JP3139003B2 - 共鳴トンネリングダイオードの製造方法 - Google Patents

共鳴トンネリングダイオードの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は,共鳴トンネリングダイオード(以下,単に
RTDという)のウエル層に電極を形成することにより特
性を可変としたRTDに関する。
<従来の技術> 第3図は従来公知のRTDの一例を示す断面図である。
図において1はInPからなる基板,2は厚さ4000Å程度のn
+InGaAs層,3は厚さ2000Å程度のn−InGaAs層,4は共鳴
バリア層で,30Å程度の厚さのアンドープAlAs層4a,4aの
間に厚さ41Å程度の厚さのInGaAs層4bを挟んで形成され
ている。5は厚さ2000Å程度のn−InGaAs層,6は厚さ20
00Å程度のn+InGaAs層,7は第1電極,8は第2電極であ
る。
この様なRTDは第2の電極8をコモンとし,第1の電
極7に直流電圧を印加することにより共鳴バリアを通過
する電子を制御することができ,特に大きな負性抵抗を
得られる点で注目されている。
第4図〜第6図は本出願人が試作したRTDの電流−電
圧特性(以下,単にI−V特性という)を示すもので,
第4図(a)はウエル部をアンドープとしたものであ
り,(b)図に示すようにウエル部が0バイアスの場合
と等価である。第5図(a)はウエル部をp形としたも
のであり,(b)図に示すようにウエル部にマイナスの
バイアスを印加した場合と等価である。第6図(a)は
ウエル部をn形としたものであり,(b)図に示すよう
にウエル部にプラスの電圧を印加した場合と等価であ
る。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら,上記第3図に示す従来のRTDは2端子
素子であるため素子の特性を制御することはできない。
近年RTDの特性を可変とするためにウエル部をp形とし
てここに電極を設けてウエルに印加する電圧を変化させ
ることが試みられているが,ウエル層は50Å以下の厚さ
に形成されているので,ここに電極を設けるのは難しい
(実現された例はない)という問題があった。
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになさ
れたもので,ウエルに電極を形成することにより特性の
可変なRTDを実現することにある。
<課題を解決するための手段> 上記従来技術の問題を解決する為の本発明の構成は、 基板上に第2電極が設けられる下部n+層、下部n層、
量子井戸形成層、上部n層、上部n+層および第1電極
層が順次積層されたIII−V族共鳴トンネリングダイオ
ードの製造方法において、 前記第1電極となる部分の下部を残して深さ方向に
前記上部n+層及び上部n層の一部を含む層を除去して
上部n層を露出させる工程と、 前記除去した部分の前記第1電極層を含む側壁にサ
イドウォールを形成する工程と、 前記露出させた上部n層にZnSiを形成する工程と、 前記基板の熱処理を行って第1電極の下部を除く前
記下部n層に達する深さまでをp領域としてこのp領域
に制御電極を形成する工程と、 を含むことを特徴とするものである。
<作用> RTDのウエル部をp形とし,一方の側のn形層の大部
分を除去した側にZnSiを形成してアニールすると,ZnはI
II−V族に対してp形の不純物となる。従ってアニール
時間を調整することによりp層の深さを制御することが
できる。このp形層がウエルに達するとZnSiはウエル層
と電気的に導通する。ここでn形層の電極の下部は元の
ままの層が残されているので共鳴トンネリングダイオー
ドとしての動作には影響がない。
<実施例> 以下,図面に従い本発明を説明する。第1図は本発明
の3端子RTDの一実施例を示すもので第3図と同一要素
には同一符号を付している。
はじめに3端子RTDの作製方法について要部を説明す
る。
a)各層を積層し第1電極を形成するまでは従来と同様
に作製する。
b)次に第1電極7の部分を残してn+InGaAs層とn−In
GaAs層の大部分(例えば3000〜3800Å程度)をエッチン
グにて除去する。
c)次に第1電極7を含むn−InGaAs層上にCVD法など
の手段によりSiO2を形成し異方性エッチングを用いてサ
イドウォール10を形成するとともにn−InGaAs層上のSi
O2を除去する(このサイドウォールは第1電極7と制御
電極11との距離を狭め共鳴バリア部の横方向の抵抗を低
減するために制御電極を第1電極に対してセルフアライ
ンで形成するためのものである)。
d)次に蒸着やスパッタ等によりZnSiを300Å程度形成
し,この上にWSiを1000Å程度形成し,さらにこの上にA
uを1000Å程度付着させて制御電極11を形成する。
e)次に基板を400〜500℃程度で1分程度アニールする
とZnが1000Å程度の深さに拡散しウエル層4bを含んで斜
め点線で示すp領域12を形成する。この場合p領域の横
(矢印X)方向への拡散はサイドウォール10により阻止
される。そしてこのp領域は第1電極7の下部に積層さ
れた各n層とは電気的には絶縁される。なお,このとき
Znの拡散により拡散領域では超格子構造が破壊されるの
でAlAs層は大きな抵抗とはならない。また,この拡散は
300℃以下の温度ではほとんど進行しないので,その後
のプロセスで拡散がさらに進行することはない。
f)その後は従来と同様に第2電極8を形成する。
上記構成において,第2電極8をコモンとし第1電極
に直流電圧を印加するとともに制御電極11にも電圧を印
加し,その電圧を変化させれば特性の可変なRTDを得る
ことができる。
なお,本実施例においてはウエル層4bをp形InGaAsと
して説明したが,このInGaAsは比較的抵抗が高いのでウ
エル層をInAsとし,p形となるMgやBeを5×1018/cm程度
の濃度にドープしてもよい(InAsはこの濃度では半導体
から金属へ変化するので横方向の抵抗が激減する)。こ
の場合ウエル層のエネルギーバンドは第2図に示すよう
なものとなる。即ち,ホールはInAsのポテンシャルの中
に閉じこめられてしみだしてこないためホールが関与し
た電流の漏れを防止することができる。
また,本実施例においてはInP基板の上にInGaAsを積
層し共鳴バリアのポテンシャルバリアをAlAsで形成した
例について図示したが,GaAs基板上にAlGaAs層を積層
し,共鳴バリアのホテンシャルバリアをGaAsまたはAlGa
Asで形成したものであっても良い。
また,各層の厚さは図示した数値に限定するものでは
なく必要に応じて変更可能である。
<発明の効果> 以上実施例とともに具体的に説明した様に本発明によ
れば、制御電極となる部分に対し深さ方向に上部n+層
及び上部n層の一部を含む層を除去して上部n層を露出
させ、第1電極層を含む側壁にサイドウォールを形成
し、露出させた上部n+層にZnSiを形成して熱処理を行
って第1電極の下部を除く下部n層に達する深さまでを
p領域としたので、 n+層とp層との絶縁耐圧を向上させることができ、
量子井戸部の横方向の抵抗を低減し、特性の可変なRTD
を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を説明するための断面図,第
2図は共鳴バリアのポテンシャルバリアの状態を示す
図,第3図は従来のRTDの一例を示す図,第4図〜第6
図はウエルの状態によるI−V特性を示す図である。 1……基板,2,6……n+InGaAs層,3,5……n−InGaAs層,4
……共鳴バリア,4a……AlAs層,4b……ウエル(p形InGa
As層)7……第1電極,8……第2電極,11……制御電
極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡 貞治 東京都武蔵野市中町2丁目9番32号 横 河電機株式会社内 (72)発明者 三浦 明 東京都武蔵野市中町2丁目9番32号 横 河電機株式会社内 審査官 小川 将之 (56)参考文献 特開 昭61−54665(JP,A) 特開 平1−262662(JP,A) 特開 昭63−217819(JP,A) 特開 昭63−280454(JP,A) 特開 昭63−261751(JP,A) 特開 昭63−33866(JP,A) 特開 昭63−140570(JP,A) 特開 昭58−48916(JP,A) 特公 昭48−38087(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 29/68 - 29/737 H01L 29/66 H01L 29/88

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に第2電極が設けられる下部n+
    層、下部n層、量子井戸形成層、上部n層、上部n+層
    および第1電極層が順次積層されたIII−V族共鳴トン
    ネリングダイオードの製造方法において、 前記第1電極となる部分の下部を残して深さ方向に
    前記上部n+層及び上部n層の一部を含む層を除去して
    上部n層を露出させる工程と、 前記除去した部分の前記第1電極層を含む側壁にサ
    イドウォールを形成する工程と、 前記露出させた上部n層にZnSiを形成する工程と、 前記基板の熱処理を行って第1電極の下部を除く前
    記下部n層に達する深さまでをp領域としてこのp領域
    に制御電極を形成する工程と、 を含むことを特徴とするIII−V族共鳴トンネリングダ
    イオードの製造方法。
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