JP3123211B2 - Gma溶接のアーク長制御方法 - Google Patents

Gma溶接のアーク長制御方法

Info

Publication number
JP3123211B2
JP3123211B2 JP04118047A JP11804792A JP3123211B2 JP 3123211 B2 JP3123211 B2 JP 3123211B2 JP 04118047 A JP04118047 A JP 04118047A JP 11804792 A JP11804792 A JP 11804792A JP 3123211 B2 JP3123211 B2 JP 3123211B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
short
welding output
control period
value
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP04118047A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05285661A (ja
Inventor
利昭 中俣
一朗 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihen Corp filed Critical Daihen Corp
Priority to JP04118047A priority Critical patent/JP3123211B2/ja
Publication of JPH05285661A publication Critical patent/JPH05285661A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3123211B2 publication Critical patent/JP3123211B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arc Welding In General (AREA)
  • Arc Welding Control (AREA)
  • Numerical Control (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、不活性ガスを主成分と
するシ−ルドガスを使用し消耗電極を送給してア−ク溶
接する消耗電極ガスシ−ルドア−ク溶接(以後GMA溶
接という)方法において、溶接中に消耗電極先端が被溶
接物の溶融池に短時間短絡するときの短絡時間率を検出
してア−ク長を制御してア−クの安定を図ることにより
良好な溶接品質を得るGMA溶接のア−ク長制御方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、不活性ガスを主成分とするシ−ル
ドガスを使用し消耗電極を送給してア−ク溶接するGM
Aア−ク溶接方法においては、消耗性電極1の先端(以
下、ワイヤ先端という)1aと被溶接物2の表面との間
に発生するア−ク長Lの変化とア−ク電圧値Vaとは、
図43(A)ないし(D)に示す関係がある。図43
(A)に示すように、ア−ク3がワイヤ先端1aから被
溶接物2の表面の2aの最短距離に飛んだときは、この
最短距離(以下、見かけのア−ク長という)L1 と実際
のア−ク長La1とは一致して、同図(D)に示すア−ク
長La (横軸)とア−ク電圧値Va (縦軸)との関係を
示すア−ク特性直線LVの動作点は、(A)に示す位置
にあり、ア−ク電圧値はVa1である。図43(B)に示
すように、ア−ク3が表面の汚れ、酸化物等のア−クの
陰極点が生じやすい位置2bに飛んだときは、見かけの
ア−ク長は、図43(A)と同じL1 であるにもかかわ
らず、実際のア−ク長はLa2であって、同図(D)のア
−ク特性直線LVの動作点は、(B)に示す位置にあ
り、ア−ク電圧値Va2になってしまう。このことは、ア
−ク電圧値がVa2であると、同図(C)に示すように、
実際のア−ク長La2と最短距離になっている見かけのア
−ク長がL2になったことと同価になる。
【0003】そこで、見かけのア−ク長(L1,L2)
の変化をア−ク電圧値(Va1,Va2)の変化で検出しよ
うとしても、見かけのア−ク長が同じL1であるにもか
かわらず、ア−ク電圧値Va は、実際のア−ク長La1ま
たはLa2に左右されて、Va1またはVa2になってしまう
ので、ア−ク電圧値を検出して正確にア−ク長を一定値
に制御することはできない。すなわち、実際のア−ク長
が、図43(A)の状態から図43(B)の状態に変化
してア−ク電圧値がVa1からVa2に増加したとき、見か
けのア−ク長L1が変化していないにもかかわらず、
(図43(C)のような見かけのア−ク長がL2に増加
したためにア−ク電圧値がVa2になったとき、見かけの
ア−ク長をL2から元のL1に戻そうとする制御と同様
に、)見かけのア−ク長をL1よりもさらに短い方向に
誤制御してしまう。
【0004】このような誤制御によって、最近のように
見かけのア−ク長を短くして良好な溶接結果を得ようと
する高速度溶接においては、頻繁に短絡を生じて、ア−
ク不安定になって溶接欠陥が発生したり、過大なスパッ
タが発生する。また、見かけのア−ク長Lと実際のア−
ク長La とが一致しない現象は、酸化皮膜の発生しやす
いアルミニウム、マグネシウム等の金属に生じやすく、
溶接電源の出力端子のマイナス極性を被溶接物に接続し
たときの逆極性のときに、酸化皮膜上にア−クの陰極点
が発生しやすく、新しい酸化皮膜上に陰極点が移動する
ために、実際のア−ク長が見かけのア−ク長よりも大に
なりやすい。従来から、見かけのア−ク長の変動を速に
修正して見かけのア−ク長をできるだけ一定値に制御す
る提案が行われているが、ア−ク電圧の検出では、前述
したように誤制御をするし、また見かけのア−ク長その
ものの検出も、強力なア−ク光のために容易ではない。
【0005】他方、見かけのア−ク長が短くなってくる
と、ワイヤ先端1a と被溶接物2の表面との短絡回数が
増加し、逆に、見かけのア−ク長が長くなると短絡が生
じなくなり、見かけのア−ク長Lと単位時間当りの短絡
時間率Rとは、ある範囲では、比例関係にある。そこで
従来から、単位時間当りの短絡時間率を検出してフィ−
ドバックして溶接電源の出力電圧値を制御することによ
って、ア−ク長を制御する方法(以下、公知技術とい
う)がある。この公知技術では、予め定めた一定の単位
時間当りの短絡時間率Rをフィ−ドバックし、この短絡
時間率Rが単位時間当りの目標短絡時間率Rruと一致す
るように、溶接電圧設定値またはワイヤ送給速度を制御
している。この公知技術においては、適正なア−ク長を
短絡時間率から検出しようとする原理から、ア−クの定
常的な安定性を確保するための予め定めた一定の溶接電
圧値制御周期を、数秒程度の長い周期にする必要があ
り、ア−ク長変動に対する過渡応答時間Ttrが大である
という大きな欠点があった。
【0006】そこで、この問題を解決する提案として、
短絡時間率を制御してア−ク長を適正範囲に制御しよう
とする公知技術に加えて、ア−ク長の変動に対する過渡
応答時間を短くするために、平均溶接電流の変化率に対
応させて、溶接電圧修正量または溶接電圧値制御期間の
長さを変化させる技術(以下、従来技術という)があ
り、平均溶接電流の変化率が大きいときは、1回の溶接
出力設定値による制御期間の長さを短くし、平均溶接電
流の変化率が小さいときは、この周期を長くすることに
よって、ア−クの定常安定性を得ようとするものであ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
技術においては、平均溶接電流が変動しないときまたは
変動が大にならないときは、溶接電圧修正量または溶接
出力値制御期間の長さを増減させることができないかま
たはこれらの値が小さすぎるために、所定のア−ク長に
制御する時間を短縮することができないために、この従
来技術の効果を発揮させることができない。
【0008】(図44の説明)この従来技術の効果を発
揮させることができない第1の例は、この従来技術をア
ルミニウムMIGア−ク溶接方法に適用した場合であっ
て、図44を参照してその理由を説明する。図44にお
いて、直径1.2(mm)のアルミニウム合金ワイヤA5
183をアルゴンガスでシ−ルドして、ワイヤ送給速度
W5 =500(cm/min)およびW7=700(cm/min)
で送給したときの溶接電流の平均値Ia (A)と溶接電
圧の平均値Va (V)またはア−ク長La (mm)との関
係を示す図である。ワイヤ送給速度がW5 のとき、溶接
電流の平均値を88.5(A)に設定し見かけのア−ク
長L11を3(mm)にしたときの溶接電圧の平均値が1
7.0(V)の動作点R11にあったときに、溶接電流の
設定値をそのままにしておいて、溶接電源の出力電圧を
変化させて見かけのア−ク長La =9(mm)にしたと
き、動作点はR12になり、溶接電圧の平均値は19.5
(V)まで変化するが溶接電流の平均値は91.5
(A)であって見かけのア−ク長の変化量Lt1=6(m
m)であるのに溶接電流の変化量ΔIa =0である。ま
た、ワイヤ送給速度W7 のとき、溶接電流の平均値を1
20(A)に設定し見かけのア−ク長L21を3(mm)に
したときの溶接電圧の平均値が19.3(V)の動作点
R21にあったときに、溶接電流の設定値をそのままにし
ておいて、溶接電源の出力電圧を変化させて見かけのア
−ク長La =9(mm)にしたとき、動作点R22になり、
溶接電圧の平均値は22(V)まで変化するが、溶接電
流の平均値は132(A)であって見かけのア−ク長の
変化量Lt2=6(mm)であるのに対して溶接電流の変化
量は12(A)で、変化率は10(%)程度である。
【0009】このように、アルミニウムのMIGア−ク
溶接においては、ア−ク長が大きく変化しても、平均溶
接電流の変化率は小さいので、従来技術を適用しても、
適正なア−ク長に制御する時間を短縮することができな
い。
【0010】(図51の説明)アルミニウムのMIGア
−ク溶接において、従来技術を適用して粗設定した溶接
電圧値が予め定めた適正な溶接電圧値に達する時間を測
定した。図51は、従来技術を使用して直径1.6(m
m)のアルミニウム合金ワイヤA5183を、アルゴン
ガスでシ−ルドしてアルミニウム材A5083をMIG
ア−ク溶接したときの溶接電流値I(A)、溶接電圧値
V(V)および単位時間当りの短絡時間率(%)(縦
軸)の時間的経過t(秒)(横軸)を示す図である。同
図において、溶接電圧の設定値を粗設定してア−クスタ
−ト直後の電圧値が20(V)で、溶接電流値が200
(A)で単位時間当りの短絡時間率R=4(%)であっ
たとき、溶接電圧の平均値を溶接電流の平均値200
(A)に対する予め定めた適正値22(V)まで、従来
技術によって自動的に増加させるには約7(秒)を要し
ていた。なお、単位時間当りの目標短絡時間率Rruを
0.5(%)とした。このように時間がかかるのは、図
44で説明したように平均溶接電流の変化量が小さいた
めである。
【0011】(図52の説明)図52は、図51のアル
ミニウムの代りに軟鋼のMAGア−ク溶接方法に、従来
技術を適用して、予め定めた適正な溶接電圧値に達する
時間を測定した。同図の測定条件は、直径1.2(mm)
の軟鋼ワイヤYGW15を、炭酸ガス20%とアルゴン
ガス80%との混合ガスでシ−ルドして軟鋼をMAGア
−ク溶接するための条件である。同図において、溶接電
圧の設定値を粗設定してア−クスタ−トとした直後の溶
接電圧値が28(V)で、溶接電流値が300(A)に
対する予め定めた適正値32(V)まで、従来技術によ
って自動的に増加させるには約5(秒)かかっている。
なお、溶接電流値は、前述した図51のアルミニウムの
場合にくらべて10(A)の変化は見られるが、溶接電
流の変化量が小さく適正溶接電圧値に達するまでに時間
がかかっている。
【0012】(図53の説明)また、溶接中に被溶接物
の表面状態の変化、ワイヤ送給速度および溶接電流値の
変動によってア−ク長が変化し被溶接物の入熱の変動等
の外乱によって、ア−クの陰極点がア−クの発生容易な
酸化膜が残された位置へ不規則に移動し、そのために、
見かけのア−ク長だけでなく、実際のア−ク長が変動す
る。このような外乱により、陰極点が不規則に移動して
ア−ク長が変動する場合に、適正な単位時間当りの短絡
時間率Rruに対応する見かけのア−ク長になるように制
御する必要があるが、そのときの過渡応答速度Ttr
(秒)を速くする必要がある。
【0013】ところで、不規則な外乱に対して、上記の
過渡応答速度Ttrが遅いか速いかを実測することは非常
に困難である。そこで、外乱による不規則な陰極点の移
動を下記の条件に置きかえて過渡応答速度Ttrを実測す
ることにした。すなわち、ア−クの陰極点はシ−ルドガ
スでシ−ルドされている範囲内にしか発生しないことが
知られている。このことは、ア−クの陰極点の移動によ
り酸化皮膜を除去する、いわゆるクリ−ニング現象は、
シ−ルドガス流量によって変化することを意味してい
る。したがって、この過渡応答速度の実測を、シ−ルド
ガスの流量を溶接中に強制的に切りかえることによって
ア−クの陰極点を強制的に移動させて実際のア−ク長を
変化させることによって行った。
【0014】図53は、直径1.6(mm)のアルミニウ
ム合金ワイヤA5183をアルゴンガスでシ−ルドして
定速度で送給し、従来技術を用いてMIGア−ク溶接し
たときの溶接電流値I(A)、溶接電圧値V(V)およ
び単位時間当りの短絡時間率Rtu(回/秒)(縦軸)の
時間的経過を示す図である。同図において、単位時間当
りの目標短絡時間率Rruを5(回/秒)で、シ−ルドガ
ス流量を15(リットル/分)で、溶接電圧値Vが溶接
電流値I=200(V)に対する適正値の21(V)で
あって、安定した溶接中に、シ−ルドガスの流量を30
(リットル/分)に強制的に切り換えると、シ−ルドガ
スのシ−ルド範囲が増加して陰極点が遠方まで移動可能
となってクリ−ニング幅が増大し、それにつれて実際の
ア−ク長も大となり溶接電流値も若干減少するので、単
位時間当りの短絡時間率Rtuが2(%)程度まで大幅に
増加する。
【0015】しかし、この従来技術では、平均溶接電流
の変化率によって、溶接電圧値または溶接出力値制御周
期を変化させようとするものであるために、上記のよう
な平均溶接電流の変化が小さい場合にはア−ク長を単位
時間当りの目標短絡時間率Rru=0.5(%)に相当す
る値に復帰させるための過渡応答時間Ttrが約5(秒)
を要している。
【0016】以上の図51ないし図53の実測例に示す
ように、従来技術の平均溶接電流の変化率によって溶接
電圧値または溶接出力値制御周期を変化させようとする
方式では、平均溶接電流の変化率が小さいときには、過
渡応答速度が遅いという問題点が残されていた。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、不活
性ガスを主成分とするシ−ルドガスを使用し消耗電極を
送給してア−ク溶接するGMA溶接のア−ク長制御方法
において、n回目の溶接出力値制御期間中の短絡時間を
積算し、前記短絡時間の積算値Stnを前記溶接出力値制
御期間の長さTn で除算して単位時間当りの短絡時間率
Rtuを演算し、前記短絡時間率Rtuと単位時間当りの目
標短絡時間率Rruとの差Rtu−Rruに対応したn+1回
目の溶接出力値制御期間における溶接出力修正量ΔPn+
1 を演算し、前記短絡時間率Rtuと前記目標短絡時間率
Rruとの差の関数f(Rtu−Rru)から、次のn+1回
目の溶接出力値制御期間の長さTn+1 を演算し、前記溶
接出力修正量ΔPn+1 とn回目の溶接出力値制御周期T
n 中における溶接出力設定値Pn とを加算して、Pn+1
=Pn +ΔPn+1 を出力設定値としてn+1回目の溶接
出力値制御期間における溶接出力値を制御するととも
に、n+1回目の溶接出力値制御期間中の短絡時間の積
算を開始し、以後、溶接電流の通電終了まで繰り返すG
MA溶接のア−ク長制御方法である。
【0018】請求項2の発明は、不活性ガスを主成分と
するシ−ルドガスを使用し消耗性電極を送給してア−ク
溶接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、n回
目の溶接出力値制御期間の終了の直前の移動平均周期T
m 中の短絡時間の積算値Stmを、前記移動平均周期Tm
で除算して、短絡時間率移動平均値Rmu=Stm/Tmを
演算し、前記移動平均値Rmuと単位時間当りの目標短絡
時間率Rruとの差Rmu−Rruに対応したn+1回目の溶
接出力値制御期間における溶接出力修正量ΔPn+1 を演
算し、前記平均値Rmuと目標短絡時間率Rruとの差の関
数f(Rmu−Rru)に対応した次のn+1回目の溶接出
力値制御期間の長さTn+1 を演算し、前記溶接出力修正
量ΔPn+1 と前記n回目の制御期間における溶接出力設
定値Pnとを加算してPn+1 =Pn +ΔPn+1 を溶接出
力設定値としてn+1回目の溶接出力値制御周期Tn+1
における溶接出力値を制御するとともに、n+1回目の
溶接出力値制御期間Tn+1 中の短絡時間の積算を開始
し、以後、溶接電流の通電終了まで繰り返すGMA溶接
のア−ク長制御方法である。
【0019】請求項3の発明は、不活性ガスを主成分と
するシ−ルドガスを使用し消耗性電極を送給してア−ク
溶接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、n回
目の溶接出力値制御期間の終了直前の移動平均周期Tm
中の短絡時間の積算値Stmを、前記移動平均周期Tm で
除算して前記移動平均周期Tm 中の短絡時間率移動平均
値Rmu=Stm/Tm を演算し、n回目の溶接出力値制御
期間中の短絡時間を積算し、前記短絡時間の積算値Stn
を前記n回目の制御期間の長さTn で除算して単位時間
当りの短絡時間率Rtu=Stn/Tn を演算し、前記短絡
時間率Rtuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差
Rtu−Rruに対応したn+1回目の溶接出力修正量ΔP
n+1 を演算し、前記移動平均値Rmuと前記目標短絡時間
率Rruとの差の関数f(Rmu−Rru)に対応した次のn
+1回目の溶接出力値制御期間の長さTn+1 を演算し、
前記溶接出力修正量ΔPn+1 と前記n回目の制御期間T
nにおける溶接出力設定値Pn とを加算してPn+1 =Pn
+ΔPn+1 を溶接出力設定値としてn+1回目の溶接
出力値制御期間における溶接出力値を制御するととも
に、n+1回目の溶接出力値制御期間Tn+1 中の短絡時
間の積算を開始し、以後、溶接電流の通電終了まで繰り
返すMAGア−ク溶接ア−ク長制御方法である。
【0020】請求項4の発明は、不活性ガスを主成分と
するシ−ルドガスを使用し消耗電極を送給してア−ク溶
接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、n回目
の溶接出力値制御期間中の短絡時間を積算し、前記短絡
時間の積算値Stnを前記溶接出力値制御期間の長さTn
で除算して単位時間当りの短絡時間率Rtuを演算し、前
記短絡時間率Rtuと単位時間当りの目標短絡時間率Rru
との差Rtu−Rruに対応したn+1回目の溶接出力値制
御期間における溶接出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記
短絡時間率Rtuと前記目標短絡時間率Rruとの差ΔRt
=Rtu−Rruと変化率dRtu=Rtu−Rtu−1とを入力
条件としてファジィ推論により次のn+1回目の溶接出
力値制御期間の長さTn+1 を決定し、前記溶接出力修正
量ΔPn+1 とn回目の溶接出力値制御期間における溶接
出力設定値Pn とを加算して、Pn+1 =Pn +ΔPn+1
を溶接出力設定値としてn+1回目の溶接出力値制御期
間における溶接出力値を制御するとともに、n+1回目
の溶接出力値制御期間中の短絡時間の積算を開始し、以
後、溶接電流の通電終了まで繰り返すGMA溶接のア−
ク長制御方法である。
【0021】請求項5の発明は、不活性ガスを主成分と
するシ−ルドガスを使用し消耗性電極を送給してア−ク
溶接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、n回
目の溶接出力値制御期間の終了の直前の移動平均周期T
m 中の短絡時間の積算値Stmを前記移動平均周期Tm で
除算して短絡時間率移動平均値Rmu=Stm/Tm を演算
し、前記移動平均値Rmuと単位時間当りの目標短絡時間
率Rruとの差Rmu−Rruに対応したn+1回目の溶接出
力値制御期間における溶接出力修正量ΔPn+1を演算
し、前記平均値Rmuと目標短絡時間率Rruとの差ΔRm
=Rmu−Rruと変化率dRmu=Rmu−Rmuとを入力条件
としてファジィ推論により次のn+1回目の溶接出力値
制御期間の長さTn+1 を演算し、前記溶接出力修正量Δ
Pn+1 と前記n回目の制御期間における溶接出力設定値
Pn とを加算してPn+1 =Pn +ΔPn+1 を溶接出力設
定値としてn+1回目の溶接出力値制御期間における溶
接出力値を制御するとともに、n+1回目の溶接出力値
制御期間Tn+1 中の短絡時間の積算を開始し、以後、溶
接電流の通電終了まで繰り返すGMA溶接のア−ク長制
御方法である。
【0022】請求項6の発明は、不活性ガスを主成分と
するシ−ルドガスを使用し消耗性電極を送給してア−ク
溶接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、n回
目の溶接出力値制御期間の終了の直前の移動平均周期T
m 中の短絡時間の積算値Stmを前記移動平均周期Tm で
除算して前記移動平均周期Tm 中の短絡時間率移動平均
値Rmu=Stm/Tm を演算し、n回目の溶接出力値制御
期間Tn 中の短絡時間を積算し、前記短絡時間の積算値
Stnを前記制御期間の長さTn で除算して単位時間当り
の短絡時間率Rtu=Stn/Tn を演算し、前記短絡時間
率Rtuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差Rtu
−Rruに対応したn+1回目の溶接出力修正量ΔPn+1
を演算し、前記移動平均値Rmuと前記目標短絡時間率R
ruとの差ΔRm =Rru−Rmuと変化率dRmu=Rmu−R
mu-1とを入力条件としてファジィ推論により次のn+1
回目の溶接出力値制御期間Tn+1 の長さを決定し、前記
溶接出力修正量ΔPn+1 と前記n回目の制御期間におけ
る溶接出力設定値Pn とを加算してPn+1 =Pn +ΔP
n+1 を溶接出力設定値としてn+1回目の溶接出力値制
御期間における溶接出力値を制御するとともに、n+1
回目の溶接出力制御期間Tn+1 中の短絡時間の積算を開
始し、以後、溶接電流の通電終了まで繰り返すGMA溶
接のア−ク長制御方法である。
【0023】請求項7の発明は、請求項2,3,5およ
び6において演算する短絡時間率移動平均値Rmuとし
て、移動平均周期Tm 中の各抽出単位周期ΔTにおける
短絡時間の積算値St の合計をTm 中の抽出回数i(i
=Tm /ΔT)で除算した値 Rmu=(St1+St2+……Sti)/i=Stm/i (但しSt1,St2……StiはTm 中の1回目からi回目
までの各抽出単位ΔTの間の短絡時間とし、ΔTおよび
Tm は予め定めた一定値)によって代用することによっ
て演算をより簡素化したものである。
【0024】請求項8の発明は、不活性ガスを主成分と
するシ−ルドガスを使用し消耗電極を送給してア−ク溶
接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、長さT
n のn回目の溶接出力値制御期間中の短絡時間を積算
し、前記短絡時間の積算値Stnを短絡抽出単位時間ΔT
が経過するごとに前記n回目の溶接出力値制御期間の始
期からの経過時間N・ΔT(Nは短絡抽出単位時間ΔT
の経過回数)で除算してそれまでの期間における単位時
間当りの平均短絡時間率Rtuを演算し、前記平均短絡時
間率Rtuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差の
関数f(Rtu−Rru)から溶接出力値制御期間の最適長
さTc を演算し、前記算出値Tc が所定の長さTo より
も短くなるかまたは前記経過時間N・ΔTが溶接出力値
制御期間の長さTn に等しくなつた時に前記n回目の溶
接出力値制御期間を終了し、前記平均短絡時間率Rtuと
前記目標短絡時間率Rruとの差(Rtu−Rru)に対応し
た溶接出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記溶接出力修正
量ΔPn+1 と前記n回目の溶接出力値制御期間中におけ
る溶接出力設定値Pn との和Pn+1 =Pn +ΔPn+1を
出力設定値とし、前記算出値Tc を溶接出力値制御期間
の長さTn+1 としてn+1回目の溶接出力値制御期間を
開始し、以後溶接電流の通電終了まで繰り返すGMA溶
接のア−ク長制御方法である。
【0025】請求項9の発明は、不活性ガスを主成分と
するシ−ルドガスを使用し消耗性電極を送給してア−ク
溶接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、長さ
Tnのn回目の溶接出力値制御期間中の短絡時間を積算
し、短絡抽出単位時間ΔTが経過するごとに直前の移動
平均周期Tm 中の短絡時間の積算値Stmを演算し、前記
移動平均周期Tm と算出値Rmnとから短絡時間率移動平
均値Rmu=Stm/Tmを演算し、前記平均値Rmuと単位
時間当りの目標短絡時間率Rruとの差の関数f(Rmu−
Rru)に対応した溶接出力値制御期間の最適長さTc を
演算し、前記算出値Tc が所定の長さTo よりも短くな
るかまたは前記n回目の溶接出力値制御期間の始期から
の経過時間N・ΔT(Nは短絡抽出単位時間ΔTの経過
回数)が設定された前記n回目の溶接出力値制御期間の
長さTn に達したときに前記n回目の溶接出力値制御期
間を終了し、前記移動平均値Rmuと前記目標短絡時間率
Rruとの差(Rmu−Rru)に対応した溶接出力修正量Δ
Pn+1 を演算し、前記溶接出力修正量ΔPn+1 と前記n
回目の溶接出力値制御期間中における溶接出力設定値P
n との和Pn+1 =Pn +ΔPn+1 を溶接出力設定値と
し、前記算出値Tc を溶接出力値制御期間の長さTn+1
としてn+1回目の溶接出力値制御期間を開始し、以後
溶接電流の通電終了まで繰り返すGMA溶接のア−ク長
制御方法である。
【0026】請求項10の発明は、不活性ガスを主成分
とするシ−ルドガスを使用し消耗性電極を送給してア−
ク溶接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、長
さTn のn回目の溶接出力値制御期間中の短絡時間を積
算し、短絡抽出単位時間ΔTが経過するごとに直前の移
動平均周期Tm 中の短絡時間の積算値Stmを演算し、前
記移動平均周期Tm と算出値Stmとから短絡時間率移動
平均値Rmu=Stm/Tm を演算し、前記移動平均値Rmu
と単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差の関数f
(Rmu−Rru)に対応した溶接出力値制御期間の最適長
さTc を演算し、前記算出値Tc が所定の長さTo より
も短くなるかまたは前記n回目の制御期間の始期からの
経過時間N・ΔT(Nは短絡抽出単位時間ΔTの回数)
が設定された前記n回目の溶接出力値制御期間の長さT
n に達したときに前記n回目の溶接出力値制御期間を終
了し、前記短絡時間の積算値Stnを前記経過時間N・Δ
Tで除算して単位時間当りの平均短絡時間率Rtuを演算
し、前記平均短絡時間率Rtuと前記目標短絡時間率Rru
との差(Rtu−Rru)に対応した溶接出力修正量ΔPn+
1 を演算し、前記溶接出力修正量ΔPn+1 と前記n回目
の制御期間中における溶接出力設定値Pn との和Pn+1
=Pn +ΔPn+1 を溶接出力設定値とし、前記算出値T
c を溶接出力値制御期間の長さTn+1 としてn+1回目
の溶接出力値制御期間を開始し、以後溶接電流の通電終
了まで繰り返すGMA溶接のア−ク長制御方法である。
【0027】請求項11の発明は、不活性ガスを主成分
とするシ−ルドガスを使用し消耗電極を送給してア−ク
溶接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、長さ
Tnのn回目の溶接出力値制御周期中の短絡時間を積算
し、前記短絡時間の積算値Stnを短絡抽出単位時間ΔT
が経過するごとに前記n回目の溶接出力値制御期間の始
期からの経過時間N・ΔT(Nは短絡抽出単位時間ΔT
の経過回数)で除算してそれまでの期間における単位時
間当りの平均短絡時間率Rtuを演算し、前記平均短絡時
間率Rtuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差Δ
Rt =Rtu−Rruと平均短絡時間率Rtuの変化率dRtu
=Rtu−Rtu-1とを入力条件としてファジィ推論により
次のn+1回目の溶接出力値制御期間の最適長さTc を
決定し、前記決定値Tc が所定の長さTo よりも短くな
るかまたは前記経過時間N・ΔTが前記n回目の溶接出
力値制御期間の長さTn に等しくなつた時に前記n回目
の溶接出力値制御期間を終了し、前記平均短絡時間率R
tuと前記目標短絡時間率Rruとの差(Rtu−Rru)に対
応した溶接出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記溶接出力
修正量ΔPn+1 と前記n回目の溶接出力値制御期間にお
ける溶接出力設定値Pn との和Pn+1 =Pn +ΔPn+1
を溶接出力設定値とし、前記決定値Tc を溶接出力値制
御期間の長さTn+1 としてn+1回目の溶接出力値制御
期間を開始し、以後溶接電流の通電終了まで繰り返すG
MA溶接のア−ク長制御方法である。
【0028】請求項12の発明は、不活性ガスを主成分
とするシ−ルドガスを使用し消耗性電極を送給してア−
ク溶接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、長
さTn のn回目の溶接出力値制御期間中の短絡時間を積
算し、短絡抽出単位時間ΔTが経過するごとに直前の移
動平均周期Tm 中の短絡時間の積算値Stmを演算し、前
記移動平均周期Tm と算出値Stmとから短絡時間率移動
平均値Rmu=Stm/Tm を演算し、前記移動平均値Rmu
と単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差ΔRm =R
mu−Rruと前記移動平均値Rmuの変化率dRmu=Rmu−
Rmu-1とを入力条件としてファジィ推論により溶接出力
値制御期間の最適長さTc を決定し、前記決定値Tc が
所定の長さTo よりも短くなるかまたは前記n回目の制
御期間の始期からの経過時間N・ΔT(Nは短絡抽出単
位時間ΔTの回数)が設定された前記n回目の溶接出力
値制御期間の長さTn に達したときに前記n回目の溶接
出力値制御期間を終了し、前記移動平均値Rmuと前記目
標短絡時間率Rruとの差(Rmu−Rru)に対応した溶接
出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記溶接出力修正量ΔP
n+1 と前記前記n回目の制御期間Tn における溶接出力
設定値Pn との和Pn+1 =Pn +ΔPn+1 を溶接出力設
定値とし、前記決定値Tc を溶接出力値制御期間の長さ
Tn+1 としてn+1回目の溶接出力値制御期間を開始
し、以後溶接電流の通電終了まで繰り返すGMA溶接の
ア−ク長制御方法である。
【0029】請求項13の発明は、不活性ガスを主成分
とするシ−ルドガスを使用し消耗性電極を送給してア−
ク溶接するGMA溶接のア−ク長制御方法において、長
さTn のn回目の溶接出力値制御期間中の短絡時間を積
算し、短絡抽出単位時間ΔTが経過するごとに直前の移
動平均周期Tm 中の短絡時間の積算値Stmを演算し、前
記移動平均周期Tm と算出値Stmとから短絡時間率移動
平均値Rmu=Stm/Tm を演算し、前記移動平均値Rmu
と単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差ΔRm =R
mu−Rruと前記移動平均値Rmuの変化率dRmu=Rmu−
Rmu-1とを入力条件としてファジィ推論により溶接出力
値制御期間の最適長さTc を決定し、前記決定値Tc が
所定の長さTo よりも短くなるかまたは前記n回目の制
御期間の始期からの経過時間N・ΔT(Nは短絡抽出単
位時間ΔTの経過回数)が設定された前記n回目の溶接
出力値制御期間の長さTn に達したときに前記n回目の
溶接出力値制御期間を終了し、前記短絡時間の積算値S
tnを前記経過時間N・ΔTで除算して単位時間当りの平
均短絡時間率Rtuを演算し、前記平均短絡時間率Rtuと
前記目標短絡時間率Rruとの差Rtu−Rruに対応した溶
接出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記溶接出力修正量Δ
Pn+1 と前記n回目の制御期間Tn における溶接出力設
定値Pn との和Pn+1 =Pn +ΔPn+1 を溶接出力設定
値とし、前記決定値Tc を溶接出力値制御期間の長さT
n+1 としてn+1回目の溶接出力値制御期間を開始し、
以後溶接電流の通電終了まで繰り返すGMA溶接のア−
ク長制御方法である。
【0030】請求項14の発明は、請求項9,10,1
2および13において演算する移動平均値Rmuとして、
移動平均周期Tm 中の各抽出単位周期ΔTにおける短絡
時間St の合計をTm 中の抽出回数i(i=Tm /Δ
T)で除算した値 Rmu=(St1+St2+……Sti)/i (但しSt1,St2……StiはTm 中の1回目からi回目
までの各抽出単位ΔTの間の短絡時間の積算値とし、Δ
TおよびTm は予め定めた一定値)によって代用するこ
とによって演算をより簡素化したものである。
【0031】
【実施例】
(実施例1)図8及び図12は、図1の請求項1の対応
図に示す制御方法の第1の実施例であって、以下、図
7、図8及び図12を参照して請求項1の制御方法につ
いて説明する。
【0032】(図7の説明)図7は、本発明のアーク長
制御方法を直流アーク溶接制御装置に適用したときのブ
ロック図である。同図において、商用電源ACを入力と
して溶接電流を溶接電源回路PSから消耗電極1の電極
チップ4と被溶接物2との間に供給してアーク3を発生
させる。消耗電極1はワイヤ送給モータWMにより回転
するワイヤ送給ローラWRにより送給される。平均溶接
電流設定回路IRは、ワイヤ送給モータWMのワイヤ送
給速度により定まる溶接電流の平均値Ia を設定するた
めの平均溶接電流設定信号Ir を出力する。ワイヤ送給
制御回路WCは、信号Ir を入力としてワイヤ送給モー
タWMに電圧Wc を出力する。溶接電圧検出回路VD
は、溶接電圧の瞬時値を検出して短絡時間積算回路ST
及び溶接電圧比較回路CM1に溶接電圧検出信号Vd を
出力する。溶接電流検出回路IDは、溶接電流瞬時値を
検出して後述する入出力信号変換回路I/Oに出力電流
通電開始信号及び出力電流通電終了信号を含む溶接電流
検出信号Id を出力する。短絡時間積算回路STは、溶
接電圧検出信号Vd を入力として短絡時間を積算し、短
絡積算値Stnを出力する。この短絡時間積算回路ST
は、ア−ク発生中と短絡中との中間の溶接電圧に相当す
る値に定めた基準電圧er と溶接電圧検出器VDの出力
Vd とを比較し、Vd <er の期間中は一定の波高値の
電圧を出力する比較器と、この比較器の出力を積分する
積分回路とを組合せたものによって構成することがで
き、積分値のリセットは積分器をリセットすることによ
り行なえばよく、これらは演算増幅器を用いた公知の回
路を組合せることによって簡単に実現できる。短絡抽出
単位クロックタイマTMは、短絡の抽出(サンプリン
グ)周期を定めるタイマであって、例えば、短絡抽出単
位時間ΔT=100(ms)毎に抽出単位時間信号(クロ
ック信号)Ckを出力する。以下の本発明の実施例にお
いては、1回の溶接出力値制御期間の長さTn (秒)
は、この短絡抽出単位時間ΔTの1ないし10倍の整数
値が選定されるので、0.1ないし1.0(秒)であ
る。この整数値が、後述する1回の溶接出力値制御期間
中の短絡抽出単位の回数Nt を示している。
【0033】ROMは、読み出し専用記憶回路であっ
て、予め定めた設定値の設定信号、例えば、平均溶接電
流設定信号Ir に対応した溶接電圧設定信号Vr 、単位
時間当りの目標短絡時間率Rruなどの各定数が読み出さ
れる。RAMは、書き込み・読み出し記憶回路であっ
て、平均溶接電流設定信号Ir、出力値制御期間Tn 中
の短絡抽出単位の回数Nt 、短絡時間の積算値St 、各
設定値、各演算値等の書き込み及び読み出しが行われ
る。
【0034】アナログ・ディジタル変換回路A/Dは、
平均溶接電流設定信号Ir および短絡時間の積算値St
をディジタル値に変換して入出力信号変換回路I/Oに
出力する。この回路I/Oはさらに、CPUの出力信号
をディジタル・アナログ変換回路D/Aに伝達する。中
央演算処理回路CPUは、短絡抽出単位クロックタイマ
TM、入出力信号変換回路I/O、読み出し専用記憶回
路ROM及び書き込み・読み出し記憶回路RAMと接続
されており、これらの回路は後述する図8及び図12の
1回の溶接出力値制御期間及び溶接電圧設定値を制御す
るルーチンのフローチャートに示す機能を有している。
【0035】CM1は、溶接電圧検出信号Vd と中央演
算処理回路CPUが演算した(n回目の)溶接出力値制
御期間(長さTn )における溶接電圧設定信号Vn とを
入力とし、その差の溶接出力値制御信号Ps を溶接出力
値制御回路を含む溶接電源回路PSに出力して、アーク
電圧を略設定値に等しくなるように制御する。図8及び
図12を参照して実施例1の溶接出力値制御期間の長さ
及び溶接電圧設定値の制御方法を説明する。
【0036】(図8の説明)ブロック31 (STのリセット) 短絡時間積算回路STの積算値St を零にリセットす
る。
【0037】ブロック32A (Tn に対応したNt の初期化) 溶接出力値制御期間の長さTn を初期化する。この制御
期間の長さTn として予め定めた短絡抽出単位時間ΔT
の回数Nt (=Tn /ΔT)を使用し、そのNt の初期
値を1とする。すなわち、短絡抽出単位クロックタイマ
TMは、短絡回数の計数を予め定めた単位時間、例え
ば、100(ms)の間行うように、この短絡抽出単位時
間ΔT毎に、抽出単位時間信号(クロック信号)Ckを
出力する。また、溶接出力値制御期間は、この期間内で
は単一の溶接出力値に制御する。この制御期間の長さ
は、上記の短絡抽出単位時間ΔTの整数倍、例えば、1
ないし10が選定されるので、この制御期間の長さTn
の代りに、この制御期間中の短絡抽出単位の回数Nt
(回)を使用することができ、この置換をすることによ
ってディジタル処理が簡素化される。
【0038】ブロック33(Ir ) 平均溶接電流設定信号Ir をA/DからRAMに読み込
む。ブロック34 (Rru) 予めROMに記憶されている単位時間当りの目標短絡時
間率(例えば、0.5)設定信号RruをROMからCP
Uに読み込む。ブロック35 (Ir に対応したVr の初期化) 予めROMに記憶されている溶接電圧設定信号Vr の初
期値Voを読み出してD/Aから溶接電圧比較回路CM
1に読み出す。ブロック36 (Id ) 溶接電流検出信号Id に含まれる出力電流通電開始信号
が無であれば待機し、有であればブロック37に進む。ブロック37 (TM) 溶接作業が開始されて、出力電流通電開始信号が有にな
ったときは、短絡抽出単位クロックタイマTMが計数を
開始する。
【0039】ブロック38ないし40(Stn) クロックタイマTMの1単位(短絡抽出単位時間ΔT、
例えば100ms)内の間は、タイマの割り込みがないの
で、短絡時間積算回路STは計数を続ける。
【0040】ブロック41(Nt ) 上述したブロック38ないし40のループを繰り返して
短絡抽出単位時間ΔTに達したとき、制御期間Tn 時間
内の短絡抽出単位の回数Nt から1が減算される。ブロック42 (Nt =0) 短絡抽出単位の回数Nt が0でないときは、クロックタ
イマTMの次の短絡抽出単位時間ΔTに達するまで、前
述したループ37ないし40および41のループを繰り
返し、短絡時間の積算を続ける。Nt =0に達したとき
に、ブロック43A(図12のフローチャート)のルー
チンに入る。ブロック44 (Stn→0) 43A(図12のフローチャート)のルーチンが終了す
ると、短絡時間積算回路の計数値Stnがリセットされ、
ブロック37に戻り、ブロック38の出力電流通電終了
信号が入力されるまで、ブロック37からブロック42
までのループとブロック43A即ち、後述する図12の
ブロック51ないしブロック57のループとを繰り返
す。ブロック45 (終了) ブロック38において出力電流通電終了信号が入力され
るまではブロック39に進み、入力があるとブロック4
5で終了となる。
【0041】(図12の説明)以下の説明においては、
n回目の溶接出力値制御期間の時間Tn 内に計数した短
絡時間の積算値Stnから、次回のn+1 回目の溶接出力値
制御期間における溶接電圧設定値の修正量ΔVn+1 を得
て溶接出力値を修正して制御する場合について説明す
る。
【0042】ブロック51A(Stnの記憶) 前述した図8のフローチャートのブロック42の短絡抽
出単位の回数Nt が0に達したとき、ブロック39の短
絡時間積算回路STで計数した短絡回数時間の積算値S
tn(n回目の制御期間中の全短絡時間の和)をRAMに
記憶する。
【0043】ブロック52A(Nt の演算) n回目の制御期間中の短絡時間の積算値Stnを、n回目
の制御期間の長さTnのときの短絡抽出単位の回数Nn
(Nn =Tn /ΔT)で除算して、単位時間当りの短絡
時間率Rtu=Stn/Tn =Stn/Nn を得る。ブロック53A (ΔVn+1 の演算) 上記単位時間当りの短絡時間率Rtuと単位時間当りの目
標短絡時間率Rruとの差によって次のn+1回目の溶接
電圧設定値の修正量ΔVn+1 =K1(Rtu−Rru)を演
算する。ブロック54A (Tn+1 の演算) 上記単位時間当りの短絡時間率Rtuと単位時間当りの目
標短絡時間率Rruとの差の関数から、次のn+1回目の
溶接出力値制御期間の長さTn+1 =f(Rtu−Rru)を
演算する。ブロック55 上記溶接電圧設定値の修正量ΔVn+1 と制御期間Tn に
おける溶接出力設定値Vn とを加算して、n+1回目の
溶接出力値制御期間における溶接電圧設定値Vn+1 =V
n +ΔVn+1 を演算する。ブロック56 ブロック54Aで演算した次の制御期間における短絡抽
出単位の回数Nt+1 =Tn+1 /ΔTをNt にセットす
る。
【0044】ブロック57 溶接電圧設定値Vn+1 をD/Aから出力する。上記の図
12のブロック57において説明したn+1回目の制御
期間における溶接電圧設定値Vn+1 は、図7の制御装置
の溶接電圧比較回路CM1に出力されて、図7で説明し
たように、アーク電圧を制御する。このブロック57の
動作が終了すると、前述した図8のブロック44で短絡
時間率積算回路STをリセットした後に、ブロック37
に戻り、ブロック37ないしブロック42とブロック4
3A即ち、上記図12のブロック51ないし57のルー
プを繰り返す。図8のブロック38の出力電流通電終了
信号が入力されたとき、ブロック45で終了となる。
【0045】(実施例2)図9及び図13は、図2の請
求項2の対応図に示す制御方法の第2の実施例であっ
て、以下、図9及び図13を参照して請求項2の制御方
法について説明する。なお、請求項2の制御方法が適用
される制御装置は、実施例1と同様に図7に示す装置で
ある。図8及び図12で説明した請求項1の制御方法
は、1回の溶接出力値制御期間の長さTn が、単位時間
当りの短絡時間率Rtuと単位時間当りの目標短絡時間率
Rruとの差によって変化するものであった。例えば、実
施例1では0.1から1.0(秒)まで10段階で変化
するので、制御期間の長さTn が0.1(秒)で短いと
きは、溶接電圧設定値の修正量ΔVによって、直ちに溶
接出力値を制御することができるので応答速度は大であ
る。しかし、制御期間の長さTn が0.1(秒)のよう
に短い時には、1回の制御期間内のデータ数が少ないに
もかかわらず、制御期間の長さも直ちに応答し、さらに
前回の溶接電圧の修正量も応答し、これらを繰り返して
不安定現象が発生することがある。そこで、図2の請求
項2の対応図に示す制御方法は、サンプリング期間を予
め定めた一定の移動平均周期Tm を設定して、短絡時間
率移動平均値Rmuを変数にすることによって、次の制御
期間の長さTn+1 を定めて、上記のように制御期間の長
さが短くなったときにもデータ数の減少を防止して不安
定現象の発生を防止している。
【0046】(図9の説明)図9において図8と同一の
機能を有するブロックは、図8と同一の符号を付し、説
明を省略する。
【0047】ブロック46A 短絡抽出期間ΔTの間の短絡時間の積算値St を、RA
M内のFIF0メモリのSt1に格納する。このときF1
F0メモリは、1段シフトされてSt1の内容が放棄され
てSt2の内容がSt1に移され、同様にしてSt3〜Sti-1
がそれぞれ1段前に移されて、最新のi個のデータSt1
〜Stiが格納される。ブロック47A (Rmuの演算) FIF0メモリからSt1〜Stiを読み出して移動平均周
期Tm中の短絡時間の合計Stm=St1+St2+…+St
i、(但しi=Tm /ΔT)を、短絡抽出単位時間の経
過毎に演算する。ブロック4 8(積算値のリセット) ブロック47Aの合計値Stmの演算終了毎に、短絡時間
積算回路STの積算値St をリセットする。
【0048】ブロック42 ブロック37ないし42のル−チンがくりかえされ、ブ
ロック42でNt =0になるとブロック43Bに移り、
図13のル−チンが実行される。
【0049】(図13の説明)以下の説明においては、
n回目の制御期間の終了の直前の移動平均周期Tm の時
間内に計数した短絡時間率移動平均値Rmuから、次回の
n+1回目の溶接出力値制御期間の長さTn+1 及びその
期間における溶接電圧設定値の修正量ΔVn を演算し
て、この値によって溶接出力設定値を修正して制御する
場合について説明する。図13において、図12と同一
の機能を有するブロックは、図12と同一の符号を付
し、説明を省略する。
【0050】ブロック51B(Stmの読み込み) 図9のブロック47Aで演算したTm 中の短絡時間演算
値の合計Stmを読み込む。
【0051】ブロック52B(短絡時間率移動平均値R
muの演算) 短絡時間の演算値StmをTm で除算してTm における短
絡時間移動平均値Rmu=Stm/Tm を演算する。
【0052】ブロック53B(ΔVn+1 の演算) 移動平均周期Tm 内における単位時間当りの短絡時間率
移動平均値Rmuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruと
の差Rmu−Rruに対応したn+1回目の溶接電圧設定値
修正量ΔVn+1 =K1(Rmu−Rru)を演算する。ブロック54B (Tn+1 の演算) 上記短絡時間率移動平均値Rmuと単位時間当りの目標短
絡時間率Rruとの差の関数から、次のn+1回目の溶接
出力値制御期間の長さTn+1 =f(Rmu−Rru)を演算
する。
【0053】上記の図13のブロック57において出力
されるn+1回目の制御期間における溶接電圧設定値V
n+1 は、図12で説明した順序でアーク電圧を制御す
る。このブロック57の動作が終了すると、図12で説
明したのと同様にブロック37ないし42およびブロッ
ク51Bないし57のループを繰り返し、さらに溶接電
流終了によりブロック45で終了となる。
【0054】(実施例3)図10及び図14は、図3の
請求項3の対応図に示す制御方法の第3の実施例であ
る。図10は、実施例2で説明した図9において、1回
の制御期間中における全短絡時間Stnを累積記憶する行
程を46Aと47Aとの間に49として追加したもので
あり、その他は図9と全く同じである。
【0055】図10及び図14を参照して請求項3の制
御方法について説明する。なお、請求項3の制御方法が
適用される制御装置は、実施例1と同様に、図7に示す
装置である。図9及び図13で説明した請求項2の制御
方法は、溶接出力値制御期間の長さ及び溶接電圧設定値
の修正量ΔVr の変数値は、ともに移動平均周期Tm に
おける短絡時間率移動平均値Rmuであった。制御期間の
長さTn を決定する変数値は、移動平均周期Tm におけ
る短絡時間率移動平均値Rmuであるので、周期Tm を適
当に選定するときは常に充分なデータ数が確保でき、実
施例1の動作よりも、安定性が改善されている。しか
し、実施例2においては、溶接電圧設定値の修正量ΔV
の変数値も、短絡時間率移動平均値Rmuによって定まる
ために、変動した短絡時間率が移動平均周期Tm 内で平
滑化されてしまって、溶接電圧設定値の修正量ΔVが小
さい値になってしまい、結局、実施例1に比較して安定
性は改善されるが、応答速度が遅くなる可能性がある。
【0056】そこで、図3の請求項3の対応図に示す制
御方法は、請求項2と同様に、予め定めた一定の短絡抽
出回数Nm 、すなわち移動平均周期Tm を設定して、こ
の期間の短絡時間率移動平均値Rmuを変数値にすること
によって、次の制御期間の長さを定めるようにして、制
御期間の長さが短くなってもその繰り返しから生じる不
安定現象の発生を防止するとともに、溶接電圧設定値の
修正量ΔVの変数値を、図12の実施例1の制御方法と
同様に、1回の制御期間中Tn の短絡時間の合計の単位
時間当りの平均値、即ちTn 中の短絡時間率Rtuを採用
することによって、応答速度が遅くなることを防止して
いる。
【0057】(図14の説明)図14においては、図1
3の説明と同様に、n回目の溶接出力値制御期間の終了
の直前の移動平均周期Tm の時間内に計数した短絡時間
率移動平均値Rmuから、次回のn+1回目の溶接出力値
制御期間の長さTn+1 を演算するとともに、n回目の制
御期間Tn 中の全短絡時間Stnからこの期間中の短絡時
間率Rtuから次の制御期間における溶接電圧設定値の修
正量ΔVn+1 を演算して、この値によって溶接出力値を
修正して制御する場合について示している。図14にお
いて、図12または図13と同一の機能を有するブロッ
クは、図12または図13と同一の符号を付すと、すべ
ていずれかに属するので説明を省略する。
【0058】上記の各実施例においては、溶接出力設定
値及び溶接出力値制御期間の長さの決定をともに目標と
する短絡時間率との差を変数として、予め定められた関
数によって求めていた。本発明の第4ないし第6番目の
発明は、制御をより確実にするために溶接出力設定値
は、先の実施例と同様に短絡時間率の目標からの偏差に
よって求め、溶接出力値制御期間の長さは短絡時間率の
偏差と変化率とを入力条件としてファジイ推論によって
決定するようにしたものである。以下において、溶接出
力値制御期間の長さを決定する方法のみが前述の各実施
例と異なるのでこの部分のフロー図を示して説明する。
【0059】(実施例4)図15は、図4の請求項4の
対応図に示す制御方法の実施例のうち溶接出力値制御期
間の長さと溶接出力値設定値とを求める部分のルーチン
のフローチャートであり、請求項1の動作を説明する図
8のフローチャートのうちのブロック43Aに相当する
部分である。その他のフローチャートは図8のフローチ
ャートと同様である。それ故、請求項4の発明は、図8
のフローチャートのブロック43Aを図12から図15
に置きかえたものに相当するので、図12と同じ部分は
説明を省略し、図15において特有の部分のみについて
説明する。
【0060】ブロック54C(ファジイ推論によるTn+
1 の決定) 単位時間当りの短絡時間率Rtuと目標短絡時間率Rruと
の差ΔRt =Rtu−Rruと変化率dRtu=Rtu−Rtu-1
(但しRtu-1は前回、即ち(n−1)回目の制御期間T
n-1 における短絡時間率)とを入力条件として、ファジ
イ推論により(n+1)回目の制御期間の長さTn+1 を
決定する。なお、ファジイ推論の例については後に説明
する。
【0061】上記の図15のブロック57において出力
されたn+1回目の制御期間のための溶接電圧設定値V
n+1 は、図7の制御装置の溶接電圧比較回路CM1に出
力されて、図7で説明したように、アーク電圧を制御す
る。このブロック57の動作が終了すると、前述した図
8のブロック44で短絡時間の積算値Stnをリセットし
た後に、図8のブロック37に戻り、ブロック37ない
しブロック43Aと上記図15のブロック51Aないし
57のループとを繰り返す。図8のブロック38の出力
電流通電終了信号が入力されたとき、ブロック45で終
了となる。
【0062】(実施例5)図16は、図5の請求項5の
対応図に示す制御方法の実施例のうち溶接出力値制御期
間の長さの決定部分のフローチャートを主に示したもの
であり、前述の請求項2の動作を説明する図9のフロー
チャートのうちブロック43Bに相当するものである。
その他のフローチャートについては、図9のフローチャ
ートと同様である。それ故、請求項5の発明の動作は図
9のフローチャートのブロック43Bの部分を図13か
ら図16に置きかえたものに相当する。
【0063】図16において、図13と同じ部分は図1
3と同一の符号を付して、説明を省略し、図16におい
て特有の部分にみについて説明する。ブロック54D (ファジイ推論によるTn+1 の演算) n回目の溶接出力値制御期間の終了直前における短絡時
間率の移動平均値Rmuと目標短絡時間率Rruとの差ΔR
m =Rmu−Rruと変化率dRmu=Rmu−Rmu−1(但し
Rmu−1はRmuを演算した直前の回の移動平均値)とを
入力条件としてファジイ推論により(n+1)回目の制
御期間の長さTn+1 を決定する。
【0064】上記の図16のブロック57において出力
されたn+1回目の制御期間における溶接電圧設定値V
n+1 は、図7で説明したようにアーク電圧を制御する。
このブロック57の動作が終了すると、図9で説明した
順序でブロック37ないし42とブロック43B即ち、
図16のブロック51Bないし57のループを繰り返
し、さらにブロック45で終了となる。
【0065】(実施例6)図17は、図6の請求項6の
対応図に示す制御方法の実施例のうち、溶接出力値制御
期間の決定部分のフローチャートを主に示したものであ
り、前述の請求項3の動作を説明する図10のフローチ
ャートのうちブロック43Cに相当するものである。そ
の他のフローチャートは図10のフローチャートと同様
である。それ故、請求項6の発明の動作は図10のフロ
ーチャートのブロック43Cを図14から図17に置き
かえたものに相当する。図17においては、図14の制
御期間を決定するブロック54Bを図16のファジイ推
論により決定するブロック54Dに置き換えたものであ
り、n回目の溶接出力値制御期間の終了する直前の移動
平均周期Tm の時間内に計数した短絡時間率移動平均値
Rmuから、ファジイ推論によって次回のn+1回目の溶
接出力値制御期間の長さTn+1 を決定するとともに、n
回目の制御期間中の短絡時間率Rtuから次の制御期間に
おける溶接電圧設定値の修正量ΔVn を演算して、この
値によって溶接出力値を修正して制御する場合について
示している。図17において、各ブロックは図12,図
14および図16の各図符号をつけたブロックと同様で
あるので詳細な説明は省略する。
【0066】なお、図9及び図10において、移動平均
周期Tm 内の短絡時間の合計Stmの演算を行うブロック
47Aは、各抽出単位時間ΔTの経過する毎に行った
が、この演算は1回の制御期間Tn の終了時、即ちブロ
ック42でNt =0と判断されてブロック43B(43
C)に分岐するまでの間に行われればよい。さらに詳細
には、図9のブロック43Bに相当する図13のブロッ
ク53Bまたは図10のブロック43Cに相当する図1
4のブロック54Bの直前までに行うようにブロック4
7Aの挿入位置を変更してもよい。
【0067】同様に図16及び図17においても短絡時
間率移動平均値Rmuの演算は、遅くとも図16のブロッ
ク53Bまたは図17のブロック54Dの直前までに行
うようにすればよい。また短絡時間の積算値St のリセ
ットは、図9及び図10においてそれぞれブロック46
Aの次からブロック41の次までの間に行うようにその
挿入位置を変更してもよい。
【0068】(制御期間の長さTn+1 のファジイ推論の
例)次に請求項4ないし6において実施する制御期間の
長さTn+1 を決定するためのファジイ推論の例について
説明する。表1は本発明で用いる制御ルールの例であ
り、入力条件を短絡時間率の目標値からの偏差ΔRと偏
差の変化率dRとし、結論部に制御期間の長さTn+1 を
得るものを示している。ここで偏差の変化率dR=ΔR
/dtは、 dR=(ΔRn −ΔRn-1 )/dt ={(Rn −Rru)−(Rn-1 −Rru)}/dt =(Rn −Rn-1 )/dt ここで、(今回の短絡時間率をRtu)、(前回の短絡時
間率をRtu-1)とし、また、ΔRn ,ΔRn-1 をRtu,
Rtu-1,Rruで表わしたときは、dt=1となるのでd
R=Rtu−Rtu-1となり各請求項4ないし6におけるΔ
R及びdRは表2の通りの値を採用する。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】制御ルールを表1のように定めた理由は次
の通りである。但し、表1においてZは零、Nは Negat
ive ,即ちΔR<0,dR<0,PはPositive,即ちΔ
R>0,dR>0を示す。 (1)ΔR=Z,dR=Zのとき 偏差ΔRも変化率dRもともに零(Z)のときには、目
標通りの短絡時間率でかつ落ちついている状態であるか
ら、制御期間の長さTn+1 は長く(L)する。 (2)ΔR=N,dR=Nのとき ΔRがN(Negative,ΔRtu<ΔRru)、即ち短絡時間
率が目標値より少なく、かつ変化率dRもN(Negative
…減少)であるので、さらに短絡時間率が減少する方向
にあるために、変化は急であり、制御期間の長さTn+1
は短く(S)する。 (3)ΔR=P,dR=P ΔRがP(Positive,ΔRtu>ΔRru)でかつdRもP
であるときは、上記と逆に短絡回数が多く、かつさらに
増加しつつあるのでTn+1 はSとする。 (4)ΔR=N,dR=ZまたはΔR=P,dR=Zの
とき、この場合は、短絡時間率は目標からずれている
が、その変化率は零であるので、目標からずれた状態で
落ちついていることを示している。この場合は、ΔR≠
0のために次の制御期間における、出力設定値Pn+1 は
このΔRに対応してPn+1 =Pn +ΔPn+1 に修正され
るために、当然状態は変化し、短絡時間率も変化するの
で、この変化を早く検出するためにTn+1 はSとする。 (5)ΔR=Z,dR=NまたはΔR=Z,dR=Pの
とき、この場合には、目標との偏差が零であるが変化率
が零ではないので、変化の途中で短絡時間率が目標値と
一致したことを示している。これは修正動作により目標
に近づいたことを示しており、Tn+1 はM(中間)とす
る。 (6)ΔR=P,dR=NまたはΔR=NでdR=Pの
とき、偏差とその変化率との符号が逆であるので短絡時
間率が目標に近づきつつあり、修正動作の収束方向であ
るのでTn+1 =Mとする。
【0072】また図18は、ラベルを三つとした三角形
のメンバーシップ関数の例を示す。同図において、
(a)は短絡時間率の目標値との偏差ΔR(ΔRt ,Δ
Rm )、(b)は変化率dR(dRtu,dRmu)、
(c)はこれらからルール表1を適用して得られる制御
期間の長さTn+1 の各グレード変化を示している。な
お、制御期間の長さTn+1 のメンバーシップ関数は、過
渡応答性を良くするために若干左寄りに設定してある
が、これは他の装置の応答性に応じて実験により適宜定
めればよい。
【0073】次に表1及び図18を用いて制御期間の長
さTn+1 を決定するファジイ推論の手順について、図2
0ないし図25とともに説明する。いま、短絡時間率の
偏差ΔRが+2(目標値より2%多い)であり、変化率
dRが+5(5%増加している)であるときを考える。
図18のメンバーシップ関数に入力条件ΔR=+2,d
R=+5を記入した図19から、ΔRはZ=0.6とP
=0.1とで重なり、dRはZ=0.2とP=0.4と
で重なっている。それ故、上述の表1のルール表からΔ
RとdRの各ZとPに相当するルール(1)ないし
(4)が当てはまる。そこでファジイ推論は図20ない
し23に示すように ルール(1):(a)ΔR(Z)=0.6,(b)dR
(Z)=0.2であるので両者の論理積(MIN)を取
り(c)Tn+1 (L)は0.2以下を採用する。同様に
して、 ルール(2):(a)ΔR(Z)=0.6,(b)dR
(P)=0.4から(c)Tn+1 (M)=0.4以下、 ルール(3):(a)ΔR(P)=0.1,(b)dR
(Z)=0.2から(c)Tn+1 (S)=0.1以下、 ルール(4):(a)ΔR(P)=0.1,(b)dR
(P)=0.4から(c)Tn+1 (S)=0.1以下、 となり、結論部は図20ないし図23の各(c)の斜線
部に示す通りTn+1 (L)=0.2,Tn+1 (M)=
0.4,Tn+1 (S)=0.1となる。次に各ルール毎
の推論結果の結論部の論理和(MAX)を取ると図24
のようになる。図24の斜線部の重心を演算し(ディフ
ァジファイア処理)て、制御期間の長さTn+1 を得る。
この長さTn+1 を次の制御期間の長さとして出力する。
【0074】同様にして、もし入力条件がΔR=−3,
dR=+5なら、図18においてΔRはN(0.6),
Z(0.1),dRはZ(0.2),P(0.4)とで
重なるから表1のルール表においてルール(1)、
(2)、(5)、(6)が適用されることになり、Tn+
1 (L)=0.1,Tn+1 (M)=0.4,Tn+1
(S)=0.2となって推論結果は図25に示すように
なる。上記の結果から次回の制御期間の長さTn+1 を得
て、この期間の間は出力設定値Pn+1 =Pn +ΔPn+1
によって溶接出力が制御される。
【0075】(図11の説明)図11は、アルミニウム
のMIG溶接において、図12のブロック54Aで演算
したn+1回目の溶接出力値制御期間Tn+1 (縦軸)
(秒)と単位時間当りの短絡時間率Rtuから、単位時間
当りの目標短絡時間率Rruを減算した値の絶対値(横
軸)との関係を示す制御期間の関数図である。なお、本
実施例における制御期間の長さTn+1 は次のとおりであ
る。 |Rtu−Rru|≦10のとき、 Tn+1 =1.0−0.09×(|Rtu−Rru|) |Rtu−Rru|>10のとき、 Tn+1 =0.1
【0076】(実施例7)図26は請求項8の対応図で
あり、図7,図32および図35は請求項8の制御方法
を実施する第7の実施例であって、以下、図7、図32
及び図35を参照して請求項8の制御方法について説明
する。なお、請求項8の制御方法が適用される制御装置
は、実施例1と同様に図7に示す装置である。
【0077】(図32の説明)図32において、ブロッ
ク31ないし45はすべて図8の各ブロックと同様であ
るので、同機能のものに同符号を付して説明を省略す
る。即ち、図32は図8のフロ−チャ−トのブロック4
2がブロック43Dの中に組込まれたものであり、他は
全く同じフロ−を示している。それ故、図8と異なるブ
ロック43Dの部分のみについて説明する。
【0078】(図35の説明)以下の説明においては、
N回目の短絡抽出単位時間ΔTの終了によりn回目の溶
接出力値制御期間の始期からの経過時間N・ΔT内に計
数した短絡時間の積算値Stnから、最適な溶接出力値制
御期間の長さTc を演算し、算出された長さTc が所定
時間To よりも短いかまたは期間Tn が経過したときに
n+1回目の溶接出力値制御期間における溶接電圧設定
値の修正量ΔVn+1 を得て溶接出力値を修正して制御す
る場合について説明する。
【0079】ブロック51A(Stnの記憶) 前述した図32のフローチャートのブロック40のクロ
ックタイマTMの割り込みがあったとき、ブロック39
の短絡時間積算値Stn(n回目の制御期間の始期からの
短絡時間の積算値Stn)をRAMに記憶する。
【0080】ブロック52C(Rtuの演算) 短絡時間の積算値Stnを、n回目の制御期間のそれまで
の長さN・ΔT=Tn−Nt ・ΔTで除算して、単位時
間当りの短絡時間率Rtu=Stn/(Tn −Nt・ΔT)
を得る。ブロック54E (Tc の演算) 上記単位時間当りの短絡時間率Rtuと目標短絡時間率R
ruとの差の関数から、最適な溶接出力値制御期間の長さ
Tc =f(Rtu−Rru)を演算する。ブロック58ないし59 (Tc の判断およびTn 経過の
判断) ブロック54Eで算出したTc が予め定められた一定時
間To よりも短いか、または経過時間N・ΔTがn回目
の溶接出力制御期間の長さTn に達したとき、n回目の
溶接出力制御期間を終了し、ブロック53Aに進む。T
c >To でN・ΔT<Tn のときは図32のブロック3
7に戻り短絡時間の積算を続ける。ブロック53A (ΔVn+1 の演算) 上記算出した短絡時間率Rtuと目標短絡時間率Rruとの
差によって次のn+1回目の溶接電圧設定値の修正量Δ
Vn+1 =K1(Rtu−Rru)を演算する。ブロック55 上記溶接電圧設定値の修正量ΔVn+1 と制御期間Tn に
おける溶接出力設定値Vn とを加算して、n+1回目の
溶接出力値制御期間における溶接電圧設定値Vn+1 =V
n +ΔVn+1 を演算する。ブロック56A ブロック54Eで演算したTc を次の制御期間における
溶接出力制御期間の長さTn+1 にセットし(Tn+1 =T
c )、これから短絡抽出単位の回数Nt+1 =Tc /ΔT
を演算してNt+1 にセットする。
【0081】ブロック57 溶接電圧設定値Vn+1 をD/Aから出力する。上記の図
35のブロック57において説明したn+1回目の制御
期間における溶接電圧設定値Vn+1 は、図7の制御装置
の溶接電圧比較回路CM1に出力されて、図7で説明し
たように、アーク電圧を制御する。このブロック57の
動作が終了すると、前述した図32のブロック44で短
絡時間積算回路STの計数値Stnをリセットした後に、
ブロック37に戻り、ブロック37ないしブロック43
Dと上記図35のブロック51Aないし57のループを
繰り返す。図32のブロック38で出力電流通電終了信
号が入力されたとき、ブロック45で終了となる。
【0082】(実施例8)図27は請求項9の対応図で
あり、図33および図36は請求項9の制御方法を実施
する第8の実施例であって、以下、図33及び図36を
参照して請求項9の制御方法について説明する。なお、
請求項9の制御方法が適用される制御装置は、実施例7
と同様に図7に示す装置である。図32及び図35で説
明した請求項8の制御方法は、1回の溶接出力値制御期
間の長さTc が、単位時間当りの短絡時間率Rtuと目標
短絡時間率Rruとの差によって変化するものであった。
例えば、実施例7では0.1から1.0(秒)まで10
段階で変化するので、制御期間の長さTc が0.1
(秒)で短いときは、溶接電圧設定値の修正量ΔVによ
って、直ちに溶接出力値を制御することができるので応
答速度は大である。しかし、制御期間の長さTc が0.
1(秒)のように短い時には、1回の制御期間内のデー
タ数が少ないにもかかわらず、制御期間の長さTc も直
ちに応答し、さらに前回の溶接電圧の修正量も応答し、
これらを繰り返して不安定現象が発生することがある。
そこで、図27の請求項9の対応図に示す制御方法は、
サンプリング期間を予め定めた一定の移動平均周期Tm
を設定して、短絡時間率移動平均値Rmuを変数にするこ
とによって、次の制御期間の長さTc を定めて、上記の
ように制御期間の長さTc が短くなったときにもデータ
数の減少を防止して不安定現象の発生を防止している。
【0083】(図33の説明)図33において図32と
同一の機能を有するブロックは、図32と同一の符号を
付し、説明を省略する。
【0084】ブロック46A 1回の抽出単位時間ΔTの間の短絡時間St を積算し、
RAM内のFIF0メモリのStiに格納する。このとき
F1F0メモリは、1段シフトされてStiの内容が放棄
されてSt2の内容がSt1に移され、同様にしてSt3〜S
ti-1がそれぞれ1段前に移されて、最新のi個のデータ
St1〜Stiが格納される。ブロック47A (Stmの演算) FIF0メモリからSt1〜Stiを読み出して移動平均周
期Tm 中の短絡時間Stm=St1+St2+…+Sti、(但
しi=Tm /ΔT)を演算する。ブロック48 (Stn=0) ブロック47Aの短絡時間の合計積算値Stmの演算終了
毎に、短絡時間積算値St をリセットする。
【0085】(図36の説明)以下の説明においては、
N回目の短絡抽出単位時間の終了により直前の移動平均
周期Tm の時間内に計数した短絡時間率移動平均値Rmu
から、最適な溶接出力値制御期間の長さTc を演算し、
算出された長さTc が所定時間To よりも短いかまたは
期間Tn が経過したときに移動平均値Rmuと目標値Rru
との差からn+1回目の溶接出力値制御期間における溶
接電圧設定値の修正量ΔVn を演算して、この値によっ
て溶接出力設定値を修正して制御する場合について説明
する。図36において、図13および図35と同一の機
能を有するブロックは、図13および図35と同一の符
号を付し、説明を省略する。
【0086】ブロック54F(Tc の演算) ブロック51B,52Bにて得られた短絡時間率移動平
均値Rmuと目標短絡時間率Rruとの差の関数から、最適
な溶接出力値制御期間の長さTc =f(Rmu−Rru)を
演算する。ブロック53B (ΔVn+1 の演算) 移動平均周期Tm 内における単位時間当りの短絡時間率
移動平均値Rmuと目標短絡時間率Rruとの差ΔR=Rmu
−Rruに対応したn+1回目の設定溶接電圧修正量ΔV
n+1 =K1(Rmu−Rru)を演算する。
【0087】上記の図36のブロック57において出力
されたn+1回目の制御期間における溶接電圧設定値V
n+1 は、図35で説明したのと同様にアーク電圧を制御
する。このブロック57の動作が終了すると、図32で
説明したのと同様の順序で図33のブロック37ないし
43Eおよび図36のブロック51Bないし57のルー
プを繰り返し、さらに溶接電流通電終了指令信号が入力
されるとブロック45で終了となる。
【0088】(実施例9)図28は請求項10の対応図
であり、図34及び図37は請求項10の制御方法を実
施する第9の実施例である。図34は、実施例8で説明
した図33において、1回の制御期間中における全短絡
時間の積算値を記憶する行程をブロック46Aとブロッ
ク47Aとの間にブロック49として追加し、さらにブ
ロック43Fの次に短絡時間の積算値St をリセットす
るブロック44を挿入したものであり、その他は図33
と全く同じである。
【0089】図34及び図37を参照して請求項10の
制御方法について説明する。なお、請求項10の制御方
法が適用される制御装置は、実施例7と同様に、図7に
示す装置である。請求項9の制御方法においては、制御
期間の長さTc を決定する変数値は、移動平均周期Tm
における短絡時間率移動平均値Rmuであるので、周期T
m を適当に選定するときは常に充分なデータ数が確保で
き、実施例7の動作よりも、安定性が改善されている。
しかし、第8の実施例においては、溶接電圧設定値の修
正量ΔVの変数値も、短絡時間率移動平均値Rmuによっ
て定まるために、変動した短絡時間率が移動平均周期T
m 内で平滑化されてしまって、溶接電圧設定値の修正量
ΔVが小さい値になってしまい、結局、実施例7に比較
して安定性は改善されるが、応答速度が遅くなる可能性
がある。
【0090】そこで、図28の請求項10の対応図に示
す制御方法は、請求項9と同様に、予め定めた一定の短
絡抽出回数Nm 、すなわち移動平均周期Tm を設定し
て、この期間の短絡時間率移動平均値Rmuを変数値にす
ることによって、制御期間の長さを定めるようにして、
制御期間の長さが短くなってもその繰り返しから生じる
不安定現象の発生を防止するとともに、溶接電圧設定値
の修正量ΔVの変数値を、図35の実施例7の制御方法
と同様に、1回の制御期間中の短絡時間の合計から得ら
れる短絡時間率Rtuを採用することによって、応答速度
が遅くなることを防止している。
【0091】(図37の説明)図37においては、図3
6の説明と同様に、N回目の短絡抽出単位時間ΔTの終
了時に直前の移動平均周期Tm の時間内に計数した短絡
時間率移動平均値Rmuから、最適な溶接出力値制御期間
の長さTc を演算するとともに、この算出した長さTc
が所定値To より短かくなるか期間Tn が経過したとき
にn回目の制御期間Tn を終了し、この期間中の短絡時
間率のRtuを演算し、この値から次の制御期間における
溶接電圧設定値の修正量ΔVn+1 を演算して、この値に
よって溶接出力値を修正して制御する場合について示し
ている。図37において、図35または図36と同一の
機能を有するブロックは、図35または図36と同一の
符号を付すと、すべていずれかに属するので説明を省略
する。
【0092】上記第7ないし第9の各実施例において
も、短絡時間率RtuまたはRmuから単位時間当りの目標
短絡時間率Rruを減算した値の絶対値に対する溶接出力
値制御期間の長さTc との関係は、図11に示したもの
が用いられる。
【0093】本発明の第11ないし第13番目の発明
は、本発明の第4ないし第6の発明と同様に制御をより
確実にするために溶接出力設定値は、先の実施例と同様
に短絡時間率の目標からの偏差によって求め、溶接出力
値制御期間の長さは短絡時間率の偏差と変化率とを入力
条件としてファジイ推論によって決定するようにしたも
のである。以下において、溶接出力値制御期間の長さを
決定する方法のみが前述の各実施例と異なるのでこの部
分のフロー図を示して説明する。
【0094】(実施例10)図29は請求項11の対応
図であり、図38は図29に示す制御方法の実施例のう
ち溶接出力値制御期間の長さと溶接出力値設定値とを求
める部分のルーチンのフローチャートであり、請求項8
の動作を説明する図32のフローチャートのうちのブロ
ック43Dに相当する部分である。その他のフローチャ
ートは図32のフローチャートと同様である。それ故、
請求項11の発明は、図32のフローチャートのブロッ
ク43Dを図35から図38に置きかえたものに相当す
るので、図35と同じ部分は説明を省略し、図38にお
いて特有の部分のみについて説明する。
【0095】ブロック54G(ファジイ推論によるTc
の決定) 短絡抽出単位時間ΔTが経過する毎にその始期からの単
位時間当りの短絡時間率Rtuと単位時間当りの目標短絡
時間率Rruとの差ΔRt =Rtu−Rruと変化率dRtu=
Rtu−Rtu-1(但しRtu-1はRtuを演算した直前の回に
おける短絡時間率)とを入力条件として、ファジイ推論
により最適な制御期間の長さTc を決定する。なお、フ
ァジイ推論の例については後に説明する。
【0096】上記の図38のブロック57において出力
されたn+1回目の制御期間のための溶接電圧設定値V
n+1 は、図7の制御装置の溶接電圧比較回路CM1に出
力されて、図7で説明したように、アーク電圧を制御す
る。このブロック57の動作が終了すると、前述した図
32のブロック44で短絡時間の積算値Stnをリセット
した後に、図32のブロック37に戻り、ブロック37
ないしブロック43Dのループと上記図38のブロック
51Aないし57のループとを繰り返す。図32のブロ
ック38で出力電流通電終了信号が入力されたとき、ブ
ロック45で終了となる。
【0097】(実施例11)図30は請求項12の対応
図であり、図39は図30に示す制御方法の実施例のう
ち溶接出力値制御期間の長さの決定部分のフローチャー
トを主に示したものであり、前述の請求項9の動作を説
明する図33のフローチャートのうちブロック43Eに
相当するものである。その他のフローチャートについて
は、図33のフローチャートと同様である。それ故、請
求項12の発明の動作は図33のフローチャートのブロ
ック43Eの部分を図36から図39に置きかえたもの
に相当する。
【0098】図39において、図36と同一の機能を有
するブロックには、図36と同一の符号を付し、説明を
省略する。ブロック54H (ファジイ推論によるTc の演算) 短絡抽出単位時間ΔTの経過する毎に直前の短絡時間率
の移動平均値Rmuと目標短絡時間率Rruとの差ΔRm =
Rmu−Rruと変化率dRmu=Rmu−Rmu−1(但しRmu
−1はRmuを演算した直前の回の移動平均値)とを入力
条件としてファジイ推論により最適な制御期間の長さT
c を決定する。
【0099】上記の図39のブロック57において出力
されたn+1回目の制御期間における溶接電圧設定値V
n+1 は、図35で説明した順序でアーク電圧を制御す
る。このブロック57の動作が終了すると、図33のブ
ロック37に戻り、以後ブロック37ないし43Eと図
39のブロック51Bないし57のループを繰り返し、
さらにブロック45で終了となる。
【0100】(実施例12)図31は請求項13の対応
図であり、図40は図31に示す制御方法の実施例のう
ち、溶接出力値制御期間の決定部分のフローチャートを
主に示したものであり、前述の請求項10の動作を説明
する図34のフローチャートのうちブロック43Fに相
当するものである。その他のフローチャートは図34の
フローチャートと同様である。それ故、請求項13の発
明の動作は図34のフローチャートのブロック43Fを
図37から図40に置きかえたものに相当する。
【0101】図40においては、図37と同様にN回目
の短絡抽出単位時間ΔTの終了する直前の移動平均周期
Tm の時間内の短絡時間率移動平均値Rmuから、ファジ
イ推論によって最適な溶接出力値制御期間の長さTc を
決定するとともに、算出された長さTc が所定時間To
より短かいかまたは期間Tn が経過したときにn回目の
制御期間中の単位時間当りの短絡時間率Rtuから次の制
御期間における溶接電圧設定値の修正量ΔVn を演算し
て、この値によって溶接出力値を修正して制御する場合
について示している。図40において、各ブロックは図
35,図39と同機能のものに同符号を付すとこれらに
すべて含まれるので詳細な説明は省略する。
【0102】(制御期間の長さTc のファジイ推論の
例)次に請求項11ないし13において実施する最適な
制御期間の長さTc を決定するためのファジイ推論の例
について説明する。請求項11ないし13の発明におい
て用いる制御ルールとして、さきの請求項4ないし6に
おいて用いた表1の制御ルールを用い、また短絡時間率
の目標値からの偏差ΔRおよびその変化率dRも表2の
値を採用するものとする。また、表1の制御ル−ルを用
いるときのメンバーシップ関数も、図18のものを採用
する。
【0103】表1及び図18を用るときには制御期間の
長さTc を決定するファジイ推論の手順は、先の第4な
いし第6の発明において図19ないし図25によって説
明した手順と同様にして推論が行われる。
【0104】(実施例13)図41は、本発明のアーク
長制御方法を、パルスMAGアーク溶接制御装置に適用
したときのブロック図である。図7の制御回路において
は、溶接電圧検出信号Vd と溶接電圧設定信号Vr とを
溶接電圧比較回路CM1で比較して、その差の溶接出力
(電圧)値制御信号Ps によって溶接出力値の制御を含
む溶接電源制御回路PSを制御したので、溶接出力電圧
値Vを直接に制御する定電圧特性の溶接制御回路であっ
た。これに対して、図41の制御回路においては、後述
するように、パルス電圧値Vp及びベース電圧値Vb は
ともに一定値のままで、パルス周波数fを制御すること
によって、パルス電流の平均値を変化させ、ワイヤ溶融
速度を変化させてアーク長を略一定にするように制御し
ている。図41において、図7の制御回路と同一の機能
を有する構成要素は同一の符号を使用して説明を省略
し、以下、追加された構成要素について説明する。パル
ス電流値設定回路IP1は、パルス電流値を設定しパル
ス電流値信号Ip1を出力する。ベース電流設定回路IB
1は、ベース電流を設定しベース電流設定信号Ib1を出
力する。パルス幅設定回路TP1はパルス幅を設定しパ
ルス幅設定信号Tp1を出力する。溶接電圧比較回路CM
1は、図7と同様に溶接電圧検出信号Vd と溶接電圧設
定信号Vr との差の溶接電圧制御信号Cm1を出力する。
パルス周波数制御回路VFは、溶接電圧制御信号Cm1を
入力として、アーク長が大になり短絡時間率が減少した
ときは、この信号Cm1が大となり、回路VFから出力さ
れるパルス周波数制御信号Vf は大となり、逆に、アー
ク長が小になり短絡時間率が増加したときは、この信号
Cm1が小となり、回路VFから出力されるパルス周波数
制御信号Vf は小となる。
【0105】パルス幅周波数制御回路DFは、パルス周
波数制御信号Vf 及びパルス幅設定信号Tp1を入力とす
る単安定マルチ回路を構成要素とする回路であって、パ
ルス周波数fと同一周波数のパルス幅設定信号Tp1のパ
ルス幅のパルス幅周波数制御信号Df を出力する。パル
スベース電流切換回路SW1は、パルス電流値設定信号
Ip1で定まる尖頭値と、パルス幅周波数制御信号Df で
定まるパルス幅とのパルス溶接電流に相当する信号と、
ベース電流設定信号Ib1に相当する信号とをパルス周波
数制御信号Vf のパルス周波数fで切り換えて、パルス
制御信号Pf を出力する。溶接電流比較回路CM2は、
溶接電流検出信号Id の瞬時値とパルス制御信号Pf と
を比較し、その差の溶接出力値制御信号Ps を溶接出力
値の制御を含む溶接電源制御回路PSに出力する。
【0106】図41においては、溶接電圧制御信号Cm1
によってパルス周波数fを制御することによってパルス
電流の平均値を変化させ、ワイヤ溶融速度を変化させて
アーク長を略一定値に制御するようにしたが、信号Cm1
によってパルス幅TPまたはパルス電流値IPを変化さ
せるかまたはfとTPとIPとのいずれか2つまたはこ
れら3つを同時に制御することによってパルス電流の平
均値を変化させ、ワイヤ溶融速度を変化させてアーク長
を略一定値に制御するようにしてもよい。また、ベース
電流値Ib を制御してワイヤ溶融速度を変化させるか、
さらに、溶接出力値を制御してワイヤ溶融速度を変化さ
せる代りに、ワイヤ送給速度を変化させることによって
アーク長を略一定値に制御するようにしてもよい。
【0107】(実施例14)図42は、本発明のアーク
長制御方法を、ワイヤ送給速度制御回路WSを制御して
ワイヤ送給速度を制御することによって、アーク長を制
御する制御装置に適用したときのブロック図である。図
7の実施例1及び図41の実施例13は、ワイヤ送給速
度は予め定めた略一定値で送給しておき、溶接電源の出
力電圧値または出力電流の平均値を制御してワイヤ溶融
速度を増減させることによってアーク長略一定値に制御
する方式であるのに対して、図42の制御方法は、ワイ
ヤ溶融速度のみを制御することなく、ワイヤ送給速度を
制御することによってアーク長を略一定値に制御する方
式である。
【0108】図42において、図7と同一の機能を有す
る構成要素は同一の符号を使用して説明を省略し、以
下、変更された構成要素について説明する。図7のワイ
ヤ送給制御回路WCの代りに、図42においては、ワイ
ヤ送給速度制御回路WSが使用され、この制御回路WS
には、図12ないし図17および図35ないし図40の
ブロック55から出力される溶接電圧設定信号Vr が入
力され、その制御回路WSからワイヤ送給モータWMに
ワイヤ送給速度信号Ws が供給されて、アーク長が略一
定値になるようにワイヤ送給速度が制御される。
【0109】また、図7の溶接電圧比較回路CM1の代
りに、図42においても、溶接電流比較回路CM2が使
用され、平均溶接電流設定信号Ir と溶接電流検出信号
Idとが比較され、溶接出力値制御信号Ps が溶接電源
制御回路PSに入力されて、溶接出力電流値を略一定値
になるように制御している。
【0110】(請求項の構成要素と実施例の構成要素と
の関係)各請求項の溶接出力設定値の修正量ΔPn+1 及
び溶接出力設定値Pn またはPn+1 は、各実施例におい
ては次のとおりとなる。図7の実施例のような溶接電源
制御回路の溶接出力電圧値を制御するときは、それぞれ
設定溶接電圧の修正量ΔVn+1 及び溶接電圧設定値Vn
またはVn+1 となる。図41の実施例のようなパルスM
AGアーク溶接制御装置のパルス周波数、パルス幅、パ
ルス電流値またはベース電流値を制御するときは、それ
ぞれの設定値となりこれらの設定値によって平均溶接電
流が変化するので、設定溶接電流の修正量ΔIn+1 及び
溶接電流設定値In またはIn+1 となる。さらに、図4
2の実施例のようなワイヤ送給速度制御装置を制御する
ときは、それぞれ設定ワイヤ送給速度の修正量ΔFn+1
及びワイヤ送給速度設定値Fn またはFn+1 となる。
【0111】
【発明の効果】 (図45の説明)図45は、従来技術の図51と同一の
溶接条件として本発明の第1ないし第6の発明の方法を
実施したときの実測結果を示す図である。すなわち、測
定条件は、直径1.6(mm)のアルミニウム合金ワイヤ
A5183をアルゴンガスでシールドしてアルミニウム
材A5083をMIGアーク溶接したときの溶接電流値
I(A)、溶接電圧値V(V)及び単位時間当りの短絡
時間率Rtu(%)(縦軸)の時間的経過t(秒)(横
軸)を示す図である。同図において、溶接電圧の設定値
を粗設定してアークスタート直後の溶接電圧値が20
(V)であって、溶接電流値が200(A)で、単位時
間当りの短絡時間率Rtu=4.0(%)であったとき、
溶接電圧の平均値を、溶接電流の平均値200(A)に
対する予め定めた適正値22(V)まで、自動的に増加
するまでの過渡応答時間Ttrは約1(秒)に短縮され
た。図45のアルミニウムのMIG溶接においては、図
51の従来技術の過渡応答時間Ttr=7(秒)に比較し
て、本発明の第1ないし第6の発明の制御方法の過渡応
答時間はTtr=1(秒)と極めて大きな短縮を実現する
ことができた。
【0112】(図46の説明)図46は、従来技術の図
52と同一の溶接条件として本発明の第1ないし第6の
発明の方法を実施したときの実測結果を示す図である。
すなわち、溶接条件は、直径1.2(mm)の軟鋼ワイヤ
YGWを、炭酸ガス20%とアルゴンガス80%との混
合ガスでシールドして軟鋼材をMAG溶接したときの溶
接電流値I(A)、溶接電圧値V(V)及び単位時間当
りの短絡時間率Rtu(%)(縦軸)の時間的経過t
(秒)(横軸)を示す図である。同図において、溶接電
圧の設定値を粗設定してアークスタートした直後の溶接
電圧値が28(V)で溶接電流値が300(A)で、単
位時間当りの短絡時間率Rtu=2.0(%)であったと
き、溶接電圧の平均値を、溶接電流の平均値300
(A)に対する予め定めた適正値32(V)まで、自動
的に増加したときの過渡応答時間Ttrは約1(秒)に短
縮された。このように軟鋼のMAG溶接においても、図
52の従来技術の過渡応答時間Ttr=5(秒)に比較し
て、図46の本発明の本発明の第1ないし第6の発明の
制御方法の過渡応答時間はTtr=1(秒)と極めて大き
な短縮を実現することができた。
【0113】(図47の説明)図47は、従来技術の図
53と同一の溶接条件として本発明の第1ないし第6の
発明の方法を実施したときの実測結果を示す図である。
すなわち、溶接条件は、直径1.6(mm)のアルミニウ
ム合金ワイヤA5183をアルゴンガスでシールドして
定速度で送給し、本発明の制御方法を用いてMIG溶接
したときの溶接電流値I(A)、溶接電圧値V(V)及
び単位時間当りの目標短絡時間率Rru=0.5(%)
で、シールドガス流量を15(リットル/分)で、溶接
電圧値Vが溶接電流値I=200(A)に対する適正値
の21(V)で安定した溶接中に、シールドガス流量を
30(リットル/分)に強制的に切り換えると、図53
で説明した理由によって、単位時間当りの短絡時間率R
tuが2.0(%)程度まで大幅に増加するが、アーク長
が目標短絡時間率Rru=0.5(%)に相当する値に復
帰するまでの過渡応答時間Ttrは約1(秒)に短縮され
た。このように、前述した外乱に対しても、図53の従
来技術の過渡応答時間Ttr=4(秒)に比較して、図4
7の本発明の第1ないし第6の制御方法の過渡応答時間
はTtr=1(秒)と大きな短縮を実現することができ
た。
【0114】(図48の説明)図48は、従来技術の図
51と同一の溶接条件として本発明の第8ないし第13
の発明の制御方法を実施したときの実測結果を示す図で
ある。すなわち、同図において、溶接電圧の設定値を粗
設定してアークスタートし、直後の溶接電圧値が20
(V)、溶接電流値が200(A)、単位時間当りの短
絡時間率Rtu=4.0(%)であったとき、溶接電圧の
平均値が溶接電流の平均値200(A)に対する適正値
22(V)まで自動的に増加するまでの応答時間を示す
している。なおこの場合、制御期間の終了を判断するた
めの一定時間としてTo =0.2秒とした。同図から判
るように、図51の従来技術の過渡応答時間Ttr=7
(秒)に比較して、本発明の第8ないし第13の発明の
方法によるときの過渡応答時間はTtr=0.7(秒)と
極めて大きな短縮を実現することができた。
【0115】(図49の説明)図49は、従来技術の図
52と同一の溶接条件として本発明の第8ないし第13
の発明の制御方法を実施したときの実測結果を示す図で
ある。すなわち、同図において、溶接電圧の設定値を粗
設定してアークスタートし、直後の溶接電圧値が28
(V)、溶接電流値が300(A)、単位時間当りの短
絡時間率Rtu=2.0(%)であったとき、溶接電圧の
平均値が溶接電流の平均値300(A)に対する適正値
32(V)になるまでの様子を示したものである。この
場合も図48と同様にTo =0.2秒とした。同図から
判るように軟鋼のMAG溶接においても、図52の従来
技術の過渡応答時間Ttr=5(秒)に比較して、本発明
の第8ないし第13の方法の過渡応答時間はTtr=0.
7(秒)と極めて大きな短縮を実現することができた。
【0116】(図50の説明)図50は、従来技術の図
53と同一の溶接条件として本発明の第8ないし第13
の発明の制御方法を実施したときの実測結果を示す図で
ある。すなわち、単位時間当りの目標短絡時間率Rru=
0.5(%)、制御期間の終了を判定する所定時間To
=0.2秒、シールドガス流量を15(リットル/
分)、溶接電圧値Vが溶接電流値I=200(A)に対
する適正値の21(V)で安定した溶接中に、シールド
ガス流量を30(リットル/分)に強制的に切り換えた
場合の変化であって、図32で説明した理由によって、
短絡時間率Rtuが2.0(%)程度まで増加するが、ア
ーク長を単位時間当りの目標短絡時間率Rru=0.5
(%)に相当する値に復帰させたときの様子を示したも
のである。同図から判るように前述した外乱に対して
も、図53の従来技術の過渡応答時間Ttr=4(秒)に
比較して、本発明の第8ないし第13の発明の制御方法
の過渡応答時間はTtr=0.7(秒)と大きな短縮を実
現することができた。
【0117】(その他の効果)本発明の制御方法におい
て、従来技術の効果である手振れ現象、すなわち半自動
溶接中に溶接用トーチが上下方向に動いて、電極チップ
4と被溶接物2との距離が急変したときにおいても、短
絡時間率が大きく急変するので、急変した短絡時間率と
目標短絡時間率とを比較して、溶接出力設定値の修正量
ΔPまたは溶接出力値制御期間Tc またはその両者を変
化させることによって、適正アーク長に制御する過渡応
答時間Ttrを従来技術と同様に短縮する効果をも備えて
いる。本発明のアーク長制御方法によれば、アークスタ
ート直後に適正なアーク長に制御する過渡応答時間が、
前述したように、従来技術の7(秒)ないし4(秒)か
ら1(秒)ないし0.7(秒)に大きく短縮することが
できたので、溶接開始位置におけるワイヤ先端の突立
ち、ワイヤ先端の飛散、バーンバック、スパッタの発
生、溶け込み過大、溶け込み不足等を改善することがで
きた。
【0118】本発明のアーク長制御方法は、強硬な酸化
皮膜の発生しやすいアルミニウムまたはマグネシウムま
たはそれらの合金のMIGアーク溶接に対して特に効果
が大である。すなわち、前述したように、アルミニウム
のMIG溶接をする場合、逆極性のときにアークの陰極
点が酸化皮膜を求めて移動するために、実際のアーク長
が頻繁に変動しても、見かけのアーク長が変化しないで
単位時間内の短絡時間率が変化しないときは、溶接出力
値制御期間が長いために、溶接出力値制御が長い期間で
制御され、したがってハンチング現象が生じず、安定し
たアークが継続する。逆に、見かけのアーク長が変動し
たとき、溶接出力制御が短い期間で制御されるので、過
渡応答性がよく、したがってワイヤ送給速度の変動、ワ
イヤ突き出し長さの変動等の外乱に対して、速に制御す
ることができ、その結果、溶接ビードの外観が良好で、
溶け込み深さも略一定値となる。
【0119】さらに、本発明のアーク長制御方法は、溶
接電流値を設定するだけで溶接電圧値を自動的に予め定
めた適正値に制御する一元調整方式を採用しているの
で、溶接条件の設定が短時間に容易にできる。その他、
最近急速に普及している鋼、ステンレス鋼等の薄板の高
速度溶接においては、アーク長を短くして溶接するの
で、アーク長の許容値が狭くなるために、アーク長制御
の過渡応答性がすぐれていないと短絡が頻繁に発生して
スパッタが多く発生しやすいのに対して、本発明のアー
ク長制御方法では、過渡応答性にすぐれ、また安定性も
すぐれているため、アーク長の変動を極めて小さくする
ことができるので、短絡時間が長くなったり短絡時間率
が増加しすぎてスパッタが増加することを防ぐことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の対応図。
【図2】請求項2の対応図。
【図3】請求項3の対応図。
【図4】請求項4の対応図。
【図5】請求項5の対応図。
【図6】請求項6の対応図。
【図7】本発明のア−ク長制御方法を直流ア−ク溶接制
御装置に適用したときのブロック図。
【図8】請求項1及び請求項4の制御方法のフロ−チャ
−トの1/2。
【図9】請求項2及び請求項5のフロ−チャ−トの1/
2。
【図10】請求項3及び請求項6のフロ−チャ−トの1
/2。
【図11】本発明をアルミニウムのMIGア−ク溶接の
ア−ク長制御方法に実施したときにおける溶接出力値制
御期間中の短絡時間率RtuまたはRmuと目標短絡時間率
Rruとの差(横軸)と、次回の溶接出力値制御期間の長
さTn+1 またはTc (縦軸)との関係を示す制御期間関
数図。
【図12】請求項1の制御方法のフロ−チャ−トの2/
2。
【図13】請求項2の制御方法のフロ−チャ−トの2/
2。
【図14】請求項3の制御方法のフロ−チャ−トの2/
2。
【図15】請求項4の制御方法のフロ−チャ−トの2/
2。
【図16】請求項5の制御方法のフロ−チャ−トの2/
2。
【図17】請求項6の制御方法のフロ−チャ−トの2/
2。
【図18】本発明の請求項4ないし6および請求項11
ないし13において用いるファジィ推論において適用す
るメンバ−シップ関数の例を示す図。
【図19】図18のメンバ−シップ関数において入力条
件ΔR=+2 dR=+5としたときの重なりを求める
図。
【図20】表1のル−ル(1)におけるファジィ推論の
過程を説明するための図。
【図21】表1のル−ル(2)におけるファジィ推論の
過程を説明するための図。
【図22】表1のル−ル(3)におけるファジィ推論の
過程を説明するための図。
【図23】表1のル−ル(4)におけるファジィ推論の
過程を説明するための図。
【図24】ル−ル(1)からル−ル(4)の結果の論理
和(MAX)を取った結果を示す図。
【図25】入力条件ΔR=−3 dR=+5のときのフ
ァジィ推論の結果を示す図。
【図26】請求項8の対応図。
【図27】請求項9の対応図。
【図28】請求項10の対応図。
【図29】請求項11の対応図。
【図30】請求項12の対応図。
【図31】請求項13の対応図。
【図32】請求項8及び請求項11の制御方法のフロ−
チャ−トの1/2。
【図33】請求項9及び請求項12のフロ−チャ−トの
1/2。
【図34】請求項10及び請求項13のフロ−チャ−ト
の1/2。
【図35】請求項8の制御方法のフロ−チャ−トの2/
2。
【図36】請求項9の制御方法のフロ−チャ−トの2/
2。
【図37】請求項10の制御方法のフロ−チャ−トの2
/2。
【図38】請求項11の制御方法のフロ−チャ−トの2
/2。
【図39】請求項12の制御方法のフロ−チャ−トの2
/2。
【図40】請求項13の制御方法のフロ−チャ−トの2
/2。
【図41】本発明のア−ク長制御方法をパルスMAGア
−ク溶接制御装置に適用したときのブロック図。
【図42】本発明のア−ク長制御方法をワイヤ送給速度
制御装置に適用したときのブロック図。
【図43】ア−ク長変化の説明図。
【図44】アルミニウムMIG溶接のア−クの外部特性
図。
【図45】本発明の第1ないし第6の発明のア−ク長制
御方法をアルミニウムのMIGア−ク溶接に適用した場
合おいて、ア−クスタ−ト直後の溶接電圧値から適正な
溶接電圧値に達するまでの変化を示す図。
【図46】本発明の第1ないし第6の発明のア−ク長制
御方法を軟鋼のMAGア−ク溶接に適用した場合におい
て、ア−クスタ−ト直後の溶接電圧値から適正な溶接電
圧値に達するまでの変化を示す図。
【図47】本発明の第1ないし第6のア−ク長制御方法
をアルミニウムのMIGア−ク溶接に適用した場合にお
いて、クリ−ニング幅が変化してア−ク長が変化したと
きから短絡時間率が目標短絡時間率Rruに復帰するまで
の変化を示す図。
【図48】本発明の第8ないし第13の発明のア−ク長
制御方法をアルミニウムのMIGア−ク溶接に適用した
場合おいて、ア−クスタ−ト直後の溶接電圧値から適正
な溶接電圧値に達するまでの変化を示す図。
【図49】本発明の第8ないし第13の発明のア−ク長
制御方法を軟鋼のMAGア−ク溶接に適用した場合にお
いて、ア−クスタ−ト直後の溶接電圧値から適正な溶接
電圧値に達するまでの変化を示す図。
【図50】本発明の第8ないし第13の発明のア−ク長
制御方法をアルミニウムのMIGア−ク溶接に適用した
場合において、クリ−ニング幅が変化してア−ク長が変
化したときから、短絡時間率が目標短絡時間率Rruに復
帰するまでの変化を示す図。
【図51】従来技術を用いたアルミニウムのMIGア−
ク溶接において、ア−クスタ−ト直後の溶接電圧値から
適正な溶接電圧値に達するまでの変化を示す図。
【図52】従来技術を用いた軟鋼のMAGア−ク溶接に
おいて、ア−クスタ−ト直後の溶接電圧値から適正な溶
接電圧値に達するまでの変化を示す図。
【図53】従来技術を用いたアルミニウムのMIGア−
ク溶接において、クリ−ニング幅が変化してア−ク長が
変化したときから短絡時間率が目標短絡時間率Rruに復
帰するまでの変化を示す図。
【符号の説明】
1 消耗電極 1a 消耗電極の先端(ワイヤ先端) 2 被溶接物 4 電極チップ AC 商用電源 PS (溶接出力値の制御を含む)溶接電源回路 WM ワイヤ送給モ−タ WC ワイヤ送給制御回路 WS ワイヤ送給速度制御回路 IR 平均溶接電流設定回路 VD 溶接電圧検出回路 ID 溶接電流検出回路 ST 短絡時間積算回路 CM1 溶接電圧比較回路 CM2 溶接電流比較回路 WK 短絡割り込み回路 CPU 中央演算処理回路 TM 短絡抽出単位クロックタイマ ROM 読み出し専用記憶回路 RAM 書き込み読み出し記憶回路 ΔT 短絡抽出単位時間 Tn n回目の溶接出力値制御期間の長さ Tn+1 n+1回目の溶接出力値制御期間の長さ Tm 移動平均周期 Tc 最適な溶接出力値制御期間の長さ Rtu 短絡時間率 Rmu 短絡時間率移動平均値 Rru 目標短絡時間率 ΔRt 短絡時間率の目標値からの偏差(ΔRt =Rtu
−Rru) ΔRm 移動平均時間内の短絡時間率の目標値からの偏
差(ΔRmu=Rmu−Rru) dRtu 短絡時間率の変化率(dRtu=Rtu−Rtu-1) dRmu 移動平均時間内の短絡時間率の変化率(dRmu
=Rmu−Rmu-1) i 移動平均周期Tm 中の短絡抽出単位の回数(i
=Tm /ΔT) N n回目の制御期間の始期からの短絡抽出単位時
間の経過回数 Nt 1回の制御期間中の短絡抽出単位の回数(Nt
=Tn /ΔT) Pn n回目の制御期間における溶接出力設定値 Pn+1 n+1回目の制御期間における溶接出力設定値 ΔPn+1 n+1回目の制御期間に対する溶接出力設定
値の修正量 Vr 溶接電圧設定値 Vo 溶接電圧設定値の初期値 Vn n回目の制御期間における溶接電圧設定値 Vn+1 n+1回目の制御期間における溶接電圧設定値 ΔVn+1 n+1回目の制御期間Tn+1 における溶接電
圧の設定値修正量 Ttr 過渡応答時間 Stn n回目の溶接出力制御期間における短絡時間
の積算値 Stm 移動平均周期Tm 中における短絡時間の積算
値 Sti i番目の抽出単位時間ΔT中における短絡時
間の積算値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−38856(JP,A) 特開 昭50−1051(JP,A) 特開 昭62−156076(JP,A) 特開 昭62−234663(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/172 B23K 9/12 G05B 19/18 B23K 9/073

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不活性ガスを主成分とするシ−ルドガス
    を使用し消耗電極を送給してア−ク溶接するGMA溶接
    のア−ク長制御方法において、n回目の溶接出力値制御
    期間Tn 中の短絡時間を積算し、前記短絡時間の積算値
    Stnを前記溶接出力値制御期間の長さTn で除算して単
    位時間当りの短絡時間率Rtuを演算し、前記短絡時間率
    Rtuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差Rtu−
    Rruに対応したn+1回目の溶接出力値制御期間におけ
    る溶接出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記短絡時間率R
    tuと前記目標短絡時間率Rruとの差の関数f(Rtu−R
    ru)から次のn+1回目の溶接出力値制御期間の長さT
    n+1 を演算し、前記溶接出力修正量ΔPn+1 とn回目の
    溶接出力値制御周期Tn 中における溶接出力設定値Pn
    とを加算してPn+1 =Pn +ΔPn+1 を出力設定値とし
    てn+1回目の溶接出力値制御期間Tn+1 における溶接
    出力値を制御するとともに、n+1回目の溶接出力値制
    御期間中の短絡時間の積算を開始し、以後溶接電流の通
    電終了まで繰り返すGMA溶接のア−ク長制御方法。
  2. 【請求項2】 不活性ガスを主成分とするシ−ルドガス
    を使用し消耗性電極を送給してア−ク溶接するGMA溶
    接のア−ク長制御方法において、n回目の溶接出力値制
    御期間の終了の直前の移動平均周期Tm 中の短絡時間の
    積算値Stmを前記移動平均周期Tm で除算して短絡時間
    率移動平均値Rmu=Stm/Tm を演算し、前記移動平均
    値Rmuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差Rmu
    −Rruに対応したn+1回目の溶接出力値制御期間にお
    ける溶接出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記平均値Rmu
    と目標短絡時間率Rruとの差の関数f(Rmu−Rru)に
    対応した次のn+1回目の溶接出力値制御期間の長さT
    n+1 を演算し、前記溶接出力修正量ΔPn+1 と前記n回
    目の制御期間における溶接出力設定値Pn とを加算して
    Pn+1 =Pn +ΔPn+1 を溶接出力設定値としてn+1
    回目の溶接出力値制御期間における溶接出力値を制御す
    るとともに、n+1回目の溶接出力値制御期間Tn+1 中
    の短絡時間の積算を開始し、以後溶接電流の通電終了ま
    で繰り返すGMA溶接のア−ク長制御方法。
  3. 【請求項3】 不活性ガスを主成分とするシ−ルドガス
    を使用し消耗性電極を送給してア−ク溶接するGMA溶
    接のア−ク長制御方法において、n回目の溶接出力値制
    御期間の終了直前の移動平均周期Tm 中の短絡時間の積
    算値Stmを前記移動平均周期Tm で除算して前記移動平
    均周期Tm 中の短絡時間率移動平均値Rmu=Stm/Tm
    を演算し、n回目の溶接出力値制御期間中の短絡時間を
    積算し、前記短絡時間の積算値Stnを前記n回目の制御
    期間の長さTn で除算して単位時間当りの短絡時間率R
    tu=Stn/Tn を演算し、前記短絡時間率Rtuと単位時
    間当りの目標短絡時間率Rruとの差Rtu−Rruに対応し
    たn+1回目の溶接出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記
    移動平均値Rmuと前記目標短絡時間率Rruとの差の関数
    f(Rmu−Rru)に対応した次のn+1回目の溶接出力
    値制御期間の長さTn+1 を演算し、前記溶接出力修正量
    ΔPn+1 と前記n回目の制御期間Tn における溶接出力
    設定値Pn とを加算してPn+1 =Pn +ΔPn+1 を溶接
    出力設定値としてn+1回目の溶接出力値制御期間にお
    ける溶接出力値を制御するとともに、n+1回目の溶接
    出力値制御期間中の短絡時間の積算を開始し、以後溶接
    電流の通電終了まで繰り返すGMA溶接のア−ク長制御
    方法。
  4. 【請求項4】 不活性ガスを主成分とするシ−ルドガス
    を使用し消耗電極を送給してア−ク溶接するGMA溶接
    のア−ク長制御方法において、n回目の溶接出力値制御
    周期Tn 中の短絡時間を積算し、前記短絡時間の積算値
    Stnを前記溶接出力値制御期間の長さTn で除算して単
    位時間当りの短絡時間率Rtuを演算し、前記短絡時間率
    Rtuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差Rtu−
    Rruに対応したn+1回目の溶接出力値制御期間におけ
    る溶接出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記短絡時間率R
    tuと前記目標短絡時間率Rruとの差ΔRt =Rtu−Rru
    と変化率dRtu=Rtu−Rtu−1とを入力条件としてフ
    ァジィ推論により次のn+1回目の溶接出力値制御期間
    の長さTn+1 を決定し、前記溶接出力修正量ΔPn+1 と
    n回目の溶接出力値制御期間における溶接出力設定値P
    n とを加算してPn+1 =Pn +ΔPn+1 を溶接出力設定
    値としてn+1回目の溶接出力値制御期間における溶接
    出力値を制御するとともに、n+1回目の溶接出力値制
    御期間中の短絡時間の積算を開始し、以後溶接電流の通
    電終了まで繰り返すGMA溶接のア−ク長制御方法。
  5. 【請求項5】 不活性ガスを主成分とするシ−ルドガス
    を使用し消耗性電極を送給してア−ク溶接するGMA溶
    接のア−ク長制御方法において、n回目の溶接出力値制
    御期間の終了の直前の移動平均周期Tm 中の短絡時間の
    積算値Stmを前記移動平均周期Tm で除算して抽出周期
    短絡時間率移動平均値Rmu=Stm/Tm を演算し、前記
    移動平均値Rmuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruと
    の差Rmu−Rruに対応したn+1回目の溶接出力値制御
    期間における溶接出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記移
    動平均値Rmuと目標短絡時間率Rruとの差ΔRm =Rmu
    −Rruと変化率dRmu=Rmu−Rmu-1とを入力条件とし
    てファジィ推論により次のn+1回目の溶接出力値制御
    期間の長さTn+1 を演算し、前記溶接出力修正量ΔPn+
    1 と前記n回目の制御期間における溶接出力設定値Pn
    とを加算してPn+1 =Pn +ΔPn+1 を溶接出力設定値
    としてn+1回目の溶接出力値制御期間における溶接出
    力値を制御するとともに、n+1回目の溶接出力値制御
    期間Tn+1中の短絡時間の積算を開始し、以後溶接電流
    の通電終了まで繰り返すGMA溶接のア−ク長制御方
    法。
  6. 【請求項6】 不活性ガスを主成分とするシ−ルドガス
    を使用し消耗性電極を送給してア−ク溶接するGMA溶
    接のア−ク長制御方法において、n回目の溶接出力値制
    御期間の終了の直前の移動平均周期Tm 中の短絡時間の
    積算値Stmを前記移動平均周期Tm で除算して、前記移
    動平均周期Tm 中の短絡時間率移動平均値Rmu=Stm/
    Tm を演算し、n回目の溶接出力値制御期間中の短絡時
    間を積算し、前記短絡時間の積算値Stnを前記制御期間
    の長さTn で除算して単位時間当りの短絡時間率Rtu=
    Stn/Tn を演算し、前記短絡時間率Rtuと単位時間当
    りの目標短絡時間率Rruとの差Rtu−Rruに対応したn
    +1回目の溶接出力修正量ΔPn+1 を演算し、前記移動
    平均値Rmuと前記目標短絡時間率Rruとの差ΔRm =R
    mu−Rruと変化率dRmu=Rmu−Rmu-1とを入力条件と
    してファジィ推論により次のn+1回目の溶接出力値制
    御期間の長さTn+1 を決定し、前記溶接出力修正量ΔP
    n+1 と前記n回目の制御期間における溶接出力設定値P
    n とを加算してPn+1 =Pn +ΔPn+1 を溶接出力設定
    値としてn+1回目の溶接出力値制御期間における溶接
    出力値を制御するとともに、n+1回目の溶接出力制御
    期間中の短絡時間の積算を開始し、以後溶接電流の通電
    終了まで繰り返すGMA溶接のア−ク長制御方法。
  7. 【請求項7】 前記移動平均値Rmuは、移動平均周期T
    m 中の各抽出単位周期ΔTにおける短絡時間の積算値S
    t の合計Stmを周期Tm 中の抽出回数i(i=Tm /Δ
    T)で除算した値 Rmu=(St1+St2+……Sti)/i=Stm/i (但しSt1,St2……StiはTm 中の1回目からi回目
    までの各抽出単位時間ΔTの間の短絡回数とし、ΔTお
    よびTm は予め定めた一定値)によって代用する請求項
    2,3,5および6のいずれかに記載のGMA溶接のア
    −ク長制御方法。
  8. 【請求項8】 不活性ガスを主成分とするシールドガス
    を使用し消耗電極を送給してアーク溶接するGMA溶接
    のアーク長制御方法において、長さTnのn回目の溶接
    出力値制御期間中の短絡時間を積算し、前記n回目の溶
    接出力値制御期間の始期から短絡抽出単位時間ΔTが経
    過するごとに、前記n回目の溶接出力値制御期間の始期
    からの前記短絡時間の積算値Stnを前記n回目の溶接出
    力値制御期間の始期からの経過時間N・ΔT(Nは短絡
    抽出単位時間ΔTの経過回数)で除算して単位時間当り
    平均短絡時間率Rtuを演算し、前記平均短絡時間率R
    tuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差の関数f
    (Rtu−Rru)から溶接出力値制御期間の最適長さTc
    を演算し、前記算出値Tcが所定の長さToよりも短くな
    るかまたは前記経過時間N・ΔTが溶接出力値制御期間
    の長さTnに等しくなつた時に前記n回目の溶接出力値
    制御期間を終了し、前記平均短絡時間率Rtuと前記目標
    短絡時間率Rruとの差(Rtu−Rru)に対応した溶接出
    力修正量ΔPn+1を演算し、前記溶接出力修正量ΔPn+1
    と前記n回目の溶接出力値制御期間中における溶接出力
    設定値Pnとの和Pn+1=Pn+ΔPn+1を出力設定値と
    し、前記算出値Tcを溶接出力値制御期間の長さTn+1と
    してn+1回目の溶接出力値制御期間を開始するととも
    にn+1回目の溶接出力値制御期間における短絡時間の
    積算を開始し、以後溶接電流の通電終了まで繰り返すG
    MA溶接のアーク長制御方法。
  9. 【請求項9】 不活性ガスを主成分とするシールドガス
    を使用し消耗性電極を送給してアーク溶接するGMA溶
    接のアーク長制御方法において、長さTnのn回目の溶
    接出力値制御期間中の短絡時間を積算し、前記n回目の
    溶接出力値制御期間の始期から短絡抽出単位時間ΔTが
    経過するごとに、各短絡抽出単位時間ΔT経過時点の
    前の移動平均周期Tm中の短絡時間の積算値Stmを前記
    移動平均周期Tmで除算して短絡時間率移動平均値Rmu
    =Stm/Tmを演算し、前記移動平均値Rmuと単位時間
    当りの目標短絡時間率Rruとの差の関数f(Rmu−Rr
    u)に対応した溶接出力値制御期間の最適長さTcを演算
    し、前記算出値Tcが所定の長さToよりも短くなるかま
    たは前記n回目の溶接出力値制御期間の始期からの経過
    時間N・ΔT(Nは短絡抽出単位時間ΔTの経過回数)
    が設定された前記n回目の溶接出力値制御期間の長さT
    nに達したときに前記n回目の溶接出力値制御期間を終
    了し、前記移動平均値Rmuと前記目標短絡時間率Rruと
    の差(Rmu−Rru)に対応した溶接出力修正量ΔPn+1
    を演算し、前記溶接出力修正量ΔPn+1と前記n回目の
    溶接出力値制御期間中における溶接出力設定値Pnとの
    和Pn+1=Pn+ΔPn+1を溶接出力設定値とし、前記算
    出値Tcを溶接出力値制御期間の長さTn+1としてn+1
    回目の溶接出力値制御期間を開始し、以後溶接電流の通
    電終了まで繰り返すGMA溶接のアーク長制御方法。
  10. 【請求項10】 不活性ガスを主成分とするシールドガ
    スを使用し消耗性電極を送給してアーク溶接するGMA
    溶接のアーク長制御方法において、長さTnのn回目の
    溶接出力値制御期間中の短絡時間を積算し、前記n回目
    の溶接出力値制御期間の始期から短絡抽出単位時間ΔT
    が経過するごとに、各短絡抽出単位時間ΔT経過時点の
    直前の移動平均周期Tm 中の短絡時間の積算値Stmを前
    移動平均周期Tmで除算して短絡時間率移動平均値Rm
    u=Stm/Tmを演算し、前記移動平均値Rmuと単位時間
    当りの目標短絡時間率Rruとの差の関数f(Rmu−Rr
    u)に対応した溶接出力値制御期間の最適長さTcを演算
    し、前記算出値Tcが所定の長さToよりも短くなるかま
    たは前記n回目の制御期間の始期からの経過時間N・Δ
    T(Nは短絡抽出単位時間ΔTの回数)が設定された前
    記n回目の溶接出力値制御期間の長さTnに達したとき
    に前記n回目の溶接出力値制御期間を終了し、前記n回
    目の溶接出力値制御期間の始期から終期までの前記短絡
    時間の積算値Stnを前記n回目の溶接出力値制御期間の
    始期から終期までの前記経過時間N・ΔTで除算して単
    位時間当りの平均短絡時間率Rtuを演算し、前記平均短
    絡時間率Rtuと前記目標短絡時間率Rruとの差(Rtu−
    Rru)に対応した溶接出力修正量ΔPn+1を演算し、前
    記溶接出力修正量ΔPn+1と前記n回目の制御期間中に
    おける溶接出力設定値Pnとの和Pn+1=Pn+ΔPn+1を
    溶接出力設定値とし、前記算出値Tcを溶接出力値制御
    期間の長さTn+1としてn+1回目の溶接出力値制御期
    間を開始し、以後溶接電流の通電終了まで繰り返すGM
    A溶接のアーク長制御方法。
  11. 【請求項11】 不活性ガスを主成分とするシールドガ
    スを使用し消耗電極を送給してアーク溶接するGMA溶
    接のアーク長制御方法において、長さTnのn回目の溶
    接出力値制御期間中の短絡時間を積算し、前記n回目の
    溶接出力値制御期間の始期から短絡抽出単位時間ΔTが
    経過するごとに、前記n回目の溶接出力値制御期間の始
    期からの前記短絡時間の積算値Stnを前記n回目の溶接
    出力値制御期間の始期からの経過時間N・ΔT(Nは短
    絡抽出単位時間ΔTの経過回数)で除算して単位時間当
    りの平均短絡時間率Rtuを演算し、前記平均短絡時間率
    Rtuと単位時間当りの目標短絡時間率Rruとの差ΔRt
    =Rtu−Rruと平均短絡時間率Rtuの変化率dRtu=R
    tu−Rtu-1とを入力条件としてファジィ推論により次の
    n+1回目の溶接出力値制御期間の最適長さTcを決定
    し、前記決定値Tcが所定の長さToよりも短くなるかま
    たは前記経過時間N・ΔTが前記n回目の溶接出力値制
    御期間の長さTnに等しくなつた時に前記n回目の溶接
    出力値制御期間を終了し、前記平均短絡時間率Rtuと前
    記目標短絡時間率Rruとの差(Rtu−Rru)に対応した
    溶接出力修正量ΔPn+1を演算し、前記溶接出力修正量
    ΔPn+1と前記n回目の溶接出力値制御期間における溶
    接出力設定値Pnとの和Pn+1=Pn+ΔPn+1を溶接出力
    設定値とし、前記決定値Tcを溶接出力値制御期間の長
    さTn+1としてn+1回目の溶接出力値制御期間を開始
    し、以後溶接電流の通電終了まで繰り返すGMA溶接の
    アーク長制御方法。
  12. 【請求項12】 不活性ガスを主成分とするシールドガ
    スを使用し消耗性電極を送給してアーク溶接するGMA
    溶接のアーク長制御方法において、長さTnのn回目の
    溶接出力値制御期間中の短絡時間を積算し、前記n回目
    の溶接出力値制御期間の始期から短絡抽出単位時間ΔT
    が経過するごとに、各短絡抽出単位時間ΔT経過時点の
    直前の移動平均周期Tm 中の短絡時間の積算値Stmを前
    移動平均周期Tmで除算して短絡時間率移動平均値Rm
    u=Stm/Tmを演算し、前記移動平均値Rmuと単位時間
    当りの目標短絡時間率Rruとの差ΔRm=Rmu−Rruと
    前記移動平均値Rmuの変化率dRmu=Rmu−Rmu-1とを
    入力条件としてファジィ推論により溶接出力値制御期間
    の最適長さTcを決定し、前記決定値Tcが所定の長さT
    oよりも短くなるかまたは前記n回目の制御期間の始期
    からの経過時間N・ΔT(Nは短絡抽出単位時間ΔTの
    回数)が設定された前記n回目の溶接出力値制御期間の
    長さTnに達したときに前記n回目の溶接出力値制御期
    間を終了し、前記移動平均値Rmuと前記目標短絡時間率
    Rruとの差(Rmu−Rru)に対応した溶接出力修正量Δ
    Pn+1を演算し、前記溶接出力修正量ΔPn+1と前記前記
    n回目の制御期間Tnにおける溶接出力設定値Pnとの和
    Pn+1=Pn+ΔPn+1を溶接出力設定値とし、前記決定
    値Tcを溶接出力値制御期間の長さTn+1としてn+1回
    目の溶接出力値制御期間を開始し、以後溶接電流の通電
    終了まで繰り返すGMA溶接のアーク長制御方法。
  13. 【請求項13】 不活性ガスを主成分とするシールドガ
    スを使用し消耗性電極を送給してアーク溶接するGMA
    溶接のアーク長制御方法において、長さTnのn回目の
    溶接出力値制御期間中の短絡時間を積算し、前記n回目
    の溶接出力値制御期間の始期から短絡抽出単位時間ΔT
    が経過するごとに、各短絡抽出単位時間ΔT経過時点の
    直前の移動平均周期Tm中の短絡時間の積算値Stmを前
    移動平均周期Tmで除算して短絡時間率移動平均値Rm
    u=Stm/Tmを演算し、前記移動平均値Rmuと単位時間
    当りの目標短絡時間率Rruとの差ΔRm=Rmu−Rruと
    前記移動平均値Rmuの変化率dRmu=Rmu−Rmu-1とを
    入力条件としてファジィ推論により溶接出力値制御期間
    の最適長さTcを決定し、前記決定値Tcが所定の長さT
    oよりも短くなるかまたは前記n回目の制御期間の始期
    からの経過時間N・ΔT(Nは短絡抽出単位時間ΔTの
    経過回数)が設定された前記n回目の溶接出力値制御期
    間の長さTnに達したときに前記n回目の溶接出力値制
    御期間を終了し、前記n回目の溶接出力値制御期間の始
    期から終期までの前記短絡時間の積算値Stnを前記n回
    目の溶接出力値制御期間の始期から終期までの前記経過
    時間N・ΔTで除算して単位時間当りの平均短絡時間率
    Rtuを演算し、前記平均短絡時間率Rtuと前記目標短絡
    時間率Rruとの差Rtu−Rruに対応した溶接出力修正量
    ΔPn+1を演算し、前記溶接出力修正量ΔPn+1と前記n
    回目の制御期間Tnにおける溶接出力設定値Pnとの和P
    n+1=Pn+ΔPn+1を溶接出力設定値とし、前記決定値
    Tcを溶接出力値制御期間の長さTn+1としてn+1回目
    の溶接出力値制御期間を開始し、以後溶接電流の通電終
    了まで繰り返すGMA溶接のアーク長制御方法。
  14. 【請求項14】 前記移動平均値Rmuは、移動平均周期
    Tm 中の各抽出単位時間ΔTにおける短絡時間の各積算
    値St の合計Stmを周期Tm 中の短絡抽出単位時間ΔT
    の回数i(i=Tm /ΔT)で除算した値 Rmu=(St1+St2+……Sti)/i=Stm/i (但しSt1,St2……StiはTm 中の1回目からi回目
    までの各抽出単位時間ΔTの間の短絡時間とし、ΔTお
    よびTm は予め定めた一定値)によって代用する請求項
    9,10,12および13のいずれかに記載のGMA溶
    接のア−ク長制御方法。
JP04118047A 1992-04-10 1992-04-10 Gma溶接のアーク長制御方法 Expired - Fee Related JP3123211B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04118047A JP3123211B2 (ja) 1992-04-10 1992-04-10 Gma溶接のアーク長制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP04118047A JP3123211B2 (ja) 1992-04-10 1992-04-10 Gma溶接のアーク長制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05285661A JPH05285661A (ja) 1993-11-02
JP3123211B2 true JP3123211B2 (ja) 2001-01-09

Family

ID=14726714

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP04118047A Expired - Fee Related JP3123211B2 (ja) 1992-04-10 1992-04-10 Gma溶接のアーク長制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3123211B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2622134C (en) * 2005-09-12 2013-12-24 Esab Ab Control method for mig/mag-welding and welding equipment applying this method

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05285661A (ja) 1993-11-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3166298B2 (ja) Gma溶接のアーク長制御方法
US11638966B2 (en) Short arc welding system
EP0936019B1 (en) Method and apparatus for welding
JP4334930B2 (ja) パルスアーク溶接のアーク長制御方法
US7842903B2 (en) Short arc welding system
US10195681B2 (en) Short arc welding system
JP3123211B2 (ja) Gma溶接のアーク長制御方法
JP2023500124A (ja) 溶接シームを溶接するための方法および装置
JPS5829575A (ja) 溶接用電源装置
JP4890281B2 (ja) パルスアーク溶接制御方法
JPS60255276A (ja) 消耗電極式ア−ク溶接法
JPH09271945A (ja) 消耗電極アーク溶接のアーク長復帰制御方法及び溶接装置
JP2705553B2 (ja) アーク電圧の自動設定方法
JPS59199173A (ja) 短絡移行溶接電源の制御方法および装置
JPS59202176A (ja) 短絡移行溶接の電流制御方法および装置
JPH11104830A (ja) 溶接アーク長制御方法及びアーク溶接装置
JP4331284B2 (ja) 短絡移行式ア−ク溶接方法
JP3219360B2 (ja) 交流セルフシールドアーク溶接方法
JP2022157591A (ja) 溶接制御方法、溶接電源、溶接システム、溶接方法及び積層造形方法
JP2021186821A (ja) パルスアーク溶接電源
JPH11277235A (ja) 短絡移行式アーク溶接方法
JPH11277234A (ja) 短絡移行式アーク溶接方法
JPH0615105B2 (ja) 短絡移行ア−ク溶接機
JPS6225466B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071027

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081027

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091027

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091027

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101027

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101027

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111027

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees