JP3126026B2 - 弾性表面波共振子フィルタ - Google Patents

弾性表面波共振子フィルタ

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JP3126026B2
JP3126026B2 JP01343962A JP34396289A JP3126026B2 JP 3126026 B2 JP3126026 B2 JP 3126026B2 JP 01343962 A JP01343962 A JP 01343962A JP 34396289 A JP34396289 A JP 34396289A JP 3126026 B2 JP3126026 B2 JP 3126026B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、圧電基板上に、複数対のすだれ状電極を有
するIDTと、複数本の電極を有し、IDTを挟む一対の反射
器とが形成された弾性表面波共振子フィルタに関する。
[従来の技術] 従来から、圧電基板上に、弾性表面波(SAW=Surface
Acoustic Wave)の伝播方向に沿って、すだれ状電極を
有する入力用IDT(=Interdegital Transducer、インタ
ディジタル変換器)と、すだれ状電極を有する出力用ID
Tとを形成し、これら入力用IDT及び出力用IDTを一対の
反射器で挟んだ弾性表面波共振子フィルタがある。この
弾性表面波共振子フィルタは、低挿入損失で広い比帯域
幅を有する高性能の帯域通過フィルタとして知られてい
る。
正規型IDTを解析的に考察する手法としてモード結合
法と摂動法なるものが知られている。しかし、重み付け
をしたIDTに対する解析手法は今だ確立されていない。
そこで、本願発明者は重み付けをしたIDTを含む従来の
弾性表面波共振子フィルタを計算機シミュレーションを
用いて解析した。
計算機シミュレーションに用いた弾性表面波共振子フ
ィルタの基本的構造を第1図に示す。
第1図に示すように、圧電基板10表面の中央にすだれ
状電極を有する入力用IDT12が形成されている。入力用I
DT12が励起する弾性表面波の伝播方向に沿い相隣接して
出力用IDT14、16が形成されている。これら入力用IDT1
2、出力用IDT14、16を挟んで、ストリップ電極を有する
反射器18、20が形成されている。入力端22には50Ωの終
端インピーダンス24が接続され、出力端26にも50Ωの終
端インピーダンス28が接続されている。入力用IDT12、
出力用IDT14、16、反射器18、20内に定在波が生ずる。
計算機シミュレーションに用いた従来の弾性表面波共
振子フィルタを次のような構成とした。
圧電基板10として45゜回転X板Z伝播四ホウ酸リチウ
ム基板を用いる。
入力用IDT12のすだれ状電極の対数を50対とし、出力
用IDT14、16のすだれ状電極の対数をそれぞれ36対とす
る。これら入力用IDT12、出力用IDT14、16のすだれ状電
極では、電極ストリップの周期を4.45μmとし、電極ス
トリップ自身の幅を約2.2μmとしている。電極ストリ
ップが重なっている長さである開口長を1320μmとす
る。入力用IDT12、出力用IDT14、16への重み付けは直線
的アポタイズ(図示せず)とする。
反射器18、20の電極ストリップの本数を、弾性表面波
を十分反射できる本数である100本とし、電極ストリッ
プの周期を4.5μmとし、電極ストリップ自身の幅を約
2.2μmとしている。
入力用IDT12、出力用IDT14、16、反射器18、20の電極
はアルミニウム膜とし、通過帯域の中心周波数における
弾性表面波の波長に対する膜厚である規格化膜厚は0.01
とする。
このような弾性表面波共振子フィルタにおける挿入損
失の周波数特性を計算機シミュレーションで求めた。第
2図に示すように、弾性表面波共振子フィルタには通過
帯域PBが現れると共に、この通過帯域の高周波側にスプ
リアス信号SPが現れる。
また、この弾性表面波共振子フィルタから反射器18、
20を除いて、入力用IDT12と出力用IDT14、16だけにした
場合における、挿入損失の周波数特性について計算機シ
ミュレーションにより求めた。第3図に示すように、反
射器18、20がない場合にも、通過帯域PBの高周波側にス
プリアス信号SPが現れる。
[発明が解決しようとする課題] このように従来の弾性表面波共振子フィルタにおい
て、本来の通過帯域の高周波側に上述したスプリアス信
号が現れるという問題があった。
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、通過帯
域の高周波側におけるスプリアス信号を低減した弾性表
面波共振子フィルタを提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段及び作用] 本願発明者らは、上述したスプリアス信号の発生原因
を明らかにするため、弾性表面波共振子フィルタの解析
に続き、直線的アポタイズで重み付けがされ、終端イン
ピーダンスが接続された入力用IDT12のみの放射コンダ
クタンスの周波数特性を計算機シミュレーションにより
求めた。
第4図に示すように、放射コンダクタンスのピーク
は、通過帯域PBの中央部分である周波数fr(=381MHz)
と、スプリアス信号SPに一致する高周波側の第1サイド
ローブの周波数fs(=391.6MHz)に存在することが分か
った。
本願発明者は、更にスプリアス信号SPの発生原因を究
明すべく、弾性表面波共振子フィルタにおける定在波を
明らかにするため、弾性表面波共振子フィルタにおける
入力用IDT12と出力用IDT14、16の反射特性と透過特性を
計算した。
第5図に弾性表面波共振子フィルタのIDTの反射特性
を示す。出力用IDT14、入力用IDT12、出力用IDT16に対
して、出力用IDT14の左端から弾性表面波を入力し、出
力用IDT14、入力用IDT12、出力用IDT16のすだれ状電極
により反射してくる弾性表面波を出力用IDT14の左端位
置で測定する。ここで、IDTの左端位置とは、IDTの最も
左側の電極ストリップの中心位置から電極ストリップの
周期の半分(1/2)の長さだけ左側の位置であると定義
される。IDTの右端位置も同様に定義され、IDTの左端位
置及び右端位置を総称して端部位置と定義する。
入力弾性表面波に対する反射弾性表面波の振幅の減衰
及び位相差を計算して、反射振幅及び反射位相とした。
第5図において、実線で反射振幅を示し、破線で反射位
相を示す。380〜389MHzのストップバンドの両側に複数
のサイドローブが波状に現れている。
放射コンダクタンスの周波数特性から求めた周波数fr
(=381.0MHz)における反射位相は±180度であり、周
波数fs(=391.6MHz)における反射位相は0度である。
したがって、周波数frにおける反射弾性表面波の定在波
は第6図(a)に示すようになり、周波数fsにおける反
射弾性表面波の定在波は第6図(b)に示すようにな
る。周波数frでは、電極ストリップ間の中心が節とな
り、電極ストリップ自身の中心が腹となる定在波が発生
するのに対し、周波数fsでは、逆に電極ストリップ自身
の中心が節となり、電極ストリップ間の中心が腹となる
定在波が発生する。
第7図に弾性表面波共振子フィルタのIDTの透過特性
を示す。出力用IDT14、入力用IDT12、出力用IDT16に対
して、出力用IDT14の左端から弾性表面波を入力し、出
力用IDT16の右端に透過してくる弾性表面波を測定す
る。入力弾性表面波に対する透過弾性表面波の振幅の減
衰及び位相差を計算して、透過振幅及び透過位相とし
た。第7図において、実線で透過振幅を示し、破線で透
過位相を示す。380〜389MHzのストップバンドの両側に
複数のサイドローブが波状に現れている。
周波数fr(=381.0MHz)における透過位相は0度であ
り、周波数fs(=391.6MHz)における透過位相は±180
度である。したがって、周波数frにおける透過弾性表面
波の定在波は第8図(a)に示すようになり、周波数fs
における透過弾性表面波の定在波は第8図(b)に示す
ようになる。周波数frでは、電極ストリップ間の中心が
節となり、電極ストリップ自身の中心が腹となる定在波
が発生するのに対し、周波数fsでは、逆に電極ストリッ
プ自身の中心が節となり、電極ストリップ間の中心が腹
となる定在波が発生する。
第6図及び第8図から、出力用IDT14、入力用IDT12、
出力用IDT16において発生する定在波は、出力用IDT14の
左端を原点として、周波数frでは位相が0度、周波数fs
では位相が−90度となることがわかる。
このことから、弾性表面波共振子フィルタにおいてス
プリアス信号SPが発生するのは、出力用IDT14、入力用I
DT12、出力用IDT16において、通過帯域PBの場合と位相
は異なるが、準安定状態の定在波が発生するからである
ということが判明した。したがって、周波数fsにおける
定在波を何らかの手段で低減させれば、スプリアス信号
SPを抑圧することができる。
一方、反射器18、20も複数の電極ストリップが形成さ
れたものであるので定在波が発生する。本願発明者は、
入力用IDT12、出力用IDT14、16による周波数fsにおける
定在波を、反射器18、20による定在波により低減させる
ことを着想し、これら反射器18、20の解析を行った。
反射器18、20による定在波を明らかにするため反射器
18、20の反射特性を解析した。この解析の結果、反射器
18、20の電極ストリップの本数が異なると、発生する定
在波の振幅及び位相が異なるという興味ある結果を得る
ことができた。
この解析結果について、出力用IDT16の右側にある反
射器20を例として説明する。電極ストリップ自身の幅及
び電極ストリップ間の間隔を共に4.5μmとし、規格化
膜厚を0.01とし、電極ストリップが65本、85本、110本
の反射器について計算した。反射器20の左端から入力し
た弾性表面波が反射器の電極ストリップにより反射して
くる弾性表面波を反射器20の左端位置で測定する。ここ
で、反射器の左端位置とは、反射器の最も左側の電極ス
トリップの中心位置から、電極ストリップの周期の半分
(1/2)の長さだけ左側の位置であると定義される。反
射器の右端位置も同様に定義され、反射器の左端位置及
び右端位置を総称して端部位置と定義する。また、入力
弾性表面波に対する反射弾性表面波の振幅の減衰及び位
相差を計算して、反射振幅及び反射位相とした。
第9図に電極ストリップが65本の場合の反射器20によ
る弾性表面波共振子フィルタの反射特性を示す。実線で
反射振幅を示し、破線で反射位相を示す。放射コンダク
タンスの周波数特性から求めた周波数frにおける反射位
相は90度、反射振幅は0dB、周波数fsにおける反射位相
は0度、反射振幅は−7dBである。したがって、各周波
数fr、fsにおける弾性表面波の定在波の位相は、それぞ
れ第10図(a)、(b)に示すようになる。なお、各周
波数fr、fsの定在波の振幅については、図示上同じにし
てあるが、実際には各周波数fr、fsの反射振幅により大
きく異なる。
第11図に電極ストリップが85本の場合の反射器20によ
る弾性表面波の反射特性を示す。実線で反射振幅を示
し、破線で反射位相を示す。周波数frにおける反射位相
は80度、反射振幅は0dB、周波数fsにおける反射位相は
−90度、反射振幅は−37dBである。したがって、各周波
数fr、fsにおける弾性表面波の定在波の位相は、それぞ
れ第12図(a)、(b)に示すようになる。周波数fsに
おける反射振幅は−37dBと極めて低いことに注目された
い。
第13図に電極ストリップが110本の場合の反射器20に
よる弾性表面波の反射特性を示す。実線で反射振幅を示
し、破線で反射位相を示す。周波数frにおける反射位相
は90度、反射振幅は0dB、周波数fsにおける反射位相は
0度、反射振幅は−7dBである。したがって、各周波数f
r、fsにおける弾性表面波の定在波の位相は、それぞれ
第14図(a)、(b)に示すようになる。
このように反射器20の電極ストリップの本数が増加す
るにしたがい、ストップバンドの幅が狭くなると共にサ
イドローブの間隔が狭くなる。したがって、周波数fsの
反射位相及び反射振幅は、本数の増加にしたがって周期
的に変化し、発生する定在波も異なる。しかし、ストッ
プバンドの中央にある周波数frの部分では反射振幅及び
反射位相は電極ストリップの本数が変化してもほとんど
変化せず、発生する定在波も変化しない。
次に、出力用IDT14、入力用IDT12、出力用IDT16で発
生する定在波Sに対して反射器18、20による定在波Tが
どのような影響を及ぼすかについて第15図を用いて説明
する。出力用IDT16と反射器20とが接続距離lが0で接
続されている場合を例として説明する。ここで接続距離
lは、反射器の左端位置とそれに隣接するIDTの右端位
置との距離(又は、反射器の右端位置とそれに隣接する
IDTの左端位置との距離)として定義される。なお、接
続距離lの方向は、反射器とIDTが遠ざかる方向を正と
し近づく方向を負とする。
周波数frでは、電極ストリップが65本、85本、110本
の場合でも反射器20による定在波Tは振幅が0dBで位相
が90度と変わらない。したがって、第15図(a)に示す
ように、反射器20による定在波Tは、入力用IDT12及び
出力用IDT14、16による定在波Sを強める。
周波数fsでは、電極ストリップが65本、110本の場合
は、定在波Tの振幅は−7dBで、位相は0度であり、電
極ストリップが85本の場合は、定在波Tの振幅は−37dB
で、位相は−90度である。したがって、定在波Sに対す
る定在波Tの振幅及び位相は第15図(b1),(b2)に示
すようになる。なお、図示上、同図(b2)の定在波Tの
振幅は同図(a)の定在波Tの振幅の1/2にしてある
が、実際には約30dB相違しているので、同図(b2)の定
在波Tの振幅は同図(a)の定在波Tの振幅の約1/1000
である。
第15図(b1)に示すように、電極ストリップが65本、
110本の場合は、定在波Tの位相が定在波Sの位相と180
度異なるため、定在波Tは定在波Sを抑圧する。これに
対し、第15図(b2)に示すように、電極ストリップが85
本の場合は、定在波Tは、定在波Sと135度しか位相が
異ならず、しかも振幅が極めて小さいため、定在波Tは
定在波Sをほとんど抑圧しない。
したがって、出力用IDT16と反射器20とが接続距離l
が0で接続されている場合には、定在波Tは、電極スト
リップが65本、110本の場合はスプリアス信号を発生さ
せる定在波Sを効率よく抑圧し、電極ストリップが85本
の場合はスプリアス信号を発生させる定在波Sを強め
る。
また、出力用IDT14、16の端部を反射器18、20の端部
にどのように接続するかにより、出力用IDT14、16によ
る定在波Sに対する反射器18、20による定在波Tの影響
が異なる。すなわち、出力用IDT14、16の端部と反射器1
8、20の端部との間の接続距離lが異なると、出力用IDT
14、16における反射器18、20による定在波Tの位相が異
なるからである。
したがって、本発明による弾性表面波共振子フィルタ
は、IDTの端部位置において反射器の反射位相Θが、IDT
の放射コンダクタンスの高周波側の第1サイドローブの
ピーク周波数fsにおいて、θ=−0.3π、θ=0.3π
として、 θ≦Θ≦θ になるように、反射器の電極本数を定めたことを特徴と
している。
上述したことを数式を用いて一般化すると次のように
なる(Oyamada et al,Rev.Electrical Communication L
ab.27(1989),p.432〜444参照)。
反射器の反射係数Γは次式のようになる。
Γ=(2jP sin2φ)/(e0 2−P2e0 -2) ×exp(−2jkf(l+(1/4)L)) ここで、 φ=NL/4{(δs+K11−K12 21/2 e0=exp(jφ) P=[{(δs+K11−K12 21/2 −(δs+K11)]/K12 N:反射器の電極ストリップの本数 L:反射器の周期の2倍の長さ δs=kf−k0(但し、kf=ωs/vf、k0=2π/L、ωsを
前記第1サイドローブのピーク角周波数、vfを自由表面
上での弾性表面波速度) K11を周期摂動による弾性表面波速度の変化を表わす
係数、 K12を周期摂動による弾性表面波速度の反射効果を表
わす係数、 lを前記反射器の端部位置と隣接する前記IDTの端部
位置との距離(接続距離)とする。
上式から反射係数Γの位相Φを計算すると、 arg(Γ)=tan-1[{(l−P2)sin4φ}/{(l+ P2)×(1−cos4φ)}]−2kf(l+(1/4)L)) となる。スプリアス信号を抑圧するには、周波数fs、す
なわち、ωs=2πfsのとき、 θ≦Θ≦θ が成立すればよい。ここで、θ、θは有効な抑圧が
可能な角度である。
これらの式からスプリアス信号を抑圧する電極本数N
は、 N2≦N≦N1 の範囲内となる。ここで、 N1=(2/L)[1/{(δs+K11−K12 21/2] ×{nπ+cot-1[{(1+P2)/(1−P2)}tan (θ+2kf(1+(1/4)L))]}とし、 N2=(2/L)[1/{(δs+K11−K12 21/2] ×{nπ+cot-1[{(1+P2)/(1−P2)}tan (θ+2kf(1+(1/4)L))]} であり、nは整数であり、cot-1の値はラジアン表示で
正の値のみとるものとする。
なお、最も有効にスプリアス信号を抑圧できるのは反
射係数Γの位相Θが0の場合であるが、上式の周期性か
ら電極ストリップの本数を増加していくと周期的に位相
Θ=0の最適値を満たす本数が存在することから、本発
明によれば、いかなる弾性表面波共振子でも有効にスプ
リアス信号を抑圧できる。
[実施例] 本発明の第1の実施例を説明する。
本実施例による弾性表面波共振子フィルタの基本的構
成は、前述した第1図に示した弾性表面波共振子フィル
タと同じである。
45゜回転X板Z伝播四ホウ酸リチウム基板である圧電
基板10表面の中央に入力用IDT12が形成され、入力用IDT
12が励起する弾性表面波の伝播方向に沿い出力用IDT1
4、16が形成されている。反射器18、20は、これら入力
用IDT12、出力用IDT14、16を挟んで形成されている。
入力用IDT12、出力用IDT14、16のすだれ状電極では、
電極ストリップの周期を4.45μmとし、電極ストリップ
自身の幅を約2.2μmとしている。反射器18、20の電極
ストリップは、その周期を4.5μmとし、電極ストリッ
プ自身の幅を約2.2μmとしている。出力用IDT14、16の
端部と反射器18、20の端部の接続距離lは−0.1μmで
ある。すなわち、出力用IDT14、16の端部と反射器18、2
0の端部は0.1μmだけ重なり合っていて、出力用IDT1
4、16の最も外側の電極ストリップの中心と反射器18、2
0の最も内側の電極ストリップの中心との距離は、4.375
μm(=(4.5+4.45)/2+l=4.475−0.1)となる。
Al層である電極ストリップの規格化膜厚は0.0106であ
る。周期摂動による弾性表面波速度の変化を表わす係数
であるK11と、周期摂動による弾性表面波速度の反射効
果を表わす係数であるK12は次式に示すように規格化膜
厚に依存している。
K11=−0.05(h/L)+24.085(h/L) K12=0.0047+0.729(h/L) ここで、hはストリップ電極を形成するAl膜厚、Lは
通過帯域の中心周波数における弾性表面波波長であり、
(h/L)は規格化膜厚である。本実施例ではK11=0.0021
1kf、K12=0.012kfである。
入力用IDT12のすだれ状電極の対数を50対とし、出力
用IDT14、16のすだれ状電極の対数をそれぞれ36対とす
る。
本発明では、反射器18、20の電極ストリップの本数を
変化させてスプリアス信号を抑圧するが、反射係数Γの
位相Θが0になる最適本数を上述の式から求めると、24
本、69本、113本、158本、…となる。しかし、反射器1
8、20の電極ストリップが24本では少なすぎて実用的な
弾性表面波の反射を得ることができない。そこで、本実
施例では、反射器18、20を35本から5本ずつ増やして15
0本までの24個の弾性表面波共振子フィルタを用意し
た。
なお、電極ストリップの形成にあたっては、圧電基板
10である四ホウ酸リチウム基板がAlのエッチング液に溶
解するため、有機溶剤だけを用いてリフトオフ法によ
り、Al膜のパターニングを行って電極ストリップを形成
した。
反射器18、20の電極ストリップの本数を変えた24個の
弾性表面波共振子フィルタについてスプリアス信号のレ
ベル(周波数fsでの挿入損失)を測定した。その結果を
第16図に示す。同図の縦軸は挿入損失の絶対値であり、
大きいほどスプリアス信号が抑圧された望ましい状態で
ある。スプリアス信号のレベルが反射器の電極ストリッ
プ本数が増加するにしたがって周期的に変化し、理論値
である69本、113本、158本近傍で最もスプリアス信号が
抑圧されていることがわかる。
用意した弾性表面波共振子フィルタにおいては、電極
ストリップが65本、110本の場合が最適であり、スプリ
アス信号レベル18.2dBである。約45本を周期として変化
している。電極ストリップが85本の場合が最悪であり、
スプリアス信号レベルは14.7dBである。
反射器18、20の電極ストリップが最適である65本の場
合の挿入損失を第17図に示し、最悪である85本の場合の
挿入損失を第18図に示す。周波数fsにおける挿入損失が
大きくなり、スプリアス信号が有効に抑圧されたことが
わかる。
次に、本発明の第2の実施例を説明する。
本実施例による弾性表面波共振子フィルタの基本的構
成は第1の実施例と同じである。入力用IDT12の電極ス
トリップは48対で、出力用IDT14、16の電極ストリップ
は、それぞれ34対である。入力用IDT12、出力用IDT14、
16の電極ストリップの周期は約6.7μmで、電極ストリ
ップ自身の幅は約3.3μmである。反射器18、20の電極
ストリップの周期は約6.8μmで、電極ストリップ自身
の幅は約3.4μmである。電極ストリップの規格化膜厚
は0.014である。K11は0.00261kf、K12は0.013kfであ
る。電極ストリップが重なっている長さである開口長を
1600μmとする。出力用IDT14、16の端部と反射器18、2
0の端部の接続距離lは−0.6μmである。
本実施例において、反射係数Γの位相Θが0になる最
適本数を上述の式から求めると、24本、59本、94本、12
8本、…となる。しかし、反射器18、20の電極ストリッ
プが24本では少なすぎて実用的な弾性表面波の反射を得
ることができない。そこで、第1の実施例と同様に、反
射器18、20を35本から5本ずつ増やして150本までの24
個の弾性表面波共振子フィルタを用意した。
反射器18、20の電極ストリップの本数を変えた24個の
弾性表面波共振子フィルタについてのスプリアス信号の
レベルの測定結果を第19図に示す。スプリアス信号のレ
ベルが反射器の電極ストリップ本数が増加するにしたが
って周期的に変化し、理論値である59本、94本、128本
近傍で最もスプリアス信号が抑圧されていることがわか
る。このときのスプリアス信号レベルは約19.2dBであ
る。約35本を周期として変化している。なお、最悪の場
合のスプリアス信号レベルは15.2dBである。
ここで、第1の実施例及び第2の実施例について、ス
プリアス信号が有効に抑圧される反射器18、20における
電極ストリップの本数の範囲について考える。
第1の実施例では、第16図から分かるように最適値と
最悪値でスプリアス信号レベルの差は3.5dB以上あり、
第2の実施例では、第19図から分かるように最適値と最
悪値でスプリアス信号レベルの差は4dB以上ある。した
がって、第1の実施例でも第2の実施例では最適値から
スプリアス信号の抑圧が2.5〜3dB程度劣化した場合で
も、十分な効果があったということができる。この基準
を適用すると、第16図から第1の実施例では最適値から
±14本の範囲で有効であり、第19図から第2の実施例で
は±10本の範囲で有効である。この範囲を接続位置にお
ける反射器の反射位相として計算すると、反射器の反射
位相Θが周波数fsにおいて、θ=−0.3π(又は−54
度)、θ=0.3π(又は54度)として、 θ≦Θ≦θ になればよい。
本発明は上記実施例に限らず種々の変形が可能であ
る。
例えば、入力用IDT、出力用IDTの対数、電極ストリッ
プの周期、開口長、反射器の電極ストリップの周期、規
格化膜厚等については上記実施例のものに限らず、いか
なる値の弾性表面波共振子フィルタにも本発明を適用で
きる。
また、例えば第1図に示すような基本構造を1段とし
て、複数段の基本構造を縦続接続して弾性表面波共振子
フィルタを構成してもよい。第20図は第1の実施例にお
いて反射器18、20の電極ストリップの本数が65本の場合
の基本構造を2段縦続接続した場合の挿入損失の周波数
特性を示す。周波数fsでの挿入損失は40dB以上となり、
1段の場合に比較して飛躍的に向上した。2段縦続接続
した弾性表面波共振子フィルタであって、反射器18、20
の電極ストリップの本数が85本の場合(破線)に比べて
もスプリアス信号がより有効に抑圧することができる。
[発明の効果] 以上の通り、本発明によれば、反射器の電極ストリッ
プの本数を選ぶだけで、通過帯域における通過特性を変
化させることなく、高周波側におけるスプリアス信号を
有効に低減することができ、広い帯域に亘ってスプリア
スの少ない良好な通過特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は弾性表面波共振子フィルタの基本的構造を示す
図、 第2図は弾性表面波共振子フィルタの挿入損失特性を示
すグラフ、 第3図は弾性表面波共振子フィルタから反射器を除いた
構造の挿入損失特性を示すグラフ、 第4図は弾性表面波共振子フィルタの入力用IDTの放射
コンダクタンスの周波数特性を示すグラフ、 第5図は弾性表面波共振子フィルタのIDTの反射特性を
示すグラフ、 第6図は弾性表面波共振子フィルタのIDTにおける反射
弾性表面波の定在波を示す図、 第7図は弾性表面波共振子フィルタのIDTの透過特性を
示すグラフ、 第8図は弾性表面波共振子フィルタのIDTにおける透過
弾性表面波の定在波を示す図、 第9図は弾性表面波共振子フィルタの反射器(65本)に
おける反射特性を示すグラフ、 第10図は弾性表面波共振子フィルタの反射器(65本)に
おける反射弾性表面波の定在波を示す図、 第11図は弾性表面波共振子フィルタの反射器(85本)に
おける反射特性を示すグラフ、 第12図は弾性表面波共振子フィルタの反射器(85本)に
おける反射弾性表面波の定在波を示す図、 第13図は弾性表面波共振子フィルタの反射器(110本)
における反射特性を示すグラフ、 第14図は弾性表面波共振子フィルタの反射器(110本)
における反射弾性表面波の定在波を示す図、 第15図は弾性表面波共振子フィルタの反射器による定在
波がIDTによる定在波に及ぼす影響を説明するための
図、 第16図は本発明の第1の実施例の弾性表面波共振子フィ
ルタのスプリアス信号レベルの反射器本数に対する変化
を示すグラフ、 第17図は同弾性表面波共振子フィルタの最適時の挿入損
失特性を示すグラフ、 第18図は同弾性表面波共振子フィルタの最悪時の挿入損
失特性を示すグラフ、 第19図は本発明の第2の実施例の弾性表面波共振子フィ
ルタのスプリアス信号レベルの反射器本数に対する変化
を示すグラフ、 第20図は第1図の基本構造を2段従属接続した弾性表面
波共振子フィルタの挿入損失特性を示すグラフである。 図において、 10……圧電基板 12……入力用IDT 14、16……出力用IDT 18、20……反射器 22……入力端 24……終端インピーダンス 26……出力端 28……終端インピーダンス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 久俊 埼玉県戸田市新曽南3丁目17番35号 日 本鉱業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−155810(JP,A) 特開 平1−231417(JP,A) 日本電信電話公社「研究実用化報告」 第27巻 第8号(1978)166〜1677頁 REVIEW OF THE ELE CTRICAL COMMUNICAT ION LABORATORIES V OLUME27,NUMBER5−6,M AY−JUNE,1979 P432−444“C oupled Mode Analys is of a Long IDT"

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】四ホウ酸リチウム圧電基板上に、複数対の
    すだれ状電極を有するIDTと、複数本の電極を有し、前
    記IDTを挟む一対の反射器とを有する第1の構造と、複
    数対のすだれ状電極を有するIDTと、複数本の電極を有
    し前記IDTを挟む一対の反射器とを有する第2の構造と
    が形成され、前記第1の構造と前記第2の構造とが縦続
    接続された弾性表面波共振子フィルタにおける反射器の
    電極本数の決定方法であって、 所定の通過特性となるように、前記IDTのすだれ状電極
    の電極の規格化膜厚、幅、間隔及び本数を定め、 前記反射器の電極の規格化膜厚、幅及び間隔を定め、 前記反射器の電極本数を、前記IDTの端部位置から見た
    前記反射器の弾性表面波のラジアン表示での反射位相Θ
    が、前記IDTの放射コンダクタンスの高周波側の第1サ
    イドローブのピーク周波数fsにおいて、θ=−0.22
    π、θ=0.22πとして、 θ≦Θ≦θ になるように定める (但し、反射器の端部位置とは反射器の左端位置及び右
    端位置の総称であり、反射器の左端位置とは、反射器の
    最も左側の電極ストリップの中心位置から、電極ストリ
    ップの周期の半分の長さだけ左側の位置であり、反射器
    の右端位置とは、反射器の最も右側の電極ストリップの
    中心位置から、電極ストリップの周期の半分の長さだけ
    右側の位置であり、 但し、IDTの端部位置とはIDTの左端位置及び右端位置の
    総称であり、IDTの左端位置とは、IDTの最も左側の電極
    ストリップの中心位置から、電極ストリップの周期の半
    分の長さだけ左側の位置であり、IDTの右端位置とは、I
    DTの最も右側の電極ストリップの中心位置から、電極ス
    トリップの周期の半分の長さだけ右側の位置であり、) ことを特徴とする弾性表面波共振子フィルタにおける反
    射器の電極本数の決定方法。
  2. 【請求項2】四ホウ酸リチウム圧電基板上に、複数対の
    すだれ状電極を有するIDTと、複数本の電極を有し、前
    記IDTを挟む一対の反射器とが形成された弾性表面波共
    振子フィルタにおける反射器の電極本数の決定方法であ
    って、 所定の通過特性となるように、前記IDTのすだれ状電極
    の電極の規格化膜厚、幅、間隔及び本数を定め、 前記反射器の電極の規格化膜厚、幅及び間隔を定め、 前記反射器の電極本数を、前記IDTの端部位置から見た
    前記反射器の弾性表面波のラジアン表示での反射位相Θ
    が、前記IDTの放射コンダクタンスの高周波側の第1サ
    イドローブのピーク周波数fsにおいて、θ=−0.09
    π、θ=0.09πとして、 θ≦Θ≦θ になるように定める (但し、反射器の端部位置とは反射器の左端位置及び右
    端位置の総称であり、反射器の左端位置とは、反射器の
    最も左側の電極ストリップの中心位置から、電極ストリ
    ップの周期の半分の長さだけ左側の位置であり、反射器
    の右端位置とは、反射器の最も右側の電極ストリップの
    中心位置から、電極ストリップの周期の半分の長さだけ
    右側の位置であり、 但し、IDTの端部位置とはIDTの左端位置及び右端位置の
    総称であり、IDTの左端位置とは、IDTの最も左側の電極
    ストリップの中心位置から、電極ストリップの周期の半
    分の長さだけ左側の位置であり、IDTの右端位置とは、I
    DTの最も右側の電極ストリップの中心位置から、電極ス
    トリップの周期の半分の長さだけ右側の位置であり、) ことを特徴とする弾性表面波共振子フィルタにおける反
    射器の電極本数の決定方法。
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