JP3122497B2 - 加工領域内位置確認方法 - Google Patents

加工領域内位置確認方法

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JP3122497B2
JP3122497B2 JP03271835A JP27183591A JP3122497B2 JP 3122497 B2 JP3122497 B2 JP 3122497B2 JP 03271835 A JP03271835 A JP 03271835A JP 27183591 A JP27183591 A JP 27183591A JP 3122497 B2 JP3122497 B2 JP 3122497B2
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,ワイヤ電極によ
る工作物を加工するため,ワイヤ放電加工される工作物
に対して設定された加工領域内にワイヤ電極の中心が位
置することを確認する加工領域内位置確認方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ワイヤ放電加工は,プログラミングされ
た加工軌跡即ち加工形状の順路に従って,工作物とワイ
ヤ電極との間で放電を繰り返すことによって,工作物を
くり抜いていく加工方法であり,導電性物質で作られた
工作物であれば高硬度であっても無人で加工できること
から,金型加工においては不可欠な加工方法として発展
してきている。
【0003】ワイヤ放電加工機は,無人でしかも高精度
な加工が可能であるが,そのために,諸部品の設定,段
取り等の事前準備が不的確であってはならない。事前準
備にはいくつかあるが,そのうちの一つとして,加工領
域の設定があげられる。工作物をワイヤ放電加工機にセ
ットする時に,ワイヤ放電加工機のテーブルストローク
内,即ち加工エリア内に工作物のプログラミングされた
加工軌跡即ち加工形状が位置するようにセットすると同
時に,加工軌跡の外側に最小限の加工領域を設定する必
要がある。加工領域を設定する理由は,以下に説明す
る。
【0004】工作物をワイヤ放電加工機にセットする場
合,図9及び図10に示すように,工作物1を治具2に
一旦取り付け,治具2を工作物取付台3にクランプする
か,あるいは図11及び図12に示すように,工作物1
を工作物取付台3に直接クランプする方法がとられてい
る。図9は従来の工作物を工作物取付台に治具を介して
取り付けた1つの状態を示す平面図,図10は図9にお
けるA−A断面図,図11は従来の工作物を工作物取付
台に直接取り付けた別の状態を示す平面図,及び図12
は図11におけるA−A断面図である。
【0005】工作物をワイヤ放電加工機にセットする場
合の一例として,図9及び図10を参照して具体的に説
明すると,工作物1は裏面に円柱状の突出部11を有し
ており,一方,治具2はその突出部11の形状に一致す
る円形状の裏逃げ部10を有しており,工作物1の突出
部11を治具2の裏逃げ部10に嵌合して,工作物1は
治具2に取り付けられている。ワイヤ放電加工機のテー
ブル4の上面には,工作物取付台3が取り付けられ,工
作物取付台3に設けたクランプ部材5で治具2を締め付
けることにより,工作物1を工作物取付台3にセットし
ている。
【0006】従って,これらの図からも分かるように,
工作物1の上面にはクランプ部材5が突出しているのが
一般的である。また,工作物1にワイヤ放電加工が施さ
れる部分は平面であっても,それ以外の部分に凹凸があ
る場合がある。即ち,図10に示すように,工作物1の
下面側に,裏逃げ周縁部材となる治具2に形成される裏
逃げ部10があり,或いは,図12に示すように,工作
物1の下面に加工面6より突出する凸部分12が形成さ
れており,平面でなく,加工に際して障害になる物体が
存在している。
【0007】ところで,特殊な場合を除いて,一般に
は,ワイヤ放電加工においては加工液を加工部位にノズ
ルから噴射させており,ワイヤヘッドに設けられるノズ
ル先端と工作物1の面との間は,わずかの間隙を保つ程
度まで接近させている。これは加工精度の向上,加工速
度アップ等のためである。このような状態において,上
記のように,工作物1の上面あるいは下面に凹凸がある
場合,不用意にワイヤ放電加工機のテーブルを移動させ
た時,ワイヤ放電加工機を構成する上部ワイヤヘッドあ
るいは下部ワイヤヘッドが,工作物1或いは工作物1を
セットするクランプ部材5等の治具2の周縁部材と接触
して,ワイヤヘッドの部品であるノズル等の機械部品を
破損させるおそれがある。従って,このような事故を防
止するために加工領域20を予め設定しておき,その設
定した加工領域20の範囲を越えてテーブル4が移動し
ようとした場合には,ワイヤ放電加工機を自動的に停止
させなければならない。
【0008】そこで,工作物に対する加工領域20とし
ては,従来は,図9又は図11に示すように,テーブル
ストロークの原点Oから求めるX1 とX2 ,及びY1
2のそれぞれの線で囲まれる四角形の範囲(加工軌跡
即ち加工形状30を囲む二点鎖線の四角形の内側)を加
工領域20として設定していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,加工領
域20を,テーブルストロークの原点Oから求めるX1
とX2 ,及びY1 とY2 で囲まれる四角形で設定してい
たため,例えば,工作物1の下面に凸部分12或いは周
縁部材となる治具2の裏逃げ部10が存在するような場
合には,四角形の角の部分21で,ノズル等の機械部品
が裏逃げ部10又は凸部分12に接触するおそれがあ
る。仮に,治具2の円形状の裏逃げ部10又は工作物1
の円形状の凸部分12の中心と四角形の重心が一致する
ように加工領域20を設定したとしても,四角形が大き
い場合には,四角形の角の部分21で,ノズル等の機械
部品接触のおそれがある。ところが,それにもかかわら
ず,NC装置は,設定した加工領域20が安全領域であ
ると判断して,不用意にテーブル4を移動させてしま
い,その結果,ノズル等の機械部品が治具2の裏逃げ部
10又は凸部分12に接触を起こし,機械部品の損傷が
発生していた。特に,図9及び図11に示すように,工
作物1の下面に治具2又は凸部分12が存在する場合に
は,黙視による確認が不可能であり,接触の危険が大で
あった。従って,治具2又は凸部分12にノズル等の機
械部品が干渉しないような加工領域20を如何にして設
定するかが従来からの課題であった。
【0010】この発明の目的は,上記課題を解決するこ
とであり,工作物の加工に際してノズル等の機械部品が
損傷するのを防止ため,加工領域を工作物の取付け治具
又は工作物の加工面より突出する凸部分等の干渉可能性
がある物体に加工機のノズル等の機械部品が干渉しない
ように設定し,このようにして設定した加工領域内の何
れの領域にワイヤ電極の中心位置が描く加工軌跡(加工
形状)上の全ての点が位置するかを確認し,例えば,そ
れらの複数の領域が減速ライン領域,ストロークエンド
ライン領域及びオーバーライン領域に区分できることか
ら成る加工領域内位置確認方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は,ワイヤ電極
によって工作物をワイヤ放電加工するため,加工される
前記工作物の任意の位置を基準点とし,前記基準点を中
心として治具の裏逃げ部を形成する裏逃げ周縁部材と前
記工作物の加工面より突出する部分とから予め決められ
た所定の距離だけ離れた内側の領域であって,前記工作
物のプログラミングされた加工形状を囲む領域を加工領
域に設定し,前記工作物の前記基準点と前記内側の領域
の中心とを一致させ,前記基準点から前記加工領域まで
の距離と前記工作物の前記加工領域の前記基準点から前
記ワイヤ電極の中心位置までの距離との大小を比較して
前記加工領域内の加工位置を確認することから成る加工
領域内位置確認方法に関する。
【0012】また,この加工領域内位置確認方法におい
て,前記加工領域は,前記基準点を中心とする円形であ
る。また,前記加工領域は,前記工作物の加工軌跡に沿
って予め決められた所定の距離だけ外側の領域に設定さ
れている。
【0013】また,この加工領域内位置確認方法は,前
記加工領域から等間隔に外側にループ状に伸びる3つの
境界線で前記加工領域の外側の領域を3つの領域に区分
し,前記各境界線を内側から順に減速ライン,ストロー
クエンドライン及びオーバラインに設定されている。
【0014】この発明による加工領域内位置確認方法
は,上記のように構成されているので,基準点として加
工エリア内における任意の位置を選び,加工領域として
前記基準点を中心とする,例えば,円形であって且つ前
記工作物のプログラミングされた加工軌跡即ち加工形状
を囲む円の内側領域に設定し,工作物の基準点と内側の
領域の中心とを一致させることによって,基準点から加
工領域までの距離と工作物の加工領域の前記基準点から
ワイヤ電極の中心位置までの距離との大小を比較して加
工領域内の加工位置を確認することができる。工作物に
対する加工形状と裏逃げ周縁部材,工作物の加工面より
突出する部分等の干渉の可能性があるものの位置関係
は,加工前に既に決まっており,加工形状が加工領域の
ほぼ中央部に位置するように設計されているのが一般的
である。従って,前記加工領域の中心を障害物体の中心
とほぼ一致させれば,加工領域が障害物体に接触するの
を避けることができる。
【0015】また,加工領域として設定した領域,例え
ば,ほぼ円領域の中心位置からワイヤ電極の中心位置ま
での距離rn が,前記加工領域の該円の半径Rよりも小
さい場合(rn <R)には,ワイヤ電極の中心は,加工
領域として設定した円の内側領域に位置していることに
なる。従って,ワイヤ電極の中心が描く加工軌跡上の全
ての点について上記の条件が満たされている場合には,
設定した加工領域が適正であることになる。このように
して,ワイヤ電極の中心が描く加工軌跡上の全ての点
が,設定した加工領域内に位置するか否かを確認するこ
とができる。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明による加工領域内位置確
認方法の一実施例について説明する。図1及び図2に示
す実施例について説明する。図1はこの発明による加工
領域内位置確認方法を説明するため工作物取付台に工作
物を治具を介して取り付けた状態を示す平面図,及び図
2は図1のA−A断面図である。図1及び図2は,図9
及び図11に示したものと比較して,ほぼ同一の構成で
あるので,図1及び図2に示す部品については同一部品
には同一の符号を付している。
【0017】この発明による加工領域内位置確認方法の
実施例では,工作物1或いは治具2の裏逃げ部10の形
状を,加工上,簡単で容易であるという点からほぼ円形
として説明したが,必ずしも円形である必要はなく,例
えば,多角形,楕円形,卵形,菱形等のものでよいもの
である。従って,加工領域についても,その形状に合わ
せて決定できる。
【0018】この実施例では,工作物1は円盤状で,裏
面に円柱状の突出部11を有している。一方,治具2は
矩形であって,工作物1の突出部11の形状に符合する
円形状の裏逃げ部10を有している。工作物1の突出部
11を治具2の裏逃げ部10に嵌合し,テーパーピン1
4及びセットボルト15で両者を固定することにより,
工作物1は治具2に取り付けられる。ワイヤ放電加工機
のテーブル4には工作物取付台3が取り付けられ,工作
物取付台3に設けられたクランプ部材5で治具2を締め
付けることにより,工作物1は工作物取付台3にセット
される。工作物1がセットされた状態で,工作物1の下
面には,治具2の裏逃げ部10の障害物体が存在するこ
とになる。
【0019】この加工領域内位置確認方法では,ワイヤ
放電加工される工作物1の任意の位置を基準点とし,該
基準点を中心として裏逃げ部10が形成されている裏逃
げ周縁部材である治具2等,即ちノズル等に対して干渉
の可能性がある物体即ち障害物体より所定の距離だけ内
側の領域で且つ工作物1の加工軌跡即ち加工形状30を
囲む領域を加工領域に設定する。そこで,治具2への工
作物1のセットが終わると,次のようにして,加工領域
20を設定する。この例では,加工領域20はほぼ円形
に設定した例を説明する。
【0020】ワイヤ放電加工が施される工作物1の任意
の位置,即ちワイヤ放電加工機のテーブルストローク原
点Oから任意の位置(A1 ,B1 )を基準点Pとし,基
準点Pを中心として半径Rの円25を描く。そして,円
25内に,ワイヤ電極の中心が描く加工形状30が完全
に包含されるようにする。これによって,円25内の領
域を加工領域20として設定する。円25と治具2の裏
逃げ部10の円とが交わったり,接触したりしないよう
にするためには,基準点Pの位置として,裏逃げ部10
の中心位置にほぼ一致する位置を選ぶようにするとよ
い。加工領域20を規定する円25は,加工エリア内の
任意の位置を(Pn ,Qn )とすると,R2 =(Pn
1 2 +(Qn −B1 2 で表される。
【0021】次に,図3及び図4を参照して,この発明
による加工領域内位置確認方法での別の加工領域設定方
法を説明する。図3はこの発明による加工領域内位置確
認方法での別の加工領域設定方法を説明する工作物取付
台に工作物を直接取り付けた状態を示す平面図,及び図
4は図3のA−A断面図である。この実施例では,治具
を使用することなく,工作物1を工作物取付台3に直接
取り付けた場合であり,工作物1の形状は矩形であり,
工作物1の裏面に加工面6より突出する円形状凸部12
が形成されている。この実施例での加工領域の設定方法
については,ワイヤ放電加工される工作物1の任意の位
置を基準点とし,該基準点を中心として工作物1の裏面
に加工面6より突出する円形状凸部12,即ちノズル等
に対して干渉の可能性がある物体即ち障害物体より所定
の距離だけ内側の領域で且つ工作物1の加工形状30を
囲む領域を加工領域20に設定したものである。また,
この実施例での加工領域設定方法において,その他につ
いては,図1の場合とほぼ同一であり,重複する説明は
省略する。
【0022】次に,図5を参照して,この発明による加
工領域内位置確認方法の実施例について説明する。図5
はこの発明による加工領域内位置確認方法の一実施例を
説明するための概略説明図である。この加工領域内位置
確認方法は,上記のようにして設定した加工領域20内
に加工形状30があるか否かについて確認するものであ
り,言い換えれば,ワイヤ電極の中心位置が常に加工領
域20の中に位置しているか否かを確認するものであ
る。即ち,この加工領域内位置確認方法において,加工
領域20から等間隔に外側にループ状に伸びる3つの境
界線26,27,28で加工領域20の外周領域を3つ
の領域に区分し,各境界線26,27,28を内側から
順に減速ライン26,ストロークエンドライン27及び
オーバライン28に設定したものである。この場合,加
工領域20のラインと最内周の境界線即ち減速ライン2
6とは重なっている。
【0023】図5において,加工領域20の中心,即ち
基準点Pの位置を(A1 ,B1 )とし,加工エリア内の
任意の位置にあるワイヤ電極の中心,即ち加工形状上の
任意の点を(Pn ,Qn )とする。また,基準点P(A
1 ,B1 )から加工形状30の任意の点(Pn ,Qn
までの距離をrn とする。加工領域20の外側の領域を
表す円領域25は,三つの同心円から構成し,一番内側
の円から順番に,それぞれ減速ライン26,ストローク
エンドライン27,オーバランライン28とする。ま
た,基準点Pから減速ライン26までの距離をR1 ,ス
トロークエンドライン27までの距離をR2 ,オーバラ
ンライン28までの距離をR3 とする。それぞれのライ
ンの意味について説明すると,減速ライン26の内側は
安全領域である加工領域20であるが,減速ライン26
を越えた領域RLでは,ワイヤ電極の移動速度を減速さ
せる必要があり,ストロークエンドライン27を越えた
領域ELではワイヤ電極を停止させる必要がある。ま
た,オーバランライン28を越えた領域OLでは,ノズ
ル等の機械部品が障害物体に接触を起こす可能性が極め
て高くなる。
【0024】次に,図6を参照して,この発明による加
工領域内位置確認方法の一実施例を説明する。図6は,
この発明による加工領域内位置確認方法の一実施例を説
明する処理フロー図である。まず,プログラミングされ
た加工形状の順路に従って移動するワイヤ電極の中心位
置,つまり加工形状30上の点(Pn ,Qn )のうち,
最初に加工開始点の位置(P1 ,Q1 )を読み込む(ス
テップ61)。加工領域20の基準点P(A1 ,B1
から加工形状30上の点までの距離rn は,rn 2
(Pn −A1 2 +(Qn −B1 2 の関係から算出す
る(ステップ62)。算出した距離rn と,基準点Pか
ら減速ライン26までの距離R1 との大きさを比較する
(ステップ63)。比較の結果,rn 2 がR1 2 よりも
小さい場合には,加工形状30は加工領域20内に位置
しているので,その点の加工領域内位置確認が済み,処
理はステップ69に進む。
【0025】もし,rn 2 がR1 2 より小さくない場合
には,減速信号が発信される(ステップ64)。減速信
号が発信された場合には,次に,算出した距離rn と,
基準点Pからストロークエンドライン27までの距離R
2 との大きさを比較する(ステップ65)。rn 2 がR
2 2 よりも小さい場合には,加工形状30は加工領域2
0内に位置しているので,その点の加工領域内位置確認
が済み,処理はステップ69に進む。
【0026】rn 2 がR2 2 より小さくない場合には,
ストロークエンド信号が発信される(ステップ66)。
ストロークエンド信号が発信された場合には,更に,算
出した距離rn と,基準点Pからストロークエンドライ
ン28までの距離R3 との大きさを比較する(ステップ
67)。rn 2 がR3 2 よりも小さい場合には,加工形
状30は加工領域20内に位置しているので,その点の
加工領域内位置確認が済み,処理はステップ69に進
む。
【0027】もし,rn 2 がR3 2 より小さくない場合
には,オーバラン信号が発信される(ステップ68)。
このようにして,ステップ61からステップ68までの
処理が終わると,次いで,ワイヤ電極の中心位置が描く
加工軌跡即ち加工形状20上の全ての点(Pn ,Qn
を読み込んだか否か,即ち,加工終点まで読み込んだか
否かを判断し,(ステップ69),まだ読み込んでいな
い点がある場合には,ステップ61に戻り,ステップ6
1からステップ69を繰り返す。全ての点(Pn
n )に関して,全ての点が加工領域内位置確認が済め
ば,設定された加工領域20の中に加工形状30が完全
に包含されていることになる。
【0028】減速信号,ストロークエンド信号,オーバ
ラン信号が表示装置へ向かって送信された場合には,設
定した加工領域に問題があるので,再設定しなければな
らない。表示装置には,加工形状30のどの位置で,ど
の種類の信号が送信されたかが,わかるように表示され
る。従って,これらの信号が送信された場合には,この
表示を参考にして再度,加工領域の設定を行えばよい。
この発明による加工領域内位置確認方法を実行して,表
示装置に上記の信号による表示がなければ,設定した加
工領域は適正であるから,ワイヤ放電加工機を実際に運
転させても途中で停止することはない。
【0029】更に,図7及び図8を参照して,この発明
による加工領域内位置確認方法での別の加工領域設定方
法を説明する。図7はこの発明による加工領域内位置確
認方法での別の加工領域設定方法を説明する工作物取付
台に工作物を治具を介して取り付けた状態を示す平面
図,及び図8は図7のA−A断面図である。この実施例
では,治具2を使用して工作物1を工作物取付台3に取
り付けた場合であり,工作物1の形状は円形であり,工
作物1の裏面に加工面6より突出する治具2の裏逃げ部
10が形成されている。この実施例での加工領域の設定
方法は,ワイヤ放電加工される工作物1の任意の位置を
基準点とし,該基準点を中心として工作物1の裏面に加
工面6より突出する治具2の裏逃げ部10の障害物体よ
り所定の距離だけ内側の領域で且つ工作物1の加工形状
30を囲む領域を加工領域20に設定すると共に,更
に,加工領域20は工作物1の加工形状30に沿って所
定の距離Lだけ外側の領域に設定したものである。ま
た,この実施例での加工領域設定方法についての他の点
では,図1の場合とほぼ同一であり,重複する説明は省
略する。
【0030】
【発明の効果】この発明による加工領域内位置確認方法
は,上記のように構成されているので,例えば,加工領
域を円形とすると,該円の中心を障害物体の中心とほぼ
一致させれば,加工領域が障害物体より予め決められた
所定距離だけ内側に存在するので,例えば,ノズル等の
機械部品が障害物に干渉して損傷を受けるようなことが
ない。また,加工領域として設定した領域の中心位置か
らワイヤ電極の中心位置までの距離rn が,前記加工領
域の半径Rよりも小さければ(rn <R),ワイヤ電極
の中心は,加工領域として設定した領域の内側領域に位
置していることになる。従って,ワイヤ電極の中心が描
く加工形状上の全ての点について,上記の条件が満たさ
れている場合には,設定した加工領域が適正であるとい
うことになる。また,上記の条件が満たされない場合に
は,上記条件を満たすまで,加工領域を設定することに
より,適正は加工領域を設定することができる。
【0031】このように,ワイヤ放電加工機で加工を始
める前に,上記の加工領域設定方法を用いて加工領域を
設定し,この発明による加工領域内位置確認方法を用い
て,設定した加工領域が適正であることを確認すること
ができる。従って,ノズル等の機械部品の損傷を防止す
るために,従来のように,ワイヤ放電加工中にワイヤ放
電加工機が自動的に停止するといった事態は起こらなく
なり,円滑な加工が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による加工領域内位置確認方法を説明
するため工作物を工作物取付台に治具を介して取り付け
た状態を示す平面図である。
【図2】図1の線A−Aにおける断面図である。
【図3】この発明による加工領域内位置確認方法を説明
するため工作物を工作物取付台に直接取り付けた別の状
態における平面図である。
【図4】図3の線A−Aにおける断面図である。
【図5】この発明による加工領域内位置確認方法の一実
施例を説明するための概略説明図である。
【図6】この発明による加工領域内位置確認方法の一実
施例を説明するための処理フロー図である。
【図7】この発明による加工領域内位置確認方法での加
工領域設定方法を説明するものであり,工作物を工作物
取付台に治具を介して取り付けた状態における平面図で
ある。
【図8】図7の線A−Aにおける断面図である。
【図9】従来の工作物を工作物取付台に治具を介して取
り付けた1つの状態を示す平面図である。
【図10】図9におけるA−A断面図である。
【図11】従来の工作物を工作物取付台に直接取り付け
た別の状態を示す平面図である。
【図12】図11におけるA−A断面図である。
【符号の説明】
1 工作物 2 治具(裏逃げ周縁部材) 3 工作物取付台 6 加工面 10 裏逃げ部 12 突出する部分 20 加工領域 25 円領域 26 境界線(減速ライン) 27 境界線(ストロークエンドライン) 28 境界線(オーバライン) 30 加工形状

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワイヤ電極によって工作物をワイヤ放電
    加工するため,加工される前記工作物の任意の位置を基
    準点とし,前記基準点を中心として治具の裏逃げ部を形
    成する裏逃げ周縁部材と前記工作物の加工面より突出す
    る部分とから予め決められた所定の距離だけ離れた内側
    の領域であって,前記工作物のプログラミングされた加
    工形状を囲む領域を加工領域に設定し,前記工作物の
    記基準点と前記内側の領域の中心とを一致させ,前記基
    準点から前記加工領域までの距離と前記工作物の前記加
    工領域の前記基準点から前記ワイヤ電極の中心位置まで
    の距離との大小を比較して前記加工領域内の加工位置を
    確認することから成る加工領域内位置確認方法。
  2. 【請求項2】 前記加工領域は前記基準点を中心とす
    形であることから成る請求項1に記載の加工領域内位
    置確認方法。
  3. 【請求項3】 前記加工領域は前記工作物の加工軌跡に
    沿って予め決められた所定の距離だけ外側の領域に設定
    されていることから成る請求項1に記載の加工領域内位
    置確認方法。
  4. 【請求項4】 前記加工領域から等間隔に外側にループ
    状に伸びる3つの境界線で前記加工領域の外側の領域を
    3つの領域に区分し,前記各境界線を内側から順に減速
    ライン,ストロークエンドライン及びオーバラインに設
    定されていることから成る請求項1に記載の加工領域内
    位置確認方法。
JP03271835A 1991-09-25 1991-09-25 加工領域内位置確認方法 Expired - Fee Related JP3122497B2 (ja)

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