JP3134045B2 - ジアクリレート系化合物 - Google Patents

ジアクリレート系化合物

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JP3134045B2 JP07287633A JP28763395A JP3134045B2 JP 3134045 B2 JP3134045 B2 JP 3134045B2 JP 07287633 A JP07287633 A JP 07287633A JP 28763395 A JP28763395 A JP 28763395A JP 3134045 B2 JP3134045 B2 JP 3134045B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なジアクリレ
ート系化合物に関する。詳しくは、高い引張強度を有す
る硬化体を与え、且つ歯質等の生体硬組織、金属材料、
セラミック材料等の親水性表面を有し金属元素を含む物
体に対して高い接着強度を発現する硬化性組成物におい
て、有効な接着成分となるビニルモノマーとして好適な
ジアクリレート系化合物に関する。
【従来の技術】齲蝕等によって形成された歯の比較的小
さな欠損部の修復には、近年、コンポジットレジン、グ
ラスアイオノマーセメント、アマルガム等が用いられて
いるが、中でもコンポジットレジンとグラスアイオノマ
ーセメントは、歯に近い色調と透明感を有するため、審
美性材料として頻繁に使用されている。しかし、これら
二種の歯科用充填材料には、臨床上様々な問題点が指摘
されている。例えばコンポジットレジンは高い機械的強
度を有するものの、それ自身が歯質との接着性を持たな
いため、充填時にボンディング材と呼ばれる接着剤を使
用する必要がある。しかし、かかるボンディング材の使
用が臨床操作を複雑にするのみならず、使用中に口腔内
の水が侵入すると、接着強度が著しく低くなるという不
都合がある。更に、ボンディング材を使用してもコンポ
ジットレジンと歯、特にその象牙質との接着強度が不十
分であるという問題がある。そのため、歯頸部と呼ばれ
る歯の歯肉との境界部分では、象牙質が歯質表面に出て
いるため、コンポジットレジンの脱落がしばしば問題と
なっている。一方、グラスアイオノマーセメントは、コ
ンポジットレジンより親水的な材料であり、ボンディン
グ材を使用する事なく歯質と接着する。そのため、コン
ポジットレジンの様に複雑な接着操作を必要としないも
のの、材料自体の機械的強度が低く、応力の加わる部位
には適用できないという欠点を有する。そこで、コンポ
ジットレジンの歯質との接着性を向上するための試みと
して、様々な種類の歯質接着性モノマーが開発されてい
る。例えば特開昭57−38749号公報には2−
(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−1、3−
ジメタクリロイルオキシプロパンが開示されている。し
かしこのモノマーを用いた硬化性組成物は硬化体表面に
着色成分を吸着し易い、機械的強度が不十分であるなど
の欠点を有する。また特開昭61−127717号公報
には、ビスフェノール類のポリエポキシ化合物のポリ
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシル
基含有芳香族ポリカルボン酸またはその酸無水物、(メ
タ)アクリル酸エステル化合物、無機充填剤及び硬化剤
からなる硬化性組成物が開示されている。しかし、この
組成物は充填材料として用いられた場合には歯との接着
強度が不十分であるという欠点を有する。本願発明者ら
は先に酸性基を有するビニルモノマー、イオン溶出性フ
ィラー、重合開始剤より成る硬化性組成物を提案した
が、該組成物は硬化体表面に着色成分を吸着する場合が
あり、また機械的強度が必ずしも十分でなかった。
【発明が解決しようとする課題】以上の様に、複雑な操
作を必要とせず、湿潤下でも歯質と確実に接着し、着色
が少なく、且つ十分な強度を有する充填材料が望まれて
おり、そのためには新規なマトリックスモノマーの開発
が鍵となっていた。
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記技術
課題を克服すべく鋭意研究を重ねた。その結果、マトリ
ックスモノマーとして特定構造のジアクリレート系化合
物を用いた充填材料が湿潤下で硬化しても歯と確実に接
着し、着色が少なく且つその硬化体は十分な強度を有す
ることを見い出し、本発明を完成するに到った。即ち本
発明は、下記一般式〔1〕
【化2】 (式中、R1およびR4は水素原子又はメチル基、R2
よびR3は炭素数1〜4のアルキレン基を示す。)で表
されるジアクリレート系化合物である。上記一般式
〔1〕中、R2及びR3は炭素数1〜4のアルキル基であ
り、R2の具体例としては下記構造のものが挙げられ、
【化3】 また 3 の具体例としては下記構造のものが挙げられ
る。
【化4】 一般式〔1〕で表されるジアクリレート系化合物の好ま
しい具体例を挙げると次の通りである。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】 (但し、R1、R4は前述の定義通り)前記一般式〔1〕
で示されるジアクリレート系化合物の製造方法は特に限
定されるものではなく、如何なる方法を採用してもよ
い。工業的に好適な方法の一例を具体的に例示すれば次
の通りである。即ち下記一般式〔2〕
【化9】 (但し、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数1〜
4のアルキル基を示す。)で示されるアクリレート系化
合物と、下記一般式〔3〕
【化10】 (但し、R3は炭素数1〜4のアルキレン基を示す。)
で示されるジカルボン酸またはその無水物を反応させモ
ノカルボン酸アクリレート系化合物を得た後、下記一般
式〔4〕
【化11】 (但し、R4は水素原子又はメチル基を示す。)で示さ
れるエポキシ化合物を反応させモノヒドロキシルジアク
リレート系化合物を得、その後にトリメリット酸化合物
を付加することにより前記一般式〔1〕のジアクリレー
ト系化合物が得られる。上記一般式〔2〕で示したアク
リレート系化合物としては公知のものが制限なく用いら
れる。例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリ
レート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒ
ドロキシブチルアクリレート等が好適に用いられる。上
記一般式〔3〕で示したジカルボン酸としては公知のも
のが制限なく用いられるが、例えば、コハク酸、グルタ
ル酸、アジピン酸またはそれらの無水物が好適に用いら
れる。上記一般式〔4〕で示したエポキシ化合物として
はグリシジルメタクリレートが好適であり、また上記反
応のトリメリット酸化合物としては無水トリメリット酸
クロライドが好適に用いられる。上記反応に於て一般式
〔2〕のアクリレート系化合物に対する一般式〔3〕の
ジカルボン酸の反応モル比は1〜2の範囲で反応させる
ことが好適であるが、1.0〜1.5の範囲がより好ま
しい。この時用いられる反応触媒としては公知のものが
使用可能であり、それらを例示すればトリエチルアミ
ン、トリメチルアミン等の脂肪族アミン、またはピリジ
ン等が挙げられ、その添加量は一般式〔1〕の化合物に
対して0.1〜1倍モルの範囲が好適である。またこの
反応に用いる溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジメチルスルフォキシド等が挙げられる。反応の
温度は30〜80℃の範囲から選択することができ、好
ましくは40〜70℃の範囲である。反応時間は特に限
定されなることはなく一般的には1〜50時間程度の範
囲から選択できるが、反応温度との関連で反応物が重合
しない範囲で決定されればよい。またハイドロキノン、
ハイドロキノンモノメチルエーテル、ブチルヒドロキシ
トルエン等の重合禁止剤を少量添加することも好まし
い。反応後は溶媒を減圧除去後、ベンゼン等の水に不溶
性の溶媒に溶解し、塩酸等の酸により洗浄することで反
応触媒を除去することができる。また洗浄後炭酸ナトリ
ウム等の弱アルカリで生成物を水層に抽出してエーテル
等の有機溶媒で洗浄後、再び希塩酸などの酸と酢酸エチ
ル等の水に不溶性の溶媒を用いて有機層に生成物を抽出
し、その後に溶媒を減圧除去することにより純度の高い
生成物が得られる。上記反応に於て一般式〔2〕のアク
リレート系化合物と一般式〔3〕のジカルボン酸との反
応で得られるモノカルボン酸アクリレート系化合物に対
する一般式〔4〕のエポキシ化合物の反応モル比は1〜
2の範囲で反応させることが好適であるが、1.0〜
1.5の範囲がより好ましい。この時用いられる反応触
媒としては公知のものが使用でき、それらを例示すれ
ば、p−トルエンスルホン酸、ピリジン、トリエチルア
ミン、トリメチルアミン、などが挙げられるが、中でも
p−トルエンスルホン酸が好適に用いられる。またこれ
ら反応触媒の添加量は上記モノカルボン酸アクリレート
系化合物に対して0.1〜1倍モルの範囲が好適であ
る。またこの反応は特に溶媒を添加しなくてもよい場合
があるが、必要に応じてベンゼン、トルエン、キシレ
ン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン、ジオキサン、ジメチルスルフォキシド等を使用す
ることができる。反応の温度は室温〜80℃の範囲から
選択することができるが、好ましくは室温〜50℃の範
囲である。反応時間は特に限定されなることはなく一般
的には1〜30時間程度の範囲から選択できるが、反応
温度との関連で反応物が重合しない範囲で決定されれば
よい。またハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチル
エーテル、ブチルヒドロキシトルエン等の重合禁止剤を
少量添加することも好ましい。反応溶媒として水に不溶
性のものを用いた場合には反応溶液を水または炭酸ナト
リウム水溶液等の弱アルカリで洗浄することにより精製
が可能であり、反応溶媒が水に可溶性の場合には、該溶
媒を水に不溶性のもの例えばベンゼン等に置換した後、
上記洗浄による精製が可能である。モノカルボン酸アク
リレート系化合物と一般式〔4〕のエポキシ化合物との
反応で得られるモノヒドロキシルジアクリレート系化合
物に対する無水トリメリット酸クロライド等のトリメリ
ット酸化合物の反応モル比は0.5〜1.5の範囲で反
応させることができるが、0.9〜1.2の範囲がより
好ましい。この時用いられる反応触媒としては公知のも
のが使用可能でき、それらを例示すれば、ピリジン、ト
リエチルアミン、トリメチルアミン等が挙げられる。ま
たこれら反応触媒の添加量は上記モノヒドロキシルジア
クリレート系化合物に対して1〜2倍モル、好ましくは
1〜1.5倍モルの範囲が好適である。またこの反応に
用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、
クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、ジメチルスルフォキシド等を使用する
ことができる。反応の温度は0℃〜40℃の範囲から選
択することができるが、この反応がかなりの発熱反応な
ので反応物の重合を避けるために0℃〜30℃の範囲が
好ましい。反応時間は特に限定されなることはなく一般
的には30分〜3時間程度の範囲から選択できる。また
ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、
ブチルヒドロキシトルエン等の重合禁止剤を少量添加す
ることも好ましい。反応後、触媒の塩酸塩等が固体とし
て析出した場合には濾過により除去でき、析出しなかっ
た場合でも水洗により除去できる。トリメリット酸化合
物としてトリメリット酸クロライドを用いた場合には、
触媒除去後に反応溶液に水を加えて室温付近で強く攪拌
することにより無水物を加水分解してジカルボン酸にす
ることができる。この時テトラヒドロフランのように水
に可溶性の溶媒が共存することにより加水分解の速度を
大きくすることができる。加水分解反応の温度は10〜
40℃の範囲から選べばよく、反応に要する時間は3〜
50時間程度である。該加水分解反応後、溶液を脱水し
溶媒を除去することにより目的とするジアクリレート系
化合物を得ることができる。本発明の前記一般式〔1〕
で表されるジアクリレート系化合物は、例えば歯科用の
接着性充填材のマトリックス成分として好適に使用され
るが、このような場合には上記ジアクリレート系化合物
に加え、更に他のビニルモノマーを用いる事も好ましい
態様である。他のビニルモノマーとして好適に使用され
る代表的なものはアクリル基及び/またはメタクリル基
を有するものであり、具体的に例示すれば次の通りであ
る。 イ)単官能性単量体 メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロ
キシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメ
タクリレート、グリシジルメタクリレート、及びこれら
のアクリレート、あるいはアクリル酸、メタクリル酸、
p−メタクリロキシ安息香酸、N−2−ヒドロキシ−3
−メタクリロキシプロピル−N−フェニルグリシン、4
−メタクリロキシエチルトリメリット酸及びその無水
物、6−メタクリロキシヘキサメチレンマロン酸、10
−メタクリロキシデカメチレンマロン酸、2−メタクリ
ロキシエチルジハイドロゲンフォスフェート、10−メ
タクリロキシデカメチレンジハイドロゲンフォスフェー
ト、2−ヒドロキシエチルハイドロゲンフェニルフォス
フェート。 ロ)二官能性ビニルモノマー (i)芳香族化合物系 2,2−ビス(メタクリロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス〔4−(3−メタクリロキシ)−2−ヒド
ロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシテト
ラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メ
タクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−メタクリロキシジプロポキシフェニル)
プロパン、2(4−メタクリロキシエトキシフェニル)
−2(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパ
ン、2(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)−2
(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパ
ン、2(4−メタクリロキシジプロポキシフェニル)−
2(4−メタクリロキシトリエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−メタクリロキシジプロポキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロキシ
イソプロポキシフェニル)プロパンおよびこれらのアク
リレート (ii)脂肪族化合物系 エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、
ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレン
グリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオール
ジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートお
よびこれらのアクリレート )三官能性ビニルモノマー トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチ
ロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトー
ルトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタ
クリレートおよびこれらのアクリレート及び下記構造式
で表されるモノマー
【化12】 (但し、R1の定義は前述通り) )四官能性ビニルモノマー ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラアクリレート及び下記構造式で表さ
れるウレタン系のモノマー
【化13】 上記他のビニルモノマーは、一種、或いは必要に応じて
二種以上を混合して使用することが可能である。本発明
のジアクリレート系化合物に対する上記他のビニルモノ
マーの好ましい添加量は、重合性の全混合モノマー中に
0〜70重量%であり、より好ましくは5〜50重量%
である。本発明のジアクリレート系化合物または他のビ
ニルモノマーとの混合物に、イオン溶出性フィラーおよ
び重合開始剤を加えた硬化性組成物とすることにより、
湿潤下で硬化しても歯と確実に接着し着色が少なく、且
つ高い硬化体強度を有する接着性充填材が得られる。上
記イオン溶出性フィラーの例としては、2mgeq/g〜6
0mgeq/gの多価金属イオンを溶出するものが挙げられ
る。尚、本発明において、フィラーのイオン溶出量は、
フィラー1gを、温度37℃、pH2.2のアクリル酸水
溶液50ml中に24時間浸漬した時溶出したイオンの量
をいう。また、多価金属イオンとは、前記ジアクリレー
ト系化合物の酸性基と結合可能な2価以上の金属イオン
であり、代表的なものを例示すれば、カルシウム、スト
ロンチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、ランタノ
イド等の金属イオンである。上記イオン溶出性フィラー
としては、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム等
の水酸化物、酸化亜鉛、フルオロアルミノシリケートガ
ラス等の酸化物を例示することができる。本発明に使用
されるイオン溶出性フィラーの量は、例えば使用される
全ビニルモノマー100重量部に対して30〜500重
量部の範囲である。上述したような接着性充填材として
用いられる硬化性組成物の重合開始剤は特に限定され
ず、公知のラジカル発生剤が何等制限なく用いられ得
る。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベ
ンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイル
パーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、
クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキ
サン2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチル
ケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシ
ベンゾエート等のような有機過酸化物、アゾビスイソブ
チロニトリルのようなアゾ化合物、トリブチルホウ酸の
ような有機酸化合物等が好適である。又、上記有機過酸
化物とアミンを組み合わせて用いる事により重合を常温
で行う事も可能であるが、この様なアミンとしてはアミ
ノ基がアリール基に結合した第二級又は第三級アミンが
硬化促進性の点で好ましく用いられる。例えば、N,
N′−ジメチル−p−トルイジン、N,N′−ジメチル
アニリン、N′−β−ヒドロキシエチル−アニリン、
N,N′−ジ(β−ヒドロキシエチル)−アニリン、
N,N′−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジ
ン、N−メチル−アニリン、N−メチル−p−トルイジ
ン等が好ましい。また、重合開始剤として、光照射によ
りラジカルを発生する光増感剤を用いる事も好ましい態
様である。紫外線に対する光増感剤の例としては、ベン
ゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチル
エーテル、アセトインベンゾフェノン、p−クロロベン
ゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノンが挙げられ
る。又、可視光線で重合を開始する光増感剤は、人体に
有害な紫外線を必要としないためより好適に使用され
る。これらの例として、ベンジル、カンファーキノン、
α−ナフチル、アセトナフセン、p,p′−ジメトキシ
ベンジル、p,p′−ジクロロベンジルアセチル、ペン
タンジオン、1,2−フェナントレンキノン、1,4−
フェナントレンキノン、3,4−フェナントレンキノ
ン、9,10−フェナントレンキノン、ナフトキノン等
のα−ジケトン類等が挙げられる。中でもカンファーキ
ノンが最も好ましく用いられる。又上記光増感剤に光重
合促進剤を組み合わせて用いる事も好ましい。かかる光
重合促進剤としては、N,N−ジメチルアニリン、N,
N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリ
ン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−
p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、
N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,
N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチル
アニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−
ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベ
ンゾイックアシッド、p−ジメチルアミノベンゾイック
アシッドエチルエステル、p−ジメチルアミノベンゾイ
ックアシッドアミノエステル、N,N−ジメチルアンス
ラニリックアシッドメチルエステル、N,N−ジヒドキ
シエチルアニリン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−
トルイジン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコー
ル、p−ジメチルアミノスチルペン、N,N−ジメチル
−3,5−キシリジン、4−ジメチルアミノピリジン、
N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N−ジメ
チル−β−ナフチルアミン、トリブチルアミン、トリプ
ロピルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノ
ールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−
ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルア
ミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジ
メチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチル
アミノエチルメタクリレート、2,2′−(n−ブチル
イミノ)ジエタノール等の第3級アミン類;5−ブチル
バルピツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルピツ
ール酸等のバルピツール酸類等が好適に使用出来る。こ
れらの光重合促進剤のうち少なくとも一種を選んで用い
ることができ、さらに二種以上を混合して用いることも
できる。上記重合開始剤の添加量は適宜決定され、一般
には重合性の全ビニルモノマーに対して0.1〜3重量
%の範囲から選ぶことができる。
【実施例】以下、実施例および用途例によって本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定される
ものではない。尚、本文中並びに実施例、用途例中に示
した材料の性状、物性の測定方法については次の通りで
ある。 (1)硬化体の引張強度 硬化性組成物を3mmラ6mmφの穴を有するモールド中で
硬化させた後、37℃で1時間保持した。硬化には必要
に応じて可視光線照射器、ホワイトライト(タカラベル
モント社製)による照射を30秒間行った。次に硬化体
をモールドから取り出し、37℃の水中に71時間浸漬
したのち、テンシロン(東洋ボールドウィン社製)によ
りクロスヘッドスピード1mm/minにて硬化体のダイヤ
メトラル引張強度を測定した。 (2)硬化体の圧縮強度 硬化性組成物を3mmラ4mmφの孔を有するモールド中で
硬化させた後、37℃で1時間保持した。硬化には必要
に応じて可視光線照射器、ホワイトライト(タカラベル
モント社製)による照射を30秒間行った。次に硬化体
をモールドから取り出し、37℃の水中に71時間浸漬
したのち、テンシロン(東洋ボールドウィン社製)によ
りクロスヘッドスピード1mm/minにて硬化体の圧縮強
度を測定した。 (3)歯質との接着強度 牛歯を注水下、#800のエメリーペーパーで研磨し、
象牙質平面を削り出した。この平面に直径4mmの孔のあ
いた両面テープを貼り、その上に直径6mmの孔のあいた
厚さ3mmのパラフィンワックスを、両面テープと中心が
一致する様にして貼った。該円孔に硬化性組成物を充填
後硬化させ、37℃の水中に24時間浸漬した後、硬化
体表面に直径8mm長さ18mmのステンレス棒を瞬間接着
剤にて固定した。そしてテンシロンを用いて、牛歯とス
テンレス棒の間に引張荷重(クロスヘッドスピード10
mm/min )を加える事により、歯質と硬化体との接着強
度を測定した。また、湿潤下での接着強度は、上記方法
において、硬化性組成物を充填前にスポンジを用いて象
牙質平面に水を薄く塗布した後に、上記と同様の方法に
より測定した。 (4)着色試験 引張強度測定と同一の方法で硬化体を作製した。この硬
化体をインスタントコーヒー(ネスカフェエクセラ)の
7.4%水溶液に37℃で24時間浸漬し、浸漬前後の
色調変化(ΔE*)を色差計(日本電色社製)で測定し
た。該ΔE*値が小さい程色調変化が少ない、即ち着色
が小さいことを示す。尚、コンポジットレジン及びグラ
スアイオノマーセメントの接着強度は、各使用方法に従
い充填硬化させた後同様の方法により測定した。実施例
1300mlのナス形フラスコにβーメタクリロイルオ
キシエチルハイドロサクシネート(商品名HOMS、共
栄社油脂化学工業社製)55g、グリシジルメタクリレ
ート(和光純薬社製)28g、p−トルエンスルホン酸
11.4g、クロロホルム100mlを入れ、室温にて
2時間攪拌した。反応液にクロロホルム200mlを加
えた後、水300ml、1N炭酸ナトリウム水溶液30
0ml、再び水300mlの順で洗浄した。有機層に無
水硫酸ナトリウム10gを加えて乾燥し、濾過後溶媒を
減圧除去することにより無色液体73gを得た。500
mlのナス形フラスコに無水トリメリット酸クロライド
32g、ピリジン13g、ベンゼン200mlを入れ、
氷冷下に攪拌しながら上記無色液体57gをベンゼン1
00mlに溶かした溶液を1時間かけて滴下し後、この
反応液を室温に戻してから1時間攪拌した。この溶液を
濾過してピリジンの塩酸塩を除去し、濾液から溶媒を減
圧除去した。得られた生成物にテトラヒドロフラン25
0ml、水250mlを加え、1晩攪拌した。この溶液
にクロロホルム300mlを加え生成物を抽出してから
水400mlで2回洗浄した。有機層を分離後無水硫酸
ナトリウム10gを加えて乾燥し、濾過後、活性アルミ
ナを用いたカラムクロマトグラフィーにより生成物を生
成後溶媒を減圧除去して無色粘稠液体49gを得た。こ
の生成物の赤外分光分析、核磁気共鳴分析、及び元素分
析の結果により、下記構造〔5〕で示される化合物であ
ることを確認した。 赤外分光分析 1500、1580、1610cm-1(芳香環に基く吸
収) 1640cm-1(C=C二重結合に基く吸収) 1730cm-1(カルボン酸のカルボニル基に基く吸収) 核磁気共鳴分析 1.9ppm、1重線、プロトン6個分(メタクリルの
メチルに基く吸収) 2.6ppm、1重線、プロトン4個分(コハク酸由来
のメチレンに基く吸収) 3.4〜3.9ppm、多重線、プロトン4個分(トリ
メリット酸エステルに結合するメチンの両わきにあるメ
チレンに基く吸収) 4.1〜4.3ppm、多重線、プロトン1個分(トリ
メリット酸エステルに結合するメチンに基く吸収) 4.3ppm、1重線、プロトン4個分(ヒドロキシエ
チルメタクリレート由来のメチレンに基く吸収) 5.6、6.2ppm、2重線、プロトン4個分(メタ
クリルのメチレンに基く吸収) 7.8〜8.5ppm、5重線、プロトン3個分(ベン
ゼン環に基く吸収) 10.3ppm、1重線、プロトン2個分(カルボン酸
に基く吸収)
【化14】 実施例2 500mlの三ッ口フラスコにテトラヒドロフラン20
0ml、ヒドロキシプロピルアクリレート(共栄社油脂
化学工業社製)38g、無水コハク酸(和光純薬社製)
34g、ピリジン(和光純薬社製)30gとハイドロキ
ノンモノメチルエーテル(和光純薬社製)少量を入れ、
55〜60℃で攪拌しながら24時間反応させた。反応
終了後、溶媒を減圧除去し、残った反応物を300ml
のベンゼンに溶解した。そしてこの溶液に5%塩酸溶液
をpHが3〜4になるまで加え、次に分離した有機層を
希塩酸、蒸留水で洗浄し、その後希炭酸ナトリウム溶液
で抽出した。次にこの抽出液をエーテルで洗浄後、5%
塩酸溶液をpHが3〜4になるまで加え酢酸エチルによ
り反応物を抽出した。この抽出液を無水炭酸ナトリウム
で乾燥後、溶媒を減圧除去して無色液体65gを得た。
300mlのナス形フラスコに上記無色液体57g、グ
リシジルメタクリレート(和光純薬社製)28g、p−
トルエンスルホン酸11.4g、クロロホルム100m
lを入れ、室温にて2時間攪拌した。反応液にクロロホ
ルム200mlを加えた後、水300ml、1N炭酸ナ
トリウム水溶液300ml、再び水300mlの順で洗
浄した。有機層に無水硫酸ナトリウム10gを加えて乾
燥し、濾過後溶媒を減圧除去することにより無色液体5
9gを得た。500mlのナス形フラスコに無水トリメ
リット酸クロライド32g、ピリジン13g、ベンゼン
200mlを入れ、氷冷下に攪拌しながら上記無色液体
57gをベンゼン100mlに溶かした溶液を1時間か
けて滴下した後、この反応液を室温に戻してから1時間
攪拌した。この溶液を濾過してピリジンの塩酸塩を除去
し、濾液から溶媒を減圧除去した。得られた生成物にテ
トラヒドロフラン250ml、水250mlを加え、1
晩攪拌した。この溶液にクロロホルム300mlを加え
生成物を抽出してから水400mlで2回洗浄した。有
機層を分離後無水硫酸ナトリウム10gを加えて乾燥
し、濾過後、活性アルミナを用いたカラムクロマトグラ
フィーにより生成物を生成後溶媒を減圧除去して粘稠液
体40gを得た。この生成物の赤外分光分析、核磁気共
鳴分析、及び元素分析の結果により、下記構造〔6〕で
示される化合物であることを確認した。 赤外分光分析 1500、1580、1610cm-1(芳香環に基く吸
収) 1640cm-1(C=C二重結合に基く吸収) 1730cm-1(カルボン酸のカルボニル基に基く吸収) 核磁気共鳴分析 1.9ppm、1重線、プロトン3個分(メタクリルの
メチルに基く吸収) 0.9、1.0ppm、2重線、プロトン3個分(ブチ
ルのメチルに基く吸収) 2.6ppm、1重線、プロトン4個分(コハク酸のメ
チレンに基く吸収) 3.4〜3.9ppm、多重線、プロトン4個分(トリ
メリット酸エステルに結合するメチンの両わきにあるメ
チレンに基く吸収) 4.1〜4.3ppm、多重線、プロトン3個分(トリ
メリット酸エステルに結合するメチンとブチルのメチレ
ンに基く吸収) 4.7〜5.2ppm、多重線、1個分(ブチルのメチ
ンに基く吸収) 5.6〜6.4ppm、多重線、プロトン5個分(メタ
クリルのメチレンとアクリルのメチレン、メチンに基く
吸収) 7.8〜8.5ppm、5重線、プロトン3個分(ベン
ゼン環に基く吸収) 10.3ppm、1重線、プロトン2個分(カルボン酸
に基く吸収)
【化15】 実施例3 500mlの三ッ口フラスコにテトラヒドロフラン20
0ml、ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社油脂
化学工業社製)39g、無水グルタル酸(和光純薬社
製)39g、ピリジン(和光純薬社製)30gとハイド
ロキノンモノメチルエーテル(和光純薬社製)少量を入
れ、55〜60℃で攪拌しながら24時間反応させた。
反応終了後、溶媒を減圧除去し、残った反応物を300
mlのベンゼンに溶解した。そしてこの溶液に5%塩酸
溶液をpHが3〜4になるまで加え、次に分離した有機
層を希塩酸、蒸留水で洗浄し、その後希炭酸ナトリウム
溶液で抽出した。次にこの抽出液をエーテルで洗浄後、
5%塩酸溶液をpHが3〜4になるまで加え酢酸エチル
により反応物を抽出した。この抽出液を無水炭酸ナトリ
ウムで乾燥後、溶媒を減圧除去して無色液体66gを得
た。300mlのナス形フラスコに上記無色液体61
g、グリシジルメタクリレート(和光純薬社製)28
g、p−トルエンスルホン酸11.4g、クロロホルム
100mlを入れ、室温にて2時間攪拌した。反応液に
クロロホルム200mlを加えた後、水300ml、1
N炭酸ナトリウム水溶液300ml、再び水300ml
の順で洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウム10gを
加えて乾燥し、濾過後溶媒を減圧除去することにより無
色液体81gを得た。500mlのナス形フラスコに無
水トリメリット酸クロライド32g、ピリジン13g、
ベンゼン300mlを入れ、氷冷下に攪拌しながら上記
無色液体57gを1時間かけて滴下した後、この反応液
を室温に戻してから1時間攪拌した。この溶液を濾過し
てピリジンの塩酸塩を除去し、濾液から溶媒を減圧除去
した。得られた生成物にテトラヒドロフラン250m
l、水250mlを加え、1晩攪拌した。この溶液にク
ロロホルム300mlを加え生成物を抽出してから水4
00mlで2回洗浄した。有機層を分離後無水硫酸ナト
リウム10gを加えて乾燥し、濾過後、活性アルミナを
用いたカラムクロマトグラフィーにより生成物を生成後
溶媒を減圧除去して粘稠液体40gを得た。この生成物
の赤外分光分析、核磁気共鳴分析、及び元素分析の結果
により、下記構造〔7〕で示される化合物であることを
確認した。 赤外分光分析 1500、1580、1610cm-1(芳香環に基く吸
収) 1640cm-1(C=C二重結合に基く吸収) 1730cm-1(カルボン酸のカルボニル基に基く吸収) 核磁気共鳴分析 1.9ppm、1重線、プロトン6個分(メタクリルの
メチルに基く吸収) 1.3〜1.8ppm、多重線、プロトン2個分(グル
タル酸の中央のメチレンに基く吸収) 2.2〜2.4ppm、4重線、プロトン4個分(グル
タル酸の左右のメチレンに基く吸収) 3.4〜3.9ppm、多重線、プロトン4個分(トリ
メリット酸エステルに結合するメチンの両わきにあるメ
チレンに基く吸収) 4.1〜4.3ppm、多重線、プロトン1個分(トリ
メリット酸エステルに結合するメチンに基く吸収) 4.3ppm、1重線、プロトン4個分(ヒドロキシエ
チルメタクリレート部分のメチレンに基く吸収) 5.6、6.2ppm、2重線、プロトン4個分(メタ
クリルのメチレンに基く吸収) 7.8〜8.5ppm、5重線、プロトン3個分(ベン
ゼン環に基く吸収) 10.3ppm、1重線、プロトン2個分(カルボン酸
に基く吸収)
【化16】 用途例1 シリカ120g、水酸化アルミニウム42g、人造氷晶
石28g、リン酸アルミニウム78g、フッ化アルミニ
ウム24g、フッ化カルシウム76gより成る粉末をボ
ールミルで3時間混合して得られた混合粉末を白金坩堝
に取り1400℃で30分間加熱熔融した。続いて熔融
物を水浴中で急冷し、得られたガラスを振動ボールミル
で粉砕した。粉砕して得られた粉末を400メッシュの
ナイロン製ふるいにかけ、ふるいを通過した粉末150
gを1リットルのメタノールに分散させ、1時間以内に
沈降しないもの(以下フィラーAとする)を採取した。
前記実施例1に従って合成された構造式〔5〕のジアク
リレート系化合物80重量部とヒドロキシエチルメタク
リレート(HEMA)20重量部の混合物にカンファー
キノン(CQ)、p−ジメチルアミノベンゾイックアシ
ッドエチルエステル(DMBE)を各々0.5重量%を
溶解したもの10gとフィラーA15gを遮光下で混合
後、真空脱泡し硬化性組成物を調製した。上記硬化性組
成物の歯質との接着強度は85kg/cm2,湿潤下で83k
g/cm2、引張強度312kg/cm2、圧縮強度267
0kg/cm2、コーヒー着色量はΔE*=8.4だった。 用途例2 前記実施例2に従って合成された構造式〔6〕のジアク
リレート系化合物50重量部とヒドロキシエチルメタク
リレート50重量部の混合物にカンファーキノン、p−
ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステルを
各々1.0重量%を溶解したもの10gとフィラーA1
5gを遮光下で混合後、真空脱泡し硬化性組成物を調製
した。上記硬化性組成物の歯質との接着強度は73kg/
cm2,湿潤下で69kg/cm2、引張強度331kg/cm2
圧縮強度2910kg/cm2、コーヒー着色量はΔE*=
9.1だった。 用途例3 前記製造例3に従って合成された構造式〔7〕のジアク
リレート系化合物80重量部とトリエチレングリコール
ジメタクリレート20重量部の混合物にカンファーキノ
ン、p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエ
ステルを各々0.5重量%を溶解したもの10gとフィ
ラーA15gを遮光下で混合後、真空脱泡し硬化性組成
物を調製した。上記硬化性組成物の歯質との接着強度は
71kg/cm2,湿潤下で74kg/cm2、引張強度348kg
/cm2、圧縮強度3230kg/cm2、コーヒー着色量はΔ
E*=6.5だった。 用途例4〜6 フィラーとして表1に示すフルオロアルミノシリケート
ガラスを調製し、使用した以外は、用途例1と同様の方
法により試験を行った。用途例1、4〜6の結果を表1
に示す。 比較例1,2 市販の歯科用コンポジットレジン、商品名:パルフィー
クライト(徳山曹達株式会社製)〔酸性基を有しない多
官能性ビニルモノマー、シリカフィラー、α−ジケトン
系重合開始剤を主成分とする〕と付属のボンディング材
による試験結果を比較例1、歯科充填用グラスアイオノ
マーセメント、商品名:フジアイオノマーII(而至歯
科工業株式会社製)〔ポリカルボン酸水溶液、フルオロ
アルミノシリケートガラスを主成分とする〕による試験
結果を比較例2として表1に示す。
【表1】 比較例3 下記構造の酸性基を有するビニルモノマー(東亜合成社
製、M−5500)にカンファーキノン、p−ジメチル
アミノベンゾイックアシッドエチルエステルを各々0.
5重量%を溶解したもの10gとフィラーA20gを遮
光下で混合後、真空脱泡し硬化性組成物を調製した。
【化17】 上記硬化性組成物の歯質との接着強度は83kg/cm2
湿潤下で77kg/cm2、引張強度は213kg/cm2,圧縮
強度1220kg/cm2、コーヒー着色量はΔE*=25.
1だった。 比較例4 二官能性ビニルモノマー商品名D−GMA(新中村化学
社製)48重量部、同じく二官能性ビニルモノマーD−
2.6Eを24重量部、下記構造の酸性基を有するビニ
ルモノマー4重量部とウレタン結合を有する二官能性ビ
ニルモノマー商品名アートレジンSH−400(新中村
化学社製)24重量部の混合物に、カンファーキノン、
p−ジメチルアミノベンゾイックアシッドエチルエステ
ルを各々0.5重量%を溶解したもの10gとフィラー
A20gを遮光下で混合後、真空脱泡し硬化性組成物を
調製した。
【化18】 上記硬化性組成物の歯質との接着強度は19kg/c
m2,湿潤下で10kg/cm2、引張強度は342kg/cm2
圧縮強度3580kg/cm2、コーヒー着色量はΔE*=
5.8だった。
【発明の効果】本発明のジアクリレート系化合物をマト
リックスとする充填材料は、湿潤下においても高い接着
力を示すため、歯牙の修復のような臨床において確実な
接着強度の発現を期待できる。又、この充填材は、グラ
スアイオノマーセメントに比べて高い引張強度を有する
ため、その破壊による接着強度の低下がないばかりでな
く、臨床において摩耗、破折等の起こり難いことが期待
される。しかも、コンポジットレジン修復において不可
欠なボンディング材を必要とせず、臨床術式が簡素であ
るという利点も有する。更に又、口内の飲食物等による
着色が少ない。これらの特長により、本発明のジアクリ
レート系化合物は歯科用充填材料のマトリックス成分と
してはもとより、コンポジットレジンのボンディング
材、裏装材、更には歯科用シーラント、その他の充填材
料、接着材料のマトリックス成分としても使用すること
が出来る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式、 【化1】 (式中、R1およびR4は水素原子又はメチル基、R2
    よびR3は炭素数1〜4のアルキレン基を示す。)で表
    されるジアクリレート系化合物。
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