JP3124487B2 - 炭酸ガス硬化用粘結剤組成物 - Google Patents

炭酸ガス硬化用粘結剤組成物

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化剤として炭酸
ガスで鋳型を造型する際に用いる炭酸ガス硬化用粘結剤
組成物、それを含有する炭酸ガス硬化用鋳型組成物、及
びそれを用いた鋳型造型法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、鋳型を製造する際に使用する粘結剤として、各種の
有機系粘結剤が使用されている。近年、鋳型製造時にお
ける省エネルギー、作業環境、地球環境等の観点から毒
性の低いガス状又はエアロゾル状物質で常温硬化しうる
有機系粘結剤が使用されている。特にこの中でも安全性
に優れた炭酸ガスで硬化しうる有機系粘結剤が注目され
ている。例えば、特公平4-76947 号公報には炭酸ガスで
硬化しうる有機系粘結剤として炭酸ガス硬化用水溶性フ
ェノール樹脂水溶液とホウ酸塩等からなる粘結剤が開示
されている。この有機系粘結剤が炭酸ガスで硬化する理
由は炭酸ガスがアルカリ性の粘結剤水溶液の水分と反応
して炭酸を生成し、この炭酸によって粘結剤水溶液のp
Hが低下し、その結果、ホウ酸塩が炭酸ガス硬化用水溶
性フェノール樹脂と反応し、この樹脂を架橋させるから
であると考えられている。しかし、ここで開示された炭
酸ガス硬化用粘結剤は、実際の複雑な鋳型を造型させる
には粘結剤を混練した鋳物砂(以下、混練砂という)が
鋳型への充填性に優れるものとは言えず、決して満足で
きるものではなかった。
【0003】一方、特開平3-134067号には有機エステル
で硬化する水溶性フェノール樹脂粘結剤を使用した混練
砂の流動性改善方法として脂肪族アルコール、脂肪酸、
脂肪族アミン、脂肪族アミド等の流動促進剤を添加する
ことが開示されているが、炭酸ガスで硬化させる粘結剤
ではなく前述した課題が残されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
粘結剤の欠点を解決すべく、種々研究を行った結果、炭
酸ガス硬化用粘結剤に芳香族又は脂肪族炭化水素、油
脂、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アミン及び脂肪
族アミドの中から選ばれる一種以上を用いることにより
混練砂の充填性が顕著に向上することを見出し、本発明
に到達したのである。
【0005】即ち、本発明はa)炭酸ガス硬化用水溶性フ
ェノール樹脂 100重量部に対して、b)芳香族又は脂肪族
炭化水素、油脂、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族ア
ミン及び脂肪族アミドの中から選ばれる一種以上を 0.1
〜50重量部含有する炭酸ガス硬化用粘結剤組成物、それ
を含有する炭酸ガス硬化用鋳型組成物、及びそれを用い
た鋳型造型法に関する。
【0006】また、本発明は耐火性粒状材料 100重量部
に対して、 a)炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂を 0.1〜10重量
部 b)芳香族又は脂肪族炭化水素、油脂、脂肪族アルコー
ル、脂肪酸、脂肪族アミン及び脂肪族アミドの中から選
ばれる一種以上を0.0001〜5重量部含有する炭酸ガス硬
化用鋳型組成物、及びそれを用いた鋳型造型法に関す
る。
【0007】
【発明の実施の形態】
(アルカリ性水溶性フェノール系樹脂の説明)本発明に
用いられる炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂は通常
水溶液として用いられ、オキシアニオン化合物のホウ酸
化合物類であるホウ砂やホウ酸、もしくはアルミン酸化
合物類であるアルミン酸ソーダ、スズ酸化合物類等をア
ルカリ性水溶性フェノール樹脂に溶解させ所定の割合に
調整しておき、CO2 ガスを硬化剤とする粘結剤組成物に
適用されるものであり、例えば、フェノール類を、大量
のアルカリ性物質の水溶液の中で、アルデヒド類と反応
させることによって得られるフェノール樹脂が挙げられ
る。ここで言うフェノール類とは、フェノール化合物の
中から選ばれる1種以上が好ましく、フェノール化合物
としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、
3,5 −キシレノール、ノボラックフェノール、その他の
置換フェノール等が挙げられる。アルデヒド類として
は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラー
ルアルデヒド及びその混合物等が挙げられる。また、こ
れらに尿素、メラミン、シクロヘキサノン等のホルマリ
ン縮合が可能なモノマーを、水溶性フェノール樹脂の重
量割合が1%以下程度共縮重合させても良いし、脂肪族
アルコールであるメタノール、エタノール、イソプロピ
ルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルプ
ロピルアルコール等の1価アルコール化合物を共縮重合
又は混合しても良く、水溶性高分子のポリアクリル酸塩
やセルロース誘導体高分子あるいはポリビニルアルコー
ル、リグニン誘導体などで反応及び混合添加しても差し
支えない。また、フェノール類は特に限定されるもので
はない。
【0008】アルカリ性水溶性フェノール樹脂は常法に
よりフェノール類とアルデヒド類とをアルカリ金属水酸
化物の存在下、水中で反応させて得られるが、アルカリ
金属水酸化物はフェノール類に対して 0.7〜5.0 倍モル
の範囲が良く、好ましくは 1.0〜4.0 倍モルが良好であ
る。アルカリ金属水酸化物は、反応時にフェノール類に
対して 0.1〜3.0 倍モル存在させて、反応終了後に更に
加えて、フェノール類に対して 0.7〜5.0 倍モル、より
好ましくは 1.0〜4.0 倍モルとしても良い。アルカリ金
属化合物がフェノール類に対して0.7 倍モル未満では硬
化速度と鋳型強度が不充分であり、一方、アルカリ金属
化合物がフェノール類に対して 5.0倍モルを超えるとア
ルカリ性が高くなり過ぎて、作業安全上望ましくない。
これらのアルカリ性水溶性フェノール樹脂の製造の際に
用いられる適当なアルカリ性物質は、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及びこれらの混合
物であるが、水酸化カリウムが最も好ましい。
【0009】アルデヒド類はフェノール類に対して 1.0
〜6.0 倍モルの範囲が良く、好ましくは 1.1〜5.5 倍モ
ルが良好である。アルデヒド類がフェノール類に対して
1.0倍モル未満では前記と同様にオキシアニオン化合物
との相溶性が悪くなり、6.0倍モルを超えると未反応
アルデヒドの残存量が多くなる。本発明の粘結剤組成物
中には、その他添加剤として従来より公知であるシラン
カップリング剤を使用することができる。その具体例と
しては、好ましいものとしてγ−アミノプロピルトリエ
トキシシランやγ−(2−アミノエチル)アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン等が挙げられる。本発明においては、こ
のシランカップリング剤を粘結剤組成物と併用するのが
好ましい。シランカップリング剤の添加量は以下に示す
粘結剤組成物水溶液 100重量部に対して0.01〜10重
量部の範囲が良く、好ましくは 0.1〜2重量部である。
【0010】以上のことから明らかなように、本発明に
係わる炭酸ガス硬化用粘結剤組成物は鋳型を製造する
際、一般的には水溶液の形で用いられる。即ち、アルカ
リ性水溶性フェノール樹脂とオキシアニオン化合物と必
要により用いられるグリコール類等とを含めた固形分
(105 ℃で3時間乾燥後の残渣固形重量%)は25〜90重
量%であり、好ましくは50〜85重量%が良い。固形分が
25重量%未満であると得られる鋳型の強度が低下する傾
向が生じる。逆に、固形分が90重量%を超えると粘結剤
水溶液の粘度が高くなり、鋳物砂と混練した場合、均一
に混練するのが困難となって、混練ムラが生じ易く、得
られる鋳型の強度が低下する。
【0011】上記の水溶性フェノール樹脂の重量平均分
子量は、本発明においては、 500〜6000、好ましくは 8
00〜4000、さらに好ましくは1500〜4000である。樹脂の
重量平均分子量が 500未満であると鋳型強度が低く、60
00を超えると可使時間が劣る傾向がある。
【0012】(オキシアニオン化合物の説明)炭酸ガス
硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液を硬化剤である炭酸
ガスで硬化させて鋳型を造型する場合においてオキシア
ニオン化合物は必要不可欠である。その理由はアルカリ
性水溶性フェノール樹脂中に存在するオキシアニオン化
合物が炭酸ガスを吸収してはじめてアイオノマーを形成
してアルカリ性水溶性フェノール樹脂を高分子化するた
めである。用いられるオキシアニオン化合物は、ホウ酸
(アルカリ性水溶性フェノール樹脂中でホウ酸塩とな
る)、四ホウ酸ナトリウム10水和物(ホウ砂) 、ホウ酸
カリウム10水和物、メタホウ酸ナトリウム、五ホウ酸カ
リウム、五ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩類が好まし
い。かかるホウ酸やホウ酸塩類はアルカリ性水溶性フェ
ノール樹脂水溶液に対して 0.1〜30重量部の範囲が良
く、好ましくは3〜15重量部が良好である。ホウ酸やホ
ウ酸塩類がアルカリ性水溶性フェノール樹脂水溶液に対
して 0.1重量部未満では鋳型の硬化速度及び鋳型強度が
不充分であり、30重量部を超えるとアルカリ性水溶性フ
ェノール樹脂の性状及び水分含量にも関係するが、一般
的に樹脂粘度やオキシアニオン化合物との相溶性が悪化
し、沈澱物が発生する傾向が見受けられる。その他、ア
ルミン酸塩やスズ酸塩等を1種以上用いても良く、例え
ばアルミン酸塩は酸価アルミニウムと塩基性金属酸化物
とから生じる塩であって、具体的にはアルミン酸ナトリ
ウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸リチウム等が挙
げられる。また、スズ酸塩では酸化スズと塩基性金属酸
化物とから生じる塩であって、具体的にはスズ酸ナトリ
ウム、スズ酸カリウム、スズ酸リチウム等が挙げられ
る。
【0013】(グリコール類の説明)また、粘結剤組成
物中には得られる鋳型の強度を向上させる目的で、更に
グリコール類を添加配合させてもよい。ここで、グリコ
ール類とは2個以上の水酸基が2個以上の相異なる炭素
原子に結合している脂肪族又は脂環式化合物をいう。
【0014】グリコール類としては、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチ
ルエーテル、シクロペンタン−1,2 −ジオール、シクロ
ヘキサン−1,2 −ジオール、シクロヘキサン−1,4 −ジ
オール等を用いることができる。
【0015】通常、炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹
脂水溶液にはこのようなグリコール類を配合添加してあ
り、その濃度は1〜30重量%であり、好ましくは5〜20
重量%が良好である。
【0016】(充填性向上剤の説明)本発明に用いられ
る混練砂の充填性向上剤としては脂肪族又は芳香族炭化
水素、油脂、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アミン
及び脂肪族アミドの中から選ばれる1種以上が挙げられ
る。
【0017】これらの化合物の炭化水素基の炭素数は好
ましくはC8〜C31 、さらに好ましくは C12〜C22 であ
り、芳香族又は脂肪族からなる。
【0018】本発明で用いられる充填性向上剤の中で、
脂肪族又は芳香族炭化水素としては充填性パラフィン、
固形パラフィン、オレフィン、鉱物油等が挙げられ、油
脂としては乾性油であるサフラワー油、大豆油、桐油等
が挙げられ、半乾性油であるトウモロコシ油、胡麻油、
綿実油等が挙げられ、不乾性油であるヒマシ油、落花生
油、その他植物脂である菜種油、オリーブ油、椰子油、
パーム油等が挙げられる。また、牛脂、豚油等の動物油
や鰯油等の魚油も挙げられ、蝋類である蜜蝋やカルナバ
蝋等が挙げられる。
【0019】脂肪族アルコールは脂肪族炭化水素基に水
酸基が1個ある化合物であり、具体的には炭化水素基の
炭素数がC8〜C31 のアルコールであり、例えばオクタノ
ール、デカノール、ラウリルアルコール、セチルアルコ
ール、ステアリルアルコール、エイコサノール、メリシ
ルアルコール等の飽和アルコールが挙げられる。また、
ドデセノール、オレイルアルコール、ドコセノール等が
挙げられる。
【0020】また、脂肪酸としてはカプロン酸、カプリ
ル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、リノレン酸、リシノール酸等が挙げられる。
【0021】脂肪族アミンとしてはヘキシルアミン、ド
デシルアミン、セチルアミン、オレイルアミン、ステア
リルアミン、ベヘニルアミン等の一級アミンが挙げら
れ、また、ジヘキシルアミン、ジドデシルアミン、ジセ
チルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、
ジベヘニルアミン等の二級アミンが挙げられ、またトリ
ヘキシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミ
ン、トリオレイルアミン、トリステアリルアミン、トリ
ベヘニルアミン等の三級アミンが挙げられる。また、モ
ノステアリルトリメチルアンモニウムクロライドやジス
テアリルジメチルアンモニウムクロライドやトリステア
リルモノメチルアンモニウムクロライド等の四級アミン
塩が挙げられる。
【0022】脂肪族アミドとしてはヘキシルアミド、ド
デシルアミド、セチルアミド、オレイルアミド、ステア
リルアミド、ベヘニルアミドや炭化水素基の炭素数がC8
〜C31のアルカノールアミド等の一級アミドが挙げられ
る。
【0023】これらの充填性向上剤は炭酸ガス硬化用水
溶性フェノール樹脂水溶液に溶解させて使用しても良い
が、溶解し難いものは予め、前述したグリコール類に溶
解させて、炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液
と二液型の樹脂キットとして使用することが最も好まし
い。その理由はグリコール類に溶解させることにより、
充填性向上剤の選択性が広がり、固体でも充填性向上剤
を溶解させることにより低粘度液体として使用でき、ポ
ンプ等で自動供給する際の定量性が良くなることが挙げ
られる。
【0024】(鋳型造型法の説明)このような炭酸ガス
硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液で鋳型造型する場
合、前述する充填性向上剤を用い、硬化ガスは酸性ガス
である炭酸ガスを通気して鋳型を造型することができ
る。本発明の方法で得られる鋳型を用いてアルミ鋳物の
ような非鉄合金や鋳鋼や鋳鉄鋳物を製造するために鋳型
造型してもよく、特に鋳造に関する用途を限定されるも
のではない。
【0025】前述したように、本発明に用いられる炭酸
ガス硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液は通常、フェノ
ール・アルデヒド樹脂のアルカリ性レゾール樹脂成分と
オキシアニオン化合物及びグリコール類から構成されて
いる。しかし、従来これらからなる成分のみでは混練砂
の充填性を向上させるには限界があったが、前述した充
填性向上剤を使用することにより、充填性の改善がはか
られるものである。
【0026】造型する方法としては、炭酸ガス硬化用水
溶性フェノール樹脂 100重量部に対して充填性向上剤を
0.1〜50重量部、好ましくは1〜10重量部配合すること
が良好である。 0.1重量部未満では充填性向上効果はほ
とんどみられず、50重量部を超えるとガス発生量が多く
なり、鋳物品質が悪くなる。また、炭酸ガス硬化用水溶
性フェノール樹脂水溶液と充填性向上剤をそれぞれ単独
で使用する場合、充填性向上剤は耐火性粒状材料 100重
量部に対して0.0001〜5重量部、好ましくは 0.001〜1
重量部使用し、炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂は
0.1〜10重量部、好ましくは 0.5〜5重量部使用するこ
とが好ましい。このような条件で混練砂として得たもの
を通気孔(ベントホール等)を有するガス鋳型模型に充
填し炭酸ガスを通気し、鋳型を造型することができる。
炭酸ガスの使用量としては、耐火性粒状材料 100重量部
に対し、0.01〜30重量部、好ましくは 0.1〜15重量部を
通気して造型することができる。炭酸ガス硬化用水溶性
フェノール樹脂が耐火性粒状材料 100重量部に対し、
0.1重量部未満の場合は鋳型強度が不充分であり、10重
量部を超えると炭酸ガスの通気性が悪化するばかりか不
経済となる。また、充填性向上剤が0.0001重量部未満の
場合は混練砂の充填性が不充分であり、5重量部を超え
ると熱分解による発生ガスが多くなり、鋳造された鋳物
にガス欠陥が発生し易くなり品質が低下する。また、炭
酸ガスの使用量は耐火性粒状材料 100重量部に対し、0.
01重量部未満であると未硬化となり易く、30重量部を超
えると鋳型造型の生産性が低下する。
【0027】耐火性粒状材料としては石英質を主成分と
する珪砂、クロマイト砂、ジルコニア砂、オリビン砂、
アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂、が挙げられ
る。
【0028】本発明においてはこれらの耐火性粒状材料
は新砂、再生砂或いはこれらの一種以上の混合砂を用い
ることができる。
【0029】なお、造型方法としては、混練砂を充填し
た後、減圧し炭酸ガスで常圧まで置換して鋳型を硬化さ
せるVRH造型法や吸圧造型法である減圧造型法に応用
できるものであり、特に限定されるものではなくその他
の造型法を使用しても構わない。
【0030】
【実施例】以下、実施例をもって本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるもので
はない。なお、混練や造型条件は25℃、60%RHとし
た。
【0031】・樹脂の合成 (合成例1〜8) <炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液の合成例
1〜8>表1に示すような (F)/(P) モル比でアルカリ
化合物(A) とフェノール(P) とを1リットルフラスコに
加え、攪拌し溶解させた。この溶液を70℃に保ちなが
ら、表1に定められる量のアルデヒド化合物を徐々に加
えた。そして、反応溶液中における水溶性フェノール樹
脂水溶液の粘度が25℃で100cpsの粘度に達する時点まで
70℃で反応を続けた。なお、この粘度はB型粘度計を用
いて測定したものである。反応終了後、室温まで冷却し
た後、更にフェノール化合物のモル数に対して1.80倍モ
ルとなるように、50%水酸化カリウム水溶液を加え、グ
リコール類としてトリエチレングリコールを10重量%及
びオキシアニオン化合物として硼砂を5重量%、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシランを 0.5重量%添加配合
し、合成例1〜8の炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹
脂水溶液(水溶性フェノール樹脂は50重量%)を得た。
【0032】(合成例9〜16) <炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液の合成例
9〜16>表1に示すような (F)/(P) モル比でアルカリ
化合物(A) とフェノール(P) とを1リットルフラスコに
加え、攪拌し溶解させた。この溶液を70℃に保ちなが
ら、表1に定められる量のアルデヒド化合物の量を徐々
に加えた。そして反応溶液における水溶性フェノール樹
脂水溶液の粘度が25℃で100cpsの粘度に達する時点まで
70℃で反応を続けた。なお、この粘度はB型粘度計を用
いて測定したものである。反応終了後、室温まで冷却し
た後、更にフェノール化合物のモル数に対して1.80倍モ
ルとなるように、50%水酸化カリウム水溶液を加え、硼
砂を5重量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
を 0.5重量%を添加配合したものと表5に示すグリコー
ル類に充填向上剤をそれぞれ溶解または分散した溶液を
調整し二液型の炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂水
溶液(水溶性フェノール樹脂は50重量%)を得た。
【0033】
【表1】
【0034】〔実施例1〜13及び比較例1〕炭酸ガス硬
化用水溶性フェノール樹脂水溶液の合成例1で得られた
ものに表2に定められる量の充填性向上剤を添加配合し
目的の炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液を得
た。そして、三河R−6号珪砂3kgに、その炭酸ガス硬
化用粘結剤組成物を90gr採りパッチミキサーで1分間混
練して得られた混練砂をブロー造型機のホッパーに入れ
て、約1kgのキャリパー中子を造型し炭酸ガスを30秒間
通気し、硬化したキャリパー中子の重量を測定した。こ
の時の炭酸ガス通気量は50L/分で炭酸ガス圧は2kg/
cm2 であった。また、充填指数は比較例1の鋳型重量を
100とした場合、実施例の中子重量を測定し充填指数を
求めた。即ち、充填指数が高いほど充填性が良好である
ことを示す。
【0035】
【表2】
【0036】〔実施例14〜26及び比較例2〕炭酸ガス硬
化用水溶性フェノール樹脂水溶液の合成例2で得られた
ものに表3に定められる量の充填性向上剤を添加配合し
目的の炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液を得
た。そして、三河R−6号珪砂3kgに、その炭酸ガス硬
化用粘結剤組成物を90gr採りバッチミキサーで1分間混
練して得られた混練砂をブロー造型機のホッパーに入れ
て、約1kgのキャリパー中子を造型し炭酸ガスを30秒間
通気し、硬化したキャリパー中子の重量を測定した。こ
の時の炭酸ガス通気量は50L/分で炭酸ガス圧は2kg/
cm2 であった。また、充填指数は比較例1の鋳型重量を
100 とした場合、実施例の中子重量を測定し充填指数を
求めた。即ち、充填指数が高いほど充填性が良好である
ことを示す。
【0037】
【表3】
【0038】〔実施例27〜40及び比較例3〜8〕炭酸ガ
ス硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液の合成例3〜8で
得られたものに表4に定められる量の充填性向上剤を添
加配合し目的の炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂水
溶液を得た。そして、三河R−6号珪砂3kgに、その炭
酸ガス硬化用粘結剤組成物を90gr採りパッチミキサーで
1分間混練して得られた混練砂をブロー造型機のホッパ
ーに入れて、約1kgのキャリパー中子を造型し炭酸ガス
を30秒間通気し、硬化したキャリパー中子の重量を測定
した。この時の炭酸ガス通気量は50L/分で炭酸ガス圧
は2kg/cm2 であった。また、充填指数は比較例1の鋳
型重量を 100とした場合、実施例の中子重量を測定し充
填指数を求めた。即ち、充填指数が高いほど充填性が良
好であることを示す。
【0039】
【表4】
【0040】〔実施例41〜55及び比較例9〜16〕炭酸ガ
ス硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液の合成例9〜16に
示すように、グリコール類に充填性向上剤を溶解または
分散したものと水溶性フェノール樹脂水溶液の二液型炭
酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂水溶液を得た。そし
て、三河R−6号珪砂3kgに、表5に示すグリコール類
に充填性向上剤を溶解または分散したものを10gr、水溶
性フェノール樹脂水溶液を80gr採り、バッチミキサーで
1分間混練して得られた混練砂をブロー造型機のホッパ
ーに入れて、約1kgのキャリパー中子を造型し炭酸ガス
を30秒間通気し、硬化したキャリパー中子の重量を測定
した。この時の炭酸ガス通気量は50L/分で炭酸ガス圧
は2kg/cm2 であった。また、充填指数は比較例1の鋳
型重量を 100とした場合、実施例の中子重量を測定し充
填指数を求めた。即ち、充填指数が高いほど充填性が良
好であることを示す。
【0041】
【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22C 1/22

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂
    100重量部に対して、b)芳香族又は脂肪族炭化水素、油
    脂、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アミン及び脂肪
    族アミドの中から選ばれる一種以上を 0.1〜50重量部含
    有する炭酸ガス硬化用粘結剤組成物。
  2. 【請求項2】 b)芳香族又は脂肪族炭化水素、油脂、脂
    肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アミン及び脂肪族アミ
    ドの炭化水素基の炭素数がC8〜C31 である請求項1記載
    の炭酸ガス硬化用粘結剤組成物。
  3. 【請求項3】 耐火性粒状材料 100重量部に対して、請
    求項1又は2記載の炭酸ガス硬化用粘結剤組成物を 0.1
    〜15重量部含有する炭酸ガス硬化用鋳型組成物。
  4. 【請求項4】 耐火性粒状材料 100重量部に対して、請
    求項1又は2記載の炭酸ガス硬化用粘結剤組成物 0.1〜
    50重量部を用いて得られた混練砂に、炭酸ガス0.01〜30
    重量部を通気して硬化することを特徴とする鋳型造型
    法。
  5. 【請求項5】 耐火性粒状材料 100重量部に対して、 a)炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂を 0.1〜10重量
    部 b)芳香族又は脂肪族炭化水素、油脂、脂肪族アルコー
    ル、脂肪酸、脂肪族アミン及び脂肪族アミドの中から選
    ばれる一種以上を0.0001〜5重量部含有する炭酸ガス硬
    化用鋳型組成物。
  6. 【請求項6】 b)芳香族又は脂肪族炭化水素、油脂、脂
    肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アミン及び脂肪族アミ
    ドの炭化水素基の炭素数がC8〜C31 である請求項5記載
    の炭酸ガス硬化用鋳型組成物。
  7. 【請求項7】 耐火性粒状材料 100重量部に対して、 a)炭酸ガス硬化用水溶性フェノール樹脂を 0.1〜10重量
    部 b)芳香族又は脂肪族炭化水素、油脂、脂肪族アルコー
    ル、脂肪酸、脂肪族アミン及び脂肪族アミドの中から選
    ばれる一種以上を0.0001〜5重量部用いて得られた混練
    砂に、炭酸ガス0.01〜30重量部を通気して硬化すること
    を特徴とする鋳型造型法。
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