JP3132795B2 - エポキシ樹脂組成物、その硬化物および半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、その硬化物および半導体装置

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JP3132795B2
JP3132795B2 JP06001121A JP112194A JP3132795B2 JP 3132795 B2 JP3132795 B2 JP 3132795B2 JP 06001121 A JP06001121 A JP 06001121A JP 112194 A JP112194 A JP 112194A JP 3132795 B2 JP3132795 B2 JP 3132795B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェノール化合物を共
縮合させることにより低溶融粘度化された、β−ナフト
ールアラルキル樹脂を硬化剤として用いることにより、
耐熱性、耐湿性、機械的性能、耐酸化安定性等に優れ、
且つ、溶融流動性に優れることを特徴とするエポキシ樹
脂組成物、その硬化物およびその硬化物により封止され
た半導体装置に関するものである。特に、エポキシ樹脂
としてビフェノール型エポキシ樹脂あるいはo−クレゾ
ールノボラック型エポキシ樹脂を用いたとき、その効果
は大である。
【0002】
【従来の技術】従来、フェノール樹脂は、性能のバラン
スが優れ、且つ、安価な材料として、マトリックス樹脂
や各種成形材料として工業的に利用されてきた。しかし
ながら、近年、各産業分野の発達にともない、要求され
る性能がより高度なものとなっており、従来のフェノー
ル樹脂ではその要求性能に対応することが難しくなって
いるのが現状である。例えば、ICの封止材分野におい
ては、従来からエポキシ樹脂組成物を用いて素子を封止
する方法が広く用いられ、そのエポキシ樹脂原料とし
て、また硬化剤としてフェノール樹脂が利用されてい
る。
【0003】ところが、近年においては、ICの高集積
化にともなう素子の大型化および発生熱量の増大など、
封止材に対する負荷が増大している一方で、技術的には
より実装密度を上げるためにパッケージに対する要求は
より小型、薄型であることが求められている。また、最
近は実装方法にも変化が生じ、従来の配線盤裏からの半
田付けを行う方法から、溶融半田浴中への浸漬やIRリ
フローによる方法へと変化してきており、それにともな
いパッケージそのものが高温にさらされることとなる。
したがって、封止材に対して求められる性能は高い水準
が求められ、特に、耐熱性および耐湿性において求めら
れる水準の向上は著しいものがある。
【0004】従来、かかる用途におけるエポキシ樹脂用
硬化剤として最も汎用に用いられているフェノール樹脂
は、フェノールノボラック樹脂である。しかし、最近の
実装方法においては、上述の様にパッケージそのものが
高温に曝されるため、各性能における水準の向上が求め
られ、特にその吸湿率の大きさが問題となっている。す
なわち、樹脂中に吸湿されている水分が、急激に高温下
に置かれることにより一気に気化、膨張しパッケージに
クラックを発生させる、またボンディングワイヤーを変
形させるといった、製品そのものの品質、信頼性に関す
る重大な問題が発生している。この様な問題に対して、
近年、ノボラック樹脂のメチレン架橋にかわりキシリレ
ン架橋を有する、一般式(IV)(化3)で表されるフェ
ノールアラルキル樹脂(特開昭59−105018、特
公昭62−28165)や、一般式(V)(化3)で表
されるナフトールアラルキル樹脂(特開平3−9007
5、特開平4−93320)等が提起されている。
【0005】
【化3】 (式中、mは0〜100 、nは0〜15の整数を示す)
【0006】これらはいずれも、連結基としてキシリレ
ン基を持つために、ノボラック樹脂と比較して水酸基密
度が小さく、従って吸湿率が大きく低下している。しか
しながら、フェノールアラルキル樹脂においては、水酸
基密度の低下にともなう架橋密度の低下に起因して、ガ
ラス転移温度等の耐熱性の低下という問題が生じてい
る。また、ナフトールアラルキル樹脂に関しては、フェ
ノールアラルキル樹脂よりさらに吸水率が低下し、耐熱
性の低下もそのナフタレン骨格の存在により抑制され、
物性的には高い水準が達成されている。
【0007】一方、例えば、封止材として用いられるマ
トリックス樹脂に求められる性能としては、耐熱性、機
械的物性等の諸性能の他に、樹脂の軟化点および溶融粘
度の低さが求められている。軟化点に関しては、コンパ
ウンド化に際して、溶融混練が可能となる100℃以下
が求められており、溶融粘度に関しては、コスト面お
よび物性面から充填剤の充填率の向上を図る、コンパ
ウンドとしての溶融流動性を高める、等のために、実装
時の充填不足や樹脂封止の際のコンパウンドの圧力によ
るボンディングワイヤーの変形を防ぐ、という観点か
ら、より低い溶融粘度、具体的には、150℃における
ICI溶融粘度において、5ポイズ以下、より好ましく
は3ポイズ以下、理想的には2ポイズ以下であることが
求められている。
【0008】前述のナフトールアラルキル樹脂における
問題点としては、β−ナフトールアラルキル樹脂では、
その溶融粘度が高いことである。そのため、先に述べた
ように樹脂封止の際に、その負荷によりボンディングワ
イヤーを変形、切断したり、充填不足を起こすことによ
る製品の分留まりの低下や、充填材の充填率が上げられ
ず、物性的、コスト的に不利になること等が挙げられて
いる。また、αーナフトールアラルキル樹脂において
は、前記β−ナフトールアラルキル樹脂よりも溶融粘度
の低い樹脂が得られるものの、エポキシ樹脂の一般的な
硬化触媒であるトリフェニルホスフィン(TPP)が、
α−ナフトールアラルキル樹脂との接触により酸化さ
れ、トリフェニルホスフィンオキサイド(TPPO)と
なり触媒能力を失うという致命的な欠点がある。この現
象は、β−ナフトールアラルキル樹脂においては認めら
れず、ナフタレン環に対する水酸基および連結基の結合
位置の違いによるものと推定される。
【0009】本発明者らは、後述の参考例で明らかにす
るが、α−ナフトールアラルキル樹脂とTPPを接触さ
せ、樹脂中のリンを、31P−NMRにて観測すると、本
来3価であるべきリンが5価へと変化し、TPPOにお
けるリンのシグナルと一致することを確認したのであ
る。このことはすなわち、エポキシ樹脂用硬化剤として
α−ナフトールアラルキル樹脂を用いたとき、その組成
物は経時的に硬化能力を失うため、保存することが非常
に困難であり、実質的な使用が難しいことを示してい
る。したがって、α−ナフトール樹脂をエポキシ樹脂用
硬化剤として用いる際は、TPP以外の硬化触媒が必要
となり、実質的に用途範囲が大幅に限定されている。
【0010】また、特開平5−125158には、ナフ
トールアラルキル樹脂の、更なる耐熱性の向上を目的と
した、フェノール成分を共縮合させたナフトールアラル
キル樹脂が開示されている。しかしながら、特開平5−
125158における目的はガラス転移温度、耐熱性の
向上にあり溶融流動性に対しては触れられていない。ま
た、特開平5−125158には、反応性の観点からα
−ナフトールを用いることが望ましいとされ、具体的な
実施例においてもα−ナフトールを用いたものしか開示
されていない。したがって、前記のようなTPPの酸化
に関する問題は、依然残されたままとなっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明において解決す
べき課題は、前述の如く近年の電気・電子分野における
要求を満足させるエポキシ樹脂組成物、および、優れた
性能を示す硬化物を提供することにあり、またその硬化
物により封止された半導体装置を提供することにある。
具体的には、前述の耐熱性および耐湿性等、β−ナフト
ールアラルキル樹脂の優れた特徴を損なうこと無く、低
溶融粘度化をはかることにより、半導体封止材用途にお
いてより適した材料とするものである。
【0012】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意検討した結果、共縮合によりβ−ナ
フトールアラルキル樹脂中にフェノール成分を導入する
ことにより、溶融粘度が低下することを見いだし、本発
明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明
は、エポキシ樹脂組成物において、成分(A)として一
分子中に2個以上のエポキシ基を持つエポキシ樹脂、成
分(B)としてβ−ナフトール(N成分)、一般式
(I)(化4)で表されるフェノール化合物(P成分)
および一般式(II)(化4)で表されるp−キシリレン
化合物(X成分)とを、N/P=1〜10、X/(N+
P)=0.1〜0.5のモル比で共縮合させて得られ
る、150℃におけるICI溶融粘度が5ポイズ以下で
あるフェノール変性β−ナフトールアラルキル樹脂、を
含有してなるエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0013】
【化4】 (式中、R1 は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素
数1〜10のアルキル基およびアルコキシ基または炭素
数6〜9のアリール基、アリールオキシ基、アラルキル
基、シクロアルキル基を示し、R2 は水酸基、ハロゲン
原子または炭素数1〜4の低級アルコキシ基を示す) さらに、前記エポキシ樹脂組成物と、全重量に対して5
0重量%〜92重量%の無機および/または有機充填剤
を配合してなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物に関す
るものであり、またそれらの硬化物およびその硬化物に
より封止された半導体装置に関するものである。
【0014】本発明は、TPPに対し酸化作用を及ぼさ
ないβ−ナフトールアラルキル樹脂を特定の範囲のフェ
ノール成分により変性することで、溶融粘度を著しく低
下させうること、これをエポキシ樹脂に対する硬化剤と
して用いた場合、耐熱性、耐湿性、機械的性能が損なわ
れること無く、溶融流動性に優れたエポキシ樹脂組成物
が得られることを見い出したことによるものである。本
発明のエポキシ樹脂組成物は、フェノール化合物と、特
定のモル比における共縮合により低溶融粘度化されたβ
−ナフトールアラルキル樹脂を硬化剤として用いること
を特徴としているため、諸性能に加え、且つ、溶融流動
性に優れることから、成形性に優れる、充填剤の充
填率を高めることが可能である、という特徴を有し、し
たがって、注型、積層、成形、接着、封止、複合材等の
用途で有用であり、特に、半導体集積回路(IC)の封
止材としての使用などにおいてより好ましいものであ
る。
【0015】次に、本発明において用いられるフェノー
ル変性β−ナフトールアラルキル樹脂を製造する方法を
説明する。β−ナフトールと共縮合させるフェノール類
としては、一価または二価フェノール、その置換フェノ
ール等が挙げられる。具体的にはフェノール、o−クレ
ゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチル
フェノール、p−エチルフェノール、o−イソプロピル
フェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−シク
ロヘキシルフェノール、p−クロロフェノール、o−ブ
ロモフェノール、p−ブロモフェノール、p−t−ブチ
ルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフ
ェノール、p−クミルフェノール、p−フェニルフェノ
ール、o−フェニルフェノール、p−フェノキシフェノ
ール、o−メトキシフェノール、p−メトキシフェノー
ル、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン等があげ
られ、特に、フェノール、クレゾール、o−ブロモフェ
ノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノー
ル等の使用が好ましい。
【0016】β−ナフトールとこれらフェノール成分の
連結基として導入するためのキシリレン化合物として
は、一般式(II)で表されるアラルキル化合物である。
2 は塩素原子、臭素原子、フッ素原子等のハロゲン原
子、水酸基、炭素数1〜4までのアルコキシ基である。
具体的に挙げれば、α,α’−ジクロロ−p−キシレ
ン、α,α’−ジフルオロ−p−キシレン、α,α’−
ジブロモ−p−キシレン、α,α’−ジヨード−p−キ
シレン、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン、α,
α’−ジエトキシ−p−キシレン、α,α’−ジイソプ
ロポキシ−p−キシレン、α,α’−ジ−n−プロポキ
シ−p−キシレン、α,α’−ジ−n−ブトキシ−p−
キシレン、α,α’−ジ−sec−ブトキシ−p−キシ
レン、α,α’−ジイソブトキシ−p−キシレン、α,
α’−ジヒドロキシ−p−キシレンであり、中でも、好
適には、α,α’−ジメトキシ−p−キシレン、α,
α’−ジクロロ−p−キシレンが挙げられる。
【0017】本発明において用いられるフェノール変性
ナフトールアラルキル樹脂を製造する具体的な方法は、
β−ナフトールおよびフェノール類とp−キシリレン化
合物を、酸触媒を用いて反応せしめるものである。この
酸触媒としては、例えば、塩酸、燐酸、硫酸または硝酸
の様な無機酸、あるいは塩化亜鉛、塩化第二錫、塩化ア
ルミニウム、塩化第二鉄の様なフリーデルクラフツ系触
媒、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸の様な
有機酸、トリフロロメタンスルホン酸、ナフィオンH
(商品名:デュポン社製)の様な超強酸等が挙げられ
る。これらの酸は単独で使用しても、併用してもよい。
また、活性白土、ゼオライト類の固体酸触媒やヘテロポ
リ酸類も使用できる。さらに反応に用いるアラルキル化
合物がp−キシリレンジクロライドである場合には、反
応により生じる塩酸を触媒として利用することが可能で
ある。
【0018】反応温度は、100〜220℃、好ましく
は130〜180、さらに好ましくは140〜170℃
である。反応時間は、反応温度、触媒、使用原料等の諸
条件により左右されるが、通常、1〜20時間の範囲で
あり、反応効率を考慮した場合5時間以内、より好まし
くは3時間以内となるように調整されることが望まし
い。本発明において用いられるフェノール変性β−ナフ
トールアラルキル樹脂を製造するにあたり、フェノール
性成分、すなわち、β−ナフトール(N成分)とフェノ
ール類(P成分)との総量とp−キシリレン化合物(X
成分)の量との比により様々な分子量の樹脂を得ること
ができる。すなわち、(N+P)成分が、X成分に対し
等モルに近づくほど、得られる樹脂の分子量は増大し、
(N+P)成分が、過剰になるほど分子量は低下する傾
向となる。ところで、本発明においてフェノール成分を
共縮合させる目的は、樹脂の溶融粘度を低下させること
にあり、この観点から、樹脂の分子量を上げることは、
目的に反する方向にある。従って、本発明において用い
られるフェノール変性β−ナフトールアラルキル樹脂を
製造するにあたっては、(N+P)成分は、X成分に対
し過剰に用いることが必要であり、具体的には(N+
P)成分1モルに対し、X成分が0.5モル以下、好ま
しくは、0.1〜0.5モル、より好ましくは、0.1
〜0.3モル、最も好ましくは、0.2〜0.3モルの
範囲で反応させるものである。なお、ハロゲン化フェノ
ールを共縮合成分として用いる場合、無置換フェノール
と比較すると、ICI溶融粘度が若干上昇する傾向にあ
るが、芳香環に直接ハロゲン原子が結合することによ
り、難燃性が付与されることは公知である。このことか
ら、ICI溶融粘度が3ポイズ以上であっても5ポイズ
を越えない範囲であれば、難燃性という新たな付加価値
が生じ、有用なものである。
【0019】また、β−ナフトールと、共縮合させるフ
ェノール化合物との反応比は、ナフトール樹脂の特長を
失わない範囲であればよい。すなわち、一般的には、β
−ナフトールに対し、フェノール類が等モル以下である
ことが必要である。具体的には、β−ナフトール(N成
分)に対するフェノール化合物(P成分)のモル比とし
て、N/Pが50/50〜90/10、好ましくは60
/40〜80/20の範囲である。反応終了後、未反応
のナフトールおよびフェノール類は、真空蒸留、水蒸気
蒸留、その他、任意に方法により留去する。この時得ら
れる共縮合樹脂におけるナフトール成分に対するフェノ
ール成分の含有率は、50〜5%、好ましくは35〜1
0%、より好ましくは20〜10%の範囲である。ま
た、この共縮合樹脂の150℃におけるICI溶融粘度
は、1〜5ポイズ、好ましくは1〜3ポイズの範囲であ
る。軟化点については、35〜100℃、好ましくは5
0〜90℃の範囲である。
【0020】本発明において用いられるエポキシ樹脂
は、一分子中に二つ以上のエポキシ基を持つ物であれば
使用することができる。具体的に例示すれば、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ
ールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビ
スフェノールF)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルホン、スピロビインダンジオール等のビスフェノール
類、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック
等のノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、レゾ
ルシンアラルキル樹脂、フェニルフェノールアラルキル
樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラル
キル樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン樹脂、ジ
ヒドロキシナフタレン、ビフェノール、2,2’,6,
6’−テトラメチルビフェノール等のフェノール性化合
物、ビス(4−アミノフェニル)メタン、アニリン/ホ
ルマリン樹脂、アニリンアラルキル樹脂等のアミン類等
の活性水素を一分子中に二個以上持つ化合物等とエピハ
ロヒドリンを反応させて得られるエポキシ樹脂である。
本発明においては、使用するエポキシ樹脂は、単独であ
るいは2種類以上を混合して用いられるが、中でも好ま
しいのは、ビフェノール、2,2’,6,6’−テトラ
メチルビフェノール等のビフェノール類から得られるエ
ポキシ樹脂および両者の混合物、o−クレゾールノボラ
ック等から得られるエポキシ樹脂である。
【0021】本発明のエポキシ樹脂組成物においては、
必要に応じて、無機および/または有機充填剤を添加し
て用いることができる。特に、本発明のエポキシ樹脂組
成物を半導体封止用途に用いる場合には、各種充填剤を
配合して用いる。使用される充填剤としては、シリカ、
アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、タルク、ケイ酸カルシ
ウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、チタンホワイ
ト、ガラス繊維、カーボン繊維、さらにはアラミド繊
維、ボロン繊維、紙等が挙げられ、その使用目的、要求
性能などに応じて使い分けられる。例えば、半導体集積
回路(IC)用封止材として用いる場合には、得られる
組成物の機械的強度および熱膨張率、熱電導率等の点か
ら、結晶性シリカおよび/または溶融シリカが多く用い
られ、特に成形時の流動性から、その形状は、球形、ま
たは球形と不定型の混合物がより好ましい。充填剤の配
合量は、エポキシ樹脂組成物の総重量に対して、50〜
92重量%である。
【0022】また、本発明において、機械的強度、耐熱
性等の向上を図る目的で、各種の添加剤を配合すること
は妨げられない。例えば、前記の様に、本発明のエポキ
シ樹脂組成物を半導体集積回路(IC)用封止材として
用いる場合、樹脂成分と充填材成分との接着性向上を目
的としたカップリング材を用いてもよい。かかるカップ
リング材としてはシラン系、チタネート系、アルミネー
ト系、およびジルコアルミネート系等のカップリング材
が使用できる。中でも、シラン系カップリング材が好ま
しく、特に、エポキシ樹脂と反応する官能基を有するシ
ラン系カップリング材が最も好ましい。この様なシラン
系カップリング材を例示すれば、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノメ
チル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメ
トキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシド
キシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
3−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることが
できる。これらのカップリング材は単独あるいは併用し
て使用することができるが、使用に際してはあらかじめ
充填材の表面に吸着、あるいは反応により固定化されて
いることが望ましい。
【0023】本発明においては、樹脂組成物を硬化させ
る際に、硬化促進剤を使用することが望ましい。かかる
用途における硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾ
ール、2−メチル−4−エチルイミダゾール、2−ヘプ
タデシルイミダゾール等のイミダゾール類、トリエタノ
ールアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホ
リン等のアミン類、トリブチルホスフィン、トリフェニ
ルホスフィン、トリトリルホスフィン等の有機ホスフィ
ン類、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレ
ート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート
等のテトラフェニルボロン類、1,8−ジアザ−ビシク
ロ(5,4,0)ウンデセン−7およびその誘導体等が
ある。これらの硬化促進剤は、単独で、あるいは二種類
以上を併用しても良く、その使用量は、エポキシ樹脂お
よび硬化剤の総重量の0.01〜10重量部の範囲であ
る。
【0024】また、本発明のエポキシ樹脂を用いる場
合、得られる硬化物の内部応力の低減のためにシリコー
ン化合物を加えることは何ら差し支えない。さらに、本
発明のエポキシ樹脂組成物には、前記の各成分の他、必
要に応じて、脂肪酸、脂肪酸塩、ワックス等の離型剤、
ブロム化合物、アンチモン、リン等の難燃剤、カーボン
ブラック等の着色剤を配合し、混合、混練して成形材料
とすることができる。本発明において半導体素子の封止
を行う際は、通常のトランスファー成形等の公知のモー
ルド方法によって行えば良いが、その方法としては特に
限定されるものではない。本発明により得られる半導体
装置は、半田浸漬時において優れた対クラック性を発揮
し、高集積度ICとして長期に亘る使用において安定で
あるため、製品として高い信頼性が得られるものであ
る。
【0025】
【実施例】次に、実施例により、本発明を更に詳細に説
明する。しかし、本発明は、これら実施例によって限定
されるものではない。 合成例1 撹拌器、温度計、ディーンスターク水分離器及び還流冷
却器を備えたガラス製反応容器に、β−ナフトール43
2g(3モル)、フェノール94g(1モル)、トリフ
ロロメタンスルホン酸0.06gを装入し、内温を15
0℃まで昇温した。次に、α,α’−ジメトキシ−p−
キシレン166g(1モル)を約1時間かけて滴下し、
反応により生成するメタノールはディーンスターク水分
離器により系外にトラップした。内温を150〜160
度に保ちつつ、3時間撹拌を続けた後、内温を100℃
まで除冷し、0.5%水酸化バリウム水溶液19g
(1.5eq)を装入、1時間攪拌を行い、酸触媒を中
和した。次いで、水、未反応のフェノール及びナフトー
ルを真空蒸留により除去し、赤褐色透明樹脂を熱時に排
出した。収量は285g、水酸基当量(g/eq)は2
00であった。またこの樹脂のICI溶融粘度計によ
る、150℃における溶融粘度は2.3ポイズであっ
た。
【0026】合成例2 撹拌器、温度計及び還流冷却器を備えたガラス製反応容
器に、β−ナフトール576g(4モル)、フェノール
188g(2モル)を装入し、内温を150℃まで昇温
した。次に、α,α’−ジクロロ−p−キシレン175
g(1モル)を約1時間かけて溶融滴下滴下し、反応に
より生成する塩化水素は窒素気流で系外にトラップし
た。内温を150〜160度に保ちつつ、3時間撹拌を
続けた後、未反応のフェノール及びナフトールを真空蒸
留により除去し、赤褐色透明樹脂を熱時に排出した。収
量は301g、水酸基当量(g/eq)は190であっ
た。また、この樹脂のICI溶融粘度計による、150
℃における溶融粘度は、2.1ポイズであった。
【0027】合成例3 撹拌器、温度計及び還流冷却器を備えたガラス製反応容
器に、β−ナフトール576g(4モル)、p−ブロモ
フェノール173g(1モル)を装入し、内温を150
℃まで昇温した。次に、α,α’−ジクロロ−p−キシ
レン218.75g(1.25モル)を約1時間かけて
溶融滴下滴下し、反応により生成する塩化水素は窒素気
流で系外にトラップした。内温を150〜160度に保
ちつつ、3時間撹拌を続けた後、未反応のフェノール及
びナフトールを真空蒸留により除去し、赤褐色透明樹脂
を熱時に排出した。収量は、421g、水酸基当量(g
/eq)は241であった。また、この樹脂のICI溶
融粘度計による、150℃における溶融粘度は4.5ポ
イズであった。
【0028】合成例4 合成例1におけるフェノールの替わりに、o−クレゾー
ル108g(1モル)を用い、同条件で反応を行った。
収量は289g、水酸基当量(g/eq)は208であ
った。またこの樹脂のICI溶融粘度計による、150
℃における溶融粘度は2.8ポイズであった。
【0029】合成例5 撹拌器、温度計及び還流冷却器を備えたガラス製反応容
器に、β−ナフトール432g(3モル)、o−フェニ
ルフェノール510g(3モル)を装入し、内温を15
0℃まで昇温した。次にα,α’−ジクロロ−p−キシ
レン175(1モル)を約1時間かけて溶融滴下し、反
応により生成する塩化水素は窒素気流で系外にトラップ
した。内温を150〜160度に保ちつつ、3時間撹拌
を続けた後、未反応のフェニルフェノール及びナフトー
ルを真空蒸留により除去し、赤褐色透明樹脂を熱時に排
出した。収量は351g、水酸基当量(g/eq)は2
03であった。また、この樹脂のICI溶融粘度計によ
る、150℃における溶融粘度は0.6ポイズであっ
た。
【0030】合成例6 撹拌器、温度計、ディーンスターク水分離器及び還流冷
却器を備えたガラス製反応容器に、β−ナフトール43
2g(3モル)、o−フェニルフェノール340g(2
モル)、トリフロロメタンスルホン酸0.06gを装入
し、内温を150℃まで昇温した。次にα,α’−ジメ
トキシ−p−キシレン166g(1モル)を約1時間か
けて滴下し、反応により生成するメタノールはディーン
スターク水分離器により系外にトラップした。内温を1
50〜160度に保ちつつ、3時間撹拌を続けた後、内
温を100℃まで除冷し、0.5%水酸化バリウム水溶
液19g(1.5eq)を装入し、1時間攪拌を行い、
酸触媒を中和した。未反応のフェニルフェノール及びナ
フトールを真空蒸留により除去し、赤褐色透明樹脂を熱
時に排出した。収量は337g、水酸基当量(g/e
q)は209であった。またこの樹脂のICI溶融粘度
計による、150℃における溶融粘度は3.2ポイズで
あった。
【0031】比較合成例1 撹拌器、温度計、ディーンスターク水分離器及び還流冷
却器を備えたガラス製反応容器に、β−ナフトール57
6g(4モル)、トリフロロメタンスルホン酸0.06
gを装入し、内温を150℃まで昇温した。次に、α,
α’−ジメトキシ−p−キシレン166g(1モル)を
約1時間かけて滴下し、反応により生成するメタノール
はディーンスターク水分離器により系外にトラップし
た。
【0032】内温を150〜160度に保ちつつ、3時
間撹拌を続けた後、内温を100℃まで除冷し、0.5
%水酸化バリウム水溶液19g(1.5eq)を装入、
1時間攪拌を行い、酸触媒を中和した。未反応のナフト
ールを真空蒸留により除去し、赤褐色透明樹脂を熱時に
排出した。収量は298g、水酸基当量(g/eq)は
215であった。またこの樹脂のICI溶融粘度計によ
る、150℃における溶融粘度は11.2ポイズであっ
た。
【0033】比較合成例2 撹拌器、温度計、ディーンスターク水分離器及び還流冷
却器を備えたガラス製反応容器に、β−ナフトール43
2g(3モル)を装入し、内温を150℃まで昇温し
た。次に、α,α’−ジクロロ−p−キシレン175g
(1モル)を約1時間かけて溶融滴下し、反応により生
成する塩化水素は窒素気流で系外にトラップした。内温
を150〜160度に保ちつつ、3時間撹拌を続けた
後、未反応のナフトールを真空蒸留により除去し、赤褐
色透明樹脂を熱時に排出した。収量は286g、水酸基
当量(g/eq)は221であった。またこの樹脂のI
CI溶融粘度計による、150℃における溶融粘度は2
2.4ポイズであった。
【0034】比較合成例3 撹拌器、温度計、ディーンスターク水分離器及び還流冷
却器を備えたガラス製反応容器に、β−ナフトール28
8g(2モル)を装入し、内温を150℃まで昇温し
た。次にα,α’−ジクロロ−p−キシレン175g
(1モル)を約1時間かけて溶融滴下し、反応により生
成する塩化水素は窒素気流で系外にトラップした。内温
を150〜160度に保ちつつ、3時間撹拌を続けた
後、未反応のナフトールを真空蒸留により除去し、赤褐
色透明樹脂を熱時に排出した。収量は251g、水酸基
当量(g/eq)は227であった。またこの樹脂のI
CI溶融粘度計による、150℃における溶融粘度は1
00ポイズ以上であった。
【0035】実施例1〜6 合成例1、4、5において得られた本発明の樹脂を、o
−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名;EO
CN102S、エポキシ当量193g/eq、日本化薬
製)およびテトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂
(商品名;YX−4000、エポキシ当量184g/e
q、油化シェルエポキシ製)に対する硬化剤とし、トリ
フェニルホスフィンを硬化促進剤として用い、さらに無
機充填剤として球形シリカ(ハリミックS−CO,
(株)マイクロン製)と不定型溶融シリカ(ヒューズレ
ックスRD−8,(株)龍森製)の1:1重量比の混合
物、その他の添加剤としてシランカップリング剤(SZ
−6083,東レダウコーニングシリコーン(株)
製)、カルナバワックス、カーボンブラック、酸化アン
チモン等を表−1(表1、表2)に示す割合で配合し、
100℃において3分間ロール混練してエポキシ樹脂組
成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を注型加工して得
られる硬化物の物性を測定し、表−1に結果を示した。
尚、物性測定用の試験片は、エポキシ樹脂組成物をトラ
ンスファー成形(180℃、30Kg/cm2 ,3mi
n)により得た。また、樹脂混合物を用いて、フラット
パッケージ型半導体装置用リードフレームの素子搭載部
に試験用素子(10mm×10mm角)を搭載した後、
トランスファー成形(180℃、30Kg/cm2 ,3
min)により得た物性測定用半導体装置を用い、半田
浴テスト(クラック発生テスト)を行った。表−1に結
果を示した。
【0036】比較例1〜4 o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名;E
OCN102S、エポキシ当量193g/eq、日本化
薬製)およびテトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂
(商品名;YX−4000、エポキシ当量184g/e
q、油化シェルエポキシ製)に対する硬化剤として、比
較合成例1、2により得られたβ−ナフトールアラルキ
ル樹脂を用い、トリフェニルホスフィンを硬化促進剤、
さらに無機充填剤として球形シリカ(ハリミックS−C
O,(株)マイクロン製)と不定型溶融シリカ(ヒュー
ズレックスRD−8,(株)龍森製)の1:1重量比の
混合物、その他の添加剤としてシランカップリング剤
(SZ−6083,東レダウコーニングシリコーン
(株)製)、カルナバワックス、カーボンブラック、酸
化アンチモン等を表−1に示す割合で配合し、実施例と
同様にしてロール混練してエポキシ樹脂組成物を得、こ
のエポキシ樹脂組成物を注型加工して得られる硬化物の
物性を測定した。表−1に結果を示す。また、同様に物
性試験用半導体装置を得、これを用いて半田浴テストを
行った。結果を表−1に示した。
【0037】比較例5 比較例1〜4と同様にして、o−クレゾールノボラック
型エポキシ樹脂(商品名;EOCN102S、エポキシ
当量193g/eq、日本化薬製)に対する硬化剤とし
て、比較合成例3により得られたβ−ナフトールアラル
キル樹脂を用い、トリフェニルホスフィンを硬化促進
剤、さらに無機充填剤として球形シリカ(ハリミックS
−CO,(株)マイクロン製)と不定型溶融シリカ(ヒ
ューズレックスRD−8,(株)龍森製)の1:1重量
比の混合物、その他の添加剤としてシランカップリング
剤(SZ−6083,東レダウコーニングシリコーン
(株)製)、カルナバワックス、カーボンブラック、酸
化アンチモン等を、表−1に示す割合で配合し、実施例
と同様にして、ロール混練、エポキシ樹脂組成物を得よ
うとしたが、合成例6におけるβ−ナフトールアラルキ
ル樹脂が100℃において溶融せず、また溶融可能な温
度においては硬化反応が早すぎ、実質的に混練が不能で
あった。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】以上、合成例1、4、5と比較合成例1と
の比較において、本発明において用いられるフェノール
変性ナフトールアラルキル樹脂のICI溶融粘度は、大
幅に低下していることがわかる。このことはすなわち、
実際に封止材に用いる際の作業性に大きな改善がみら
れ、エポキシ樹脂組成物としての混練性や組成物の流動
性が向上するものである。このことは表−1のスパイラ
ルフローや充填の際のボンディングワイヤーの変形数に
より表されている。つまり、硬化剤として用いるフェノ
ール変性ナフトールアラルキル樹脂の溶融粘度が低いこ
とから、エポキシ樹脂組成物に流動性を与えるため、本
発明のエポキシ樹脂組成物は比較例に比べ、スパイラル
フローで20cm以上流れ、さらに充填の際、ボンディ
ングワイヤーの変形が全く見られない。一方、比較例に
おいては溶融流動性が高いため、樹脂組成物により封止
される際、ボンディングワイヤーにかかる負荷が増大
し、若干の変形が見られている。このことは製品の不良
率ダウンにもつながるものであり、硬化剤となる樹脂の
溶融粘度を低下させることのメリットは大きいことがわ
かる。
【0041】さらに溶融粘度の高い比較合成例2の樹脂
においては、100℃における混練は難しく、混練温度
の上昇が必要であり、必然的に、混練時に、硬化反応の
進行が進むことから部分的なゲル化が見られる。そのた
めスパイラルフローが非常に短く、また充填時にボンデ
ィングワイヤーに大きな変形を与えてしまうものであ
り、実質的な使用に耐えるものではない。比較合成例3
においては実質的に混練が不可能であり、試験片を得る
ことが不可能であった。また、表−1において、実施例
1〜6と比較例1により示されているように、本願に示
されている範囲においては、フェノール成分の共縮合に
よるデメリットはほとんど見ることはできない。本発明
のエポキシ樹脂を用いて得られる硬化物の物性は、耐熱
性、耐湿性、機械的物性等の、かかる産業分野において
要求される諸要求物性において高い水準を示すものであ
り、このことは例えば半導体集積回路の封止材として用
いた場合、半田浴テスト(クラック発生テスト)に示さ
れるように、過酷な条件下においても、クラックの発生
を防ぎ、すなわち最終的な製品における信頼性の向上に
大きく寄与するものである。
【0042】比較合成例4 撹拌器、温度計、ディーンスターク水分離器及び還流冷
却器を備えたガラス製反応容器に、α−ナフトール57
6g(4モル)、トリフロロメタンスルホン酸0.06
gを装入し、内温を150℃まで昇温した。次にα,
α’−ジメトキシ−p−キシレン1566gを約一時間
かけて滴下し、反応により生成するメタノールはディー
ンスターク水分離器により系外にトラップした。内温を
150〜160度に保ちつつ、3時間撹拌を続けた後、
内温を100℃まで除冷し、0.5%水酸化バリウム水
溶液19g(1.5eq)を装入、1時間攪拌を行い、
酸触媒を中和した。次いで、未反応のナフトールを真空
蒸留により除去し、赤褐色透明樹脂を熱時に排出した。
収量は294g、水酸基当量(g/eq)は212であ
った。またこの樹脂のICI溶融粘度計による、150
℃における溶融粘度は1.2ポイズであった。
【0043】参考例1 比較合成例4において得られたα−ナフトールアラルキ
ル樹脂25gに対し、トリフェニルホスフィン0.5g
を100℃において溶融混練し、粉砕器により粉末状に
した。この試験粉を、アセトンD6 を溶媒として31P−
NMRにて測定したところ、−6ppm付近にシグナル
が観察された。(図−1)さらに同じ試験粉を一週間保
存した後、同様に31P−NMRで測定したところ、全て
シグナルは全て30ppm付近にシフトにしており、こ
のものはトリフェニルホスフィンオキサイドのシグナル
と一致した。(図2,3)また、合成例1において得ら
れたフェノール変性β−ナフトールアラルキル樹脂およ
び比較合成例1において得られたβ−ナフトールアラル
キル樹脂を用いて同様の測定を行ったところ、試料粉の
調製時、一週間後とも−6ppm付近に単独のシグナル
が観測され、変化は見られなかった。(図4,5,6,
7)また、一週間保存したα−ナフトールアラルキル樹
脂とTPPの混合物は、エポキシ樹脂との硬化能力を失
活していた。これらのことから、α−ナフトールアラル
キル樹脂中においては、TPPが酸化を受け、トリフェ
ニルホスフィンオキサイドとなり、触媒能力を失うこと
が確認された。この現象は、β−ナフトールアラルキル
樹脂には、全く認められないことが判明した。
【0044】
【発明の効果】本発明において得られるエポキシ樹脂組
成物は、耐熱性、耐酸化性、耐湿性、機械的強度、接着
性等に優れた硬化物を与えるものである。従って、本発
明において得られるエポキシ樹脂組成物は、注型、積
層、成形、接着、封止、複合材等の幅広い分野において
有用なものである。具体的に例を挙げれば、半導体集積
回路(IC)の封止材としての使用において大きな効果
を与え、得られる半導体装置は、製品として高い信頼性
を得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】比較合成例4で得られたα−ナフトールアラル
キル樹脂とトリフェニルホスフィンの混合溶融直後の31
P−NMRチャート
【図2】比較合成例4で得られたα−ナフトールアラル
キル樹脂とトリフェニルホスフィンの混合溶融1週間後
31P−NMRチャート
【図3】トリフェニルホスフィンの31P−NMRチャー
【図4】合成例1で得られたフェノール変成β−ナフト
ールアラルキル樹脂とトリフェニルホスフィンの混合溶
融直後の31P−NMRチャート
【図5】合成例1で得られたフェノール変成β−ナフト
ールアラルキル樹脂とトリフェニルホスフィンの混合溶
融1週間後の31P−NMRチャート
【図6】比較合成例1で得られたフェノール変成β−ナ
フトールアラルキル樹脂とトリフェニルホスフィンの混
合溶融直後の31P−NMRチャート
【図7】比較合成例1で得られたフェノール変成β−ナ
フトールアラルキル樹脂とトリフェニルホスフィンの混
合溶融1週間後の31P−NMRチャート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−230843(JP,A) 特開 平5−125158(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 59/62 C08G 59/24 C08G 59/32 H01L 23/29 C08G 61/10

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂組成物において、成分
    (A)として一分子中に2個以上のエポキシ基を持つエ
    ポキシ樹脂、成分(B)としてβ−ナフトール(N成
    分)、一般式(I)(化1)で表されるフェノール化合
    物(P成分)および一般式(II)(化1)で表されるp
    −キシリレン化合物(X成分)とを、N/P=1〜1
    0、X/(N+P)=0.1〜0.5のモル比で共縮合
    させて得られる、150℃におけるICI溶融粘度が5
    ポイズ以下であるフェノール変性β−ナフトールアラル
    キル樹脂、を含有してなるエポキシ樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1 は水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素
    数1〜10のアルキル基およびアルコキシ基または炭素
    数6〜9のアリール基、アリールオキシ基、アラルキル
    基、シクロアルキル基を示し、R2 は水酸基、ハロゲン
    原子または炭素数1〜4の低級アルコキシ基を示す)
  2. 【請求項2】 一般式(II)において、R2 がハロゲン
    原子または炭素数1〜4の低級アルコキシ基である請求
    項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 成分(B)が、β−ナフトール(N成
    分)、フェノール化合物(P成分)およびp−キシリレ
    ン化合物(X成分)とを、N/P=1〜10、X/(N
    +P)=0.1〜0.3のモル比で共縮合させて得られ
    る、150℃におけるICI溶融粘度が3ポイズ以下で
    あるフェノール変性β−ナフトールアラルキル樹脂であ
    る請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 成分(A)のエポキシ樹脂が、一般式
    (III)(化2)で表されるビフェノール類から誘導され
    るエポキシ樹脂および/またはo−クレゾールノボラッ
    ク樹脂から誘導されるエポキシ樹脂である請求項1〜3
    のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。 【化2】 (式中、R3 は水素原子またはメチル基を示す)
  5. 【請求項5】 一般式(I)において、R1 が水素原
    子、メチル基またはフェニル基である請求項1〜3のい
    ずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 一般式(I)において、R1 が臭素原子
    である請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】 成分(A)のエポキシ樹脂成分がビフェ
    ノール型エポキシ樹脂またはo−クレゾールノボラック
    型エポキシ樹脂であり、R1 が水素原子、臭素原子、メ
    チル基またはフェニル基である請求項1〜3のいずれか
    に記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7記載のエポキシ樹脂組成物
    の硬化物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7に記載のエポキシ樹脂組成
    物と、全重量に対して50重量%〜92重量%の無機お
    よび/または有機充填剤とを含んでなる半導体封止用エ
    ポキシ樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のエポキシ樹脂組成物の
    硬化物。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の硬化物により封止さ
    れた半導体装置。
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