JP3139296U - 歯間ブラシ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】把持部21とブラシ固定部22とを有するハンドル2と、ワイヤ31間に複数の用毛からなる毛束32を挟持させ、ワイヤ31を捻り加工することによって毛束32が固定されるとともに、一端側がワイヤ31からなる首部35とされ、該首部35の端部35aがハンドル2のブラシ固定部22に取り付けられるブラシ部材3とを具備しており、毛束32をなす用毛の内の少なくとも一部が、表面に複数の凹部34が形成された用毛33である。
【選択図】図1
Description
また、通常の歯ブラシの分野においては、PTT樹脂からなる用毛の劣化状態を可視的に表示させるため、用毛を二重の芯鞘構造とし、磨耗によって用毛の色彩や色の濃淡が変化する構成とされた歯ブラシが提案されている(例えば、特許文献7)。特許文献6に記載の歯ブラシによれば、毛束の開き具合によることなく、歯ブラシの交換時期を使用者に知らせることが可能となるというものである。しかしながら、特許文献7に記載の通常の歯ブラシにおける用毛の構成を歯間ブラシの用毛に適用した場合でも、上記同様、歯肉に対する刺激が強くなり、使用感が低下するという問題がある。
しかしながら、径の細い用毛を用いたり、あるいは植毛本数を減少させた構成とした場合、狭い歯間へのブラシ部材の挿入を繰り返した際に、用毛に対して急角度(略直角)に傾斜させる強い応力が作用するため、用毛のへたりが早く耐久性が低いという問題があった。また、毛束の毛切り径を小さくした場合には、用毛の腰が強くなって屈曲し難くなるため、歯肉に対する刺激が強くなり、使用者が痛みを感じる虞があった。また、柔軟な材料を用毛に用いた場合、用毛のへたりが早く、清掃効果が低下するという問題があった。またさらに、PTT樹脂等の耐久性に優れる樹脂材料を用毛に用いた場合には、用毛がへたりにくいために長期間に亘って使用される場合があり、用毛の断裂や折れ等の機械的損傷が発生する虞があるとともに、歯肉に対する刺激が強くなり、使用者が傷みを感じる虞があるという問題があった。
ことを特徴とする請求項1に記載の歯間ブラシ。
また、本考案の歯間ブラシは、前記複数の凹部が形成された用毛が、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)からなる構成とすることができる。
また、本考案の歯間ブラシは、前記複数の凹部が、前記用毛の長さ方向において、用毛径方向で相対する位置に形成された構成とすることができる。
また、本考案の歯間ブラシは、前記複数の凹部が、前記用毛の長さ方向において、用毛径方向で交互にずれて形成された構成とすることができる。
また、本考案の歯間ブラシは、 前記複数の凹部の内の少なくとも一部が、断面半円形状、断面矩形状、断面三角形状、あるいは断面台形状の内の何れかの形状とされた構成とすることができる。
また、本考案の歯間ブラシは、前記用毛の径が0.03〜0.13mmの範囲であることがより好ましい。
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態の歯間ブラシ1は、把持部21とブラシ固定部22とを有するハンドル2と、ワイヤ31間に複数の用毛33からなる毛束32を挟持させ、ワイヤ31を捻り加工することによって毛束32が固定されるとともに、一端側がワイヤ31からなる首部35とされ、該首部35の端部35aがハンドル2のブラシ固定部22に取り付けられるブラシ部材3とを具備し、毛束32をなす用毛の内の少なくとも一部が、表面に複数の凹部34が形成された用毛33からなり、平面視でI字型の歯間ブラシとして概略構成されている。
また、本実施形態の歯間ブラシ1は、毛束32を構成する用毛の全てが、表面に複数の凹部34が形成された用毛33が用いられてなる構成とされている。
なお、本考案において説明する凹部とは、一例として、エンボス加工によって得られる凹部である。
把持部21は、歯間ブラシ1を使用する際に手指で把持するものであり、図示例では細長棒状で、横断面円形状に形成されている。また、把持部21は、使用者が指で掴み易いように、例えば、横断面で多角形状に形成しても良い。また、把持部21の表面21aに、例えば、凹凸加工等を施すことが、使用者が指で把持部21を掴んだ際に指が滑りにくく、使用性が向上する点でより好ましい。
また、例えば、ハンドル本体をPPで構成し、エラストマー樹脂からなる滑り止めグリップがハンドル表面に形成された構成としても良い。
また、把持部21とブラシ固定部22を、それぞれ異なる材質から構成しても良い。
また、図1(a)に示すブラシ部材3は、先端3aから11mm程度の範囲が、毛束32が設けられる植毛領域とされており、首部35が1〜2mm程度の無植毛領域として露出するように構成されており、この首部35の端部35aが、ハンドル2のハンドル固定部22内にインサート成形によって埋め込まれている。
なお、上述したように、歯間ブラシにおいては、一般的に直径が0.23〜0.35mmの範囲のワイヤが使用されるが、本実施形態の歯間ブラシは、図1(a)に示すように2本のワイヤを捻って用いる構成とされ、高い強度を維持できることから、直径が0.23mmよりも細いワイヤを採用することも可能である。
このような、毛束32の毛切り形状としては、歯間部や、歯肉と歯冠修復物との空隙部に適した形状となるように構成することが好ましい。
本実施形態では、上記各材料の中でも、特にPTT樹脂を用いることが、ナイロンに比べてたわみ抵抗(強度)が小さく歯間挿入性や使用感に優れる点や、屈曲回復性(復元力)を有し耐久性に優れる点から好ましい。なお、本実施形態では、毛束32をなす用毛33の内の少なくとも一部をPTT樹脂から構成しても良いし、全ての用毛33をPTT樹脂から構成しても良く、適宜決定することができる。
また、用毛33を、透明系着色あるいは不透明系着色を施して用いる場合、紡糸する際の樹脂そのものを着色する方法や、紡糸後あるいは紡糸工程に付随して、用毛表面に着色する方法等、この分野において一般に用いられる方法を採用することが可能である。
用毛33の横断面形状を、多角形状等の複雑な断面形状として構成した場合には、通常の断面円形状の用毛と比較すると、歯垢等、歯の表面の汚れの擦掃効果に優れ、清掃性及び除去性が向上するという効果がある。
また、用毛33として、縦断面形状が波状とされたクリンプ用毛を用いた場合には、同径のストレート用毛と比較して腰が柔らかいことから歯茎への当たり心地が優しく、また、毛束32において、トラ毛や毛薄等のような粗く乱立した植毛状態の箇所がある場合でも、このような箇所が目立たなくなるという効果がある。
本実施形態の歯間ブラシ1においては、毛束32をなす用毛33の表面に、複数の凹部34が形成されることにより、以下に説明するような効果が得られる。
またさらに、用毛33の表面に複数の凹部34が形成されていることにより、毛束32全体の植毛密度が高められたような視覚的効果が得られるので、高級感を醸し出すことが可能となる。
また、歯間ブラシ1の製造時に用毛33を束ねて毛束32とする際、トラ毛や毛薄等の乱立による用毛植立のばらつきが目立たなくなるので、歩留まりの向上を図ることが可能となる。
また、歯間ブラシ1の使用時に、用毛33に加わる応力を分散させることにより、屈曲回復性に優れるPTT樹脂から用毛33を構成した場合でも、用毛33を屈曲させた際に機械的損傷が生じるのを防止することができるとともに、用毛33が、捻られたワイヤ31から抜け落ちるのを防止することが可能となる。
また、1本の用毛に形成される複数の凹部の全てが同一形状であっても良いし、あるいは、図8に示す例のように、それぞれ異なる形状を有する複数の凹部が形成された用毛55として構成しても構わない。図8に示す例では、用毛55の表面に、半円形状の凹部55a、矩形状の凹部55b及び三角形状の凹部55cの各々が、それぞれ複数形成されている。
本実施形態の歯間ブラシにおいては、凹部の形成位置や数、形状については図示例に限定されるものではなく、適宜採用することが可能である。
また、用毛の表面に凹部を形成する方法としても、特に限定されないが、例えば、モノフィラメントを製造する際の延伸工程やアニーリング工程等の前あるいは後工程において、凹部の形状に対応した凸部を表面に有するローラを、フィラメントの上下あるいは左右に配置し、この対向配置されたローラ間にフィラメントを通過させることによって、フィラメント(用毛)の表面にエンボス加工を施し、凹部を形成することができる。この際、モノフィラメントに熱処理を施しながら、対向配置されたローラ間を通過させる方法としても良い。
また、本実施形態の歯間ブラシに用いられる用毛は、例えば、酸又はアルカリ薬剤に溶解させる化学的方法や、用毛をワイヤで挟持して植毛した後に毛先を機械的に研磨する方法等を用いて、毛先をテーパ状に形成しても良い。ここで、用毛の毛先を機械的に研磨する方法としては、例えば、回転研磨体を備えた研磨装置を用いて、毛先を丸く加工するか、あるいはテーパ状に加工する方法を挙げることができる。
具体的には、従来の歯間ブラシと同様、ワイヤを、図示しない製造装置にチャックし、フィラメントからなる用毛を挟み込んだ状態でワイヤを捻り加工して用毛を固定する。この際、ブラシ部材の内、ハンドル側の首部にはブラシを取り付けない。
また、ハンドルの成形は、インサート成形金型を用いる等、従来の歯間ブラシと同様の成形方法によって行うことが可能である。
また、用毛33に加わる応力が凹部34に分散されることにより、歯間ブラシ1の使用時間に伴って、用毛33が変形して毛束32が拡がり易くなるので、歯間ブラシの取替え時期を視覚的に明確に確認することが可能となる。
実施例1として、図1(a)、(b)に示すような本考案に係る歯間ブラシを作製した。
まず、ワイヤ31として直径0.23mmのステンレス(SUS304)製ワイヤを使用し、また、用毛33として直径0.05mmの円形状を有するポリトリメチレンテレフタレート(PTT)製フィラメントを準備し、このPTT製フィラメントを、表面に凸部を有する一対のローラ間を通過させることにより、図1に示すような半円形状の凹部34を形成したものを使用して、ブラシ部材3を作製した。この際、従来の歯間ブラシと同様に2本のワイヤ31間に用毛33を挟持し、ブラシ部材製造装置のチャックを回転させ、ワイヤを捻ることによって毛束32を形成することにより、ブラシ部材3を作製した。また、毛束32中の用毛33の本数は300本とし、全て二つ折りにして固定した。
ねじられたワイヤの全長、つまりブラシ部材3の長手方向の寸法は20mmであり、ブラシ部材3の先端部3aから11mmの位置まで用毛33を植毛し、端部35aから用毛33が植毛された領域までの首部35の長さは9mmとした。
実施例2〜6として、用毛に用いるフィラメントの材質、直径、横断面形状及び凹部形状(実施例3、4は波状のクリンプ加工)と、ワイヤの線径を下記表1に示すような仕様とした点を除き、上記実施例1と同様の手順で各実施例の歯間ブラシのサンプルを作製した。
比較例1〜4として、用毛に用いるフィラメントの材質、直径及び横断面形状と、ワイヤの線径を下記表1に示すような仕様とした点を除き、上記実施例1と同様の手順で、用毛に凹部が形成されていない、従来の構成の歯間ブラシを作製した。
なお、上記比較例1〜4の歯間ブラシは、各部の寸法が、図1に示す歯間ブラシと同様の寸法とされており、また、毛束に用いられる用毛が、図9に示す用毛100のように、表面に凹部が設けられていないものとされている。
上述のようにして得られた各実施例及び比較例の歯間ブラシについて、「清掃性」、「歯間挿入性」、「使用感」、「用毛耐久性」の各項目について、以下に説明するような方法で評価した。
なお、上記各評価項目は、上記歯間ブラシの各サンプル(実施例1〜6、比較例1〜4)について、専門パネル(n=5名)により、口腔内の適切な歯間(空隙)で、1日1回、1回あたり前後10往復の洗浄処理を行うことで、1ヶ月間使用して官能評価を行なった。また、上記各評価項目の内、「清掃性」、「歯間挿入性」、「使用感」の各項目については、評価試験開始から1週間の試験期間として、各パネル(n=5名)の平均で評価した。
各実施例及び比較例の歯間ブラシを使用する前に、まず、歯垢染色液(ライオン株式会社製:DENT.liquid plaque tester:登録商標)を用いて歯間を染め、汚れた状態とした。そして、上記歯間ブラシの各サンプル(実施例1〜6、比較例1〜4)を用いて歯間を洗浄処理した後、汚れの除去状況を、以下に示す4段階で評価した。
(1)◎:歯間の汚れがほとんど無い。
(2)○:歯間の汚れが少し残った。
(3)△:歯間の汚れが多く残った。
(4)×:歯間の汚れがほとんど残った。
上記歯間ブラシの各サンプル(実施例1〜6、比較例1〜4)を用いて歯間の洗浄を行う際の、歯間への挿入のし易さを、以下に示す4段階で評価した。
(1)◎:ブラシ部材先端の挿入抵抗がほとんど無く、非常に挿入し易い。
(2)○:ブラシ部材先端の挿入抵抗がややあるが、挿入し易い。
(3)△:ブラシ部材先端の挿入抵抗があり、やや挿入し辛い。
(4)×:ブラシ部材先端の挿入抵抗が大きく、非常に挿入し辛い。
上記歯間ブラシの各サンプル(実施例1〜6、比較例1〜4)を用いて歯間の洗浄を行う際の、歯間前後方向での往復運動による歯茎への刺激並びに痛みの有無や程度について、以下に示す4段階で評価した。
(1)◎:歯茎への刺激がほとんど感じられなかった。
(2)○:歯茎への刺激がややあるものの、特に痛みを感じることのない程度であった。
(3)△:歯茎への刺激が少々あるものの、特に大きな痛みは感じられなかった。
(4)×:歯茎への刺激が強く、大きな痛みを感じた。
上記歯間ブラシの各サンプル(実施例1〜6、比較例1〜4)を用いて、上記条件による歯間洗浄を1ヶ月間行い、使用の都度、用毛のへたり(傾斜)状態を確認し、以下に示す4段階で評価した。なお、使用中、へたりが著しく使用不可と判断した場合は、1ヶ月の期間が経っていなくても、その時点で使用を中止した。
(1)◎:1ヶ月使用後、へたりはほとんど見られず、まだ充分に使用可能。
(2)○:1ヶ月使用後、へたりが若干見られるが、1ヶ月の間、充分に使用できた。
(3)△:2〜3週間使用の後、へたりが多く発生した。
(4)×:2週間以内でへたりが発生し、激しいへたりのために1ヶ月間の使用は不可。
表1に示す結果より、毛束を構成する用毛の表面に複数の凹部が形成されてなる、実施例1〜6の本考案に係る歯間ブラシは、清掃性が何れも「◎」または「○」の評価であり、確実に歯間の汚れを取り除くことができ、高い清掃性を有していることが明らかとなった。また、実施例1〜6の歯間ブラシは、歯間挿入性が何れも「○」の評価であり、無理なく歯間に挿入することができ、挿入性に優れていることが明らかとなった。また、実施例1〜6の歯間ブラシは、使用感が何れも「◎」または「○」の評価であり、歯茎に対する刺激が抑制されて痛みを感じることがなく、使用性に優れていることが明らかとなった。
Claims (7)
- 把持部とブラシ固定部とを有するハンドルと、
ワイヤ間に複数の用毛からなる毛束を挟持させ、前記ワイヤを捻り加工することによって前記毛束が固定されるとともに、一端側が前記ワイヤからなる首部とされ、該首部の端部が前記ハンドルのブラシ固定部に取り付けられるブラシ部材とを具備した歯間ブラシであって、
前記毛束をなす用毛の内の少なくとも一部が、表面に複数の凹部が形成された用毛であることを特徴とする歯間ブラシ。 - 前記毛束をなす用毛の内の少なくとも一部が、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)からなることを特徴とする請求項1に記載の歯間ブラシ。
- 前記複数の凹部が形成された用毛が、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)からなることを特徴とする請求項2に記載の歯間ブラシ。
- 前記複数の凹部が、前記用毛の長さ方向において、用毛径方向で相対する位置に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の歯間ブラシ。
- 前記複数の凹部が、前記用毛の長さ方向において、用毛径方向で交互にずれて形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の歯間ブラシ。
- 前記複数の凹部の内の少なくとも一部が、断面半円形状、断面矩形状、断面三角形状、あるいは断面台形状の内の何れかの形状とされていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の歯間ブラシ。
- 前記用毛の径が0.03〜0.13mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の歯間ブラシ。
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