JP3123055B2 - 転動部材 - Google Patents
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- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Rolling Contact Bearings (AREA)
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- Valve-Gear Or Valve Arrangements (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は転動部材に係り、特に自動車・自動二輪車
用エンジンのシリンダーヘッド,ロッカーアーム等のよ
うに高回転領域で使用されるものを転がり軸受化するに
際し、信頼性のある転動部材に関するものである。
用エンジンのシリンダーヘッド,ロッカーアーム等のよ
うに高回転領域で使用されるものを転がり軸受化するに
際し、信頼性のある転動部材に関するものである。
自動車・自動二輪車用エンジンのシリンダーヘッド,
ロッカーアームをエンジンの低フリクション化やカムの
磨耗対策として、従来のスリッパ方式から転がり方式化
する傾向が最近では増加している。
ロッカーアームをエンジンの低フリクション化やカムの
磨耗対策として、従来のスリッパ方式から転がり方式化
する傾向が最近では増加している。
この場合、転がり軸受の外輪には、従来の軸受鋼2種
(SUJ−2)が使用され、棒材を旋削加工した後、焼入
れ硬化して外輪としていた。
(SUJ−2)が使用され、棒材を旋削加工した後、焼入
れ硬化して外輪としていた。
このようなエンジンに用いられる転動部材は、自動車
の安全性向上及び耐久性向上の観点から、高い信頼性及
び半永久的寿命が要求されている。
の安全性向上及び耐久性向上の観点から、高い信頼性及
び半永久的寿命が要求されている。
そこで、この出願人は、このような要求を満足するた
め、長寿命な転がり部材を提案している(特願昭63−17
2030号,特願平1−30749号)。
め、長寿命な転がり部材を提案している(特願昭63−17
2030号,特願平1−30749号)。
かかる従来例では塑性加工の際に割れ発生の起点とな
る非金属介在物を低減するため、非金属介在物形成元素
であるSの含有量を低減することにより冷間鍛造性を向
上させると同時に、長寿命化を達成している。
る非金属介在物を低減するため、非金属介在物形成元素
であるSの含有量を低減することにより冷間鍛造性を向
上させると同時に、長寿命化を達成している。
また、Nb,Vを添加して結晶粒の微細化を図ることによ
り応力集中を緩和して転がり疲れによるフレーキングを
抑制し、以て長寿命化した転がり軸受も提案した(特願
昭63−278992号)。
り応力集中を緩和して転がり疲れによるフレーキングを
抑制し、以て長寿命化した転がり軸受も提案した(特願
昭63−278992号)。
自動車・自動二輪車用エンジンでは、毎分当たり1万
回をも越える高回転になることがあるため、転がり軸受
もこれに耐え得る特性が要求されることは言うまでもな
い。
回をも越える高回転になることがあるため、転がり軸受
もこれに耐え得る特性が要求されることは言うまでもな
い。
しかしながら、従来の転がり軸受・部材では、カムと
ロッカーアームとが飛び上がる現象(ジャンピング)が
生ずる高回転領域において、カムの回転に対して転がり
軸受の追随が悪くなり、外輪の疲労破壊(割れ)が発生
することがある。この疲労破壊は、外輪に働く曲げ応力
が大きくなった際、非金属介在物が起点となって発生す
るものであり、長寿命化を達成する上でかかる疲労破壊
を極力低減することが必要である。
ロッカーアームとが飛び上がる現象(ジャンピング)が
生ずる高回転領域において、カムの回転に対して転がり
軸受の追随が悪くなり、外輪の疲労破壊(割れ)が発生
することがある。この疲労破壊は、外輪に働く曲げ応力
が大きくなった際、非金属介在物が起点となって発生す
るものであり、長寿命化を達成する上でかかる疲労破壊
を極力低減することが必要である。
そこで、この発明はかかる課題を解決するために、従
来にも増して前記疲労破壊の発生を極力低減でき、もっ
て長寿命な転動部材を提供することを目的とする。
来にも増して前記疲労破壊の発生を極力低減でき、もっ
て長寿命な転動部材を提供することを目的とする。
このような目的を達成するため、請求項1の発明は、
荷重を受けて相手部材に対し相対的に転動する転動部材
において、塑性加工によって形成され少なくともその一
部が前記転動の回転軸と平行な基準線に接する転動面を
有し、且つ前記回転軸に対し直径方向外方に向かって凸
状又は八の字状をなして湾曲したメタルフローを有し、
前記回転軸を含む断面における前記メタルフローの、前
記回転軸に対する角度の最大値を、10゜以上で且つ50゜
以下の範囲に設定している。
荷重を受けて相手部材に対し相対的に転動する転動部材
において、塑性加工によって形成され少なくともその一
部が前記転動の回転軸と平行な基準線に接する転動面を
有し、且つ前記回転軸に対し直径方向外方に向かって凸
状又は八の字状をなして湾曲したメタルフローを有し、
前記回転軸を含む断面における前記メタルフローの、前
記回転軸に対する角度の最大値を、10゜以上で且つ50゜
以下の範囲に設定している。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明におけるメ
タルフローの位置を限定したものであって、前記回転軸
を含む断面内で前記転動部材の表層部から少なくとも最
大せん断応力位置までにおける前記メタルフローの、前
記回転軸に対する角度の最大値を10゜以上で且つ50゜以
下の範囲に設定したものとしている。
タルフローの位置を限定したものであって、前記回転軸
を含む断面内で前記転動部材の表層部から少なくとも最
大せん断応力位置までにおける前記メタルフローの、前
記回転軸に対する角度の最大値を10゜以上で且つ50゜以
下の範囲に設定したものとしている。
さらに、請求項3の発明は、前記請求項1又は2に記
載の発明において、Ti含有量が80ppm以下、S含有量が1
50ppm以下の、少なくともいずれかを満足する合金鋼か
らなり、少なくとも転動面を熱処理硬化してなるものと
している。
載の発明において、Ti含有量が80ppm以下、S含有量が1
50ppm以下の、少なくともいずれかを満足する合金鋼か
らなり、少なくとも転動面を熱処理硬化してなるものと
している。
さらに、請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか
に記載の発明において、転動面から0.2mmの深さ迄の圧
縮残留応力の最小値を、10kgf/mm2以上としたものとし
ている。
に記載の発明において、転動面から0.2mmの深さ迄の圧
縮残留応力の最小値を、10kgf/mm2以上としたものとし
ている。
転動部材を製造する際、部材中に非金属介在物発生元
素が混入していると、これにより非金属介在物が発生
し、割れの原因となる。従って、塑性加工(冷間鍛造)
により、かかる非金属介在物の微細化を図ると共に、素
材組織の緻密化及び均一化を図ることが行われている。
塑性加工により非金属介在物は微細化し、且つ均一に延
ばされることにより非金属介在物の繊維の流れ(メタル
フロー)が形成される。
素が混入していると、これにより非金属介在物が発生
し、割れの原因となる。従って、塑性加工(冷間鍛造)
により、かかる非金属介在物の微細化を図ると共に、素
材組織の緻密化及び均一化を図ることが行われている。
塑性加工により非金属介在物は微細化し、且つ均一に延
ばされることにより非金属介在物の繊維の流れ(メタル
フロー)が形成される。
本発明者が検討したところ、塑性加工された転動部材
において、前記メタルフローの角度が回転軸に対して10
゜以上になると、著しく転がり疲れ寿命が向上すること
を見出した。
において、前記メタルフローの角度が回転軸に対して10
゜以上になると、著しく転がり疲れ寿命が向上すること
を見出した。
また、前記メタルフローの角度が回転軸に対して50゜
を超えると、転動部材に割れが発生するから、前記50゜
を超える範囲は適当でないことも見出した。
を超えると、転動部材に割れが発生するから、前記50゜
を超える範囲は適当でないことも見出した。
本発明はこのような新規な知見によりなされたもので
あり、荷重を受け相手部材に対し相対的に転動部材にお
いて、塑性加工によって形成され少なくともその一部が
前記転動の回転軸と平行な基準線に接する転動面を有
し、且つ前記回転軸に対し直径方向外方に向かって凸状
又は八の字状をなして湾曲したメタルフローを有し、前
記回転軸を含む断面における前記メタルフローの前記回
転軸に対する角度の最大値が、10゜以上で且つ50゜以下
であることにより、非金属介在物の微細化、素材組織の
緻密化、素材組織の均質化が各々達成できて、非金属介
在物に働く応力集中が緩和されることにより、耐磨耗
性,耐衝撃性に優れ、この結果、前記ジャンピング現象
が生ずるくらいの高速回転領域で使用されても転がり部
材の長寿命化を達成することができる。
あり、荷重を受け相手部材に対し相対的に転動部材にお
いて、塑性加工によって形成され少なくともその一部が
前記転動の回転軸と平行な基準線に接する転動面を有
し、且つ前記回転軸に対し直径方向外方に向かって凸状
又は八の字状をなして湾曲したメタルフローを有し、前
記回転軸を含む断面における前記メタルフローの前記回
転軸に対する角度の最大値が、10゜以上で且つ50゜以下
であることにより、非金属介在物の微細化、素材組織の
緻密化、素材組織の均質化が各々達成できて、非金属介
在物に働く応力集中が緩和されることにより、耐磨耗
性,耐衝撃性に優れ、この結果、前記ジャンピング現象
が生ずるくらいの高速回転領域で使用されても転がり部
材の長寿命化を達成することができる。
第1図は、第2図の棒材20を冷間鍛造して得た円板21
をリング状に研削することによって得られたリング状試
験片1の半断面図である。図中3,4はそれぞれメタルフ
ローの接線、5は回転軸、6はメタルフローである。
をリング状に研削することによって得られたリング状試
験片1の半断面図である。図中3,4はそれぞれメタルフ
ローの接線、5は回転軸、6はメタルフローである。
このメタルフロー6の角度は、メタルフローと回転軸
5とがなす角度をもって決定される。従って、メタルフ
ローの接線3又は4と回転軸5と平行な基準線2又は10
とがなす角度θ1又はθ2が、メタルフローの角度とな
る。
5とがなす角度をもって決定される。従って、メタルフ
ローの接線3又は4と回転軸5と平行な基準線2又は10
とがなす角度θ1又はθ2が、メタルフローの角度とな
る。
転動部材がリング状でない鋼球(転動体)である場合
は、塑性加工によりメタルフローは、鋼球の断面図であ
る第3図に示すようになる。第3図において、31はメタ
ルフローが転がり面に垂直に近く露出するフロー特異部
(エンドフロー)即ち極部、32はバリ取りした赤道部で
ある。このような鋼球の場合のメタルフローの角度は、
前記リング状試験片と同様にメタルフローの接線4と回
転軸5とがなす角度θ3をもってメタルフローの角度と
なる。
は、塑性加工によりメタルフローは、鋼球の断面図であ
る第3図に示すようになる。第3図において、31はメタ
ルフローが転がり面に垂直に近く露出するフロー特異部
(エンドフロー)即ち極部、32はバリ取りした赤道部で
ある。このような鋼球の場合のメタルフローの角度は、
前記リング状試験片と同様にメタルフローの接線4と回
転軸5とがなす角度θ3をもってメタルフローの角度と
なる。
前記第1図,第3図からわかるように、メタルフロー
は部材の表面に向かって湾曲していることから、メタル
フローと回転軸となす角度は種々の値を取る。そこで、
この角度のうち最大値をもってメタルフローと回転軸と
のなす角度とする。
は部材の表面に向かって湾曲していることから、メタル
フローと回転軸となす角度は種々の値を取る。そこで、
この角度のうち最大値をもってメタルフローと回転軸と
のなす角度とする。
前記メタルフローの角度が、10゜未満であると、非金
属介在物の微細化,素材組織の緻密化及び均質化、が充
分でない。
属介在物の微細化,素材組織の緻密化及び均質化、が充
分でない。
第4図は、従来の軸受鋼2種(SUJ−2)を用いて前
記リング状試験片を作成する際、据え込み率(据え込み
率については後述)を種々変更して冷間鍛造した試験片
のメタルフローの角度と転動部材の割れに対する寿命
(L10)比との関係を、塑性加工を行わない標準品を1
とした場合において示したものである。ここで、メタル
フローの角度が大きくなる程据え込み率が高くなる。こ
の第4図から分かるように、メタルフローの角度が10゜
以上において寿命(L10)が大きく向上していることが
分かる。メタルフローの角度の上限は、加工限界即ち塑
性加工による割れが発生するまでである。尚、この割れ
は素材の作成条件等によって変動するものである。例え
ば、素材について球状化焼鈍を行った際にはこの割れ発
生の限界点が高加工度まで向上する。そして、炭素濃度
が多くなるほど限界が低下する。
記リング状試験片を作成する際、据え込み率(据え込み
率については後述)を種々変更して冷間鍛造した試験片
のメタルフローの角度と転動部材の割れに対する寿命
(L10)比との関係を、塑性加工を行わない標準品を1
とした場合において示したものである。ここで、メタル
フローの角度が大きくなる程据え込み率が高くなる。こ
の第4図から分かるように、メタルフローの角度が10゜
以上において寿命(L10)が大きく向上していることが
分かる。メタルフローの角度の上限は、加工限界即ち塑
性加工による割れが発生するまでである。尚、この割れ
は素材の作成条件等によって変動するものである。例え
ば、素材について球状化焼鈍を行った際にはこの割れ発
生の限界点が高加工度まで向上する。そして、炭素濃度
が多くなるほど限界が低下する。
本発明に係わる転動部材は、所定以上で加工限界(割
れ発生限界まで)になるまでの据え込み率で、素材を塑
性加工することにより得られるものである。ここで、据
え込み率とは、前記第2図に示すように、塑性加工(冷
間鍛造)前の素材(棒材)サイズをH0、冷間鍛造後の素
材サイズをHとすると、(H0−H/H0)×100%を言う。
据え込み率が高くなる程前記メタルフローの角度は大き
くなる。
れ発生限界まで)になるまでの据え込み率で、素材を塑
性加工することにより得られるものである。ここで、据
え込み率とは、前記第2図に示すように、塑性加工(冷
間鍛造)前の素材(棒材)サイズをH0、冷間鍛造後の素
材サイズをHとすると、(H0−H/H0)×100%を言う。
据え込み率が高くなる程前記メタルフローの角度は大き
くなる。
本発明に係る転動部材を得る際に、塑性加工時の据え
込み時は、約10〜60%が望ましい。据え込み率が10%以
下では、前記メタルフローの繊維角度が10゜未満となる
おそれがあり、据え込み率が60%を越えると加工限界に
よる割れが発生ずるおそれがある。
込み時は、約10〜60%が望ましい。据え込み率が10%以
下では、前記メタルフローの繊維角度が10゜未満となる
おそれがあり、据え込み率が60%を越えると加工限界に
よる割れが発生ずるおそれがある。
ところで、転動部材の転がり疲労破壊(割れ)は、最
大せん断応力位置にある非金属介在物が原因となったク
ラックに起因するものである。従って、少なくとも、最
大せん断応力位置でのメタルフローの角度が10゜以上に
なるように塑性加工することが必要であるか、又は望ま
しい。転がり軸受において、最大せん断応力位置は表層
から数mm以内に存在する。
大せん断応力位置にある非金属介在物が原因となったク
ラックに起因するものである。従って、少なくとも、最
大せん断応力位置でのメタルフローの角度が10゜以上に
なるように塑性加工することが必要であるか、又は望ま
しい。転がり軸受において、最大せん断応力位置は表層
から数mm以内に存在する。
ここで、メタルフローの前記角度の最大値は50゜以下
であることが必要である。なぜなら、前記角度が50゜を
超えると、後述の第1表の通り、加工限界によって転動
部材に割れが発生するおそれがあるからである。
であることが必要である。なぜなら、前記角度が50゜を
超えると、後述の第1表の通り、加工限界によって転動
部材に割れが発生するおそれがあるからである。
前記メタルフローの角度は部材の芯部程小さい値とな
り、表層部に行くに従って大きな値となる。従って、本
発明で目的とする長寿命な転動部材を得るためには、転
動部材の表層部から少なくとも最大せん断応力位置まで
のメタルフローの角度が10゜以上であることが望まし
い。
り、表層部に行くに従って大きな値となる。従って、本
発明で目的とする長寿命な転動部材を得るためには、転
動部材の表層部から少なくとも最大せん断応力位置まで
のメタルフローの角度が10゜以上であることが望まし
い。
最大せん断応力位置は、負荷される荷重によって異な
るものであるため、転動部材の予定される使用条件から
逆に最大せん断応力位置を求め、転動部材の表面から少
なくとも最大せん断応力位置までのメタルフローの角度
のうち最大値が10゜以上で50゜以下の範囲になるような
据え込み率で塑性加工することが望ましい。これによ
り、最大せん断位置での非金属介在物を微細化、組織の
緻密化,均一化できる長寿命な転動部材を得ることがで
きる。
るものであるため、転動部材の予定される使用条件から
逆に最大せん断応力位置を求め、転動部材の表面から少
なくとも最大せん断応力位置までのメタルフローの角度
のうち最大値が10゜以上で50゜以下の範囲になるような
据え込み率で塑性加工することが望ましい。これによ
り、最大せん断位置での非金属介在物を微細化、組織の
緻密化,均一化できる長寿命な転動部材を得ることがで
きる。
本発明に係る転動部材は、軌道輪である内輪,外輪、
及び転動体であるころ,球の各種の転動部材に係る。そ
して、転動部材を形成するための材料としては、軸受用
鋼として公知の高炭素クロム軸受鋼(SUJ2〜4)浸炭軸
受用鋼(SCr420H,SCM420H,SNCM22H,SNCM420H,SNCM815SA
E4320),高温軸受用高速度鋼(M50),転がり軸受用ス
テンレス鋼(SUS440C,51440C等)等各種のものが用いら
れる。
及び転動体であるころ,球の各種の転動部材に係る。そ
して、転動部材を形成するための材料としては、軸受用
鋼として公知の高炭素クロム軸受鋼(SUJ2〜4)浸炭軸
受用鋼(SCr420H,SCM420H,SNCM22H,SNCM420H,SNCM815SA
E4320),高温軸受用高速度鋼(M50),転がり軸受用ス
テンレス鋼(SUS440C,51440C等)等各種のものが用いら
れる。
また、前記転動部材では、さらに非金属介在物発生の
原因元素である酸素含有量及び硫黄含有量がそれぞれ、
O;15ppm以下、S;150ppm,Ti;80ppm以下の高清浄度鋼を転
動部材形成用材料として使用することにより、疲労破壊
の起点源である非金属介在物を極力制限し、もって転動
部材の寿命をより向上することができる。
原因元素である酸素含有量及び硫黄含有量がそれぞれ、
O;15ppm以下、S;150ppm,Ti;80ppm以下の高清浄度鋼を転
動部材形成用材料として使用することにより、疲労破壊
の起点源である非金属介在物を極力制限し、もって転動
部材の寿命をより向上することができる。
S含有量も150ppm以下にすることは、Sが原因となる
非金属介在物(MnS等)の発生を抑制し塑性加工の際に
割れの発生を避けることができるため、高据え込み率の
塑性加工が可能となり、非金属介在物の微細化及び素材
組織の緻密化,微細化を達成する上で望ましい。特にS
含有量が80ppm以下が好適である。
非金属介在物(MnS等)の発生を抑制し塑性加工の際に
割れの発生を避けることができるため、高据え込み率の
塑性加工が可能となり、非金属介在物の微細化及び素材
組織の緻密化,微細化を達成する上で望ましい。特にS
含有量が80ppm以下が好適である。
また、O含有量を15ppm以下にすると、転がり疲労の
際のクラック発生の起点となる粗大粒径酸化物系介在物
(Al2O3)の発生を抑制する上で望ましい。特に、O含
有量が9ppm以下であることが好ましい。
際のクラック発生の起点となる粗大粒径酸化物系介在物
(Al2O3)の発生を抑制する上で望ましい。特に、O含
有量が9ppm以下であることが好ましい。
さらに、Ti含有量を80ppm以下にすると、Tiが原因と
なる非金属介在物(TiN)の発生を抑制できる。特に、T
i含有量が40ppm以下であることが好ましい。
なる非金属介在物(TiN)の発生を抑制できる。特に、T
i含有量が40ppm以下であることが好ましい。
本発明に係る転動部材用材料として、浸炭用軸受鋼を
使用すると、浸炭又は浸炭窒化の結果、芯部と表層部と
の間で炭素濃度に不均衡(表層部の方が炭素濃度高い)
が生じ、表面から芯部にかけて圧縮の残留応力が形成さ
れる。この圧縮の残留応力は転がりによる応力を打ち消
す方向に作用するため、耐転がり疲労破壊性を向上す
る。肌焼鋼における浸炭又は浸炭窒化後の残留応力は、
第5図に示すように、表層に行くに従って高くなり、表
層から深さ0.2mmまで徐々に減少し、これ以後芯部にか
けてほぼ一定値となる。一方、通常の焼入れ鋼(SIJ−
2)の場合は、深さが0.1mm以内において圧縮の残留応
力が存在するが、これ以後は若干の引っ張り応力が存在
するようになる。この引っ張り応力は転動部材に負荷さ
れる応力を打ち消す方向とは逆に作用すること、及び最
大せん断応力位置は表層面から数mm以内で変化する可能
性があることから、請求項(4)記載の発明では、肌焼
鋼を浸炭又は浸炭窒化熱処理し、転動面から0.2mmの深
さ迄圧縮の残留応力を形成するようにして、耐転がり疲
労破壊性を向上してより長寿命化を達成した。圧縮残留
応力としては、転動部材の耐衝撃性,耐磨耗性を向上し
て寿命向上を図る観点から表層部から0.2mm以上の深さ
迄の範囲において10kgf/mm2以上であることが好まし
い。圧縮残留応力がこの値になるように、浸炭・浸炭窒
化の際の炭素源又は窒素源の濃度及び浸炭・浸炭窒化温
度,時間の調整等を必要とする。
使用すると、浸炭又は浸炭窒化の結果、芯部と表層部と
の間で炭素濃度に不均衡(表層部の方が炭素濃度高い)
が生じ、表面から芯部にかけて圧縮の残留応力が形成さ
れる。この圧縮の残留応力は転がりによる応力を打ち消
す方向に作用するため、耐転がり疲労破壊性を向上す
る。肌焼鋼における浸炭又は浸炭窒化後の残留応力は、
第5図に示すように、表層に行くに従って高くなり、表
層から深さ0.2mmまで徐々に減少し、これ以後芯部にか
けてほぼ一定値となる。一方、通常の焼入れ鋼(SIJ−
2)の場合は、深さが0.1mm以内において圧縮の残留応
力が存在するが、これ以後は若干の引っ張り応力が存在
するようになる。この引っ張り応力は転動部材に負荷さ
れる応力を打ち消す方向とは逆に作用すること、及び最
大せん断応力位置は表層面から数mm以内で変化する可能
性があることから、請求項(4)記載の発明では、肌焼
鋼を浸炭又は浸炭窒化熱処理し、転動面から0.2mmの深
さ迄圧縮の残留応力を形成するようにして、耐転がり疲
労破壊性を向上してより長寿命化を達成した。圧縮残留
応力としては、転動部材の耐衝撃性,耐磨耗性を向上し
て寿命向上を図る観点から表層部から0.2mm以上の深さ
迄の範囲において10kgf/mm2以上であることが好まし
い。圧縮残留応力がこの値になるように、浸炭・浸炭窒
化の際の炭素源又は窒素源の濃度及び浸炭・浸炭窒化温
度,時間の調整等を必要とする。
(実施例1) 次に本発明の実施例について説明する。
SUJ−2の鋼塊を100kgf真空溶解炉で溶製し、この鋼
塊を均熱処理した後φ22の棒材(第2図20)に加工し、
次の第1表に示す各種の据え込み率により冷間鍛造を行
って円板(第2図21)を作成した。次に、第1図のよう
に、リング形状に削り出した後、熱処理,研削を行って
第1表に示す複数の試験片とした。第1図においてはメ
タルフロー6を示しており、回転軸5とこのメタルフロ
ー6のなす角度の最大値を以てメタルフローの角度
(θ)とする。尚、第1図において、太線11は転動体の
軌道溝である。
塊を均熱処理した後φ22の棒材(第2図20)に加工し、
次の第1表に示す各種の据え込み率により冷間鍛造を行
って円板(第2図21)を作成した。次に、第1図のよう
に、リング形状に削り出した後、熱処理,研削を行って
第1表に示す複数の試験片とした。第1図においてはメ
タルフロー6を示しており、回転軸5とこのメタルフロ
ー6のなす角度の最大値を以てメタルフローの角度
(θ)とする。尚、第1図において、太線11は転動体の
軌道溝である。
この熱処理は、球状化焼戻し,焼入れ,焼戻しからな
り、このうち球状化焼戻しは、鋼を変態点直上の温度に
加熱保持したのち適当な速度で徐冷することにより行
い、焼入れは800〜850℃に適当時間加熱したのち油冷す
ることにより行い、焼戻しは通常150〜200℃の低温で行
う。
り、このうち球状化焼戻しは、鋼を変態点直上の温度に
加熱保持したのち適当な速度で徐冷することにより行
い、焼入れは800〜850℃に適当時間加熱したのち油冷す
ることにより行い、焼戻しは通常150〜200℃の低温で行
う。
この各試験片について、第6図に示すようなリング割
れ試験を行った。即ち、試験片70を負荷ロール60とドラ
イブロール61との間に支持ロール62を用いて固定し、負
荷ロール60により試験片に荷重を負荷し、ドライブロー
ル61により試験片70を高速回転させることにより疲労破
壊試験を実行する。この時の試験荷重は500kgf(最大作
用応力118kgf/mm2)であり、試験片の回転速度は、9600
rpmである。試験片の寿命は、内径面からの割れが発生
するまでの回転数をもって判断した。この寿命としては
10%破壊寿命(L10)を採用した。尚、潤滑は、68#タ
ービン油の噴霧給油により行った。
れ試験を行った。即ち、試験片70を負荷ロール60とドラ
イブロール61との間に支持ロール62を用いて固定し、負
荷ロール60により試験片に荷重を負荷し、ドライブロー
ル61により試験片70を高速回転させることにより疲労破
壊試験を実行する。この時の試験荷重は500kgf(最大作
用応力118kgf/mm2)であり、試験片の回転速度は、9600
rpmである。試験片の寿命は、内径面からの割れが発生
するまでの回転数をもって判断した。この寿命としては
10%破壊寿命(L10)を採用した。尚、潤滑は、68#タ
ービン油の噴霧給油により行った。
各試験片については同じ据え込み率のものを6個作成
し、前記疲労破壊試験に供すると共に、残りは、メタル
フローの角度を求める際の試験片とした。メタルフロー
の角度を検出する手法は、試験片を水:濃塩酸=1:1の
処理液に試験片を入れて煮沸し、これを複数回繰り返し
た後、走査型原子顕微鏡で観察し、顕微鏡像の写真から
メタルフローの角度(θ)を求めた。
し、前記疲労破壊試験に供すると共に、残りは、メタル
フローの角度を求める際の試験片とした。メタルフロー
の角度を検出する手法は、試験片を水:濃塩酸=1:1の
処理液に試験片を入れて煮沸し、これを複数回繰り返し
た後、走査型原子顕微鏡で観察し、顕微鏡像の写真から
メタルフローの角度(θ)を求めた。
以上の結果を次の第1表に示す。
第1表から分かるように、メタルフローの角度(θ)
が10゜以上になると、寿命が大きく向上することが分か
る。例えば、15゜では冷間鍛造を行わない旋削品(試験
片番号1)の3.5倍程度の寿命が得られる。
が10゜以上になると、寿命が大きく向上することが分か
る。例えば、15゜では冷間鍛造を行わない旋削品(試験
片番号1)の3.5倍程度の寿命が得られる。
冷間鍛造の際の据え込み率を、割れが発生する加工限
界まで上げることができ、据え込み率が大きくなるに従
ってメタルフローの角度も大きくなり、寿命が向上す
る。
界まで上げることができ、据え込み率が大きくなるに従
ってメタルフローの角度も大きくなり、寿命が向上す
る。
(実施例2) この実施例では、材料の清浄度及び圧縮残留応力が転
動部材の寿命に与える影響について調べるため、次の第
2表に示すように、総合的にOとSとTiの含有量が高い
もの(一般清浄度鋼)と低いもの(高清浄度鋼)とを用
意し、さらに、表面に圧縮残留応力があるものとないも
のとを用意して疲労破壊試験を行った。
動部材の寿命に与える影響について調べるため、次の第
2表に示すように、総合的にOとSとTiの含有量が高い
もの(一般清浄度鋼)と低いもの(高清浄度鋼)とを用
意し、さらに、表面に圧縮残留応力があるものとないも
のとを用意して疲労破壊試験を行った。
試験用材料としては、通常焼入れ用の軸受鋼二種(SU
J−2)と浸炭・浸炭窒化用の肌焼鋼(SCr420,SAE432
0)を用いた。
J−2)と浸炭・浸炭窒化用の肌焼鋼(SCr420,SAE432
0)を用いた。
これら各材料の棒材(φ22)を前記第2図のように円
板状に冷間鍛造し、さらに、第7図に示すようにこの円
板21を5段ヘッダーによりリング形状70まで冷間鍛造を
行った。この鍛造に際しては、鍛造後のメタルフローの
繊維の角度が全試験片について等しく15゜になるように
据え込み率を調整して行った。
板状に冷間鍛造し、さらに、第7図に示すようにこの円
板21を5段ヘッダーによりリング形状70まで冷間鍛造を
行った。この鍛造に際しては、鍛造後のメタルフローの
繊維の角度が全試験片について等しく15゜になるように
据え込み率を調整して行った。
第8図は本実施例で使用されるリング状試験片の半断
面図であり、第8図(1)は前記第2図の棒材を直接旋
削して得たリング状の試験片であり、第8図(2)図は
第7図の5段ヘッダーによって成形されたリング状試験
片の半断面図である。(1)図によれば、旋削のみで形
成されたリング状試験片においては、メタルフローは明
瞭に生成されておらず、且つメタルフローの角度も回転
軸に対してほぼ平行となっていることが分かる。これに
対し第8図(2)によれば、メタルフローはより明確に
生成されるようになり、且つメタルフローの角度も回転
軸5に対して大きくなっている。
面図であり、第8図(1)は前記第2図の棒材を直接旋
削して得たリング状の試験片であり、第8図(2)図は
第7図の5段ヘッダーによって成形されたリング状試験
片の半断面図である。(1)図によれば、旋削のみで形
成されたリング状試験片においては、メタルフローは明
瞭に生成されておらず、且つメタルフローの角度も回転
軸に対してほぼ平行となっていることが分かる。これに
対し第8図(2)によれば、メタルフローはより明確に
生成されるようになり、且つメタルフローの角度も回転
軸5に対して大きくなっている。
この鍛造品について旋削の後、熱処理し次いで研削を
行いリング状の試験片を形成した。熱処理は、SUJ−2
のものについては、前記実施例1と同じ焼入れ焼戻しを
行い、肌焼鋼のものについでは、浸炭処理を行った。こ
の浸炭処理は、Rxガス+エンリッチガス5%の雰囲気で
約8時間、930±5℃で熱処理を行い、その後油焼入
れ、更に、160℃2時間焼戻しをした。尚、浸炭に変え
て浸炭窒化を行うこともできるが、この時は、Rxガス+
エンリッチガス+アンモニアガス5%の雰囲気で約3〜
4時間、830〜870℃で浸炭窒化熱処理を行い、その後に
油焼入れをする。
行いリング状の試験片を形成した。熱処理は、SUJ−2
のものについては、前記実施例1と同じ焼入れ焼戻しを
行い、肌焼鋼のものについでは、浸炭処理を行った。こ
の浸炭処理は、Rxガス+エンリッチガス5%の雰囲気で
約8時間、930±5℃で熱処理を行い、その後油焼入
れ、更に、160℃2時間焼戻しをした。尚、浸炭に変え
て浸炭窒化を行うこともできるが、この時は、Rxガス+
エンリッチガス+アンモニアガス5%の雰囲気で約3〜
4時間、830〜870℃で浸炭窒化熱処理を行い、その後に
油焼入れをする。
圧縮残留応力は、試験片の表面下0.08〜0.12mmの最小
値をもって圧縮残留応力とした。
値をもって圧縮残留応力とした。
次に示す第2表において、比較例鋼とは、前記第7図
に示す5段ヘッダーの冷間鍛造を行うことなく、第2図
の棒材を直接旋削したものであり、前記第8図の(1)
のものに相当するものである。
に示す5段ヘッダーの冷間鍛造を行うことなく、第2図
の棒材を直接旋削したものであり、前記第8図の(1)
のものに相当するものである。
第2表に示す各試験片について、前記第6図の転がり
疲労破壊試験を行った。試験荷重は、350kgf,400kgf,50
0kgfの3段階とし、試験片個数は、試験荷重が400kgf,5
00kgfのものは各10個として試験し、試験荷重が350kgf
のものについては試験個数を3個とし、応力繰り返し数
が100×106回に達したところで試験を中断した。試験結
果を第3表,及び第9図に示す。
疲労破壊試験を行った。試験荷重は、350kgf,400kgf,50
0kgfの3段階とし、試験片個数は、試験荷重が400kgf,5
00kgfのものは各10個として試験し、試験荷重が350kgf
のものについては試験個数を3個とし、応力繰り返し数
が100×106回に達したところで試験を中断した。試験結
果を第3表,及び第9図に示す。
以上の結果から分かるように、前記実施例1と同様に
冷間鍛造品は旋削加工品よりもより長寿命であることが
確認された。しかも、O含有量,S含有量,Ti含有量が共
に少ない高清浄度鋼の場合は、それらの含有量が比較的
多い一般清浄度鋼に比べてより長寿命であることが分か
る。例えば、冷間鍛造品は旋削加工品と比較して、高清
浄度鋼では6倍程度の寿命向上、一般清浄度鋼では4倍
程度の寿命向上が得られる。また、同じ冷間鍛造品の間
で、高清浄度鋼及び一般清浄度鋼のいずれにおいても、
表面に圧縮の応力が存在する肌焼鋼の方が表面に引っ張
りの応力が存在する焼入れ鋼(SUJ−2)より長寿命で
あることが確認された。
冷間鍛造品は旋削加工品よりもより長寿命であることが
確認された。しかも、O含有量,S含有量,Ti含有量が共
に少ない高清浄度鋼の場合は、それらの含有量が比較的
多い一般清浄度鋼に比べてより長寿命であることが分か
る。例えば、冷間鍛造品は旋削加工品と比較して、高清
浄度鋼では6倍程度の寿命向上、一般清浄度鋼では4倍
程度の寿命向上が得られる。また、同じ冷間鍛造品の間
で、高清浄度鋼及び一般清浄度鋼のいずれにおいても、
表面に圧縮の応力が存在する肌焼鋼の方が表面に引っ張
りの応力が存在する焼入れ鋼(SUJ−2)より長寿命で
あることが確認された。
前記実施例では部材の表面に圧縮残留応力を付与する
態様として、肌焼鋼を用いて浸炭熱処理を行ったものに
ついて説明したが、これに限らず肌焼鋼以外の軸受鋼を
高周波焼入れする場合であっても良い。
態様として、肌焼鋼を用いて浸炭熱処理を行ったものに
ついて説明したが、これに限らず肌焼鋼以外の軸受鋼を
高周波焼入れする場合であっても良い。
また、本実施例では試験片としてリング状のものにつ
いて試験を行ったが、転動体であるころ,鋼球を試験片
としても同様の効果を得ることができる。
いて試験を行ったが、転動体であるころ,鋼球を試験片
としても同様の効果を得ることができる。
本発明の転動部材は、軌道輪(内輪,外輪)及び転動
体(球,ころ)適用できる。
体(球,ころ)適用できる。
請求項1に記載の発明によれば、非金属介在物が微細
化される結果、非金属介在物に働く応力集中を緩和でき
ると共に、組織の緻密化と均質化を図ることができ、且
つ割れを発生するおそれがなくて長寿命な転動部材を提
供することができる。
化される結果、非金属介在物に働く応力集中を緩和でき
ると共に、組織の緻密化と均質化を図ることができ、且
つ割れを発生するおそれがなくて長寿命な転動部材を提
供することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1の前
記効果に加えて、転動部材において最も剪断力が作用す
る位置でのメタルフローの角度を請求項1のように特定
できるから、転動部材の長寿命化をさらに確実にするこ
とができる。
記効果に加えて、転動部材において最も剪断力が作用す
る位置でのメタルフローの角度を請求項1のように特定
できるから、転動部材の長寿命化をさらに確実にするこ
とができる。
さらに、請求項3に記載の発明によれば、Ti含有量を
80ppm以下にしたときには、Tiが原因となる非金属介在
物の発生を抑制することができ、また、S含有量を150p
pm以下にすると、Sが原因となるMnS等の非金属介在物
の発生を抑制し塑性加工の際に割れの発生を避けること
ができるため、高据え込み率の塑性加工が可能となり、
非金属介在物の微細化及び素材組織の緻密化,均質化を
達成するうえで好適である。
80ppm以下にしたときには、Tiが原因となる非金属介在
物の発生を抑制することができ、また、S含有量を150p
pm以下にすると、Sが原因となるMnS等の非金属介在物
の発生を抑制し塑性加工の際に割れの発生を避けること
ができるため、高据え込み率の塑性加工が可能となり、
非金属介在物の微細化及び素材組織の緻密化,均質化を
達成するうえで好適である。
さらに、請求項4に記載の発明によれば、圧縮残留応
力により応力集中が緩和されるため、さらに長寿命な転
動部材を提供することができる。
力により応力集中が緩和されるため、さらに長寿命な転
動部材を提供することができる。
第1図は、本発明の一実施例に係る転動部材であるリン
グ状試験片のメタルフローの状態を示す半断面図、第2
図は、据え込み加工の説明図、第3図は、本発明に係る
転動部材である鋼球のメタルフローの状態を示す断面
図、第4図は、メタルフローの角度と軸受寿命との関係
を示す特性図、第5図は、残留応力と転動部材の表面か
らの距離との関係を示す特性図、第6図は、軸受のリン
グ割れ試験機の構成図、第7図は、冷間鍛造の際の5段
ヘッダー加工の説明図、第8図は、実施例2の試験片の
メタルフローの状態を示す半断面図、第9図は、実施例
2における試験荷重と軸受寿命との関係を示す特性図、
である。 図中、1はリング状試験片(転動部材)、5は回転軸、
20は棒材、21は円板、である。
グ状試験片のメタルフローの状態を示す半断面図、第2
図は、据え込み加工の説明図、第3図は、本発明に係る
転動部材である鋼球のメタルフローの状態を示す断面
図、第4図は、メタルフローの角度と軸受寿命との関係
を示す特性図、第5図は、残留応力と転動部材の表面か
らの距離との関係を示す特性図、第6図は、軸受のリン
グ割れ試験機の構成図、第7図は、冷間鍛造の際の5段
ヘッダー加工の説明図、第8図は、実施例2の試験片の
メタルフローの状態を示す半断面図、第9図は、実施例
2における試験荷重と軸受寿命との関係を示す特性図、
である。 図中、1はリング状試験片(転動部材)、5は回転軸、
20は棒材、21は円板、である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 B21D 53/12
Claims (4)
- 【請求項1】荷重を受けて相手部材に対し相対的に転動
する転動部材において、塑性加工によって形成され少な
くともその一部が前記転動の回転軸と平行な基準線に接
する転動面を有し、且つ前記回転軸に対し直径方向外方
に向かって凸状又は八の字状をなして湾曲したメタルフ
ローを有し、前記回転軸を含む断面における前記メタル
フローの、前記回転軸に対する角度の最大値を、10゜以
上で且つ50゜以下の範囲に設定したことを特徴とする転
動部材。 - 【請求項2】前記回転軸を含む断面内で前記転動部材の
表層部から少なくとも最大せん断応力位置までにおける
前記メタルフローの、前記回転軸に対する角度の最大値
を10゜以上で且つ50゜以下の範囲に設定したことを特徴
とする請求項1に記載の転動部材。 - 【請求項3】Ti含有量が80ppm以下、S含有量が150ppm
以下の、少なくともいずれかを満足する合金鋼からな
り、少なくとも転動面を熱処理硬化してなることを特徴
とする請求項1又は請求項2に記載の転動部材。 - 【請求項4】転動面から0.2mmの深さ迄の圧縮残留応力
の最小値が、10kgf/mm2以上であることを特徴とする請
求項1〜3のいずれかに記載の転動部材。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Family
ID=13508968
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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CN1266396C (zh) * | 2001-10-31 | 2006-07-26 | 日本精工株式会社 | 滚动轴承 |
JP4760664B2 (ja) | 2006-10-26 | 2011-08-31 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | ベルト式無段変速機用シーブ部材及びその製造方法 |
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WO2019103039A1 (ja) * | 2017-11-24 | 2019-05-31 | Ntn株式会社 | 転動部品、軸受およびそれらの製造方法 |
JP7073193B2 (ja) * | 2017-11-24 | 2022-05-23 | Ntn株式会社 | 転動部品、軸受およびそれらの製造方法 |
JP7240815B2 (ja) | 2018-03-22 | 2023-03-16 | Ntn株式会社 | 転動部品の製造方法および軸受の製造方法 |
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GB935527A (en) * | 1961-04-14 | 1963-08-28 | Messerschmidt Sebastian | Improvements in and relating to the manufacture of ball bearing races |
US3496619A (en) * | 1967-11-14 | 1970-02-24 | Verson Allsteel Press Co | Method and apparatus for making inner and outer races for a roller bearing |
US3587154A (en) * | 1969-04-01 | 1971-06-28 | Textron Inc | Hollow bearing balls |
US4060290A (en) * | 1974-03-29 | 1977-11-29 | Thomas Scott Brawley | Bearing component and method of making same |
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- 1990-03-22 JP JP02073116A patent/JP3123055B2/ja not_active Expired - Fee Related
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- 1991-03-22 GB GB9106195A patent/GB2242484B/en not_active Expired - Fee Related
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GB2242484A (en) | 1991-10-02 |
GB9106195D0 (en) | 1991-05-08 |
JPH03271343A (ja) | 1991-12-03 |
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