JP3135491B2 - 新規抗生物質 - Google Patents

新規抗生物質

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JP3135491B2
JP3135491B2 JP07277713A JP27771395A JP3135491B2 JP 3135491 B2 JP3135491 B2 JP 3135491B2 JP 07277713 A JP07277713 A JP 07277713A JP 27771395 A JP27771395 A JP 27771395A JP 3135491 B2 JP3135491 B2 JP 3135491B2
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Japan
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present
peptide
methanol
solution
solvent
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JP07277713A
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昭彦 藤原
佳子 阿部
澄 栗山
孝司 稲垣
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規ペプチドからな
る抗生物質、特にグラム陽性菌の増殖阻害に有効である
抗生物質、および該ペプチドを有効成分として含む抗菌
剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】微生物が生産する抗生物質は、現在まで
に5,000種類以上報告されている。このうちストレ
プトマイセス属に属する微生物からは、ストレプトマイ
シン、アクチノマイシンC,Dなどが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】抗生物質の使用におい
ては、耐性菌の発現が問題になっており、新しいタイプ
の物質が望まれている。
【0004】本発明の目的は、抗菌活性の強い新規抗生
物質を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明により、
【化3】 で示される新規ペプチド(以下、本発明ペプチドとい
う)からなる抗生物質(以下、本発明抗生物質という)
が提供される。
【0006】本発明抗生物質は、ストレプトマイセス属
に属する本発明抗生物質生産菌株、例えば、放線菌スト
レプトマイセス・ノビリス(Streptomyces nobilis、以
下「S.ノビリス」と略記する)を培養し、得られた培
養液または同液の乾固物もしくは培養菌体から有機溶剤
によって抽出された抽出物を、各種カラムクロマトグラ
フィーに付し、目的物を含むカラムクロマトグラフィー
画分を再結晶処理することにより得られる。
【0007】本発明抗生物質を生産する放線菌S.ノビ
リスは、公的保存機関から入手可能であり、たとえば理
化学研究所の保存菌(JCM4274)(これは米国に
おいてATCC19252およびオランダにおいてCB
S198.65としても保存)などの菌が使用できる。
【0008】放線菌S.ノビリスの培養は、然るべき栄
養物を含んだ培地を用いて行う。液体培養の場合、その
培地の成分としてはブドウ糖などの糖類、ペプトンや麦
芽エキスなどのタンパク質類、ビタミン類、核酸類、ア
ミノ酸類、複合糖質類の一種または数種を含んだ水溶液
が好適に用いられる。代表的な培地例としては、澱粉・
アンモニウム系の液体培地(可溶性澱粉、K2 HP
4 、NH4 Clを含む)が挙げられる。液体培地のp
Hは2〜9が好ましく、培養温度は15〜42℃が好ま
しい。また液体培養の好ましい培養時間は1〜14日で
ある。こうして得たS.ノビリスの培養液またはその乾
固物もしくは菌体自体から溶剤を用いて本発明ペプチド
を抽出する。
【0009】S.ノビリスの培養液またはその乾固物も
しくは菌体自体の抽出液を硫酸アンモニウム(硫安)処
理し、得られた沈殿物を溶媒抽出してもよい。硫安処理
に際しては、培養液またはその乾固物もしくは菌体自体
の抽出液に添加する硫安は、固体のままの状態でもよい
し、溶液状態のものでもよい。硫安の添加量は好ましく
は飽和濃度の30〜90重量%の範囲である。処理時間
は特に限定されないが、好ましくは30分〜5時間の範
囲である。沈殿物を得るための遠心分離に際しては、遠
心力が3,000G〜20,000Gであることが好ま
しく、遠心時間は2〜60分であることが好ましい。
【0010】抽出に用いる溶剤としては有機溶剤が好ま
しく、その代表例としては、酢酸エチルなどのエステル
類、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアル
コール類、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル
類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類のほ
かジクロロメタン、クロロホルムなどが挙げられるが、
使用可能な溶剤はこれらに限定されない。また、上記溶
剤の混合物を用いることもできる。特に好適な溶剤は酢
酸エチル、ジクロロメタン、アセトンなどである。抽出
時間は溶剤の種類や抽出温度などによっても異なるが、
好ましくは3〜120分の範囲である。また抽出中は液
を静置してもまたは攪拌してもよい。好ましくは、同一
試料に対して抽出操作を複数回繰り返す。抽出温度は特
に制限されない。
【0011】次に、溶剤抽出物に対するカラムクロマト
グラフィーについて述べる。
【0012】カラムクロマトグラフィーの充填剤として
は、ODS(オクタデシルジメチルクロロシランのよう
なオクタデシルシラン類)が好ましい。充填量は特に限
定されないが、チャージする溶剤抽出物に対する重量比
10〜500倍量を充填することが好ましい。溶剤抽出
物をカラムにチャージする際はまずODSに吸着させる
ことが好ましい。このときODSの量は特に限定されな
いが、好ましくは吸着させる溶剤抽出物に対する重量比
0.5〜20倍量のODSを用いてこれに抽出物を吸着
させた後、この抽出物吸着ODSを少量の溶剤に懸濁し
てからカラムにチャージする。溶出溶媒は特に限定され
ないが、好ましくは極性がメタノール:アセトニトリル
=1:1混合溶剤を80%含む水溶液からメタノールの
間にある溶剤を用いる。
【0013】次に、本発明ペプチドの再結晶による精製
について述べる。
【0014】再結晶に用いる溶剤は、本発明ペプチドを
溶かす溶剤であれば特に限定されないが、好ましくはメ
タノール、エタノールなどである。再結晶の方法として
は、当該物質を含有するカラム溶出画分を加熱下に少量
の溶剤に溶かし、得られた溶液を徐々に冷やしてこの物
質を再結晶させてもよいし、当該物質を含有するカラム
溶出画分を当該物質の溶解性の高い溶剤に溶かし、そこ
に当該物質の溶解性の低い液(例えば水)を徐々に加え
てこの物質を再結晶させてもよい。
【0015】本発明ペプチドは、後述する薬理試験の結
果から分かるように、特にグラム陽性菌の増殖阻害に有
効であるに抗生物質である。
【0016】本発明抗生物質を製剤化するには、通常は
これを製剤用担体とともに製剤組成物の形態とする。担
体としては剤形に応じた薬剤を調製するのに通常使用さ
れる充填剤、崩壊剤、増量剤、結合剤、着色剤、矯味矯
臭剤、pH調整剤、可溶化剤、懸濁化剤、緩衝剤、安定
化剤、保存剤、付質剤、界面活性剤、滑沢剤、賦形剤、
抗酸化剤、分散剤、噴射剤、溶解剤、溶解補助剤が例示
される。また適当な溶剤を選定することにより、得られ
た本発明ペプチドをそのままの形態で液剤として使用す
ることもできる。
【0017】本発明創傷治癒物質を用いて製剤化される
創傷治癒剤の投与単位形態としては、上記のごとき液剤
のほか、錠剤、丸剤、飲用液剤、リモナーゼ剤、注入
剤、散剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、エキス剤、細粒剤、
シロップ剤、浸剤、煎剤、点眼剤、トローチ剤、パップ
剤、リニメント剤、ローション剤、エリキシル剤、眼軟
膏剤、硬膏剤、カプセル剤、坐剤、浣腸剤、注射剤(液
剤、懸濁剤など)、貼付剤、軟膏剤、ゼリー剤、パスタ
剤、吸入剤、クリーム剤、スプレー剤、点鼻剤、エアゾ
ール剤などが例示される。
【0018】抗菌剤中に含有すべき本発明抗生物質の量
は、特に限定されず広範囲に適宜選択されるが、好まし
くは抗菌剤中に10-7〜10重量%の範囲である。
【0019】本発明抗生物質より得られた抗菌剤は、そ
の使用に際し各種形態に応じた方法で投与される。たと
えば外用剤の場合には、これを皮膚ないしは粘膜などの
所要部位に直接噴霧、貼付または塗布し、錠剤、丸剤、
飲用液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤の場
合には経口投与され、注射剤の場合には静脈内、筋肉
内、皮内、皮下、関節腔内もしくは腹腔内投与され、坐
剤の場合には直腸内投与される。
【0020】本発明抗生物質より得られた抗菌剤の投与
量は、使用目的、症状などにより適宜選択されるが、通
常は1日当り本発明抗生物質として10pg/kg〜1
0mg/kg程度の範囲である。また上記製剤組成物を
1〜4回/日に分けて投与することももちろん差し支え
ない。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を示す
が、これらの例は本発明をよりよく理解するためのもの
であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
【実施例】
本発明ペプチドの製造例実施例1 理化学研究所から入手した放線菌S.ノビリス(JCM
4274)を、酵母エキス0.2%添加澱粉・アンモニ
ウム培地100ml中で40時間振盪培養(前々培養)
し、続いて同培地3リットルに前々培養菌液60mlを
接種し、25時間振盪培養(種培養)した。さらに澱粉
・アンモニウム培地(蒸留水100ml中に可溶性澱粉
を1g、リン酸水素二カリウムを0.05g、塩化アン
モニウムを0.05g含む)285リットルに種培養し
た全量を接種し、約30℃で8日間振盪培養した。この
培養液を遠心分離し、得られた上清液250リットルに
硫酸アンモニウムを上清1リットル当たり662g添加
し、1時間攪拌した。続いて20,000G(流速36
0−500リットル/時間)で連続的に遠心分離を行
い、約1.2kgの沈殿物を得た。
【0023】上記により得られた沈殿物1.2kgに水
3.6リットルを添加し、80℃で30分間攪拌した。
次に等量の酢酸エチルを添加し、10分間振盪後、全体
を5,000Gで10分間遠心した。酢酸エチル相を分
離後、水相について本操作を数回繰り返し、溶剤抽出物
を得た。
【0024】次に、上記により得られた溶剤抽出物を、
ODS(オクタデシルジメチルクロロシラン)担体25
gに吸着させた。ついで、ODS担体275gを充填し
た径3.2cmのカラム内の上記担体上に上記抽出物吸
着担体をチャージし、ODSカラムを作成した。このO
DSカラムを用いて下記の条件で精製を行なった。溶出
溶剤としてa)メタノール:アセトニトリル:水=7:
7:6を1.5リットル、b)メタノール:アセトニト
リル:水=8:8:4を1.2リットル、c)メタノー
ル:アセトニトリル:水=9:9:2を150ml、
d)メタノール:アセトニトリル:水=19:19:2
を1リットル、e)メタノールを1リットル、この順に
流速10.5ml/分で流した。分画は、溶剤組成を変
更する毎に行い、特にメタノール:アセトニトリル:水
=19:19:2の溶出画分は、適宜フラクションコレ
クターを用いて少量ずつ(2分間ずつ)分画した。各溶
出画分について、ODS−80TM、内径4.6mm×
長さ25.0cmの東ソー社製のカラムを用いたHPL
C(日立社製、ポンプL−6000、L−6200、検
出器L−3000、カラムオープン655A−52)に
おいて、検出波長210nm、カラム温度40℃、流速
1ml/分の条件で、溶離液として水:アセトニトリ
ル:メタノール=6:7:7(0分)〜0:1:1(3
0分)を用いて分析を行った。上記画分のうちリテンシ
ョンタイムが18〜20分のピークを含むもののみを集
め、同一画分とし(100mg)、メタノール−水を用
いて繰り返し再結晶を行い、針状結晶45mgを得た。
【0025】この物質の構造は、種々の機器分析データ
より式[I]であると決定した。
【0026】実施例2 実施例1と同様にして培養を行い、得られた菌体215
g(湿重量)にジクロロメタン2.15リットルを加
え、30分間超音波処理をした後、さらにジクロロメタ
ン8.6リットルを添加し、全体を室温で1時間攪拌し
た。菌体を濾別後、得られた濾液を濃縮乾固した。この
抽出物の乾固物を少量のヘキサンに溶解した後、ヘキサ
ン相をメタノールで3回抽出処理した。ヘキサン不溶物
とメタノール抽出物をメタノールに再溶解した。
【0027】次に、上記により得られた溶剤抽出物を、
ODS担体28gに吸着させた。ついで、ODS担体2
75gを充填した径3.2cmのカラム内の上記担体上
に上記抽出物吸着担体約30gをチャージし、ODSカ
ラムを作成した。このODSカラムを用いて下記の条件
で精製を行なった。溶出溶剤としてa)メタノール:ア
セトニトリル:水=7:7:6を1.5リットル、b)
メタノール:アセトニトリル:水=8:8:4を1.2
リットル、c)メタノール:アセトニトリル:水=9:
9:2を200ml、d)メタノール:アセトニトリ
ル:水=19:19:2を1リットル、e)メタノール
を500ml、この順に流速10.5ml/分で流し
た。分画は、溶剤組成を変更する毎に行い、特にメタノ
ール:アセトニトリル:水=19:19:2の溶出画分
は、適宜フラクションコレクターを用いて少量ずつ(2
分間ずつ)分画した。各溶出画分について、ODS−8
0TM、内径4.6mm×長さ25.0cmの東ソー社
製のカラムを用いたHPLC(日立社製、ポンプL−6
000、L−6200、検出器L−3000、カラムオ
ープン655A−52)において、検出波長210n
m、カラム温度40℃、流速1ml/分の条件で、溶離
液として水:アセトニトリル:メタノール=6:7:7
(0分)〜0:1:1(30分)を用いて分析を行っ
た。上記画分のうちリテンションタイムが18〜20分
のピークを含むもののみを集め、同一画分とし(840
mg)、メタノール−水を用いて繰り返し再結晶を行
い、針状結晶の本発明ペプチド330mgを得た。
【0028】この物質の構造は、実施例1と同様にして
種々の機器分析データより式[I]であると決定した。
【0029】構造分析データ 実施例1および2で得られた物質の機器分析データを以
下に示す。
【0030】
【表1】 1.MS ・ESI−MS:m/z=913.6(M+H−H2 O)+ , 931.6(M+H)+ , 953.6(M+Na)+
【表2】 ・HRFAB−MS Found : m/z=913.5079(M+H−H2 O)+ , m/z=913,953,931 (913がメイン,931は非常に小さい) Calcd for : C45698 12 m/z=913.5053
【表3】
【0031】3.アミノ酸分析 加水分解物としてD−セリン、L−アラニンおよびD−
N−メチル−フェニルアラニンが認められた。
【0032】4.組成式 質量分析と後述するNMRのデータから新規ペプチドの
組成式はC4570813であることが分かった。
【0033】5.NMR a)部分構造Aについて HMBCスペクトル測定の結果、アラニン(Ala)の
カルボニル炭素(173.6ppm)とN−CH3 −フ
ェニルアラニン(Phe)のCH3 (3.04ppm)
とにロングレンジの相関が観測されたことにより、Aの
部分構造が推定された。
【0034】b)部分構造B、Cについて1 H− 1H COSY,HOHAHA から同様のスピン系を持つ2
つの成分が推定された。
【0035】
【表4】
【0036】両者の13Cシフトはよく一致しているので
同じ構造のもの(残基)と考えられる。さらに、CH2
プロトンが非等価であることから環状構造と推定でき
る。
【0037】このシフトはモナマイシン(Monamycin )
に含まれれるPiperazic acid(Pip)のものに合うことか
ら、この成分はPip(部分構造Bの左の部分と部分構
造C)と推定された。
【0038】
【表5】 α β γ δ Pip1) 49.8 24.1 21.0 47.0 (CDCl3 溶液) 実測値 52-53 24-25 21 46-48 (CDCl3 溶液)
【0039】また、セリン(Ser)の6.40ppm
のNHとPipの168.9ppmのカルボニルの間に
ロングレンジが観測されたことにより、部分構造Bが推
定された。
【0040】1) C.H.Hassall, W.A.Thomas, M.C.Mosch
idis,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.I, 1977, 2371(1977)
【0041】c)部分構造Dについて1 H− 1Hスピン結合から(CH3 2 −CH−CH−
CH−NH−なる部分構造が導かれ、ロングレンジの 1
H−13C結合によりこの部分構造が確認され、また、1
70.6ppmのカルボニルと4.88ppmのCHと
のスピン結合から、β−OH−ロイシン(Leu)の構
造がわかり、5.46ppmのCHからβ−OH−Le
uがそのβ位でエステル結合していることが推定され
た。
【0042】1H− 1Hスピン結合、ロングレンジの 1
H−13C結合およびNOE(NuclearOverhauser Effect)
の測定結果より、部分構造Dの側鎖部(左)の部分構
造がわかった。
【0043】ロングレンジの 1H−13C結合から、β−
OH−Leuの4.88ppmのCHおよび8.34p
pmのNHと側鎖部の177ppmのカルボニルとにロ
ングレンジの相関が観測されたことにより部分構造Dが
推定された。
【0044】d)新規ペプチドの化学構造について ロングレンジの 1H−13C結合から、Serの170.
2ppmのカルボニルとβ−OH−Leuの5.46p
pmのCHとにロングレンジ相関が観測されたことによ
り、部分構造Bと部分構造DがSerとβ−OH−Le
uの間でエステル結合していることがわかった。また、
β−OH−Leuの5.46ppmのCHとPip(部
分構造C)の4.38ppmのNH、β−OH−Leu
の8.34ppmのNHとPip(部分構造C)の2.
89ppmのCH2 ,4.90ppmのCHとにNOE
が観測されたことから、部分構造Cがβ−OH−Leu
の170.6ppmのカルボニル基に結合していること
がわかった。残る部分構造Aの結合方法は一通りであ
り、新規ペプチドの化学構造を決定した。
【0045】また、Serの6.40ppmとNHとN
−CH3 −Pheの3.04ppmのCH3 の間にもN
OEが観測されていることから、上記構造が正しいこと
が示唆されている。
【0046】e)NMRの測定結果は下記の通りであ
る。
【0047】表6と表7は13Cシフトと炭素タイプ、お
よび直接結合する 1Hを示し、表8〜表10は 1Hシフ
ト、スピン結合する 1H、13C、およびロングレンジ結
合する13Cを示し、表11と表12はNOE測定結果を
示し、表13〜表16は13Cおよび 1Hの帰属を示す。
【0048】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】 製剤の調製例製剤例1 (軟膏剤) 本発明ペプチド 1mg プラスチベース(大正製薬社製) 1g 本発明ペプチド1mgを乳鉢を用いて細かく粉砕した
後、プラスチベース1gを添加し、これらを乳鉢上でよ
く混合して、軟膏剤を調製した。
【0049】製剤例2(軟膏剤) 本発明ペプチド 0.2mg メタノール 12.5μl プラスチベース(大正製薬社製) 1g 本発明ペプチド0.8mgをメタノール50μlに溶解
した後、得られた本発明ペプチド含有メタノールのうち
12.5μlを乳鉢上でプラスチベース1gとよく混合
して軟膏剤を調製した。
【0050】製剤例3(液剤) 本発明ペプチド 0.5mg DMSO 0.1ml 5重量%アラビアゴム水溶液 1.9ml 本発明ペプチド0.5mgにDMSO 0.1mlを添
加して前者を溶解させた後、得られた本発明ペプチド含
有DMSO溶液0.1mlを少量ずつ攪拌しながら5重
量%アラビアゴム溶液1.9mlに添加し、均一に懸濁
した液剤を調製した。
【0051】製剤例4(液剤) 本発明ペプチド 0.5mg 生理食塩水 2ml 本発明ペプチド0.5mgに少量の生理食塩水を添加
し、超音波を用いて均一な懸濁液にした後、生理食塩水
を添加して溶液量を2mlとし、液剤を調製した。
【0052】製剤例5(液剤) 本発明ペプチド 25mg エタノール 2.5ml ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 1mg 生理食塩水 96.5ml 本発明ペプチド25mgをエタノール2.5mlに溶解
した後、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を1mg
を加えた。得られた溶液を少量ずつ攪拌しながら生理食
塩水96.5mlに添加し、液剤を調製した。
【0053】製剤例6(液剤) 本発明ペプチド 10mg マクロゴール400 50ml 生理食塩水 適量 本発明ペプチド10mgをマクロゴール50mlに溶解
した後、これに生理食塩水を加えて100mlにし、液
剤を調製した。
【0054】薬理試験試験例1 抗菌活性 本発明ペプチドのメタノール溶液(10,000μg/
ml)を、最終濃度がそれぞれ2,000μg/ml、
500μg/ml、100μg/ml、5μg/mlお
よび1μg/mlとなるように滅菌水で希釈して、5段
階の希釈液を調製した。約50℃に保った感受性測定用
培地[細菌:Mueller Hinton Broth (Difco 社製) 、カ
ビ:1.5%寒天加ブドウ糖ペプトン培地(日水製薬社
製)]に各希釈液をそれぞれ1/9量加えて十分に混合
した後、この混合液をシャーレに分注し、固化させて感
受性測定用平板培地(本発明ペプチド200μg/m
l、50μg/ml、10μg/ml、0.5μg/m
lおよび0.1μg/ml)を作成した。
【0055】被験菌として、グラム陽性菌であるスタ
フィロコッカス・アウレウス (Staphylococcus aureus)
IFO 12732[黄色ブドウ球菌]、スタフィロコッカス
・アウレウス (Staphylococcus aureus) IID 1677(meth
icillin-resistant S.aureus;MRSA)、[メチシリン耐性
黄色ブドウ球菌]エンテロコッカス・ファエカリス(E
nterocooccus Faecalis) IFO 12964 [腸球菌]および
スタフィロコッカス・エピデルミディス (Staphyloco
ccus epidermidis) IFO 13889 [表皮ブドウ球菌]と、
グラム陰性菌であるシュウドモナス・アルギノサ (Ps
eudomonas aeruginosa) IFO 13275 [緑膿菌]と、カビ
であるトリコフィトン・メンタグロフィテス (Tricho
phyton mentagrophytes) IFO 6202 [白癬菌]を用い
た。
【0056】各被験菌を表17に示す培地および条件で
培養した。細菌〜については培地Mueller Hinton B
rothを用いて菌数が約106 /mlになるように接種用
菌液を調製し、カビについては、滅菌0.005%ス
ルホコハク酸ジオクチルナトリウム溶液にこれを浮遊さ
せ、菌数が約106 /mlとなるように接種用菌液を調
製した。
【0057】こうして得られた接種用菌液を感受性測定
用平板にプラスチック製ループ(内径約1mm)で2c
m程度画線塗抹し、細菌〜は35℃で18〜20時
間、カビは25℃で7日間培養した。
【0058】所定時間培養後、菌の発育が阻止される最
低濃度をもって最小発育阻止濃度(MIC、μg/m
l)とした。こうして得られた結果を表18に示す。
【0059】
【表17】
【表18】 この結果より、本発明ペプチドは現在院内感染などの問
題になっているMRSAを含むグラム陽性菌に対しては非常
に強い菌活性を示すことが認められた。
【0060】試験例2 毒性試験 次の方法でラットに対する本発明ペプチドの毒性を調べ
た。まず、本発明ペプチドを、5重量%アラビアゴム水
溶液にジメチルスルホキサイドを5重量%添加して成る
溶液に懸濁し、供試液とした。被験動物としては体重1
20g〜200gのウイスター雄性ラットを用いた。
【0061】上記供試液をラットに皮下投与し、死亡状
況を確認した。その結果、20mg/kg投与でも死亡
しなかった。
【0062】
【発明の効果】本発明により、グラム陽性菌の増殖阻害
に有効である新規抗生物質を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:465) (56)参考文献 特開 平5−25053(JP,A) 特開 平6−172194(JP,A) 特開 平7−304785(JP,A) 特開 平7−123989(JP,A) 特開 平7−145065(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07K 7/52 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【化1】 で示されるペプチドからなる抗生物質。
  2. 【請求項2】 【化2】 で示されるペプチドを有効成分として含む抗菌剤。
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