JP3127922B1 - 洗濯機 - Google Patents

洗濯機

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JP3127922B1
JP3127922B1 JP2000217206A JP2000217206A JP3127922B1 JP 3127922 B1 JP3127922 B1 JP 3127922B1 JP 2000217206 A JP2000217206 A JP 2000217206A JP 2000217206 A JP2000217206 A JP 2000217206A JP 3127922 B1 JP3127922 B1 JP 3127922B1
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Abstract

【要約】 【課題】洗濯機の給水経路にイオン交換手段を備えて洗
濯用水に含まれるカルシウム、マグネシウムイオンを除
去可能にするとともに、このイオン交換手段の再生処理
を簡単に行えるようにすることによって、実用性の高い
イオン交換手段を備えた洗濯機を提供する。 【解決手段】イオン除去手段に、イオン交換機能材31
を収容する第1の室と、第1の室の上側と下側とにそれ
ぞれ形成した室60b,60cと、上側の室60bの上
側に設けられイオン交換機能材の再生剤62を収容する
第2の室60aと、第2の室60aに給水する給水路を
開閉する給水路開閉弁63と、上側の室60bと第2の
室60aとを連通する流路と、第2の室60aから上側
の室60bへの流れを許す逆止弁60fとを備え、水が
下側の室60cから第1の室を通って上側の室60bに
流れるように流路を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗濯に用いる水か
ら硬度成分を除去する手段およびこれを搭載した洗濯機
に関する。
【0002】
【従来の技術】洗濯機で洗濯に使用される洗濯用水は、
水道水等に代表される水源からホース等で洗濯機に供給
され、使用者の操作で洗濯機内の洗濯槽に給水されて、
衣類の洗濯に用いられている。しかし、例えば水道水中
には雑菌の殺菌を目的とした次亜塩素酸イオン等の陰イ
オン、水道源水に含まれる硬度成分としてのカルシウ
ム、マグネシウムあるいは水道源水に含まれるあるいは
水道水供給配管系統から溶け出す銅、鉄、クロム等の陽
イオンが含まれており、これら金属イオンは被洗濯物、
使用洗剤の洗浄力に種々の悪影響を与える。洗剤の洗浄
力に大きな影響を及ぼすのは、硬度成分としてのカルシ
ウム、マグネシウムイオンという2価の陽イオンであ
る。これらは洗剤中の界面活性剤と反応して不溶性の金
属せっけんを生成し、洗浄に寄与する界面活性剤量を減
少させ洗浄力を低下させる。また先の金属せっけんは不
溶性であり、被洗濯物に残留して特に黒色衣類では白い
斑点となって見える。さらに洗濯槽の外壁等に付着堆積
した場合には、そこにカビ等が繁殖する場合もある。従
来洗剤の中には前述の硬度成分の悪影響を防止するため
リン酸塩が混入されていた。しかし、琵琶湖汚染問題と
して知られるように、リン酸塩の社会環境に及ぼす影響
が取り上げられた。このため従来洗剤に含まれているビ
ルダーとして用いられてきたリン酸塩にかわる代替ビル
ダーの研究が進み、この中でリン酸塩代替ビルダーとし
て合成ゼオライトが注目され多くの市販洗剤に用いられ
ている。洗濯用水にカルシウム、マグネシウムイオンが
含まれていた場合、これに人工ゼオライト混入洗剤を投
入するとゼオライトは確かに洗濯用水から吸着によりこ
れらイオンを除去するが、吸着している間にもこれらイ
オンは洗剤の界面活性剤を金属せっけん化する。このた
めゼオライト混入の効果は薄められることになる。本来
ならば洗濯用水からこれらイオンを除去した後、この用
水に洗剤を溶かして洗濯に用いる方が好ましい。さらに
ビルダーとしてこの人工ゼオライトを洗剤に多量に混入
すると洗濯後の衣類にゼオライト粒子が付着して仕上が
りを悪化させる問題もある。これら金属イオンの弊害を
除去する方法として、特開平4−20395号公報に記
載される洗濯機あるいは特開平5−115681号公報
に記載される洗濯方法および洗濯装置がある。これらは
供給される洗濯用水から金属イオンを除去した後に、洗
剤の投入されている洗濯槽に給水して洗濯を行うもので
ある。上記特開平4−20395号公報に記載された洗
濯機では、衣類の洗濯を行う洗濯槽と、この洗濯槽内に
給水する給水手段とを備えており、この給水手段の給水
経路途中にイオン除去手段を設けている。またこのイオ
ン除去手段として、イオン交換樹脂や活性炭を用いるこ
とが開示されている。さらにこの公報では、陰イオンを
除去するための活性炭の吸着能力の限界に着目し、イオ
ン除去手段と並列な給水経路を用意し、選択的に用いて
寿命を延ばすことが開示されている。また、特開平5−
115681号公報では、隔膜を介して対向する電極対
間で電圧を印加して通電処理することにより金属イオン
を除去した陽極側の水を洗濯用水として用い、これに洗
浄剤を加えたのち、被洗物と接触させる洗濯方法が開示
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記各公報に記
載された従来技術では、洗濯用水の給水に必要な流量、
イオン交換樹脂の量またはイオンの除去効率について配
慮されていない。すなわち、特開平4−20395号公
報に記載の洗濯機では、流量を確保しようとすれば多量
のイオン交換樹脂が必要になり、イオン除去手段を洗濯
機内部に収納あるいはコンパクトに構成することが難し
くなる。一方、イオン交換樹脂量を少なくしてイオン交
換手段のコンパクト化を図れば、通常必要とされる毎分
10〜15Lの流量を得ることは困難である。また、イ
オン交換手段を洗濯機内部に収納するため、イオン交換
手段を洗濯機下方に配置しようとすれば、イオン交換手
段前後に長い給水路を設ける必要があり、この給水路で
の圧力損失が増大し、流量の確保がさらに難しくなる。
またイオン交換樹脂は一定量のイオンを吸着した後には
その除去効果がなくなるため、一定量の洗濯用水を処理
した後、再生する必要があるが、必要な流量を確保しか
つ洗濯機内部に構成できる限られた量のイオン交換樹脂
を再生使用することについては配慮されていない。ま
た、特開平5−115681号公報の洗濯方法は、洗濯
用水を電極対の間で通電処理し、その中に含まれる金属
イオンを除去した後、これに洗剤を加えて洗濯するもの
であるが、一般に処理速度が遅いため、静止水の状態で
通電時間として5〜30分程度必要とする。従って、毎
分10〜15Lの流量を確保する除去手段を洗濯機内部
にコンパクトに構成することは困難である。さらに通電
処理のため回路価格の増加、また水を扱う家庭用洗濯機
では感電に対する配慮、水の電気分解で生じる水素ガス
等に対する配慮等が必要となる。
【0004】本発明の目的は、洗濯用水に含まれる陽イ
オンを除去しながら速やかに給水できるイオン除去手段
を洗濯機にコンパクトに設けることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の洗濯機は、洗濯物を入れる洗濯槽に給水す
る給水経路の途中にイオン交換機能材を有するイオン除
去手段を備え、前記給水経路を給水電磁弁で開閉する洗
濯機において、前記イオン除去手段に、イオン交換機能
材を収容する第1の室と、前記第1の室の上側と下側と
にそれぞれ形成した室と、前記上側の室の上側に設けら
れ、イオン交換機能材のイオン交換機能を再生する再生
剤を収容する第2の室と、前記第2の室に給水する給水
路と、前記給水路を開閉する給水路開閉弁と、前記上側
の室と前記第2の室とを連通する流路と、前記流路に設
けられ前記第2の室から前記上側の室への流れを許し前
記上側の室から前記第2の室への流れを止める逆止弁
と、を備え、前記イオン除去手段における給水経路を水
が前記下側の室から前記第1の室を通って前記上側の室
に流れるように構成し、前記下側の室に再生処理後の再
生剤を排出する排出口を設けたものである。このとき、
前記第2の室は前記第1の室が形成された容器内に形成
するとよい。上記構成によれば、洗濯槽へ給水する水を
第1の室の下側に形成した室に導入した後、イオン交換
機能材の層を均一に上昇させることができ、さらに再生
剤は第2の室から流下させることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照し説明する。
【0007】図1は本発明による全自動洗濯機の概観図
であり、図2は図1AA線に沿う縦断面図である。全自
動洗濯機は、鋼鈑製の外枠1内に吊り棒2およびコイル
バネや弾性ゴムからなる防振装置3によって合成樹脂製
の外槽4を吊架する構成となっている。外槽4は4組の
吊り棒および防振装置で外枠1の上部4隅から吊り下げ
支持されている。洗濯する水を溜める外槽4内には、ス
テンレス製の洗濯兼脱水槽5を回転自在に設ける。洗濯
兼脱水槽5には多数の脱水孔5aを設け、中央底部には
回転翼6を回転可能に設ける。洗いおよびすすぎ工程時
には洗濯兼脱水槽5を静止させ、回転翼6を時計方向
(正)および反時計方向(逆)に回転させる。また脱水
工程時には洗濯兼脱水槽5を一方向に回転させる。回転
翼6および洗濯兼脱水槽5の回転は駆動装置により行わ
れる。
【0008】駆動装置は電動機7とこの電動機7の回転
を、回転翼6あるいは洗濯兼脱水槽5に伝達するための
プーリ8aやベルト8bからなる伝達手段8と、洗いお
よびすすぎ工程時に回転翼6のみを回転させたり、ある
いは脱水工程時に洗濯兼脱水槽(以下洗濯槽と言う)5
を回転させたりするクラッチ装置9とその切り替えを行
うクラッチソレノイド9aからなる。
【0009】これら駆動装置は外槽4の底面に鋼鈑製の
支持板10を用いて固定される。また外槽4には外槽内
の水圧を水位センサ11に伝達する水位センサチューブ
12と外槽4内の洗濯用水の排水を行う排水装置13が
設けてある。排水装置13内には排水電磁弁13aが外
槽4底面の排水孔14の直後に設けられ出口は排水装置
13内に開口する。また外槽4の側面には上端が開口す
る異常溢水パイプ15が設けられ、この下端は排水装置
13内に開口する。異常溢水パイプ15は、給水に異常
をきたし外槽4から洗濯用水が溢れ出る場合や、洗濯中
の洗濯物の動きで外槽から洗濯用水が飛び出る場合に備
えて設けられている。溢れた出た洗濯用水は異常溢水パ
イプ15から排水装置13内に流れ込み、排水ホース1
6で洗濯機外に排出される。
【0010】外枠1の上部には洗濯物を投入する投入口
17aとイオン除去手段、水道栓口、給水電磁弁等を収
納する後部収納箱17bとマイコン等の電気部品を収納
する前部操作箱17cとを形成したトップカバー17が
設けてある。投入口17aには合成樹脂製の蓋18を設
けてある。
【0011】前部操作箱17cの上面には図3に示す操
作パネル19aが取りつけてあり、その下には制御部で
あるマイコン等を内蔵した制御回路19bが設けてあ
る。また前部操作箱17c内には、外槽4内の水圧を検
出することにより、規定水位まで水が溜まったかを判定
する水位センサ11が設けてある。操作パネル19aに
は、電源スイッチ20、各種表示器21、各種操作ボタ
ン22、ブザー23等が配置されており、使用者が操作
ボタン22で洗濯機を操作し、またその動作状態を表示
器21、ブザー23で確認できるようになっている。ま
たイオン除去処理(軟水化)を表示する発光ダイオード
からなる軟水化表示24とイオン除去手段の再生を催告
表示する発光ダイオードからなる塩投入表示25があ
る。
【0012】図4は本発明の主要構成である洗濯用水の
給水に関わる後部収納箱17bの上蓋をはずした時の背
面側部分の平面図(図1中にBB線で示す断面)である
(前面側を省略している)。後部収納箱17bには水道
栓等からのホースが接続される水道栓口26、これに続
いて給水電磁弁27、円筒容器で構成されるイオン除去
手段28、円筒容器内の再生塩水を排出する手動塩水排
出バルブ34、風呂水を吸水する風呂水吸水ポンプ4
5、洗濯槽5内に洗濯水を流下させる傾斜流路46等が
収納されている。傾斜流路46の上流側には流路46に
開口する部屋A47、部屋B48が設けられる。
【0013】図5に本発明の主要構成であるイオン除去
手段28および手動塩水排出バルブ34の詳細を示す。
(a)はイオン除去手段28の全体斜視図、(b)はそ
の縦断面図と手動塩水排出バルブ34の構成である。イ
オン除去手段28は円筒容器29と蓋30で構成され
る。円筒容器29には、下部に入水口29a、上部に吐
出口29b、底面に塩水排出口29cが設けられてい
る。また内部の入水口と吐出口の間には上下面がポリエ
チレン等のメッシュフィルタ29dで区切られる部屋2
9eがあり、イオン交換能を有する部材であるナトリウ
ム型強酸性陽イオン交換樹脂(以下イオン交換樹脂と言
う)31が内部に充填されている。円筒容器29は後部
収納箱17bの底面に塩水排出口29cが箱底面を貫通
するよう固定される。メッシュフィルタ29dにより水
はイオン交換樹脂31間を通過する。またこれは部屋2
9e内からイオン交換樹脂31が漏出することを防止す
る。蓋30には円周にメスネジ30aがきってあり、薄
いリング上のガスケット30bがそれに沿うよう設けて
ある。円筒容器29の上部円周にはオスネジ29fがき
ってあり、蓋30は円筒容器29にネジで接合固定され
る。この時、ガスケット30bは円筒容器29の上部円
周端面に接触して、水が漏出するのを防止する。イオン
交換能を有する部材としては上記イオン交換樹脂31の
他、ポリエステル等の繊維にイオン交換樹脂を分散して
保持させた素材あるいはイオン交換能を持つ高分子材料
を繊維状にした素材を用いてもよい。
【0014】この状態で円筒容器29内部は部屋29e
を挟んで上部空間32と下部空間33に分けられる。こ
の上部および下部に空間を設けるのは、イオン交換樹脂
31内の一部のみに水の通路ができるのを防止して、樹
脂層全体に均一に水道水を流下させ、交換効率を高める
ためである。水道水は一旦下部空間33を満たしてか
ら、その水圧で樹脂層面に均一に上昇して、上部空間3
2を満たしてから、吐出口29bから流出する。
【0015】水道栓からのホースは水道栓口26に接続
される。水道水は給水電磁弁27開閉により円筒容器2
9の入水口29aに導かれ、下部空間33を満たしてか
らイオン交換樹脂31を充填した部屋29eを上昇しな
がら通過する。水道水はここで軟水化つまりカルシウ
ム、マグネシウムイオンが除去されて上部空間32を満
たし吐出口29bから流出する。そして部屋A47から
傾斜流路46に流下して洗濯槽5に給水される。
【0016】円筒容器29で構成されるイオン除去手段
28を水道栓口26が設置される後部収納箱17bに設
置するのは、給水配管長を短くでき、流路損失が低減し
て、流量すなわち給水時間を短縮できるからである。給
水ではイオン交換樹脂31が充填される部屋29eを水
道水が通過するのでこの樹脂充填の圧力損失が大きい。
この損失を少しでもカバーするため水道栓口から円筒容
器29に至る配管長は100mm以下が望ましい。従来
洗濯機の洗濯給水流量は、水道水圧力にもよるが10か
ら15リットル/分であり、これに近い流量を本実施例
で得るためには上述の配慮が必要になる。
【0017】手動塩水排出バルブ34は円筒容器29内
のイオン交換樹脂31を再生した時の塩水を排出するも
のである。回転バルブ栓34aは後部収納箱17bの裏
面に固定され、この中の回転バルブ34bを使用者の押
し操作で回転させ栓を開閉して塩水を排水する。使用者
が押しボタン34cを押すと連結ロッド34dが回転バ
ルブ34bを回転させ回転バルブ栓34aを開く。押し
ボタン34cはロック機構(図示せず)を持ち、押し下
げられた状態で止まる。再度押し下げるとロック機構が
外れ、バネ34eで戻るようになっている。押しボタン
34cを戻せば回転バルブ栓34aが閉じる。
【0018】円筒容器29の塩水排出口29cと回転バ
ルブ栓34aの入り口はチューブ35で接続され、出口
には塩水排出チューブ36が接続される。この塩水排出
チューブ36の他端は異常溢水パイプ15に挿入されて
いる(図2参照)。イオン交換樹脂31を再生するため
に円筒容器29内に残留している塩水は使用者が押しボ
タン34cを押すことで、回転バルブ栓34aが開き、
塩水排出口29cから、チューブ35、回転バルブ栓3
4a、塩水排出チューブ36と流れ、異常溢水パイプ1
5を流下して排出装置13を介して排水ホース16から
洗濯機外に排出される。
【0019】回転バルブ34bには磁石37が固定さ
れ、回転バルブ栓34aには磁界によりその抵抗値が変
化する磁気抵抗素子38が固定されている。磁石37は
押しボタン34cを押すことによる回転バルブ34bの
回転に従い回転する。この回転を磁気抵抗素子で検出し
て、バルブ栓34aの開閉状態を検出する。これは後述
するように、使用者が押しボタン34cが押し下げた
(バルブ栓34aが開状態)ままで、次回の洗濯の給水
が開始されると、イオン除去手段28を通過する水道水
の一部が塩水排出口29cからもれ洗濯機外に無駄に捨
てられるのを防止するためである。このとき開状態であ
れば、使用者に押しボタン34cの押し上げを催告す
る。
【0020】図6はマイクロコンピュータ50を中心に
構成される洗濯機制御部のブロック図である。マイクロ
コンピュータ50は、操作ボタン入力回路51や水位セ
ンサ11とも接続され使用者のボタン操作、洗濯槽内の
洗濯用水水位の情報信号を受ける。マイクロコンピュー
タ50からの出力は、双方向性3端子サイリスタ等で構
成される駆動回路52に接続され、前記電動機7や給水
電磁弁27、排水装置13の排水電磁弁13a等に商用
電源を供給して、これらの開閉あるいは回転を制御す
る。また使用者に洗濯機の動作を知らせるため、ブザー
23や表示器21などの報知手段にも接続される。電源
回路53は商用電源を整流平滑してマイクロコンピュー
タ50に必要な直流電源を作る。54は点灯して軟水処
理を表示する発光ダイオードである。発光ダイオード5
4は前部操作箱17cに装着され、イオン交換樹脂への
通水時に点灯して、軟水化処理中であることを軟水化表
示24で使用者に知らせる。また55は点灯して塩投入
を表示する発光ダイオードである。発光ダイオード55
は前部操作箱17cに装着され、イオン除去手段への塩
投入が必要な時に点灯して、塩投入を塩投入表示25で
使用者に知らせる。
【0021】次に本発明によるイオン除去手段28の動
作を説明する。使用者が被洗濯物を洗濯槽5に入れ、電
源スイッチ19を押し、スタートボタンを操作すると、
マイクロコンピュータ50は給水電磁弁27を開とす
る。水道水は水道栓26から給水電磁弁27を通過して
入水口29aから円筒容器29の下部空間33に流入す
る。流入した水道水は下部空間33を満たしながら、そ
の圧力で部屋29eを上昇し、部屋29eにメッシュフ
ィルタ29dで挟まれて充填されるナトリウム型強酸性
陽イオン交換樹脂31の間を通過して、上部空間32を
満たしながら、吐出口29bから流れ出し、部屋A47
を介して傾斜路46に流出する。水道水はイオン交換樹
脂31を通過する間にイオン交換作用で中に含まれるカ
ルシウム、マグネシウムイオンが除去される。そして傾
斜通路46で整流され、洗濯槽5内に流入する。この洗
い給水中には発光ダイオード54が点灯し軟水化表示2
4あるいはブザー23を用いてイオン除去中の表示ある
いは報知が行われる。
【0022】水位センサ11で必要な洗濯用水が洗濯槽
5内に給水されたこと知ったマイクロコンピュータ50
は、給水電磁弁27を閉じて、給水を停止させる。そし
て回転翼6を正逆回転させて、洗濯を開始する。洗濯槽
5内に給水された洗濯用水はカルシウム、マグネシウム
等の陽イオンを含まないため、投入された洗剤中の界面
活性剤と反応して不溶性の金属せっけんを生成したり、
洗浄に寄与する界面活性剤量を減少させ洗浄力を低下さ
せることはない。
【0023】ナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂31
は周知のように架橋した3次元の高分子基体に、スルホ
ン酸基のようなイオン交換基を化学結合で結合させた合
成樹脂である。カルシウム、マグネシウム等の2価の陽
イオンを含んだ水道水が陽イオン交換樹脂間を流れる
と、陽イオン交換樹脂のイオン交換基であるスルホン酸
基等の固定イオンと水道水中の陽イオンがイオン交換さ
れ、結果水道水中の陽イオンが除去される。
【0024】式1にナトリウム型強酸性イオン交換樹脂
のイオン交換反応式を示す。
【0025】
【化1】
【0026】
【化2】
【0027】ナトリウム型は−SO3の陰イオンを固定
イオン、Naの陽イオンを対イオンとする交換樹脂で、
イオンの選択性を利用して水中に含まれるカルシウム、
マグネシウム等の多価陽イオンを除去するものである。
イオン選択性は低濃度、常温下では強酸性陽イオン交換
樹脂の場合、価数の高いイオン程大きく、同一価数では
原子番号の大きいもの程大きい。天然水中に含まれるイ
オンでは、
【0028】
【化3】
【0029】の順である。イオン交換樹脂を通過する水
中のカルシウム、マグネシウムイオンは化学反応式1、
2の左から右への反応で樹脂のナトリウムイオンとイオ
ン交換されて除去される。逆にカルシウム、マグネシウ
ムイオンを吸着した樹脂に高濃度塩水を流すと化学反応
式1、2の右から左への反応で樹脂のカルシウム、マグ
ネシウムイオンがナトリウムイオンとイオン交換されて
脱着し、樹脂が元の状態に戻り再生される。
【0030】従来市販の研究室等で使用する軟水化装置
は上記のような樹脂2L以上を用い、これに天然水等の
原水を毎時10L程度の微流量で軟水化処理を行ってい
る。前述したように家庭用洗濯機においては、給水時間
を短縮するために直接水道栓から毎分10L以上の流量
で洗濯槽に給水している。このため軟水化装置のような
流量では洗濯以外の時間を利用してバッチ処理したもの
を一旦貯水槽に溜めた後に利用せざるを得ない。また樹
脂量2Lは大きな容積を占めるためこれを家庭用洗濯機
に搭載することができない。つまり家庭用洗濯機では上
述のイオン交換樹脂での流量、使用する樹脂容量の問題
を解決する必要がある。
【0031】過去に実施された水道統計によれば、調査
した件数のうち、全硬度40ppm以下の件数が全体の
半数であり、100ppmを超える件数が15%もあっ
た。相加平均では54.5ppmである。
【0032】図7にゼオライト入りの市販合成洗剤を使
用して、濃度をパラメータにして全硬度を変化させて洗
浄を行った場合の洗浄率と硬度の関係を示す。例えば洗
剤濃度0.067w%(標準使用量)では相加平均硬度
54.5ppmを半減することで洗浄率を約50%も増
加させることが可能である。また硬度100ppmでは
これを半減することで、洗剤量(濃度0.133w%)
を倍加したときの洗浄率が得られる。つまり洗剤量(濃
度)を標準の2倍にしたときの洗浄率が硬度を下げるこ
とで標準洗剤量で得られる。このように硬度成分である
カルシウム、マグネシウムイオンを除去することで洗濯
機の洗浄力を大きく改善することができる。また洗剤使
用量を削減することができる。このように洗剤量を必要
以上に使用する必要がなく、環境への影響も少なくな
る。
【0033】ゼオライト入り合成洗剤を用いた場合、図
7に示すように硬度が40ppm以下では、ほぼ洗浄率
が飽和する傾向にある。これは含まれるゼオライトが硬
度成分を封鎖するためで、ゼオライト入り合成洗剤を洗
濯に使用する場合には、この40ppm程度まで硬度成
分であるカルシウム、マグネシウムイオンを除去できる
ことが望ましいことを示している。一方、天然粉せっけ
んでは図7のように洗浄率は飽和しないため、できるだ
け硬度成分を除去するのが望ましい。
【0034】イオン交換樹脂のイオン交換能力は約2.
0meq/mL−R(樹脂1mLあたり2.0当量)と
高く、例えば全硬度100ppmの水道水72L(定格
7kg洗い1回に要する水量)に含まれる硬度成分7.
2g(CaCO3換算)を交換するには容積72mLの
少ない量で良い。しかしこの容積は全てのイオン交換基
が活性であり、すべてのナトリウムイオンがカルシウ
ム、マグネシウムイオンと交換される理想的(理論的)
な値である。実際には下記に述べる理由から、先の理論
値以上例えば理論値の3〜4倍の樹脂が必要となる。
【0035】図8に樹脂量をパラメータにして、流量と
イオン交換樹脂で除去できなかった漏洩カルシウムイオ
ン濃度(入力として原水硬度100ppmを使用)の関
係を示す。流量が増加するに比例して漏洩イオン濃度は
増加する。また樹脂量が少ない程漏洩イオン濃度が多
い。これは樹脂間を流れるカルシウムイオンがイオン交
換基と接触する時間で説明される。流量が大で樹脂量が
少なければ、イオン交換反応をせずに単に樹脂間を通過
してしまうカルシウムイオンが多くなるためである。従
来の軟水化装置の流量(10L/時=0.17L/分)
ではほとんどのカルシウムイオンを交換できるが、洗濯
機のような流量(10〜15L/分)では40ppm
(入力の1/3)近くのカルシウムイオンが交換されず
に漏洩する(樹脂量260mLの場合)。しかし前述し
たように硬度成分が40ppm以下であれば洗浄性能を
向上させることができるため、この漏洩量つまり流量で
も効果有らしめることが可能である。この時の実験で確
認した樹脂量は260mLで理論値の3〜4倍であっ
た。洗濯容量5〜9kgの洗い1回に要する洗濯用水は
約50〜90Lであり、上述から樹脂量は150〜36
0mLとなる。流水中では、イオン交換樹脂のイオン交
換能力は樹脂粒径で変化する。これは粒径が小さければ
表面積が増えるため、カルシウムイオンがイオン交換基
と接触する確率が増すためである。結果、図8の流量に
対する漏洩濃度も小さくなる。実験では平均粒径を2割
程度小さくすれば、漏洩濃度も2割程度小さくできた。
これを考慮すれば、左記の樹脂量は約100〜300m
Lとなる。この樹脂量は家庭用洗濯機に搭載可能な量で
ある。しかしこの樹脂に水道水を通し続ければやがては
全てのイオン交換基はカルシウム、マグネシウムイオン
と交換してしまい、それ以上のカルシウム、マグネシウ
ムイオンの除去が不可能となる。つまり化学反応式1、
2の右から左への反応である塩水による再生処理が必要
となる。
【0036】図9にこの樹脂量のイオン除去手段に流量
毎分13Lで水道水(入力原水カルシウム濃度100p
pm)を流した場合の漏洩カルシウム濃度と積算流量の
関係を示す。図中初回で示す線は初期の状態から水を流
した場合である。この量のイオン交換樹脂は積算流量2
00Lまでは漏洩濃度を40ppm以下に維持してい
る。さらに積算流量が増加するに従いつまりカルシウム
イオンとイオン交換した樹脂が増えて行くに従い、漏洩
カルシウム濃度も増加する。500Lの積算流量で樹脂
はイオン交換能力を失い、次の洗濯のため再生処理が必
要になる。この再生処理は後述する。
【0037】洗い工程が終了したら、マイクロコンピュ
ータ50は排水装置13の排水電磁弁13aを開き、洗
濯槽5内の洗濯用水を排水する。排水終了後、続いてす
すぎ工程に移行する。まず給水電磁弁27を開き、前述
の洗い給水と同様に洗濯槽5内にすすぎ水を供給する。
この時の給水量は先の洗い給水量と同じ程度かそれ以下
である。これはすすぎの方法による。一旦水を溜めてか
ら回転翼6を回転させ、衣類に残留した洗剤を洗い出し
を希釈するいわゆるためすすぎでは先の洗い給水とほぼ
同水量が必要となる。すすぎの回数については少なくと
も1回あるいは2回である。先の洗い給水での72L、
このすすぎでの72L×2回の給水量の合計で224L
である。図9に示すように初期の樹脂ではほぼこの水量
まで40ppm以下の硬度を維持できる。しかし後述す
る塩水による再生では一度イオン交換能力一杯までイオ
ン交換したイオン交換樹脂全てを再生することができな
いため、2回目、3回目の給水では初期量の1/3程度
しか硬度40ppm以下の水量を維持できない。
【0038】そしてすすぎ水を排水後、脱水工程に移行
する。脱水工程ではマイクロコンピュータ50はクラッ
チ装置9のソレノイド9aを制御して電動機7で洗濯槽
5を高速に回転させる。この間排水装置の排水電磁弁1
3aは開かれている。
【0039】脱水終了後、マイクロコンピュータ50は
使用者にイオン交換樹脂の再生が必要なことを使用者に
知らせるため、発光ダイオード55を点灯させ、塩投入
表示25を行う。これを見て、使用者はイオン交換樹脂
31を再生するため、イオン除去手段28の蓋30を開
けて、所定量の塩例えばスプーン2杯約30gをイオン
除去手段28内に投入する。
【0040】イオン除去手段28内のイオン交換樹脂3
1は上述の洗いとすすぎのための給水で、多くのカルシ
ウム、マグネシウムイオンとイオン交換した状態になっ
ている。また給水終了時点(給水電磁弁を閉にした時
点)で円筒容器29内にはイオン交換樹脂31を浸して
吐出口29bの下端水位まで水道水が残水している(図
5(b)中に破線Aで示す)。投入された塩は樹脂上の
残水中に入り、ここで溶解して塩水となる。この塩水は
拡散により徐々にではあるが樹脂内にも浸透してゆく。
円筒容器の残水量は投入塩が全て溶解するように、投入
塩量は後述する塩水による再生効率を考慮して決める。
本実施例では塩量はスプーン2杯の約30g、残水量は
100mL前後、樹脂量は260mLとしている。これ
らは(1)家庭内に必ずある塩を使い、スプーンで計量
できる点、(2)イオン交換樹脂の塩水再生では10%
前後濃度がもっとも効率良い点と、(3)先の樹脂量で
少なくとも毎回1槽分(90L)の洗濯用水(洗いのた
めの)を硬度40ppm以下にする必要塩(塩化ナトリ
ウム)量である点等を勘案して設定している。
【0041】所定時間例えば10分(塩が溶解するに必
要十分な時間であればよい)経過後、使用者が押しボタ
ン34cを押し下げると、この塩水はイオン交換樹脂3
1間を流下して塩水排出口29cから排出される。これ
により塩水がイオン交換樹脂31内を流れ、化学反応式
1、2の右から左への反応が起き、樹脂にイオン交換で
吸着しているカルシウム、マグネシウムイオンとナトリ
ウムイオンが置換される。これでイオン交換樹脂31は
再生され再びそのイオン交換能力を復活し、逆にカルシ
ウム、マグネシウムイオンは塩水内に抽出される。
【0042】マイクロコンピュータ50は再生処理検出
手段でイオン交換樹脂の再生処理の終了を検出し、発光
ダイオード55を消灯して、塩投入表示25を消去す
る。このとき本実施例では再生処理検出手段は、押しボ
タン34cの押し下げによる磁石37の回転、これによ
る磁界変動から磁気抵抗素子38の出力が変化すること
で、使用者の押しボタン操作を知るという形で実施可能
である。もちろん、脱水終了後、所定時間すぎても使用
者の塩投入、押しボタン操作がない場合には表示、ブザ
ー等を用いて使用者に塩投入、押しボタン操作を催告を
することができる。再生に使った塩水はカルシウム、マ
グネシウムイオンを大量に含むために、洗濯槽5内でな
く、塩水排出口29cからチューブ35、回転バルブ栓
34a、塩水排出チューブ36を介して、異常溢水パイ
プ15に導かれ、排水装置13から排水ホース16で洗
濯機外に排出される。
【0043】図9に示す矢印点はこの時点で塩29gの
投入、10分後の手動排出で前述再生処理を行ったこと
を示している。その後の曲線が初期からの積算流量と漏
洩カルシウム濃度を示す。初期に比べれば、硬度40p
pm以下である水量は100L以下である。そして30
0L程度の水量で交換能力がなくなる。これは前述の再
生処理ではイオン交換基全てが再生できていないことを
しめす。図9から初期状態でのイオン交換量を計算する
と(図中初回曲線より上の面積から)カルシウムイオン
量は約26g(CaCO3換算)であり、このカルシウ
ムイオンを全て塩水中のナトリウムイオンで交換再生す
るには化学反応式1、2を用いれば、ほぼ同量の塩(塩
化ナトリウム)30g程度が必要である。しかし29g
の塩投入、再生処理後の2回目で前述同様イオン交換量
を計算する(2回目曲線より上の面積)と約8.5g
(CaCO3換算)である。これから、ほぼ全てのイオ
ン交換基を再生するに足る塩29gの投入したとして
も、実際にはイオン交換基の1/3(≒8.5/29)
しか再生されていないことがわかる。これは投入した塩
の1/3の約10gしかイオン交換基の再生に寄与でき
たにすぎないことを示す。投入した塩の量は29gであ
るが、そのすべてが再生に寄与するにいたらないため再
生効率は約30%つまりイオン交換基の1/3しか再生
されていないことがわかる。これは塩水のイオン交換樹
脂内での流下速度が大きく影響しているためである。
【0044】しかしカルシウム、マグネシウムイオンを
除去しなければならないのは洗い給水である。この洗い
給水量は例えば容量8kg、浴比9L/kgで72Lで
あり、実際には上記の塩投入で、この給水量を40pp
m以下の硬度で得ることができる。続くすすぎ工程で必
要な水量では硬度40ppmを超過しても洗浄性能への
影響はない。
【0045】以上は硬度100ppmでの話であり、こ
の時の硬度40ppm維持とは原水に含まれるイオンの
2/3を除去することを意味する。当然この性能であれ
ば、原水硬度が60ppmであれば、処理後はこれの1
/3である20ppm以下に維持できることを示してい
る。
【0046】押しボタン34cが押しさげられたまま
で、次回の洗濯の給水が開始されると、イオン除去手段
28を通過する水道水の一部が塩水排出口29cからも
れて異常溢水パイプ15、排出装置13、排水ホース1
6から洗濯機外に無駄に捨てられることになる。これを
防止するため、前述したようにマイクロコンピュータ5
0は給水中に磁気抵抗素子38の出力で回転バルブ栓3
4aの開閉状態を監視する。もし押しボタン34cが押
されたままであれば、発光ダイオード54を点滅させ、
軟水化表示24を点滅させることでこれを使用者に知ら
せ、再度押しボタン34cを押してロック機構をはず
し、バネ34eで押しボタン34cを引き上げさせるこ
とを催告することができる。(通常であれば、イオン除
去手段を介しての給水では軟水化表示24が点灯表示さ
れている。) なお、イオン除去手段28の保守あるいは交換は、円筒
容器29に接続される配管を抜き、これを後部収納箱1
7bから取り外すことで行う。
【0047】以上説明のように本発明は、(1)カルシ
ウム、マグネシウムイオンの所定量除去を洗い給水のみ
に限定した点、(2)洗いに許されるイオン除去性能を
洗剤の洗浄力にあわせ従来の軟水化装置より低めに設定
した点、(3)毎洗濯毎に所定量の塩投入で再生を行う
点で、必要イオン交換樹脂量を最小限度に抑えている。
このためイオン除去装置を小型安価にでき、これを洗濯
機に搭載することが可能となった。また少量であるため
流路への樹脂挿入による圧力損失を低減でき、流量10
〜15L/分以上と言う大流量でも必要性能を維持し
て、給水時間の増加を防止している。
【0048】また再生処理については、円筒容器29の
蓋30を取り外し、どの家庭にもある安価な塩を、スプ
ーン2杯(約30g)容器内に投入して、押しボタンを
押すという簡便な操作としたため、使用者がこれを容易
に行うことができる。また、塩は非常に安価なため再生
コストはほとんどかからない。さらにこのイオン除去手
段の使用により硬度成分のため余計に使用していた洗剤
量を削減すれば、洗濯費用コストが削減できるととも
に、環境に与える影響も少なくてすむ。
【0049】また再生に使用した塩水は洗濯槽内に排出
するのではなく、異常溢水パイプから洗濯機外に排出す
るため、塩水が洗濯槽に流入して錆を生じることはな
い。また脱離した高濃度カルシウム、マグネシウムイオ
ンが洗濯槽に流入して、次の洗濯で界面活性剤を金属せ
っけん化して洗浄力を低下させることもない。
【0050】なお本実施例では水道水からイオン除去手
段でカルシウム、マグネシウムイオン除去する動作を説
明したがこれに限ることはない。例えば風呂水吸水ポン
プ45で自吸した風呂水からイオン除去手段28でカル
シウム、マグネシウムイオンを除去してもよい。例えば
円筒容器29にもう一つの入水口を設け、この入水口に
風呂水吸水ポンプ45の吐出口45cからの配管を接続
する。そして風呂水からカルシウム、マグネシウムイオ
ンを除去して洗濯槽に給水とき風呂水ポンプ45を駆動
すればよい。このように円筒容器に二つの入水口を設け
れば、水道水と風呂水双方を同時に給水しながら、これ
らからカルシウム、マグネシウムイオンを除去できる。
【0051】以上洗濯給水動作を中心に本願のイオン除
去手段28の詳細を説明した。
【0052】図10に本発明の他のイオン除去手段28
および自動塩水排出バルブ39の実施例を示す。
【0053】図10で図5と同一符号は同一物を示し、
イオン除去手段28の入水口、吐出口への配管は省略し
てある。本実施例は図5の手動塩水排出バルブ34をソ
レノイドを用いて自動塩水排出バルブ39とし、イオン
交換樹脂をカートリッジ化して、この保守交換を容易な
らしめたものである。前実施例での押しボタン34cに
よる連結ロッド34dの押し下げ、押し上げ動作を塩水
排出ソレノイド40のオンオフでマイクロコンピュータ
50が自動に行うようにし、さらにイオン交換樹脂31
をカートリッジ容器42に収納し、これを円筒容器29
から着脱できるようにしている。図11にこの場合の洗
濯機制御部のブロック図を示す。
【0054】円筒容器29内には入水口29aの上に凸
部29gが設けられ、図5実施例と同様、入水口29a
と吐出口29bの間の空間にイオン交換樹脂31を充填
したカートリッジ容器42が、その底面を凸部29gに
乗せる形で収納される。カートリッジ容器42は円筒容
器であり、その上面および下面の大部分はメッシュフィ
ルタ42aで構成され、内部空間にはイオン交換樹脂3
1が充填され上下方向に通水する構造である。また中央
にはカートリッジ容器42を取り出すための取っ手であ
り、かつ通水時の水圧で容器42が浮き上がるのを抑え
るための突起42bを備える。このため突起42bはそ
の先端が蓋30にほぼ接触する長さをもたせてある。
【0055】イオン交換樹脂31を再生するために前実
施例同様脱水終了後、マイクロコンピュータ50は使用
者にイオン交換樹脂31の再生が必要なことを使用者に
知らせるため、発光ダイオード55を点灯させ、塩投入
表示25を行う。これを見て、使用者はイオン交換樹脂
31を再生するため、イオン除去手段28の蓋30を開
けて、所定量の塩例えばスプーン2杯約30gをイオン
除去手段28内に投入する。すると残水中に投入された
塩は溶解して塩水になる。
【0056】所定時間例えば10分(塩が溶解するに必
要十分な時間であればよい)経過後、マイクロコンピュ
ータ50は塩水排水ソレノイド40を制御して、連結ロ
ッド34dを押し下げ、回転バルブ34aを開く。する
とこの塩水はイオン交換樹脂31間を流下して塩水排出
口29cから排出される。これにより塩水がイオン交換
樹脂31内を流れ、化学反応式1、2の右から左への反
応が起き、樹脂に吸着したカルシウム、マグネシウムイ
オンとナトリウムイオンが置換される。これでイオン交
換樹脂31は再生され再びそのイオン交換能力を復活
し、逆にカルシウム、マグネシウムイオンは塩水内に抽
出される。塩水が排出される時間を経過したら、マイク
ロコンピュータ50は塩水排出ソレノイド40を制御し
て、回転バルブ34aを閉じる。このように本実施例で
は前実施例の使用者による塩水排出バルブの手動開閉を
自動化したものである。
【0057】水道水には微細な無機あるいは有機物が含
まれる。このため長期間イオン除去手段に通水すると、
内部のメッシュフィルタあるいはイオン交換樹脂内にこ
れらが堆積して種々の問題を誘発する。例えば目詰まり
のため通水抵抗が増加して流量を確保できずに給水時間
が増加する。あるいはイオン交換樹脂が有機物汚染され
そのイオン交換能力が劣化する。使用者はこのような
時、塩投入時と同様蓋30を開け、突起42bを手でつ
かみ、カートリッジ容器42を取り出す。そして、水洗
して目詰まりを取り除いた後再度収納する。あるいは新
しいカートリッジ容器と交換する。
【0058】以上本実施例によれば前実施例と同様洗い
に使う水道水中の硬度成分を除去できるため、洗濯機の
洗浄性能を向上させることができる。さらにイオン交換
樹脂の再生に用いた塩水の排出が自動化されているた
め、使用者は塩を投入するのみで、ボタン押し操作を省
くことができ、より再生操作を簡便に行うことができ
る。また使用者がボタン押し上げを忘れ、給水の一部を
無駄に排出することもない。さらにイオン交換樹脂がカ
ートリッジ化されているため、これを着脱することで保
守点検、交換が容易となる。
【0059】図12は本発明の他のイオン除去手段を示
す図である。(a)はイオン除去手段28の全体斜視
図、(b)はその縦断面図と塩水排出機構である。図1
2で図5、図10と同一符号は同一物を示し、イオン除
去手段28の入水口、吐出口への配管は省略してある。
【0060】前実施例では、説明したごとく使用者が毎
回の洗濯終了後、イオン除去手段28の蓋30を取り外
して、スプーン2杯約30gの塩を投入してイオン交換
樹脂31を再生する必要があった。本実施例はこれを改
善して、塩投入を1週間に一度程度に減らし、使用者の
利便性を向上させるものである。
【0061】イオン除去手段28は円筒容器60と蓋6
1で構成される。円筒容器60は、4つの空間に分けら
れる。上から塩投入空間60a、吐出口29bが開口す
る上部空間60b、入水口29aと吐出口29bの間の
上下面がポリエチレン等のメッシュフィルタ29dで区
切られる部屋29e、入水口29aが開口する下部空間
60cである。入水口29aと吐出口29bの間(上部
空間60bと下部空間60cの間)の部屋29eにはナ
トリウム型強酸性陽イオン交換樹脂(以下イオン交換樹
脂と言う)31が内部に充填されている。塩投入空間6
0aと上部空間60bは隔壁60dで分けられ、隔壁6
0dには孔60eが開けられている。この孔60eの
下、上部空間60b側には逆止弁60fが配され、上部
空間60bが水で満たされている間、孔60eを塞ぐ。
また孔60eの上、塩投入空間60a側には塩粒流出防
止フィルタ60gが配され、塩粒が上部空間60bに流
出するのを防止する。さらに塩投入空間60a上面には
塩注水口60hからの塩注水管60iが下面に向けて開
口している。また底面の下部空間60cには塩水排出口
29cが設けられている。円筒容器60は後部収納箱1
7bの底面に塩水排出口29cが箱底面を貫通するよう
固定される。メッシュフィルタ29dにより水はイオン
交換樹脂31間を通過する。またこれは部屋29e内か
らイオン交換樹脂31が漏出することを防止する。蓋6
1の内円周には凹溝61aがきってあり、空気孔61b
が開けられている。円筒容器60の上部外円周には凸部
60jがあり、蓋61は円筒容器60の凸部60jに凹
溝61aが嵌合するかたちで固定される。塩投入空間6
0a内には予め使用者により、一週間分の塩約200g
(前実施例の再生1回に必要な塩29gの7回分)62
が投入されている。なお塩投入空間60aは後部収納箱
17bの上面より上に配し、使用者が蓋61を容易に開
け閉めできるようにするとともに、周囲壁面全部あるい
は一部を透明になし、後述する洗濯毎のイオン交換樹脂
の再生で消費される塩が洗濯機前面から観察できるよう
にしてある。
【0062】図13は本実施例のイオン除去手段を用い
た場合の洗濯用水の給水に関わる後部収納箱17bの上
蓋をはずした時の背面側部分のみを示した平面図であ
る。後部収納箱17bには水道栓等からのホースが接続
される水道栓口26、これに接続される給水電磁弁27
および塩注水電磁弁63、円筒容器60で構成されるイ
オン除去手段28、円筒容器60内の再生塩水を排出す
る自動塩水排出バルブ39、風呂水を吸水する風呂水吸
水ポンプ45、洗濯槽5内に洗濯水を流下させる傾斜流
路46等が収納されている。給水電磁弁27の出口はイ
オン除去手段28の入水口29aに接続され、塩注水電
磁弁63の出口は塩注水口60hに接続される。イオン
除去手段の吐出口29bは部屋A47に接続される。図
14にこの場合の洗濯機制御部のブロック図を示す。
【0063】まず洗いおよびすすぎのための給水動作を
説明する。水道栓からのホースは水道栓口26に接続さ
れる。使用者が電源スイッチを投入して、スタート操作
ボタンを押すと洗いのための給水が始まる。マイクロコ
ンピュータ50は給水電磁弁27を制御して開となす。
この時塩注水電磁弁63は閉に、自動塩水排水バルブ3
9も閉の状態に制御される。水道水は給水電磁弁27を
通じて円筒容器60の入水口29aに導かれ、下部空間
60cを満たしてからイオン交換樹脂31を充填した部
屋29eを上昇しながら通過する。水道水はここで軟水
化つまりカルシウム、マグネシウムイオンが除去されて
上部空間60bを満たしながら吐出口29bから流出す
る。そして部屋A47から傾斜流路46に流下して洗濯
槽5に給水される。水位センサ11により必要量の水道
水が洗濯槽に溜まった時点で、マイクロコンピュータ5
0は給水電磁弁27を制御して給水を停止する。そして
回転翼6を正逆回転させ洗い工程を行う。洗いに続く1
回目のすすぎ工程も同様である。給水中はイオン除去手
段28の上部空間60bは水道水で満たされ、この圧力
のため逆止弁60fは孔60eを塞いでいる。このた
め、給水中に水道水が塩投入空間60aに浸水すること
はない。給水時以外では、上部空間60bは大気に開放
されているため逆止弁60fは開いた状態にある。
【0064】続いて最終の(2回目の)すすぎ給水が開
始され上部空間60bが水道水で満たされた状態(これ
は所定時間経過したことで判明する)に至ると、マイク
ロコンピュータ50は塩注水電磁弁63を制御して、塩
投入空間60aにも注水する。この注水量は100mL
前後の少量とし、塩注水電磁弁63の開制御時間で調整
する。水道水は給水電磁弁27から上部空間60bを満
たし逆止弁60fを閉じる。塩注水電磁弁63を通して
塩注水口60h、塩注水管60iから、塩投入空間60
a内に注水する。塩注水管60iの開口部は狭いノズル
状になっており、水道水が塩62の上部にシャワー状に
注水される。所定量例えば100mL注水する時間が経
過したらマイクロコンピュータ50は塩注水電磁弁63
を制御してこの注水を停止させる。この時はまだ給水電
磁弁27は開かれており、給水が継続している。注水さ
れた100mLの水道水は塩62を徐々に溶解し、給水
時間の間(3〜5分)にはある濃度の塩水となる。この
濃度は注水時間つまり水量と水中に塩が漬積している時
間と塩の量で決まる。塩の溶解度は水100mLあた
り、35.7gであり、時間をかけ十分攪拌できれば飽
和塩水濃度は26w%となる。つまりこれ以上の濃度に
はならなく過剰な塩は残留する。水道水100mLで十
分に塩があり1分程度放置で約23w%の濃度になる。
この時の塩水100mL中の塩量は約30gである。こ
れは図5実施例での投入塩量とほぼ同量である。
【0065】水位センサで所定量の給水が終了したら、
マイクロコンピュータ50は給水電磁弁27を閉じる。
すると円筒容器60内の水道水は吐出口から流れ出した
後、吐出口29bの下端(図中破線Aで示す)の水位で
残留する。このため逆止弁60fが開き、塩投入空間6
0a内の塩水は上部空間60bに残留する水道水中に流
下する。同時にマイクロコンピュータ50は塩水排出ソ
レノイド40を制御して、回転バルブ34aを開く。こ
の塩水は残水上に注がれながら、残水と一緒に、徐々に
イオン交換樹脂31内を流下して、塩水排出口29cか
ら排出される。これにより塩水がイオン交換樹脂31内
を流れ、化学反応式1、2の右から左への反応が起き、
今までの給水でイオン交換したカルシウム、マグネシウ
ムイオンと塩水中のナトリウムイオンが置換される。こ
れでイオン交換樹脂31は再生され再びそのイオン交換
能力を復活し次の洗濯給水で再び利用できるようにな
る。逆にカルシウム、マグネシウムイオンは脱離して塩
水内に抽出される。
【0066】この再生に使った塩水はカルシウム、マグ
ネシウムイオンを大量に含むために、洗濯槽5内でな
く、塩水排出口29cからチューブ35、回転バルブ栓
34a、塩水排出チューブ36を介して、異常溢水パイ
プ15に導かれ、排水装置13から排水ホース16で洗
濯機外に排出される。塩水が排出されるに必要な所定時
間経過したら、マイクロコンピュータ50は塩水排出ソ
レノイド40を制御して、回転バルブ34aを閉じる。
以上でイオン交換樹脂の再生処理が終了する。
【0067】この塩水のイオン交換樹脂内の流下速度は
孔60eおよび塩水排出口29c等の口径で決められる
が、3分間で100mL前後の流量が望ましい。このた
め実施例では直径2mm程度である。
【0068】再生の度に塩投入空間60a内の塩62は
約30gずつ再生塩水として消費され、徐々に減少す
る。使用者は塩投入空間60aに残存している塩量を透
明窓から見て、なくなりしだい蓋61を開けて、補充す
る。
【0069】なお、イオン除去手段28の保守あるいは
交換は図5実施例と同様、円筒容器60に接続される配
管を抜き、これを後部収納箱17bから取り外すことで
行う。
【0070】以上本実施例によれば、前実施例と同様洗
濯槽1槽分の洗いに使う水道水中の硬度成分を除去でき
るため、洗濯機の洗浄性能を向上させることができる。
さらにイオン交換樹脂の再生に用いる塩水は予め塩投入
空間に投入した大量の塩(例えば7回分)を用い毎回自
動的に作成しかつ自動的にイオン交換樹脂31内を流下
してこれを再生するため前実施例のように毎洗濯終了後
に塩を投入する必要がなく、使用者の利便性はさらに向
上する。また再生に使用した塩水は洗濯槽内に排出する
のではなく、異常溢水パイプから洗濯機外に排出するた
め、塩水が洗濯槽に流入して錆を生じることはない。ま
た脱離した高濃度カルシウム、マグネシウムイオンが洗
濯槽に流入して、次の洗濯で界面活性剤を金属せっけん
化して洗浄力を低下させることもない。
【0071】図15は本発明の他のイオン除去手段28
を示す縦断面図である。図15で図12と同一符号は同
一物を示し、イオン除去手段28の入水口、吐出口への
配管は省略してある。
【0072】本実施例は図12実施例の自動塩水排出バ
ルブ39、塩水排出口29c、チューブ35、塩水排出
チューブ36等の塩水排出機構を削除して、コスト低減
を計り、使用者に安価な洗濯機を提供するものである。
さらにイオン交換樹脂をカートリッジ化して、この保守
交換を容易ならしめたものである。
【0073】このため図12実施例の円筒容器60を二
つに分離し、さらにイオン交換樹脂31をカートリッジ
容器に収納し、これを分離した一方の、後部収納箱17
bに固定される円筒容器に収納しこれから着脱できるよ
うにしている。イオン除去手段28は、塩投入円筒容器
71と円筒容器60に分離され、一方の円筒容器60は
後部収納箱17b内に固定される。
【0074】円筒容器60内には吐出口29bの上に凸
部60jが設けられ、入水口29aと吐出口29bの間
の空間(上部空間60bと下部空間60cの間)にイオ
ン交換樹脂31を充填したカートリッジ容器70が、そ
の底面を凸部60jに乗せる形で収納される。カートリ
ッジ容器70は円筒容器であり、その上面および下面の
大部分はメッシュフィルタ70aで構成され、内部空間
にはイオン交換樹脂31が充填され上下方向に通水する
構造である。また中央にはカートリッジ容器70を取り
出すための取っ手である突起70bを備える。
【0075】円筒容器60の上端円周にはメスネジ60
kが切られ、ここに塩投入容器71がその底部円周に切
られたオスネジ71aで結合される。
【0076】塩投入容器71は底面71dの円周にオス
ネジ71aが切られ、ネジの下端外周にガスケット71
bを設け、円筒容器60へネジで結合したときの水漏れ
を防ぐ。また底面71d(図12実施例の隔壁60dに
相当する)には、図12実施例と同様に、孔71eが開
けられ、この孔71eの下側には逆止弁71f、上側に
は塩粒流出防止フィルタ71gが設けられている。さら
に底面71d上の塩投入空間71aには塩注水口71h
からの塩注水管71iが下面に向けて開口している。塩
投入容器71内には予め塩62が投入されており、容器
上端は、蓋61で塞がれる。蓋61はその凹部61aが
容器71の凸部71jに嵌合される形で塩投入容器71
に固定される。
【0077】洗い工程、一回目のすすぎ工程での給水
は、図12実施例と同様である。ただ水道水は入水口2
9aからイオン交換樹脂31が充填されたカートリッジ
容器70を上から下へ流れ吐出口29bから、部屋A4
7、傾斜流路46を経て、洗濯槽5に給水される。この
ため図10実施例のように水道水圧によるカートリッジ
容器70の浮き上がりはなく、これを防止する必要もな
い。な次に塩水流下によるカートリッジ容器70内のイ
オン交換樹脂31の再生動作を詳細に説明する。
【0078】最終すすぎ工程において、図12実施例同
様に、塩注水口71h、塩注水管71iから塩投入空間
71a内に注水して、100mL前後の塩水を作成す
る。水位センサで所定量の給水が終了したら、マイクロ
コンピュータ50は給水電磁弁27を閉じ給水を停止す
る。すると円筒容器60内の水道水は吐出口29bから
全て流れだす。このため逆止弁71fが開き、塩投入空
間71a内の塩水は上部空間60bのカートリッジ容器
70上面に流下する。この塩水は徐々にカートリッジ容
器70に充填されるイオン交換樹脂31内を均一に流下
して、吐出口29bから部屋A47、傾斜流路46から
最終すすぎ水で満たされている洗濯槽5に流される。一
部は下部空間60c内の吐出口29bより低い位置に溜
まる。この流下で塩水がイオン交換樹脂31内を流れ、
化学反応式1、2の右から左への反応が起き、今までの
給水で樹脂に吸着したカルシウム、マグネシウムイオン
とナトリウムイオンが置換される。これでイオン交換樹
脂31は再生され再びそのイオン交換能力を復活し次の
洗濯給水で再び利用できるようになる。逆にカルシウ
ム、マグネシウムイオンは脱離して塩水内に抽出され
る。給水停止後、マイクロコンピュータ50はすすぎの
ために洗濯物を回転翼6を制御し、給水したすすぎ水の
中で攪拌する。攪拌が所定時間経過したら(まだ洗濯槽
5内にすすぎ水が残留している時)、給水電磁弁27を
再度開き、イオン除去手段28に水道水を数L流し、下
部空間60cに滞留しているカルシウム、マグネシウム
を大量に含んだ再生塩水を、吐出口29bから部屋A4
7、傾斜流路46を通して、洗濯槽5内に洗い流す。こ
の塩水は先に給水した大量のすすぎ水(通常前述したよ
うにためすすぎの場合容量7kgで72L程度)と攪拌
混合されて薄められる。そして、すすぎ終了時、マイク
ロコンピュータ50は排水電磁弁13aを開いて、排水
ホース16からこれを洗濯機外に排出する。
【0079】前述したように硬度成分は洗浄性能に影響
するが、すすぎ性能には影響しない。かつ再生に使用し
た少量の塩水は大量の水で希釈されるため、洗濯槽5を
構成するステンレス等に錆を生ずる恐れもない。ちなみ
に濃度23w%の塩水130mL(塩約30g)を72
Lの水で希釈すればその濃度は0.04w%であり、生
理食塩水0.9w%よりも低い。
【0080】水道水には微細な無機あるいは有機物が含
まれる。このため長期間イオン除去手段に通水すると、
内部のメッシュフィルタあるいはイオン交換樹脂内にこ
れらが堆積して種々の問題を誘発する。例えば目詰まり
のため通水抵抗が増加して流量を確保できずに給水時間
が増加する。あるいはイオン交換樹脂が有機物汚染され
そのイオン交換能力が劣化する。
【0081】使用者はこのような時、後部収納箱17b
の上面蓋を外し、塩注水口71hへの配管を外して、塩
投入容器71のネジを回して、円筒容器60から取り外
す。そして円筒容器60内のカートリッジ容器70の突
起70bを手でつかみ取り出す。そして、水洗して目詰
まりを取り除いた後再度収納する。あるいは新しいカー
トリッジ容器と交換する。
【0082】以上本実施例によれば再生塩水をすすぎ水
で希釈してこれを通常の排水経路を利用して排出できる
ため、図12実施例の自動塩水排出バルブ39、塩水排
出口29c、チューブ35、塩水排出チューブ36等の
塩水排出機構を削除でき、コスト低減が可能となり使用
者に安価な洗濯機を提供できる。さらにイオン交換樹脂
がカートリッジ化されているため、これを着脱すること
で保守点検、交換が容易となる。
【0083】図16は本発明の他のイオン除去手段28
を示す縦断面図である。図16で図12と同一符号は同
一物を示し、イオン除去手段28の入水口、吐出口への
配管は省略してある。64は塩水排出口29cに接続さ
れた排水管である。
【0084】円筒容器60には下部空間60cに開口す
るよう入水口29aが配され、上部空間60bに開口す
るよう吐出口29bが設けられている。このためイオン
除去手段28に導かれた水道水はイオン交換樹脂31を
下から上に流れ、吐出口29bから部屋A47、傾斜流
路46を流れ洗濯槽に給水される。塩水排出口29cに
接続される排水管64は図示するように配管の都合であ
る高さまで持ち上げられることもあるが、必ず円筒容器
60の下端の位置まで下げられて傾斜流路46に開口し
て接続される。
【0085】入水口29aからの水道水はそのほとんど
がイオン交換樹脂31を通過してカルシウム、マグネシ
ウムイオンが除去された後、吐出口29bから部屋A4
7、傾斜流路46を流れ洗濯槽5に給水されるが、一部
は塩水排出口29cから排水管64を流れ、傾斜流路4
6から洗濯槽5に供給される。塩水排出口29cおよび
排水管64の口径を2mm程度にすれば、イオン交換樹
脂31を通過する流量13L/分に対し、排水管からの
漏れは0.5L/分以下であり、影響は少ない。給水終
了直後(給水電磁弁27を閉じた直後)には図5実施例
同様、水道水が吐出口29bの下端の位置まで残水する
が、この残水は塩水排出口29cに接続される排水管6
4からゆっくりと洗濯槽5に排出される。
【0086】最終すすぎ工程における塩水作成は図12
実施例と同様なため説明を省略する。水位センサ11で
最終すすぎ工程での所定量の給水が終了したら、マイク
ロコンピュータ50は給水電磁弁27を閉じ給水を停止
する。逆止弁60fが開き、塩投入空間60a内の塩水
は上部空間60bの残水中に流下する。この塩水は残水
で薄められながら、徐々にイオン交換樹脂31内を均一
に流下して、塩水排出口29cに接続される排水管64
からゆっくりと洗濯槽5に排出される。この流下で塩水
がイオン交換樹脂31内を流れ、化学反応式1、2の右
から左への反応が起き、今までの給水でイオン交換され
たカルシウム、マグネシウムイオンと塩水中のナトリウ
ムイオンが置換される。これでイオン交換樹脂31は再
生され再びそのイオン交換能力を復活し次の洗濯給水で
再び利用できるようになる。逆にカルシウム、マグネシ
ウムイオンは樹脂から脱離して塩水内に抽出される。給
水停止後、マイクロコンピュータ50はすすぎのために
洗濯物を回転翼6を制御し、給水したすすぎ水の中で攪
拌する。攪拌が所定時間経過したら、給水電磁弁27を
再度開き、イオン除去手段28に水道水を数L流し、排
水管64および下部空間60cに付着しているカルシウ
ム、マグネシウムを大量に含んだ塩水を、排水管64お
よび吐出口29bから傾斜流路46を通して、洗濯槽5
内に洗い流す。この塩水は先に給水した大量のすすぎ水
(通常前述したようにためすすぎの場合容量7kgで7
2L程度)と攪拌混合されて薄められる。そして、すす
ぎ終了時、マイクロコンピュータ50は排水電磁弁13
aを開いて、排水ホース16からこれを洗濯機外に排出
する。
【0087】本実施例によれば、図15実施例同様に、
自動塩水排出バルブ39、塩水排出口29c、チューブ
35、塩水排出チューブ36等の塩水排出機構を削除で
き、コスト低減が可能となり使用者に安価な洗濯機を提
供できる。さらに給水電磁弁、配管配置の都合で入水口
が円筒容器60の下端に設けざるを得ない場合でも自動
塩水流下によるイオン交換樹脂31の再生を可能にする
ことができる。
【0088】図17に他実施例の洗濯機制御部のブロッ
ク図を示す。図14と同一符号は同一物を示す。65は
電気的書き込みが可能な不揮発性メモリであるEEPR
OMである。
【0089】本実施例は図15実施例の塩投入空間への
塩投入期間をさらに延長して使用者の利便性を向上させ
るものである。このためEEPROM65を用いて、水
道水硬度と洗濯に必要な水道水量を記憶し、最終すすぎ
工程でイオン交換樹脂を再生するに必要な塩水量を演算
して、この演算した塩水量で樹脂の再生を行うようにし
たものである。
【0090】今、図5実施例と同様イオン交換樹脂量2
60mL、流量13L/分でのイオン除去性能2/3つ
まり入力原水の2/3の硬度成分イオンを除去できると
して説明する。
【0091】洗濯機製造者は、EEPROM65にイオ
ン除去手段28の性能つまりイオン交換樹脂量と標準流
量での除去性能(入力原水の硬度成分の何割を除去でき
るかの性能)を記憶して出荷する。
【0092】使用者は洗濯機を使い始めるにあたり、市
販の硬度指示薬等を用いて、使用する水道水の概略硬度
値を確認して、この硬度値をEEPROM65に記憶さ
せる。これは操作ボタン21を使い、例えば予約操作ボ
タンとコース選択操作ボタンを同時に押すことでマイク
ロコンピュータ50を硬度値入力モードとし洗剤量/水
量設定操作ボタンを押した回数で行う。例えば1回であ
れば20ppm以下、2回であれば20〜40ppm等
とすれば良い。このような操作は販売店員等がお客に洗
濯機を届け、設置する時に行うのが望ましい。この入力
硬度値が55ppmとし、この値がEEPROM65記
憶されたとして以下説明する。また塩投入空間60aに
は予め適量例えば図15実施例のように200g前後の
塩を投入しておく。
【0093】使用者が被洗濯物を洗濯槽5に入れ、電源
スイッチ19を押し、洗濯コースを選択してスタートボ
タンを押すと洗濯が開始される。以下すすぎ工程が2回
のコースが選択された場合で説明する。
【0094】まず、マイクロコンピュータ50は周知の
ように電動機7を回転、停止させ、停止時に誘起される
電動機7の逆起電圧で投入されている布量を検出する。
この検出した布量と選択したコースから洗いおよびすす
ぎ工程での洗濯槽5への給水量が決定される。例えば検
出布量が4kgであれば洗い約40L、すすぎ2回で約
80Lあわせて120Lである。
【0095】そしてマイクロコンピュータ50は給水電
磁弁27を開とする。水道水は水道栓口26から給水電
磁弁27を通過してイオン除去手段28に流入する。流
入した水道水は円筒容器60にメッシュフィルタ28a
で挟まれて充填されるナトリウム型強酸性陽イオン交換
樹脂31の間を通過して、硬度成分であるカルシウム、
マグネシウムイオンを除去され軟水となって流れ出し、
部屋A47を介して傾斜流路46に流出する。そして傾
斜流路46で整流され、洗濯槽5内に流下する。この洗
い給水中には発光ダイオード54を点灯して、軟水化表
示24で軟水化中の表示が行われる。水位センサ11で
必要な洗濯用水が洗濯槽5内に給水(約40L)された
ことを知ったマイクロコンピュータ50は、給水電磁弁
27を閉じて、給水を停止させる。そして回転翼6を正
逆回転させて、洗いを開始する。洗い給水が終了した時
点でマイクロコンピュータ50は水位センサ11の情報
からイオン交換手段28を通過した実際の水道水量を演
算して、先の水道水硬度値と除去能力から、イオン交換
樹脂31が吸着したカルシウム、マグネシウムイオンの
量を演算してEEPROM65に記憶する。例えば55
(ppm)×2/3×40(L)=1.46g(CaC
O3換算)を記憶する。
【0096】洗いを所定時間行った後、マイクロコンピ
ュータ50は続いて、給水電磁弁27を開いて、1回目
のすすぎのため洗濯槽5への給水を開始する。水道水は
水道栓口26から給水電磁弁27を通過して、そのまま
部屋A47を介して傾斜流路46に流出する。そして傾
斜流路46で整流され、洗濯槽5内に流下する。水位セ
ンサ11ですすぎ給水量が所定の値に達したら、マイク
ロコンピュータ50は給水電磁弁27を閉じて、給水を
停止させる。この時点で洗いの時と同様マイクロコンピ
ュータ50は水位センサ11の情報からイオン交換手段
28を通過した水道水量を演算して、先の水道水硬度値
と除去能力から、イオン交換樹脂31が吸着したカルシ
ウム、マグネシウムイオンの量を演算して、先の(洗い
給水での)吸着量に積算してEEPROM65に記憶す
る。例えばこの時点で1.46×2=2.92gと積算
記憶する。そして回転翼6を正逆回転させて、すすぎを
開始する。この後、排水装置13の排水電磁弁を開きす
すぎ水を排水する。
【0097】次の最終すすぎでは図15実施例で説明し
たイオン交換樹脂の再生処理が行われる。この最終すす
ぎでの給水量は1回目すすぎと同様であるため、最終す
すぎ給水が終了した時点での硬度成分積算吸着量は推定
することができる。例えば1.46×3=4.38gと
推定する(正確には流量が100Lを超えると性能劣化
があるためこれも考慮する必要があるが第1近似では左
記で十分である)。そして最終すすぎ給水と同時に、塩
投入空間へ積算した硬度成分吸着量に比例した量の水道
水を注水する。図5実施例で詳細に説明したように、使
用したイオン除去手段の再生効率は本実施例では0.3
程度である。つまり吸着した量の3倍程度の塩量が再生
に必要となる。つまり約13gの塩を溶解する水量44
mLを注水する。なおこの注水量は塩注水電磁弁63の
開時間で調整する。最終すすぎ給水終了時点でのイオン
交換樹脂31の再生処理は図15実施例で説明したので
説明を省略する。
【0098】この後脱水工程に入り、クラッチ装置10
のクラッチソレノイド10aを制御して洗濯槽5を高速
回転させ脱水を行う。
【0099】以上の説明では、積算吸着量を毎給水毎に
水位センサ11の検出水量から決定したが、これは正確
を期するためで(使用者の途中でのコース変更、水道断
水等の誤差混入防止のため)、前述したようにコース選
択と布量で必要使用水量は決定されるため、布量検出時
点で、必要使用水量から積算吸着量を推定演算して、こ
れで最終すすぎでの注水量を決めておいてもよい。
【0100】このようにイオン交換樹脂再生に必要な注
水量を実際に吸着した硬度成分に比例して決めるため、
つねに必要最小限の塩を消費することになる。したがっ
て前実施例のように常に一定量(100mL)の注水を
行う場合に比べ、説明のように約半分の水量つまり約半
分の塩消費量となり、各再生処理における塩消費量を減
少させることができる。これは塩投入期間を延ばせるこ
とを意味する。
【0101】以上本実施例によれば、イオン交換樹脂再
生に必要な塩量を必要最小限に低減することができるた
め、使用者が塩投入空間へ塩を補充する期間を長くする
ことができ、利便性をさらに向上させことができる。
【0102】次に、風呂水を風呂水給水ポンプを使用し
て給水する場合の実施例について図13を用いて説明す
る。風呂等からの水は風呂水給水口45aに接続される
ホースで汲み出される。まず水道栓口26からの水道水
を給水電磁弁27を開きイオン除去手段28、部屋A4
7を通して、その一部を呼び水口45bから風呂水吸水
ポンプ45に呼び水し、残りを傾斜流路46から洗濯槽
5に給水する。所定時間経過後、給水電磁弁27を閉
じ、給水ポンプを回転させて風呂水を風呂水給水口45
aから自吸し、吐出口45cから部屋B48を介して傾
斜流路46に導き、ここから洗濯槽5に給水する。すな
わち、洗濯槽5には、まずイオン除去手段28でカルシ
ウムイオン、マグネシウムイオンが除去された軟水が給
水され、その後風呂水が給水されることになる。洗濯槽
5に投入されている洗剤は、軟水で溶かされ洗濯物内に
染み込み洗濯物に付着した汚れに浸透して行く。この
時、洗濯槽5を回転させながら給水すると、溶かした洗
剤がより均一に洗濯物内に染み込む。軟水には硬度成分
がほとんど含まれていないため、洗剤が金属石鹸を形成
することがなく、洗剤は有効に作用する。この後、風呂
水が給水される。風呂水には硬度成分が含まれている
が、汚れにはすでに洗剤成分が浸透しており、洗剤の汚
れへの作用が妨げられることはない。風呂水の残り湯の
温度(約30℃)は、洗剤成分を活性化し洗浄力を高め
るが、硬度は水道水と同等であり、金属石鹸の生成を防
ぐことはできない。しかし、本実施例のように、まず軟
水を給水し、次に風呂水を給水することで、軟水による
洗剤溶解、汚れへの浸透効果と、風呂水の温度効果との
相乗効果で洗浄力を高めることができる。図18は、イ
オン除去手段を持たない従来の洗濯機とイオン除去手段
を有する本実施例の洗濯機の洗浄力を比較した一例であ
る(洗濯条件は、水温20℃、残り湯温度30℃、硬度
100ppm、軟水硬度20ppm)。軟水を最初に給
水することにより、洗浄力が向上することが分かる。
【0103】従来、風呂水給水ポンプへの呼び水給水時
間は、洗濯物の量(水量)によらず一定であった。しか
し本実施例では、呼び水給水は軟水による洗剤の溶解、
洗濯物への洗剤成分の浸透という重要な作用があるた
め、洗濯物の量により給水量を制御する必要がある。そ
こで、洗濯物の量(水量)に対する呼び水(軟水)給水
量の制御方法について説明する。
【0104】給水量の制御方法としては、水位、流量
計、重さなどを計測する方法や、時間で制御する方法な
どが考えられる。ここでは、水位検知と時間制御による
実施例を説明する。
【0105】水位検知による実施例は、水位センサ11
を用いる方法である。これは、予め軟水と風呂水の混合
比率を決めておき、自動または手動で設定された水位に
対し前記混合比率になるまで軟水を給水し、その後風呂
水を給水する方法である。洗濯槽5に給水された軟水は
洗濯物の上部から下部に向かって洗濯物内に浸透し、洗
濯物をほとんど濡らした後で外槽4底部に溜まり出す。
そして、規定の水位になったら軟水の給水を停止し、風
呂水給水へ切り替える。これにより、上記の作用を達成
することができる。水位センサ11は、外槽に水が溜ま
らないと水位を検知できないため、洗濯物がほとんどぬ
れた後も軟水を余分に給水する必要があり、風呂水の量
が少なくなり、風呂水の有効利用という点では若干問題
がある。次に、時間制御による実施例について述べる。
給水量を時間で制御する場合、洗濯物の量と水道水圧
(給水流量Q)を知る必要がある。洗濯物の量は、布量
センサで検知できる。洗濯物の量と洗濯物全体をほぼ濡
らすのに必要な軟水給水量Vの関係は、予めマイクロコ
ンピュータ50に記憶しておく。給水流量Qの検知方法
を図2を用いて説明する。水位センサのゼロ点水位A点
から設定可能な最低水位よりも低い水位B点までの給水
時間Tを計測する。給水時間Tは、給水流量Qが大きい
ほど短くなる反比例関係(図19)にあり、給水時間T
から給水流量Qを知ることができる。詳細に見ると、同
じ給水流量でも洗濯物の量により若干差があるが、実用
上は平均値を使用すればよい。図19の給水時間Tと給
水流量Qの関係は予めマイクロコンピュータ50に記憶
されており、給水時間Tから求められる給水流量QをE
EPROM65に記憶する。そして、次回の洗濯時に布
量センサで検出した洗濯物の量(設定水量)から求めら
れる軟水給水量Vと上記給水流量Qから軟水の給水時間
を決定する。本実施例によれば、洗剤が溶けた軟水で洗
濯物をほぼ濡らすのに必要な軟水給水量を最少にでき、
風呂水を有効利用できる。
【0106】時間制御による別の実施例について述べ
る。上記時間制御により実施例では、洗濯物の量と給水
量Vの関係、および給水時間Tと給水流量Qの関係をテ
ーブル化してマイクロコンピュータ50に記憶したもの
であるが、広範囲の水道水圧や設定水位の多段化に対応
するためには、テーブルに記憶すべきデータ量が多くな
り、守りが余計必要となる。本実施例は、給水時間Tと
設定水量にしきい値を設定し、テーブルデータ量を減少
したものである。ここでは、最もデータ量が少なくなる
しきい値が1つの場合について説明する。給水時間Tに
ついては給水時間T1をしきい値とする。また、設定水
量については、例えば水量が12段階に設定可能な洗濯
機においては中央の水量W1をしきい値とする。そし
て、このしきい値未満か以上かで軟水給水時間tを設定
する。すなわち、給水流量Q1未満(給水時間がT1を
超える)で、設定水量WがW1未満の場合は軟水給水時
間t=t1、Q1未満でW1以上の場合t=t2、Q1
以上(T1以上)でW1未満の場合t=t3、Q1以上
でW1以上の場合t=t4となる。従って、この2つの
しきい値を用いることで、4つの給水時間t1からt4
をマイクロコンピュータにテーブルとして記憶しておく
だけでよく、マイクロコンピュータの記憶容量を少なく
することができ、コストの低減が図れる。この場合の給
水流量Qと軟水給水量Vの関係の具体例を図20に示
す。水量が一定(洗濯物量一定)でも給水流量により軟
水給水量が変化しているが、実用上はこの程度の粗い制
御でも差し支えない。
【0107】以上本発明によれば、風呂水を用いた洗濯
において、まずイオン交換手段を通した軟水を洗濯槽に
給水し、その後風呂水を給水することで、軟水で洗剤を
溶解し洗濯物に洗剤成分を無駄なく浸透させる効果と、
風呂水の温度効果で洗浄力を向上することができる。
【0108】
【発明の効果】本発明によれば、洗濯槽へ給水する水を
イオン交換機能材の層を均一に上昇させることができ、
さらに再生剤は第2の室から流下させるようにしたの
で、洗濯用水に含まれる陽イオンを除去しながら速やか
に給水できるイオン除去手段を洗濯機の給水経路にコン
パクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による全自動洗濯機の概観斜視図であ
る。
【図2】本発明による全自動洗濯機の縦断面図である。
【図3】本発明による全自動洗濯機の操作パネル図であ
る。
【図4】本発明による後部収納箱内部の平面図である。
【図5】本発明によるイオン除去手段の斜視図と縦断面
図である。
【図6】本発明による全自動洗濯機の電気接続ブロック
図である。
【図7】硬度と洗浄率の関係を示す図である。
【図8】流量と漏洩カルシウム濃度の関係を示す図であ
る。
【図9】積算流量と漏洩カルシウム濃度の関係を示す図
である。
【図10】本発明による他のイオン除去手段の縦断面図
である。
【図11】本発明による他の全自動洗濯機の電気接続ブ
ロック図である。
【図12】本発明による他のイオン除去手段の斜視図と
縦断面図である。
【図13】本発明による他の後部収納箱内部の平面図で
ある。
【図14】本発明による他の全自動洗濯機の電気接続ブ
ロック図である。
【図15】本発明による他のイオン除去手段の縦断面図
である。
【図16】本発明による他のイオン除去手段の縦断面図
である。
【図17】本発明による他の全自動洗濯機の電気接続ブ
ロック図である。
【図18】風呂水洗濯時における、イオン除去手段の有
無による洗浄力の比較を説明する図である。
【図19】給水流量(水道水圧)と給水時間の関係の一
例である。
【図20】給水流量(水道水圧)と軟水給水量の関係の
一例である。
【符号の説明】
5…洗濯兼脱水槽、15…異常溢水パイプ、17b…後
部収納箱、24…軟水化表示、25…塩投入表示、26
…水道栓口、27…給水電磁弁、28…イオン除去手
段、29…円筒容器、29a…入水口、29b…吐出
口、29c…塩水排出口、29d…メッシュフィルタ、
29e…部屋、29f…オスネジ、30…蓋、30a…
メスネジ、30b…ガスケット、31…イオン交換樹
脂、32…上部空間、33…下部空間、34…手動塩水
排出バルブ、34a…回転バルブ栓、34b…回転バル
ブ、34c…押しボタン、34d…連結ロッド、35…
チューブ、36…塩水排出チューブ、37…磁石、38
…磁気抵抗素子、39…自動塩水排出バルブ、40…塩
水排出ソレノイド、45…風呂水吸水ポンプ、50…マ
イクロコンピュータ、54…発光ダイオード、55…発
光ダイオード、60…円筒容器、60a…塩投入空間、
60b…上部空間、60c…下部空間、60d…隔壁、
60e…孔、60f…逆止弁、60g…塩粒流出防止フ
ィルタ、60h…塩注水口、60i…塩注水管、60j
…凸部、61…蓋、61a…凹溝、61b…空気孔、6
2…塩、63…塩注水電磁弁、64…塩水排水管、65
…EEPROM。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鹿森 保 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株式会社 日立製作所 電化機器事業部 内 (72)発明者 大杉 寛 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株式会社 日立製作所 電化機器事業部 内 (72)発明者 小山 高見 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株式会社 日立製作所 電化機器事業部 内 (72)発明者 宮尾 明 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株式会社 日立製作所 電化機器事業部 内 (72)発明者 桧山 功 茨城県日立市東多賀町一丁目1番1号 株式会社 日立製作所 電化機器事業部 内 (56)参考文献 特開 平4−20395(JP,A) 特開 平2−136170(JP,A) 特開 平7−171293(JP,A) 特開 平6−154474(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06F 39/08 D06F 35/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】洗濯物を入れる洗濯槽に給水する給水経路
    の途中にイオン交換機能材を有するイオン除去手段を備
    え、前記給水経路を給水電磁弁で開閉する洗濯機におい
    て、 前記イオン除去手段に、 イオン交換機能材を収容する第1の室と、 前記第1の室の上側と下側とにそれぞれ形成した室と、 前記上側の室の上側に設けられ、イオン交換機能材のイ
    オン交換機能を再生する再生剤を収容する第2の室と、 前記第2の室に給水する給水路と、 前記給水路を開閉する給水路開閉弁と、 前記上側の室と前記第2の室とを連通する流路と、 前記流路に設けられ前記第2の室から前記上側の室への
    流れを許し前記上側の室から前記第2の室への流れを止
    める逆止弁と、 を備え、 前記イオン除去手段における給水経路を水が前記下側の
    室から前記第1の室を通って前記上側の室に流れるよう
    に構成し、 前記下側の室に再生処理後の再生剤を排出する排出口を
    設けたことを特徴とする洗濯機。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の洗濯機において、前記第
    2の室は前記第1の室が形成された容器内に形成された
    ことを特徴とする洗濯機。
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