JP3120982B2 - 流体温度制御システム及びそれを用いたコンピユータシステム - Google Patents

流体温度制御システム及びそれを用いたコンピユータシステム

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、発熱部を流体により冷却して温度制御する
流体温度制御システムに関する。特に、コンピユータの
冷却のような精密な温度制御を行うための流体温度制御
システム及びこのシステムを用いたコンピユータシステ
ムに関する。
〔従来の技術〕
従来の装置は、特開昭56−157745号公報に記載のよう
に、冷凍機を複数台設置し、主往管の送水温度、各冷凍
機入口温度,主環管の循環水流量を検出して、電算機に
より設定温度と各冷凍機入口温度の比較を行い、前記冷
凍機の運転台数を制御して発熱部に循環させる水温を制
御していた。
又、特開昭56−24622号公報には、コンピユータの電
源がオンされると制御部により、定電圧定周波電源を運
転し定常状態になつた後に、空調機を運転させ、温湿度
条件が予め定めた値の範囲内で定常状態になれば、コン
ピユータシステム構成機器の電源オン制御を実行するこ
とが開示されている。しかし、従来の技術は、(1)運
転開始時に設定温度に速やかに制御することは配慮され
ていない、(2)冷凍機の運転台数をO−OFF制御して
循環させる水温を制御するため、発熱部に供給する供給
水の温度変動は大きい。(3)冷凍機の起動,停止を頻
繁に行わなければならないものであつた。そのため、
(1)流体温度を設定温度に速やかに制御してコンピユ
ータを速く使用可能な状態とし、使用効率を上げる、
(2)LSIチツプを安定に動作させる温度条件を精度よ
く制御することおよびシステムの信頼性を向上させる上
で課題があつた。
本発明の第1の目的は、運転開始時に設定温度度に速
やかに制御できる流体温度制御システムを提供すること
にある。
第2の目的は、発熱部に供給する供給流体の温度変動
が小さい流体温度制御システムを提供することにある。
第3の目的は、冷凍機の起動,停止回数を少なくして
システムの信頼性を向上させることにある。
第4の目的は、システムの増設等変更があつた場合に
も対応できる流体温度制御システムを提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
発熱部に液体を循環させる流路と、前記流路に配置さ
れたポンプと、前記流体の温度を検出する手段と、前記
流体を冷却する冷凍装置を備えた流体温度制御システム
において、前記システムを起動時に前記ポンプを駆動し
て前記流体の平均温度を計測する手段と、前記平均温度
と前記流体の設定温度とから前記流体の温度の高低傾向
を予測する予測手段を備え、この予測手段により前記発
熱部と前記冷凍装置の作動停止させてなるものである。
〔作用〕
本発明の液体温度制御システムは、第1にシステム起
動時に流体を循環させるポンプを運転するので、流路内
での流体の温度分布が小さくなる。そのために運転前の
流体の温度が正確に計測でき、この温度と設定温度との
比較結果に基づいてLSIチツプの動作開始時期と冷凍機
の運転開始時期とを制御するので、設定温度に速やかに
制御できる。又、冷凍機の予備運転を行なうことにより
冷凍機の立上がりが早いため、より速やかな制御ができ
る。
本発明の流体温度制御システムは、第2に冷凍機の冷
凍能力を無段階に可変にできるようにし、設定時間間隔
毎に計測した流体温度に基づいて設定温度になるように
冷凍能力をPID(比例+積分+微分)制御を行うように
し、かつ定数を適切に決めているので、設定温度に対し
て誤差が小さく、変動も小さい制御が行える。
本発明の流体温度制御システムは、第3に(1)圧縮
機の吐出側と減圧器の後流側とをバイパス管で連結し、
その管路の途中に冷媒流量制御弁をもうけるか、(2)
冷凍機にインバータ駆動の圧縮機を適用しているので、
大幅な冷凍能力の制御を行うことができ、冷里機の起
動,停止回数を減らすことができる。
本発明の流体温度制御システムは、第4にLSIチツプ
の動作開始時期と冷凍機の運転開始時期との指令を与え
るタイミングを学習させて修正しているので、システム
に変更があつた場合でも対応できる。
〔実施例〕
本発明の一実施例を第1図から第10図により説明す
る。第1図から第6図は、コンピユータのLSIチツプを
冷却するための流体温度制御システムの構成を示してい
る。第1図に示す流体温度制御システムは、LSIチツプ
2が組み込まれた発熱部1,LSIチツプ2の動作開始指令
を与える信号線2a、流体を循環させるためのポンプ4,ポ
ンプ4と連結し発熱部1に流体を流すための流路3a,熱
交換器1a、流体を冷却するための吸熱部5、ポンプ4と
連結し吸熱部5に流体を流すための流路3b、ポンプの運
転開始指令を与える信号線4a,吸熱部5に熱交換器を介
して接続された冷凍機6,冷凍機に運転開始指令を与える
信号線6a、冷凍機の冷凍能力の設定指令を与える信号線
6b、発熱部1に供給する流体の温度を検知するセンサ7
(発熱部1の上流側に設置される)、流体温度の設定器
8,制御器9から構成される。
第2図は、制御器9の入出力部に接続状態の詳細を示
す図である。A/D変換器等から構成される入力部11は、
発熱部1に供給する流体の計測した温度値、流体温度の
設定値が入力される。この入力値は、メモリ,演算部等
から構成されるマイクロコンピユータ10に転送され、そ
の演算結果をバツフア回路等から構成される出力部12を
介して、冷凍機運転開始指令,冷凍機の冷凍能力設定
値、LSIチツプの動作開始指令、ポンプ運転開始指令を
出力する。
また、第3図にLSIチツプの冷却部の詳細を示す。基
板15上のLSIチツプ2を熱伝導体16を介して流体流路17
と接触させ、LSIチツプ2の冷却を行なう構成としてい
る。そのため、LSIチツプ2で発生した熱は、熱伝導体1
6を通過して流体に熱伝達し、LSIチツプ2の冷却が行わ
れる。
第4図から第6図には、冷凍機6の能力を可変にする
構成を示している。第4図に示す冷凍機6は、圧縮機1
8,凝縮器19,減圧器20,蒸発器21、電気的に弁開度を制御
できる冷媒流量制御弁22から構成される。圧縮機18から
吐出された高圧,高温の冷媒は、凝縮器19で図示しない
フアンによつて空冷され、減圧器20で低圧、低温の冷媒
となり、吸熱部5内の冷却器23と隣接して設置された蒸
発器21で流体を冷却した後圧縮機18へ戻る。冷媒流量弁
22は、圧縮器18の吐出側と減圧器20の後流側をバイパス
する管路の途中に設置されている。この冷凍サイクるに
おいて、冷媒流量制御弁22の開度を制御することによ
り、高圧,高温の冷媒が蒸発器21へバイパスされ、蒸発
器21を流れる冷媒の温度が高くなるので、冷凍能力すな
わち冷却器23で流体との熱交換量を小さくするように可
変にできる。
第5図に示す冷凍機6は、冷却器と凝縮器をそれぞれ
2つ設置し、一方は冷媒流量制御弁22を設けているバイ
パス管の冷媒流量制御弁22より上流側に第2の凝縮器24
と第2の冷却器25とを隣接させる構成としている。この
冷凍サイクルにおいては、冷媒流量制御弁22の開度を制
御することにより、高圧,高温の冷媒が第2の凝縮器24
で凝縮するので、冷却器23で冷却された流体を再加熱し
て吸熱部5での熱交換量を可変できる。なお、この場合
は流体を加熱することもできる。
第6図に示す冷凍機6は、冷媒流量制御弁22を設ける
代わりに圧縮機をインバータ駆動装置26によつて回転速
度を可変にする圧縮機18aを設置する構成としている。
この実施例では、圧縮機18aの回転速度を制御すること
によつて、冷媒の循環量が可変になるので、吸熱部5で
の熱交換量を可変に制御できる。
又、流体は、一般に水が用いられるが、その他の流体
であつても良い。
一方、コンピユータのシステム運転装置41は、第7図
に示したようになつている。電源を手動でオンしても良
いが、例えば予め設定した時刻に電源をオンするシステ
ムにおいては、予め設定した時刻になると信号を出力す
る無停電形式の時計部42と、時計部42の出力信号の発生
によつて作動する電源部43と、電源部43が作動して電源
電圧が立上がると動作を開始する制御部44およびコンピ
ユータおよび関連設備とのインタフエース45〜49とから
構成されている。インタフエース部45〜49の内訳は、CV
CF(定電圧定周波電源)50を制御するCVCFインタフエー
ス部45、流体温度制御システム(あるいは冷却システ
ム)の運転開始制御する流体温度制御システムインタフ
エース部45、流体温度制御システムの流体の温度検知器
7からの信号を受信する温度検知器インタフエース部4
7、コンピユータ53の電源制御を行なう電源制御部48、
コンピユータのプログラムロードその他の起動制御を行
なう起動制御部49である。時計部42は常時動作してお
り、予め設定された本装置の動作時刻、すなわちコンピ
ユータの運転開始業務開始時刻になると信号を出力して
電源部43を作動させ、本装置の電源をオンする。電源オ
ンになると制御部44が動作を開始し、CVCFインタフエー
ス部45にCVCF50の運転を開始させるための信号を発生す
る。CVCFインタフエース部45はCVCF運転開始信号をCVCF
50に対して出力し、CVCF50の運転が定常状態になつたこ
とを示す信号を受信するとその信号を制御部44に渡す。
温度条件が予め定められた値の範囲内であれば、制御部
44はコンピユータ53の制御に移行し、まず電源制御部48
へコンピユータシステム構成機器の電源をオンにするよ
う指令を出す。電源制御部48はコンピユータシステム53
の電源オン制御を実行し、電源オン完了信号を受信する
と電源オン制御の完了を制御部44へ報告する。電源制御
部48から前述報告を受信すると、制御部46はシステム起
動制御部49に対してプログラムのロード,中央処理装置
の動作開始制御を指示する。システム起動制御部からコ
ンピユータシステム53が動作を開始したことを示す信号
を受信すると、制御部44は一連の制御動作を終了する。
このコンピユータシステム運転装置41と同様なものは
既に公知であつて、例えば特開昭56−24622号公報に記
載されている。
第8図に本発明の流体温度制御システム72と、発熱体
であるLSIチツプ71とシステム運転装置73を組み込んだ
コンピユータシステム70を示す。LSIチツプ71は配管74
で流体温度制御システム72と連結されており、流体温度
制御システム72とシステム運転装置73とは信号線75で、
システム運転装置73とコンピユータ77とは配線76で結線
されている。
次に、以上の構成からなる本発明の一実施例である流
体温度制御システム及びコンピユータシステムの動作に
ついて説明する。まず、前記システムを起動したときの
動作について説明する。第9図にフローチヤートで示す
ように、 (1)システムが起動されると、信号線4aを介してポン
プの運転開始指令を転送し、ポンプ4を起動して、流体
を発熱部1側の流路3aおよび吸熱部5側の流路3bで矢印
で示したように循環させる。
(2)その後センサ7で流体温度計測をする。このよう
にすると、流体を循環させているので流路内の流体温度
の偏りがなくなり、流体温度の計測場所に影響されない
で、センサ7により平均化された流体温度を計測でき
る。
(3)次に、冷凍機6が運転中か否かを確認する。運転
中でなければ、設定温度と計測した温度を比較し、計測
した温度が高ければ(a)の制御を、低ければ(b)の
制御を行なう。
(a)冷凍機の運転開始指令により冷凍機6の運転を
開始する。そして、設定された時間間隔毎に計測した流
体の温度が設定温度より低いかどうかを判定して低くな
る傾向にあると判定された場合には、LSIチツプ2の作
動信号を与える。
(b)LSIチツプ2の作動信号を与え、設定された時
間間隔毎に計測した流体の温度が設定温度より高いかど
うかを判定して高くなる傾向にあると判定された場合に
は、冷凍機の運転開始指令により冷凍機6の運転を開始
する。
(4)冷凍機6が運転中であれば、(a)LSIチツプ2
が作動中でなければ、流体温度が設定温度以下になる傾
向にあると判定された場合には、LSIチツプ2の作動信
号を与える、(b)LSIチツプ2が作動中であれば、冷
凍機6の運転を継続し、設定された時間間隔毎に計測し
た流体温度に基づいて以下に述べるPID(比例+積分+
微分)制御を行う。
以上のシステム起動により、迅速に流体温度を設定温
度に到達させることができる。
その後は、流体温度を設定温度に保つため前記冷凍能
力可変の冷凍機6によつて、前記PID制御を行う。第3
図に示した制御部9には、温度設定器から設定温度値
と、設定したサンプリングタイム毎にセンサ7で計測し
た流体温度値とが入力される。マイクロコンピユータ10
の演算部で流体温度値と設定温度値との差e(=流体温
度値−設定温度値)および(1)式から(4)式で示す
演算を行い、演算結果Yを出力する。
比例動作:Yp=Kp・e …(1) 積分動作:Yi=Ki・∫e dt …(2) 微分動作:Yd=Kd・de/dt …(3) 演算結果:Y =Yp+Yi+Yd …(4) ここで、Kp,Ki,Kdはそれぞれ比例定数、tは時間を示
す。
演算結果は、冷凍機6の冷凍能力の設定信号、すなわ
ち、第4図および第5図で示す冷凍機の場合は冷媒流量
制御弁22の弁開度信号として、第6図で示す冷凍機の場
合は圧縮機18aの運転周波数として出力部12を介して出
力される。冷凍機6が運転されると、蒸発器21と隣接し
て設置された冷却器23を間接的に冷却し、その結果とし
て流体を冷却する。一方、凝縮器19では、図示しないフ
アンによつてシステム外へ温風を吹きき出す。ポンプ4
によつてLSIチツプの冷却部に循環された流体は、LSIチ
ツプ2で発生し、熱伝導体16を介して熱伝達された熱を
持ち去ることによりLSIチツプ2の冷却を行う。PID制御
を行つているので、前記定数を適切に設定すると設定値
との差を小さく、かつ変動も小さく流体温度を制御でき
る。流体として水を用いた場合を例にとり、上記したシ
ステムの起動方法による流体温度の変化を第10図から第
11図に、PID制御による流体温度の変化を第12図に示
す。第10図は、システム起動時の流体温度が設定温度よ
り低い場合であり、図中に破線で示した冷凍機6の運転
開始とLSIチツプ2の動作開始を同時に行つた場合の流
体温度の立上り特性に比べて、設定温度に達する時間が
著しく短縮されている。すなわち、同時に動作を開始し
た場合は、冷凍機6の冷凍能力が100%発揮されるまで
一定の立上り時間が必要であり、LSIチツプ2の温度が
上昇する時間の方が早く、一度流体温度は上昇するが、
冷凍機の冷凍能力がLSIチツプ2の発熱量より大きくな
るため、流体の温度は再度低下し設定温度に制御される
まで時間を要することになる。本実施例では、システム
の起動後流体温度が設定温度以上になるまで冷凍機を運
転しないで、第10図に示すように良好な特性となる。
第11図は、システム起動時の流体温度が設定温度より
高い場合であり、この場合も図中に破線で示した冷凍機
6の運転開始とLSIチツプ2の動作開始を同時に行つた
場合の流体温度の立下り特性に比べて、設定温度に達す
る時間が著しく短縮されている。すなわち、同時に動作
を開始した場合は、前記したように冷凍機6の冷凍能力
を100%発揮するまで一定の立上り時間が必要であり、L
SIチツプ2の発熱量が冷却量より大きくなるため、流体
の温度は一度上昇し設定温度に制御されるまで時間を要
することになる。これに対し実施例では、設定温度に達
するまでLSIチツプ2を動作させないので、設定温度に
短時間で制御できる。
前記流体温度の立上り,立下りをより短時間で行なう
方法として、冷凍機をヒータを用いて予熱する方法があ
る。例えば圧縮機を予熱しておくと、冷凍機の立上り特
性は著しく改善される。
又、流体温度制御システムが、予め設定された時刻に
自動的に動作を開始するものであれば、システム起動予
定時刻前に冷凍機の予備運転を行つておけばより以上の
効果を得られる。
第12図は、PID制御により設定温度に流体の温度を制
御した結果である。従来の方法では、冷凍機の停止,起
動を繰り返すため、破線で示すように流体の温度は、設
定値を中心値として高低に大きく変動する。本実施例で
は、前記したようにPID制御により冷凍機の冷凍能力の
制御を行つているので、設定値からのずれも小さくかつ
温度変動も小さく流体温度を制御できる。
前記設定温度は20〜30℃の範囲であれば良いが、28℃
に設定されるのが望ましい結果を得ている。
以上述べた実施例では、検出した流体の温度が設定値
に対して高くなる傾向か低くなる傾向かを予測して冷凍
機6の運転開始時期、LSIチツプ2の動作時期としてい
たがデイフアレンシヤル値、例えば設定温度±1〜2℃
を動作タイミングとして用いても良い。第8図におい
て、設定温度+2℃を冷凍機6の運転開始タイミング
に、第9図において、設定温度一2℃をLSIチツプ2の
動作開始タイミングにしても良い。
システム起動時の流体温度を制御する他の方法とし
て、ポンプ4の制御を行なう方法がある。システム起動
時にポンプ4と冷凍機6とを同時に起動する。前記した
ように、平均流体温度と設定温度を比較して、(1)平
均流体温度が設定温度より高い時は、流体温度が設定温
度より低くなる傾向と判定された場合には、LSIチツプ
2の動作を開始する、(2)平均温度と設定温度より低
い時は、ポンプ4を一度停止してLSIチツプ2の動作開
始後、流体温度が設定温度より高くなる傾向と判定され
た場合には、ポンプ4を再起動する制御を行なう。
上記の制御を行なうことにより短時間で流体温度を設
定温度に到達させることができる。
このような流体温度制御システム72を第8図に示すよ
うにコンピユータシステム70に組み込んだ場合を説明す
る。システム運転装置73が予約した時刻に自動的に起動
する場合を例にとり説明する。この場合は、システム運
転装置73が起動する時刻が予約されているので、予め予
約した時刻前に流体温度制御システム72を予備運転する
ことができる。このため、冷凍機6の立上り特性は著し
く良くなり、起動直後から100%の冷凍能力を発揮する
ことができる。システム運転装置73が起動されると電源
部43が作動して、定電圧定周波電源の作動準備が完了し
た時点で定電圧定周波電源の運転が定常状態になつたこ
とを示す信号を制御部44に渡す。一方流体温度制御シス
テム72は前記したような動作を行ない、3分以内に流体
温度を設定温度に設定する。この時点で制御部44に信号
を渡し、前記した電源の準備完了信号との両方が完了し
たことを確認した後、コンピユータシステム70の作動を
開始する。この後は、能力可変の冷凍機の冷凍能力をPI
D制御を行なつているので、設定温度に対しずれの小さ
い温度制御ができる。
以上のように本発明の流体温度制御システムをコンピ
ユータシステムに組み込むことにより、流体温度を設定
温度に迅速に設定することができ、コンピユータシステ
ムの稼動効率を大幅に向上できる効果がある。又、流体
温度の設定温度からのずれを小さくできるので、安定し
たコンピユータシステムの作動が維持できる。
流体温度制御システムの他の実施例を第13図および第
14図に示す。第13図に示す流体温度制御システムは、第
1図に示す流体温度制御システムとほぼ同様の構成であ
るが、2台の冷凍機61,62が吸熱部5に並列に接続され
ている。又、第14図に示す流体温度制御システムも、第
1図に示す流体温度制御システムとほぼ同様の構成であ
るが、2台の冷凍機61,62が2つの吸熱部55、56にそれ
ぞれ接続されている。これらの実施例では、冷凍機を2
台用いているが、2台とも冷凍能力可変の冷凍機として
もよく、1台のみ冷凍能力可変の冷凍機としてもよい。
前者の場合は、1台の冷凍機が故障した場合でも他の冷
凍機で支援することができ、フエイルセイフ機能を持た
せることができる効果がある。
本発明の他の実施例を第15図から第17図に示す。本実
施例の流体温度制御システムの構成は、第1図および第
3図で示した構成と同じてあるので、構成の説明は省略
する。本実施例においては、冷凍機を起動後一定時間の
間は、冷凍機の冷凍能力を固定させる制御を行うことを
特徴とする。冷凍機の運転開始前は、各部温度は周囲温
度と同じであるため、運転が開始されてから設定冷凍能
力を100%発揮するまでに一定の立ち上がり時間が必要
である。この間に冷凍機の冷凍能力変化を頻繁に行うこ
とは、信頼性の点から好ましくない。第15図は、冷凍機
を起動後一定時間の間は冷凍機の冷凍能力を固定した場
合に、冷凍機運転後発熱部の動作を開始するまでの時間
を縦軸に、初期流体温度を横軸にとつて示している。例
えば、Aで示す点は、冷凍能力が中くらいのクラスの冷
凍機6を用いたとして、前記平均流体温度がTaの時、流
体温度が設定温度に達するには−τaの時間を要するこ
とを示している。時間が負の値であるから、LSIチツプ
2の動作を開始してからτa時間後に冷凍機の運転を開
始すれば良いことを示している。また、Bで示す点で
は、前記平均流体温度がTbの時は、冷凍機を運転後τb
時間後にLSIチツプ2の動作を開始すれば良いことを示
している。図中に冷凍機の冷凍能力が大きい場合と小さ
い場合を合わせて示した。従つて、これらのデータをマ
イクロコンピユータ10のメモリに予め記憶させておき、
補間による演算を行うことにより、冷凍能力を固定して
運転する時間あるいはLSIチツプ2の動作を開始した後
冷凍機の運転を開始すべき時間を算出できる。第16図
に、この起動方法を行うための制御フローチヤートを示
した。第1図で示した実施例と同様、システムが起動さ
れると、最初にポンプ4の運転が開始される。その後流
体の温度を計測し、冷凍能力が設定されると、前記時間
τが計算される。この値に基づいて冷凍機およびLSIチ
ツプ2の動作開始順序およびそのタイミングが設定され
る。立ち上がり時間が終了した時点から第1図で示した
実施例と同様にPID制御により冷凍機又は冷媒流量制御
弁の制御が行われる。本実施例の流体温度制御システム
により流体温度を制御した結果を第17図に示す。本実施
例では、予め一定時間の間は冷凍機の冷凍能力を固定し
て運転するので、流体温度の立ち上がりはやや遅れる
が、流体温度は設定温度に対してオーバシユートが小さ
い冷却流体温度制御を実現できる。
流体温度の立上りを早くする方法としては、前記した
ように冷凍機の予熱を行なつてもよいし、冷凍機の予備
運転を行なつてもよい。
本発明の他の実施例を第18図に示す。本実施例では、
第1図で示した流体温度制御システムに加えて、冷凍機
の各部の状態を検知するセンサ28を設置している。第18
図では代表例として圧縮機18のチヤンバの温度を検出す
る状態を示している。冷凍機が長時間停止された後で
は、圧縮機全体が周囲温度と同程度の低い温度となつて
いる。前記したように、この状態から冷凍機を起動する
と設定した冷凍能力になるまでに時間を要し、この状態
で冷凍能力を可変にしても所望する冷凍能力とならない
ため、流体温度の安定した制御は困難である。しかし、
冷凍機を運転後停止してから比較的短時間に再起動する
場合は、冷凍機は運転状態に近く、再起動後直ちにPID
制御により冷凍能力を制御することができる。センサ28
で圧縮機18のチヤンバの温度を検出することによつて、
圧縮機18がどの状態にあるかを判別することができるの
で、より良好な流体温度制御をを行うことができる。な
お、センサは冷凍機が長い時間停止していたのか比較的
短時間後に再起動なのかの判別が行える信号を検出でき
れば、いかなるものであつてもよい。
本発明の他の実施例を第19図から第23図に基づいて説
明する。本実施例は、第15図から第20図で示した実施例
に対応するもので、データをメモリに予め記憶させてお
き、補間による演算を行うことに加えて、試運転時に学
習させることにより冷凍機およびLSIチツプ2の作動タ
イミングを修正することを特徴とする。本実施例の構成
は、第1図に示す実施例とほぼ同様であるが、第19図お
よび第20図に示すように、制御器9に学習効果を発揮さ
せるための起動タイミング生成部14と試運転モードを設
定できるモード選択スイツチ13を設けている。第21図
は、第15図と同様に冷凍機を起動後一定時間の間は冷凍
機の冷凍能力を固定した場合に、冷却流体が設定温度に
達するまでの時間を縦軸に、初期流体温度を横軸にとつ
て示している。本実施例では、(1)流体温度制御シス
テムの増設等があつて回路内の流体量およびLSIチツプ
2の発熱量が変化した場合、(2)回路内の流体総量が
変化した場合、学習制御によつて制御系を再構築するこ
とを主目的としている。第22図において、曲線Xは流体
温度制御システムが標準的、すなわち、回路内の流体量
およびLSIチツプ2の発熱量が標準的な場合の起動タイ
ミングを示している。それに対し、曲線Yは、LSIチツ
プ2の発熱量は標準的であるが回路内の流体総量が多い
場合の起動タイミング、曲線Zは、LSIチツプ2の発熱
量は大きい回路内の流体総量は標準的である場合の起動
タイミングを示している。図中のA点で示されるタイミ
ングで冷凍機とLSIチツプ2の動作開始を行う場合、流
体温度制御システムが曲線Xに対応したものであれば、
速やかに設定温度に流体温度を制御できるが、曲線Yに
対応したシステムの場合は、回路内の流体総量が多いた
め、第22図に示したように流体の温度上昇が遅くなり、
時間τ後には設定温度とならない。また、逆に曲線Zに
対応したシステムの場合は、相対的にLSIチツプ2の発
生熱量が大きいため、第22図に示したように流体の温度
上昇が早くなり、タイミング制御のみでは時間τ後には
設定温度を越えてしまう。そのため、(1)曲線Yに対
応したシステムの場合は、LSIチツプ2の動作開始タイ
ミングを早くし、(2)曲線Zに対応したシステムの場
合は、LSIチツプ2の動作開始タイミングを遅くするよ
うにタインミングを修正する必要がある。これを実現す
る制御フローチヤートを第23図に示す。前記した起動タ
イミング生成部14には、システムが標準的な起動タイミ
ングが組み込まれている。モード選択スイツチ13を設定
して、システムを試験的に起動し、その運転結果に基づ
いて、起動タイミング生成部14の起動タイミングに修正
を加える。すなわち、曲線Yに対応したシステムの場合
は、第22図に示したように流体温度と設定温度とはΔTa
1の温度差を生じるので、この値に基づいて標準の起動
タイミングを修正する。修正された起動タイミングでは
起動タイミング生成部14内のメモリに格納される。一度
修正を行つておけばシステム構成が変わるまで、起動タ
イミング調整は必要でない。
本実施例では、起動タイミング制御のみを説明した
が、流体温度を検出しこの値に基づいて第1図で示した
実施例のように、起動タイミング制御からPID制御に切
り換えることもできる。また、流体温度を検出すること
により、通常運転時においても起動タイミングを学習さ
せても良い。
第24図は、発熱体2あるいは発熱体群により効果的に
流体を供給する流路3aの接続の仕方を示した図である。
本実施例では、流路3aの往路80を各発熱体で分岐させ、
発熱体2を熱交換部1aで冷却した後、復路81で合流させ
るように流体の流れる流路を構成している。このような
流路構成にすると、発熱体に供給される流体温度は一定
になり、より均一で安定した発熱体の冷却を行なうこと
ができる。
〔発明の効果〕
本発明の流体温度制御システムは、第1にシステム起
動時に流体を循環させるポンプを運転するので、流路内
での流体の温度分布が小さくなる。そのために運転前の
流体の温度が正確に計測でき、この温度と設定温度との
比較結果に基づいてLSIチツプの動作開始時期と冷凍機
の運転開始時期とを制御するので、設定温度に速やかに
制御できる効果がある。又、冷凍機の予備運転を行なう
場合にはより冷凍機の立上りが早いため、より速やかな
制御ができる効果がある。
本発明の流体温度制御システムは、第2に冷凍機の冷
凍能力を無段階に可変にできるようにし、設定時間間隔
毎に計測した流体温度に基づいて設定温度になるように
冷凍能力をPID(比例+積分+微分)制御を行うように
し、かつ定数を適切に決めているので、設定温度に対し
て誤差が小さく、変動も小さい制御が行える効果があ
る。
本発明の流体温度制御システムは、第3に(1)圧縮
機の吐出側と減圧器の後流側とをバイパス管で連結し、
その管路の途中に冷媒流量制御弁をもうけるか、(2)
冷凍機にインバータ駆動の圧縮機を適用しているので、
大幅な冷凍能力の制御を行うことができ、冷凍機の起
動,停止回数を減らすことができる効果がある。
本発明の流体温度制御システムは、第4にLSIチツプ
の動作開始時期と冷凍機の運転開始時期との指令を与え
るタイミングを学習させて修正しているので、システム
に変更があつた場合でも対応できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の流体温度制御システムの一実施例であ
りシステム構成を示す図、第2図は第1図で示した制御
器の入出力部の接続状態の詳細を示す図、第3図は第1
図で示したLSIチツプの冷却部の詳細を示す図、第4
図,第5図,第6図は第1図で示した冷凍機の詳細な構
成を示す図、第7図はシステム運転装置の構成を示す
図、第8図は本発明の流体温度制御システムをコンピユ
ータシステムに組み込んだ例を示す斜視図、第9図はシ
ステム起動時の制御フローチヤートを示す図、第10図,
第11図は本実施例のシステムで得られるシステム起動時
の流体温度変化を示す図、第12図は本実施例のシステム
で得られるPID制御時の流体温度変化を示す図、第13
図,第14図はそれぞれ本発明の他の実施例であるシステ
ム構成を示す図、第15図は本発明の他の制御方法を説明
する図、第16図はその制御フローチヤートを示す図、第
17図はその制御方法により得られるシステム起動時の流
体温度変化を示す図、第18図は本発明の他の実施例であ
るシステム構成を示す図、第19図は本発明の他の実施例
であるシステム構成を示す図、第20図は第19図で示した
制御器の構成の詳細を示す図、第21図,第22図,第23図
は本発明の他の制御方法を説明する図、第23図はその制
御フローチヤートを示す図、第24図は他の流路構成図を
示す図である。 1……熱負荷部、2……LSIチツプ、2a,6a,6b……信号
線、3……回路、4……ポンプ、5……吸熱部、6……
冷凍機、7……センサ、9……制御器、17……冷却流体
流路、18……圧縮機、19……凝縮器、20……減圧器、21
……蒸発器、22……冷媒流量制御弁、23……冷却器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G06F 1/00 360A (72)発明者 頭士 鎮夫 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社 日立製作所神奈川工場内 (72)発明者 山下 徹治 静岡県清水市村松390番地 株式会社日 立製作所清水工場内 (72)発明者 吉川 富夫 静岡県清水市村松390番地 株式会社日 立製作所清水工場内 (72)発明者 村上 恭志郎 静岡県清水市村松390番地 株式会社日 立製作所清水工場内 (56)参考文献 特開 昭62−119621(JP,A) 実開 昭61−76283(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25D 17/02 303 F25D 13/00 G05D 23/00 G06F 1/20 H05K 7/20

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発熱素子に流体を循環させる流路と、この
    流路に配置されたポンプと、前記流体の温度を検出する
    検出手段と、前記流体を冷却する冷凍装置を備えた流体
    制御システムにおいて、この流体制御システムの起動時
    に前記ポンプを駆動することによって循環する前記流体
    の温度を前記検出手段で所定間隔で検出し、検出された
    温度と前記流体の設定温度とを比較する手段と、この比
    較する手段から前記流体の温度の高低を判定する手段と
    を備え、この判定手段により前記流体の温度が前記設定
    温度より高いと前記冷凍装置の運転を開始し、前記流体
    の温度が前記設定温度より低いと前記発熱素子に作動信
    号を付与する流体温度制御システム。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記判定手段は、検出
    された前記流体の平均温度が設定温度に達するまでの一
    定時間を経過したら前記冷凍装置に作動信号を付与して
    なる流体温度制御システム。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記判定手段は、検出
    された前記流体の平均温度が前記流体の設定温度に達す
    るまでの一定時間を経過したら前記発熱体に作動信号を
    付与してなる流体温度制御システム。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記判定手段は、前記
    冷凍装置が備えた冷凍能力の大小と、前記冷凍装置の運
    転開始時期と、前記発熱体に作動信号を付与する時期と
    を記憶したメモリを備え、このメモリのデータにて試運
    転を行い前記冷凍装置と発熱体の作動タイミングを修正
    してなる流体温度制御システム。
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