JP3129458B2 - プロピレンブロック重合体 - Google Patents

プロピレンブロック重合体

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JP3129458B2
JP3129458B2 JP03043284A JP4328491A JP3129458B2 JP 3129458 B2 JP3129458 B2 JP 3129458B2 JP 03043284 A JP03043284 A JP 03043284A JP 4328491 A JP4328491 A JP 4328491A JP 3129458 B2 JP3129458 B2 JP 3129458B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は、剛性と耐衝撃性のバラ
ンスに優れた、特に射出成形用樹脂として有用なプロピ
レンブロック共重合体、ならびにこのプロピレンブロッ
ク重合体の必須構成単位(ブロック(B))として用い
られ、上記のような特性を実現するプロピレン‐エチレ
ンランダム共重合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、省資源、省エネルギーの観点から
射出成形品の薄肉化・軽量化が求められている。ポリプ
ロピレンの剛性と耐衝撃性のバランスを向上させること
により、成形品の薄肉化・軽量化が可能にするために、
ポリプロピレンの物性向上を目的として種々の提案がな
されている。たとえば、特開昭54−113695号、
特開昭55−5969号、特開昭55−115417
号、特開昭61−69821号、特開昭61−6982
2号、特開昭61−69823号各公報などの提案がな
されている。しかし、剛性と耐衝撃性のバランスについ
て、なお一層の向上が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、剛性と耐衝撃性のバランスに優れた成形品
を与えるプロピレンブロック重合体を提供することであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】〔発明の概要〕 <要旨>本発明者らは、種々探索検討を行なった結果、
広い共重合組成分布を有するある特定のプロピレン‐エ
チレンランダム共重合体(成分(B))を用いることに
より、剛性と耐衝撃性バランスに優れる成形品が得られ
ることを見出して、本発明に到達した。
【0005】したがって、本発明によるプロピレンブロ
ック重合体は、下記の触媒成分(A)と触媒成分(B)
とから形成される触媒の存在下、プロピレンの結晶性単
独重合体あるいは共重合体を製造する前段重合、および
プロピレンとエチレンとのランダム共重合体を製造する
後段重合からなり、後段重合がアルコキシチタン化合物
の存在下に行われる重合工程から製造されプロピレンブ
ロック共重合体であって、実質的に下記のブロック
(A)50〜95重量%およびブロック(B)5〜50
重量%からなり、かつMFRが0.1〜100g/10
分であることを特徴とする、プロピレンブロック重合
体。触媒成分(A) マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必
須成分とする固体状チタン触媒成分、 触媒成分(B) 有機アルミニウム化合物、 ブロック(A) プロピレン単独重合体またはプロピレンとC〜C
α‐オレフィンとのランダム共重合体であって、MFR
が1〜200g/10分であり、かつ重合体のアイソタ
クチックインデックス(I.I.)が95%以上である
ブロック(ただし、プロピレンとC〜Cのα‐オレ
フィンとの共重合体の場合、α‐オレフィン含量はこの
共重合体の全量に対して3重量%以下である)、ブロック(B) プロピレンとエチレンとのランダム共重合体であって、
この共重合体中のエチレン含量が20〜90重量%であ
り、NMR測定により求められる共重合体組成分布指数
〔C〕が300以上であり、かつMFRが0.001〜
5.0g/10分であるブロック。
【0006】
【0007】<効果>本発明によるプロピレンブロック
重合体は、機械的強度バランス、特に剛性と耐衝撃性の
バランス、に優れており、射出成形用ないし押し出し成
形用樹脂として非常に有用なものである。
【0008】物性バランスの良好な理由は未だ十分解明
されてはいないが、共重合体が広い組成分布を持つこと
によりブロック(A)とブロック(B)の親和性が増大
し、混合時に界面接着強度が向上するためと考えられて
いる。
【0009】〔発明の具体的説明〕 〔I〕 プロピレンブロック重合体 <一般的説明>本発明によるプロピレンブロック重合体
は、実質的にブロック(A)およびブロック(B)から
なりMFRが0.1〜100g/10分であるものであ
る。ここで、「実質的にブロック(A)およびブロック
(B)からなる」とは、ブロック(A)および(B)が
それぞれ少なくとも一つ存在すること、ならびに両ブロ
ックは単位重合体鎖上に存在する真の「ブロック共重合
体」の外に、両ブロックの形成が各ブロックを生成する
重合工程を継続して実施することによって行なわれるこ
とに相当して生じうる両ブロックの物理的混合物であり
うること、ならびに両ブロック以外の第三ブロックない
し第三成分とのブロック重合物ないし物理的混合物を排
除しないこと、という趣旨であることを理解されたい。
もっとも、典型的なあるいは好ましいプロピレンブロッ
ク重合体は、両ブロックがそれぞれ一つ存在するもので
あって、先ずブロック(A)を生成させ、継続してブロ
ック(B)を生成させて得られたものである。
【0010】本発明のプロピレンブロック重合体におい
て、ブロック(A)の割合は、ブロック(A)とブロッ
ク(B)の総量に対して、50〜95重量%、好ましく
は60〜92重量%、である。ブロック(A)の割合が
50重量%未満では剛性が不十分であり、また95重量
%超過では耐衝撃性の点で問題がある。ブロック(B)
の割合は、したがって5〜50重量%、好ましくは8〜
40重量%、である。
【0011】本発明のプロピレンブロック重合体のMF
Rは、0.1〜100g/10分、好ましくは0.3〜
80g/10分、である。MFRが0.1g/10分未
満では成形性が劣り、一方100g/10分超過では耐
衝撃性が不十分である。なお、MFR値は、JIS K
7210に準じて測定したときのものである。
【0012】<ブロック(A)>ブロック(A)は、プ
ロピレン単独重合体またはプロピレンとC〜Cのα
‐オレフィン(特に好ましくはエチレン(本発明ではエ
チレンもα‐オレフィンとして扱う))とのランダム共
重合体であって、MFRが1〜200g/10分、好ま
しくは5〜100g/10分、であり、かつアイソタク
チックインデックス(I.I.)、即ち、沸騰n‐ヘプ
タン抽出による不溶分の割合、が95%以上、好ましく
は97%以上、のものである(ただし、プロピレンとC
〜Cのα‐オレフィンとの共重合体である場合、α
‐オレフィンの含量はこの共重合体の全量に対して3重
量%以下、好ましくは0〜2重量%、のものである)。
【0013】<ブロック(B)>ブロック(B)は、プ
ロピレンとエチレンとのランダム共重合体であって、こ
の共重合体中のエチレン含量が20〜90重量%、好ま
しくは30〜65重量%、であり、NMR測定により求
められる共重合体組成分布指数〔C〕が300以上、好
ましくは350以上、上限は1500程度、のものであ
る。
【0014】エチレン含量が上記範囲を外れると耐衝撃
性が不十分である。共重合体組成分布指数〔C〕が30
0未満のものは剛性と耐衝撃性のバランスが劣って好ま
しくない。
【0015】本発明において共重合体組成分布指数
「C」は13C‐NMRを用いて以下のように決定され
る。結晶性プロピレン重合体部分と非晶性エチレン‐プ
ロピレンランダム共重合体部分とが混在しているブロッ
ク共重合体の場合、非晶性エチレン‐プロピレンランダ
ム共重合体部分のおおよその平均組成f(E/P)は共
重合鎖の確率論(例えば「共重合I 反応解析」第1章
解析論(1〜98頁)高分子学会編(1975年、培風
館))によれば、その共重合体のエチレンの平均連鎖長
nE から共重合がランダムと仮定して、以下のように求
められる。P41 4〜5行目に記載された式によれ
ば、エチレンの平均連鎖長 nE は nE =1/P1
{プロピレン}ここで、P1 {プロピレン}は、その共
重合体中にプロピレン単位が存在する確率である。 P38 (115)式により、 P1 {エチレン}+P1 {プロピレン}=1なので、 定義により、組成比fは nE =1+f 従って、f=nE −1 により求められる。ここでnE は文献 (G.Joseph Ray,
et al. "Macromolecules" Vol. 10, page773 〜778(197
7) )において、P776の(2)または(7)式で計
算されるエチレン量Eを、P777の下から8〜9行目
に記載されたエチレン連鎖の数1/2(αγ+αδ)に
対応するシグナル強度1/2(Iαγ+Iαδ)で割る
ことによって、13C‐NMRスペクトルから決定され
る。
【0016】次に、このfを用いて、完全ランダム共重
合とした時のトリアッド比率 P3{PPE}:P3{EPE}:P3{EEE}=a:1:b をベルヌーイ試行により計算する。
【0017】一方、13C‐NMRから文献によって実測
のトリアッド比率 P3{PPE}:P3{EPE}:P3{EEE}=x:1:y を求めることができる。該ポリマーの組成分布の広さを
完全ランダム共重合体からのずれとして上記計算および
実測のトリアッド比率から次式により定義する。 C=(x/a)×(y/b)×100 この「C」の値からブロック共重合体の組成分布の広さ
が決定できる。
【0018】〔II〕 プロピレンブロック重合体の製造 本発明によるプロピレンブロック重合体は、上記のよう
なものである。このようなブロック重合体の製造法は、
本願所定の重合体が得られる限り任意である。下記は、
本発明のプロピレンブロック重合体の代表的製造法につ
いて示すものである。
【0019】<代表的製造法>本発明のプロピレンブロ
ック重合体は、特定の触媒の存在下に、少なくとも二段
階の重合工程(以下、一段階目の重合工程を前段重合
と、第二段階目の重合工程を後段重合ということがあ
る)を実施することにより製造することができる。
【0020】<触媒>触媒成分 本発明で使用する触媒は、触媒成分(A)と触媒成分
(B)とから形成されるものであって、チーグラー型触
媒の範疇に入るものである。
【0021】ここで、「触媒成分(A)と触媒成分
(B)とから形成される」ということは、本発明の効果
を不当に損なわない第三成分あるいはより好ましくは本
発明に有利に作用する第三成分を含む場合を排除しない
という趣旨であることを理解されたい。そのような第三
成分の代表的なものは、所謂外部ドナーとしての電子供
与体(触媒成分(C)(詳細後記))であって、触媒成
分(A)、(B)および(C)から形成される触媒は本
発明の好ましい実施態様をなすものである。
【0022】そして、本発明触媒は、ブロック共重合の
後段において、特定の化合物、すなわちアルコキシチタ
ン化合物、をさらに含むものということができる。
【0023】触媒成分(A) 本発明に用いられる固体状チタン触媒成分(A)は、マ
グネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須
成分として含有するものである。ここで、「必須成分と
する」ということは、固体状チタン触媒成分(A)がこ
れらの特定の三成分のみからなる場合の外に、これら三
成分の組合せの効果を少なくとも維持しあるいはこれを
不当に損なわない限り、追加の成分を含んでよいことを
意味する。そのような追加の成分は、たとえば、ハロゲ
ン化ケイ素化合物である。
【0024】マグネシウムはハロゲン化マグネシウムに
よって、チタンはチタン化合物によって、ハロゲンはこ
れらの化合物によって、触媒成分(A)に導入すること
が普通である。
【0025】(1) ハロゲン化マグネシウム ハロゲン化マグネシウムは、ジハロゲン化マグネシウム
が好ましく、塩化マグネシウム、臭化マグネシウムおよ
びヨウ化マグネシウムを用いることができる。さらに好
ましくはこれは塩化マグネシウムであり、さらに実質的
に無水であることが望ましい。
【0026】また、ハロゲン化マグネシウムは、酸化マ
グネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイ
ト、マグネシウムのカルボン酸塩、アルコキシマグネシ
ウム、アリロキシマグネシウム、アルコキシマグネシウ
ムハライド、アリロキシマグネシウムハライド、有機マ
グネシウム化合物等を、電子供与体、ハロシラン、アル
コキシシラン、シラノール、Al化合物、ハロゲン化チ
タン化合物、チタンテトラアルコキシド等で処理して得
られるハロゲン化マグネシウムであってもよい。
【0027】(2) チタン化合物 チタン化合物としては、三価および四価のチタンのハロ
ゲン化合物が代表的である。好ましいチタンのハロゲン
化合物は、一般式Ti(OR4−n(RはC
〜C10の炭化水素残基、Xはハロゲン)で示される
ような化合物のうちn=0、1または2の四価のハロゲ
ン化チタン化合物である。具体的には、TiCl、T
i(OC)Cl、Ti(OCCl
などを例示することができるが、特に好ましいのはTi
ClおよびTi(OC)Clなどのテトラハ
ロゲン化チタンやモノアルコキシトリハロゲン化チタン
化合物である。チタン化合物として、ハロゲンを含まな
いチタン化合物、具体的にはTi(OCなど
も好ましく使用される。
【0028】(3) 電子供与体 本発明の固体触媒成分(A)の必須成分である電子供与
体は、特定の化合物(a)〜(c)の少なくとも一種で
ある。これらの中でも特に化合物(c)が好ましい。
【0029】(a) 電子供与体の一つは、多価カルボ
ン酸、多価アルコールおよびヒドロキシ基置換カルボン
酸からなる群より選ばれる多官能性化合物のエステル
(a)である。これら多官能性化合物のエステルとして
好適なものは、たとえば、下式で示されるものである。
【0030】
【化1】
【0031】
【化2】
【0032】
【化3】
【0033】または
【0034】
【化4】
【0035】ここで、Rは置換または非置換の炭化水
素基であり、R、RおよびRはそれぞれ水素また
は置換若しくは非置換の炭化水素基であり、Rおよび
はそれぞれ水素または置換若しくは非置換の炭化水
素基であって、好ましくはその少なくとも一方が置換ま
たは非置換の炭化水素基であるもの、である。RとR
は、互いに連結されていてもよい。ここで置換の炭化
水素基としては、N、O、Sなどの異原子を含むもの、
例えばC−O−C、COOR、COOH、OH、SO
H、−C−N−C−、NHなどの基を有するものがあ
る。
【0036】この中でとくに好ましいものは、R、R
の少なくとも一つが炭素数が2以上のアルキル基であ
るジカルボン酸のジエステルである。
【0037】多価カルボン酸エステルとして好ましいも
のの具体例としては、(イ)コハク酸ジエチル、コハク
酸ジブチル、メチルコハク酸ジエチル、α‐メチルグル
タル酸ジイソブチル、メチルマロン酸ジブチル、マロン
酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマ
ロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニルマ
ロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、アリルマ
ロン酸ジエチル、ジイソブチルマロン酸ジエチル、ジノ
ルマルブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、
マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、マレ
イン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジブチル、ブチルマ
レイン酸ジエチル、β‐メチルグルタル酸ジイソプロピ
ル、エチルコハク酸ジアルリル、フマル酸ジ‐2‐エチ
ルヘキシル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチ
ル、シトラコン酸ジオクチル、シトラコン酸ジメチルな
どの脂肪族ポリカルボン酸エステル、(ロ)1,2‐シ
クロヘキサンカルボン酸ジエチル、1,2‐シクロヘキ
サンカルボン酸ジイソブチル、テトラヒドロフタル酸ジ
エチル、ナジック酸エチルのような脂肪族ポリカルボン
酸エステル、(ハ)フタル酸モノエチル、フタル酸ジメ
チル、フタル酸メチルエチル、フタル酸モノイソブチ
ル、フタル酸モノノルマルブチル、フタル酸ジエチル、
フタル酸エチルイソブチル、フタル酸エチルノルマルブ
チル、フタル酸ジn‐プロピル、フタル酸ジイソプロピ
ル、フタル酸ジn‐ブチル、フタル酸ジイソブチル、フ
タル酸ジn‐ヘプチル、フタル酸ジ2‐エチルヘキシ
ル、フタル酸ジn‐オクチル、フタル酸ジネオペンチ
ル、フタル酸ジデシル、フタル酸ベンジルブチル、フタ
ル酸ジフェニル、ナフタリンジカルボン酸ジエチル、ナ
フタリンジカルボン酸ジブチル、トリメリット酸トリエ
チル、トリメリット酸ジブチルなどの芳香族ポリカルボ
ン酸エステル、(ニ)3,4‐フランジカルボン酸など
の異炭素ポリカルボン酸エステルなどをあげることがで
きる。
【0038】また、多価ヒドロキシ化合物エステルとし
て好ましいものの具体例としては、1,2‐ジアセトキ
シベンゼン、1‐メチル‐2,3‐ジアセトキシベンゼ
ン、2,3‐ジアセトキシナフタリン、エチレングリコ
ールジピバレート、ブタンジオールピバレートなどを挙
げることができる。
【0039】ヒドロキシ置換カルボン酸のエステルの例
としては、ベンゾイルエチルサリチレート、アセチルイ
ソブチルサリチレート、アセチルメチルサリチレートな
どを例示することができる。
【0040】チタン触媒成分中に担持させることのでき
る多価カルボン酸エステルの他の例としては、アジピン
酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイ
ソプロピル、セバシン酸ジn‐ブチル、セバシン酸ジn
‐オクチル、セバシン酸ジ‐2‐エチルヘキシルなどの
長鎖ジカルボン酸のエステル類をあげることができる。
【0041】これらの多官能性エステルの中で好ましい
のは、前述した一般式の骨格を有するものであり、さら
に好ましくはフタル酸、マレイン酸、置換マロン酸など
と炭素数2以上のアルコールとのエステルであり、とく
に好ましいのは、フタル酸と炭素数2以上のアルコール
とのジエステルである。
【0042】(b) 固体触媒成分(A)の必須成分で
ある電子供与体成分のさらに他の群は、RCOOR
(RおよびRはそれぞれ炭素数1〜15程度のヒド
ロカルビル基であって、少なくともいずれかが分岐鎖状
(脂環状を含む)または環含有鎖状の基である)で示さ
れるモノカルボン酸エステルである、Rおよび(また
は)Rとしては、たとえば、(CHCH−、C
CH(CH)−、(CHCHCH−、
(CHC−、CCH(CH)CH−、
−CH−、CH−C−CH−、C
−CO−、シクロC11−、CH=C(C
)−などを例示することができる。RおよびR
のいずれか一方が上記のような分岐基であれば、他方は
上記の基であっても、あるいは他の基、たとえば直鎖状
もしくは環状の基であってもよい。
【0043】このようなモノカルボン酸エステルとして
は、α‐メチル酪酸、β‐メチル酪酸、メタクリル酸、
ベンゾイル酢酸などの各種モノエステル、イソプロパノ
ール、イソブチルアルコール、第三ブチルアルコールな
どのアルコールの各種モノカルボン酸エステルを例示す
ることができる。
【0044】(c) 有機ケイ素化合物 電子供与体としては、一般式R1011Si(OR
12またはR10Si(OR12で表わされる
有機ケイ素化合物を選択することができる。式中、R
10は環状脂肪族炭化水素基であり、好ましくは炭素数
3〜20、さらに好ましくは5〜12、の複環状炭化水
素基である。R11は、炭素数1〜20、好ましくは1
〜12、の環状あるいは鎖状の脂肪族炭化水素基であ
る。R12は環状あるいは鎖状の脂肪族炭化水素基であ
り、好ましくは炭素数4以下の鎖状脂肪族炭化水素基で
ある。下記の表1〜3は、電子供与体の具体例を構造式
で示すものである。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】さらに、下式で表わされる有機ケイ素化合
物を選択することもできる。 R1314 3−pSi(OR15 (ここで、R13は分岐鎖状炭化水素残基、R14およ
びR15はそれぞれ分岐または直鎖状炭化水素残基、p
は2≦p≦3の数である)である。
【0049】R13は、ケイ素原子に隣接する炭素原子
から分岐しているものが好ましい。その場合の分岐基
は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基
(たとえば、フェニル基またはメチル置換フェニル基)
であることが好ましい。さらに好ましいR13は、ケイ
素原子に隣接する炭素原子、すなわちα‐位の炭素原
子、が二級または三級の炭素原子であるものである。と
りわけ、ケイ素原子に結合している炭素原子から3個の
アルキル基が出た構造を持つものが好ましい。R13
炭素数は、通常3〜20、好ましくは4〜10、であ
る。R14は炭素数1〜20、好ましくは1〜10、の
分岐あるいは直鎖状の脂肪族炭化水素基であることがふ
つうである。R15は脂肪族炭化水素基、好ましくは炭
素数1〜4の鎖状脂肪族炭化水素基、であることがふつ
うである。
【0050】以下に具体例を構造式で示す。(CH
Si(CH)(OCH、(CHC−S
i(CH(CH)(OCH、(CH
C−Si(CH)(OC、(C
C−Si(CH)(OCH、(C)(C
)CH−Si(CH)(OCH、((CH
CHCHSi(OCH、(C
)(CHC−Si(CH)(OCH
、(C)(CHC−Si(CH)(O
、(CHC−Si(OCH
(CHC−Si(OC、(C
(CHC−Si(OC、(C
11)(CHC−Si(OC
(C)(CHC−Si(OCH
(C11)(CHC−Si(OCH
(CC−Si(OC、(C
)(CH)CH−Si(OCH、(C
)(CHC−Si(OCH
【0051】これらの電子供与体成分を固体触媒成分
(A)に含有させるに際しては、必ずしも出発原料とし
てこれらを使用する必要はなく、固体触媒成分調製の過
程でこれらに変化させうる化合物を用いて該調製の段階
でこれら化合物に変換させてもよい。
【0052】(4) 固体触媒成分(A)の調製 固体触媒成分(A)の調製にあたり、ハロゲン化マグネ
シウムは予め予備処理されたものが望ましい。この予備
処理は従来公知の各種方法により行なうことができ、具
体的には下記の方法が例示できる。
【0053】(イ) ジハロゲン化マグネシウムを、あ
るいはジハロゲン化マグネシウムとチタン、ケイ素もし
くはアルミニウムのハロゲン化合物またはハロゲン化炭
化水素化合物などとを、粉砕する。粉砕は、ボールミル
あるいは揺動ミルを用いて行なうことができる。 (ロ) ジハロゲン化マグネシウムを、溶媒として炭化
水素あるいはハロゲン化炭化水素を用い、溶解促進剤に
アルコール、リン酸エステルあるいはチタンアルコキシ
ドを用いて溶解させる。次いで、溶解したジハロゲン化
マグネシウムを、この溶液に貧溶媒、無機ハロゲン化
物、エステルなどの電子供与体あるいはメチルハイドロ
ジェンポリシロキサンなどのポリマーケイ素化合物など
を添加して、析出させる。 (ハ) マグネシウムのモノもしくはジアルコレートま
たはマグネシウムカルボキシレートとハロゲン化剤とを
接触反応させる。 (ニ) 酸化マグネシウムと塩素またはAlClとを
接触反応させる。 (ホ) MgX・nHO(Xはハロゲン)とハロゲ
ン化剤またはTiClとを接触反応させる。 (ヘ) MgX・nR16OH(Xはハロゲン、R
16はアルキル基)とハロゲン化剤またはTiCl
を接触反応させる。 (ト) グリニャール試薬、MgR17 化合物(R
17はアルキル基)、あるいはMgR17 化合物とト
リアルキルアルミニウム化合物との錯体を、ハロゲン化
剤、たとえばAlX、AlR18 3−q(Xはハ
ロゲン、R18はアルキル基、qは1≦q≦2であ
る)、SiClまたはHSiClと接触反応させ
る。 (チ) グリニャール試薬とシラノールとをあるいはポ
リシロキサン、HOまたはシラノールとを接触反応さ
せ、その後ハロゲン化剤またはTiClと接触反応さ
せる。
【0054】ハロゲン化マグネシウムのこのような予備
処理の詳細については、特公昭46−611号、同46
−34092号、同51−3514号、同56−673
11号、同53−40632号、同56−50888
号、同57−48565号、同52−36786号、同
58−449号、特開昭53−45686号、同50−
126590号、同54−31092号、同55−13
5102号、同55−135103号、同56−811
号、同56−11908号、同57−180612号、
同58−5309号、同58−5310号、同58−5
311号各公報を参照することができる。
【0055】予備処理された塩化マグネシウムとハロゲ
ン化チタンと電子供与体との接触は、ハロゲン化チタン
と電子供与体との錯体を形成させてからこの錯体と塩化
マグネシウムとを接触させることによっても、また塩化
マグネシウムとハロゲン化チタンとを接触させてから、
電子供与体と接触させることによっても、塩化マグネシ
ウムと電子供与体を接触させてからハロゲン化チタンと
接触させることによってもよい。
【0056】接触の方法としては、ボールミル、揺動ミ
ルなどの粉砕接触でもよいし、あるいはハロゲン化チタ
ンの液相中に塩化マグネシウムまたは塩化マグネシウム
の電子供与体処理物を添加してもよい。これら各成分の
接触後に、あるいは各成分接触の中間段階で、不活性溶
媒による洗浄を行なってもよい。
【0057】このようにして生成した固体触媒成分
(A)のハロゲン化チタン含有量は1〜20重量%、ハ
ロゲン化マグネシウムの含有量は50〜98重量%、電
子供与体化合物とハロゲン化チタンのモル比は0.05
〜2.0程度であることが普通である。
【0058】触媒成分(B) 本発明に成分(B)として用いられる有機アルミニウム
化合物は、一般式AlR19 3−r(ここで、R
19は炭素数1〜12の炭化水素残基、Xはハロゲンま
たはアルコキシ基、rは0<r≦3を示す)で表わされ
るものが好適である。
【0059】このような有機アルミニウム化合物は、具
体的には、たとえば、トリエチルアルミニウム、トリ‐
n‐プロピルアルミニウム、トリ‐n‐ブチルアルミニ
ウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ‐n‐ヘキシ
ルアルミニウム、トリイソヘキシルアルミニウム、トリ
オクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドラ
イド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジエチ
ルアルミニウムモノクロライド、エチルアルミニウムセ
スキクロライド、ジエチルアルミニウムモノエトキシサ
イドなどである。勿論、これらの有機アルミニウム化合
物を二種以上併用することもできる。
【0060】α‐オレフィンの重合において用いられる
有機アルミニウム化合物成分(B)と固体触媒成分
(A)の使用比率は広範囲に変えることができるが、一
般に、固体触媒成分中に含まれるチタン原子当り1〜1
000、好ましくは10〜500(モル比)、の割合で
有機アルミニウム化合物を使用することができる。
【0061】触媒成分(C) 本発明のブロック重合体の製造においては、必要に応じ
て各種の電子供与体を用いることができる。電子供与体
としては、エーテル化合物、アミン化合物、有機ケイ素
化合物などが好ましく用いられる。以下にその具体例を
示す。
【0062】(イ) エーテル化合物 本発明に用いられるエーテル化合物の一例は、一般式
【0063】
【化5】
【0064】で表わされるエーテルである。式中、R
20〜R22は飽和または不飽和の炭化水素残基であっ
て、一般には炭素数1〜10の、好ましくは炭素数約1
〜4の、アルキル基またはアルケニル基(ハロゲンまた
はフェニル基で置換された置換誘導体を含む)、あるい
は炭素数6〜12の、好ましくは炭素数6〜10の、フ
ェニル基(ハロゲン、アルキル基(特に低級アルキル
基)またはフェニル基による置換誘導体を含む)であ
る。但し、R19〜R22のうち、1〜2個はフェニル
基(ハロゲンまたはアルキル基(特に低級アルキル基)
による置換誘導体を含む)である。R23は炭化水素基
である。
【0065】このようなエーテル化合物の具体例を挙げ
れば、α‐クミルメチルエーテル、α‐クミルエチルエ
ーテル、1,1‐ジフェニルエチルメチルエーテル、
1,1‐ジフェニルエチルエチルエーテル、α‐クミル
第三ブチルエーテル、ジα‐クミルエーテル、1,1‐
ジトリエチルメチルエーテル、1,1‐ジトリエチルエ
チルエーテル、ビス(1,1‐ジトリエチル)エーテ
ル、1‐トリル‐1‐メチルエチルメチルエーテルなど
がある。上記の他に、1,4‐シネオール、1,8‐シ
ネオール、m‐シネオールなどのエーテル化合物も使用
できる。
【0066】(ロ) アミン化合物 本発明で用いられるアミン化合物は、2,2,6,6‐
テトラメチルピペリジン、2,2,6,6‐テトラエチ
ルピペリジンなどの立体障害アミンである。
【0067】(ハ) 有機ケイ素化合物 本発明で用いられる有機ケイ素化合物の具体例は、前述
の固体状チタン触媒成分に含有される電子供与体として
使用される有機ケイ素化合物(c)の例示中に見出され
るが、これらの中でもジアルコキシあるいはトリアルコ
キシシランが好ましく用いられる。具体例を構造式で示
すと以下のようになる。
【0068】
【化6】
【0069】
【化7】
【0070】
【化8】
【0071】
【化9】
【0072】
【化10】
【0073】
【化11】
【0074】(CHC−Si(CH)(OCH
、(CHC−Si(CH(CH
(OCH、(CHC−Si(CH)(O
、(CC−Si(CH)(O
CH、(C)(CH)CH−Si(CH
)(OCH、((CHCHCH
i(CH)(OCH)、(C)(CH
C−Si(CH)(OCH、(C)(C
C−Si(CH)(OC、(CH
C−Si(OCH、(CHC−Si
(OC、(C)(CHC−Si
(OC、(C11)(CHC−S
i(OC、(C)(CHC−S
i(OCH、(C11)(CHC−S
i(OCH、(CC−Si(OC
、(C)(CH)CH−Si(OC
、(C)(CHC−Si(OCH
、(C)(CHC−Si(OC
【0075】(C)電子供与体と(B)有機アルミニウ
ム化合物とのモル比は、通常0.01〜1.0、好まし
くは0.02〜0.5、である。
【0076】<ブロック共重合> 前記触媒の存在下に行なう本発明の重合工程は、プロピ
レンの結晶性単独重合体あるいは共重合体(ブロック
(A))を製造する前段重合、およびプロピレンとエチ
レンとのランダム共重合体(ブロック(B))を製造す
る後段重合の二段階からなる。後段重合は、アルコキシ
チタン化合物の存在下に行なう。
【0077】ここで、「アルコキシチタン化合物の存在
下に行なう」ということは、後段重合の実質的な部分が
アルコキシチタン化合物の存在下に行なわれるというこ
とを意味するのであって、アルコキシチタン化合物の添
加操作そのものは前段重合の後半以降、特にその実質的
終了後であって後段重合の前半まで、特に実質的終了
前、に行なうことを意味する。
【0078】なお、本発明による「ブロック重合体」
は、必ずしも理想的な姿のもの、すなわち前段重合で生
成したブロック(すなわち、ブロック(A))と後段重
合で生成したブロック(すなわち、ブロック(B))と
が一つの分子鎖上に存在するもの、のみを意味するもの
ではなく、慣用されているところに従って各工程で生成
したポリマーの物理的混合物およびこれと上記の理想的
なブロック共重合体との間の各種の形態のポリマーを包
含するものであることは前述した通りである。
【0079】前段重合:ブロック(A)の製造 前段重合は、プロピレン単独かプロピレン/C〜C
のα‐オレフィン混合物を前記触媒成分(A)、(B)
および必要により(C)を加えた重合系に供給して、プ
ロピレン単独重合体、またはα‐オレフィン含量3重量
%以下、好ましくは2.0%以下、のプロピレン/C
〜Cのα‐オレフィン共重合体を、一段もしくは多段
に、全重合量の50〜95重量%、好ましくは60〜9
2重量%、に相当する量となるように形成させる工程で
ある。
【0080】前段重合でプロピレン/α‐オレフィン共
重合体中のα‐オレフィン含量がこれ以上増加すると、
最終共重合体の嵩密度が低下し、低結晶性重合体の副生
量が大幅に増加する。また、重合割合が上記範囲未満で
あっても、やはりプロピレン/α‐オレフィンの共重合
体中のα‐オレフィン含量が多い場合と同様な現象が起
こる。一方、重合割合が上記範囲を越すと、低結晶性重
合体の副生量が減少する方向になるけれども、ブロック
共重合の目的である耐衝撃強度が低下するので、好まし
くない。
【0081】前段重合での重合温度は30〜90℃、好
ましくは50〜80℃、程度である。重合圧力は、1〜
30kg/cm2 程度である。
【0082】前段重合では、最終重合体が流動性の適当
なものとなるように分子量調節剤を使用することが好ま
しく、そのような分子量調節剤の好ましいものとして
は、水素がある。
【0083】アルコキシチタン化合物の添加 後段重合に際して添加するアルコキシチタン化合物とし
て好ましいものは、テトラアルコキシチタン、すなわち
テトラアルキルチタネート、である。本発明では、アル
キル基が炭素数1〜10程度、特に2〜6程度、のもの
が好ましい。具体例としては、テトラエチルチタネー
ト、テトラn‐プロピルチタネート、テトラi‐プロピ
ルチタネート、テトラn‐ブチルチタネート、テトラt
‐ブチルチタネート、テトラn‐ヘキシルチタネート、
テトラオクチルチタネートなどが挙げられるか、中でも
炭素数3以上のアルキルチタネートが好ましく、特にテ
トラn‐ブチルチタネートが好ましい。
【0084】アルコキシチタン化合物の添加量は、触媒
成分(A)成分中のチタン1モル当り1〜40モルが通
常用いられ、好ましくは5〜30モルの範囲で添加され
る。アルコキシチタン化合物の添加時期は、前段重合の
途中でも良く、あるいは後段重合の途中でも良い。好ま
しい添加時期は、前段重合終了時あるいは後段重合開始
時である。
【0085】後段重合:ブロック(B)の製造 後段重合は、前段重合に引きつづいて、プロピレン/エ
チレン混合物をさらに導入して、エチレン含量20〜9
0重量%、好ましくは30〜65重量%、のプロピレン
/エチレン共重合体を、一段または多段で得る工程であ
る。この工程では、全重合量の5〜50重量%、好まし
くは8〜40重量%、に相当する量を形成させることが
望ましい。
【0086】後段重合の重合割合およびプロピレン/エ
チレン混合物の組成が上記範囲未満では耐衝撃性(特に
低温耐衝撃性)が悪い。また、上記範囲を越すと、低結
晶性重合体の副生量が大幅に増加しかつ重合溶剤粘度の
上昇が著しくなるなどの運転上の問題が起こる。
【0087】後段重合では、少量の他のコモノマーを共
存させることも可能である。そのようなコモノマーとし
て、たとえば1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン
などのC〜C10程度のα‐オレフィンを例示するこ
とができる。
【0088】後段重合の重合温度は、30〜90℃、好
ましくは50〜80℃、程度である。重合圧力は、1〜
30kg/cm2 程度である。
【0089】前段重合から後段重合に移る際には、前段
重合由来のプロピレンガスまたはプロピレン/α‐オレ
フィン混合ガスと水素ガスとをパージして後段重合に移
ることが好ましい。後段重合では、分子量調節剤は目的
に応じて用いても用いなくても良いが、最終重合体の耐
衝撃性を上昇させたいときには、分子量調節剤は用いな
い方が好ましい。
【0090】重合方式 本発明によるブロック重合体の製造法は、回分式、連続
式、半回分式のいずれの方法によっても実施可能であ
る。この際に、ヘプタンなどの不活性炭化水素溶媒中で
重合を行なう方法、使用する単量体自身を媒質として利
用する方法、媒質を使用せずにガス状の単量体中で重合
を行なう方法、さらにこれらを組み合わせた方法、を採
用することができる。前段重合と後段重合とを別個の重
合槽中で行なってもよい。
【0091】
【実施例】下記の実施例は、本発明をさらに具体的に説
明するためのものである。これらは本発明の実施態様の
いくつかを例示するものであって、本発明を制限するた
めのものではない。
【0092】<実施例1> (1) 固体触媒成分の調製 窒素置換した500ml内容積のガラス製三ツ口フラスコ
(温度計、攪拌棒付き)に、75mlの精製ヘプタン、7
5mlのチタンテトラブトキシドおよび10gの無水塩化
マグネシウムを加える。その後、フラスコを90℃に昇
温し、2時間かけて塩化マグネシウムを完全に溶解させ
た。次にフラスコを40℃まで冷却し、メチルハイドロ
ジェンポリシロキサン15mlを添加することにより、塩
化マグネシウム・チタンテトラブトキシド錯体を析出さ
せた。これを精製ヘプタンで洗浄して、灰白色の固体を
得た。
【0093】窒素置換した300ml内容積のガラス製三
ツ口フラスコ(温度計、攪拌棒付き)に、上記で得た析
出固体20gを含むヘプタンスラリー65mlを導入し
た。次いで、四塩化ケイ素8.7mlを含むヘプタン溶液
25mlを室温で30分かけて加えて、さらに30℃で3
0分間反応させた。さらに90℃で1時間反応させ、反
応終了後、精製ヘプタンで洗浄した。次いで、塩化フタ
ロイル1.6mlを含むヘプタン溶液50mlを加えて50
℃で2時間反応させ、この後、精製ヘプタンで洗浄し、
さらに四塩化チタン25mlを加えて90℃で2時間反応
させた。これを精製ヘプタンで洗浄して、固体触媒成分
を得た。固体触媒成分中のチタン含量は3.22重量%
であった。
【0094】(2) 重合 内容積200リットルの攪拌式オートクレーブをプロピ
レンで充分置換した後、脱水および脱酸素したn‐ヘプ
タン60リットルを導入し、トリエチルアルミニウム
(B)15.0g、前記固体組成物(A)3.0gおよ
びジフェニルジメトキシシラン6.4gを70℃でプロ
ピレン雰囲気下で導入した。前段重合は、オートクレー
ブを75℃に昇温した後、水素濃度を2.0%に保ちな
がら、プロピレンを9kg/時間のスピードで導入するこ
とによって開始した。215分後、プロピレンの導入を
止め、さらに重合を75℃で90分間継続させた。気相
部プロピレンを0.2kg/cm2 とGなるまでパージし
た。
【0095】次に、テトラn‐ブチルチタネート6.8
gを添加し、オートクレーブを60℃に降温した後、後
段重合をプロピレン1.57kg/時間、エチレン2.3
5kg/時間のフィード速度で87分間フィードすること
により実施した。このようにして得られたスラリーを瀘
過し、乾燥して粉末状のブロック重合体を得た。得られ
たプロピレン重合体について、下記の物性測定を行なっ
た。表4は、その結果を示すものでなる。なお、前段重
合と後段重合の生成ポリマーの重量比および後段重合で
のプロピレンとエチレンの重量比は、フィードベースで
の計算値である。
【0096】(3) 物性測定 (イ) MFRはJIS K7210に準じ測定した。
なお、後段MFRは次の式により求めた。
【0097】log (ブロック共重合体のMFR)−(前
段重合割合)×log (前段のMFR)=(後段重合割
合)×log (後段のMFR) (ロ) エチレン含量は、IR吸収スペクトルから算出
した。 (ハ) 共重合組成分布指数は、NMRにより前記した
通りで求めた。 (ニ) I.I.は沸騰n‐ヘプタン抽出による不溶分
の割合として求めた。 (ホ) 得られた粉末状重合物に耐熱安定剤、耐防錆剤
を配合してそれぞれに押出機によりペレット化し射出成
形機により試験片を成形した。 (ヘ) 曲げ弾性率はJIS K7203に準じ測定し
た。 (ト) アイゾット衝撃強度はJIS K7110に準
じ測定した。 (チ) 落錘衝撃強度は2×80×120mmのシートを
射出成形機で成形し試験片とし測定した。
【0098】<実施例2および3>ブロック重合を行な
うに際し、前段重合と後段重合の重量比および後段重合
でのプロピレンとエチレンの重量比を換えること以外
は、実施例1と同様に重合体を製造し、同様な方法によ
り物性測定を行なった。
【0099】<比較例1>実施例1において、後段重合
温度を65℃に変更し、後段重合開始時にテトラn‐ブ
チルチタネートを添加しないこと以外は実施例1と同様
にして重合体を製造し、同様な方法により物性測定を行
なった。
【0100】<比較例2>攪拌式オートクレーブをプロ
ピレンで充分置換した後、脱水および脱酸素したn‐ヘ
プタン80リットルを入れた。器内温度を60℃に保
ち、ジエチルアルミニウムクロライド(DEAC)20
gをおよび三塩化チタン(丸紅ソルベイ化学社製)10
gを加えた。器内温度を65℃に昇温した後、水素濃度
を4.0%に保ちながらプロピレンを9kg/時間のスピ
ードで導入することにより前段重合を行なった。215
分後、プロピレンの導入を止め、さらに重合を65℃で
60分間継続させた。気相部のプロピレンを0.4kg/
cm2 Gとなるまでパージした。次にプロピレン1.02
kg/時間、エチレン1.54kg/時間のフィード速度で
80分間フィードすることにより後段重合を実施した。
得られた重合体について、実施例1と同様な方法で物性
測定を行なった。
【0101】<比較例3>ブロック共重合を行なうに際
し、前段重合と後段重合の重量比および後段重合でのプ
ロピレンとエチレンの重量比を換えること以外は、比較
例2と同様に重合操作を行なった。得られた重合体につ
いて、実施例1と同様な方法で物性測定を行なった。
【0102】
【表4】
【発明の効果】本発明によるプロピレンブロック重合体
は、機械的強度バランス、特に剛性と耐衝撃性のバラン
ス、に優れており、射出成形用ないし押し出し成形用樹
脂として非常に有用なものであることは、「課題を解決
するための手段」の項において前記したところである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−272612(JP,A) 特開 昭63−37111(JP,A) 特開 昭61−252218(JP,A) 特開 昭58−201816(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 297/08 C08F 4/654

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の触媒成分(A)と触媒成分(B)と
    から形成される触媒の存在下、プロピレンの結晶性単独
    重合体あるいは共重合体を製造する前段重合、およびプ
    ロピレンとエチレンとのランダム共重合体を製造する後
    段重合からなり、後段重合がアルコキシチタン化合物の
    存在下に行われる重合工程から製造されプロピレンブロ
    ック共重合体であって、実質的に下記のブロック(A)
    50〜95重量%およびブロック(B)5〜50重量%
    からなり、かつMFRが0.1〜100g/10分であ
    ることを特徴とする、プロピレンブロック重合体。触媒成分(A) マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必
    須成分とする固体状チタン触媒成分、 触媒成分(B) 有機アルミニウム化合物、 ブロック(A) プロピレン単独重合体またはプロピレンとC〜C
    α‐オレフィンとのランダム共重合体であって、MFR
    が1〜200g/10分であり、かつ重合体のアイソタ
    クチックインデックス(I.I.)が95%以上である
    ブロック(ただし、プロピレンとC〜Cのα‐オレ
    フィンとの共重合体の場合、α‐オレフィン含量はこの
    共重合体の全量に対して3重量%以下である)、 ブロック(B) プロピレンとエチレンとのランダム共重合体であって、
    この共重合体中のエチレン含量が20〜90重量%であ
    り、MFR測定により求められる共重合体組成分布指数
    〔C〕が300以上であり、かつMFRが0.001〜
    5g/10分であるブロック。
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