JP3129559B2 - 耐熱ラギングシート - Google Patents

耐熱ラギングシート

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JP3129559B2 JP672793A JP672793A JP3129559B2 JP 3129559 B2 JP3129559 B2 JP 3129559B2 JP 672793 A JP672793 A JP 672793A JP 672793 A JP672793 A JP 672793A JP 3129559 B2 JP3129559 B2 JP 3129559B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高温管状体の保温・断熱
用に好適な耐熱ラギングシートに関する。さらに詳しく
述べると耐熱性に優れ、かつ耐久性が改善されたラギン
グシートに関する。
【0002】
【従来技術】従来より石綿、ガラスウール等が保温・断
熱分野で広範囲に多用されてきたことは周知のところで
ある。これらの素材は保温・断熱材として優れた性能を
発揮するが、一方でこれらの素材に起因する職業性疾病
や環境問題が顕在化するにいたり代替え可能な素材の検
討が行われてきた。中でも芳香族ポリアミド系繊維やポ
リビニルアルコール系繊維は性能的に保温・断熱用素材
として注目され、近年広範囲に利用されるようになっ
た。一方、保温・断熱工事の効率化の要求も年々高ま
り、保温・断熱材の形態・構成の改善が行われてきた。
例えば芳香族ポリアミド系繊維の不織布とホットメルト
型可撓性多孔薄層とを積層一体化したラギングシートが
知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この耐熱ラギングシー
トは常温で給湿させて粘着性を付与する従来品に較べて
ラッピング作業性は大幅に改善されるが、しかし、配管
の表面温度が400℃前後の使用条件下における耐久性
は従来品と同一レベルである。つまり、管状体または配
管の表面温度がさらに高くなると芳香族ポリアミド系繊
維は高温長期使用における耐久性や難燃性等は充分とな
る。本発明はかかる事情な鑑みなされたものであって、
ラッピング作業性の低下を伴うことなく大配管表面温度
が400℃前後の苛酷な条件下で長時間使用に際しても
耐久性の低下が小さく、かつ難燃性を有する耐熱ラギン
グシートの提供を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のラギングシート
は分解温度が600℃以上、捲縮数が8〜18コ/イン
チ、捲縮度/捲縮数が0.7〜1.8の有機合成繊維か
らなる不織布の片面に200℃未満の融点を有する熱可
塑性重合体の薄膜が形成してなり、そのことにより上記
目的が達成される。
【0005】400℃前後の苛酷な条件下で使用するラ
ギングシートに使用したとき強度低下が少なくまた分解
ガスを発生しない等の熱安定性が必要とされ、かかる苛
酷な温度条件下での耐久性を確保するには少なくとも6
00℃以上の熱分解温度を有する繊維材料が必要であ
り、かかる必要条件を満たすにはポンベンズオキサゾー
ルやポリベンズチアゾール等のポリベンザゾール系繊維
を用いることが好ましい。
【0006】保温・断熱材は長繊維の編織物を用いて構
成されるラギングクロスまたは不織布の形態で構成され
るラギングシート等があるが本発明においては保温・断
熱効果を高めるため嵩高的に有利である不織布の形態に
成形する。不織布は短繊維をウエブとしてこれを不織布
に加工する従来公知の何れの方法も採用できるが、前記
したように嵩高とするには好ましくはニードリングまた
はステッチング法を採用することである。
【0007】また本発明における耐熱短繊維の捲縮形態
は原綿の取扱い性、カード通過性および製品の嵩高性
(保温・断熱効果)を確保する上で重要であり、かかる
観点から捲縮数は8(個/インチ)以上で且つ捲縮度
(%)/捲縮数が0.7以上が必要であり、好ましくは
10(個/インチ)以上で且つ捲縮度(%)/捲縮数を
0.9以上とすることである。捲縮数が8(個/イン
チ)未満もしくは捲縮度(%)/捲縮数が0.7未満で
あると短繊維相互の絡合数が相対的に減少するためカー
ド通過性の低下し、また該短繊維を加工して得られるシ
ートは嵩高性の低いものとなる。一方、捲縮数及び捲縮
度(%)/捲縮数の上限に特に制限はないが、両者が極
端に大きい場合、嵩高性が過大となり取扱い性やカード
通過性および得られる不織布の品質等の面で不利とな
る。従って一般的には捲縮数が18(個/インチ)以下
で且つ捲縮度(%)/捲縮数が1.8以下が採用され
る。尚、繊維に捲縮を付与する方法はクリンパー等の機
械捲縮による方法や、繊維製造工程時に繊維の内部構造
に歪を与えて自然な捲縮を付与する方法等があげられ
る。
【0008】本発明の耐熱ラギングシートはラッピング
作業の効果率を図るため不織布の片面に熱可塑性重合体
の薄膜を形成させる。ここで熱可塑性重合体としては少
なくとも200℃未満の融点を有することが必要であ
る。該熱可塑性の皮膜を構成する熱可塑性重合体の融点
が200℃以上であると高温用の管状体の保温・断熱材
のラッピングに際して管状体を200℃以上の温度に加
熱する必要があり作業者の安全性に問題を生じる。一
方、ラッピング作業またはラギングシートの保存時の環
境温度の上昇によるラギングシート同志の粘着発生を防
止するために熱可塑性重合体の融点は少なくとも50℃
以上であることが好ましい。またラギングシートの製造
に関しては耐熱性不織布の表面に熱可塑性重合体が皮膜
を形成できることが重要であり、このために例えば低沸
点の溶媒に容易に溶解できる熱可塑性重合体を選択する
ことが好ましい。かかる観点から熱可塑性重合体として
はポリウレタン系重合体が好ましい。
【0009】不織布の片面に皮膜を形成させるには熱可
塑性重合体溶液を噴霧または塗布する従来公知の方法が
利用できるが不織布を走行させながらオンラインで塗布
と溶媒の加熱除去が可能な方法が最も好ましい。いずれ
の方法を採用するにしても不織布シートの片面のみに皮
膜を形成させれば充分である。
【0010】ラギングシート中の熱可塑性重合体の混合
割合もラッピング作業性および保温・断熱性能の点から
重要である。その好ましい範囲は5〜20重量%であ
り、より好ましくは10から15%である。繊維の混合
重量比率が5%未満ではラギングシートの管状体に対す
る粘着性が低くラッピング作業時にシートに弛緩を生じ
やすく作業効率が改善できない。一方、ラギングシート
中における熱可塑性重合体の混合割合が20重量%を越
えると保温・断熱性能は相対的に低下する。
【0011】本発明にかかるその片面に低融点の熱可塑
性重合体皮膜を有する耐熱繊維積層体からなる不織布シ
ートは所定の大きさに裁断された後、テープ状に巻き上
げられて保温・断熱材として使用される。
【0012】
【実施例】以下に本発明を実施例を挙げて説明するが勿
論本発明はこれらに限定されるものではない。尚、本発
明における捲縮数及び捲縮度は以下の測定法による。 捲縮数:単繊維のデニール当たり2mgの荷重を掛けた
状態で繊維長を測定し、次いで該繊維長における捲縮の
山数を数え、該山数を1インチ当たりの数に換算して捲
縮数とした。 捲縮度:単繊維のデニール当たり2mgの荷重を掛けた
状態で繊維長(L1)を測定し、次に単繊維のデニール
当たり50mgの荷重を掛けて同様に繊維長(L2)を
測定し、次式により捲縮度(%)をもとめた。 捲縮度(%)=(L2−L1)×100/L2
【0013】実施例1 ポリベンズオキサゾール系重合体のポリリン酸溶液から
乾湿式紡糸法で得た単糸繊度が1.5デニールで、繊維
長が4.1mm、捲縮数が12.7コ/インチ、捲縮度
/捲縮数が1.04の短繊維を目付け130g/m2
なる様に積層した。該積層物をニードルパンチ機により
針密度250本/cm2の条件で刺針処理を施し、厚さ
2.2mmの不織布を得た。次いで該不織布の片面に熱
可塑性ポリウレタンのジメチルホルムアルデヒド(DM
F)溶液を常温で連続的に塗布した後、さらに200℃
の雰囲気中で乾燥して溶媒を除去した。なお塗布する量
を0〜30重量%の範囲で変更した。なお熱可塑性ポリ
ウレタンはポリプロピレングリコール〔商品名:サンニ
ックス、数分子量=1000、三洋化成(株)製〕と
1,4−ブタンジオールとN,N’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート〔商品名:ミリオネートMT、日本ポ
リウレタン(株)〕をジメチルホルムアルデヒドを溶媒
にして溶液重合で得たものである。このように片面の熱
可塑性ポリウレタン皮膜を形成させた不織布シートを巾
60mmのテープ状物に加工した。該テープ状物を18
0℃に加熱された直径50mmの配管に該ポリウレタン
を塗布した側を内側にして巻き付けた。作業効率はラッ
ピング後のラギングシートのたるみ(弛緩)の程度を目
視で判定した。また該テープを巻き付けた配管に400
℃の加熱蒸気を供給したときの表面温度で保温・断熱性
能を評価した。さらにこの温度の加熱蒸気を延べ800
時間を供給した後のラギングシートの形態を目視で判定
した。
【0014】
【表1】
【0015】第1表から明らかなように本発明に属する
実施例1はラッピング作業で配管に対する密着性は良好
でテープが弛緩は発生せず手直しを要せず作業性は良好
であった。また繊維の劣化および弛緩は認められなかっ
た。また表面温度もほぼ50℃以下であった。
【0016】<比較例1>ポリベンザゾール系繊維に代
えて全芳香族系ポリアミド繊維(商品名:ケブラー2
9)に変えた以外は実施例1に記載したと同一の方法で
ラギングシートを作成した。該テープを巻き付けた配管
に400℃の加熱蒸気を延べで800時間供給した後の
繊維の形態変化を調べた。結果を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】本発明に属さない比較例1の表面温度は実
施例1に比べて配管に近接した部分で繊維劣化が認めら
れた。
【0019】<比較例2>捲縮数及び捲縮度を変更した
以外は実施例1と同法にてラギングシートを作成した。
結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】第3表に示すように捲縮数が本発明の範囲
から低い方に外れた場合(比較例2)、繊維相互間の絡
み合い数または/および強度が低いためカード通過性は
不良であった。なおこの不織布から成形したラギングシ
ートは嵩高性が不足し、保温・断熱効果は劣っていた。
【0022】
【発明の効果】本発明によると保温性・断熱性・耐熱性
と耐久性に優れたラギングシートを提供することを可能
にした。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分解温度が600℃以上、捲縮数が8〜
    18コ/インチ、捲縮度/捲縮数が0.7〜1.8の有
    機合成繊維からなる不織布の片面に200℃未満の融点
    を有する熱可塑性重合体の薄膜が形成されてなることを
    特徴とする耐熱ラギングシート。
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