2 JP3139888 B2 JP 3139888B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤色の光を出すAlG
aInP系半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液相成長法、分子線エピタキシー
法および有機金属気相成長法等の結晶成長技術の発達に
より、III−V族半導体から構成される半導体レーザ素子
が実用化されている。このような半導体レーザ素子は、
光データ処理、光通信、その他の分野で広く利用されて
いるが、消費電力の低下、高出力化、短波長化、低雑音
化等の高性能化が望まれている。特に、光ディスク等の
記録密度向上やHe−Neレーザの代替を目的とした半
導体レーザ素子の短波長化については注目されており、
近年、GaAs基板に格子整合したAlGaInP系結
晶を用いて実用化されている。しかし、さらに高性能化
のための研究が盛んに行われている。
【0003】AlGaInP系半導体レーザ素子におい
ては、一般に、n型GaAs基板上にAlGaInP系
ダブルヘテロ構造の発光部が形成され、発光部と電極と
の間にp型のGaAsコンタクト層が設けられる。Ga
Asコンタクト層が形成される理由は、AlGaInP
系結晶と電極金属との間に、良好なオーミック接触が得
られないからである。しかし、この場合、AlGaIn
Pクラッド層の直上にGaAsコンタクト層を設けた構
造では、素子抵抗が非常に高くなってしまう。これは、
AlGaInP層とGaAs層とのヘテロ界面における
価電子帯のバンド不連続が大きいので、正孔に対するポ
テンシャル障壁が生じるからである。このような素子抵
抗の増大は素子駆動時の発熱を誘引し、半導体レーザ素
子の信頼性に悪影響を及ぼす。従来、この素子抵抗を低
減する為に、AlGaInPクラッド層とGaAsコン
タクト層との間にGawIn1ーwP層(w=0.5)を設
けたり、AlGaInP層のAl組成比をクラッド層側
からコンタクト層側に向かって徐々に減少させた層を設
けたり、各層のp型キャリア濃度を上昇させた構造が用
いられている。また、さらに素子抵抗を低減するため
に、図3に示すような半導体レーザ素子が考案されてい
る。
【0004】この半導体レーザ素子は、n型GaAsバ
ッファ層2が形成されたn型GaAs基板1の上に、n
型(Al0.7Ga0.30.51In0.49P第1クラッド層3
1、Ga0.51In0.49P活性層32およびp型(Al
0.7Ga0.30.51In0.49P第2クラッド層33からな
る発光用積層部が形成されている。第2クラッド層33
の中程より上の部分は約5μm幅のメサストライプ形状
となっており、その上にp型Ga0.51In0.49P層3
4、p型AlGaAs層35およびp型GaAsコンタ
クト層36が形成されている。また、メサストライプの
外側の第2クラッド層34上部分には、n型GaAs電
流狭さく層37が形成されている。さらに、コンタクト
層36および電流狭さく層37の上には、p型GaAs
層38が形成されている。また、基板1の半導体層成長
面とは反対側の表面にはn側電極3が設けられ、p型G
aAs層38の上には、p側電極4が設けられている。
【0005】上記半導体レーザ素子においては、メサス
トライプ内外の実効屈折率差に基づく屈折率導波路が形
成され、活性層32で発生した光は屈折率導波路によっ
て閉じ込められるので、単一横モード発振が得られる。
さらに、AlGaAs層35が形成されているので、G
0.51In0.49P層34の直上にGaAsコンタクト層
36を設けた場合に比べて、Ga0.51In0.49P薄層3
4とのバンドギャップ差が小さくなる。よって、正孔に
対するヘテロ障壁が低くなり、素子抵抗を低減すること
ができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の半
導体レーザ素子においては、AlGaAs層35を成長
させる直前にPとAsとの材料の切り替えを行う必要が
あり、成長が中断される。中断後の成長面(再成長面)
は、不純物付着による表面汚染や酸化により表面荒れが
起こりやすく、この上にAlを含む結晶の成長を行うの
は困難である。従って、再成長面での界面不整やキャリ
ア濃度の低下に伴い半導体レーザ素子が高抵抗化する恐
れがあり、素子特性の再現性にも問題が生じる。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、低抵抗で素子特性の再現性のよい半
導体レーザ素子を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザ素
子は、(AlxGa1-xyIn1-yP(0≦x<1、0.
3<y<0.8)活性層を、第1導電型の(AlsGa
1-stIn1-tP(x<s≦1、0<t<1)第1クラ
ッド層と、第2導電型の(AlpGa1-pqIn1-q
(x<p≦1、0<q<1)第2クラッド層とで挟んだ
発光用積層部と、該第2クラッド層の上に形成された第
2導電型のGaAsコンタクト層とを有し、該第2クラ
ッド層と該コンタクト層との間に、該GaAsコンタク
ト層に接する第2導電型のGazIn1-zP(0≦z<
0.5)層が設けられており、そのことにより上記目的
が達成される。
【0009】
【作用】本発明においては、AlGaInP第2クラッ
ド層と、GaAsコンタクト層との間に、GazIn1-z
P(0≦z<0.5)層が設けられている。GazIn1
-zP層は、GawIn1ーwP(w=0.5)層よりバンド
ギャップが小さいので、正孔に対するヘテロ障壁を低減
することができる。また、AlGaAs層の代わりにG
zIn1-zP層を成長させているので、その成長の直前
に材料の切り替えのために成長を中断させる必要がな
く、再成長面での界面不整やキャリア濃度の低下が生じ
ることはない。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
ながら説明する。
【0011】(実施例1)図1は、本発明の第1の実施
例である屈折率導波型可視光半導体レーザ素子を示す断
面図である。
【0012】この半導体レーザ素子は、n型GaAsバ
ッファ層2が形成されたn型GaAs基板1の上に、n
型(AlsGa1-stIn1-tP(x<s≦1、0<t<
1)第1クラッド層11、(AlxGa1-xyIn1-y
(0≦x<1、0.3<y<0.8)活性層12および
p型(AlpGa1-pqIn1-qP(x<p≦1、0<q
<1)第2クラッド層13からなる発光用積層部が形成
されている。第2クラッド層13の上には、GarIn
1ーrP(r〜0.5)層14およびp型(Alp
1-pqIn1-qP(x<p≦1、0<q<1)上部第
2クラッド層15が形成されている。上部第2クラッド
層15の上には、p型GawIn1ーwP(w=0.5)層
16、p型GazIn1-zP(0≦z<0.5)層17お
よびp型GaAsコンタクト層18が形成されて、約5
μm幅のメサストライプ形状となっている。また、メサ
ストライプの外側の第2クラッド層15上部分には、n
型GaAs電流狭さく層19が形成されている。さら
に、基板1の半導体層成長面と反対側の表面にはn側電
極3が設けられ、コンタクト層18と電流狭さく層19
の上には、p側電極4が設けられている。なお、第1ク
ラッド層11、第2クラッド層13および上部第2クラ
ッド層15については、結晶転移が入らない格子構造と
すべく、tおよびqは0.4<t<0.6、0.4<q
<0.6とするのがよい。より好ましくはt〜0.5、
q〜0.5とするのが望ましい。
【0013】この半導体レーザ素子における各半導体層
の成長は、液相成長法、分子線エピタキシー法または有
機金属気相成長法等を用いて行うことができる。また、
メサストライプの形成は、選択エッチングにより行うこ
とができる。第1クラッド層11からGazIn1-zP層
17までは、PとAsとの材料切り替えを行うために成
長を中断させる必要がなく、再成長面での界面不整やキ
ャリア濃度の低下が生じることはない。
【0014】この実施例において、各半導体層の詳細は
以下の通りとした。
【0015】n型第1クラッド層11:(Al0.7Ga
0.30.51In0.49P、層厚1.0μm 活性層12:Ga0.51In0.49P、層厚0.06μm p型第2クラッド層13:(Al0.7Ga0.30.51In
0.49P、層厚0.2μm GarIn1ーrP層14:Ga0.51In0.49P、層厚5n
m p型上部第2クラッド層15:(Al0.7Ga0.30.51
In0.49P、層厚0.8μm p型GawIn1ーwP層16:Ga0.51In0.49P、層厚
50nm p型GazIn1-zP層17:Ga0.43In0.57P、層厚
50nm p型コンタクト層18:層厚0.5μm この実施例の半導体レーザ素子は、660nmの単一横
モードで室温連続発振することができた。また、この実
施例の素子の光出力5mW駆動時の電圧(Vop)は2.
1Vであり、GazIn1-zP層17を含まない素子のV
opが2.4Vであるのに対し、素子抵抗を充分低減する
ことができた。さらに、従来のようにp型GawIn1ーw
P層16の上にAlGaAs層を設けた素子では、Vop
は約2.2Vであるがロット間バラツキがあり、Vop≧
2.5Vと高抵抗化する素子も現れた。しかし、この実
施例の素子は、ロット間バラツキが見られず、再現性良
く低抵抗特性が得られた。
【0016】(実施例2)図2は、本発明の第2の実施
例である屈折率導波型可視光半導体レーザ素子を示す断
面図である。
【0017】この半導体レーザ素子は、n型GaAsバ
ッファ層2が形成されたn型GaAs基板1の上に、n
型(AlsGa1-stIn1-tP(x<s≦1、0<t<
1)第1クラッド層21、(AlxGa1-xyIn1-y
(0≦x<1、0.3<y<0.8)活性層22および
p型(AlpGa1-pqIn1-qP(x<p≦1、0<q
<1)第2クラッド層23からなる発光用積層部が形成
されている。第2クラッド層23の上には、GarIn
1ーrP(r〜0.5)層24およびp型(Alp
1-pqIn1-qP(x<p≦1、0<q<1)上部第
2クラッド層25が形成されている。上部第2クラッド
層25の上には、p型GawIn1ーwP(w〜0.5)層
26、p型GazIn1-zP(0≦z<0.5)層27お
よびp型GaAsコンタクト層28が形成されて、約5
μm幅のメサストライプ形状となっている。また、メサ
ストライプの外側の第2クラッド層25上部分には、n
型GaAs電流狭さく層29が形成されている。さら
に、コンタクト層28および電流狭さく層29の上に
は、p型GaAs層30が形成されている。また、基板
1の半導体層成長面とは反対側の表面にはn側電極3が
設けられ、p型GaAs層30の上には、p側電極4が
設けられている。なお、第1クラッド層21、第2クラ
ッド層23および上部第2クラッド層25については、
結晶転移が入らない格子構造とすべく、tおよびqは
0.4<t<0.6、0.4<q<0.6とするのがよ
い。より好ましくはt〜0.5、q〜0.5とするのが
望ましい。
【0018】この半導体レーザ素子の製造において、第
1クラッド層21からGazIn1-zP層27までは、P
とAsとの材料切り替えを行うために成長を中断させる
必要がなく、再成長面での界面不整やキャリア濃度の低
下が生じることはない。
【0019】この実施例において、各半導体層の詳細は
以下の通りとした。
【0020】 n型第1クラッド層21:Al0.51In0.49P、層厚
1.0μm 活性層22:(Al0.2Ga0.80.51In0.49P、層厚
0.08μm p型第2クラッド層23:Al0.51In0.49P、層厚
0.2μm GarIn1ーrP層24:Ga0.51In0.49P、層厚3n
m p型上部第2クラッド層25:Al0.51In0.49P、層
厚0.6μm p型GawIn1ーwP層26:Ga0.51In0.49P、層厚
50nm p型GazIn1-zP層27:Ga0.35In0.65P、層厚
3nm p型コンタクト層28:層厚0.3μm p型GaAs層30:層厚0.5μm この実施例の半導体レーザ素子は、620nmの単一横
モードで室温連続発振することができた。また、この実
施例の素子のVopは2.5Vであり、GazIn1-zP層
27を含まない素子のVopが2.9Vであるのに対し、
素子抵抗を充分低減することができた。さらに、ロット
間バラツキが見られず、再現性良く低抵抗特性が得られ
た。
【0021】この実施例では、p型GazIn1-zP層2
7とp型GaAsコンタクト層28とのバンドギャップ
差を小さくするために、Gaの混晶比zを0.35と小
さくした。しかし、この混晶比zが小さすぎると、Ga
InPの格子定数が大きくなって、GaAsとの格子不
整合率が大きくなる。この格子不整合率が大きくなりす
ぎると、GaInP層とGaAs層との界面に転位が生
じて、逆に素子抵抗を増大することになる。これを防ぐ
ために、GazIn1-zP層の層厚は、転位発生の臨界膜
厚を大きく超えないようにするのが望ましい。ところ
が、GazIn1-zP層の層厚を薄くし過ぎると、正孔に
対してヘテロ障壁を低減する効果がなくなってしまう。
このように層厚を薄くして転移を防ぐことには限度があ
るので、Gaの混晶比zは0.2以上であるのが望まし
い。
【0022】上記実施例1、2においては、発光部とし
て上記のようなDH(double heterostructure)構造の
発光部を形成したが、本発明はこれに限られず、AlG
aInP系結晶を用いた様々な構造の発光部を採用した
場合にも同様の効果が得られる。例えば、活性層として
Ga0.4In0.6PやGa0.6In0.4P等の格子歪みを有
する層を用いたり、量子井戸構造とすることができる。
また、SCH(separated confiment heterostructur
e)構造や超格子構造などを採用しても、同様に、駆動
電圧が低い、実用的な屈折率導波型半導体レーザ素子を
再現性良く得ることができる。
【0023】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、AlGaInP系赤色半導体レーザ素子にお
いて、第2クラッド層とGaAsコンタクト層との間
に、GazIn1-zP(0≦z<0.5)層が設けること
により、正孔に対するポテンシャル障壁を低減すること
ができる。また、このGazIn1-zP(0≦z<0.
5)層を成長する直前に成長を中断する必要が無いの
で、界面不整やキャリア濃度低下に伴う高抵抗化が生じ
ない。よって、素子抵抗の小さい半導体レーザ素子を再
現性良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の半導体レーザ素子を示す断面図であ
る。
【図2】実施例2の半導体レーザ素子を示す断面図であ
る。
【図3】従来の半導体レーザ素子を示す断面図である。
【符号の説明】
1 n型GaAs基板 2 n型GaAsバッファ層 3 n型電極 4 p型電極 11、21 n型第1クラッド層 12、22 活性層 13、23 p型第2クラッド層 14、24 GarIn1ーrP層 15、25 p型上部第2クラッド層 16、26 p型GawIn1ーwP層 17、27 p型GazIn1-zP層 18、28 p型コンタクト層 19、29 p型電流狭さく層 30 p型GaAs層
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−183228(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 5/00 - 5/50

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (AlxGa1-xyIn1-yP(0≦x<
    1、0.3<y<0.8)活性層を、第1導電型の(A
    sGa1-stIn1-tP(x<s≦1、0<t<1)第
    1クラッド層と、第2導電型の(AlpGa1-pqIn
    1-qP(x<p≦1、0<q<1)第2クラッド層とで
    挟んだ発光用積層部と、該第2クラッド層の上に形成さ
    れた第2導電型のGaAsコンタクト層とを有し、該第
    2クラッド層と該コンタクト層との間に、該GaAsコ
    ンタクト層に接する第2導電型のGazIn1-zP(0≦
    z<0.5)層が設けられている半導体レーザ素子。
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