JP3126801B2 - 2,6−ジエチルナフタレンの製造方法 - Google Patents

2,6−ジエチルナフタレンの製造方法

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JP3126801B2
JP3126801B2 JP04091542A JP9154292A JP3126801B2 JP 3126801 B2 JP3126801 B2 JP 3126801B2 JP 04091542 A JP04091542 A JP 04091542A JP 9154292 A JP9154292 A JP 9154292A JP 3126801 B2 JP3126801 B2 JP 3126801B2
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸の原料等として有用な2,6−ジエチルナフ
タレンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】2,6−ナフタレンジカルボン酸は、高
分子材料、染料中間体等として有用な物質である。特に
2,6−ナフタレンジカルボン酸を構成成分とするポリ
エステルはポリエチレンテレフタレ−トよりも耐熱性、
破断強度等に優れており、フィルム、食品包装材料等の
素材として注目されている。2,6−ナフタレンジカル
ボン酸の製造方法として工業的に有利な方法の一つに
2,6−ジイソプロピルナフタレンを液相酸化する方法
があるが、この方法と比較して、2,6−ジエチルナフ
タレンを液相酸化する方法は液相酸化工程での収率が高
く、安価な2,6−ナフタレンジカルボン酸製造方法と
して期待されている。しかしながら、ナフタレンをエチ
レン、エチルハライド等のエチル化剤をAlCl3等の
酸触媒の存在下に反応させる方法では2,6−ジエチル
ナフタレンの選択率は低く、加えてナフタレン環の重合
によるピッチ化も激しく、工業的に採用するには問題が
あった。
【0003】本発明者らは先に、ポリエチルベンゼンを
トランスエチル化剤、固体酸を触媒に用い、ナフタレン
又はエチルナフタレンを反応温度70〜300℃でトラ
ンスエチル化することにより、固体酸触媒では従来にな
い高い選択率で2,6−ジエチルナフタレンの製造が可
能であることを見出した。しかしながら、本法では2,
6−ジエチルナフタレン以外のジエチルナフタレン、ト
リエチルナフタレン等を再び選択的トランスエチル化反
応の反応原料として使用することが容易ではなく、原料
の有効利用の点からは必ずしも満足のいくものではなか
った。なお、ナフタレン又はエチルナフタレンからジエ
チルナフタレンを製造し、これから2,6−ジエチルナ
フタレンを分離し、これを酸化して2,6−ナフタレン
ジカルボン酸を製造することは特公昭58−2,223
号公報等で知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる状況
に鑑み、その目的とするところは、反応系に供給する原
料ナフタレン又はエチルナフタレンを効率よく利用する
ことができる2,6−ジエチルナフタレンの製造方法を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記方法を
確立するため、鋭意研究を行った結果、2,6−ジエチ
ルナフタレン以外のジエチルナフタレン、トリエチルナ
フタレン等とナフタレンを反応させる反応工程を新たに
設け、この反応工程でポリエチルベンゼンとのトランス
エチル化反応により高選択率で2,6−ジエチルナフタ
レンを製造する工程の原料となるエチルナフタレンを製
造することにより、ナフタレン類を無駄なく有効に利用
することができる2,6−ジエチルナフタレン製造方法
を見出し、本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、ナフタレンとポリエ
チルナフタレン又はポリエチルベンゼンを反応させてエ
チルナフタレンを製造するエチルナフタレン製造工程、
エチルナフタレンとポリエチルベンゼンをトランスエチ
ル化反応させてジエチルナフタレンを製造するジエチル
ナフタレン製造工程、ジエチルナフタレン製造工程又は
この製造工程とエチルナフタレン製造工程で製造された
反応混合物よりジエチルナフタレン等を分離する反応混
合物分離工程、反応混合物分離工程で分離されたジエチ
ルナフタレンより2,6‐ジエチルナフタレンを分離す
る2,6‐ジエチルナフナフタレン分離工程、並びに反
応混合物分離工程で分離されたジエチルナフタレン以外
の成分及び2,6‐ジエチルナフタレン分離工程で分離
する2,6‐ジエチルナフタレン以外の成分のうち、ナ
フタレン及びポリエチルナフタレンをエチルナフタレン
製造工程の原料の少なくとも一部として循環する工程と
を有する2,6‐ジエチルナフタレンの製造方法であ
る。以下、本発明の製造方法について、各工程ごとに詳
細に説明する。
【0007】「エチルナフタレン製造工程」本工程は、
ナフタレンとポリエチルナフタレン又はポリエチルベン
ゼンを反応させてエチルナフタレン製造する工程であ
る。原料として用いるナフタレン及びポリエチルナフタ
レンは新たに追加されるものに限らず、後述する工程で
分離されるナフタレン及びポリエチルナフタレンを用い
ることができる。すなわち、本工程で生成し次のジエチ
ルナフタレン製造工程の原料とするエチルナフタレン以
外のナフタレン及びポリエチルナフタレン並びにジエチ
ルナフタレン製造工程で生成する2,6−ジエチルナフ
タレン以外のナフタレン及びポリエチルナフタレン等で
ある。好ましくは、ナフタレンは消費された量を新たに
追加し、残余及びポリエチルナフタレンは分離、循環さ
れるナフタレン及びポリエチルナフタレンを用いる。な
お、本発明でいうポリエチルナフタレンはエチル基を2
以上有するジエチルナフタレン、トリエチルナフタレ
ン、テトラエチルナフタレン等である。また、この工程
の反応ではエチルナフタレン、エチルベンゼン類等が含
まれても差し支えない。また、ポリエチルナフタレンの
代わりに又はポリエチルナフタレンと共にポリエチルベ
ンゼンを使用することもでき、この場合にはエチルナフ
タレンの他にジエチルナフタレン等も多量に生成する。
【0008】ナフタレンとポリエチルナフタレンの割合
は、反応原料混合物のエチル基/ナフタレン環(モル/
モル)の値が0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.
3、更に好ましくは0.8〜1.3となる割合がよく、
この値が低い場合にはエチレン、エタノ−ル、エチルハ
ライド、ポリエチルベンゼン等のエチル化剤を供給し、
また高い場合はトリエチルナフタレン、テトラエチルナ
フタレン等のエチル基を多く含む物質の使用を抑えるこ
とで調節が可能である。また、この値を1.5以上とす
れば、ジエチルナフタレン等のポリエチルナフタレンの
生成が増大する。ジエチルナフタレンを多量に生成させ
るためにはこの値を1.5〜2.5の範囲とするのがよ
い。新たに系に補給するナフタレンは、2,6−ジエチ
ルナフタレン分離工程で系外に出る2,6−ジエチルナ
フタレンと、蒸留の際、系外に排出される重質分に含ま
れるナフタレン環に相当する量であることが好ましい。
新たに系に補給するナフタレンは、塩基性窒素の含有量
が50ppm以下、好ましくは20ppm以下のものが
よい。
【0009】ジエチルナフタレン製造工程で生成するト
リエチルナフタレン以上の沸点留分は本工程の反応器に
直接戻してもよいが、再度蒸留して重質分をカットした
後、本工程の反応原料として用いるのが好ましい。ま
た、ジエチルナフタレン製造工程でのエチルナフタレン
を含む留分も本工程の反応器に直接戻してもよいが、そ
のまま再びジエチルナフタレン製造工程の反応原料とし
て用いるか、再度蒸留してエチルナフタレン純度を上げ
てからジエチルナフタレン製造工程の反応原料として用
いるのが好ましい。エチルナフタレン純度を上げた場合
のエチルナフタレン留分の前後の留分は、本工程の反応
原料として用いることができる。
【0010】本工程で使用する触媒としては、塩化アル
ミニウム、三フッ化ホウ素等のルイス酸や固体酸触媒を
使用することができるが、固体酸触媒が有利である。固
体酸触媒の種類としては、シリカアルミナ、ゼオライ
ト、複合金属酸化物、固体リン酸、ヘテロポリ酸、イオ
ン交換樹脂等の通常固体酸触媒として知られている触媒
であればよいが、工業的な入手の容易さ、触媒寿命、触
媒価格等の点から、シリカアルミナ又はシリカアルミナ
を金属修飾、フッ素化処理等の化学処理したものが好ま
しい。これらの固体酸触媒の酸強度としては、アンモニ
ア吸着熱が85Kジュ−ル/モル以上の酸点を0.1〜
3モル/kg持つものが好ましい。酸点の数が0.1モ
ル/kgより少ないと工業的に充分な転化率を得るのが
難しく、3モル/kgより多いと炭素質の析出速度が速
くなり触媒寿命が短くなる。なお、活性を失った固体酸
触媒は、窒素で希釈した空気によって500℃程度で焼
成し、炭素質を取り除くという方法で容易に再生するこ
とができる。
【0011】反応温度は、触媒の種類等によって変化す
るが、塩化アルミニウムのようなルイス酸を使用する場
合は、30〜130℃程度が好ましく、固体酸触媒を用
いる場合は、150〜450℃、好ましくは200〜4
20℃、更に好ましくは220〜400℃である。反応
温度が低すぎると反応速度が遅く工業的ではないし、高
すぎると脱エチル化、エチル基の分解、エチル基の重
合、生成物の着色等が起こる。固体酸触媒の触媒の経時
的な劣化に対しては、反応温度を上げることで対応が可
能である。反応圧力は常圧〜100kg/cm2 、好ま
しくは5〜50kg/cm2 である。触媒寿命を考慮し
て、反応原料及び反応生成物が反応器の中で液状となる
ように反応圧を選ぶのが適当である。必要以上に反応圧
力が高くても反応に悪影響を及ぼすことはないが、特に
高くする必要はない。反応方法は流通反応形式、バッチ
反応形式のいずれでも行うことができる。工業的レベル
で大量に製造する場合は流通反応形式が、少量を製造す
る場合はバッチ反応形式が適している。
【0012】本工程で製造されたエチルナフタレンを分
離するには、反応混合物より必要により触媒等を分離し
たのち、これを蒸留して分離することが適当である。蒸
留は、1〜4塔で構成され、連続蒸留形式、バッチ蒸留
形式のいずれでも行うことができる。工業的レベルで大
量に製造する場合は連続蒸留形式が、少量を製造する場
合はバッチ蒸留形式が適している。本工程の反応生成物
は蒸留により、ナフタレンを主とする留分、エチルナフ
タレンを主とする留分、ジエチルナフタレン及びトリエ
チルナフタレンを主とする留分、及び重質分に分離する
ことができる。ナフタレンを主とする留分、並びにジエ
チルナフタレン及びトリエチルナフタレンを主とする留
分は再び本工程の反応原料として用いることが望まし
い。 ジエチルナフタレン製造工程の原料となるエチル
ナフタレンを主とする留分は、2−エチルナフタレンを
多く含む方が2,6−ジエチルナフタレンの選択率、収
率が高くなるため、2−エチルナフタレン純度をできる
だけ高くするように蒸留するのが好ましい。また、本工
程で製造されたエチルナフタレンが多量のジエチルナフ
タレンを含む場合は、後述するジエチルナフタレン分離
工程へ直接送ってもよい。
【0013】「ジエチルナフタレン製造工程」本工程
は、エチルナフタレン製造工程で製造されたエチルナフ
タレン及び/又はジエチルナフタレン分離工程で回収さ
れたエチルナフタレンを含むエチルナフタレンとポリエ
チルベンゼン類とを触媒の存在下にトランスエチル化し
てジエチルナフタレン中の2,6−ジエチルナフタレン
の割合がを45重量%以上であるジエチルナフタレンを
製造する工程である。本工程で使用する原料として使用
するエチルナフタレンは、先のエチルナフタレン製造工
程で製造されたエチルナフタレン又はジエチルナフタレ
ン分離工程で回収されたエチルナフタレンを含むもので
あるが、これに限らず本工程での未反応エチルナフタレ
ンや新たに供給されるエチルナフタレン等を使用するこ
とができるが、好ましくは先のエチルナフタレン製造工
程で製造されたエチルナフタレン及び本工程での未反応
エチルナフタレンである。本工程での未反応エチルナフ
タレンは、そのまま再び本工程の反応原料として用いて
もよいし、先のエチルナフタレン製造工程の蒸留塔でエ
チルナフタレン純度を上げてから本工程の反応原料とし
て用いてもよい。また、原料のエチルナフタレンはエチ
ルナフタレンの他に、ナフタレン、ポリエチルナフタレ
ン等を含んでもよく、ナフタレンを含む場合、50%程
度以下とすることがよく、ナフタレンの含有率が高くな
るとジエチルナフタレン収率、2,6−ジエチルナフタ
レンの選択率が低くなる。ジエチルナフタレン、トリエ
チルナフタレン等の含有率は5%以下であることが好ま
しい。また、エチルナフタレンとしては1−エチルナフ
タレンであっても2−エチルナフタレンであっても又は
それらの混合物であってもよいが、2−エチルナフタレ
ンを多く含む方が2,6−ジエチルナフタレンの選択
率、収率が高くなり有利である。
【0014】トランスエチル化剤として用いるポリエチ
ルベンゼンは、エチルベンゼン、1,2−ジエチルベン
ゼン、1,3−ジエチルベンゼン、1,4−ジエチルベ
ンゼン、1,2,3−トリエチルベンゼン、1,2,4
−トリエチルベンゼン、1,3,5−トリエチルベンゼ
ン、1,2,3,4−テトラエチルベンゼン、1,2,
3,5−テトラエチルベンゼン、1,2,4,5−テト
ラエチルベンゼン、ペンタエチルベンゼン、ヘキサエチ
ルベンゼンより選ばれた1種又は2種以上の混合物であ
り、エチル基/ベンゼン環=1.5(モル/モル)以
上、好ましくは2.0(モル/モル)以上、更に好まし
くは3.5(モル/モル)以上となるような化合物又は
混合物である。この比が小さいと反応の進行が遅い。好
適には、エチルベンゼン製造の際に副生物として得られ
るジエチルベンゼン又はトリエチルベンゼンを主成分と
するポリエチルベンゼンやテトラエチルベンゼンを主成
分とするエチル基/ベンゼン環=3.0(モル/モル)
以上のポリエチルベンゼンが挙げられる。ポリエチルベ
ンゼンの使用量は、エチルナフタレンに対し1〜10重
量倍、好ましくは2〜6重量倍である。1重量倍未満の
使用量では反応速度が遅いばかりでなく、選択率も低く
なる。10重量倍を越えると、反応生成物中の2,6−
ジエチルナフタレン濃度が薄まり、生産効率が悪くな
る。
【0015】このトランスエチル化反応で使用する触媒
としては、前記エチルナフタレン製造工程で使用したと
同様な塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素等のルイス酸
や固体酸触媒を使用することができるが、固体酸触媒が
有利である。固体酸触媒の種類としては、シリカアルミ
ナ、ゼオライト、複合金属酸化物、固体リン酸、ヘテロ
ポリ酸、イオン交換樹脂等の通常固体酸触媒として知ら
れている触媒であればよいが、工業的な入手の容易さ、
触媒寿命、触媒価格等の点から、シリカアルミナ又はシ
リカアルミナを金属修飾、フッ素化処理等の化学処理し
たものが好ましい。これらの固体酸触媒の酸強度として
は、アンモニア吸着熱が85Kジュ−ル/モル以上の酸
点を0.1〜3モル/kg持つものが好ましい。酸点の
数が0.1モル/kgより少ないと工業的に充分な転化
率を得るのが難しく、3モル/kgより多いと炭素質の
析出速度が速くなり触媒寿命が短くなる。
【0016】反応温度は、ルイス酸を使用する場合は0
〜100℃程度、固体酸を使用する場合は70〜300
℃、好ましくは70〜230℃、更に好ましくは80〜
200℃であり、高すぎる反応温度では2,6−ジエチ
ルナフタレンの選択率が悪くなる。通常、反応温度が低
い方が2,6−ジエチルナフタレンの選択性はよく、高
い反応温度を選んだときは反応時間を短くすることで高
い2,6−ジエチルナフタレン選択率が得られる。
【0017】反応圧力は常圧〜50kg/cm2 、好ま
しくは常圧〜30kg/cm2 である。触媒寿命を考慮
して、反応原料及び反応生成物が反応器の中で液状とな
るように反応圧を選ぶのが適当である。必要以上に反応
圧力が高くても反応に悪影響を及ぼすことはないが、特
に高くする必要はない。製造方法は流通反応形式、バッ
チ反応形式のいずれでも行うことができる。工業的レベ
ルで大量に製造する場合は固定床の流通反応形式が、少
量を製造する場合はバッチ反応形式が適している。この
ような条件で反応すると、トランスエチル化反応が生
じ、エチルナフタレンがエチル化されると共にポリエチ
ルベンゼンが脱エチル化される。従って、反応終了後の
混合物はナフタレン、エチルナフタレン、ジエチルナフ
タレン、トリエチルナフタレン等のエチルナフタレン類
とベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン等のエ
チルベンゼン類からなる。また、ジエチルナフタレン異
性体中の2,6−ジエチルナフタレン割合は25%以
上、好ましくは45%以上とする。これは、前記のよう
に反応温度を低くしたり、転化率を制御したり、触媒や
ポリエチルベンゼンを選択することにより達成可能であ
る。
【0018】「反応混合物分離工程」反応混合物分離工
程では、ジエチルナフタレン製造工程で得られた反応混
合物を、必要により触媒等を分離したのち、これを蒸留
してジエチルナフタレン等の分離を行う。本工程の蒸留
は1〜4塔で構成され、連続蒸留形式、バッチ蒸留形式
のいずれでも行うことができる。工業的レベルで大量に
製造する場合は連続蒸留形式が、少量を製造する場合は
バッチ蒸留形式が適している。蒸留により前記ジエチル
ナフタレン製造工程の反応混合物を、エチルベンゼン類
を主とする留分、ナフタレンを主とする留分、エチルナ
フタレンを主とする留分、2,6−ジエチルナフタレン
を45重量%以上含有するジエチルナフタレンを主とす
る留分、トリエチルナフタレンを主とする留分等に分離
する。エチルベンゼン類を主とする留分はエチレン等に
よりエチル化し、再び本工程のトランスエチル化剤とし
て使用することができる。ナフタレンを主とする留分は
先のエチルナフタレン製造工程の原料とすることができ
る。エチルナフタレンを主とする留分は直接本工程の原
料として再利用することもできるが、先のエチルナフタ
レン製造工程の蒸留塔で2−エチルナフタレン純度を上
げてから本工程の反応原料として用いることもできる。
2,6−ジエチルナフタレンを45重量%以上含有する
ジエチルナフタレンを主とする留分(ジエチルナフタレ
ン留分)は次の2,6−ジエチルナフタレン分離工程に
送る。トリエチルナフタレンを主とする留分は直接先の
エチルナフタレン製造工程の原料として再利用すること
もできるが、一旦エチルナフタレン製造工程の蒸留塔に
戻し重質分をカットした後、エチルナフタレン製造工程
の反応原料として用いるのが好ましい。ナフタレンとト
リエチルベンゼン類との蒸留による分離が困難な場合、
ナフタレンとトリエチルベンゼン類との混合物は、直接
先のエチルナフタレン製造工程に戻す方法以外にも、本
工程にリサイクルし反応原料及びトランスエチル化剤と
して再利用する方法、エチルベンゼン類をエチレン等に
よりエチル化するポリエチルベンゼン製造工程に戻す方
法などが選択可能である。エチルナフタレンを主とする
留分及びトリエチルナフタレンを主とする留分を先のエ
チルナフタレン製造工程の蒸留設備を使って蒸留するこ
とが好ましいとしたのは、エチルナフタレンを主とする
留分から2−エチルナフタレンの純度を高めるための段
数の高い蒸留塔及びトリエチルナフタレンを主とする留
分から重質分を除去するための蒸留塔を本発明の中で1
塔づつにするためであり、それらの性能を持つ蒸留塔を
エチルナフタレン製造工程に設ける代わりにこの分離工
程内に設け、それに応じた処理フロ−とすることも可能
である。逆に、エチルナフタレン製造工程に分離工程を
設けず、この反応混合物分離工程のみであることも可能
である。
【0019】「2,6−ジエチルナフタレン分離工程」
本工程は反応混合物分離工程で分離された2,6−ジエ
チルナフタレンを45重量%以上含有するジエチルナフ
タレン留分より2,6−ジエチルナフタレンを分離する
工程である。2,6−ジエチルナフタレン分離法として
は、冷却晶析法、圧力晶析法、吸着分離法、及びアダク
ツ分離法がある。冷却晶析を分離法として用いる場合に
は、前記分離工程で分離されたジエチルナフタレン留分
をそのまま冷却、固液分離してもよいが、メタノ−ル、
エタノ−ル、イソプロパノ−ル等を溶媒として用いるの
が好ましい。冷却温度は−5〜−15℃程度でよく、こ
れ以上冷却すると2,7−ジエチルナフタレンの析出が
多くなり不利である。固液分離後の固体はメタノ−ル、
エタノ−ル、イソプロパノ−ル等でリンスすることで、
純度の良い2,6−ジエチルナフタレンが得られる。
【0020】圧力晶析を分離法として用いる場合は、前
記分離工程で分離されたジエチルナフタレン留分を−1
0〜50℃、好ましくは0〜40℃に保ち、等温的に加
圧し、500〜4,000kg/cm2 、好ましくは
1,000〜3,000kg/cm2 において結晶を析
出させて行う。加圧状態で0.1〜3時間保持した後、
圧力を300〜2,000kg/cm2 に等温的に下
げ、しかる後、濾過して液を系外に排出し、2,6−ジ
エチルナフタレンを得ることができる。
【0021】吸着分離を分離法として用いる場合は、カ
リウム、バリウム、ナトリウム、銀、銅等から選ばれた
1種以上の金属を修飾したフォ−ジャサイト型ゼオライ
トを吸着剤に、トルエン、p−キシレン、p−ジエチル
ベンゼン等を脱離剤に用いて行うことができる。金属の
修飾法としてはイオン交換法が好ましい。吸着分離操作
はバッチ式のいわゆるクロマト形式分離でも、疑似移動
床逆流方式として知られている連続方式でも良い。吸着
温度は室温〜300℃が好ましい。カリウムをイオン交
換したY−型ゼオライトを吸着剤に、p−キシレンを脱
離剤に用い室温でジエチルナフタレン異性体混合物の吸
着及び脱離操作を行うと、2,7−ジエチルナフタレン
を基準とした2,6−ジエチルナフタレンの分離係数
は、10〜20を示す。カリウム及び/又はバリウムを
修飾したY−型ゼオライトを吸着剤に用いた場合は、
2,6−ジエチルナフタレンよりも2,7−ジエチルナ
フタレンが吸着され易いため、ジエチルナフタレン留分
を−20〜−30℃程度まで冷却し、このとき、結晶と
して析出した2,6−ジエチルナフタレン及び2,7−
ジエチルナフタレン混合物を吸着分離するのが好まし
い。
【0022】アダクツ分離を分離法として用いる場合
は、チオ尿素をアダクツ形成剤に用いる。チオ尿素アダ
クツによるジエチルナフタレン混合物からの2,6−ジ
エチルナフタレンの分離方法は、特開平1−319,4
34号公報において公知の技術であり、本特許でのチオ
尿素アダクツ分離法もこれに準ずる。すなわち、ジエチ
ルナフタレン留分中のジエチルナフタレンに対し3倍モ
ル以上のチオ尿素を添加し、−30〜30℃でアダクツ
を形成させる。固液分離されたアダクツに有機溶媒を加
え、アダクツを分解し、2,6−ジエチルナフタレンが
溶解した有機溶媒から溶媒を除去し、2,6−ジエチル
ナフタレンを得ることができる。
【0023】以上のような、冷却晶析法、圧力晶析法、
吸着分離法、及びアダクツ分離法により分離した2,6
−ジエチルナフタレンの純度が充分でない時は、メタノ
−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の溶媒を用いて
再結晶することにより100%にまで純度を上げること
ができる。2,6−ジエチルナフタレンを分離した残り
のジエチルナフタレンは、エチルナフタレン製造工程に
反応原料としてリサイクルすることがよい。
【0024】「ポリエチルベンゼン製造工程」本工程
は、ベンゼン、エチルベンゼン類、好ましくはジエチル
ナフタレン製造工程にエチルベンゼン類をトランスエチ
ル化剤として供給し、トランスエチル化剤として作用し
エチル基の減ったエチルベンゼン類を、エチレン、エタ
ノ−ル、エチルハライド等でエチル化しエチル基を増や
してポリエチルベンゼンとする工程であり、これはジエ
チルナフタレン製造工程及び/又はエチルナフタレン製
造工程のトランスエチル化剤として供給される。従っ
て、本発明では、極く少量の重質分として系外に排出さ
れるものを除いて、基本的にベンゼン環は消費されない
ようにすることが可能である。ベンゼン環は本工程とジ
エチルナフタレン製造工程又はエチルナフタレン製造工
程との間のエチル基の運搬の役目をはたしている。
【0025】本工程で使用する反応原料は、ジエチルナ
フタレン製造工程でトランスエチル化剤として作用した
後のエチル基の減ったエチルベンゼン類を含むものであ
り、新たなベンゼン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼ
ン等が含まれていてもよい。ジエチルナフタレン製造工
程又はエチルナフタレン製造工程にトランスエチル化剤
として供給したエチルベンゼン類に比べ、通常、エチル
基/ベンゼン環(モル比)の値が0.5〜2減ってい
る。また、これらのトランスエチル化剤として作用した
後のエチル基の減ったエチルベンゼン類をエチル化する
エチル化剤としては、エチレン、エタノ−ル、エチルハ
ライド、その他エチル基のついた芳香族、例えば、ポリ
エチルビフェニル、ポリエチルナフタレン、ポリエチル
ベンゼン等が挙げられる。中でも、エチレン、エタノ−
ル、エチルハライドが好ましい。
【0026】この反応で使用する触媒としては、前記エ
チルナフタレン製造工程で使用される触媒と同様にルイ
ス酸触媒、固体酸触媒が使用できるが、固体酸触媒が好
ましい。また、反応形式等も同様に行うことができる
が、固体酸触媒を用いた固定床流通反応形式で行う場合
のエチレン、エタノ−ル、エチルハライド等のエチル化
剤の添加量としては、反応系全体においてエチルベンゼ
ン類に対し、1/2〜1/20倍モル量、好ましくは1
/4〜1/16倍モル量たなるようにすることが好まし
く、このためにはエチル化剤を多段階に加え、所定のエ
チル基/ベンゼン環モル比となるまで反応することが好
ましい。エチル化剤の添加量が1/2倍モル量より多い
とエチル基の重合が多いため触媒寿命が短くなり、1/
20倍モル量より少ないと目的物の収率が少なくなり工
業的でない。なお、反応形式がバッチ反応の場合や触媒
としてルイス酸を使用する場合は、この限りではない。
【0027】反応温度は、ルイス酸触媒を使用する場合
は30〜130℃程度、固体酸触媒の場合は100〜3
50℃、好ましくは150〜300℃、更に好ましくは
180〜280℃である。反応温度が低すぎると反応速
度が遅く工業的ではないし、高すぎるとエチル基の重
合、分解が多くなる。反応圧力は常圧〜100kg/c
2 、好ましくは10〜50kg/cm2 である。触媒
寿命を考慮して、反応原料及び反応生成物が反応器の中
で液状となるように反応圧を選ぶのが適当である。製造
方法は流通反応形式、バッチ反応形式のいずれでも行う
ことができる。工業的レベルで大量に製造する場合は固
定床の流通反応形式が、少量を製造する場合はバッチ反
応形式が適している。
【0028】本工程で得られた反応混合物は、必要によ
り触媒等を分離したのち、蒸留してポリエチルベンゼン
を分離する。蒸留は、1〜3塔で構成され、連続蒸留形
式、バッチ蒸留形式のいずれでも行うことができる。工
業的レベルで大量に製造する場合は連続蒸留形式が、少
量を製造する場合はバッチ蒸留形式が適している。蒸留
により本工程の反応終了後の混合物を、本工程の反応原
料としてジエチルナフタレン製造工程より受け入れたト
ランスエチル化剤とて使用した後のエチルベンゼン類よ
り低沸点の留分、このエチルベンゼン類に相当する留
分、このエチルベンゼン類よりベンゼン環当たりのエチ
ル基の平均モル数が0.5〜2程度増えたポリエチルベ
ンゼン留分及び重質分等の留分に分離する。このベンゼ
ン環当たりのエチル基の平均モル数が0,5〜2程度増
えたポリエチルベンゼン留分は、エチル基/ベンゼン環
=2.5(モル/モル)以上、好ましくは3.5(モル
/モル)以上、更に好ましくは4.0(モル/モル)以
上となるような化合物又は混合物であり、ジエチルナフ
タレン製造工程のトランスエチル化剤として使用するこ
とができる。また、前記このエチルベンゼン類に相当す
る留分は、再び本工程の反応原料として使用することが
でき、ベンゼン、エチルベンゼン等を含む前記このエチ
ルベンゼン類より低沸点の留分は、再び本工程の反応原
料として使用してもよいし、ベンゼン、エチルベンゼン
等として別途回収してもよい。少量の重質分は廃棄す
る。
【0029】そして、得られたポリエチルベンゼン留分
は、ジエチルナフタレン製造工程ので使用するポリエチ
ルベンゼン原料の少なくとも一部として循環する工程に
よりジエチルナフタレン製造工程に循環する。なお、本
発明においては、このポリエチルベンゼン製造工程及び
この循環工程は必ずしも必要ではないが、この工程を設
けることによりベンゼン環を有する化合物の使用量を最
小にすることができる。
【0030】本発明では、反応混合物分離工程で分離さ
れたジエチルナフタレン以外の成分であって、ナフタレ
ン及びジエチルナフタレン、トリエチルナフタレン等の
ポリエチルナフタレンの少なくとも一部と、2,6−ジ
エチルナフタレン分離工程で分離された2,6−ジエチ
ルナフタレン以外の成分であってジエチルナフタレン異
性体の少なくとも一部を前記エチルナフタレン製造工程
の原料として循環する工程を有する。この循環する成分
は純粋である必要はなく、これらを含む留分で差し支え
ない。また、全量を循環する必要はないが、他に用途が
なければ全量を循環することが好ましく、このように循
環することによりナフタレン環を有する化合物の使用量
を最小にすることができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に
説明する。なお、部は重量部を示す。 実施例1 「ジエチルナフタレン製造工程」攪拌機付きオ−トクレ
−ブに、エチルナフタレン(1−エチルナフタレン:1
0%、2−エチルナフタレン:90%の混合物)を2,
000部、触媒としてH−Y型ゼオライトを2,000
部、及びエチル化剤として1,2,3,4−テトラエチ
ルベンゼンと1,2,3,5−テトラエチルベンゼンの
混合物を8,000部それぞれ仕込み、反応温度130
℃、反応時間3時間の反応条件で反応を行った。触媒に
用いたH−Y型ゼオライトは、アンモニア吸着熱が85
Kジュ−ル/モル以上の酸点を1.40モル/kg持
つ。反応生成物A中の2−エチルナフタレン環転化率、
ジエチルナフタレン収率、ジエチルナフタレン異性体選
択率を表1に示す。
【0032】「反応混合物分離工程」反応終了後、固液
分離により触媒を取り除き、反応生成物A2,100部
を得た。この反応生成物A2,000部を精密蒸留塔を
用いて、留分A(エチルベンゼン及びジエチルベンゼン
を主とする留分)、留分B(トリエチルベンゼンを主と
する留分)、留分C(テトラエチルベンゼンを主とする
留分)、留分D(2−エチルナフタレンを90%以上含
む留分)、留分E(ジエチルナフタレンを主とする留
分)、留分F(トリエチルナフタレン及びテトラエチル
ベンゼンを主とする留分)と留分G(重質分)に分離し
た。沸点範囲及び留出量を表2に示す。留分Eには2,
6−ジエチルナフタレンが65%含まれ、室温(約20
℃)で固体であった。留分Bには少量のナフタレンが含
まれていた。
【0033】留分Bはポリエチルベンゼン製造工程へ、
留分C及び留分Dは再びジエチルナフタレン製造工程
へ、留分Eは2,6−ジエチルナフタレン分離工程へ、
留分Fはエチルナフタレン製造工程へそれぞれ送り、留
分Aと留分Gは本発明の反応系より除外した。
【0034】「2,6−ジエチルナフタレン分離工程」
留分E(ジエチルナフタレンを主とする留分)280部
にエタノ−ル280部を加え、室温で完全に溶解させて
から−7℃まで冷却し、析出した結晶を固液分離、エタ
ノ−ルでリンスした。エタノ−ルを除去した状態に換算
して187部の固体を得、2,6−ジエチルナフタレン
純度は85%であった。この際の濾液からエタノ−ルを
除去し、93部のジエチルナフタレンAを得た。ジエチ
ルナフタレンAには2,6−ジエチルナフタレンが25
%含まれていた。純度85%の2,6−ジエチルナフタ
レン170部をエタノ−ルを溶媒に用いて再結晶するこ
とにより、純度99%の2,6−ジエチルナフタレン1
06部を得た。再結晶濾液よりエタノ−ル除去して得ら
れたジエチルナフタレンには2,6−ジエチルナフタレ
ンが60%含まれており、再び冷却晶析の原料として用
いることができる。
【0035】「エチルナフタレン製造工程」本工程の反
応には、反応混合物分離工程の留分Fを25部、2,6
−ジエチルナフタレン分離工程のジエチルナフタレンA
を93部、及び新たに反応系に加えたナフタレンを95
部からなる混合物を反応原料に用いた。攪拌機付きオ−
トクレ−ブに、反応原料を210部、触媒としてシリカ
アルミナを42部仕込み、反応温度250℃、反応時間
4時間の反応条件で反応を行った。反応原料中のエチル
基/ナフタレン環(モル/モル)の平均値は1.1であ
ったため、エチレン等のエチル化剤は加えなかった。触
媒に用いたシリカアルミナは、アンモニア吸着熱が85
Kジュ−ル/モル以上の酸点を0.35モル/kg持
つ。反応終了後、固液分離により触媒を取り除き、反応
生成物B190部をえた。反応生成物Bの組成及びエチ
ルナフタレン異性体比率を表3に示す。
【0036】反応生成物B190部を精密蒸留塔を用い
て、留分H(ナフタレンを主とする留分)72部、留分
I(2−エチルナフタレンを90%以上含む留分)69
部、留分J(ジエチルナフタレン、トリエチルナフタレ
ン及びテトラエチルベンゼンを主とする留分)45部、
留分K(重質分)4部とに分離した。
【0037】留分Iはジエチルナフタレン製造工程へ、
留分H及び留分Jは再びエチルナフタレン製造工程へそ
れぞれ循環し、留分Kは本発明の反応系より除外した。
【0038】「ポリエチルベンゼン製造工程」反応混合
物分離工程の留分B(トリエチルベンゼンを主とする留
分)を反応原料として用いた。攪拌機付きオ−トクレ−
ブに、留分Bを210部、触媒としてH−Y型ゼオライ
トを42部仕込み、反応温度200℃にてエチレンを連
続的に反応器に供給しエチル化反応を行った。反応時間
は3時間であり、反応原料のトリエチルベンゼン及びナ
フタレンに対し、1/3倍モルのエチレンを供給した。
触媒に用いたH−Y型ゼオライトは、アンモニア吸着熱
が85Kジュ−ル/モル以上の酸点を1.40モル/k
g持つ。反応終了後、固液分離により触媒を取り除き、
反応生成物C210部を得た。反応生成物C中のベンゼ
ン環を持つ化合物の重量割合を表4に示す。
【0039】反応生成物C210部を精密蒸留塔を用い
て、留分L(トリエチルベンゼンを主とする留分)13
7部、留分M(テトラエチルベンゼンを主とする留分)
65部、留分N(重質分)8部に分離した。留分Mはジ
エチルナフタレン製造工程で、留分Lは再びポリエチル
ベンゼン製造工程でそれぞれ使用し、留分Nは本発明の
反応系より除外した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】実施例2 「エチルナフタレン製造工程」攪拌機付オートクレーブ
中にナフタレン150部、ジエチルナフタレン440
部、トリエチルナフタレン120部、テトラエチルナフ
タレン150部及び触媒としてH−Y型ゼオライト15
0部を仕込み、200℃で4時間保持して反応を行っ
た。反応生成物Dの組成を表5及び表6に示す。
【0045】「ジエチルナフタレン製造工程」攪拌機付
オートクレーブ中にエチルナフタレン270部、テトラ
エチルナフタレン1080部及び触媒としてH−Y型ゼ
オライト270部を仕込み、120℃で4時間保持して
反応を行った。反応生成物Eの組成を表5及び表6に示
す。なお、エチルナフタレン中のα−エチルナフタレン
/β−エチルナフタレンの比は13/82であった。
【0046】「2,6−ジエチルナフタレン分離工程」
上記反応生成物A及びBを全量混合し、混合物Cとし
た。この混合物Fの分析結果を表5及び表6に示す。精
密蒸留塔を用いてこの混合物Fを、それぞれナフタレン
主体の留分50部、エチルナフタレン主体の留分270
部、ジエチルナフタレン主体の留分540部、トリエチ
ルナフタレン主体の留分120部、テトラエチルナフタ
レン主体の留分20部、及び、釜残15部に分離した。
上記ジエチルナフタレン主体の留分540部に、エタノ
ール1080部を加え、−6℃まで冷却して固液分離
し、得られた結晶に更にエタノール500部を加えて−
5℃で再結晶、リンスし、純度99%の2,6−ジエチ
ルナフタレン99部を得た。
【0047】本工程でのナフタレン、トリエチルナフタ
レン、テトラエチルナフタレン主体の留分、ジエチルナ
フタレン主体の留分から2,6−ジエチルナフタレンを
単離した残りのジエチルナフタレン主体の留分、及び、
補給としてナフタレン100部を加えたものは、本実施
例の「エチルナフタレン製造工程」の反応原料とおよそ
バランスしている。また、本工程でのエチルナフタレン
主体の留分も本実施例の「ジエチルナフタレン製造工
程」の反応原料とほぼバランスしており、リサイクル可
能なプロセスであることが判明した。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、2,6−ジエチルナフ
タレンを効率よく製造でき、ナフタレン環を有する原料
化合物の使用量を最小にすることができ、工業的に有意
義なものである。
フロントページの続き (72)発明者 狩生 和義 福岡県北九州市小倉北区中井4−10−3 (72)発明者 城下 満 福岡県北九州市八幡西区大字則松867− 272 (56)参考文献 特開 昭61−14737(JP,A) 特開 平1−197449(JP,A) 特開 昭51−6953(JP,A) 特表 平3−500179(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 6/12 C07C 15/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナフタレンとポリエチルナフタレンを反
    応させてエチルナフタレンを製造するエチルナフタレン
    製造工程、エチルナフタレン製造工程で製造されたエチ
    ルナフタレンを含むエチルナフタレンとポリエチルベン
    ゼンをトランスエチル化反応させてジエチルナフタレン
    を製造するジエチルナフタレン製造工程、ジエチルナフ
    タレン製造工程で製造された反応混合物よりジエチルナ
    フタレン等を分離する反応混合物分離工程、反応混合物
    分離工程で分離されたジエチルナフタレンより2,6‐
    ジエチルナフタレンを分離する2,6‐ジエチルナフタ
    レン分離工程、並びに反応混合物分離工程で分離された
    ジエチルナフタレン以外の成分及び2,6‐ジエチルナ
    フタレン分離工程で分離する2,6‐ジエチルナフタレ
    ン以外の成分のうち、ナフタレン及びポリエチルナフタ
    レンをエチルナフタレン製造工程の原料の少なくとも一
    部として循環する工程とを有することを特徴とする2,
    6‐ジエチルナフタレンの製造方法。
  2. 【請求項2】 ジエチルナフタレン製造工程でポリエチ
    ルベンゼンから生成するエチル基の減少したエチルベン
    ゼン類を反応混合物分離工程で分離し、エチルベンゼン
    類をエチル化剤でエチル化してジエチルナフタレン製造
    工程で使用するポリエチルベンゼンとするポリエチルベ
    ンゼン製造工程の原料の少なくとも一部としてこのエチ
    ル基の減少したエチルベンゼン類を循環する工程を有す
    る請求項1記載の2,6‐ジエチルナフタレンの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ナフタレンとポリエチルナフタレンを固
    体酸触媒の存在下に反応温度150〜450℃で反応さ
    せてエチルナフタレンを製造するエチルナフタレン製造
    工程、エチルナフタレン製造工程で製造されたエチルナ
    フタレンを含むエチルナフタレンとエチル基/ベンゼン
    環=2.5(モル比)以上であるポリエチルベンゼンを
    触媒1kg当たり0.5モル以上の酸点を有する固体酸
    触媒の存在下に反応温度70〜300℃でトランスエチ
    ル化反応させてジエチルナフタレン中の2,6‐ジエチ
    ルナフタレンの割合が45重量%以上であるジエチルナ
    フタレンを製造するジエチルナフタレン製造工程、ジエ
    チルナフタレン製造工程で製造された反応混合物よりジ
    エチルナフタレン、エチルベンゼン類等を分離する反応
    混合物分離工程、反応混合物分離工程で分離されたジエ
    チルナフタレンより2,6‐ジエチルナフタレンを分離
    する2,6‐ジエチルナフタレン分離工程、反応混合物
    分離工程で分離されたジエチルナフタレン以外の成分及
    び2,6‐ジエチルナフタレン分離工程で分離する2,
    6‐ジエチルナフタレン以外の成分のうち、ナフタレン
    及びポリエチルナフタレンをエチルナフタレン製造工程
    の原料の少なくとも一部として循環する工程、並びに反
    応混合物分離工程で分離されたエチル基の減少したエチ
    ルベンゼン類を、エチル化剤でエチル化してジエチルナ
    フタレン製造工程で使用するエチル基/ベンゼン環=
    2.5(モル比)以上であるポリエチルベンゼンとする
    ポリエチルベンゼン製造工程とを有することを特徴とす
    る2,6‐ジエチルナフタレンの製造方法。
  4. 【請求項4】 ナフタレンとポリエチルナフタレン
    はポリエチルナフタレン及びポリエチルベンゼンを反応
    させてエチルナフタレンを製造するエチルナフタレン製
    造工程、エチルナフタレンとポリエチルベンゼンをトラ
    ンスエチル化反応させてジエチルナフタレンを製造する
    ジエチルナフタレン製造工程、エチルナフタレン製造工
    程及びジエチルナフタレン製造工程で製造された反応混
    合物よりジエチルナフタレンを分離する反応混合物分離
    工程、反応混合物分離工程で分離されたジエチルナフタ
    レンより2,6‐ジエチルナフタレンを分離する2,6
    ‐ジエチルナフタレン分離工程、反応混合物分離工程で
    分離されたエチルナフタレンの少なくとも一部をジエチ
    ルナフタレン製造工程の原料として循環する工程、並び
    に反応混合物分離工程で分離されたエチルナフタレンと
    ジエチルナフタレン以外の成分及び2,6‐ジエチルナ
    フタレン分離工程で分離する2,6‐ジエチルナフタレ
    ン以外の成分のうち、ナフタレン及びポリエチルナフタ
    レンの少なくとも一部をエチルナフタレン製造工程の原
    料の少なくとも一部として循環する工程とを有すること
    を特徴とする2,6‐ジエチルナフタレンの製造方法。
  5. 【請求項5】 ジエチルナフタレン製造工程でポリエチ
    ルベンゼンから生成するエチル基の減少したエチルベン
    ゼン類を反応混合物分離工程で分離し、エチルベンゼン
    類をエチル化剤でエチル化してジエチルナフタレン製造
    工程で使用するポリエチルベンゼンとするポリエチルベ
    ンゼン製造工程の原料の少なくとも一部としてこのエチ
    ル基の減少したエチルベンゼン類を循環する工程を有す
    る請求項4記載の2,6‐ジエチルナフタレンの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 ナフタレンとポリエチルナフタレン
    はポリエチルナフタレン及びポリエチルベンゼンを固体
    酸触媒の存在下に反応温度150〜450℃で反応させ
    てエチルナフタレン類を製造するエチルナフタレン製造
    工程、エチルナフタレンとエチル基/ベンゼン環=2.
    5(モル比)以上であるポリエチルベンゼンを触媒1k
    g当たり0.5モル以上の酸点を有する固体酸触媒の存
    在下に反応温度70〜300℃でトランスエチル化反応
    させてジエチルナフタレン中の2,6‐ジエチルナフタ
    レンの割合が45重量%以上であるジエチルナフタレン
    を製造するジエチルナフタレン製造工程、エチルナフタ
    レン製造工程及びジエチルナフタレン製造工程で製造さ
    れた反応混合物よりジエチルナフタレン、エチルベンゼ
    ン類等を分離する反応混合物分離工程、反応混合物分離
    工程で分離されたジエチルナフタレンより2,6‐ジエ
    チルナフタレンを分離する2,6‐ジエチルナフタレン
    分離工程、反応混合物分離工程で分離されたエチルナフ
    タレンの少なくとも一部をジエチルナフタレン製造工程
    の原料として循環する工程、反応物分離工程で分離され
    たエチルナフタレンとジエチルナフタレン以外の成分及
    び2,6‐ジエチルナフタレン分離工程で分離された
    2,6‐ジエチルナフタレン以外の成分のうち、ナフタ
    レン及びポリエチルナフタレンの少なくとも一部をエチ
    ルナフタレン製造工程の原料として循環する工程、並び
    に反応混合物分離工程で分離されたエチル基の減少した
    エチルベンゼン類を、エチル化剤でエチル化してジエチ
    ルナフタレン製造工程で使用するエチル基/ベンゼン環
    =2.5(モル比)以上であるポリエチルベンゼンとす
    るポリエチルベンゼン製造工程とを有することを特徴と
    する2,6‐ジエチルナフタレンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8072109B2 (en) 2006-03-16 2011-12-06 Panasonic Corporation Radial anisotropic magnet manufacturing method, permanent magnet motor using radial anisotropic magnet, and iron core-equipped permanent magnet motor
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