JP3124481B2 - 型鋼の架設解体機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、地下鉄工事やビル
の地下階の工事等の地下工事を行う際に、壁状に埋設さ
れる矢板等の土留用の杭の膨らみや崩壊を防止するため
に、掘削された地下空間に架設して杭を支持する型鋼の
架設、解体を行う架設解体機に関する。

【０００２】

【従来の技術】地下鉄工事あるいはビルの基礎や地下階
を構築する際の土留施工を図１３により説明する。掘削
する領域の周囲に予め矢板等の土留用の壁面を構成する
杭１や、杭１で囲まれた部分に点在させる支柱３を埋設
しておき、杭１で囲まれた部分を掘削機（図示せず）に
より掘削する。一方、杭１により支持された壁の崩壊を
次のようにして防止する。杭１にＨ型鋼等の型鋼２ａの
側面を当てて固定することにより、杭１の土圧による膨
らみを防止する。また、支柱３、３の間や支柱３と杭１
との間に型鋼２ｂを架設する。このとき、型鋼２ａ，２
ｂどうしを相互に結合して型鋼２ａ，２ｂを格子状に組
み、型鋼２ａで杭１を突っ張ることにより、杭１の倒れ
を防止する。

【０００３】型鋼２の架設施工の手順は次のとおりであ
る。杭１や支柱３に上下方向に間隔を持たせて受部材４
をボルト、ナットにより固定しておく。地上のクレーン
１２により地下空間５の底面６に型鋼２を吊り込む。底
面６上を走行する架設解体機７により型鋼２ａを把持し
て受部材４に載せ、ボルト、ナットによりその型鋼２ａ
を固定する。また、杭１による土留が不要になると、型
鋼２ａ，２ｂを解体し、地上に取り出す。このような型
鋼の架設、解体を行う従来の架設解体機７は、油圧ショ
ベル８のアーム９の先端に把持装置１０を取付けたもの
である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】したがって、従来の架
設解体機７の把持装置１０による型鋼の上下、前後位置
調節は、ブーム１１、アーム９を回転させて把持装置１
０を円弧状に動かすか、アーム９の先端に把持装置１０
を連結するための取付部の関節部を中心として把持装置
１０を円弧状に動かすことにより行なわれる。そのた
め、型鋼２ａを受部材４に載せる場合、あるいは解体時
に取外す場合、把持装置１０（すなわち型鋼２ａ）の上
下方向、前後方向の位置決めや、把持装置１０の型鋼か
らの退避あるいは掴みのための操作が容易ではない。し
たがって、型鋼２ａを受部材４上に載せる作業や、載せ
た後に把持装置１０を型鋼２ａから解放して退避させる
作業等は、油圧ショベル８の本体を走行させて把持装置
１０を水平移動させざるを得ない。しかし走行による場
合には、底面６の凹凸によって把持装置１０の高さや傾
きが走行に伴って変化し、型鋼２ａを受部材４に載せる
かあるいは退避させるには、走行と同時にフロント（ブ
ーム１１、アーム８、把持装置１０）の制御も行う必要
があり、型鋼２ａの位置決め精度が悪く、操作に熟練を
要し、運転者に多大の労苦を強いるという問題点があっ
た。

【０００５】また、従来の架設解体機は、ブーム１１の
先端にアーム９を上下回動自在に取付けた油圧ショベル
８の先端に把持装置１０を取付けたものであるから、油
圧ショベル８の上部旋回体の旋回中心から把持装置１０
の先端までの作業半径が長く、支柱３等に囲まれた障害
物の多い狭隘な地下空間５で旋回、走行を行うことが困
難である上、ブーム１１とアーム９との関節部が把持装
置１０よりも高くなるため、把持装置１０を油圧ショベ
ルの本体に近づける動作を行う場合、２点鎖線で示すよ
うに、アーム９の基端が架設解体機７の真上の型鋼２ｂ
に衝突しやすく、このため、フロント操作も困難であ
り、作業能率が悪いという問題点があった。

【０００６】本発明は、障害物の多い狭隘な地下空間に
おいて、走行、旋回、フロント操作による把持装置の位
置や姿勢の制御が容易となり、型鋼の架設、解体の作業
能率を向上させることができる土留用杭を支持する型鋼
の架設解体機を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】一実施例である図１に対
応づけて本発明を説明すると、請求項１による型鋼の架
設解体機は、自走する下部走行体２０と、この下部走行
体２０に対して旋回する上部旋回体２２と、上部旋回体
２２に対して上下に伸縮可能に立設されたマスト２５
と、マスト２５に俯仰可能に設けられ、上部旋回体２２
の前方に伸縮する伸縮アーム３０と、伸縮アーム３０に
収容されて伸縮アーム３０を伸縮させる伸縮シリンダ３
３と、伸縮アーム３０の先端に設置されて型鋼を把持す
る把持装置３４と、伸縮アーム３０内に収容されて把持
装置３４を上下に首振りさせる上下首振りシリンダ４１
とを具備することにより、上述した目的を達成する。

【０００８】請求項２による型鋼の架設解体機は、自走
する下部走行体２０と、この下部走行体２０に対して旋
回する上部旋回体２２と、上部旋回体２２に対して上下
に伸縮可能に立設されたマスト２５と、マスト２５に俯
仰可能に設けられ、上部旋回体２２の前方に伸縮する伸
縮アーム３０と、伸縮アーム３０を伸縮させる伸縮シリ
ンダ３３と、伸縮アーム３０の先端に設置されて型鋼を
把持する把持装置３４とを備え、マスト２５および伸縮
アーム３０の最低地上高を運転席２３ｃの屋根の地上高
と同等もしくは低くなるように構成することにより、上
記目的を達成する。

【０００９】上下首振り油圧シリンダ４１をリンク機構
７５を介して把持装置３４に連結することもできる。

【００１０】以上では、本発明の説明を容易にするため
に実施の形態の図と参照符号を使用したが、これにより
本発明が実施の形態に限定されるものではない。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１〜図７は本発明による架設解
体機の一実施の形態を示す図である。この架設解体機
は、油圧ショベルをベースマシンとするものであり、図
１および図２に示すように、油圧ショベル本体２３は、
下部走行体２０上に旋回装置２１を介して上部旋回体２
２を設置することにより構成される。２４は上部旋回体
２２に固定設置されたブラケットであり、油圧ショベル
として使用する場合においてはブームとブームシリンダ
がピンにより連結されるが、本実施例においては、ブラ
ケット２４のピン穴を利用して、ピン２６、２７によっ
て、マスト２５をブームやブームシリンダと交換可能に
取付けている。

【００１２】図３によく示すように、マスト２５は、ピ
ン２６、２７によりブラケット２４に取付けられた内筒
２５ａと、内筒２５ａに摺動自在に嵌合された外筒２５
ｂと、内筒２５ａに内蔵され、シリンダチューブ下端を
内筒２５ａにピン付けし、ピストンロッド上端を外筒２
５ｂにピン付けしたマスト伸縮用油圧シリンダ２５ｃと
により伸縮式に構成したものである。

【００１３】図３に示すように、内外筒の円滑な摺動を
行わせるために、例えば内筒２５ａの頂部の前面と背
面、外筒２５ｂの下部の前部内面、後部内面にそれぞれ
硬質ナイロン等でなるスライドプレート７０、７１、７
２、７３を取付けるが、この場合、伸縮アーム３０や把
持装置３４および型鋼２ａの荷重は、スライドプレート
７１、７２の部分で矢印Ｆ１、Ｆ２で示すように内筒２
５ａを曲げる力として作用する。この場合、外筒２５ｂ
の下部の切り口２５Ｕを後部が上った傾斜面とすること
により、これらの上下間隔ｈを大きくとることができ、
大きな荷重を支持することが可能となり、強度が増加す
ると共に、俯仰シリンダ２９のストロークを大きくとる
ことができるから、伸縮アーム３０の俯仰角を大きくと
ることが可能となり、しかも斜めにカットした分だけ軽
量化できる。

【００１４】マスト２５の頂部には、俯仰用油圧シリン
ダ２９によりピン２８ａを中心として俯仰自在に伸縮ア
ーム３０を取付けている。より詳しくは、伸縮アーム３
０は外筒２５ｂの上部にピン２８ａにより取付けられ、
俯仰シリンダ２９のチューブ端は外筒２５ｂの下部にピ
ン２８ｂで取付けられる。伸縮アーム３０は、マスト２
５にピン２８ａにより連結した外筒３２と、この外筒３
２に摺動自在に嵌合した内筒３１と、これらに内蔵した
伸縮用油圧シリンダ３３とからなる。伸縮用油圧シリン
ダ３３の基端は外筒３２に、ピストンロッドは内筒３１
にそれぞれ接続されている。伸縮アーム３０のストロー
クは型鋼を把持した状態から型鋼を離すことができる移
動量、すなわち型鋼の幅より大きく設定する。

【００１５】また伸縮アーム３０の内筒３１には後述す
る上下首振り用油圧シリンダ４１が収容され、図４〜図
６に示すようにその基端が内筒３１に連結され、ピスト
ンロッドは後述するリンク７５に接続されている。

【００１６】図４〜図６に示すように、内筒３１の後端
部の上下面と左右面にはそれぞれ硬質ナイロン等でなる
スライドプレート８０、８１、８２、８３が取り付けら
れ、外筒３２の先端部の上下内周面と左右内周面には、
それぞれ硬質ナイロン等でなるスライドプレート８４、
８５、８６、８７が取り付けられ、内筒３１が外筒３２
に対して滑らかに摺動するようにしている。また、内筒
３１の側壁内周面には、伸縮時の反力を受けるリブ８８
と、首振り時の反力を受けるリブ８９がそれぞれ設けら
れている。さらに、内筒３１の後端には図示のような切
り欠き９０が形成されている。この切り欠き９０は、内
筒３１を収縮したときに伸縮用油圧シリンダ３３の油圧
マニホルド３３ａを避けるために形成される。マニホル
ド３３ａは、伸縮用油圧シリンダ３３の圧油給排用配管
３３ｂ、３３ｃ、３３ｄをそれぞれ共通に接続するもの
である。

【００１７】図１および図２に示すように、伸縮アーム
３０の先端、すなわち内筒３１の先端には、把持装置３
４が、上下首振り装置３５、左右首振り装置３６および
旋回装置３７を介して取付けられている。上下首振り装
置３５は、伸縮アーム３０の内筒３１の先端に取付けた
ブラケット３８と、このブラケット３８にピン３９を中
心として上下動自在に取付けたブラケット４０と、ブラ
ケット３８および４０に連結されたリンク機構７５と、
リンク機構７５と内筒３１との間に取付けた上下首振り
用油圧シリンダ４１とからなる。

【００１８】左右首振り装置３６は、図１、図２および
図７に示すように、ブラケット４０にピン４２を中心と
して左右に揺動自在に取付けたブラケット４３と、これ
らのブラケット４０、４３の左右に取付けた一対の左右
揺動用油圧シリンダ４４、４５とにより構成され、左右
揺動シリンダ４４、４５の一方を伸長させると同時に他
方を収縮させることにより、ブラケット４３を左右に揺
動させるものである。

【００１９】旋回装置３７は、図７に示すように、左右
首振り装置３６のブラケット４３に取付けた外輪４６
と、この外輪４６の内周に旋回自在に取付けられるとと
もに内歯歯車を有する内輪４７と、ブラケット４３に取
付けた旋回用油圧モータ４８と、この旋回モータ４８の
出力軸に取付けられ、内輪４７の内歯歯車と噛合するピ
ニオン４９と、この内輪４７に固定された旋回フレーム
５０とからなる。

【００２０】把持装置３４は、図１および図７に示すよ
うに、旋回フレーム５０の両側に固定して取付けた側板
５１と、各側板５１の下部にそれぞれ取付けた固定爪５
２と、平行リンク機構５３を介して各側板５１の頂部に
取付けられた可動爪５４と、可動爪５４の開閉用油圧シ
リンダ６２とにより構成される。平行リンク機構５３
は、各側板５１にそれぞれピン５５、５６により回動自
在に取付けられたリンク５７、５８と、各リンク５７、
５８の先端にピン５９、６０により回動自在に連結さ
れ、可動爪５４と一体をなすブラケット６１とからな
り、ピン５５、５６、５９、６０を結ぶ線が平行四辺形
を形成する。そして、開閉用油圧シリンダ６２は、リン
ク５７の後方への延出部と旋回フレーム５０との間に設
けられる。

【００２１】この架設解体機を使用して型鋼の架設を行
う手順について説明する。図１３に示した地上のクレー
ン１２により地下空間５の底面６に吊り降ろされた型鋼
を把持するため、架設解体機を走行、旋回させる。型鋼
の把持は、次のようにして行うことができる。マスト２
５の伸縮を利用しない場合には、マスト２５を収縮した
状態で図８に２点鎖線で示すように俯仰シリンダ２９に
より伸縮アーム３０を斜めに持上げ、上下揺動シリンダ
４１を縮めて把持装置３４を下向きとし、かつ開閉シリ
ンダ６２を収縮させて可動爪５４を開いた状態にする。
さらに、旋回モータ４８により爪５２、５４の向きを型
鋼２ａの向きに合わせ、俯仰シリンダ２９を収縮させる
ことにより、型鋼２ａの中心部を固定爪５２と可動爪５
４との間に挟み、開閉シリンダ６２を伸長させて型鋼２
ａを爪５２、５４間で掴む。次に俯仰シリンダ２９を伸
長させ、上下揺動シリンダ４１を伸長して型鋼２ａを持
ち上げる。

【００２２】マスト２５の伸縮を利用する場合には、図
９に２点鎖線で示すようにマスト２５を伸張した状態で
俯仰シリンダ２９と上下揺動シリンダ４１を調節して把
持装置３４を下向きとし、かつ、開閉シリンダ６２を収
縮させて可動爪５４を開く。さらに、旋回モータ４８に
より爪５２、５４の向きを型鋼２ａの向きに合わせ、マ
スト伸縮シリンダ２５ｃを収縮させることにより、型鋼
２ａの中心部を固定爪５２と可動爪５４との間に挟み、
開閉シリンダ６２を伸長させて型鋼２ａを爪５２、５４
間で掴む。

【００２３】次にマスト伸縮シリンダ２５ｃを伸長して
型鋼２ａを地上から地切りし、上下揺動シリンダ４１を
伸長して型鋼２ａを適宜の位置まで持ち上げる。把持装
置３４で型鋼を把持した状態を図１０の斜視図に示す。
さらに架設すべき位置まで走行し、型鋼２ａの高さ、前
後、左右の位置がおおよそ受部材４上に位置し、かつ既
設の型鋼２ａに隣接できる位置になるように、旋回装置
２１、首振り装置３５、３６あるいは伸縮シリンダ２５
ｃを作動させ、伸縮シリンダ３３を伸長させて図１に示
すように受部材４上に型鋼２ａを載せる。

【００２４】図１１の平面図は、杭１に沿って型鋼２ａ
を当てて設ける例を示している。この例のように、伸縮
アーム３０の向きと杭１の配列方向とのなす角度に合わ
せて、左右振動シリンダ４４、４５の一方を伸長させる
と同時に、他方を収縮させることにより、伸縮アーム３
０に対する把持装置３４の向き、すなわち型鋼２ａの角
度を調整する。また、旋回装置３７の旋回モータ４８に
より型鋼２ａを水平にした上で、伸縮アーム３０を伸長
させて複数の受部材４上に型鋼２ａを位置させる。次い
で俯仰シリンダ２９あるいはマスト伸縮シリンダ２５ｃ
を収縮させて伸縮アーム３０の先端を若干下げることに
より、型鋼２ａを受部材４上に載せる。型鋼２ａを受部
材４に載せた後は、把持装置３４の可動爪５４を開閉シ
リンダ６２の収縮により開き、続いて伸縮アーム３０を
収縮させる。これにより、本体の走行を行うことなく把
持装置３４を型鋼２ａから退避させることができる。型
鋼２ａは受部材４にボルト、ナットにより固定する。

【００２５】型鋼２ａを解体する場合の手順は次のとお
りである。把持装置３４の可動爪５４を開いた状態で把
持装置３４を型鋼２ａの中心部に向け、伸縮アーム３０
を伸長させて把持装置３４により型鋼２ａを爪５２、５
４間に位置させる。開閉シリンダ６２を伸長させて型鋼
２ａを爪５２、５４で把持した上で、杭１や支柱３の受
部材４に型鋼２ａを固定していたボルト、ナットの締結
を解く。その後、俯仰シリンダ２９あるいはマスト伸縮
シリンダ２５ｃを若干伸長させて型鋼２ａを持ち上げ、
伸縮シリンダ３３を収縮させて伸縮アーム３０を縮め、
所定の箇所まで走行、旋回して上下揺動シリンダ４１を
縮めて把持装置３４を下向きにし、俯仰シリンダ２９を
縮めて型鋼２ａを底面６に降ろす。

【００２６】伸縮アーム３０の内筒３１を収縮すると
き、マニホルド３３ａは切り欠き９０に収容される。こ
のような切り欠き９０の利点は次のとおりである。切り
欠き９０を設けない場合には、マニホルド３３ａが内筒
３１の後端と干渉しないように後端面の位置が図４の符
号９０ａとなり、切り欠き９０を設けると図４の符号９
０ｂの位置となる。内筒３１の後端部の上下面にはスラ
イドプレート８０、８１が、外筒３２の先端部の上下内
周面にはスライドプレート８４、８５が設けられて伸縮
アーム３０の伸縮動作を円滑にしている。スライドプレ
ート８０と８５の間隔が長いほど内筒３２および外筒３
１の強度には有利となるから、切り欠き９０の設けると
スライドプレート８０と８５との間の間隔を広げること
ができる。

【００２７】上述した実施の形態においては、伸縮アー
ム３０の伸縮量は、少なくとも、型鋼２ａの把持、解放
が行える程度の長さを有すればよいため、マスト２５、
伸縮アーム３０、首振り装置３５、３６、旋回装置３
７、把持装置３４からなるフロントの長さ、厳密には上
部旋回体２２の前方に突出する長さを従来のフロントに
比べて短くでき、さらに、伸縮シリンダ３３を収縮させ
て伸縮アーム３０を縮めた状態ではさらに短くなるた
め、架設解体機の安定性が向上すると共に、支柱３等に
邪魔されることなく、容易に走行、旋回を行うことがで
きる。

【００２８】また、作業半径が短いのでより重い型鋼を
扱うことができる。さらに、図１３に示した油圧ショベ
ルのフロント使用のものにおいては、ブーム１１とアー
ム９との関節部が把持装置１０よりも高くなるが、伸縮
アーム３０を水平にした状態では、把持装置３４の高さ
と伸縮アーム３０の高さがほとんど同じであり、把持装
置の到達高さを同じ程度にした場合のフロントの高さを
従来より低くすることができ、架設解体機の上にある型
鋼２ａに伸縮アーム３０が衝突する心配もない。さらに
また、本発明においては、フロントの長さが短くなると
言えども、伸縮アーム３０を斜めに持ち上げた状態にお
いては、把持装置３４の方が伸縮アーム３０より高くな
るため、把持装置３４が到達しうる高さが従来のものよ
り低くなることはない。その上、マスト２５を伸縮式に
しているからより高い位置で作業できる。

【００２９】また、受部材４に対して型鋼２ａを載置あ
るいは離脱させたり、把持装置１０で型鋼２ａを挟んだ
り、把持装置１０を退避させる場合、伸縮アーム３０の
伸長、収縮という直線的で簡単な動作でこれらを行うこ
とができ、走行や旋回による場合に比較して位置決め精
度良く、かつ走行や旋回を伴わないで行うことができる
ので、操作が簡単となり、高い熟練度を必要とせず、能
率良く作業を行うことができる。

【００３０】さらに、伸縮マスト２５の伸長動作により
把持装置１０の最高高さ位置を高くしているので、伸縮
マスト２５を縮めれば全高を低くでき、走行、旋回時の
安定性がさらに増し、走行、旋回動作に支承をきたすお
それも少ない。また、型鋼２ａの架設、解体時には伸縮
アーム３０の高さが変えられ、上下の作業範囲を拡大す
ることができる。さらに、図９に示すように、型鋼２ａ
を掴むとき、把持装置３４を型鋼２ａの真上に位置させ
ておいてマスト２５を縮めることにより、爪５２、５４
の間に型鋼２ａを容易に挟むことができ、把持作業が容
易となる。さらにまた、伸縮アーム３０の姿勢を水平に
したままで把持装置３４の高さを変えることができるか
ら、型鋼２ａを受部材４上に載せる際に、マスト２５を
縮めることにより、型鋼２ａを垂直に位置精度良く容易
にセットすることができる。

【００３１】また、首振り用油圧シリンダ４１を内筒３
１内に収容したので、この油圧シリンダ４１が型鋼と衝
突して破損するおそれがなくなる。首振り用油圧シリン
ダ４１のピストンロッドをリンク機構７５で把持装置３
４に連結することにより、油圧シリンダのストローク量
に対する首振り角度を大きくとることができ、リンク機
構を利用しない場合に比べてストロークの短い油圧シリ
ンダを使用でき、重量の軽減、コストの低減が可能とな
る。

【００３２】図１２は伸縮マスト２５を最も収縮すると
ともに、伸縮アーム３０を最も下方まで回動した姿勢を
示す。マスト２５の頂部は運転席２３ｃの屋根の頂部と
ほぼ等しいかあるいは低くされていることに加えて、伸
縮アーム３０を図１２のように俯動させたときの伸縮ア
ーム３０の外筒３２の後端隅部３２ａも運転席２３ｃの
屋根よりも低くされている。したがって、最高地上高の
低い現場において、伸縮マスト２５を収縮すれば架設解
体機の最低地上高は運転席の屋根の高さで規定されるか
ら、安心して作業を行なうことができる。

【００３３】

【発明の効果】本発明による架設解体機によれば、型鋼
を架設あるいは解体する時、伸縮アームを伸縮させて型
鋼の把持位置、解放位置を調節するようにしたので、架
設解体機の前方突出寸法を小さくできる。またマストを
伸縮式としたので、型鋼の高さ位置が水平移動を伴わず
に調節可能となり、操作性が向上するとともに、高さ方
向の寸法を小さくして、従来と同程度の作業高さで型鋼
を扱うことが可能となる。また、上下首振りシリンダも
伸縮アーム内に収容するようにしたので、上下首振りシ
リンダに型鋼などが衝突して破損するのが防止される。
また本発明による架設解体機によれば、架設解体機の最
低地上高さを運転席の屋根で規定するように構成してい
るので、地上高の低い現場での移動性が向上する。さら
にまた、上下首振り機構にリンク機構を用いれば上下首
振り角度が大きくできる上、アーム伸縮用シリンダの揺
動角度が小さくてすむ。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による架設解体機の一実施の形態を示す
側面図である。

【図２】図１の実施例の架設解体機の平面図である。

【図３】図１の実施例の架設解体機の伸縮マストを示す
図である。

【図４】図１の実施例の架設解体機の伸縮アームを示す
図である。

【図５】図４のv−v線から見た図である。

【図６】図４のvi−vi線から見た図である。

【図７】図１の実施例の架設解体機の把持装置の部分断
面側面図である。

【図８】図１の実施例の架設解体機により型鋼を把持す
る動作を説明する側面図である

【図９】図マストの伸縮により型鋼を把持する動作を説
明する側面図である。

【図１０】図１の実施例の架設解体機の把持装置により
型鋼を把持した状態を示す斜視図である

【図１１】図１の実施例の架設解体機の把持装置の型鋼
の方向調節動作を説明する平面図である。

【図１２】伸縮マストを収縮し、かつ伸縮アームを俯動
させた状態で示す架設解体機の側面図である。

【図１３】従来の架設解体機による作業状態を説明する
図である。

【符号の説明】 １ 杭 ２ 型鋼 ３ 支柱 ４ 受部材 ２０ 下部走行体 ２１ 旋回装置 ２２ 上部旋回体 ２３ 本体 ２３Ｃ 運転室 ２５ マスト ２５ａ 内筒 ２５ｂ 外筒 ２５ｃ マスト伸縮用油圧シリンダ ２９ 俯仰シリンダ ３０ 伸縮アーム ３１ 内筒 ３２ 外筒 ３４ 把持装置 ３５ 上下首振り装置 ３６ 左右首振り装置 ３７ 旋回装置 ４１ 上下首振り用油圧シリンダ ４４，４５ 左右首振りシリンダ ５２ 固定爪 ５４ 可動爪 ６２ 開閉シリンダ ７５ リンク機構

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 染野 誠一 東京都千代田区大手町二丁目６番２号 日立建機株式会社 (72)発明者 岩崎 章夫 東京都千代田区大手町二丁目６番２号 日立建機株式会社 (72)発明者 高坂 敏行 東京都千代田区大手町二丁目６番２号 日立建機株式会社 (56)参考文献 特開 平７−309576（ＪＰ，Ａ) 特開 昭51−131059（ＪＰ，Ａ) 実開 昭62−83088（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B66C 1/42,1/64,1/68

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自走する下部走行体と、前記 下部走行体に対して旋回する上部旋回体と、前記上部旋回体に対して上下に伸縮可能に立設されたマ
   ストと、 前記マストに俯仰可能に設けられ、 前記上部旋回体の前
   方に伸縮する伸縮アームと、 前記伸縮アームに収容されて前記伸縮アームを伸縮させ
   る伸縮シリンダと、 前記伸縮アームの先端に設置されて型鋼を把持する把持
   装置と、 前記伸縮アーム内に収容されて前記把持装置を上下に首
   振りさせる上下首振りシリンダとを具備することを特徴
   とする型鋼の架設解体機。
2. 【請求項２】 自走する下部走行体と、前記 下部走行体に対して旋回する上部旋回体と、前記上部旋回体に対して上下に伸縮可能に立設されたマ
   ストと、 前記マストに俯仰可能に設けられ、 前記上部旋回体の前
   方に伸縮する伸縮アームと、 前記伸縮アームを伸縮させる伸縮シリンダと、 前記伸縮アームの先端に設置されて型鋼を把持する把持
   装置とを備え、 前記マストおよび伸縮アームの最低地上高が運転席屋根
   の地上高と同等もしくは低くなるように構成したことを
   特徴とする型鋼の架設解体機。
3. 【請求項３】 請求項１または２の型鋼の架設解体機に
   おいて、 前記上下首振り油圧シリンダはリンク機構を介して前記
   把持装置に連結されていることを特徴とする型鋼の架設
   解体機。