JP3129105B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JP3129105B2
JP3129105B2 JP06235355A JP23535594A JP3129105B2 JP 3129105 B2 JP3129105 B2 JP 3129105B2 JP 06235355 A JP06235355 A JP 06235355A JP 23535594 A JP23535594 A JP 23535594A JP 3129105 B2 JP3129105 B2 JP 3129105B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル系重合体の
製造方法に関し、特に高品質の塩化ビニル系重合体を、
高い生産性で製造することができる塩化ビニル系重合体
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、塩化ビニル又は塩化ビニルを主
体とする共重合可能な単量体の混合物(以下まとめて
「塩化ビニル系単量体」という)の重合反応に用いられ
る槽容器は、容器本体1′を円筒形胴部の両端に皿形鏡
板を溶接した耐圧密閉容器で形成すると共に、発熱の除
去、或いは、内容物の加熱のためのジャケット20を、
この容器本体1′の外部に付設した外部ジャケット方式
の槽容器(図3)が用いられる。
【0003】この方式の槽容器は、容器本体で耐圧強度
を保持するため、一般に、容器の板厚が厚くなり、容器
本体の壁を通しての熱伝導率が低く、発熱反応である塩
化ビニル系単量体の重合においては、高生産性を得るこ
とが困難であった。また、槽容器を大型化する場合、強
度面から容器本体の壁の板厚を厚くする必要があり、更
に熱伝導率の低下を招くという不都合があった。
【0004】そこで、この熱伝導での不利を解決すべ
く、図4に示すように容器本体1′の内面と直角に仕切
板21を間隔をおいて並設し、仕切板21の先端間に内
ストリップ22を跨設することによって、該内ストリッ
プ22と前記容器本体1′の内面との間に仕切板21に
より仕切られた螺旋状の流路23を形成した内部ジャケ
ット方式(特開昭57−147502号)の槽容器が提
案されている。
【0005】しかしながら、内部ジャケット方式の槽容
器は、熱伝導性に優れる反面、塩化ビニル系単量体の重
合反応時に内容物が接する槽容器内面に、多数存在する
内ストリップ22間の溶接部が表面に露出していること
による不都合な点がある。即ち、溶接部は、その施工上
どうしても表面粗度が粗く、溶接欠陥部分が存在する
が、塩化ビニル系単量体の重合反応では、反応混合物の
接する部分(以下、接液部という)の表面粗度が粗い
と、重合体スケールが付着しやすく、生成したスケール
が剥離し製品中に混入すると、品質の悪化(特に、フィ
ルム等に加工したときに、フィルム中に未溶融物が残
る、いわゆるフィッシュアイ(FE))を引き起こす。
また、品質悪化を招く重合体スケールの付着を防ごうと
する場合、多数存在する溶接線を極度に平滑にしたり、
特別な付着防止・除去技術を導入する必要があるなど、
設備の製作・維持のコストが大きくなる不都合がある。
【0006】また、塩化ビニル系単量体の重合反応で
は、反応の進行に伴い発生する塩化水素による腐食性の
ため、通常、槽容器内面の材質としてステンレス材を用
いるが、ステンレス材の溶接部は溶接による残留応力が
集中しており、容器内面に溶接線が隣接して多数存在す
る内部ジャケット方式の槽容器を用いて、塩化ビニル系
単量体の重合反応を行う場合、反応の進行に伴い発生す
る塩化水素(塩素イオン)による応力腐食割れの懸念が
ある。そのため、この溶接線の劣化程度の検査を、入念
に、かつ継続的に行う必要があり、メンテナンスが煩雑
で、検査費用が嵩むという不都合もある。
【0007】この内部ジャケット方式の槽容器の利点を
生かしつつ不都合点を解決すべく、本発明者らは、先
に、内筒の外面に直角に仕切板を間隔をおいて並設し、
該仕切板の先端間に外ストリップを跨設することによっ
て、前記内筒と外ストリップとの間に仕切板により仕切
られた熱媒の流路を有する流路壁(以下「温調エレメン
ト」という)を形成し、この温調エレメントを容器本体
内に外ストリップ側を容器本体の内面に対向させて間隔
を置いて固定すると共に、前記温調エレメントの外スト
リップ側と容器本体の内面との間隙の上下を封止して間
隙室を形成した構造の槽容器(以下「温調エレメント方
式の槽容器」という)中で、塩化ビニル系単量体の重合
反応を水性媒体中で行う方法を提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、第一
に、本体室と間隙室をもつ温調エレメント方式の槽容器
を用いて塩化ビニル系単量体の重合反応を行うにあた
り、一層生産性を高くするための方法を提供することで
あり、また第二には、上記の方法において、本体室と間
隙室との圧力を実質的に同一とするための連通管等の閉
塞を予防して、安全・安定運転が可能となるような方法
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
塩化ビニル系単量体を水性媒体中において重合するに際
して、該重合を、内筒の外面に直角に仕切板を間隔をお
いて並設し、仕切板の先端間に外ストリップを跨設する
ことによって、前記内筒と外ストリップとの間に仕切板
により仕切られた熱媒の流路を有する流路壁(温調エレ
メント)を形成し、この温調エレメントを容器本体内に
外ストリップ側を容器本体の内面に対向させて間隔をお
いて固定するとともに前記温調エレメントの外ストリッ
プ側と容器本体の内面との間の間隙の上下部を封止して
間隙室を形成した構造を有し、かつその気相部に還流冷
却器が設けられた槽容器中で行うことを特徴とする塩化
ビニル系重合体の製造方法、に存する。また、本発明の
要旨は、還流冷却器を竪置きに設置し、かつ連通管また
はバランスピストンと、容器本体の内面と温調エレメン
トの内筒とで囲まれた空間(以下「本体室」という)と
を接続する配管(以下まとめて「均圧配管」という)の
本体室側の開口部(以下「槽側接続口」という)が該還
流冷却器の頂部に設けられた温調エレメント方式の槽容
器中で塩化ビニル系単量体の水性媒体中での重合を行う
塩化ビニル系重合体の製造方法、にも存する。
【0010】以下、本発明について詳細に説明する。 〈槽容器〉槽容器本体 本発明方法に使用される温調エレメント方式の槽容器は
次のような構造のものである。即ち、図1〜図2に示す
ように、内筒6の外面に直角に仕切板7を間隔をおいて
並設し、仕切板7の先端間に外ストリップ8を跨設する
ことにより、前記内筒6と外ストリップ8との間に仕切
板7により仕切られた熱媒の流路9を有する温調エレメ
ント5を形成し、この温調エレメント5の外径を槽容器
の内径より小さく形成し、この温調エレメントの外スト
リップ8側を容器本体1の内面に対向させて間隔を置い
て固定する。
【0011】この温調エレメント5の固定は、その中心
線と容器の中心線とがほぼ一致するように行うのが良
く、このとき容器本体の内面と温調エレメントの外面
(即ち外ストリップ側)との間に、両者の径の差に相当
する間隙ができ、これが円周方向にほぼ均一となる。温
調エレメントの下端部は図1に示すように槽容器ノズル
12の周囲の底部鏡板3に連続溶接等により直接固定し
てもよいし、また隔壁を介して固定してもよい。
【0012】温調エレメントの上端部については、通
常、容器の円筒形胴部2または上部鏡板4に隔壁13を
取り付け固定する。このようにして容器本体1の内部に
固定された温調エレメント5の外面と容器本体1の内面
との間には間隔があるので、この間隙の上下部を例えば
直接溶接により又は隔壁13等により封止して間隙室を
形成した構造とする。これによって、反応混合物の上記
間隙への侵入と、これに伴うスケール付着の生成とが防
止できる。
【0013】この間隙の上部及び/又は下部を封止する
ための隔壁等には、温調エレメントの熱による膨張・収
縮を吸収できるような伸縮吸収部を設けておくのが良
く、また塩化ビニル系単量体の重合の際に通常用いられ
る温度や圧力に耐え得るような強度を持たせておく必要
がある。また、温調エレメント及びこれと容器本体との
間隙の上下部を封止するための溶接や隔壁が反応圧等に
より破壊されるのを防ぐため、容器本体の内面(通常、
頂部鏡板及び底部鏡板の部分)と温調エレメントの内筒
とで囲まれた空間(以下「本体室」という)の内圧と間
隙室の内圧とを実質的に同じになるようにするのが保安
上好ましく、このときは上記したほどの隔壁の耐圧強度
は必要がなくなる。この場合、本体室の内圧と間隙室の
内圧との差が1kg/cm2 以下、より好ましくは0.
7kg/cm2 以下となるようにするのが好ましい。
【0014】本体室と間隙室とを実質的に同圧とするた
めの方法としては、例えば図1に示すような圧力バラン
ス機構15(連通管16にバランスピストン17を設置
したもの)による方法、或いはこのような圧力バランス
機構を持たない単純な連通管を用いる均圧確保による方
法、あるいは本体室及び間隙室の内圧を検出し、間隙室
内の圧力を本体室の内圧と実質的に同じになるように別
途設置した加圧・減圧装置により調節する方法等がある
が、特に限定されるものではなく、またこれらを組み合
せて用いてもよい。
【0015】温調エレメント5内での熱媒の流路は、図
1に示すように、螺旋状としてもよいし、底部鏡板部は
螺旋状、容器本体胴部は周方向の蛇行状としてもよく、
特に限定されない。流路に流す熱媒としては、加熱用に
は蒸気、温水等が用いられ、冷却用には、工業用水等の
常温水、別途冷凍機で冷却された水、エチレングリコー
ル等の冷媒、フロン等の低温沸点冷媒等が使用できる
が、いずれも特に限定されない。
【0016】内筒6の板厚は、必要とされる強度と仕切
板7の間隔とに依存するが、容器本体1の胴長に比べて
仕切板7の間隔は小さいので、内筒6の板厚は小さくで
きる。内筒6の材質は、前述したように、塩化ビニル系
単量体の反応混合物と接する部分の耐食性を考慮して、
ステンレス材(ステンレス無垢材、ステンレス・炭素鋼
クラッド材など、特にSUS316Lが好ましい)やガ
ラスライニング材等が用いられるが、耐食性があって塩
素イオンによる応力腐食割れに耐性のある材質であれ
ば、特に限定されるものではない。
【0017】スケール付着防止の観点から内筒6の表面
は平滑であるのが好ましく、該表面を平滑にするために
は、通常、工業的に実施されるバフ仕上げ、電解研磨等
の方法を特に限定することなく用いることができる。ま
た、その表面粗度としては、Rmaxで通常10μm以
下、好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下
がよい。Rmaxの測定は、JIS B 0601にて
規定された方法を用いればよい。
【0018】このように製作された槽容器の本体室側の
内側表面に溶接部が占める割合は、内部ジャケット方式
の槽容器に比べて著しく少ないので、重合体スケールの
付着生成が少なく、得られる製品の品質も良好であり、
また応力腐食割れの懸念も少ないので、保守・点検(い
わゆるメンテナンス)の程度も通常の外部ジャケット方
式の槽容器並のものでよい。槽容器付帯設備 本発明方法において用いられる還流冷却器の形式、材質
は特に限定されるものではなく、ステンレス鋼を接液部
の材質とする多管式熱交換器等の、一般に塩化ビニル系
単量体の重合用に使用される還流冷却器を使用すればよ
い。伝熱面積は生産品種の要求品質、除熱負荷の程度、
負荷制御の方式に応じて決定すればよい。負荷制御の方
式としては、一般に用いられている方法でよく、還流冷
却器に通水する冷却水量や冷却水の温度で制御する方法
などが用いられる。
【0019】また、この還流冷却器は槽容器の気相部に
設置するが、通常、槽容器本体の上鏡部に接続配管を介
して竪型に設置するのが、飛散したポリマーの滞留や固
着を防ぐ上で好適である。その他の槽容器(重合槽)付
帯機器である撹拌翼やバッフルなどの形状は、特に限定
されるものではなく、従来の塩化ビニル系単量体の懸濁
重合法、乳化重合法又は微細懸濁重合法で、一般的に使
用されている設備・機器を使用することができる。均圧配管 本体室と間隙室とを実質的に同じ圧力とするための設備
のうち、連通管やバランスピストン方式等の配管を用い
る場合は、これらの配管(均圧配管)の本体室側の開口
部(槽側接続口)は、少なくとも本体室の気相部にある
必要がある。特に、この槽側接続口が、竪型に設置され
た還流冷却器の頂部にあるか、または還流冷却器と本体
室とを接続する配管の途中にあるのが、発泡・飛散等に
よるポリマー付着の生成や堆積に起因する均圧配管の閉
塞を防ぐ上で好適である。
【0020】〈重合処方〉塩化ビニル系単量体の水性媒
体中での重合は、一般に懸濁重合と乳化重合並びに微細
懸濁重合とがある。塩化ビニル系単量体の懸濁重合は、
通常、塩化ビニル系単量体を分散剤を含有する水性媒体
中で、油溶性重合開始剤の存在下に重合させることによ
って実施される。塩化ビニル系単量体の乳化重合は、塩
化ビニル系単量体を水性媒体中で、乳化剤及び水溶性重
合開始剤の存在下に、また、微細懸濁重合は、塩化ビニ
ル系単量体を水性媒体中で、乳化剤及び油溶性重合開始
剤の存在下に、均質化処理の上、重合させることによっ
て実施される。
【0021】単量体 本発明方法において使用される塩化ビニル系単量体と
は、塩化ビニル単量体単独及び塩化ビニル単量体を主体
とする共重合可能な単量体の混合物を含む。塩化ビニル
単量体と共重合可能な他の単量体としては、従来一般的
に用いられているものを使用することができ、特に限定
されない。上記の他の単量体としては、例えば、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビ
ニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニル
エーテル、オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエ
ーテル、セチルビニルエーテル等のアルキルビニルエー
テル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、
アクリル酸、メタクリル酸等の一価不飽和酸、これらの
一価不飽和酸のメチルエステル、エチルエステル等のア
ルキルエステル類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸
等の二価不飽和酸、これらの二価不飽和酸のメチルエス
テル、エチルエステル等のアルキルエステル類、塩化ビ
ニリデン等のビニリデン化合物、アクリロニトリル等の
不飽和ニトリルなどの一種又は二種以上の混合物が挙げ
られる。これらの他の単量体は、塩化ビニル単量体に対
し、通常、30重量%以下、好ましくは20重量%以下
の割合で使用されるが、特に制限はない。
【0022】分散剤 本発明方法において使用できる分散剤は、塩化ビニル系
単量体の懸濁重合法で従来一般的に使用されているもの
でよく、特に限定されない。上記分散剤としては、例え
ば部分ケン化ポリ酢酸ビニル(いわゆるポリビニルアル
コール)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの
セルロース誘導体、ゼラチンなどの水溶性ポリマー等が
挙げられる。また、分散助剤としてラウリル硫酸ナトリ
ウムなどのアニオン性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エ
ステル類やグリセリン脂肪酸エステル類などの非イオン
性界面活性剤等を使用しても差し支えない。これらの分
散剤あるいは分散助剤は単独で又は2種類以上の組合せ
で用いることができる。また、これらの分散剤の使用量
には特に制限はなく、その種類、撹拌強度、重合温度、
塩化ビニル単量体と共重合させる他の単量体の種類と組
成、目的とする塩化ビニル系重合体の粒径等によって多
少異なるが、一般には塩化ビニル系単量体の総量に対し
て通常0.001〜2重量%、好ましくは0.03〜1
重量%の範囲内で用いられる。
【0023】乳化剤 乳化重合法及び微細懸濁重合法に用いられる乳化剤とし
ては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩(アルカ
リ金属塩、アンモニウム塩)、アルキルベンゼンスルホ
ン酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、高級脂肪
酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)その他のアニ
オン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、及び/またはカ
チオン界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤
は、1種類を用いてもよいし、2種類以上の併用も可能
である。乳化剤の使用量は、塩化ビニル系単量体に対
し、通常0.1〜3重量%(好ましくは0.3〜1重量
%)の範囲であるが、特に限定されない。
【0024】また、これらの乳化剤を、発泡性等の調整
用に追加して用いてもよく、この場合は、重合反応終了
後に添加してもよい。重合開始剤 本発明方法において使用される重合開始剤は、塩化ビニ
ル系単量体の各重合法で、従来一般的に使用されるもの
でよく、特に限定されない。
【0025】懸濁重合法で使用される重合開始剤として
は、例えばt−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチ
ルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキ
シピバレート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエー
ト、α−クミルペルオキシネオデカノエートなどのペル
エステル化合物、ジラウロイルペルオキシドなどのジア
シル又はジアルキルペルオキシド化合物、ジイソプロピ
ルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシル
ペルオキシジカーボネートなどのペルカーボネート化合
物、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ア
ゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物等が挙げら
れる。これらの重合開始剤は、単独で又は2種類以上の
組合せで使用することができる。重合開始剤の使用量
は、開始剤の種類や重合温度、所望の反応時間等によっ
ても異なるが、一般に塩化ビニル系単量体の総量に対し
0.01〜1重量%の範囲である。
【0026】乳化重合法で使用される重合開始剤として
は、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウ
ム塩)、過酸化水素等の水溶性過酸化物、または、これ
らの水溶性過酸化物と水溶性還元剤(例えば、亜硫酸ナ
トリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウ
ム、アスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスル
ホキシレート等)との組合せからなる水溶性レドックス
系開始剤が例示される。
【0027】微細懸濁重合法で用いられる重合開始剤と
しては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、ラウロイルペルオキシ
ド、t−ブチルペルオキシピバレート等の単量体可溶性
(油溶性)開始剤、または、これらの油溶性開始剤と前
記の水溶性還元剤との組合せからなるレドックス系開始
剤が例示される。その他の助剤 更に、本発明方法においては、必要に応じて、塩化ビニ
ル系単量体の重合に使用される重合度調整剤(連鎖移動
剤、架橋剤)、酸化防止剤、pH調整剤、レドックス系
開始剤の活性化剤等の各種重合助剤を適宜添加すること
ができ、これらの各成分の仕込量等は、従来塩化ビニル
系単量体の重合で実施されている一般的な条件で差し支
えない。
【0028】なお、塩化ビニル系単量体の重合に用いら
れる重合度調整剤としては、トリクロルエチレン、四塩
化炭素、2−メルカプトエタノール、オクチルメルカプ
タン等の連鎖移動剤、フタル酸ジアリル、イソシアヌル
酸トリアリル、エチレングリコールジアクリレート、ト
リメチロールプロパントリメタクリレート等の架橋剤が
例示される。
【0029】〈重合方法〉仕込方法 本発明方法を実施するに際して、槽容器(以下「重合
槽」ということもある)への水性媒体、塩化ビニル系単
量体、重合開始剤、懸濁重合法の分散剤、乳化重合法及
び微細懸濁重合法の乳化剤、その他各種重合助剤の仕込
割合及び仕込方法は、特に限定されない。重合温度 本発明方法において採用される重合温度は、用いる重合
開始剤の種類、重合方法、重合度調整剤の使用の有無、
目標とする重合度等によっても異なるが、一般に、0〜
90℃、特に40〜70℃の範囲を用いることが多い。
また、反応に際しては、一定温度で重合を行わせても、
或いは、重合の途中で重合温度を変化させてもよい。重合停止方法 本発明方法において、重合反応を停止させる方法として
は、いわゆる重合禁止剤や重合停止剤を添加したり、重
合槽から未反応単量体を回収する方法等が例示される。
【0030】〈後処理方法〉懸濁重合法で生成した塩化
ビニル系重合体のスラリーの脱水・乾燥等の操作として
は、一般に行われている遠心脱水・流動乾燥等の脱水・
乾燥手段でよく、特に限定はされない。乳化重合法及び
微細懸濁重合法で生成した塩化ビニル系重合体のラテッ
クスの乾燥等の操作は、従来から行われている回転円盤
や、二流体ノズル等の噴霧ノズルなどを用いる噴霧乾燥
等の手段でよく、特に限定はされない。また、乾燥処理
前にラテックス中の水分の一部を予め取り除き、ラテッ
クス中の塩化ビニル系重合体の濃度を上げる濃縮操作を
してもよいし、乾燥後の製品を、分級・粉砕する操作を
行ってもよい。
【0031】
【実施例】次に、本発明方法の具体的態様を実施例を用
いて説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、
以下の実施例によって限定されるものではない。なお、
得られた塩化ビニル系重合体の物性評価は下記の物性測
定方法により行った。物性測定方法 平均重合度及び嵩比重 JIS K 6721に示される方法に準じて求めた。 フィッシュ・アイ(FE) 塩化ビニル系重合体100重量部、可塑剤(DOP)5
0重量部、及び鉛系粉末安定剤3重量部を、塩化ビニル
系重合体100gをベースとして採取し、ビーカーで予
備混合した後、155℃のロールでそれぞれ4分間、5
分間、7分間混練し、厚さ0.4mmのロールシートを
作成した。
【0032】得られたロールシートの一辺5cmの正方
形(面積25cm2 )中に認められるFEの数をそれぞ
れ計数して、FE個数とした。 実施例1 内容積400リットルで、攪拌機を備え、槽容器内壁
(即ち温調エレメントの内筒の表面)を電解研磨処理に
よりRmax1.2μm程度とした、間隙室と本体室に
区分されたステンレス製温調エレメント方式の槽容器の
頂部に竪置きの伝熱面積1m2の多管式還流冷却器を設
置した槽容器を重合缶として使用した。この温調エレメ
ント式の槽容器には間隙室と本体室とを実質的に同じ圧
力とするために連通管が設けられており、この連通管は
間隙室側では槽本体の側壁上部に開口し、また本体室側
(槽側接続口)では上記の還流冷却器の頂部に開口して
いる。
【0033】この槽容器に塩化ビニル単量体100k
g、脱イオン水150kg、分散剤として部分ケン化ポ
リ酢酸ビニル60g、及び開始剤としてジオクチルペル
オキシジカーボネートを40g仕込んだ後、温調エレメ
ントに温水を循環し、57℃まで加温し重合を開始し
た。重合反応が開始してから30分後に還流冷却器に冷
却水を通水し、これによる除熱量が4000kcal/
hrとなるように冷却水量を調整した。所定の重合率に
達するまでこの温度を保持して重合を実施した。この時
の反応時間は5時間であった。その後、未反応の塩化ビ
ニル単量体を回収し、生成スラリーを抜き出し、換気し
た上、槽容器を開放して槽容器内壁へのスケール付着状
況を観察した。結果を表−1に示す。
【0034】スケール付着状況の観察後、槽容器内壁を
低圧のイオン交換水で洗浄した上で、同条件で次バッチ
のテストを繰り返した。各バッチで得られた塩化ビニル
系重合体について、前記の方法で物性評価を行った。結
果を表−2に示す。 比較例1 槽容器の形式を還流冷却器付の内部ジャケット方式とし
た以外は全て実施例1と同条件で塩化ビニル単量体の重
合反応を行い、同様の評価を実施した。結果を表−1、
表−2に併せて示す。 比較例2 還流冷却器への通水を行わず、従って還流冷却器を使用
しなかったこと以外は全て実施例1と同様にして塩化ビ
ニル系単量体の重合反応を1バッチ実施した。反応完結
には6時間を要した。得られた塩化ビニル重合体の評価
を行い、結果を表−2に併せて示した。
【0035】
【表1】 判定基準:○ … 全表面積の10%未満の内壁に付着が生成 △ … 全表面積の10%以上、50%未満の内壁に付着が生成 × … 全表面積の50%以上の内壁に付着が生成 (但し、槽側接続口については付着、閉塞の有無のみを観察)
【0036】
【表2】 注:FE個数が「500」と表示されている場合は、「500個以上」である ことを意味している。
【0037】
【発明の効果】温調エレメント方式の槽容器において、
該エレメントと容器本体との間隙の上下部を封止して間
隙室を形成した構造とし、必要に応じ、この間隙室と重
合槽内との均圧を確保したものを用い、かつこれに還流
冷却器を設置して塩化ビニル系単量体の重合を行うとい
う本発明の方法を採ることにより、温調エレメント式槽
容器における高い生産性をより一層向上させることがで
き、また、その均圧配管を本体室側の特定の部位に開口
させることにより、ポリマーの堆積や付着が防止でき
て、配管の閉塞が回避され、また得られる製品のフィッ
シュアイ等の品質上の問題が改善されるという効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の実施に使用される槽容器の一例を
示す縦断面図。
【図2】図1の要部拡大図。
【図3】従来の槽容器の例を示す縦断面図。
【図4】従来の槽容器の例を示す要部拡大縦断面図。
【符号の説明】
1 容器本体 2 円筒形胴部 3 底部鏡板 4 頂部鏡板 5 温調エレメント 6 内筒 7、21 仕切板 8 外ストリップ 9、23 熱媒流路 10 熱媒流路入口 11 熱媒流路出口 12 槽容器ノズル 13 隔壁 14 間隙室 15 圧力バランス機構 16 連通管 17 バランスピストン 18 還流冷却器 19 槽側接続口 20 (外部)ジャケット 22 内ストリップ H 間隙
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特許2975832(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/30 B01J 19/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニルまたは塩化ビニルを主体とす
    る共重合可能な単量体の混合物を水性媒体中において重
    合するに際して、該重合を、内筒の外面に直角に仕切板
    を間隔をおいて並設し、仕切板の先端間に外ストリップ
    を跨設することによって、前記内筒と外ストリップとの
    間に仕切板により仕切られた熱媒の流路を有する流路壁
    (以下「温調エレメント」という)を形成し、この温調
    エレメントを容器本体内に外ストリップ側を容器本体の
    内面に対向させて間隔をおいて固定するとともに前記温
    調エレメントの外ストリップ側と容器本体の内面との間
    の間隙の上下部を封止して間隙室を形成した構造を有
    し、かつその気相部に還流冷却器が設けられた槽容器中
    で行うことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 容器本体の内面と温調エレメントの内筒
    とで囲まれた空間(以下「本体室」という)と間隙室と
    を実質的に同圧とした槽容器中で重合を行う請求項1に
    記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 本体室と間隙室とを連通管によって連通
    させることによって両者を実質的に同圧とした請求項2
    に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 本体室と間隙室とをバランスピストンを
    介して連通させることによって両者を実質的に同圧とし
    た請求項2に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 本体室内の圧力と間隙室内の圧力とを検
    出し、間隙室内の圧力を制御することによって、両者を
    実質的に同圧とした請求項2に記載の塩化ビニル系重合
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 還流冷却器を竪置きに設置し、かつ連通
    管またはバランスピストンと本体室とを接続する配管
    (以下まとめて「均圧配管」という)の本体室側の開口
    部(以下「槽側接続口」という)が該還流冷却器の頂部
    に設けられた請求項3または4に記載の塩化ビニル系重
    合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 均圧配管の槽側接続口が還流冷却器と本
    体室とを接続する配管に設けられた請求項3または4に
    記載の塩化ビニル系重合体の製造方法。
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