JP3128256B2 - カラー受像管装置 - Google Patents
カラー受像管装置Info
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- JP3128256B2 JP3128256B2 JP03079502A JP7950291A JP3128256B2 JP 3128256 B2 JP3128256 B2 JP 3128256B2 JP 03079502 A JP03079502 A JP 03079502A JP 7950291 A JP7950291 A JP 7950291A JP 3128256 B2 JP3128256 B2 JP 3128256B2
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Description
[発明の目的]
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カラー受像管装置に係
り、特に画面上の多岐に渡るクロスミスコンバーゼンス
パターンの補正を可能にする可飽和リアクタを具備する
カラー受像管装置に関するものである。
り、特に画面上の多岐に渡るクロスミスコンバーゼンス
パターンの補正を可能にする可飽和リアクタを具備する
カラー受像管装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にカラー受像管装置は、図7に示す
ように、一体に接合されたパネル1およびファンネル2
からなる外囲器を有し、そのパネル1内側に装着され多
数の電子ビーム通過孔の形成されたシャドウマスク3に
対向して、上記パネル1内面に、青,緑,赤に発光する
3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン4が形成され、
ファンネル2のネック5内に配設された電子銃6から放
出される3電子ビームBR,BG,BBを、ファンネル2の外
側に装着された偏向ヨーク7の発生する磁界により偏向
して、上記蛍光体スクリーン4を水平、垂直に走査する
ことにより、この蛍光体スクリーン4上にカラー画像を
表示する構造に形成されている。上述のように電子ビー
ムBR,BG,BBを偏向する偏向ヨーク7は、図8に示すよ
うに、通常、水平方向に電子ビームを偏向走査するため
の水平偏向電流が流れる一対のサドル型水平偏向コイル
11と、垂直方向に電子ビームを偏向走査するための垂直
偏向電流が流れる一対の垂直偏向コイル12と、水平偏向
コイル11と垂直偏向コイル12との間のセパレーター13と
から主として構成されている。図8において、垂直偏向
コイル12は上下一対のトロイダル型偏向コイルとなって
いるが、左右一対のサドル型偏向コイルにより構成され
た偏向ヨークも用いられている。
ように、一体に接合されたパネル1およびファンネル2
からなる外囲器を有し、そのパネル1内側に装着され多
数の電子ビーム通過孔の形成されたシャドウマスク3に
対向して、上記パネル1内面に、青,緑,赤に発光する
3色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン4が形成され、
ファンネル2のネック5内に配設された電子銃6から放
出される3電子ビームBR,BG,BBを、ファンネル2の外
側に装着された偏向ヨーク7の発生する磁界により偏向
して、上記蛍光体スクリーン4を水平、垂直に走査する
ことにより、この蛍光体スクリーン4上にカラー画像を
表示する構造に形成されている。上述のように電子ビー
ムBR,BG,BBを偏向する偏向ヨーク7は、図8に示すよ
うに、通常、水平方向に電子ビームを偏向走査するため
の水平偏向電流が流れる一対のサドル型水平偏向コイル
11と、垂直方向に電子ビームを偏向走査するための垂直
偏向電流が流れる一対の垂直偏向コイル12と、水平偏向
コイル11と垂直偏向コイル12との間のセパレーター13と
から主として構成されている。図8において、垂直偏向
コイル12は上下一対のトロイダル型偏向コイルとなって
いるが、左右一対のサドル型偏向コイルにより構成され
た偏向ヨークも用いられている。
【0003】このようなカラー受像管装置において、特
に電子銃を同一平面上を通るセンタービームおよび一対
のサイドビームからなる一列配置の3電子ビームを放出
するインライン型電子銃とし、一方、偏向ヨークの発生
する水平偏向磁界をピンクッション形、垂直偏向磁界を
バレル形とする非斉一磁界として、この非斉一磁界によ
り3電子ビームを自己集中するセルフコンバーゼンス方
式インライン型カラー受像管装置が広く使用されてい
る。
に電子銃を同一平面上を通るセンタービームおよび一対
のサイドビームからなる一列配置の3電子ビームを放出
するインライン型電子銃とし、一方、偏向ヨークの発生
する水平偏向磁界をピンクッション形、垂直偏向磁界を
バレル形とする非斉一磁界として、この非斉一磁界によ
り3電子ビームを自己集中するセルフコンバーゼンス方
式インライン型カラー受像管装置が広く使用されてい
る。
【0004】ところが、カラー受像管装置の偏向角が90
°程度のものについて偏向磁界を良好なコンバーゼンス
が得られるようにすると、上下のラスターにピンクッシ
ョン形状またはバレル形状の歪が生じ、また上下のラス
ターの歪を最適にすると、ミスコンバーゼンスを生じる
という問題があった。
°程度のものについて偏向磁界を良好なコンバーゼンス
が得られるようにすると、上下のラスターにピンクッシ
ョン形状またはバレル形状の歪が生じ、また上下のラス
ターの歪を最適にすると、ミスコンバーゼンスを生じる
という問題があった。
【0005】図9に従来のカラー受像管装置における幾
つかのクロスミスコンバーゼンスパターンを示す。この
ようなクロスミスコンバーゼンスパターンの補正に関し
て、従来、特開昭57-206184 号公報や特開平2-194791号
公報などに、一対の水平偏向コイルに流れる電流を垂直
偏向に同期して差動的に変化させて、水平偏向磁界の形
状を時間とともには変化させてミスコンバーゼンスの補
正を行う可飽和コアを備えたカラー受像管装置が示され
ている。
つかのクロスミスコンバーゼンスパターンを示す。この
ようなクロスミスコンバーゼンスパターンの補正に関し
て、従来、特開昭57-206184 号公報や特開平2-194791号
公報などに、一対の水平偏向コイルに流れる電流を垂直
偏向に同期して差動的に変化させて、水平偏向磁界の形
状を時間とともには変化させてミスコンバーゼンスの補
正を行う可飽和コアを備えたカラー受像管装置が示され
ている。
【0006】図10に、従来のカラー受像管装置における
ミスコンバーゼンス補正手段である可飽和リアクタの一
例として、特開平2-194791号公報に提案された構成を示
す。これは、上下一対の水平偏向コイルの内の上側水平
偏向コイル11aに接続され可飽和コア20a,20bに巻回
されたインピーダンス制御コイル21a,21bと、下側水
平偏向コイル11bに接続され可飽和コア20c,20dに巻
回されたインピーダンス制御コイル21c,21dと、垂直
偏向コイル12a,12bに接続された飽和制御コイル22
と、マグネット23により構成されている。インピーダン
ス制御コイル21a,21b,21c,21dの巻回された可飽
和コア20a,20b,20c,20dはマグネット23に隣接し
ており、インピーダンス制御コイル21a,21bと21c,
21dとにはマグネット23による静磁場が逆方向にバイア
スされている。インピーダンス制御コイル21a,21bと
21c,21dは互いに反対方向に巻回された等価コイルで
あり、インピーダンス制御コイル自体の発生する磁場を
キャンセルするように構成されている。飽和制御コイル
22は、インピーダンス制御コイル21a,21b,21c,21
dとマグネット23の外側に巻回されており、垂直偏向電
流が流れることにより、各インピーダンス制御コイル21
a,21b,21c,21dのインダクタンスを垂直偏向に同
期させて変化させる。この変化は、例えば正方向の垂直
偏向電流、つまりスクリーン上側に偏向したときの電流
が通電された場合、飽和制御コイル22による磁場は、上
側水平偏向コイル11aに接続されたインピーダンス制御
コイル21a,21bではマグネット23による磁場を減ら
し、下側水平偏向コイル11bに接続されたインピーダン
ス制御コイル21c,21dではマグネット23による磁場を
増やす方向に働く。これによりインピーダンス制御コイ
ル21a,21bのインダクタンスが増加、インピーダンス
制御コイル21c,21dのインダクタンスが減少して、上
側水平偏向電流が下側水平偏向電流より小さくなるよう
な差動電流が生じ、スクリーン上側のクロスミスコンバ
ーゼンスパターンを補正する。同様に、負方向の垂直偏
向電流、つまりスクリーン下側に偏向したときの電流が
通電された場合は、上側水平偏向電流が下側水平偏向電
流より大きくなるような差動電流が生じ、スクリーン下
側のクロスミスコンバーゼンスパターンを補正する。
ミスコンバーゼンス補正手段である可飽和リアクタの一
例として、特開平2-194791号公報に提案された構成を示
す。これは、上下一対の水平偏向コイルの内の上側水平
偏向コイル11aに接続され可飽和コア20a,20bに巻回
されたインピーダンス制御コイル21a,21bと、下側水
平偏向コイル11bに接続され可飽和コア20c,20dに巻
回されたインピーダンス制御コイル21c,21dと、垂直
偏向コイル12a,12bに接続された飽和制御コイル22
と、マグネット23により構成されている。インピーダン
ス制御コイル21a,21b,21c,21dの巻回された可飽
和コア20a,20b,20c,20dはマグネット23に隣接し
ており、インピーダンス制御コイル21a,21bと21c,
21dとにはマグネット23による静磁場が逆方向にバイア
スされている。インピーダンス制御コイル21a,21bと
21c,21dは互いに反対方向に巻回された等価コイルで
あり、インピーダンス制御コイル自体の発生する磁場を
キャンセルするように構成されている。飽和制御コイル
22は、インピーダンス制御コイル21a,21b,21c,21
dとマグネット23の外側に巻回されており、垂直偏向電
流が流れることにより、各インピーダンス制御コイル21
a,21b,21c,21dのインダクタンスを垂直偏向に同
期させて変化させる。この変化は、例えば正方向の垂直
偏向電流、つまりスクリーン上側に偏向したときの電流
が通電された場合、飽和制御コイル22による磁場は、上
側水平偏向コイル11aに接続されたインピーダンス制御
コイル21a,21bではマグネット23による磁場を減ら
し、下側水平偏向コイル11bに接続されたインピーダン
ス制御コイル21c,21dではマグネット23による磁場を
増やす方向に働く。これによりインピーダンス制御コイ
ル21a,21bのインダクタンスが増加、インピーダンス
制御コイル21c,21dのインダクタンスが減少して、上
側水平偏向電流が下側水平偏向電流より小さくなるよう
な差動電流が生じ、スクリーン上側のクロスミスコンバ
ーゼンスパターンを補正する。同様に、負方向の垂直偏
向電流、つまりスクリーン下側に偏向したときの電流が
通電された場合は、上側水平偏向電流が下側水平偏向電
流より大きくなるような差動電流が生じ、スクリーン下
側のクロスミスコンバーゼンスパターンを補正する。
【0007】また、可飽和リアクタの他の構成として、
図11に特開昭58-14453号公報で提案された構成を示す。
これは飽和制御コイルの代わりに垂直偏向コイルからの
漏洩磁場を利用したものであり、図中、同一番号は同一
のものを示し、基本的作用は上述の通りである。
図11に特開昭58-14453号公報で提案された構成を示す。
これは飽和制御コイルの代わりに垂直偏向コイルからの
漏洩磁場を利用したものであり、図中、同一番号は同一
のものを示し、基本的作用は上述の通りである。
【0008】従来のカラー受像管装置におけるクロスミ
スコンバーゼンスパターンは、図9(a)および(b)
に代表されるパターンを有していた。しかし、近年にお
いては、カラー受像管装置の平坦化や複雑なコンバーゼ
ンスおよび歪補正機構等の付加により、図9(c)に示
すような、画面上下端部のクロスミスコンバーゼンス量
が上下中間部のクロスミスコンバーゼンス量よりも小さ
いパターンや、図9(d)に示すような、画面上下端部
のみに極在してクロスミスコンバーゼンスが生じるパタ
ーンが多くなってきている。
スコンバーゼンスパターンは、図9(a)および(b)
に代表されるパターンを有していた。しかし、近年にお
いては、カラー受像管装置の平坦化や複雑なコンバーゼ
ンスおよび歪補正機構等の付加により、図9(c)に示
すような、画面上下端部のクロスミスコンバーゼンス量
が上下中間部のクロスミスコンバーゼンス量よりも小さ
いパターンや、図9(d)に示すような、画面上下端部
のみに極在してクロスミスコンバーゼンスが生じるパタ
ーンが多くなってきている。
【0009】なお、図9(c)に示すパターンを補正す
る手段として、特開昭57-206184 号公報には、マグネッ
トが可飽和コアに及ぼす磁場を減少させて、飽和制御コ
イルの動作範囲を移動させる手段が提案されている。し
かしながら、この場合、マグネットが可飽和コアに及ぼ
す磁場を減少させることにより補正量が大幅に減少する
こと、設計の自由度が低下し補正パターンが極めて限ら
れたものになること、画面の上下端における補正量を完
全に零とすることが困難なこと等の実用上の問題があ
る。
る手段として、特開昭57-206184 号公報には、マグネッ
トが可飽和コアに及ぼす磁場を減少させて、飽和制御コ
イルの動作範囲を移動させる手段が提案されている。し
かしながら、この場合、マグネットが可飽和コアに及ぼ
す磁場を減少させることにより補正量が大幅に減少する
こと、設計の自由度が低下し補正パターンが極めて限ら
れたものになること、画面の上下端における補正量を完
全に零とすることが困難なこと等の実用上の問題があ
る。
【0010】また、飽和制御コイル系にダイオードを導
入することで逆補正機構を付加した方法も提案されてい
るが、この方法では、装置の複雑化、偏向感度低下、価
格上昇、ダイオードの立ち上がり部の急峻な補正変化に
より画面上好ましくない現象を生ずることなどの問題が
ある。
入することで逆補正機構を付加した方法も提案されてい
るが、この方法では、装置の複雑化、偏向感度低下、価
格上昇、ダイオードの立ち上がり部の急峻な補正変化に
より画面上好ましくない現象を生ずることなどの問題が
ある。
【0011】このように、従来、図9(a)および
(b)に示すクロスミスコンバーゼンスパターンの補正
は適切に行えるが、図9の(c)および(d)に示すク
ロスミスコンバーゼンスパターンの補正は困難であっ
た。以下、この理由を図12ないし図14を参照して、イン
ピーダンス制御コイル、飽和制御コイル、可飽和コアお
よびマグネットの作用の面から詳細に説明する。
(b)に示すクロスミスコンバーゼンスパターンの補正
は適切に行えるが、図9の(c)および(d)に示すク
ロスミスコンバーゼンスパターンの補正は困難であっ
た。以下、この理由を図12ないし図14を参照して、イン
ピーダンス制御コイル、飽和制御コイル、可飽和コアお
よびマグネットの作用の面から詳細に説明する。
【0012】一般的に、インピーダンス制御コイルは可
飽和コアに巻回されているため、インピーダンス制御コ
イルのインダクタンスLは、可飽和コアの透磁率μ、巻
数nの自乗に比例する。
飽和コアに巻回されているため、インピーダンス制御コ
イルのインダクタンスLは、可飽和コアの透磁率μ、巻
数nの自乗に比例する。
【0013】また、可飽和コアの透磁率μは、外部から
可飽和コアに及ぼされる磁場Hに対して磁化した結果生
じる磁場Bの関係、すなわちB−H特性により一律に決
定されるものであり、図12(a)の曲線31に可飽和コア
のB−H特性の概略図を示す。図12(a)において、H
sは可飽和コアの磁化飽和がほぼ完了する外部からの磁
場を表している。このようにヒステリシスが無視できる
ような可飽和コアの材料の場合(一般的な可飽和コアの
場合、ヒステリシスは無視できる)、可飽和コアの透磁
率μの変化は、外部から可飽和コアに及ぼされる磁場H
が零(H=0)のとき最大値μmax をとり、0<H<H
sの領域ではHの増加に対して透磁率μは減少し、H>
Hsの過飽和領域では飽和透磁率μsとほぼ等しくな
る。また、インピーダンス制御コイルのインダクタンス
Lは、前述のように可飽和コアの透磁率μにほぼ比例す
るので、外部から可飽和コアに及ぼされる磁場Hに対し
て図12(b)の曲線32に示すようなL−H特性を示す。
可飽和コアに及ぼされる磁場Hに対して磁化した結果生
じる磁場Bの関係、すなわちB−H特性により一律に決
定されるものであり、図12(a)の曲線31に可飽和コア
のB−H特性の概略図を示す。図12(a)において、H
sは可飽和コアの磁化飽和がほぼ完了する外部からの磁
場を表している。このようにヒステリシスが無視できる
ような可飽和コアの材料の場合(一般的な可飽和コアの
場合、ヒステリシスは無視できる)、可飽和コアの透磁
率μの変化は、外部から可飽和コアに及ぼされる磁場H
が零(H=0)のとき最大値μmax をとり、0<H<H
sの領域ではHの増加に対して透磁率μは減少し、H>
Hsの過飽和領域では飽和透磁率μsとほぼ等しくな
る。また、インピーダンス制御コイルのインダクタンス
Lは、前述のように可飽和コアの透磁率μにほぼ比例す
るので、外部から可飽和コアに及ぼされる磁場Hに対し
て図12(b)の曲線32に示すようなL−H特性を示す。
【0014】実際の可飽和リアクタにおけるクロスミス
コンバーゼンス補正作用を図13に基づいて説明する。図
13(a)に示すように、可飽和コアにかかる外部からの
磁場Hは、マグネットによりバイアスされる磁場Hmag
と飽和制御コイルによる磁場Hv である。このとき、イ
ンピーダンス制御コイル自体の発生する磁場もあるが、
通常、インピーダンス制御コイルを各々一対の反対方向
に巻回された等価コイルとすることによりキャンセルさ
せている。また、Hmag は静磁場、Hv は垂直偏向周期
で変動する磁場で一般的に垂直偏向電流Iv に比例して
おり、Hv は画面上端(または下端)に偏向したときに
最大値Hvm(−Hvm)をとる。上下各々の水平偏向コイ
ルに接続されたインピーダンス制御コイルが巻回された
可飽和コアに及ぼす磁場Hv は、一方ではHmag と反対
方向に、他方ではHmag と同方向になるように構成され
ている。これにより、上側水平偏向コイルに接続された
インピーダンス制御コイルのインダクタンスLuと、下
側水平偏向コイルに接続されたインピーダンス制御コイ
ルのインダクタンスLdは、上側可飽和コアにバイアス
される磁場Hmag を基準に考えると、図13(a)の曲線
41,42に示すように変化する。すなわち、Hv =0つま
り画面中央において、インピーダンス制御コイルのイン
ダクタンスLu,Ldは、いずれも外場H=Hmag にお
けるインダクタンスLと同じであり、垂直偏向電流Iv
が通電されると飽和制御コイルより可飽和コアに磁場H
v が発生し、上側水平偏向コイルに接続されたインピー
ダンス制御コイルが巻回されている上側可飽和コアには
Hv +Hmag の磁場が、下側水平偏向コイルに接続され
たインピーダンス制御コイルが巻回されている下側可飽
和コアにはHv −Hmag の磁場がかかり、これらのイン
ピーダンス制御コイルのインダクタンスの関係はLu<
Ldとなる。また、Hmag とHv の関係を逆にすれば、
Lu>Ldとすることもできる。さらに、この選択は補
正すべきクロスミスコンバーゼンスパターンにより適宜
決定される。
コンバーゼンス補正作用を図13に基づいて説明する。図
13(a)に示すように、可飽和コアにかかる外部からの
磁場Hは、マグネットによりバイアスされる磁場Hmag
と飽和制御コイルによる磁場Hv である。このとき、イ
ンピーダンス制御コイル自体の発生する磁場もあるが、
通常、インピーダンス制御コイルを各々一対の反対方向
に巻回された等価コイルとすることによりキャンセルさ
せている。また、Hmag は静磁場、Hv は垂直偏向周期
で変動する磁場で一般的に垂直偏向電流Iv に比例して
おり、Hv は画面上端(または下端)に偏向したときに
最大値Hvm(−Hvm)をとる。上下各々の水平偏向コイ
ルに接続されたインピーダンス制御コイルが巻回された
可飽和コアに及ぼす磁場Hv は、一方ではHmag と反対
方向に、他方ではHmag と同方向になるように構成され
ている。これにより、上側水平偏向コイルに接続された
インピーダンス制御コイルのインダクタンスLuと、下
側水平偏向コイルに接続されたインピーダンス制御コイ
ルのインダクタンスLdは、上側可飽和コアにバイアス
される磁場Hmag を基準に考えると、図13(a)の曲線
41,42に示すように変化する。すなわち、Hv =0つま
り画面中央において、インピーダンス制御コイルのイン
ダクタンスLu,Ldは、いずれも外場H=Hmag にお
けるインダクタンスLと同じであり、垂直偏向電流Iv
が通電されると飽和制御コイルより可飽和コアに磁場H
v が発生し、上側水平偏向コイルに接続されたインピー
ダンス制御コイルが巻回されている上側可飽和コアには
Hv +Hmag の磁場が、下側水平偏向コイルに接続され
たインピーダンス制御コイルが巻回されている下側可飽
和コアにはHv −Hmag の磁場がかかり、これらのイン
ピーダンス制御コイルのインダクタンスの関係はLu<
Ldとなる。また、Hmag とHv の関係を逆にすれば、
Lu>Ldとすることもできる。さらに、この選択は補
正すべきクロスミスコンバーゼンスパターンにより適宜
決定される。
【0015】このように、インピーダンス制御コイルの
インダクタンスLu、Ldは、飽和制御コイルの発する
磁場の時間変化、つまり垂直偏向周期に依存して変化す
る。この変化を外場Hの代わりに垂直偏向電流Iv に置
き換えると図13(b)の曲線43,44に示すような特性に
なる。つまり、図13(a)におけるH=Hmag を中心と
した2×Hvmの動作領域の曲線となる。さらに、一般的
に、この動作領域は、例えばインダクタンスLuについ
て考えたとき、外場Hの大きさは可飽和コアの磁化飽和
がほぼ終了する飽和終了磁場Hsよりも通常小さくかつ
零よりも大きくなる0<H<Hsとなる可飽和領域であ
る。
インダクタンスLu、Ldは、飽和制御コイルの発する
磁場の時間変化、つまり垂直偏向周期に依存して変化す
る。この変化を外場Hの代わりに垂直偏向電流Iv に置
き換えると図13(b)の曲線43,44に示すような特性に
なる。つまり、図13(a)におけるH=Hmag を中心と
した2×Hvmの動作領域の曲線となる。さらに、一般的
に、この動作領域は、例えばインダクタンスLuについ
て考えたとき、外場Hの大きさは可飽和コアの磁化飽和
がほぼ終了する飽和終了磁場Hsよりも通常小さくかつ
零よりも大きくなる0<H<Hsとなる可飽和領域であ
る。
【0016】また、クロスミスコンバーゼンス補正量は
概ねインダクタンスの差Lu−Ldの大きさに比例して
おり、クロスミスコンバーゼンス補正量と垂直偏向電流
Ivの関係は、図13(c)の曲線45に示すような特性に
なる。この図13(c)に示す特性は、典型的な従来例の
補正特性であり、図9(a)および(b)のクロスミス
コンバーゼンスパターンに対しては、マグネットの強
さ、インピーダンス制御コイルの巻数および飽和制御コ
イルの巻数を適当に設定することで適切に調整すること
ができる。
概ねインダクタンスの差Lu−Ldの大きさに比例して
おり、クロスミスコンバーゼンス補正量と垂直偏向電流
Ivの関係は、図13(c)の曲線45に示すような特性に
なる。この図13(c)に示す特性は、典型的な従来例の
補正特性であり、図9(a)および(b)のクロスミス
コンバーゼンスパターンに対しては、マグネットの強
さ、インピーダンス制御コイルの巻数および飽和制御コ
イルの巻数を適当に設定することで適切に調整すること
ができる。
【0017】しかし、図13(c)に示す特性は画面の上
下端にいくに従い補正量が大きくなるので、画面上下中
間部におけるクロスミスコンバーゼンス量が画面上下端
部におけるクロスミスコンバーゼンス量より大きくなっ
ている図9(c)に示すようなクロスミスコンバーゼン
スパターンを補正することはできない。
下端にいくに従い補正量が大きくなるので、画面上下中
間部におけるクロスミスコンバーゼンス量が画面上下端
部におけるクロスミスコンバーゼンス量より大きくなっ
ている図9(c)に示すようなクロスミスコンバーゼン
スパターンを補正することはできない。
【0018】このため、上述のように、特開昭57-20618
4 号公報には、マグネットによる磁気バイアス量Hmag
を減少させて、飽和制御コイルの動作範囲を移動させる
ことにより、図9(c)に示すようなクロスミスコンバ
ーゼンスパターンを補正する手段が提案されている。こ
れは図14に示すように、L−H特性である曲線51につい
て、マグネットによる磁気バイアス量Hmag をAよりB
に小さくして可飽和コアに作用する磁界Hvmの動作範囲
をCとするものである。つまり、動作領域の大きさ2×
Hvmは変化させずに磁気バイアス量Hmag を減少させて
Hvm>Hmag としている。しかしながら、この場合、磁
気バイアス量Hmagを減少させることにより図13(b)
で示すインピーダンス制御コイルのインダクタンスの差
|Lu−Ld|が大幅に減少して、適切な補正量を得る
のが困難であること、磁気バイアス量Hmag の設計の自
由度が低下し補正パターンが極めて限られたものになる
こと、上下端の補正量を上下中間部より小さくするため
にはHvm=Hs+Hmag 程度にまで動作領域を拡大する
必要があるが、構造上問題があること、上下端の補正量
を完全に零とすることが困難なこと等の実用上の問題が
ある。
4 号公報には、マグネットによる磁気バイアス量Hmag
を減少させて、飽和制御コイルの動作範囲を移動させる
ことにより、図9(c)に示すようなクロスミスコンバ
ーゼンスパターンを補正する手段が提案されている。こ
れは図14に示すように、L−H特性である曲線51につい
て、マグネットによる磁気バイアス量Hmag をAよりB
に小さくして可飽和コアに作用する磁界Hvmの動作範囲
をCとするものである。つまり、動作領域の大きさ2×
Hvmは変化させずに磁気バイアス量Hmag を減少させて
Hvm>Hmag としている。しかしながら、この場合、磁
気バイアス量Hmagを減少させることにより図13(b)
で示すインピーダンス制御コイルのインダクタンスの差
|Lu−Ld|が大幅に減少して、適切な補正量を得る
のが困難であること、磁気バイアス量Hmag の設計の自
由度が低下し補正パターンが極めて限られたものになる
こと、上下端の補正量を上下中間部より小さくするため
にはHvm=Hs+Hmag 程度にまで動作領域を拡大する
必要があるが、構造上問題があること、上下端の補正量
を完全に零とすることが困難なこと等の実用上の問題が
ある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、画面上
下端部のクロスミスコンバーゼンス量が上下中間部のク
ロスミスコンバーゼンス量より小さいという特異なパタ
ーンの補正に関しては、従来提案されている手段では十
分な補正ができず、コンバーゼンス特性の向上に大きな
支障をきたしていた。
下端部のクロスミスコンバーゼンス量が上下中間部のク
ロスミスコンバーゼンス量より小さいという特異なパタ
ーンの補正に関しては、従来提案されている手段では十
分な補正ができず、コンバーゼンス特性の向上に大きな
支障をきたしていた。
【0020】よって、本発明は、飽和制御コイルの偏向
パワー損失の増大や可飽和リアクタの大型化を招くこと
なく様々なクロスミスコンバーゼンスパターンの補正が
可能な設計自由度が高く、コンバーゼンス特性の良好な
カラー受像管装置を提供することを目的とする。[発明
の構成]
パワー損失の増大や可飽和リアクタの大型化を招くこと
なく様々なクロスミスコンバーゼンスパターンの補正が
可能な設計自由度が高く、コンバーゼンス特性の良好な
カラー受像管装置を提供することを目的とする。[発明
の構成]
【0021】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、発明者は、可飽和リアクタについて研究を行った結
果、従来は、図13(a)に示すように、上側可飽和コア
および下側可飽和コアは、ともに外場の最大値Hmag +
Hvmが飽和終了磁場Hsより小さい可飽和領域で動作さ
せるのが通常であり、本願は、上側可飽和コアが磁気飽
和している領域であっても下側可飽和コアの透磁率が大
きく変化する領域が存在することに着目したものであ
る。すなわち、従来は、Hmag 方向の飽和領域しか利用
していなかった可飽和リアクタの動作領域を、マグネッ
トによる磁気バイアス量を変化させずにHvmを増大させ
Hvm>Hmag +Hsとすることで、Hmag と逆方向の飽
和領域まで拡大して利用することにより、図9(c)に
示すようなクロスミスコンバーゼンスパターンの補正が
可能となることを見出だした。
め、発明者は、可飽和リアクタについて研究を行った結
果、従来は、図13(a)に示すように、上側可飽和コア
および下側可飽和コアは、ともに外場の最大値Hmag +
Hvmが飽和終了磁場Hsより小さい可飽和領域で動作さ
せるのが通常であり、本願は、上側可飽和コアが磁気飽
和している領域であっても下側可飽和コアの透磁率が大
きく変化する領域が存在することに着目したものであ
る。すなわち、従来は、Hmag 方向の飽和領域しか利用
していなかった可飽和リアクタの動作領域を、マグネッ
トによる磁気バイアス量を変化させずにHvmを増大させ
Hvm>Hmag +Hsとすることで、Hmag と逆方向の飽
和領域まで拡大して利用することにより、図9(c)に
示すようなクロスミスコンバーゼンスパターンの補正が
可能となることを見出だした。
【0022】しかしながら、従来の構造で動作領域をH
vm>Hmag +Hsとなるまで拡大することは大変困難で
ある。まず第一に、従来の構造でHvmを増やすには単純
に飽和制御コイルの巻数を増やせばよいが、大幅な巻数
の増加は飽和制御コイルの抵抗・インダクタンスの増加
を招き実用上問題である。これは、コイル巻数の増加に
より抵抗が増加するとともにコイル巻線スペースが増大
し、可飽和コアとコイルの間の距離が増加するためであ
る。つまり、飽和制御コイルが可飽和コアに及ぼす磁場
Hv は、飽和制御コイルと可飽和コアの間の距離の自乗
の逆数に比例して減衰するためであり、これによりHvm
は巻数に比例して増加せず頭打ちとなるのである。第二
に、実際には、従来の構造でHvm>Hmag +Hsを実現
することはコイル巻線スペースの点からも極めて困難で
ある。つまり、Hvmを増加させるためには上記のように
コイル巻線スペースが増大し、このコイル巻線スペース
の増大は可飽和リアクタの大型化を招き好ましくない。
さらには、飽和制御コイルから漏洩する磁場が増大する
ため、漏洩磁場対策面でも問題である。
vm>Hmag +Hsとなるまで拡大することは大変困難で
ある。まず第一に、従来の構造でHvmを増やすには単純
に飽和制御コイルの巻数を増やせばよいが、大幅な巻数
の増加は飽和制御コイルの抵抗・インダクタンスの増加
を招き実用上問題である。これは、コイル巻数の増加に
より抵抗が増加するとともにコイル巻線スペースが増大
し、可飽和コアとコイルの間の距離が増加するためであ
る。つまり、飽和制御コイルが可飽和コアに及ぼす磁場
Hv は、飽和制御コイルと可飽和コアの間の距離の自乗
の逆数に比例して減衰するためであり、これによりHvm
は巻数に比例して増加せず頭打ちとなるのである。第二
に、実際には、従来の構造でHvm>Hmag +Hsを実現
することはコイル巻線スペースの点からも極めて困難で
ある。つまり、Hvmを増加させるためには上記のように
コイル巻線スペースが増大し、このコイル巻線スペース
の増大は可飽和リアクタの大型化を招き好ましくない。
さらには、飽和制御コイルから漏洩する磁場が増大する
ため、漏洩磁場対策面でも問題である。
【0023】また、従来の構成では、一般的に、インピ
ーダンス制御コイルが可飽和コアに近接して巻回され、
この外側に飽和制御コイルが巻回されており、可飽和コ
アは開磁路を形成していため、飽和制御コイルの発生す
る磁束の磁気抵抗による喪失が大きくなる。これは、イ
ンピーダンス制御コイルと飽和制御コイルの絶縁を保つ
必要と、偏向感度、さらにはアセンブリの問題に起因し
ている。すなわち、コイルのインダクタンスはコイルの
断面積が増えると増加するので、偏向に寄与しないイン
ピーダンス制御コイルのインダクタンスはできる限り小
さくする必要があり、可飽和コアに近接して巻回するこ
とで断面積を小さくしている。また、アセンブリを考慮
すると、コイルの数はできる限り少ない方がよい。イン
ピーダンス制御コイルは、このコイル自体の発生する磁
場をキャンセルさせるために最低でも4つ必要である
が、飽和制御コイルは1つでもよい。飽和制御コイルを
1つにした場合は、当然のことながら、インピーダンス
制御コイルの外側に巻回さざるを得ず、飽和制御コイル
と可飽和コアと間の距離の増大を招く。
ーダンス制御コイルが可飽和コアに近接して巻回され、
この外側に飽和制御コイルが巻回されており、可飽和コ
アは開磁路を形成していため、飽和制御コイルの発生す
る磁束の磁気抵抗による喪失が大きくなる。これは、イ
ンピーダンス制御コイルと飽和制御コイルの絶縁を保つ
必要と、偏向感度、さらにはアセンブリの問題に起因し
ている。すなわち、コイルのインダクタンスはコイルの
断面積が増えると増加するので、偏向に寄与しないイン
ピーダンス制御コイルのインダクタンスはできる限り小
さくする必要があり、可飽和コアに近接して巻回するこ
とで断面積を小さくしている。また、アセンブリを考慮
すると、コイルの数はできる限り少ない方がよい。イン
ピーダンス制御コイルは、このコイル自体の発生する磁
場をキャンセルさせるために最低でも4つ必要である
が、飽和制御コイルは1つでもよい。飽和制御コイルを
1つにした場合は、当然のことながら、インピーダンス
制御コイルの外側に巻回さざるを得ず、飽和制御コイル
と可飽和コアと間の距離の増大を招く。
【0024】したがって、本発明は、前記可飽和リアク
タの動作領域拡大という観点に基づき、これを達成する
ため、電子銃から放出される複数の電子ビームを偏向す
る各一対の水平および垂直偏向コイルを備え、前記一対
の水平偏向コイルに流れる電流を垂直偏向に同期して差
動的に変化させて水平偏向磁界の形状を偏向に同期して
変化させることによりミスコンバーゼンスの補正を行う
可飽和リアクタを具備するカラー受像管装置において、
前記可飽和リアクタが、少なくとも1つの可飽和コア
と、この可飽和コアに巻回され垂直偏向電流が流れる少
なくとも1つの飽和制御コイルと、この飽和制御コイル
に隣接した位置に巻回され、互いに逆向きの磁界を発生
するように前記水平偏向コイルに接続された少なくとも
1対のインピーダンス制御コイルと、前記可飽和コアに
磁気バイアスを与えるマグネットとにより構成され、前
記可飽和コアの端部が磁気的に結合することにより前記
飽和制御コイルの発生する磁界に対して磁気抵抗の低い
磁気回路を形成していることを特徴とする。
タの動作領域拡大という観点に基づき、これを達成する
ため、電子銃から放出される複数の電子ビームを偏向す
る各一対の水平および垂直偏向コイルを備え、前記一対
の水平偏向コイルに流れる電流を垂直偏向に同期して差
動的に変化させて水平偏向磁界の形状を偏向に同期して
変化させることによりミスコンバーゼンスの補正を行う
可飽和リアクタを具備するカラー受像管装置において、
前記可飽和リアクタが、少なくとも1つの可飽和コア
と、この可飽和コアに巻回され垂直偏向電流が流れる少
なくとも1つの飽和制御コイルと、この飽和制御コイル
に隣接した位置に巻回され、互いに逆向きの磁界を発生
するように前記水平偏向コイルに接続された少なくとも
1対のインピーダンス制御コイルと、前記可飽和コアに
磁気バイアスを与えるマグネットとにより構成され、前
記可飽和コアの端部が磁気的に結合することにより前記
飽和制御コイルの発生する磁界に対して磁気抵抗の低い
磁気回路を形成していることを特徴とする。
【0025】
【作用】飽和制御コイルの巻回される可飽和コアの端部
を磁気的に接続することで磁気抵抗の低い磁気回路を構
成し、磁気抵抗による磁束の喪失を防ぎ、磁束を磁気回
路の中に集中して大きな磁束を発生することができる。
さらに、インピーダンス制御コイルを飽和制御コイルに
隣接して巻回すことで、飽和制御コイルによる大きな磁
束の作用する部分を可飽和コア動作部として利用するも
のである。また、上述のように磁束を磁気回路の中に集
中することで、外部に漏洩する磁場を軽減する。
を磁気的に接続することで磁気抵抗の低い磁気回路を構
成し、磁気抵抗による磁束の喪失を防ぎ、磁束を磁気回
路の中に集中して大きな磁束を発生することができる。
さらに、インピーダンス制御コイルを飽和制御コイルに
隣接して巻回すことで、飽和制御コイルによる大きな磁
束の作用する部分を可飽和コア動作部として利用するも
のである。また、上述のように磁束を磁気回路の中に集
中することで、外部に漏洩する磁場を軽減する。
【0026】上述の磁気回路を構成することと、可飽和
コアに飽和制御コイルを巻回し、飽和制御コイルに隣接
した位置にインピーダンス制御コイルを巻回すことによ
り、飽和制御コイルと可飽和コアとの距離を小さくして
Hv の減衰を抑制し、飽和制御コイルの抵抗を増大させ
ることなくインピーダンス制御コイルのインダクタンス
Lの動作領域を拡大させることができ、この動作領域の
拡大により、図3(b)に示すようなHmag と逆向きの
飽和領域まで利用可能として、補正可能なパターンの設
計自由度を向上するとともに、一対の水平偏向コイルの
一方の水平偏向コイルに接続されたインピーダンス制御
コイルのインダクタンスLuと、他方の水平偏向コイル
に接続されたインピーダンス制御コイルのインダクタン
スLdとの差を十分大きくとることができるので補正量
を大きくすることができる。さらに、動作領域を拡大さ
せることによりL−H特性の広い領域を使用して、Hv
m、Hmag の設計値を変えることにより、垂直偏向電流
Iv に対するクロスミスコンバーゼンス補正量の特性カ
ーブ形状を適宜設定する。
コアに飽和制御コイルを巻回し、飽和制御コイルに隣接
した位置にインピーダンス制御コイルを巻回すことによ
り、飽和制御コイルと可飽和コアとの距離を小さくして
Hv の減衰を抑制し、飽和制御コイルの抵抗を増大させ
ることなくインピーダンス制御コイルのインダクタンス
Lの動作領域を拡大させることができ、この動作領域の
拡大により、図3(b)に示すようなHmag と逆向きの
飽和領域まで利用可能として、補正可能なパターンの設
計自由度を向上するとともに、一対の水平偏向コイルの
一方の水平偏向コイルに接続されたインピーダンス制御
コイルのインダクタンスLuと、他方の水平偏向コイル
に接続されたインピーダンス制御コイルのインダクタン
スLdとの差を十分大きくとることができるので補正量
を大きくすることができる。さらに、動作領域を拡大さ
せることによりL−H特性の広い領域を使用して、Hv
m、Hmag の設計値を変えることにより、垂直偏向電流
Iv に対するクロスミスコンバーゼンス補正量の特性カ
ーブ形状を適宜設定する。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。 (実施例1)
て説明する。 (実施例1)
【0028】図1に、本発明におけるカラー受像管装置
に用いられる可飽和リアクタの一実施例を示す。図1
は、可飽和リアクタの断面図および概略平面図を示すも
ので、図2は回路図である。
に用いられる可飽和リアクタの一実施例を示す。図1
は、可飽和リアクタの断面図および概略平面図を示すも
ので、図2は回路図である。
【0029】図1(a)に可飽和リアクタの構成を示
し、図1(b)に可飽和リアクタ内に発生する磁場の向
きを模式的に示す。可飽和リアクタ60は、2個の可飽和
コア61a、61bと、2個のマグネット62a,62bと、2
個の飽和制御コイル63a,63bと、4個のインピーダン
ス制御コイル64a,64b,64c,64dと、補助コア65
a,65bおよび絶縁モールド66a,66bとから構成され
ている。
し、図1(b)に可飽和リアクタ内に発生する磁場の向
きを模式的に示す。可飽和リアクタ60は、2個の可飽和
コア61a、61bと、2個のマグネット62a,62bと、2
個の飽和制御コイル63a,63bと、4個のインピーダン
ス制御コイル64a,64b,64c,64dと、補助コア65
a,65bおよび絶縁モールド66a,66bとから構成され
ている。
【0030】飽和制御コイル63a,63bは、垂直偏向コ
イル68a,68bに図2に示すように直列に接続されてお
り、互いに逆向きの矢印Mva,Mvbの磁場を発生す
る方向に,可飽和コア61a,61bに近接して巻回されて
いる。インピーダンス制御コイル64a,64b,64c,64
dは、図2に示すように、上下一対の水平偏向コイル67
a,67bに接続されており、絶縁モールド66a,66bを
介して飽和制御コイル63a,63bに対して外側で隣接
し、矢印Mha,Mhb,Mhc,Mhdの磁場を発生
する方向に巻回されている。矢印Mha,Mhb、およ
び矢印Mhc,Mhdの方向が互いに反対方向になって
いるのは、インピーダンス制御コイル64a,64b,64
c,64dの発生する磁場をキャンセルするためである。
また、飽和制御コイル63a,63bの発生する磁場Mv
a,Mvbは、可飽和コア61a、61bと補助コア65a,
65bとからなる磁気回路に対して、コイルの起磁力が増
長されるように互いに反対になっており、このためマグ
ネット62a,62bは、可飽和コア61a、61bにそれぞれ
Mvaと同方向、Mvbと逆方向の磁場を生ずるように
補助コア65a,65bを介して配置され、矢印Ma,Mb
で示す磁場が可飽和コア61a、61bにかかっている。
イル68a,68bに図2に示すように直列に接続されてお
り、互いに逆向きの矢印Mva,Mvbの磁場を発生す
る方向に,可飽和コア61a,61bに近接して巻回されて
いる。インピーダンス制御コイル64a,64b,64c,64
dは、図2に示すように、上下一対の水平偏向コイル67
a,67bに接続されており、絶縁モールド66a,66bを
介して飽和制御コイル63a,63bに対して外側で隣接
し、矢印Mha,Mhb,Mhc,Mhdの磁場を発生
する方向に巻回されている。矢印Mha,Mhb、およ
び矢印Mhc,Mhdの方向が互いに反対方向になって
いるのは、インピーダンス制御コイル64a,64b,64
c,64dの発生する磁場をキャンセルするためである。
また、飽和制御コイル63a,63bの発生する磁場Mv
a,Mvbは、可飽和コア61a、61bと補助コア65a,
65bとからなる磁気回路に対して、コイルの起磁力が増
長されるように互いに反対になっており、このためマグ
ネット62a,62bは、可飽和コア61a、61bにそれぞれ
Mvaと同方向、Mvbと逆方向の磁場を生ずるように
補助コア65a,65bを介して配置され、矢印Ma,Mb
で示す磁場が可飽和コア61a、61bにかかっている。
【0031】本実施例では、可飽和コア61a、61bは、
図10に示す従来例とほぼ同じ断面積・材質のものを使用
しており、約20mmの長さを有している。飽和制御コイ
ル63a,63bは、可飽和コア61a、61bに約17mmの幅で近
接して巻回されており、インピーダンス制御コイル64
a,64b,64c,64dは、飽和制御コイル63a,63bの
外側に絶縁モールド66a,66bを介して1対の等価コイ
ルが各々約7mmの幅に互いに反対方向に巻回されてい
る。この等価コイルの間には、等価コイル同士の相互イ
ンダクタンスを減少させる約3mmのスペースが設けられ
ている。可飽和コア61a,61bを磁気的に接続している
補助コア65a,65bは、5mmの厚さを有しており、可飽
和コア61a、61bのよりも飽和磁束密度の高い材料を用
いている。そして、マグネット62a,62bは、補助コア
65a,65bの外側から可飽和コア61a、61bに大きさH
mag の磁場をバイアスしている。このように、補助コア
65a,65bの飽和磁束密度を与える飽和終了磁場を可飽
和コア61a、61bの飽和終了磁場より高く設計すること
より、補助コア自体の磁化飽和による磁気抵抗の増加を
防ぎ、磁気回路中の磁束を極力大きくしている。さらに
また、補助コアと可飽和コアとが同一材料であっても、
形状を工夫することにより補助コア自体の磁気抵抗の増
加を防ぐことができる。
図10に示す従来例とほぼ同じ断面積・材質のものを使用
しており、約20mmの長さを有している。飽和制御コイ
ル63a,63bは、可飽和コア61a、61bに約17mmの幅で近
接して巻回されており、インピーダンス制御コイル64
a,64b,64c,64dは、飽和制御コイル63a,63bの
外側に絶縁モールド66a,66bを介して1対の等価コイ
ルが各々約7mmの幅に互いに反対方向に巻回されてい
る。この等価コイルの間には、等価コイル同士の相互イ
ンダクタンスを減少させる約3mmのスペースが設けられ
ている。可飽和コア61a,61bを磁気的に接続している
補助コア65a,65bは、5mmの厚さを有しており、可飽
和コア61a、61bのよりも飽和磁束密度の高い材料を用
いている。そして、マグネット62a,62bは、補助コア
65a,65bの外側から可飽和コア61a、61bに大きさH
mag の磁場をバイアスしている。このように、補助コア
65a,65bの飽和磁束密度を与える飽和終了磁場を可飽
和コア61a、61bの飽和終了磁場より高く設計すること
より、補助コア自体の磁化飽和による磁気抵抗の増加を
防ぎ、磁気回路中の磁束を極力大きくしている。さらに
また、補助コアと可飽和コアとが同一材料であっても、
形状を工夫することにより補助コア自体の磁気抵抗の増
加を防ぐことができる。
【0032】次に、上記構成における飽和制御コイルの
磁場発生効率向上の作用について説明する。本実施例
は、上述のように、可飽和コア61a、61bに近接して飽和
制御コイル63a、63bを巻回すことで飽和制御コイル63
a、63bと可飽和コア61a、61bとの距離を極力小さくし、
飽和制御コイル63a、63bが可飽和コア61a、61bに及ぼす
磁場の距離による減衰を抑制している。また、インピー
ダンス制御コイル64a、64b、64c、64dを飽和制御コイル6
3a、63bの外側に隣接して巻回すことで、飽和制御コイ
ルによる飽和が最も起こりやすいコア領域を可飽和コア
動作部として利用することができ、加えてインピーダン
ス制御コイル64a、64b、64c、64dと可飽和コア61a、61b
との距離を増やすことにより、インピーダンス制御コイ
ル自体に発生する磁場のキャンセル効果を向上させ、水
平偏向電流による影響を小さくしている。さらに、補助
コア65a、65bを加え、飽和制御コイル63a、63bによる磁
場が矢印Mva、Mvbで示す方向になるように巻回す
ことにより、飽和制御コイル63a、63b各々の起磁力を足
し合わせると共に、磁気抵抗の低い磁気回路を可飽和コ
ア61a、61bと補助コア65a、65bにて形成することによ
り、飽和制御コイル63a、63bの起磁力により可飽和コア
61a、61bに発生する磁束を最大限に引き出している。さ
らには、磁束を閉磁路中に集中しているため、従来に比
較して飽和制御コイルが可飽和コアに及ぼす磁場の最大
値Hvmを大幅に拡大したにもかかわらず、漏洩磁束は
軽減されている。この漏洩磁束の軽減は、閉磁路中への
磁束の集中だけでなく、特に本実施例の場合は、飽和制
御コイル63a、63bによる磁場が矢印Mva、Mvbであ
ることから漏洩磁束が互いに逆向きとなりキャンセルさ
れることも作用している。
磁場発生効率向上の作用について説明する。本実施例
は、上述のように、可飽和コア61a、61bに近接して飽和
制御コイル63a、63bを巻回すことで飽和制御コイル63
a、63bと可飽和コア61a、61bとの距離を極力小さくし、
飽和制御コイル63a、63bが可飽和コア61a、61bに及ぼす
磁場の距離による減衰を抑制している。また、インピー
ダンス制御コイル64a、64b、64c、64dを飽和制御コイル6
3a、63bの外側に隣接して巻回すことで、飽和制御コイ
ルによる飽和が最も起こりやすいコア領域を可飽和コア
動作部として利用することができ、加えてインピーダン
ス制御コイル64a、64b、64c、64dと可飽和コア61a、61b
との距離を増やすことにより、インピーダンス制御コイ
ル自体に発生する磁場のキャンセル効果を向上させ、水
平偏向電流による影響を小さくしている。さらに、補助
コア65a、65bを加え、飽和制御コイル63a、63bによる磁
場が矢印Mva、Mvbで示す方向になるように巻回す
ことにより、飽和制御コイル63a、63b各々の起磁力を足
し合わせると共に、磁気抵抗の低い磁気回路を可飽和コ
ア61a、61bと補助コア65a、65bにて形成することによ
り、飽和制御コイル63a、63bの起磁力により可飽和コア
61a、61bに発生する磁束を最大限に引き出している。さ
らには、磁束を閉磁路中に集中しているため、従来に比
較して飽和制御コイルが可飽和コアに及ぼす磁場の最大
値Hvmを大幅に拡大したにもかかわらず、漏洩磁束は
軽減されている。この漏洩磁束の軽減は、閉磁路中への
磁束の集中だけでなく、特に本実施例の場合は、飽和制
御コイル63a、63bによる磁場が矢印Mva、Mvbであ
ることから漏洩磁束が互いに逆向きとなりキャンセルさ
れることも作用している。
【0033】また、本実施例において、マグネット62
a,62bは、補助コア65a,65bの外側に配置すること
で磁気回路の外部に配置されている。これは、磁気回路
の内部にマグネットを配置した場合、回路内部に磁気的
な抵抗を設けることになり、磁気回路の磁気抵抗が増加
し、飽和制御コイルにより発生した磁束が低下するから
である。次に、本実施例におけるクロスミスコンバーゼ
ンスパターンの補正作用について説明する。
a,62bは、補助コア65a,65bの外側に配置すること
で磁気回路の外部に配置されている。これは、磁気回路
の内部にマグネットを配置した場合、回路内部に磁気的
な抵抗を設けることになり、磁気回路の磁気抵抗が増加
し、飽和制御コイルにより発生した磁束が低下するから
である。次に、本実施例におけるクロスミスコンバーゼ
ンスパターンの補正作用について説明する。
【0034】図9(a)および(b)に示すクロスミス
コンバーゼンスパターンを補正するためには、図13に示
すようなL−H特性にすればよく、飽和制御コイルによ
る磁場の最大値Hvm従来と同程度まで減らしてやればよ
い。このとき、従来に比較して飽和制御コイルの抵抗は
著しく小さくなるが、飽和制御コイルの抵抗は小さい分
には問題にならない。
コンバーゼンスパターンを補正するためには、図13に示
すようなL−H特性にすればよく、飽和制御コイルによ
る磁場の最大値Hvm従来と同程度まで減らしてやればよ
い。このとき、従来に比較して飽和制御コイルの抵抗は
著しく小さくなるが、飽和制御コイルの抵抗は小さい分
には問題にならない。
【0035】また、図9(c)に示すようなクロスミス
コンバーゼンスパターンを補正するためには、図3に示
すようなL−H特性にすればよい。図3(a)に示すよ
うに、L−Hカーブ上の可飽和リアクタ動作範囲を従来
のものより遥かに拡大することによって、インピーダン
ス制御コイルのインダクタンスLu、Ldを曲線71,72
で表わすように、Hv の増加に対して、一方は減少しそ
の後一定となる様に変化させ、他方はHv <Hmag の領
域で増加、Hv =Hmag で最大、Hv >Hmagで減少と
なる様に変化させている。これにより、インダクタンス
Lu,Ldの差は、あるHv の値を境に増加方向から減
少方向へと変化する。特にHvm=Hmag+Hsとすれ
ば、Hv =HvmにてインダクタンスLu,Ldはともに
Lsに等しくなり、インダクタンスLu,Ldの差は急
激に減少し零となる。この様に、Hvm=Hmag +Hsと
して可飽和リアクタ動作領域を広げることにより、図3
(c)の曲線75に示すように、上下端部のクロスミスコ
ンバーゼンス補正量を上下中間部の補正量より小さくす
ることが可能である。
コンバーゼンスパターンを補正するためには、図3に示
すようなL−H特性にすればよい。図3(a)に示すよ
うに、L−Hカーブ上の可飽和リアクタ動作範囲を従来
のものより遥かに拡大することによって、インピーダン
ス制御コイルのインダクタンスLu、Ldを曲線71,72
で表わすように、Hv の増加に対して、一方は減少しそ
の後一定となる様に変化させ、他方はHv <Hmag の領
域で増加、Hv =Hmag で最大、Hv >Hmagで減少と
なる様に変化させている。これにより、インダクタンス
Lu,Ldの差は、あるHv の値を境に増加方向から減
少方向へと変化する。特にHvm=Hmag+Hsとすれ
ば、Hv =HvmにてインダクタンスLu,Ldはともに
Lsに等しくなり、インダクタンスLu,Ldの差は急
激に減少し零となる。この様に、Hvm=Hmag +Hsと
して可飽和リアクタ動作領域を広げることにより、図3
(c)の曲線75に示すように、上下端部のクロスミスコ
ンバーゼンス補正量を上下中間部の補正量より小さくす
ることが可能である。
【0036】図3(a)は、本実施例におけるL−H特
性の例である。従来例では、図13(a)に示すように、
上述の問題点から、飽和制御コイルが可飽和コアに及ぼ
す磁場の最大Hvmは、マグネットが可飽和コアに及ぼす
磁場Hmag に対して、Hvm<Hmag であり、補正量は、
上下端部>上下中間部であった。本発明は、上述の従来
の問題点を生ずることなく、Hvm>Hmag とすること
で、図3(c)より明らかなように、補正量の関係を、
上下端部≦上下中間部とすることができる。
性の例である。従来例では、図13(a)に示すように、
上述の問題点から、飽和制御コイルが可飽和コアに及ぼ
す磁場の最大Hvmは、マグネットが可飽和コアに及ぼす
磁場Hmag に対して、Hvm<Hmag であり、補正量は、
上下端部>上下中間部であった。本発明は、上述の従来
の問題点を生ずることなく、Hvm>Hmag とすること
で、図3(c)より明らかなように、補正量の関係を、
上下端部≦上下中間部とすることができる。
【0037】また、図4(a)乃至(d)に示すように
Hvm、Hmagの設計値を変えることで、垂直偏向電流Iv
に対するクロスミスコンバーゼンス補正量の特性カー
ブ形状を様々に変化させることができる。
Hvm、Hmagの設計値を変えることで、垂直偏向電流Iv
に対するクロスミスコンバーゼンス補正量の特性カー
ブ形状を様々に変化させることができる。
【0038】本実施例の場合、飽和制御コイル系の磁場
発生効率は、飽和制御コイルを可飽和コアに近接して巻
回すことにより、従来例の約3〜10倍に向上し、磁気回
路を形成して飽和制御コイルの起磁力を互いに強める構
造とすることで、Hvmが従来の約2〜6倍に向上し、結
果として約6〜60倍に向上している。これにより、飽
和制御コイルの抵抗を従来に比較して大幅に減少させ、
動作領域の拡大を実現している。例えば、図9(c)の
クロスミスコンバーゼンスパターンを本実施例にて補正
した場合、各飽和制御コイルの巻数は0.38φの巻線
で80巻であり、飽和制御コイルの抵抗はわずかに0.
37Ωである。従来の装置にて図9(c)の補正を行う
のは困難であるので、代わりに図9(b)に示すクロス
ミスコンバーゼンスパターンの補正を行った場合と比較
すると、従来の飽和制御コイルの抵抗は1Ω〜2Ω程度
である。
発生効率は、飽和制御コイルを可飽和コアに近接して巻
回すことにより、従来例の約3〜10倍に向上し、磁気回
路を形成して飽和制御コイルの起磁力を互いに強める構
造とすることで、Hvmが従来の約2〜6倍に向上し、結
果として約6〜60倍に向上している。これにより、飽
和制御コイルの抵抗を従来に比較して大幅に減少させ、
動作領域の拡大を実現している。例えば、図9(c)の
クロスミスコンバーゼンスパターンを本実施例にて補正
した場合、各飽和制御コイルの巻数は0.38φの巻線
で80巻であり、飽和制御コイルの抵抗はわずかに0.
37Ωである。従来の装置にて図9(c)の補正を行う
のは困難であるので、代わりに図9(b)に示すクロス
ミスコンバーゼンスパターンの補正を行った場合と比較
すると、従来の飽和制御コイルの抵抗は1Ω〜2Ω程度
である。
【0039】すなわち上述の構成をとることにより、従
来例に比べてコンパクトな構造を維持しつつ、飽和制御
コイルの抵抗の増加すなわち偏向パワー損失を増加させ
ることなく、上下端部のクロスミスコンバーゼンス補正
量を上下中間部のクロスミスコンバーゼンス補正量より
減少させたクロスミスコンバーゼンスパターンをはじめ
とする様々なクロスミスコンバーゼンスパターンの補正
を可能とする補正装置を実現することができる。なお、
Hvmを増加すれば動作範囲は拡大するが、飽和制御コイ
ルの抵抗を考慮して適宜設定する必要がある。
来例に比べてコンパクトな構造を維持しつつ、飽和制御
コイルの抵抗の増加すなわち偏向パワー損失を増加させ
ることなく、上下端部のクロスミスコンバーゼンス補正
量を上下中間部のクロスミスコンバーゼンス補正量より
減少させたクロスミスコンバーゼンスパターンをはじめ
とする様々なクロスミスコンバーゼンスパターンの補正
を可能とする補正装置を実現することができる。なお、
Hvmを増加すれば動作範囲は拡大するが、飽和制御コイ
ルの抵抗を考慮して適宜設定する必要がある。
【0040】(実施例2)次に、他の実施例について図
5を参照して説明する。図5において、図1と同一の番
号は、同一のものを示している。さらに、回路図は、図
2に示すものと同様である。
5を参照して説明する。図5において、図1と同一の番
号は、同一のものを示している。さらに、回路図は、図
2に示すものと同様である。
【0041】図5は、図1に示すインピーダンス制御コ
イル64a,64b,64c,64dを、飽和制御コイル63a,
63bの外側で隣接する位置から飽和制御コイル63a,63
bの軸方向で隣接する位置に移動したものである。この
場合、インピーダンス制御コイル64a,64b,64c,64
dの巻回された位置の可飽和コア61a、61bと飽和制御
コイル63a,63bとの距離が第1図の実施例に比べ若干
増加するため、偏向パワー損失は上記実施例に比較して
やや増加する。
イル64a,64b,64c,64dを、飽和制御コイル63a,
63bの外側で隣接する位置から飽和制御コイル63a,63
bの軸方向で隣接する位置に移動したものである。この
場合、インピーダンス制御コイル64a,64b,64c,64
dの巻回された位置の可飽和コア61a、61bと飽和制御
コイル63a,63bとの距離が第1図の実施例に比べ若干
増加するため、偏向パワー損失は上記実施例に比較して
やや増加する。
【0042】(実施例3) 次に、さらに他の実施例について図6を参照して説明す
る。図6において、図1と同一の番号は、同一のものを
示している。さらに、回路図は、図2にも示すのと同様
である。図6は、図1に示す可飽和コア61a、61bおよび
補助コア65a、65bを一体型としたリング状の可飽和コア
80を用いるものである。以上
る。図6において、図1と同一の番号は、同一のものを
示している。さらに、回路図は、図2にも示すのと同様
である。図6は、図1に示す可飽和コア61a、61bおよび
補助コア65a、65bを一体型としたリング状の可飽和コア
80を用いるものである。以上
【0043】なお、上述の実施例において、可飽和コア
61a、61bと補助コア65a,65bとの材料は上記のもの
に限定されない。すなわち、実施例1においては、補助
コア65a,65bの材料を可飽和コア61a、61bより飽和
磁束密度の高い材料とすることにより、動作特性を高め
ているが、可飽和コア61a、61bと補助コア65a,65b
を同じ材料で構成してもよい。また、実施例2および実
施例3においては、可飽和コア61a、61bの飽和制御コ
イル63a,63bの巻回される部分を、インピーダンス制
御コイル64a,64b,64c,64dが巻回される部分より
飽和磁束密度の高い材料または飽和磁束の高い形状とす
ることにより、可飽和コア以外の磁気回路における磁気
飽和による透磁率の低下、つまり磁気抵抗増加を抑制し
て、動作特性を高めることができる。
61a、61bと補助コア65a,65bとの材料は上記のもの
に限定されない。すなわち、実施例1においては、補助
コア65a,65bの材料を可飽和コア61a、61bより飽和
磁束密度の高い材料とすることにより、動作特性を高め
ているが、可飽和コア61a、61bと補助コア65a,65b
を同じ材料で構成してもよい。また、実施例2および実
施例3においては、可飽和コア61a、61bの飽和制御コ
イル63a,63bの巻回される部分を、インピーダンス制
御コイル64a,64b,64c,64dが巻回される部分より
飽和磁束密度の高い材料または飽和磁束の高い形状とす
ることにより、可飽和コア以外の磁気回路における磁気
飽和による透磁率の低下、つまり磁気抵抗増加を抑制し
て、動作特性を高めることができる。
【0044】また、上述の実施例において、マグネット
62a,62bの磁極の向きは同一方向であるが、逆方向と
することも可能である。例えば実施例1の場合、図1に
示すインピーダンス制御コイル64a,64b,64c,64d
の結線状態を変え、インピーダンス制御コイル64a,64
dを一対の水平偏向コイルの内の上側水平偏向コイルに
接続し、インピーダンス制御コイル64b,64cを一対の
水平偏向コイルの内の下側水平偏向コイルに接続するこ
とにより、実施例1と同様の作用を有する可飽和コアと
することも可能である。
62a,62bの磁極の向きは同一方向であるが、逆方向と
することも可能である。例えば実施例1の場合、図1に
示すインピーダンス制御コイル64a,64b,64c,64d
の結線状態を変え、インピーダンス制御コイル64a,64
dを一対の水平偏向コイルの内の上側水平偏向コイルに
接続し、インピーダンス制御コイル64b,64cを一対の
水平偏向コイルの内の下側水平偏向コイルに接続するこ
とにより、実施例1と同様の作用を有する可飽和コアと
することも可能である。
【0045】さらに、上述の実施例は、可飽和コアを2
つ用いてそれぞれに飽和制御コイルおよびインピーダン
ス制御コイルを巻回し、これらの可飽和コアの端部を補
助コアにて磁気的に結合して磁気回路を形成している
が、可飽和コアを1つとして、上述の実施例の2つ飽和
制御コイルの起磁力をあわせた起磁力を有する1つ飽和
制御コイルと4つのインピーダンス制御コイルを巻回す
構造にすることも可能である。ただし、この場合、飽和
制御コイルの断面積を増加させることは好ましくないの
で、上記実施例に比較して可飽和リアクタの構造が長く
なる。このように可飽和コアの数も上記実施例に限定さ
れるものではなく、磁気回路を構成しうる構造になって
いればよい。
つ用いてそれぞれに飽和制御コイルおよびインピーダン
ス制御コイルを巻回し、これらの可飽和コアの端部を補
助コアにて磁気的に結合して磁気回路を形成している
が、可飽和コアを1つとして、上述の実施例の2つ飽和
制御コイルの起磁力をあわせた起磁力を有する1つ飽和
制御コイルと4つのインピーダンス制御コイルを巻回す
構造にすることも可能である。ただし、この場合、飽和
制御コイルの断面積を増加させることは好ましくないの
で、上記実施例に比較して可飽和リアクタの構造が長く
なる。このように可飽和コアの数も上記実施例に限定さ
れるものではなく、磁気回路を構成しうる構造になって
いればよい。
【0046】さらに、飽和制御コイルは可飽和コアに近
接して巻回すほうが好ましいが、これに限定されず、イ
ンピーダンス制御コイルの外側に飽和制御コイルを巻回
すことも可能である。
接して巻回すほうが好ましいが、これに限定されず、イ
ンピーダンス制御コイルの外側に飽和制御コイルを巻回
すことも可能である。
【0047】さらに、従来の構成の可飽和リアクタで
も、飽和制御コイルとインピーダンス制御コイルを分離
し、補助コアによる磁気回路にて接続させたものや、飽
和制御コイルにより磁化されるコアの一部を細くして磁
束を集中させて飽和を容易にし、この部分を可飽和コア
部として利用したものも可能である。
も、飽和制御コイルとインピーダンス制御コイルを分離
し、補助コアによる磁気回路にて接続させたものや、飽
和制御コイルにより磁化されるコアの一部を細くして磁
束を集中させて飽和を容易にし、この部分を可飽和コア
部として利用したものも可能である。
【0048】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、飽和制
御コイルを可飽和コアに巻回し、インピーダンス制御コ
イルを飽和制御コイルに隣接した位置に巻回すことで、
飽和制御コイルが可飽和コアに及ぼす磁場の強度を強め
るとともに、可飽和コアの端部を磁気的に接続すること
で磁気抵抗の低い磁気回路を形成し、飽和制御コイルか
ら最大限の磁束を引き出すことで、飽和制御コイルの抵
抗を増大させることなく、可飽和リアクタの動作領域を
飛躍的に拡大し、可飽和リアクタの設計自由度を増し
て、様々なクロスミスコンバーゼンスパターンの補正が
可能なカラー受像管装置を提供することができる。
御コイルを可飽和コアに巻回し、インピーダンス制御コ
イルを飽和制御コイルに隣接した位置に巻回すことで、
飽和制御コイルが可飽和コアに及ぼす磁場の強度を強め
るとともに、可飽和コアの端部を磁気的に接続すること
で磁気抵抗の低い磁気回路を形成し、飽和制御コイルか
ら最大限の磁束を引き出すことで、飽和制御コイルの抵
抗を増大させることなく、可飽和リアクタの動作領域を
飛躍的に拡大し、可飽和リアクタの設計自由度を増し
て、様々なクロスミスコンバーゼンスパターンの補正が
可能なカラー受像管装置を提供することができる。
【図1】本発明のカラー受像管装置における可飽和リア
クタの一実施例の構成を示す図である。
クタの一実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明のカラー受像管装置における可飽和リア
クタの回路図である。
クタの回路図である。
【図3】本発明の作用を説明する特性図である。
【図4】本発明の作用を説明する他の特性図である。
【図5】本発明の他の実施例の構成を示す図である。
【図6】本発明のさらに他の実施例の構成を示す図であ
る。
る。
【図7】カラー受像管装置の構成を示す模式断面図であ
る。
る。
【図8】図7に示すカラー受像管装置の偏向ヨークの構
成を示す模式図である。
成を示す模式図である。
【図9】従来のカラー受像管装置におけるクロスミスコ
ンバーゼンスパターンを示す模式図である。
ンバーゼンスパターンを示す模式図である。
【図10】従来のカラー受像管装置におけるクロスミス
コンバーゼンスパターンを補正するための可飽和リアク
タの構成を示す模式図である。
コンバーゼンスパターンを補正するための可飽和リアク
タの構成を示す模式図である。
【図11】従来のカラー受像管装置におけるクロスミス
コンバーゼンスパターンを補正するための可飽和リアク
タの他の構成を示す模式図である。
コンバーゼンスパターンを補正するための可飽和リアク
タの他の構成を示す模式図である。
【図12】可飽和リアクタの基本原理を説明するための
特性図である。
特性図である。
【図13】従来のカラー受像管装置における可飽和リア
クタのクロスミスコンバーゼンス補正作用を説明する特
性図である。
クタのクロスミスコンバーゼンス補正作用を説明する特
性図である。
【図14】従来のカラー受像管装置における可飽和リア
クタの他のクロスミスコンバーゼンス補正作用を説明す
る特性図である。
クタの他のクロスミスコンバーゼンス補正作用を説明す
る特性図である。
【符号の説明】 7…偏向ヨーク11,11a,11b,67a,67b…水平偏向
コイル 12,12a,12b,68a,68b…垂直偏向コイル 60…可飽和リアクタ 20a,20b,20c,20d,61a,61b,80…可飽和コア 23,62a,62b…マグネット 22,63a,63b…飽和制御コイル 21a,21b,21c,21d,64a,64b,64c,64d…イ
ンピーダンス制御コイル 65a,65b…補助コア 66a,66b…絶縁モールド
コイル 12,12a,12b,68a,68b…垂直偏向コイル 60…可飽和リアクタ 20a,20b,20c,20d,61a,61b,80…可飽和コア 23,62a,62b…マグネット 22,63a,63b…飽和制御コイル 21a,21b,21c,21d,64a,64b,64c,64d…イ
ンピーダンス制御コイル 65a,65b…補助コア 66a,66b…絶縁モールド
Claims (1)
- 【請求項1】電子銃から放出される複数の電子ビームを
偏向する各一対の水平および垂直偏向コイルを備え、前
記一対の水平偏向コイルに流れる電流を垂直偏向に同期
して差動的に変化させて水平偏向磁界の形状を垂直偏向
に同期して変化させることによりミスコンバーゼンスの
補正を行う可飽和リアクタを具備するカラー受像管装置
において、前記可飽和リアクタが、少なくとも1つの可
飽和コアと、この可飽和コアに巻回され垂直偏向電流が
流れる少なくとも1つの飽和制御コイルと、前記可飽和
コアに巻回され、前記飽和制御コイルに隣接した位置に
互いに逆向きの磁界を発生するように前記水平偏向コイ
ルに接続された少なくとも1対のインピーダンス制御コ
イルと、前記可飽和コアに磁気バイアスを与えるマグネ
ットとにより構成され、前記可飽和コアの端部が磁気的
に結合することにより前記飽和制御コイルの発生する磁
界に対して磁気抵抗の低い磁気回路を形成していること
を特徴とするカラー受像管装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03079502A JP3128256B2 (ja) | 1991-04-12 | 1991-04-12 | カラー受像管装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03079502A JP3128256B2 (ja) | 1991-04-12 | 1991-04-12 | カラー受像管装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04312749A JPH04312749A (ja) | 1992-11-04 |
JP3128256B2 true JP3128256B2 (ja) | 2001-01-29 |
Family
ID=13691708
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP03079502A Expired - Fee Related JP3128256B2 (ja) | 1991-04-12 | 1991-04-12 | カラー受像管装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3128256B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100371452B1 (ko) | 1999-03-31 | 2003-02-06 | 가부시끼가이샤 도시바 | 음극선관장치 |
-
1991
- 1991-04-12 JP JP03079502A patent/JP3128256B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04312749A (ja) | 1992-11-04 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |