JP2001323218A - 抗菌剤含有水系塗料 - Google Patents

抗菌剤含有水系塗料

Info

Publication number
JP2001323218A
JP2001323218A JP2000144662A JP2000144662A JP2001323218A JP 2001323218 A JP2001323218 A JP 2001323218A JP 2000144662 A JP2000144662 A JP 2000144662A JP 2000144662 A JP2000144662 A JP 2000144662A JP 2001323218 A JP2001323218 A JP 2001323218A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
paint
hinokitiol
coating film
antibacterial agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000144662A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuya Shimizu
克也 清水
Shinichi Yamamoto
伸一 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2000144662A priority Critical patent/JP2001323218A/ja
Publication of JP2001323218A publication Critical patent/JP2001323218A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水系塗料の本来の性質を損なうことなく、抗
菌性等の性能発現に足る十分量の水難溶性抗菌剤、特に
ヒノキチオール及び/又はその金属錯体が、安価な手法
で且つ安定に配合された水系塗料を提供する。 【解決手段】 塗膜形成主要素である樹脂中に、水難解
溶性抗菌剤を含有することを特徴とする水系塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水難溶性抗菌剤を
含有する水系塗料に関する。さらに詳しくは、水への溶
解度が低いために水系塗料への配合が困難である抗菌剤
の配合量が大幅に高められた水系塗料及びその製造方法
に関する。特に本発明は、抗菌、抗カビ性に加え防虫性
などの特性をも併せ持つヒノキチオール及び/又はその
金属錯体の水系塗料への配合量を飛躍的に高め、抗菌、
防カビ、防虫性等が大幅に亢進された水系塗料及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塗料を大きく分類すると水系と有機溶剤
系とに分けられるが、近年その安全性、環境保全性及び
取り扱いの容易性から水性塗料が盛んに使用されるよう
になった。しかし、水系塗料は保存時に微生物が繁殖し
易く腐りやすいという傾向に加え、有機溶剤型塗料に比
べ塗膜面が比較的粗いため、塗膜表面にカビなどの有害
生物が特に繁殖しやすい傾向があり、その防止のために
各種の有機系抗菌剤を添加することが試みられている
〔抗菌・防黴剤の使用技術と抗菌性試験・評価(技術情
報協会)、p276〕。しかし、これらの有機系抗菌剤
は、ほとんどが水難溶性であるため、水系塗料への配合
量には自ずと限界があった。すなわち、水難溶性である
有機系抗菌剤を単に水系塗料に添加しても、水への溶解
度が低いため分離や沈殿が起こるという問題があった。
そうした問題を解決する方法として、水難溶性抗菌剤を
予めエマルジョンやフロアブル剤のような水分散型に製
剤化しておく方法等が知られているが、水分散化のため
の余分な工程と費用を要するという問題に加え、塗膜形
成主要素である水分散性樹脂粒子内に抗菌剤が配合され
ないので、塗膜中の抗菌剤の分布が不均一になり易く、
抗菌性等の性能発現に斑が生じやすいという問題があっ
た。すなわち、従来技術では、抗菌性等の性能発現に足
る十分量の水難溶性抗菌剤を、簡便且つ安価な手法で水
系塗料中に安定に配合することは困難であった。
【0003】ところで、ヒノキチオールとは、タイワン
ヒノキや青森ヒバの精油中に含まれる天然物であり、や
はり水難溶性の抗菌剤のひとつであるが、前述の一般的
な有機系抗菌剤にはない多くの優れた特性を兼ね備えた
抗菌剤である。すなわち、幅広い菌種に対する抗菌、抗
カビ性に加え、防虫性などの特性をもつ結晶性物質であ
る。しかも、ヒノキチオールは天然系であるから、前述
の合成有機系抗菌剤に比べ人体に対する安全性が高いと
いう利点も有する。ヒノキチオールは近年、化学合成に
よっても製造され、様々な用途に使用されている。ま
た、ヒノキチオールの金属錯体もまたヒノキチオール自
身と同等もしくはそれ以上の抗菌、抗カビ、防虫性など
を有し、しかも、ヒノキチオール自身に比べ光安定性に
優れるという利点を有する。したがって、ヒノキチオー
ル及び/又はその金属錯体を塗料に配合すれば、保存時
における細菌やカビによる腐敗防止、塗膜形成後の細菌
の増殖による人体への健康被害防止、カビの発生による
環境汚染や美観損傷防止、ダニやゴキブリなどの害虫忌
避などの効果を付与することができる。また、船底塗料
や漁網用塗料に用いた場合には、貝やフジツボなどの水
中有害生物の付着防止効果を得ることができる。しか
し、ヒノキチオールもまた水に対する溶解度が低く、2
5℃で0.12重量%しか水に溶解しないため、水系塗
料への配合量には自ずと限界があった。ヒノキチオール
の金属錯体はヒノキチオール自身よりもさらに水への溶
解性が低く、概して0.01重量%未満の溶解度しかも
たず、やはり水系塗料への配合が困難であった。そのた
め、有機溶剤型塗料にヒノキチオールを配合した例(特
開平05−286820号公報)は知られているが、水
系塗料に対し抗菌、防カビ、防虫性発現に足る十分量の
ヒノキチオールを配合した例は見られない。ヒノキチオ
ールをナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩にする
ことにより、水への溶解度を向上し得ることは既に知ら
れている。しかし、ヒノキチオールのアルカリ金属塩を
水系塗料に配合した場合には、水蒸発後の塗膜中にアル
カリ金属が残存するため、塗膜の耐水性が悪化するとい
う問題が発生しやすい。
【0004】ヒノキチオールの水への溶解度を改良する
もうひとつの方法として、それをシクロデキストリンで
包接する方法が開示されている(特開昭60−1939
41号公報)。ここでは、α、β、γの3種のシクロデ
キストリンのヒノキチオール包接体が記されているが、
それらの包接体の水への溶解度は、15℃でそれぞれ1
3.1%、0.3%、0.9%であり、これをヒノキチ
オールに換算すると、それぞれ0.7%、0.04%、
0.06%であり、包接化によりヒノキチオールの水へ
の溶解度が大きく向上したとは言い難く、ヒノキチオー
ルの性能発現の観点においても依然不十分な濃度であ
る。しかも、包接化には比較的高価なシクロデキストリ
ン類を多量に要するという問題があった。すなわち、包
接化には1〜3倍モルのシクロデキストリン類を要する
が、シクロデキストリン類の分子量がヒノキチオールの
約6〜8倍であることを考慮すると、包接化に必要なシ
クロデキストリン類は、ヒノキチオールの重量の実に6
〜18倍にも及ぶ。したがって、経済性の観点で応用困
難であるばかりでなく、ヒノキチオール自体の量をはる
かに上回る量のシクロデキストリンを配合するために塗
料が変質したり、元来親水性であるシクロデキストリン
が塗膜中に残存することにより、塗膜の耐水性が悪化し
たりする問題があった。以上のように従来技術では、水
系塗料中に水難溶性抗菌剤を十分量安定に配合すること
はできなかった。ヒノキチオール及び/又はその金属錯
体に関しても、性能発現に足る十分量を、安価な手法で
且つ水系塗料本来の性質を損なうことなく、しかも、塗
膜の耐水性を悪化させることなく安定に配合することは
できなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水系塗料の
本来の性質を損なうことなく、しかも、塗膜の耐水性を
悪化させることなく、抗菌性発現に足る十分量の水難溶
性抗菌剤、特にヒノキチオール及び/又はその金属錯体
が、安価な手法で且つ安定に配合された水系塗料及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、水難溶性抗菌剤
を塗膜形成主要素である水分散性樹脂粒子中に含有させ
ることにより、十分量の水難溶性抗菌剤を水系塗料の物
性を損なうことなく、安価な手法で且つ簡便に配合でき
ることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明
は、下記の(a)から(e)である。 (a)塗膜形成主要素である水分散性樹脂粒子内に、水
難溶性抗菌剤を含有することを特徴とする水系塗料。 (b)水難溶性抗菌剤が、ヒノキチオール及び/又はそ
の金属錯体である(a)の水系塗料。 (c)塗膜形成主要素である水分散性樹脂粒子がエマル
ジョン重合法によって製造される水系塗料であって、水
難溶性抗菌剤を混合した重合性単量体がエマルジョン重
合に供されて製造されることを特徴とする(a)又は
(b)の水系塗料。 (d)エマルジョン重合が多段階よりなり、少なくとも
1つの重合段階で水難溶性抗菌剤を混合した重合性単量
体がエマルジョン重合に供されて製造されることを特徴
とする請求項(c)記載の水系塗料。 (e)少なくとも1つの重合段階で、水難溶性抗菌剤を
混合した重合性単量体を重合に供するエマルジョン重合
又は懸濁重合を行うことを特徴とする水難溶性抗菌剤を
樹脂粒子内に含有する水系塗料の製造方法。
【0007】本発明で言う水難溶性抗菌剤とは、25℃
の水への溶解度が1重量%未満の抗菌剤を意味する。本
発明で用いる水難溶性抗菌剤の種類は特に制限はなく、
塗料用途に常用される種類のものを用いればよいが、抗
菌、防カビ性に加え防虫性などの優れた性能を併せ持
ち、且つ人体への安全性が高い抗菌剤であるヒノキチオ
ール及び/又はその金属錯体が最も好ましい。ヒノキチ
オール及びその金属錯体は、それぞれ下記式(1)及び
(2)で表される。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】 ただし、式中、Mは金属元素を表し、例えば、Mg、C
a、Zn、Ni、Cu、Al、Ag、Naなどが挙げら
れる。また、nは金属の価数を表す。
【0010】本発明の水難溶性抗菌剤としては、ヒノキ
チオール及び/又はその金属錯体以外に、例えば、以下
のものが挙げられる。2,4,5,6−テトラクロロイ
ソフタロニトリル(TPN)、2,2−ジブロモ−3−
ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、2−ブロモ
−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール(DNP)、
1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、ジヨード
メチル−P−トリスルホン、3−ヨード−2−プロパギ
ルカルバミン酸ブチル(IPBC)、4−クロロフェニ
ル−3−ヨードプロパギルホルマールなどのハロゲン系
抗菌剤、P−クロロ−m−クレゾール(PCMC)など
のフェノール系抗菌剤、2−(4−チアゾリル)ベンツ
イミダゾール(TBZ)、2−ベンツイミダゾール−カ
ルバミン酸メチル(BCM)、1−(ブチルカルバモイ
ル)−2−ベンツイミダゾール−カルバミン酸メチルな
どのイミダゾール系抗菌剤、1,2−ベンツイソチアゾ
リン−3−オン(BIT)、2−n−オクチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オン(OIT)、5−クロロ−2−
メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT、Cl
−MIT)、4,5−ジクロロ−n−オクチル−4−イ
ソチアゾリン−3−オン(Cl−OIT)、2−(4−
チオシアノメチルチオ)ベンツチアゾール(TCMT
B)などのチアゾール系抗菌剤、Na−2−ピリジンチ
オール−1−オキシド、Zn−2−ピリジンチオール−
1−オキシド(ZPT)、2,3,5,6−テトラクロ
ロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンなどのピリジン
系抗菌剤、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒ
ドロキシエチル)−S−トリアジン、ヘキサヒドロ−
1,3,5−トリエチル−S−トリアジンなどのトリア
ジン系抗菌剤、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−
フタルイミド、N,N−ジメチル−N−(フルオロジク
ロロメチルチオ)−N−フェニルスルファミド(Dic
hiofluanide)などのイミド系抗菌剤、1
0,10’−オキシビスフェノキシアルシン(DBP
A)などのヒ素化合物、8−オキシキノリン銅などの銅
化合物、ビス(ジメチルジチオカルバモイル)ジスルフ
ィド(TMTD)、3,5−ジメチル−テトラヒドロ−
1,3,5−チアゾリジン−2−チオン(DMTT)、
メチレンビスチオシアネート(MBTC)、4,5−ジ
クロロ−1,2−ジメチル−3−オン、1−(3−クロ
ルアリル)−3,5,7−トリアザ−1−アゾニアアダ
マンタンクロリドなど。
【0011】本発明においては、水難溶性抗菌剤を塗膜
形成主要素である水分散性樹脂粒子内に含有させること
が必須要件である。水難溶性抗菌剤を単に水系塗料に添
加しても、それらは水への溶解度が極めて低いために、
水系塗料中に沈殿してしまうという問題が発生する。一
方、水難溶性抗菌剤を予めエマルジョンやフロアブル剤
のような水分散型に製剤化したものを別途製造し、それ
を水系塗料に添加する方法も考えられるが、該方法では
塗膜形成主要素である水分散性樹脂粒子内に抗菌剤が配
合されないので、塗膜中の抗菌剤の分布が不均一になり
やすく、したがって、抗菌性等の性能発現に斑が発生し
やすい。
【0012】本発明において、塗膜形成主要素である水
溶性樹脂粒子内に水難溶性抗菌剤を配合する方法は特に
制限はなく、該樹脂にそれらを予め混合したものを水と
混合して、水分散型(コロイダルディスパージョン)も
しくはエマルジョン型の塗料を得る方法の他、重合性単
量体に水難溶性抗菌剤を予め混合したものをエマルジョ
ン重合に供してエマルジョン型塗料を得る方法などがあ
げられるが、工業的規模での実施が容易である点におい
て後者の方法がより好ましい。エマルジョン重合におい
て、塗膜性能の向上などを目的とし、コア/シェル構造
やミクロドメイン構造などを形成するために、組成の異
なる単量体を多段階的に重合する場合には、少なくとも
1つの重合段階で単量体に水難溶性抗菌剤を予め混合し
たものを重合に供すればよい。
【0013】本発明の水系塗料における塗膜形成主要素
(樹脂)及び塗膜形成副要素(改質剤、添加剤)の種類
に制限はなく、当該分野で常用される種類のものを用い
ることができる。例えば、エマルジョン型が挙げられ、
樹脂成分としては、例えば、アルキド樹脂、ポリエステ
ル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シ
リコン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂およびこれ
らの変性樹脂などが挙げられ、これらは単独もしくは2
種以上組み合わせて用いることができる。なお、この中
には、架橋型アクリルエマルジョンや該エマルジョンと
水性ポリウレタン樹脂との併用による架橋型エマルジョ
ンも含まれる。中でも、重合性単量体の1段もしくは多
段エマルジョン重合により製造されるアクリル系エマル
ジョン樹脂が好ましい。
【0014】使用される重合性単量体の例としては、例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマー
ル酸、マレイン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、およ
びイタコン酸やマレイン酸の半エステルなどのカルボキ
シル基含有単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、
(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アク
リル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルな
どの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アク
リレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレ
ートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエス
テル類、ヒドロキシエチルビニルエーテルやヒドロキシ
ブチルビニルエーテルなどのビニルヒドロキシアルキル
エーテル類、およびこれらヒドロキシル基含有単量体の
カプロラクトン付加物などのヒドロキシル基含有単量
体、アセトアセトキシエチルメタアクリレートなどの活
性水素含有単量体、スチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエンなどの芳香族単量体、酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル、パーサッチク酸ビニルなどのビニルエス
テル類、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテ
ル類、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル
類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、
テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレンなどのハロゲン化ビニル
類、スチレンスルホン酸塩やアリルスルホコハク酸塩な
どのスルホン酸基または硫酸エステル基含有単量体、ジ
ビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、(ポ
リ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチ
ロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの架橋性
単量体、さらにはブタジエン、(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチ
ルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、(ポ
リ)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、(ポ
リ)プロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリ
シジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテ
ル、ビニルシクロヘキセンオキシドなどが挙げられ、こ
れら単量体は1種または2種以上組み合わせて用いるこ
とができる。また、必要に応じてドデシルメルカプタン
などの連鎖移動剤も使用できる。
【0015】本発明の多段エマルジョン重合において使
用される重合開始剤には、熱または還元性物質などの作
用によりラジカル分解してビニル系単量体の付加重合を
起こさせるものが用いられ、一般的に知られた水溶性あ
るいは油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物な
どが挙げられ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリ
ウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハ
イドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−ア
ゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、
2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
などが挙げられるが、低温での重合または重合速度の促
進を望む場合には、例えば、重亜硫酸ナトリウム、塩化
第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリットなどの還元剤
を組み合わせて使用することができる。
【0016】本発明の多段エマルジョン重合において使
用される界面活性剤には、一般的に知られた脂肪酸石
鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸
塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエ
チレンアルキルアリール硫酸塩などのアニオン性界面活
性剤およびポリオキシエチレンアルキルアリールエーテ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オ
キシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマーなど
のノニオン性界面活性剤、およびスチレンスルホン酸ナ
トリウムやアリルスルホコハク酸ナトリウムなどの反応
性アニオン性界面活性剤や反応性ノニオン性界面活性剤
などが挙げられ、これら界面活性剤を1種または2種以
上組み合わせて用いることができる。
【0017】本発明の水系塗料としては、床などに塗布
するワックス類も包含される。水性ワックスの種類に制
限はなく、当該分野で常用される種類のものに本発明の
エマルジョンを用いることができる。例えば、天然ロ
ウ、合成ロウ、合成樹脂、界面活性剤、水を主成分とす
る水性ワックスが挙げられる。また、当該分野で常用さ
れる薬剤を共配合することも可能である。例えば、滑り
止め剤、可塑剤、帯電防止剤、レベリング剤、香料など
が挙げられる。固体材料を接合・固着させるために対象
物表面に処理する接着媒体として使用される水系接着剤
も、呼称が異なるとはいえ、実際の使用場面では対象物
表面に処理被膜を形成させるという本質的に同じ使われ
方がなされ、組成上も共通点が多いことから、広義の塗
料と考えることができ、本発明の水性塗料に包含される
分野である。
【0018】本発明の水系塗料には、必要に応じ銀、
銅、亜鉛等の金属イオンを担持させた無機系抗菌剤をさ
らに配合することも可能である。該無機系抗菌剤として
は特に制限はなく、公知のものを用いればよい。例え
ば、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、
ヒドロキシアパタイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チ
タン、チタン酸カリウム、含水酸化ビスマス、含水酸化
ジルコニウム、ハイドロタルサイトなどに銀イオンを担
持させたものが挙げられる。また、本発明のエマルジョ
ンを配合する水性ワックスには、必要に応じベンゾトリ
アゾール系やシアノアクリレート系の紫外線吸収剤やヒ
ンダードアミン系光安定剤を配合することができる。ま
た、ヒンダードフェノール系やリン系、イオウ系の酸化
防止剤も用途に応じて配合することができる。本発明の
水系塗料において、水難溶性抗菌剤を含有する量は、塗
料に対して0.01重量%から20重量%が好ましい。
0.01重量%未満では十分な抗菌、防カビ、防虫効果
が得られず、20重量%を越えると塗膜形成能力や色調
などが損なわれる。さらに好ましい含有量は0.02重
量%から15重量%であり、最も好ましい含有量は0.
05重量%から10重量%である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に実施例により本発明をさら
に詳述するが、本発明は、これらの実施例により何ら限
定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の
「部」及び「%」は、記述のない限り重量基準である。
本発明の実施例で用いたヒノキチオール金属錯体および
シクロデキストリン包接体は、下記の方法で合成した。
【0020】<ヒノキチオール金属錯体の合成法>96
%水酸化ナトリウム3.1707g(0.0737mo
l)を溶解した純水250cm3 にヒノキチオール1
2.1025g(0.0737mol)を加え、50℃
で30分間撹拌して溶解させ、ヒノキチオールのナトリ
ウム塩の水溶液を調製した。室温に冷却後、該水溶液に
対しMCl2 (M=Zn、Ni、Cu)(0.0369
mol)を撹拌しながら加えた。析出した固体を吸引ろ
過により採取し、水洗後、乾燥してヒノキチオールの金
属錯体を得た。
【0021】<ヒノキチオールのシクロデキストリン包
接体の調製法>公知の方法(特開昭60−193941
号公報)に従い、ヒノキチオールのβ−サイクロデキス
トリン包接体(ヒノキチオール:β−シクロデキストリ
ン=1:1モル比)を合成した。また、塗料に関する評
価は下記の方法に従った。 <塗料の防腐試験法>約1×106 /mlに希釈した黄
色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌、クロカビの混合懸濁液
1mlを塗料組成物を含む容器に接種した。容器を密閉
し、28℃×7日間培養した後、塗料組成物中の生菌数
を調べた。
【0022】<塗膜の抗菌防カビ試験法>30mm×3
0mm(厚さ1mm)のアルミ板上に、乾燥膜厚が40
〜50ミクロンになるようにアプリケーターを用いて塗
工し、60℃で10分間予備乾燥した後、150℃で3
0分間焼き付けた。該アルミ板を寒天入りブイヨン培地
の入ったプラスチックシャーレ中央に置き、これに塗料
組成物の防腐試験と同じ混合懸濁液1mlを接種した。
37℃で7日間培養した後、該シャーレ内の菌生育の程
度を調べた。 <塗膜の耐水性試験法>30mm×30mm(厚さ1m
m)のアルミ板2枚に、乾燥膜厚が40〜50ミクロン
になるようにアプリケーターを用いて塗工し、60℃で
10分間予備乾燥した後、150℃で30分間焼き付け
た。該アルミ板の1枚を20℃の水中に96時間浸漬
し、もう一枚のアルミ板と外観を比較した。
【0023】
【実施例1】撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計
を取り付けた反応容器に、水228部、25%反応性界
面活性剤〔旭電化(株)製SE−1025N(商品
名)〕水溶液3.6部を投入し、内温を80℃に調節し
つつ撹拌しながら、第1重合段階として、水71部、2
%過硫酸アンモニウム水溶液25.4部、25%ノニオ
ン性界面活性剤〔花王(株)製エマルゲン920(商品
名)〕水溶液3.5部、25%反応性界面活性剤〔旭電
化(株)製SE−1025N〕水溶液6.8部、メタア
クリル酸メチル50部、アクリル酸ブチル57.8部、
メタアクリル酸1.3部、ヒノキチオール1.3部から
なる混合物をホモミキサーで予め乳化したものを50分
間かけて添加した。
【0024】これを80℃で45分間維持した後、第2
重合段階として、水186部、2%過硫酸アンモニウム
水溶液50.6部、25%反応性界面活性剤〔旭電化
(株)製SE−1025N〕水溶液11.3部、n−ド
デシルメルカプタン0.67部、スチレン16.7部、
メタアクリル酸メチル208.8部、アクリル酸ブチル
101.9部、ヒノキチオール2.7部からなる混合物
をホモミキサーで予め乳化したものを150分間かけて
添加した。これを80℃で90分間維持した後、冷却を
開始するとともに水30部を添加した。冷却後、25%
アンモニア水でpHを8.5に調整し、不揮発分45%
の水系塗料を得た。
【0025】該塗料においては、ヒノキチオールを単に
水系塗料に添加した場合に発生するヒノキチオールの沈
殿現象が起こらず、安定な塗料製剤が得られた。該塗料
に対し防腐試験を行った結果、生菌数は0であった。ま
た、塗膜の抗菌防カビ試験の結果、菌の生育は全く認め
られなかった。さらに、塗膜の耐水性試験における変質
も全く認められなかった。本実施例は、ヒノキチオール
を配合した単量体を重合し、塗膜形成主要素である樹脂
中にヒノキチオールを含有させており、本発明の必須要
件を満足しているので、元来水難溶性のヒノキチオール
を水系塗料に安定に配合できている。しかも、塗料の防
腐性、塗膜の抗菌性ともに良好である。
【0026】
【実施例2】ヒノキチオールの代わりにヒノキチオール
亜鉛錯体を配合した以外は、実施例1と同様の組成の塗
料を調製した。該塗料においても、ヒノキチオール亜鉛
錯体を単に水系塗料に添加した場合に発生するヒノキチ
オール亜鉛錯体の沈殿現象が起こらず、安定な塗料製剤
が得られた。該塗料に対し防腐試験を行った結果、生菌
数は0であった。また、塗膜の抗菌防カビ試験の結果、
菌の生育は全く認められなかった。さらに、塗膜の耐水
性試験における変質も全く認められなかった。本実施例
は、ヒノキチオール亜鉛錯体を配合した単量体を重合
し、塗膜形成主要素である樹脂中にヒノキチオール亜鉛
錯体を含有させており、本発明の必須要件を満足してい
るので、元来水難溶性のヒノキチオール亜鉛錯体を水系
塗料に安定に配合できている。しかも、塗料の防腐性、
塗膜の抗菌性ともに良好である。
【0027】
【実施例3】ヒノキチオールの代わりにヒノキチオール
銅錯体を配合した以外は、実施例1と同様の組成の塗料
を調製した。該塗料においても、ヒノキチオール銅錯体
を単に水系塗料に添加した場合に発生するヒノキチオー
ル銅錯体の沈殿現象が起こらず、安定な塗料製剤が得ら
れた。該塗料に対し防腐試験を行った結果、生菌数は0
であった。また、塗膜の抗菌防カビ試験の結果、菌の生
育は全く認められなかった。さらに、塗膜の耐水性試験
における変質も全く認められなかった。本実施例は、ヒ
ノキチオール銅錯体を配合した単量体を重合し、塗膜形
成主要素である樹脂中にヒノキチオール銅錯体を含有さ
せており、本発明の必須要件を満足しているので、元来
水難溶性のヒノキチオール銅錯体を水系塗料に安定に配
合できている。しかも、塗料の防腐性、塗膜の抗菌性と
もに良好である。
【0028】
【実施例4】ヒノキチオールの代わりにヒノキチオール
ニッケル錯体を配合した以外は、実施例1と同様の組成
の塗料を調製した。該塗料においても、ヒノキチオール
ニッケル錯体を単に水系塗料に添加した場合に発生する
ヒノキチオールニッケル錯体の沈殿現象が起こらず、安
定な塗料製剤が得られた。該塗料に対し防腐試験を行っ
た結果、生菌数は0であった。また、塗膜の抗菌防カビ
試験の結果、菌の生育は全く認められなかった。さら
に、塗膜の耐水性試験における変質も全く認められなか
った。本実施例は、ヒノキチオールニッケル錯体を配合
した単量体を重合し、塗膜形成主要素である樹脂中にヒ
ノキチオールニッケル錯体を含有させており、本発明の
必須要件を満足しているので、元来水難溶性のヒノキチ
オールニッケル錯体を水系塗料に安定に配合できてい
る。しかも、塗料の防腐性、塗膜の抗菌性ともに良好で
ある。
【0029】
【実施例5】撹拌機、還流冷却器、滴下槽および温度計
を取り付けた反応容器に、水228部、25%反応性界
面活性剤〔旭電化(株)製SE−1025N(商品
名)〕水溶液3.6部を投入し、内温を80℃に調節し
つつ撹拌しながら、第1重合段階として、水71部、2
%過硫酸アンモニウム水溶液25.4部、25%ノニオ
ン性界面活性剤〔花王(株)製エマルゲン920(商品
名)〕水溶液3.5部、25%反応性界面活性剤〔旭電
化(株)製SE−1025N〕水溶液6.8部、メタア
クリル酸メチル50部、アクリル酸ブチル57.8部、
メタアクリル酸1.3部、2,4,5,6−テトラクロ
ロイソフタロニトリル(TPN)1.3部からなる混合
物をホモミキサーで予め乳化したものを50分間かけて
添加した。
【0030】これを80℃で45分間維持した後、第2
重合段階として、水186部、2%過硫酸アンモニウム
水溶液50.6部、25%反応性界面活性剤〔旭電化
(株)製SE−1025N〕水溶液11.3部、n−ド
デシルメルカプタン0.67部、スチレン16.7部、
メタアクリル酸メチル208.8部、アクリル酸ブチル
101.9部、2,4,5,6−テトラクロロイソフタ
ロニトリル(TPN)2.7部からなる混合物をホモミ
キサーで予め乳化したものを150分間かけて添加し
た。これを80℃で90分間維持した後、冷却を開始す
るとともに水30部を添加した。冷却後、25%アンモ
ニア水でpHを8.5に調整し、不揮発分45%の水系
塗料を得た。
【0031】該塗料においては、2,4,5,6−テト
ラクロロイソフタロニトリル(TPN)を単に水系塗料
に添加した場合に発生する2,4,5,6−テトラクロ
ロイソフタロニトリル(TPN)の分離現象が起こら
ず、安定な塗料製剤が得られた。該塗料に対し防腐試験
を行った結果、生菌数は0であった。また、塗膜の抗菌
防カビ試験の結果、菌の生育は全く認められなかった。
本実施例は、水難溶性抗菌剤2,4,5,6−テトラク
ロロイソフタロニトリル(TPN)を配合した単量体を
重合し、塗膜形成主要素である樹脂中に2,4,5,6
−テトラクロロイソフタロニトリル(TPN)を含有さ
せており、本発明の必須要件を満足しているので、水難
溶性の2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリ
ル(TPN)を水系塗料に安定に配合できている。しか
も、塗料の防腐性、塗膜の抗菌性ともに良好である。
【0032】
【実施例6】2,4,5,6−テトラクロロイソフタロ
ニトリル(TPN)の代わりに3−ヨード−2−プロパ
ギルカルバミン酸ブチル(IPBC)を配合した以外
は、実施例5と同様の組成の塗料を調製した。該塗料に
おいても、3−ヨード−2−プロパギルカルバミン酸ブ
チルを単に水系塗料に添加した場合に発生する3−ヨー
ド−2−プロパギルカルバミン酸ブチルの沈殿現象が起
こらず、安定な塗料製剤が得られた。該塗料に対し防腐
試験を行った結果、生菌数は0であった。また、塗膜の
抗菌防カビ試験の結果、菌の生育は全く認められなかっ
た。本実施例は、水難溶性抗菌剤3−ヨード−2−プロ
パギルカルバミン酸ブチル(IPBC)を配合した単量
体を重合し、塗膜形成主要素である樹脂中に3−ヨード
−2−プロパギルカルバミン酸ブチルを含有させてお
り、本発明の必須要件を満足しているので、水難溶性の
3−ヨード−2−プロパギルカルバミン酸ブチルを水系
塗料に安定に配合できている。しかも、塗料の防腐性、
塗膜の抗菌性ともに良好である。
【0033】
【実施例7】2,4,5,6−テトラクロロイソフタロ
ニトリル(TPN)の代わりに2−n−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オン(OIT)を配合した以外
は、実施例5と同様の組成の塗料を調製した。該塗料に
おいても、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3
−オンを単に水系塗料に添加した場合に発生する2−n
−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンの沈殿現象
が起こらず、安定な塗料製剤が得られた。該塗料に対し
防腐試験を行った結果、生菌数は0であった。また、塗
膜の抗菌防カビ試験の結果、菌の生育は全く認められな
かった。本実施例は、水難溶性抗菌剤2−n−オクチル
−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT)を配合した
単量体を重合し、塗膜形成主要素である樹脂中に2−n
−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含有させ
ており、本発明の必須要件を満足しているので、水難溶
性の2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
を水系塗料に安定に配合できている。しかも、塗料の防
腐性、塗膜の抗菌性ともに良好である。
【0034】
【実施例8】2,4,5,6−テトラクロロイソフタロ
ニトリル(TPN)の代わりにZn−2−ピリジンチオ
ール−1−オキシド(ZPT)を配合した以外は、実施
例5と同様の組成の塗料を調製した。該塗料において
も、Zn−2−ピリジンチオール−1−オキシドを単に
水系塗料に添加した場合に発生するZn−2−ピリジン
チオール−1−オキシドの沈殿現象が起こらず、安定な
塗料製剤が得られた。該塗料に対し防腐試験を行った結
果、生菌数は0であった。また、塗膜の抗菌防カビ試験
の結果、菌の生育は全く認められなかった。本実施例
は、水難溶性抗菌剤Zn−2−ピリジンチオール−1−
オキシド(ZPT)を配合した単量体を重合し、塗膜形
成主要素である樹脂中にZn−2−ピリジンチオール−
1−オキシドを含有させており、本発明の必須要件を満
足しているので、水難溶性のZn−2−ピリジンチオー
ル−1−オキシドを水系塗料に安定に配合できている。
しかも、塗料の防腐性、塗膜の抗菌性ともに良好であ
る。
【0035】
【比較例1】ヒノキチオールを配合しない以外は、実施
例1と同様の組成、方法で水系塗料を調製した。該塗料
100部に対し、ヒノキチオール1部を添加して十分撹
拌したが、ヒノキチオールは溶解しきれず沈殿した。本
比較例は、本発明の必須要件を満足していないので、ヒ
ノキチオールの沈殿が起こり、塗料としての実用に耐え
られない組成物しか得られていない。
【0036】
【比較例2】ヒノキチオールを配合しない以外は、実施
例1と同様の組成、方法で水系塗料を調製した。該塗料
100部に対し、ヒノキチオールのβ−シクロデキスト
リン包接体0.3部を添加して十分撹拌したが、該包接
体は溶解しきれず一部沈殿した。得られた水系塗料に対
し、防腐試験および塗膜の抗菌防カビ試験を実施した結
果、緑膿菌の生育が認められた。また、乾燥後の塗膜中
にβ−シクロデキストリンの残存が認められ、耐水性試
験の結果、塗膜に割れや剥がれが認められた。本比較例
は、β−シクロデキストリンの包接体としてヒノキチオ
ールを配合しているが、該包接体の水への溶解度(0.
3%、15℃)程度の配合しか許されず、これはヒノキ
チオール濃度に換算すると僅か0.04%であり、その
結果、抗菌性が不十分である。また、親水性であるβ−
シクロデキストリンの残存に起因して塗膜の耐水性が劣
っている。
【0037】
【比較例3】2,4,5,6−テトラクロロイソフタロ
ニトリル(TPN)を配合しない以外は、実施例5と同
様の組成、方法で水系塗料を調製した。該塗料100部
に対し、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニト
リル1部を添加して十分撹拌したが、2,4,5,6−
テトラクロロイソフタロニトリルは溶解しきれず分離し
た。本比較例は、本発明の必須要件を満足していないの
で、水難溶性抗菌剤2,4,5,6−テトラクロロイソ
フタロニトリル(TPN)の分離が起こり、塗料として
の実用に耐えられない組成物しか得られていない。
【0038】
【比較例4】2,4,5,6−テトラクロロイソフタロ
ニトリル(TPN)を配合しない以外は、実施例5と同
様の組成、方法で水系塗料を調製した。該塗料100部
に対し、Zn−2−ピリジンチオール−1−オキシド
(ZPT)1部を添加して十分撹拌したが、Zn−2−
ピリジンチオール−1−オキシドは溶解しきれず沈殿し
た。本比較例は、本発明の必須要件を満足していないの
で、水難溶性抗菌剤Zn−2−ピリジンチオール−1−
オキシド(ZPT)の沈殿が起こり、塗料としての実用
に耐えられない組成物しか得られていない。
【0039】
【発明の効果】本発明により、水系塗料の本来の性質を
損なうことなく、抗菌性等の性能発現に足る十分量の水
難溶性抗菌剤、特にヒノキチオール及び/又はその金属
錯体を、安価な手法で且つ安定に水系塗料中に配合する
ことが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 5/02 C09D 5/02 5/14 5/14 Fターム(参考) 4H011 AA02 AA03 AC06 BB05 BC19 DA23 DH30 4J011 JA14 KA14 PA33 PB34 4J038 CD091 CG001 DA041 DB001 DD001 DG001 DL001 JA17 JA33 JC38 MA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塗膜形成主要素である水分散性樹脂粒子
    内に、水難溶性抗菌剤を含有することを特徴とする水系
    塗料。
  2. 【請求項2】 水難溶性抗菌剤が、ヒノキチオール及び
    /又はその金属錯体である請求項1記載の水系塗料。
  3. 【請求項3】 塗膜形成主要素である水分散性樹脂粒子
    がエマルジョン重合法によって製造される水系塗料であ
    って、水難溶性抗菌剤を混合した重合性単量体がエマル
    ジョン重合に供されて製造されることを特徴とする請求
    項1又は2記載の水系塗料。
  4. 【請求項4】 エマルジョン重合が多段階よりなり、少
    なくとも1つの重合段階で水難溶性抗菌剤を混合した重
    合性単量体がエマルジョン重合に供されて製造されるこ
    とを特徴とする請求項3記載の水系塗料。
  5. 【請求項5】 少なくとも1つの重合段階で、水難溶性
    抗菌剤を混合した重合性単量体を重合に供するエマルジ
    ョン重合又は懸濁重合を行うことを特徴とする水難溶性
    抗菌剤を樹脂粒子内に含有する水系塗料の製造方法。
JP2000144662A 2000-05-17 2000-05-17 抗菌剤含有水系塗料 Pending JP2001323218A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000144662A JP2001323218A (ja) 2000-05-17 2000-05-17 抗菌剤含有水系塗料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000144662A JP2001323218A (ja) 2000-05-17 2000-05-17 抗菌剤含有水系塗料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001323218A true JP2001323218A (ja) 2001-11-22

Family

ID=18651286

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000144662A Pending JP2001323218A (ja) 2000-05-17 2000-05-17 抗菌剤含有水系塗料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001323218A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004099557A (ja) * 2002-09-11 2004-04-02 Dainippon Ink & Chem Inc 微生物生育抑制剤含有樹脂微粒子および該微粒子を含む水性エマルジョン塗料
JP2006036733A (ja) * 2004-07-30 2006-02-09 Asahi Kagaku Kogyo Kk ヒノキチオールの気化方法
JP2007270589A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Sk Kaken Co Ltd 内装用壁装材
JP2008195709A (ja) * 2007-01-17 2008-08-28 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 金属−トロポロン錯体を無機層間に担持した抗菌防カビ材料
JP2009084265A (ja) * 2007-09-11 2009-04-23 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 金属−トロポロン錯体を無機層間に担持した抗レジオネラ属菌材料
EP1742531B1 (de) 2004-04-26 2014-10-15 Basf Se Wässrige, fungizide zusammensetzung und deren verwendung zur bekämpfung von schädlichen mikroorganismen

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004099557A (ja) * 2002-09-11 2004-04-02 Dainippon Ink & Chem Inc 微生物生育抑制剤含有樹脂微粒子および該微粒子を含む水性エマルジョン塗料
EP1742531B1 (de) 2004-04-26 2014-10-15 Basf Se Wässrige, fungizide zusammensetzung und deren verwendung zur bekämpfung von schädlichen mikroorganismen
EP1742531B2 (de) 2004-04-26 2017-08-30 Basf Se Verwendung von wässrigen fungiziden zusammensetzungen zur bekämpfung von schädlichen mikroorganismen
JP2006036733A (ja) * 2004-07-30 2006-02-09 Asahi Kagaku Kogyo Kk ヒノキチオールの気化方法
JP2007270589A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Sk Kaken Co Ltd 内装用壁装材
JP2008195709A (ja) * 2007-01-17 2008-08-28 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 金属−トロポロン錯体を無機層間に担持した抗菌防カビ材料
JP2009084265A (ja) * 2007-09-11 2009-04-23 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 金属−トロポロン錯体を無機層間に担持した抗レジオネラ属菌材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1624754B1 (en) Antimicrobial composition containing a polymeric biguanide and a copolymer and use thereof
AU758109B2 (en) Polymeric controlled release compositions
JP5956400B2 (ja) ピリチオンおよびピロール誘導体を含む殺生剤組成物
US7851541B2 (en) Composition and use
JP2001513123A (ja) ピリチオン含有コーティング組成物の変色防止
CN104470995A (zh) 掺有一种或更多种抗菌生物表面活性剂的水性涂料和油漆、及其使用方法
JP2008195831A (ja) 水性防汚塗料組成物
JP2001323218A (ja) 抗菌剤含有水系塗料
EP1633192B1 (en) Antimicrobial composition comprising a polymeric biguanide and a copolymer and use thereof
US7226968B2 (en) Composition and use
US8603453B2 (en) Antimicrobial polymeric biguanide and acidic co-polymer composition and method of use
US20050014670A1 (en) Composition and use
JP2001233716A (ja) 微生物の防除方法
JP4857111B2 (ja) 酸コポリマー及び抗微生物剤を含む組成物、並びにその使用
JP2003073211A (ja) 木材防腐組成物及び木材防腐方法
EP1635642B1 (en) Antimicrobial composition comprising a polymeric biguanide and a copolymer and use thereof
JP4177923B2 (ja) 工業用殺菌剤
JP2001302980A (ja) ヒノキチオール含有塗料
JPH06122842A (ja) 持続性水中防汚剤
JPH06256687A (ja) 防汚塗料組成物
JP2004043421A (ja) 2−メルカプトピリジン−n−オキシド誘導体およびそれを含有する防菌防黴剤
JPH0673312A (ja) 水中防汚組成物