JP3121084B2 - 塗料用抗菌剤および抗菌性塗料 - Google Patents

塗料用抗菌剤および抗菌性塗料

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JP3121084B2 JP03347632A JP34763291A JP3121084B2 JP 3121084 B2 JP3121084 B2 JP 3121084B2 JP 03347632 A JP03347632 A JP 03347632A JP 34763291 A JP34763291 A JP 34763291A JP 3121084 B2 JP3121084 B2 JP 3121084B2
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昭彦 金澤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塗料用抗菌剤およびそれ
を用いた抗菌性塗料に関し、更に詳しくはビニルベンジ
ルホスホニウム塩又は/及び該塩をモノマー成分として
少なくとも含有する抗菌性ポリマーからなる抗菌剤を含
有する抗菌性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に塗料、塗膜を有する各種工業材料
製品中やその表面には、微生物が付着しており、栄養、
湿度、温度、pHなどの成育条件が満たされると微生物
が繁殖を開始し、変色、汚染、劣化、変質などの障害が
発生する。
【0003】このため、その有害な微生物を抑制ないし
死滅させるための手段として、細菌やカビ類の繁殖を防
止したり、あるいは死滅させたりすることが可能な各種
の様々な防菌剤、防カビ剤を混入した塗料を用いて、上
記の各種の障害を効果的に防ぐ方法が開発されている。
【0004】また、塗料自体も無公害化、省資源化へ移
行するにつれて、エマルジョン塗料、水溶性塗料が増加
し、貯蔵中、使用中の腐敗、カビ防止が重大な課題とな
っている。
【0005】従来、これらの塗料用殺菌剤としては、フ
ェノール系、トリジンおよびチアジアジン系、第4級ア
ンモニウム塩系などが使用されている。これらの中で、
実用化あるいは研究中の殺菌剤のほとんどが四級アンモ
ニウム塩系である。
【0006】また、ホスニウム塩化合物は、種々の含窒
素化合物と同様に生物学的活性化学物質と知られてお
り、細菌類,真菌類,藻類に対して広い活性スペクトル
を持っている。これらに関するものとしては、例えば特
開昭62−114903号公報、特開平1−93596
号公報、特公平2−58998号公報等に報告されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、四級ア
ンモニウム塩系殺菌剤は、広い抗菌スペクトルを有する
が、短時間の接触で微生物に作用する殺菌効果が未だ充
分でない。また、前記ホスホニウム塩化合物も同様に充
分な抗菌力を有していない。
【0008】本発明者らは、上記事実に鑑み、鋭意研究
を行った結果、ビニルベンジルホスホニウム塩又は/及
び該ビニルベンジルホスホニウム塩をモノマー成分とし
て少なくとも含有する抗菌性ポリマーからなる抗菌剤
有効成分として含有する塗料が優れた抗菌力を示すとい
う事実を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第一
の発明は、下記の一般式(1)
【化6】 (式中、R 1 ,R 2 およびR 3 は水素原子、ヒドロキシ
基、炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキ
ル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル
基,アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基また
はアルコキシ基で置換されていてもよい。X - はアニオ
ンを示す。)で表わされるビニルベンジルホスホニウム
塩からなる塗料用抗菌剤である。
【0010】また、本発明の第二の発明は、下記の一般
式(1)
【化7】 (式中、R 1 ,R 2 およびR 3 は水素原子、ヒドロキシ
基、炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキ
ル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル
基,アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基また
はアルコキシ基で置換されていてもよい。X - はアニオ
ンを示す。)で表わされるビニルベンジルホスホニウム
塩をモノマー成分として少なくとも含有する抗菌性ポリ
マーからなる塗料用抗菌剤である。
【0011】また、本発明の第三の発明は、下記の一般
式(1)
【化8】 (式中、R 1 ,R 2 およびR 3 は水素原子、ヒドロキシ
基、炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキ
ル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル
基,アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基また
はアルコキシ基で置換されていてもよい。X - はアニオ
ンを示す。)で表わされるビニルベンジルホスホニウム
塩からなる抗菌剤を、全重量当り0.001〜50重量
%含有することを特徴とする抗菌性塗料である。また、
本発明の第四の発明は、下記の一般式(1)
【化9】 (式中、R 1 ,R 2 およびR 3 は水素原子、ヒドロキシ
基、炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキ
ル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル
基,アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基また
はアルコキシ基で置換されていてもよい。X - はアニオ
ンを示す。)で表わされるビニルベンジルホスホニウム
塩をモノマー成分として少なくとも含有する抗菌性ポリ
マーからなる抗菌剤を、全重量当り0.001〜50重
量%含有することを特徴とする抗菌性塗料である。ま
た、本発明の第五の発明は、下記の一般式(1)
【化10】 (式中、R 1 ,R 2 およびR 3 は水素原子、ヒドロキシ
基、炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキ
ル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル
基,アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基また
はアルコキシ基で置換されていてもよい。X - はアニオ
ンを示す。)で表わされるビニルベンジルホスホニウム
塩及び該ビニルベンジルホスホニウム塩をモノマー成分
として少なくとも含有する抗菌性ポリマーからなる抗菌
剤を、全重量当り0.001〜50重量%含有すること
を特徴とする抗菌性塗料である。
【0012】以下、本発明をさらに詳細に説明をする。
本発明に係る抗菌性塗料は、前記に示すごとく、ビニル
ベンジルホスホニウム塩又は/及び該ビニルベンジルホ
スホニウム塩をモノマー成分として少なくとも含有する
抗菌性ポリマーを抗菌作用の有効成分として塗料に配合
してなる組成物であるが、これは次の三つの態様が含ま
れる。
【0013】 上記ビニルベンジルホスホニウム塩を
抗菌剤として塗料ビヒクルに混合した混合物 上記ビニルベンジルホスホニウム塩をモノマー成分
として少なくとも含有する抗菌性ポリマーを抗菌剤とし
て塗料ビヒクルに混合した混合物 上記ビニルベンジルホスホニウム塩および該ビニル
ベンジルホスホニウム塩をモノマー成分として少なくと
も含有する抗菌性ポリマーを抗菌剤として塗料ビヒクル
に混合した混合物
【0014】本発明において、ビニルベンジルホスホニ
ウム塩は下記の一般式(1)で示されるが、
【0015】
【化11】
【0016】その式中、R1 〜R3 の具体例としては、
水素原子;ヒドロキシ基;メチル,エチル,ブチル,プ
ロピル,ペンチル,ヘキシル,ヘプチル,オクチル,ド
デシル,イソプロピル等の炭素原子数1〜18の直鎖状
または分岐状のアルキル基;フェニル,トリル,キシリ
ル等のアリール基;ベンジル,フェニチル等のアラルキ
ル基;前記アルキル基,アリール基およびアラルキル基
はヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換されているも
のでもよい;等が挙げられる。それらの中でも好ましく
は、アルキル基,アリール基,アラルキル基であり、更
に好ましくは、アルキル基,アリール基である。また、
1 、R2 およびR3 は、同様又は異種の基であっても
よい。
【0017】アニオン(X- )としては、例えばフッ
素,塩素,臭素またはヨウ素等のハロゲンイオン、ギ
酸,酢酸,シュウ酸等のカルボキシルイオン、硫酸イオ
ン、リン酸イオン、メチルまたはジメチルリン酸イオ
ン、エチルまたはジエチルリン酸イオン、フッ化アンチ
モンイオン、フッ化リンイオン、フッ化ヒ素イオン、フ
ッ化ホウ素イオン、過塩素酸イオン等が挙げられ、それ
らの中でもハロゲンイオンが好ましい。
【0018】なお、X- が、フッ化アンチモンイオン、
フッ化リンイオン、フッ化ヒ素イオン、フッ化ホウ素イ
オン、過塩素酸イオンである場合は、水不溶性となり、
また溶解性の如何は、R1 〜R3 を変えることによって
も変化する。従って、塗料に含有するビニルベンジルホ
スホニウム塩および後記の抗菌性ポリマーは、一般式
(1)のR1 〜R3 およびX- を変えることにより、使
用に応じた溶解度で抗菌剤を設計することができる。
【0019】また、一般式(1)で示されるビニルベン
ジルホスホニウム塩の抗菌効果は、式中におけるホスホ
ニウム塩のR1 〜R3 がアルキル基の場合、その長さの
影響を受け、例えば、メチル,エチル,ブチル,オクチ
ルと長くなるにつれて抗菌効果が高くなる。
【0020】次に、一般式(1)で示されるビニルベン
ジルホスホニウム塩を更に具体的に示すと、例えば トリエチル−3−ビニルベンジルホスホニウムクロライ
ドとトリエチル−4−ビニルベンジルホスホニウムクロ
ライド,トリブチル−3−ビニルベンジルホスホニウム
クロライドとトリブチル−4−ビニルベンジルホスホニ
ウムクロライド,トリフェニル−3−ビニルベンジルホ
スホニウムクロライドとトリフェニル−4−ビニルベン
ジルホスホニウムクロライド,トリオクチル−3−ビニ
ルベンジルホスホニウムクロライドとトリオクチル−4
−ビニルベンジルホスホニウムクロライド,トリエチル
−3−ビニルベンジルホスホニウムブロマイドとトリエ
チル−4−ビニルベンジルホスホニウムブロマイド,ト
リエチル−3−ビニルベンジルホスホニウムテトラフロ
ロボレートとトリエチル−4−ビニルベンジルホスホニ
ウムテトラフロロボレート,を挙げることができるが、
これらに限定されるものではない。
【0021】次に、抗菌剤として用いる抗菌性ポリマー
としては、前記ビニルベンジルホスホニウム塩をモノマ
ー成分として少なくとも含有するポリマーが用いられ
る。
【0022】具体的には、下記の一般式(2)
【0023】
【化12】
【0024】(式中、R1 〜R3 ,X- は前記と同じも
のを示す。nは2以上の整数を示す。)に示される、上
記一般式(1)で示されるビニルベンジルホスホニウム
塩のホモポリマー又は/及び上記ビニルベンジルホスホ
ニウム塩と該塩と共重合可能な不飽和二重結合をもつ化
合物との共重合体が挙げられる。
【0025】かかる一般式(2)に示されるビニルベン
ジルホスホニウム塩のホモポリマーの抗菌効果は、前記
ビニルベンジルホスホニウム塩と同様に、式中における
ホスホニウム塩のR1 〜R3 がアルキル基の場合、その
長さの影響を受けるが、その抗菌効果は、前記ビニルベ
ンジルホスホニウム塩と比べると数段と優れたものにな
る。
【0026】前記一般式(2)に示されるポリマーの重
合度は特に限定する必要はないけれども2以上で、多く
の場合5以上、好ましくは10〜200の範囲が抗菌活
性に優れている。
【0027】次に、一般式(1)で示されるビニルベン
ジルホスホニウム塩と共重合可能な不飽和二重結合をも
つ化合物としては、例えばエチレン,プロピレン,ブチ
レン,イソブチレン,ジイソブチレン,塩化ビニル,塩
化ビニリデン,臭化ビニル,(メタ)アクリル酸,(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル,(メタ)アクリルア
ミド,ビニルアルコール,ビニル酢酸,アクリロニトリ
ル,ビニルスルホン酸塩,N−ビニル−2−ピロリド
ン,マレイン酸,フマール酸,スチレン,ビニルトルエ
ン,桂皮酸,ビニルチオフェン,ビニルピリジン又はビ
ニルイミダゾールなどが代表的に挙げられ、これらは1
種又は2種以上であってもよい。
【0028】これらの不飽和二重結合をもつ化合物とビ
ニルベンジルホスホニウム塩との共重合体の中における
ビニルベンジルホスホニウム塩の構造単位の割合は、通
常1〜99モル%、好ましくは5〜50モル%が望まし
い。また、不飽和二重結合をもつ化合物の構造単位の割
合は、通常99〜1モル%、好ましくは95〜50モル
%が望ましい。
【0029】また、この共重合体における各構造単位の
重合形態は様々であり、ランダム、ブロックおよびグラ
フトの何れであってもよい。
【0030】なお、かかる共重合体の重合度は特に限定
する必要はないけれども、多くの場合5以上、好ましく
は40〜200の範囲が抗菌活性に優れている。
【0031】本発明の抗菌性塗料は、一般式(1)で表
わされるビニルベンジルホスホニウム塩又は/及び該ビ
ニルベンジルホスホニウム塩をモノマー成分として少な
くとも含有する抗菌性ポリマーを抗菌剤の有効成分とし
て塗料ビヒクルに配合してなるものである。
【0032】本発明の抗菌性塗料は、必要に応じて他の
抗菌剤と組み合わせて使用してもよく、例えばメタホウ
酸バリウム、抗菌性ゼオライト、抗菌性アパタイトの如
き無機質抗菌剤、あるいは1−[(ジヨードメチル)ス
ルホニル]−4−メチルベンゼン、3−ヨード−2−プ
ロバルギルブチルカーバメート、N,N−ジメチル−
N′−(フルオロジメチルチオ)−N′−フェニルスル
ファニド、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾー
ル、2,3,5,6−テトラクロルイソフタロニトリ
ル、テトラクロル−4−メチルスルホニルピリジン、8
−オキシノリン銅、テトラデシルジメチルベンジルアン
モニウムクロリド等の有機質抗菌剤が挙げられ、これら
は1種または2種以上併用して使用してもさしつかえな
い。
【0033】本発明に係る抗菌剤を含有する塗料ビヒク
ルとしては、特に限定はなく使用目的に応じ油性または
水性のいずれのものでも用いることができる。しかし、
消防法や公害防止の面から水性塗料が望ましい。塗料ビ
ヒクルとしては、一般的に使用されている塗料を用いれ
ば良く、例えばボイル油,ペイント,ワニス,エナメル
等の油性塗料、アルキッド樹脂塗料,ニトロセルロース
ラッカー等のセルロース誘導体塗料、アミノアルキド樹
脂塗料,ビニル塗料,アクリル樹脂塗料,エポキシ樹脂
塗料,ポリウレタン樹脂塗料等の合成樹脂塗料、セメン
ト系塗料、粉体および練状水性塗料,合成ラテックス塗
料,エマルジョン塗料,水溶性塗料等の水系塗料を用い
ることができる。
【0034】本発明の抗菌性塗料において、かかる塗料
材料に含有する、前記一般式(1)で示されるビニルベ
ンジルホスホニウム塩又は/及び該ビニルベンジルホス
ホニウム塩をモノマー成分として少なくとも含有する抗
菌性ポリマーの量は、塗料の用途によって多様に異なる
が、多くの場合抗菌性塗料の全重量当り0.001〜5
0重量%、好ましくは0.01〜30重量%の範囲が適
当である。含有量が0.001〜重量%未満の場合は、
抗菌性塗料の抗菌作用が実質的に得られないからであ
り、また上限は多くの場合経済的な理由から制限され、
実用的範囲として設定される。
【0035】本発明の抗菌性塗料には、必要に応じて顔
料、可塑性、硬化剤、増量剤、充填剤、老化防止剤、増
粘着、界面活性剤等の各種塗料添加剤を適時併用するこ
とができる。これらの添加剤は、塗料組成物における各
成分の物性や使用目的に応じて適宜選択すべきであり、
その添加量も特に限定すべきものではないが、多くとも
全重量当り80重量%である。
【0036】本発明の抗菌性塗料を調製する方法は、各
成分が均一に混合される方法であれば特に限定されず、
公知の方法を利用することができる。例えば、ハイスピ
ードミル,ボールミル,サンドミル等の分散装置を使用
し、各種配合材料を順次添加し、混合分散する方法が挙
げられる。 また、塗装方法としては、ローラー塗り,
コテ塗り,スプレー塗り,刷毛塗り等があり、該塗膜,
塗層の表面形状も上記塗装方法の選択により自由に変化
させることができる。
【0037】
【作用】本発明に係る抗菌性塗料は、ビニルベンジルホ
スホニウム塩又は/及び該ビニルベンジルホスホニウム
塩をモノマー成分として少なくとも含有する抗菌性ポリ
マーを有効成分として含有する塗料であるが、その作用
の詳細な機構は不明であるが、恐らく次のようなことが
推定できる。
【0038】すなわち、ビニルベンジルホスホニウム塩
は、モノマー又はポリマーの如何に拘わらず、ホスホニ
ウム塩に依拠するその特定の化合物が、バクテリア、黴
などの有害微生物に対し、幅広い抗菌、抗黴スペクトル
を有し、特にポリマー状のホスホニウム塩の方が多くの
場合、薬害が少ないにもかかわらず前記防菌機能に優れ
ていることから好ましい。
【0039】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに説明を
する。
【0040】実施例1〜7 (1)ビニルベンジルホスホニウム塩の抗菌性剤の合成 十分に、窒素置換した100ml容フラスコに、クロロ
メチルスチレン9.85重量部およびトリオクチルホス
フィン10.88重量部を入れ、次いでn−ヘキサンを
20容量部加えた。フラスコ内の液温を25℃とし、2
4時間反応させて、白色結晶の生成物を得た。この結晶
を濾過し、n−ヘキサンで十分洗浄を行った。得られた
生成物を減圧、室温下で乾燥して、トリオクチル−3−
ビニルベンジルホスホニウムクロライドとトリオクチル
−4−ビニルベンジルホスホニウムクロライドの混合物
(試料Aとする)8.84重量部を得た。
【0041】(2)抗菌性ポリマーの合成 (i)トリオクチル−3−ビニルベンジルホスホニウム
クロライドとトリオクチル−4−ビニルベンジルホスホ
ニウムクロライドの混合物2.00重量部を水20容量
部に溶解し、2,2−アゾビス−(2−アミノジプロパ
ン)塩酸塩0.0007容量部を加えて脱気封管した。
これを60℃で6時間放置して重合させた後、大過剰の
テトラヒドロフランに注ぎ込み、析出する沈澱を濾過
し、採取した。ポリトリオクチル−3−ビニルベンジル
ホスホニウムクロライドとポリトリオクチル−4−ビニ
ルベンジルホスホニウムクロライドの混合物(試料Bと
する)0.97重量部が得られた。重合体の重量平均分
子量は76,200であった。
【0042】(ii)トリオクチル−3−ビニルベンジ
ルホスホニウムクロライドとトリオクチル−4−ビニル
ベンジルホスホニウムクロライドの混合物1.5重量部
とN−ビニル−ピロリドン0.47重量部をジメチルホ
ルムアミド10容量部に溶解し、アゾビスイソブチロニ
トリル0.0176容量部を添加して脱気封管した。こ
れを60℃で6時間放置して重合させた後、大過剰のテ
トラヒドロフラン中に注ぎ込み、析出する沈澱を濾過し
て採取すると、ポリトリオクチル−3−ビニルベンジル
ホスホニウムクラロイドとポリトリオクチル−4−ビニ
ルベンジルホスホニウムクロライド:N−ビニル−ピロ
リドン共重合体(試料Cとする)1.40重量部が得ら
れた。共重合体の重量平均分子量は17,400であっ
た。
【0043】(3)抗菌性塗料の調製 前記調製に係わる抗菌剤を配合した下記の塗料組成物を
三本ロールにて、混練して抗菌性塗料を得た。
【0044】 〔抗菌性塗料1〕 試料A 1.0部 酢酸ビニルエマルジョン塗料 1000部 (関西ペイント(株)製,ビニペイント100)
【0045】 〔抗菌性塗料2〕 試料B 0.2部 酢酸ビニル系エマルジョン樹脂 38.6部 ルチル型酸化チタン 33.6部 クレー 23.4部 炭酸カルシウム 23.4部 ノイゲンEA−120(第一工業製薬品,界面活性剤) 0.4部 大豆レシチン 1.0部 トリポリリン酸カリ 0.2部 ナポロNWE(三洋化成,消泡剤) 0.2部 フタル酸ジブチル 1.8部 エチレングリコール 4.2部 ブチルセルソルブ 1.4部 水 46.6部
【0046】 〔抗菌性塗料3〕 試料C 2部 赤色アキリルエマルジョン塗料 1000部 (大日本塗料(株)製,アクローゼ100V)
【0047】 〔抗菌性塗料4〕 試料A 15部 黄色ビニルエマルジョン塗料 2000部 (大日本塗料(株)製,ビニローゼ410)
【0048】 〔抗菌性塗料5〕 試料B 0.3部 スチレン−アクリル酸エステルコポリマー 33部 ジエチレングリコール 4.5部 ヘキサメタリン酸ナトリウム10%水溶液 4.5部 ヒドロキシ・プロピル・メチルセルロース2%水溶液 94.5部 ルチル型酸化チタン 21.0部 炭酸カルシウム 107.4部 珪酸カルシウム 6.0部
【0049】 〔抗菌性塗料6〕 試料A 0.5部 試料B 0.5部 酢酸ビニルエマルジョン塗料 1000部 (関西ペイント(株)製,ビニペイント100)
【0050】 〔抗菌性塗料7〕 試料B 0.5部 試料C 0.5部 酢酸ビニルエマルジョン塗料 1000部 (関西ペイント(株)製,ビニペイント100)
【0051】(4)抗菌活性試験 上記の各種抗菌性塗料をアルミプレート板に60μmの
バーコーターにて塗引きし、乾燥後たて50×よこ50
×厚さ1mmの試験片を作成した。 イ) グラム陽性菌の代表のスタフィロコッカス・オー
レウス(Staphylococcus aureu
s)IFO 12732及びグラム陰性菌の代表として
エシヒリア・コリ(Escherichia col
i)IFO 3806に対して、各実施例により得られ
た試験片を作用させた。得られた殺菌活性の結果を表1
に示す。なお、殺菌活性の評価は、溶液希釈法で行っ
た。 溶液希釈法:生理食塩水18ml中に、1ml当り10
7 個の菌2mlを摂取し、試験片(たて10×よこ10
×厚さ1mm)を接触させて、その後の菌数を測定し
た。
【0052】ロ) 次いで、試験片(たて10×よこ1
0×厚さ1mm)を予め調整したカビ希釈水(注1)の
50mlに加え、10分間マグネチックスタラーでゆっ
くり攪拌した。次に、この液を微生物簡易測定器、サン
アイバイオチェッカーM(真菌,酵母類検査用:三愛石
油社製)を用いて培養試験(注2)を行なった。得られ
た評価結果を表1に示した。 (注1)黒カビ発生壁±1gを無菌水100mlに希釈
したもの:真菌検査用 (注2)培養は27〜30℃のインキュベータ中で総細
菌の場合は2日間、真菌の場合は4日間行なった。
【0053】
【表1】
【0054】(注3)総細菌数の評価は、コロニー発生
度合いを、予め概略求められた細菌数との関係から行な
った。0はコロニーの発生が全く認められない場合であ
る。 (注4)真菌汚染度は、下記四段階で評価した。 −:汚染なし +:軽度汚染 ++:中度汚染 +++:強度汚染 (注5)抗菌性塗料1から試料Aを除いた塗料組成物
【0055】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の抗菌性塗料
は、ビニルベンジルホスホニウム塩又は/及び該ビニル
ベンジルホスホニウム塩をモノマー成分として少なくと
も含有する抗菌性ポリマーからなる抗菌剤を添加配合し
てなるために、優れた抗菌力を有する効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−62182(JP,A) 特開 昭58−23873(JP,A) 特開 平5−58825(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09D 143/04 A01N 57/34 C09D 5/14 CAPLUS(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1) 【化1】 (式中、R 1 ,R 2 およびR 3 は水素原子、ヒドロキシ
    基、炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキ
    ル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル
    基,アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基また
    はアルコキシ基で置換されていてもよい。X - はアニオ
    ンを示す。)で表わされるビニルベンジルホスホニウム
    塩からなる塗料用抗菌剤。
  2. 【請求項2】 下記の一般式(1) 【化2】 (式中、R 1 ,R 2 およびR 3 は水素原子、ヒドロキシ
    基、炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキ
    ル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル
    基,アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基また
    はアルコキシ基で置換されていてもよい。X - はアニオ
    ンを示す。)で表わされるビニルベンジルホスホニウム
    塩をモノマー成分として少なくとも含有する抗菌性ポリ
    マーからなる塗料用抗菌剤。
  3. 【請求項3】 下記の一般式(1) 【化3】 (式中、R 1 ,R 2 およびR 3 は水素原子、ヒドロキシ
    基、炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキ
    ル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル
    基,アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基また
    はアルコキシ基で置換されていてもよい。X - はアニオ
    ンを示す。)で表わされるビニルベンジルホスホニウム
    塩からなる抗菌剤を、全重量当り0.001〜50重量
    %含有することを特徴とする抗菌性塗料。
  4. 【請求項4】 下記の一般式(1) 【化4】 (式中、R 1 ,R 2 およびR 3 は水素原子、ヒドロキシ
    基、炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキ
    ル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル
    基,アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基また
    はアルコキシ基で置換されていてもよい。X - はアニオ
    ンを示す。)で表わされるビニルベンジルホスホニウム
    塩をモノマー成分として少なくとも含有する抗菌性ポリ
    マーからなる抗菌剤を、全重量当り0.001〜50重
    量%含有することを特徴とする抗菌性塗料。
  5. 【請求項5】 下記の一般式(1) 【化5】 (式中、R 1 ,R 2 およびR 3 は水素原子、ヒドロキシ
    基、炭素原子数1〜18の直鎖状または分岐状のアルキ
    ル基、アリール基又はアラルキル基を示し、アルキル
    基,アリール基およびアラルキル基はヒドロキシ基また
    はアルコキシ基で置換されていてもよい。X - はアニオ
    ンを示す。)で表わされるビニルベンジルホスホニウム
    塩及び該ビニルベンジルホスホニウム塩をモノマー成分
    として少なくとも含有する抗菌性ポリマーからなる抗菌
    剤を、全重量当り0.001〜50重量%含有すること
    を特徴とする抗菌性塗料。
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