JP3135705U - 椅子用カバーの止着方法および縫製構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】椅子の張り込みの代替え手段として、座面に密着カバーリング、かつ座面および座面後脚部入角部分による表皮シワ、たるみの発生を抑制する脱着可能とせしむ面ファスナー止着による縫製カバーリングシステムを提供する。
【解決手段】座メインに、端部に面ファスナーを縫着した前部マチ、後部マチ、左右側面マチを縫着し、前部マチにはループ状の織物を用いた底面マチを縫着し、それぞれの端部を底面マチに止着すると共にかぶせマチで椅子に固着する。
【選択図】図1
【解決手段】座メインに、端部に面ファスナーを縫着した前部マチ、後部マチ、左右側面マチを縫着し、前部マチにはループ状の織物を用いた底面マチを縫着し、それぞれの端部を底面マチに止着すると共にかぶせマチで椅子に固着する。
【選択図】図1
Description
本考案は、主としてダイニングなどに利用される木製骨組構造の椅子の座面のカバーリング構造および縫製構造に関する。
従来の伝統的な製造方法によるダイニング用椅子の多くは、木製の脚部を組み立て結合した骨組み構造に、座部構造枠を形成し、更に、クッション構造体を止着して、最後に釘類により表皮を張り込みした座面を配置しているため、張り込みした表皮を取り替え、または清掃するのは容易ではなかった。
一方、表皮の保護を目的にカバーを載置する場合があるが、元来釘類により張り込みした座部表皮の形状と略同一で、かつ密着した形状でカバーを再現するのは困難であった。
木製の軸を結合した脚部骨組み構造、および座部の枠組み構造に形成したフレームに、クッション構造体を止載置して座面となす椅子に於いては、最後に釘類により表皮を枠構造体に張り込み止着することにより、座面形状を形成保持している。
座面張り込みは、クッション構造体を止着した際に得られる立体的な外形形状に準じて形成されるものであり、表皮を一定の張力で手作業により引っ張りながら、座面枠部に押し付け釘類により止着する。
このため表皮の張力を微調整しながら張り上げることにより、しわを発生させず綺麗な形状で仕上げる事が可能であるが、これらは作業者の経験や勘に依存するものである。
元来、予め型取りにより、裁断準備された表皮を用いるため、作業者によらずクッション構造体に沿った立体的な外形形状を形成できるものであるが、実際の椅子張り作業では、表皮をすべての部位で一定の張力で引っ張るのでなく、作業者の経験や勘により部位に応じてその張力を調整しながら、製作されている。
上述の通りの構成であるため、例えば、表皮の張り替えを行う場合には、釘類を除去し、剥離させた表皮と略同一外形形状たる新規表皮を準備して、表皮の引っ張り力を調整しながら釘類を打ち張り上げる。
しかしながら、従前表皮と略同一外形の表皮を準備して形状を再現しようと試みても、作業者によってはシワや、たるみが生じてしまう状況であることは容易に想像できる。
一方、ダイニングでの利用目的の性質上、表皮の保護、あるいは清掃への要望も有り、張り込み座面上に、座面カバー掛けを行う場合も多く有る。
しかしながら、上述の通りの作業工程で、作業者の経験や勘により一品一様に張り込みされた表皮形状に、外形形状を合致した既成の座面カバーを準備することは技術的に困難であることより、シワや、たるみが生じてしまうことは容認されていた。
すなわち、従来の多くの座面カバーは、汎用性を持たせた座形状を有し、紐類で座面、および後脚部に縛り固定するカバーリング方式が採用されて来た。
本考案は、座面カバー掛け、あるいは表皮の張り替え要望に対応し、座面形状と略同一形状のカバーを準備して止着するだけで、シワや、たるみの発生がなく、美しく止着できる座面カバーを提供するものである。
本考案は、上述の様なカバーの問題点であるシワや、たるみの発生を抑制することを課題として捕らえ、その発生箇所に着目し、下記の通り解決の為の手段を考案した。
先ず一つ目には、座面後方部のシワや、たるみの発生を抑制することに関する。
従来の表皮張り込みを行う座面の多くは、後脚部による座面への食い込み部の断面形状にて切り欠きを設けた座面形状が採られ、後脚部とは独立した形で座面下部に張り上げる。
座面の後脚部の外角に当る出角部分は、張り込み方式であれ、カバーリング式であれ、適正な仕様を設定すれば、シワや、たるみが発生を抑制することは可能であるが、一方、座面の後脚部の内角部に当る入角部分では、張り込み方式では適応するが、カバーリング式では、その内角方向の張力保持が困難であることより、シワや、たるみが発生していた。
この為本考案のカバー構造では、カバーの後部マチ部分に略後脚部断面形状の切り込みを設け縫製仕上げを行い、座面載置の際、後脚部外周を巻き込みながら、かぶせマチBの端部に縫着した面ファスナー、およびかぶせマチAに縫着した面ファスナー同士の止着により、均一に被覆を行う手段を講じた。
すなわち本考案のカバーでは、座面の後脚部の内角に当る入角部分での張力を確保する為、後脚部の外周面へカバーを巻き込み密着させ、後脚部全体を保持していると共に、最良の実施例では、前述の略後脚部断面形状の切り込みの縫製に当って、端部に形状記憶テープまたは、形状記憶線類を縫い込みして、その密着を更に確たるものとすることも合わせて提唱している。
カバー載置の際は、先ず座面前方部より左右均一に被覆し、更に座面中央部から左右両側部に側部マチを引っ張りながら被覆し、次に左右の後脚部の間にカバー後端部を通し後方に向けて、後部マチを引っ張りながら被覆する。
次にかぶせマチBの端部に縫着した面ファスナー、およびかぶせマチAに縫着した面ファスナー同士を止着して、後脚部を包含した座面を形成することで、シワや、たるみを抑制している。
二つ目は、形成された座面の両側部マチ、後部マチそれぞれに縫着した面ファスナーの止着方法にある。
張り込み式の座面では、座面下に表皮を引っ張りながら、釘類を用いて止着するが、本考案のカバーリング構造では、前面マチと縫合した底面マチを設けており、この底面マチに両側部マチ、後部マチをそれぞれに縫着した面ファスナーを介して止着する。
この底面マチは、面ファスナー(ループ)と同等の機能を有するループ状の織物を用いて構成するが、底面全体がループ状の織物であるため、面ファスナー(フック)の取付け位置の制約がなく、均一に引っ張りながら、必要な位置で面ファスナー(フック)と縫着された表皮を固定することが可能である。
座面を中心部より、前後、左右方向に引っ張りながら、座面の両側部マチ、後部マチそれぞれに縫着した面ファスナー(フック)を介し、座面表皮を底面マチに止着する。
本考案に係る椅子カバーは、上述の様な構成であるため、下記の通りの効果を奏し得る。
○椅子張り上げ同様に、シワや、たるみの発生を抑制した綺麗な仕上がりが得られる。
○後脚部を包含した、今迄にない新しい意匠性が得られる。
○張り替えの代替えとして、本椅子カバーを利用することで、改修工程が簡素化される。
○季節や目的・用途に従って、表皮意匠を変更するなどの工夫が簡易に行える。
○表皮の洗濯が可能である。
○現場で作業できるためコストが安い。
○椅子張り上げ同様に、シワや、たるみの発生を抑制した綺麗な仕上がりが得られる。
○後脚部を包含した、今迄にない新しい意匠性が得られる。
○張り替えの代替えとして、本椅子カバーを利用することで、改修工程が簡素化される。
○季節や目的・用途に従って、表皮意匠を変更するなどの工夫が簡易に行える。
○表皮の洗濯が可能である。
○現場で作業できるためコストが安い。
考案を実施するための最良の形態を以下の実施例を元に具体的に示す。
図1は、本考案に係る椅子カバー基本例の構成図を示し、図2にはその展開図を、図3に展開寸法体系図を示しており、図4には本考案に係る椅子カバー応用例の構成図を、図5にはその展開図を示している。
図6は、椅子カバー装着前の後方斜視図を示し、図7には、本考案に係る椅子カバー基本例を装着した後の後方斜視図を示し、図8には、椅子カバー応用例を装着途中の後方斜視図を示しており、図13には、従来の椅子張り式椅子の後方斜視図を示している。
図12は本考案に係わる形状記憶線類を装着した椅子カバーの部分構成図を示す。
図1、図2に示す様に、実際に椅子に装着する状態の本考案に係る椅子カバー基本例は、座メイン2に、前部マチ3、左右の側面マチ4を縫着してあり、前部マチ3には底面マチ8を縫着し、更に、側面マチ4の後方縦面にはかぶせマチA6を縫着し、面ファスナー(フック)9を縫着する。
また、後部マチ5は、かぶせマチA6と対となるかぶせマチB7を介して、座メイン2に縫着されており、後部マチ5下面には面ファスナー(フック)9を縫着する。
本考案に係わる椅子カバーを座面の形状に合わせて装着するには、図3に示す様に、側面マチ4の長さ寸法a1と底面マチ8の長さ寸法a2、後部マチ5の長さ寸法b1と底面マチ8の長さ寸法b2、かぶせマチA6の長さ寸法c1とかぶせマチB7の長さ寸法c2がそれぞれa1≒a2、ab1≒b2、c1≒c2となる様に設定している。
尚、本考案に係る椅子カバーでは、底面マチ8は、面ファスナー(ループ)の機能を兼ねて面ファスナー(フック)が止着可能な表面の起伏を有したパイル状の織物素材を用いているため、面ファスナー(ループ)10の縫着を不要としている。
図7に示す様に、本考案に係る椅子カバーの基本例は、上述の構成によって縫製されている為、椅子に装着する際、後脚部13の外周部を左右のかぶせマチA6で包み込みながら、かぶせマチB7に面ファスナーを介して止着する。
一方、図4、図5に示す様に本考案に係る椅子カバー応用例では、座メイン2に、前部マチ3、左右の側面マチ4を縫着してあり、前部マチ3には底面マチ8を縫着し、更に、側面マチ4の左右いずれかの後方縦面にはかぶせマチA6を縫着し、面ファスナー(フック)9を縫着し、他方の側面マチ4縦面には、かぶせマチB7を縫着し、面ファスナー(ループ)10を縫着する。
図8に示す様に、本考案に係る椅子カバーの応用例では、椅子に装着される際、かぶせマチA6、およびかぶせマチB7が互いに引き合いながら、後脚部13の外周部を包み込み、面ファスナーを介して止着される。
基本例と応用例の差異は、かぶせマチA6、およびかぶせマチB7の止着されている位置にあり、基本例では、かぶせマチB7が後部マチ5に縫着されているに対して、応用例では、後部マチ5を介さないため、かぶせマチA6から働く、後脚部13内周方向への引っ張り力が後部マチ5に、入力しない為、均一にカバーリングができる利点がある。
図9には従来の椅子張り式椅子の、図10には汎用の椅子カバー方式の、図10には本考案に係る椅子カバー基本例のそれぞれ底面斜視図を示している。
従来の椅子張り式椅子では、図9に示す様に、内蔵するクッション体19を包む表皮1は、釘(ステープル)20を用いて、順次座面15に止着しながら座面形状を形成するため、複雑な曲面形状や、脚部の切り込み部分の張り込みにも対応した仕上がりが可能である。
一方、汎用の椅子カバー方式では、図10に示す様に、風呂敷状の表皮1の外周端部にひも類21が入る様に、折り返し縫製を行ってあり、座面15に載置して、挿入したひも類21を締め込みして張り上がるため、座面形状そのものに合わせた外形形状を再現したり、しわの発生を抑制することは困難である。
汎用の椅子カバー方式では、とりわけ後脚部13による座面15へのくい込み形状は、入り角となるため、ひも類で引っ張っても、張力が生じないため、形状追従は困難であるため、後脚部13と座面15は離したデザインの椅子の場合にこの方式を採用できる。
しかしながら、本考案に係る椅子カバーは、図11に示す様に、座面形状そのものに合わせた外形形状を保持できる様に、座メイン2、前部マチ3、側面マチ4、後部マチ5の各部が縫着されており、更にかぶせマチA6、かぶせマチB7により、脚部の切り込み部分の形状に合わせて密着した仕上がりをもたらしており、椅子張り式椅子同等の外形形状を持ちながら、汎用の椅子カバー方式の簡易さで実現している。
本考案に係る椅子カバーは、図7に示す様に、とりわけ後脚部13による座面15へのくい込み部分の形状は、入り角となるが、その部分に張力を生じさせるため、かぶせマチは後脚部13の外周面を取り巻く様に装着することを特徴としている。
また、図12に示す様に、本考案に係る椅子カバーの応用例では、上記の入り角のカバー張力を確実に得る為に、本考案に係る椅子カバーの応用例では、座メイン2端部を袋状に縫製し、形状記憶合金線11または、形状記憶合金テープ(形状記憶加工を施したテープ)12を挿入している。
尚、本考案に係る椅子カバーでは、座メイン2、前部マチ3、側面マチ4、後部マチ5、かぶせマチA6、かぶせマチB7の全部、または一部を縫着することなく、一体となる表皮で構成する実施例がある。
1 表皮
2 座メイン
3 前部マチ
4 側面マチ
5 後部マチ
6 かぶせマチA
7 かぶせマチB
8 底面マチ
9 面ファスナー(フック)
10 面ファスナー(ループ)
11 形状記憶合金線
12 形状記憶合金テープ(形状記憶加工を施したテープ)
13 後脚部
14 前脚部
15 座面
16 背面
17 座枠
18 裏地
19 クッション体
20 釘(ステープル)
21 ひも類
2 座メイン
3 前部マチ
4 側面マチ
5 後部マチ
6 かぶせマチA
7 かぶせマチB
8 底面マチ
9 面ファスナー(フック)
10 面ファスナー(ループ)
11 形状記憶合金線
12 形状記憶合金テープ(形状記憶加工を施したテープ)
13 後脚部
14 前脚部
15 座面
16 背面
17 座枠
18 裏地
19 クッション体
20 釘(ステープル)
21 ひも類
Claims (4)
- 座メインに、前部マチ、左右の側面マチ、後部マチを縫着し、各々の下端に止着した面ファスナー雄面を介し、椅子座面を被覆しながら、前部マチ下部に縫着した輪奈状織物よりなる底面マチ端面に止着すると共に、側面マチ側部に縫着してなるかぶせマチと、後部マチ側部に設けた対となるかぶせマチを、椅子後脚部外周を囲み込み、面ファスナーを介して止着する縫製構造を有する椅子カバー。
- 座メインに、前部マチ、左右の側面マチ、後部マチを縫着し、各々の下端に止着した面ファスナー雄面を介し、椅子座面を被覆しながら、前部マチ下部に縫着した輪奈状織物よりなる底面マチ端面に止着すると共に、左右側面マチ側部に縫着してなるかぶせマチ同士を、椅子後脚部外周を囲み込み、面ファスナーを介して止着する縫製構造を有する椅子カバー。
- 座メイン後部左右の切込み入角部の端部に、袋状返し縫い部を設け、少なくとも30mm長さの形状記憶合金線または、形状記憶加工を施したテープを袋状返し縫い部に挿入した上記請求項1または、請求項2に記載の縫製構造を有する椅子カバー。
- 座メインと、前部マチ、左右の側面マチ、後部マチ、かぶせマチの全部または、一部を縫着することなく、一枚の表皮で構成した上記請求項1、または請求項2または、請求項3に記載の縫製構造を有する椅子カバー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007005679U JP3135705U (ja) | 2007-06-26 | 2007-06-26 | 椅子用カバーの止着方法および縫製構造 |
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JP (1) | JP3135705U (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010098197A1 (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-02 | パナソニック電工株式会社 | マッサージ・チェア |
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JP2017192572A (ja) * | 2016-04-20 | 2017-10-26 | 株式会社Gerne | キャリーバッグカバー |
-
2007
- 2007-06-26 JP JP2007005679U patent/JP3135705U/ja not_active Expired - Fee Related
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