JP3125492B2 - 圧延機の走間設定変更方法 - Google Patents

圧延機の走間設定変更方法

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JP3125492B2 JP04344890A JP34489092A JP3125492B2 JP 3125492 B2 JP3125492 B2 JP 3125492B2 JP 04344890 A JP04344890 A JP 04344890A JP 34489092 A JP34489092 A JP 34489092A JP 3125492 B2 JP3125492 B2 JP 3125492B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は材質、板厚、板幅等の母
材条件の異なる圧延材を順次溶接にて連結し、連続的に
圧延する過程で、圧延しつつ圧延条件を変更する走間設
定変更制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】母材条件の異なる圧延材を圧延する際の
圧延能率の低下を防止し、また通板時等の省力化を図る
ため、特開昭60-221109 号公報に記載されている如く圧
延機入側で圧延材を順次溶接して連結した状態で圧延機
に通し、圧延しつつ溶接点の通過にタイミングを合わせ
て圧延条件の変更を行う方法が提案されている。
【0003】この方法における圧延条件の変更は、先ず
溶接点前の先行圧延材に対するロールギャップ設定値Sr
1 を(1)式に従って、また後行圧延材に対するロール
ギャップ設定値Sr2 を(2) 式に従って夫々計算する。 Sr1 =h1 −P1 /M …(1) Sr2 =h2 −P2 /M …(2) 但し、h1 ,h2 :目標出側板厚 P1 ,P2 :設定圧延荷重 M :ミル剛性係数
【0004】両ロールギャップ設定値Sr1 ,Sr2 の差で
ある溶接点前後の相対ロールギャップ変更量ΔSrを(3)
式に従って求め、また同じく溶接点前, 後の圧延速度設
定値Vr1 , Vr2 から(4) 式に従って相対速度変更量ΔVr
を求める。 ΔSr=Sr2 −Sr1 …(3) ΔVr=Vr2 −Vr1 …(4)
【0005】次に走間設定変更開始後の各制御タイミン
グk・tc(k=1,2…TD /tc)において、走間設定
変更開始直前の値を基準にしたロールギャップ変動量Δ
S(k・tc)、速度変動量ΔV(k・tc)を求め、(5)
式が成立するようロール駆動モータ制御装置を、また
(6) 式が成立するよう圧下制御装置を夫々制御する。 ΔVr(k・tc)−ΔV(k・tc)=0 …(5) ΔSr(k・tc)−ΔS(k・tc)=0 …(6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところがこのような従
来方法にあっては、圧延荷重についての変更は後行圧延
材に対する圧延荷重予測に基づいて設定しているが、こ
の予測値は実際値とずれることが多く、しかも予測値が
外れた場合には大きな板厚誤差が発生し、歩留りが悪い
という問題があった。
【0007】図8は圧延条件の設定変更前, 後における
ロールギャップ, 板厚と圧延荷重との関係を示すグラフ
であり、横軸にロールギャップSr1 ,Sr2 、入側板厚H
1 ,H2 、出側板厚h1 ,h2 を、また縦軸に圧延荷重
をとって示してある。グラフ中Mはミル剛性係数を、ま
たQ1 は先行圧延材の、Q2 は後行圧延材の塑性曲線
を、更に両者の交点P1 ,P2 は圧延荷重を示してい
る。圧延条件の設定変更前はロールギャップSr1 で入側
板厚H1 の先行圧延材を圧延荷重P1 で圧延し、出側板
厚はh1 であったとする。
【0008】次に後行圧延材の塑性曲線を実線Q2 で示
す値と予測して、入側板厚H2 の後行圧延材をロールギ
ャップSr2 にて目標板厚h2 とすべく圧延したとする
と、実際の塑性曲線が破線Q2 であった場合には圧延荷
重はP2 であるべきところがP 2 ″となり、出側板厚は
2 ′となってしまう。これは例えば出側板厚を目標板
厚h2 に一致させたものとして換算すると圧延荷重にΔ
2 の誤差が生じることとなる。その結果出側板厚は目
標値Δh2 からずれたh2 ′となり、板厚偏差Δh
2 (=h2 ′−h2 )=ΔP2 /(M+Q2 )が生じる
こととなり、この板厚偏差を制御出来ないという問題が
あった。
【0009】一方母材条件の異なる圧延材の溶接点のロ
ール通過時において、この溶接点の前後で板厚,材質等
が大きく変化するため荷重の変動が大きくなるが、この
点に関しては何ら対処されていなかった。本発明はかか
る事情に鑑みなされたものであって、その目的とすると
ころは溶接点前後で圧延荷重の予測が外れた場合でも走
間設定変更終了後の出側板厚偏差を最小限に抑え、更に
溶接点のロール通過時における荷重の変動を最小限に抑
えて板厚精度を向上させることが可能な圧延機の走間設
定変更方法を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る圧延機の走
間設定変更方法は、先行圧延材の後端に後行圧延材の先
端を溶接して圧延機に通し、該圧延機の各スタンドにて
圧延する際に、前記両圧延材間の溶接点が各スタンド
通過する時点の前後に亘って予め定めた変更区間中に、
前記後行圧延材を目標板厚となすべく圧延条件の設定を
変更する圧延機の走間設定変更方法において、前記変更
区間を、前記溶接点の通過時点前後の時間が夫々T D
2となるように定め、先行圧延材に対するロールギャッ
プ設定値Sr1 前記変更区間の始点における圧延荷重予
測値Pr1 及び溶接点通過直前における圧延荷重予測値Pr
11と、後行圧延材に対するロールギャップ設定値Sr2
溶接点通過直後における圧延荷重予測値Pr2 及び前記変
更区間の終点における圧延荷重予測値Pr21とより、前記
Sr2 とSr1 との差である相対ロールギャップ変更量ΔSr
,前記Pr11とPr1 との差である先行圧延材の相対荷重変
動予測量ΔPr1 及び前記Pr21とPr2 との差である後行
延材の相対荷重変動予測量ΔPr2 を求め、前記変更区間
内の全時間T D における各制御タイミングk・tc(k=
1,2,…,D /tc 但し、tc:制御周期)毎のロー
ルギャップ変更量ΔSr(k・tc)を、前記ΔSrを含む
式、ΔSr(k・tc)=ΔSr/TD ・(k・tc)により算
出し、前記変更区間内における各制御タイミングk・tc
(k=1,2,…,T D /tc 但し、tc:制御周期)毎
の荷重変動予測量ΔPr(k・tc)を、前記変更区間の始
点から溶接点通過直前までの制御タイミングk・tc
(k=1,2,…,D /(2・tc)−1)では、前記
ΔPr 1 を含む式、ΔPr(k・tc)=ΔPr1 (T D
2)・(k・tc)により、溶接点通過時における制御タ
イミングk・tc(k=TD /(2・tc))では、前記Pr
1 及びPr 2 を含む式、ΔPr(k・tc)=Pr2 −Pr1
り、溶接点通過直後から前記変更区間の終点までの各
御タイミングk・tc(k=TD /(2・tc)+1, D
/(2・tc)+2,…,D /tc)では、前記Pr 1 ,Pr
2 及びΔPr 2 を含む式、ΔPr(k・tc)=Pr2 −Pr1
ΔPr2 (T D /2)・[{k−TD /(2・tc)}・
tc]により夫々算出し、前記変更区間前の夫々の測定値
を基準としたロールギャップ変動量ΔS(k・tc),荷
重変動量ΔP(k・tc)を、前記制御タイミングk・tc
毎に測定し、算出されたロー ルギャップ変更量ΔSr(k
・tc)及び荷重変動予測量ΔPr(k・tc)と、測定され
たロールギャップ変動量ΔS(k・tc)及び荷重変動量
ΔP(k・tc)と、チューニングパラメータαとを含む
次式が零となるよう圧下装置を制御して、ロールギャッ
プ変動量ΔSを修正することを特徴とする。 {ΔSr(k・tc)−ΔS(k・tc)}+α{ΔPr(k・
tc)−ΔP(k・tc)} 但し、α:0≦α≦1/M 但し、M:ミル剛性係数
【0011】
【作用】本発明方法にあっては、後行圧延材に対するロ
ールギャップ設定値に荷重予測値のもとで圧延したとき
に生じると予測される圧延荷重誤差ΔPr(k・tc)−Δ
P(k・tc)にチューニングパラメータαを乗じた値に
相当する分のロールギャップを補償することでこの補
償分に相当する板厚変動分だけ板厚偏差を低減する。こ
のとき、荷重変動予測量ΔPr(k・tc)を、走間設定
変更区間の始点から溶接点通過直前までの制御タイミン
グk・tc(k=1,2,…,D /(2・tc)−1)
おいては、ΔPr(k・tc)=ΔPr1 (T D /2)
(k・tc)により、溶接点通過時における制御タイミン
グk・tc(k=TD /(2・tc))においては、ΔPr
(k・tc)=Pr2 −Pr1 より、溶接点通過後から前記
変更区間の終点までの制御タイミングk・tc(k=TD
/(2・tc)+1, D /(2・tc)+2,…,D
tc)においては、ΔPr(k・tc)=Pr2 −Pr1 +ΔPr2
(T D /2)・[{k−TD /(2・tc)}・tc]に
より夫々求めるため、先行圧延材のロールギャップ設定
値Sr 1 と後行圧延材に対するロールギャップ設定値Sr 2
との差である相対ロールギャップ変更量ΔSrに対応する
ロールギャップ変化によって生じる圧延荷重変化に対し
ては可変ミル剛性制御が働かず、溶接点通過時における
ロールギャップ変化が滑らかとなり、荷重の変動が最小
限となる。
【0012】
【実施例】以下本発明をその実施例を示す図面に基づき
具体的に説明する。図1は本発明に係る圧延機及びその
制御系を示すブロック図であり、図中#1〜#5は圧延スタ
ンド、11,12 〜15は圧下装置、21,22 〜25は圧下制御装
置、31〜35は圧下位置検出器、41〜45はロードセル等の
荷重検出器、M1 〜M5 は各圧延スタンドのロール駆動
モータ、51〜55は速度制御装置を示している。圧延材1
は母材条件の異なる複数の材料をその先行圧延材の後端
に後行圧延材の先端を溶接して一連に連結した状態で矢
符方向から圧延機に供給され、各スタンド#1〜#5にて圧
延されるようになっている。
【0013】トラッキング装置3は圧延機の入側に配設
した厚み計4の出力を取り込み、先行圧延材と後行圧延
材との溶接点の位置をトラッキングし、各圧延スタンド
#1〜#5を溶接点が通過するタイミングを予測し、これを
演算装置6へ入力するようになっている。
【0014】演算装置6は各スタンド毎の荷重検出器41
〜45から圧延荷重を取り込み、また各圧下位置検出器31
〜35から各スタンド毎の現在の圧下位置を取り込み、先
行圧延材から後行圧延材に対する圧延条件に基づいて、
ロール駆動モータM1 〜M5に対する制御変更量、圧下
装置11,12 〜15に対する制御変更量を夫々演算し、各ス
タンド#1〜#5毎の出側における目標板厚を得べく、トラ
ッキング装置3から取り込んだ溶接点が各圧延スタンド
を通過するタイミングに合わせて圧下制御装置21〜24を
通じて油圧等を利用した各圧下装置11〜15へ制御信号を
出力し、また各ロール駆動モータM1 〜M5 の速度制御
装置51〜55へ速度制御信号を出力するようになってい
る。
【0015】演算装置6による圧延速度変更量,圧下変
更量の制御は具体的に以下の如くに行われる。溶接点の
前、即ち先行圧延材、溶接点の後、即ち後行圧延材夫々
の寸法諸元に基づいてこれらに対するロールギャップ設
定値Sr1 , Sr2 、先行圧延材に対する圧延速度設定値Vr
1 , 後行圧延材に対する圧延速度設定値Vr2 、先行圧延
材の走間設定変更開始点における圧延荷重予測値Pr1 ,
溶接点通過直前における圧延荷重予測値Pr11,溶接点通
過直後における圧延荷重予測値Pr2 ,後行圧延材の走間
設定変更終了点における圧延荷重予測値Pr21を求め、
(7),(8),(9) (10)式に従って相対ロールギャップ変更量
ΔSr、相対速度変更量ΔVr、先行材の走間設定変更時の
相対荷重変動予測量ΔPr1 、後行材の走間設定変更時の
相対荷重変動予測量ΔPr2 を算出する。
【0016】 ΔSr=Sr2 −Sr1 …(7) ΔVr=Vr2 −Vr1 …(8) ΔPr1 =Pr11−Pr1 …(9) ΔPr2 =Pr21−Pr2 …(10)
【0017】また、走間設定変更に要する時間をTD
し、走間設定の変更区間を、溶接点の通過が変更の開始
から時間T D /2が経過した時点で生じ、この時点から
時間T D /2が経過した時点で変更が終了するように定
め、圧延機の制御周期をtcとして、前記変更区間内の
制御タイミングk・tc(k=1,2,…,D /tc)に
おけるロールギャップ変更量ΔSr(k・tc)、速度変更
量ΔVr(k・tc)を下記(11),(12) に従って夫々算出す
る。一方、前記変更区間内での荷重変動予測量ΔPr(k
・tc)を、変更区間の始点から溶接点通過直前までの
御タイミングk・tc(k=1,2,…,D /(2・t
c)−1)においては、下記(13)式に従って算出し、
た溶接点通過時に対応する制御タイミングk・tc(k
D / (2・tc))においては、下記(14)式に従って算
出し、更に溶接点通過直後から変更区間の終点までの
御タイミングk・tc(k=TD /(2・tc)+1,T D
/(2・tc)+2,…,D /tc)においては、下記(1
5)式に従って算出する。
【0018】 ΔSr(k・tc)=ΔSr/TD ・(k・tc) …(11) ΔVr(k・tc)=ΔVr/TD ・(k・tc) …(12)変更区間の始点から溶接点通過直前まで ΔPr(k・tc)=ΔPr1 (T D /2)・(k・tc) (k=1,2,…,D /(2・tc)−1) …(13) 溶接点通過時 ΔPr(k・tc)=Pr2 −Pr1 (k=TD /(2・tc)) …(14) 溶接点通過直後から変更区間の終点まで ΔPr(k・tc)=Pr2 −Pr1 +ΔPr2 (T D /2)
[{k−TD /(2・tc)}・tc] (k=TD /(2・tc)+1,T D /(2・tc)+2,…,D /tc)…(15)ここで、溶接点通過直前における圧延荷重予測値Pr 11
溶接点通過直後における圧延荷重予測値Pr 2 は、次のよ
うに求める。 ミル剛性係数がM、先行圧延材の塑性係数
がQ 1 であるとき、前記変更区間の始点よりも前での夫
々の値を基準とした溶接点通過直前における先行圧延材
の板厚の変化量をΔhr 11 、ロールギャップの変化量をΔ
Sr 11 、圧延荷重の変化量をΔPr 11 とすると、下記のゲー
ジメータ式及び圧延荷重式が成り立つ。 ゲージメータ式 Δhr 11 =ΔSr 11 +ΔPr 11 /M 圧延荷重式 ΔPr 11 =−Q 1 ・Δhr 11 また溶接点通過直前のロールギャップ変化は、前記(11)
式より、 ΔSr 11 =ΔSr/2 であるので、これらの式を整理すると、 ΔPr 11 =−M・Q 1 /{2(M+Q 1 )}・ΔSr となる。従って溶接点通過直前における圧延荷重予測値
Pr 11 は、 Pr 11 =Pr 1 +ΔPr 11 =Pr 1 −M・Q 1 /{2(M+
1 )}・ΔSr により求められる。 同様に、後行圧延材の塑性係数がQ
2 であるとき、前記変更区間の終点よりも後での夫々の
値を基準とした溶接点通過直後における後行圧延材の板
厚、ロールギャップ及び圧延荷重の変化量を、Δhr 2
ΔSr 2 及びΔPr 2 とすると、 ゲージメータ式 Δhr 2 =ΔSr 2 +ΔPr 2 /M 及び圧延荷重式 ΔPr 2 =−Q 2 ・Δhr 2 が成り立ち、前記(11)式より溶接点通過直後のロールギ
ャップ変化は、 ΔSr 2 =−ΔSr/2 であるので、これらを整理して、 ΔPr 2 =M・Q 2 /{2(M−Q 2 )}・ΔSr となる。従って溶接点通過直後における圧延荷重予測値
Pr 2 は、 Pr 2 =Pr 21 +ΔPr 2 =Pr 2 +M・Q 2 /{2(M+
2 )}・ΔSr により求められる。
【0019】次に、前記変更区間中の各制御タイミング
k・tc(k=1,2,…,D /tc)毎のロールギャッ
プ変動量ΔS(k・tc)、速度変動量ΔV(k・tc)、
荷重変動量ΔP(k・tc)を、前記変更区間前のロール
ギャップ、圧延速度、圧延荷重を夫々基準値として測定
する。
【0020】次いで、算出されたロールギャップ変更量
ΔSr(k・tc)と、測定されたロールギャップ変動量Δ
S(k・tc)とからロールギャップ偏差分ΔSr(k・t
c)−ΔS(k・tc)を求め、同様に、算出された速度
変更量ΔVr(k・tc)と、測定された速度変動量ΔV
(k・tc)とから速度偏差分ΔVr(k・tc)−ΔV(k
・tc)を求め、更に算出された荷重変更予測量ΔPr(k
・tc)と測定された荷重変動量ΔP(k・tc)から荷
重変動予測偏差分ΔPr(k・tc)−ΔP(k・tc)を求
める。
【0021】そして速度偏差分ΔVr(k・tc)−ΔV
(k・tc)の値に制御ゲインを乗じてロール駆動モータ
1 〜M5 の制御装置51〜55に印加し、上記速度偏差が
零となるようにロール駆動モータM1 〜M5 を制御す
る。また求めた荷重変動予測偏差分ΔPr(k・tc)−Δ
P(k・tc)にチューニングパラメータα(0≦α≦1
/M)を乗じた値とロールギャップ偏差分ΔSr(k・t
c)−ΔS(k・tc)との和である下記(16)式の値を求
め、 ΔSr(k・tc)−ΔS(k・tc)+α・{ΔPr(k・tc)−ΔP(k・tc)} …(16)
【0022】これに制御ゲインを乗じた値を圧下装置11
〜15の制御装置21〜25に印加し、(16)式の値が零となる
ように圧下装置11〜15を制御する。図2は本発明方法に
おける圧下装置の制御系を示すブロック線図であり、ロ
ールギャップ変更量ΔSr(k・tc)と荷重予測変動量Δ
Pr(k・tc)にチューニングパラメータαを乗じた値と
の和{ΔSr(k・tc)+α・ΔPr(k・tc)}と、荷重
変動量ΔP(k・tc)にチューニングパラメータαを乗
じた値とロールギャップ変動量ΔS(k・tc)との和
{ΔS(k・tc)+α・ΔP(k・tc)}とが等しくな
るように、換言すれば(16)式が零となるように圧下装置
を制御する。
【0023】図3は、本発明方法を用いた場合におい
て、圧延条件の設定変更後におけるロールギャップ及び
板厚と圧延荷重との関係を調べた結果を示すグラフであ
り、横軸にロールギャップ,板厚を、また縦軸に圧延荷
重をとって示してある。なお圧延条件の設定変更前の状
態は、従来の方法を用いた場合の同様の関係を示した前
記図8と実質的に同じとしてある。
【0024】グラフ中Mは圧延機弾性曲線を示し、また
実線Q2 、後行圧延材に対して予想された塑性曲線
、破線Q2 、後行圧延材の実際の塑性曲線を夫々示
している。本発明方法にあっては、ロールギャップ変更
量ΔSr(k・tc)によって変更されたロールギャップSr
2 下において実線により示される圧延機弾性曲線Mを、
荷重予測誤差ΔP2 にチューニングパラメータαを乗じ
たΔP2 ・α分だけロールギャップを補償することによ
、破線により示される弾性曲線に修正して実際の圧延
が行われる。これにより、後行圧延材の実際の塑性曲線
が破線Q2 であった場合においても、図8に示す従来の
方法において圧延荷重がP2 となり、Δh2 だけの板
厚偏差が生ずべきところ、図3に示す本発明方法におい
ては、圧延荷重が<P2 ″>となって板厚偏差がΔ
2 ′だけ縮小され、板厚偏差はΔh2−Δh2 ′とな
る。
【0025】一方溶接点通過の際生じる板厚変動値Δh
は、溶接点通過直前の荷重P11び後行材の荷重P2 より
Δh=(P2 −P11)/(M+Q2 )にて求められる
が、本発明方法では板厚変動予測値Δhr=(Pr2 −Pr
11)・α・M/(M+Q2 )よって圧延を行うため、板
厚変動値Δhと板厚変動予測値Δhrとの差を減少させ
ることができ、溶接点通過の際の板厚変動に起因する圧
延荷重の変動を最小限に抑制できる。
【0026】図4,図5は本発明方法についての、また
図9,図10は従来方法についての表1に示す如き先行圧
延材,後行圧延材の寸法諸元、及び圧延条件での試験結
果を示すグラフであり、横軸に時間を、また縦軸に出側
板厚偏差をとって示してある。更に図6,図7は本発明
方法についての、また図11,図12は従来方法について前
記試験における圧延荷重の変動を示すグラフであり、横
軸に時間を、また縦軸に荷重変動をとって示してある。
【0027】
【表1】
【0028】図4,図5、図9,図10を対比すれば明ら
かな如く、各スタンド毎の出側板厚偏差は従来方法に比
較して本発明方法では大幅に低減されており、最終スタ
ンド出側板厚偏差も従来方法では68μm であったのに対
し、本発明方法では20μm に低減し得た。更に図6,図
7、図11,図12を対比すれば明らかな如く、各スタンド
毎の溶接点通過の際の荷重変動も従来方法に比較して本
発明方法では大幅に低減されており、例えば最終スタン
ドにおける荷重変動は本発明方法では略15%しか変動し
ておらず、圧延荷重の変動が最小限に抑制されている。
【0029】
【発明の効果】以上の如く本発明方法にあっては、先行
圧延材の圧延に続く後行圧延材の圧延に際し、後行圧延
材に対する圧延荷重予測値が実際と相違する場合におい
ても、可変ミル剛性制御を行うことにより、圧延材の溶
接点前後における板厚オフゲージを大幅に低減し得、更
に溶接点通過の際の板厚変動に起因する荷重変動を抑制
し得る、等本発明は優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための圧延機及びその制
御系を示す模式図である。
【図2】図1に示す圧下装置の制御系を示すブロック線
図である。
【図3】本発明方法による制御内容を示す説明図であ
る。
【図4】本発明方法の試験結果を示すグラフである。
【図5】本発明方法の試験結果を示すグラフである。
【図6】本発明方法の試験結果を示すグラフである。
【図7】本発明方法の試験結果を示すグラフである。
【図8】従来方法の制御内容を示す説明図である。
【図9】従来方法の試験結果を示すグラフである。
【図10】従来方法の試験結果を示すグラフである。
【図11】従来方法の試験結果を示すグラフである。
【図12】従来方法の試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
#1〜#5 圧延スタンド 1 圧延材 3 トラッキング装置 6 演算装置 11〜15 圧下装置 21〜25 圧下制御装置 31〜35 圧下位置検出器 41〜45 荷重検出器 51〜55 速度制御装置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先行圧延材の後端に後行圧延材の先端を
    溶接して圧延機に通し、該圧延機の各スタンドにて圧延
    する際に、前記両圧延材間の溶接点が各スタンドを通過
    する時点の前後に亘って予め定めた変更区間中に、前記
    後行圧延材を目標板厚となすべく圧延条件の設定を変更
    する圧延機の走間設定変更方法において、前記変更区間を、前記溶接点の通過時点前後の時間が夫
    々T D /2となるように定め、 先行圧延材に対するロールギャップ設定値Sr1 前記変
    更区間の始点における圧延荷重予測値Pr1 及び溶接点通
    過直前における圧延荷重予測値Pr11と、後行圧延材に対
    するロールギャップ設定値Sr2 ,溶接点通過直後におけ
    る圧延荷重予測値Pr2 及び前記変更区間の終点における
    圧延荷重予測値Pr21とより、前記Sr2 とSr1 との差であ
    る相対ロールギャップ変更量ΔSr ,前記Pr11とPr1 との
    差である先行圧延材の相対荷重変動予測量ΔPr1 及び前
    記Pr21とPr2 との差である後行圧延材の相対荷重変動予
    測量ΔPr2 を求め、前記変更区間内の全時間T D における 各制御タイミング
    k・tc(k=1,2,…,D /tc 但し、tc:制御周
    期)毎のロールギャップ変更量ΔSr(k・tc)を、前記
    ΔSrを含む式、ΔSr(k・tc)=ΔSr/TD ・(k・t
    c)により算出し、 前記変更区間内における各制御タイミングk・tc(k=
    1,2,…,T D /tc但し、tc:制御周期)毎の荷重変
    動予測量ΔPr(k・tc)を、前記変更区間の始点から
    接点通過直前までの制御タイミングk・tc(k=1,
    ,…,D/(2・tc)−1)では、前記ΔPr 1 を含
    む式、ΔPr(k・tc)=ΔPr1 (T D /2)・(k・
    tc)により、溶接点通過時における制御タイミングk・
    tc(k=TD /(2・tc))では、前記Pr 1 及びPr 2
    含む式、ΔPr(k・tc)=Pr2−Pr1 より、溶接点通
    過直後から前記変更区間の終点までの各制御タイミング
    k・tc(k=TD /(2・tc)+1, D /(2・tc)
    +2,…,D /tc)では、前記Pr 1 ,Pr 2 及びΔPr 2
    を含む式、ΔPr(k・tc)=Pr2 −Pr1 +ΔPr2(T
    D /2)・[{k−TD /(2・tc)}・tc]により夫
    々算出し、 前記変更区間前の夫々の測定値を基準とした ロールギャ
    ップ変動量ΔS(k・tc),荷重変動量ΔP(k・tc)
    、前記制御タイミングk・tc毎に測定し、 算出されたロールギャップ変更量ΔSr(k・tc)及び
    重変動予測量ΔPr(k・tc)と、測定されたロールギャ
    ップ変動量ΔS(k・tc)及び荷重変動量ΔP(k・t
    c)と、制御パラメータαとを含む次式が零となるよう
    圧下装置を制御して、ロールギャップ変動量ΔSを修正
    することを特徴とする圧延機の走間設定変更方法。 {ΔSr(k・tc)−ΔS(k・tc)}+α{ΔPr(k・
    tc)−ΔP(k・tc)} 但し、α:0≦α≦1/M 但し、M:ミル剛性係数
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