JP3120262B2 - 床 材 - Google Patents

床 材

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JP3120262B2
JP3120262B2 JP05296154A JP29615493A JP3120262B2 JP 3120262 B2 JP3120262 B2 JP 3120262B2 JP 05296154 A JP05296154 A JP 05296154A JP 29615493 A JP29615493 A JP 29615493A JP 3120262 B2 JP3120262 B2 JP 3120262B2
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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Floor Finish (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は難燃性、耐汚れ性、寸法
安定性、接着性等が良好な床材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ビルやマンションのフローリ
ングには、塩化ビニル樹脂製の床材が多用されている。
しかし、塩化ビニル樹脂製の床材は、火災時に有毒な塩
化水素ガスを含んだ煙を多量に発生するため、人体に悪
影響を及ぼし、避難行動や消火活動を妨げるという問題
がある。また、可塑剤を多量に含むため、臭気が強いと
いう問題もある。
【0003】このため、最近ではハロゲンを含まないオ
レフィン系樹脂を基材として、その中に無機質難燃剤を
含有させた床材の研究が盛んになり、出願もされている
(例えば特開平2−301434号、特開平4−224
842号等)。しかし、これらの公開公報を見ても、オ
レフィン系樹脂のうち具体的にどの樹脂が床材の基材と
して真に適しているかは明らかでない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】床材に要求される物性
や難燃性を高めるためには、オレフィン系樹脂のなかで
も耐摩耗性、耐汚れ性、耐熱性が比較的良いポリプロピ
レン等が適していると考えられるが、このポリプロピレ
ンを用いると次のような問題があった。
【0005】即ち、ポリプロピレンは無機質充填物(炭
酸カルシウム等の充填剤や難燃剤)との混練性、相溶性
に劣るため、多量の無機質充填物を配合すると、得られ
る床材が脆くて割れやすくなるという問題があり、ま
た、接着性が良くないため、接着剤で床地面に貼付けて
も剥離しやすいという問題があった。
【0006】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは難燃性、耐汚れ性、耐破損
性、接着性、耐摩耗性、寸法安定性等が良好なオレフィ
ン系樹脂の床材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の床材は、ポリプロピレン70〜30重量部
及びエチレン−酢酸ビニル共重合体30〜70重量部を
混合した基材樹脂100重量部に、炭酸カルシウム又は
炭酸カルシウムと水酸化アルミニウムとの混合物を12
0〜300重量部含有せしめたことを特徴とする。
【0008】ポリプロピレンとしては、1〜10メルト
フローレイトを有するものが好適に使用される。このよ
うなポリプロピレンは、硬度や衝撃強度と伸びなどの性
質のバランスがよくとれているからである。また、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体としては、酢酸ビニルの占め
る割合が35重量%以下のものが好適に使用される。こ
のようなエチレン−酢酸ビニル共重合体は、耐汚れ性が
良いからである。
【0009】一方、基材樹脂に含有させる炭酸カルシウ
ムや水酸化アルミニウムとしては、10μm以下の平均
粒径を有する混練性の良い微粉末が好適に使用される。
水酸化アルミニウムは、熱分解によって水を放出する優
れた難燃剤であるから、例えば車両用の床材のように厳
しい難燃性が要求される場合に、炭酸カルシウムと混合
して基材樹脂に配合すればよい。水酸化アルミニウムの
配合量は多くても100重量部までである。
【0010】本発明の床材は、上記のようにポリプロピ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、炭酸カルシウ
ム、水酸化アルミニウムを主成分とするものであるが、
必要に応じて、例えばDOPなどの可塑剤、過酸化系の
架橋剤、ビスアマイドなどの滑剤、フェノール系の酸化
防止剤、ベンゾフェノン系の紫外線吸収剤などを適量配
合してもよいことは言うまでもない。
【0011】本発明の床材には、ロールに巻取り可能な
長尺のもの、一辺が約45cm程度のタイル状のもの、
下地層と上地層から成る二層構造のタイル状のものな
ど、種々のタイプがあるが、それぞれのタイプごとに最
適な組成が少しづつ異なっている。
【0012】即ち、長尺の床材は、ポリプロピレン50
〜30重量部及びエチレン−酢酸ビニル共重合体50〜
70重量部を混合した基材樹脂100重量部に、炭酸カ
ルシウム又は炭酸カルシウムと水酸化アルミニウムとの
混合物を120〜220重量部含有せしめるのが最適で
ある。
【0013】そして、タイル状の床材は、ポリプロピレ
ン70〜40重量部及びエチレン−酢酸ビニル共重合体
30〜60重量部を混合した基材樹脂100重量部に、
炭酸カルシウム又は炭酸カルシウムと水酸化アルミニウ
ムとの混合物を150〜300重量部含有せしめるのが
最適である。
【0014】また、二層構造のタイル状の床材は、ポリ
プロピレン70〜50重量部及びエチレン−酢酸ビニル
共重合体30〜50重量部を混合した基材樹脂100重
量部に、炭酸カルシウム又は炭酸カルシウムと水酸化ア
ルミニウムとの混合物を240〜300重量部含有せし
めた下地層と、ポリプロピレン60〜40重量部及びエ
チレン−酢酸ビニル共重合体40〜60重量部を混合し
た基材樹脂100重量部に、炭酸カルシウム又は炭酸カ
ルシウムと水酸化アルミニウムとの混合物を150〜2
50重量部含有せしめた上地層を積層一体化するのが最
適である。
【0015】尚、本発明の床材の厚みは特に限定されな
いが、長尺の床材では巻取りやすい1.5〜2.5mm
程度の厚みとするのが好ましく、タイル状の床材では
2.0〜5.0mm程度の厚みとするのが好ましい。
【0016】
【作用】本発明に用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体
は、ポリプロピレンとの相溶性が良いだけでなく、炭酸
カルシウムや水酸化アルミニウムとの混練性、相溶性に
も優れた樹脂である。従って、このエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体をポリプロピレンに混合したものを基材樹脂
として、炭酸カルシウム又は炭酸カルシウムと水酸化ア
ルミニウムとの混合物を120〜300重量部配合した
本発明の床材は、ポリプロピレンのみを基材樹脂とする
床材のように脆弱化して割れやすくなる恐れがない。
【0017】しかも、このエチレン−酢酸ビニル共重合
体は接着性が良いため、これをポリプロピレンに混合し
たものを基材樹脂とする本発明の床材は、他のオレフィ
ン樹脂からなる床材に比べて接着剤の選択が比較的容易
であり、アクリル系以外の市販の殆どの床材用接着剤を
用いて強固に貼付けることができ、剥離の心配は殆どな
い。
【0018】また、エチレン−酢酸ビニル共重合体は結
晶化度が低いため、これをポリプロピレンに混合したも
のを基材樹脂とする本発明の床材は変形しにくく、寸法
安定性が良いものである。
【0019】一方、ポリプロピレンは表面光沢があり、
耐汚れ性に優れた樹脂であるから、これをエチレン−酢
酸ビニル共重合体(特に酢酸ビニルが35重量%以下の
耐汚れ性が良いエチレン−酢酸ビニル共重合体)と混合
したものを基材樹脂とする本発明の床材は、表面光沢が
あり耐汚れ性、耐薬品性が良好である。
【0020】また、ポリプロピレンは結晶性のポリマー
であるから、長尺の床材とすれば巻きぐせがつくが、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体を55〜70重量部、好ま
しくは60〜70重量部配合すると巻きぐせが殆どなく
なり、50〜55重量部配合すると巻きぐせが少し残る
程度となる。
【0021】本発明の床材において、ポリプロピレンが
70重量部より多くなり、エチレン−酢酸ビニル共重合
体が30重量部より少なくなると、床材が硬く脆くな
り、接着性も低下する。これとは逆に、ポリプロピレン
が30重量部より少なくなり、エチレン−酢酸ビニル共
重合体が70重量%より多くなると、床材が柔軟になっ
て耐へこみ性、耐摩耗性が低下し、耐汚れ性も低下す
る。また、炭酸カルシウム又は炭酸カルシウムと水酸化
アルミニウムとの混合物の含有量が300重量部を越え
ると、難燃性は向上するが、床材が脆く割れやすくな
り、耐摩耗性も低下する。これに対し、炭酸カルシウム
又は炭酸カルシウムと水酸化アルミニウムとの混合物の
含有量が120重量部より少なくなると、難燃性が大幅
に低下し、燃えやすくなる。
【0022】また、本発明の長尺の床材において、ポリ
プロピレンが50重量部より多くなり、エチレン−酢酸
ビニル共重合体が50重量部より少なくなり、炭酸カル
シウム又は炭酸カルシウムと水酸化アルミニウムとの混
合物が220重量部より多くなると、床材の可撓性が低
下するためロール巻きが困難となり、たとえロール巻き
ができたとしても、巻きぐせがつくため、貼付け作業が
困難となる。
【0023】これに対し、本発明のタイル状の床材の場
合は、可撓性が大きすぎると、かえって床材が剥離しや
すくなるので、ポリプロピレンを40〜70重量部と
し、エチレン−酢酸ビニル共重合体を60〜30重量部
とし、炭酸カルシウム又は炭酸カルシウムと水酸化アル
ミニウムとの混合物を150〜300重量部として、可
撓性を低下させることが必要となる。
【0024】また、本発明の二層構造のタイル状の床材
の場合は、上地層に若干の柔軟性を持たせて踏圧感や耐
滑り性を向上させ、下地層の強度と難燃性を高めること
が望ましい。そこで、下地層については、ポリプロピレ
ンを70〜50重量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体
を30〜50重量部として強度を高めると共に、炭酸カ
ルシウム又は炭酸カルシウムと水酸化アルミニウムとの
混合物を240〜300重量部として難燃性を高め、上
地層については、ポリプロピレンを60〜40重量部、
エチレン−酢酸ビニル共重合体を40〜60重量部、炭
酸カルシウム又は炭酸カルシウムと水酸化アルミニウム
との混合物を150〜250重量部として若干の柔軟性
をもたせ、踏圧感や耐滑り性を向上させている。
【0025】
【実施例】次に、本発明の実施例を述べる。
【0026】[実施例1]下記表1に示す組成割合の組
成物に少量の滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤を添加
し、これを押出機で造粒して粉粒体(平均粒径約0.5
mm)を得た。この粉粒体を耐熱性の離型ベルト(テフ
ロンベルト)上に積層して加熱炉で約200℃に加熱
し、加圧ロールで押圧して床材試験片(450×450
×2mm)を作製した。そして、この床材試験片の性能
試験を行ったところ、表1に示す結果が得られた。
【0027】尚、へこみ量、残留へこみ率、加熱による
長さ変化率、接着性はJIS A5705の試験方法に
よるもの、耐摩耗性はJIS A 1453(摩耗紙S
−42,荷重530gf)の試験方法によるものであ
る。耐汚れ性はJIS A5705の試験方法によるも
ので、良は変化なし、悪は色変化又は光沢変化又はふく
れの発生があったことを示す。また、難燃性は鉄道車両
用資材燃焼性試験の試験方法によるものである。
【表1】
【0028】[比較例1]ポリプロピレンを80重量部
に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を20重
量部にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして比
較用の床材試験片を作製し、同様に性能試験を行った。
その結果を表1に併記する。
【0029】[比較例2]ポリプロピレンを20重量部
に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を80重
量部にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして比
較用の床材試験片を作製し、同様に性能試験を行った。
その結果を表1に併記する。
【0030】上記の表1から判るように、実施例1の床
材試験片は、ポリプロピレンが過剰の比較例1の床材試
験片に比べて、へこみ量や残留へこみ率が大きいけれど
も、接着性、耐破損性が優れている。また、EVA過剰
の比較例2の床材試験片は、へこみ量や残留へこみ率が
実施例1の床材試験片より大きく、耐摩耗性や耐汚れ性
も劣っている。
【0031】[実施例2]下記表2に示す組成割合の組
成物に少量の滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤を添加
し、実施例1と同様の方法で厚さ2mmの長尺の床材を
作製した。この床材は直径16cmのロールに巻き取る
ことができた。この床材を切断して床材試験片(450
×450×2mm)を作製し、実施例1と同様の性能試
験を行ったところ、表2に示す結果が得られた。
【表2】
【0032】[比較例3]ポリプロピレンを75重量部
に、EVAを25重量部にそれぞれ変更した以外は実施
例2と同様にして厚さ2mmの長尺の床材を作製した。
この床材は直径16cmのロールに巻き取ることが困難
であった。次いで、この床材を切断して床材試験片(4
50×450×2mm)を作製し、実施例1と同様の性
能試験を行った。その結果を表2に併記する。
【0033】上記の表2から判るように、この比較例3
の床材もポリプロピレンが過剰であるため、実施例2の
床材試験片に比べて、接着性や耐破損性が劣っている。
【0034】[実施例3]下記表3に示す組成割合の上
地用及び下地用の組成物に少量の滑剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤を添加し、実施例1と同様に造粒して粉粒体
を得た。そして、下地用の粉粒体を実施例1と同様にシ
ート化して厚さ1mmの下地層を形成し、その上に上地
用の粉粒体を積層して同様に加熱、加圧し、二層構造の
床材試験片(450×450×2mm)を作製した。こ
の床材試験片の性能試験を行ったところ、表3に示す結
果が得られた。
【表3】
【0035】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の床材は難燃性、耐汚れ性、耐破損性、接着性、耐摩耗
性、耐へこみ性、寸法安定性等が良好であり、長尺の床
材はロールに巻取りが可能で、巻戻しても巻きぐせがつ
かず、タイル状の床材、特に二層構造のタイル状の床材
は踏圧感や耐滑り性も良好であるといった効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04F 15/10 - 15/18 B32B 1/00 - 35/00 D06N 3/00 - 3/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メルトフローレイトが1〜10のポリプ
    ロピレン50〜30重量部及び酢酸ビニル含有率が35
    %以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体50〜70重量
    部を混合した基材樹脂100重量部に、炭酸カルシウム
    又は炭酸カルシウムと水酸化アルミニウムとの混合物を
    120〜220重量部含有せしめて成る長尺の床材。
  2. 【請求項2】 メルトフローレイトが1〜10のポリプ
    ロピレン70〜40重量部及び酢酸ビニル含有率が35
    重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体30〜60
    重量部を混合した基材樹脂100重量部に、炭酸カルシ
    ウム又は炭酸カルシウムと水酸化アルミニウムとの混合
    物を150〜300重量部含有せしめて成るタイル状の
    床材。
  3. 【請求項3】 ポリプロピレン70〜50重量部及びエ
    チレン−酢酸ビニル共重合体30〜50重量部を混合し
    た基材樹脂100重量部に、炭酸カルシウム又は炭酸カ
    ルシウムと水酸化アルミニウムとの混合物を240〜3
    00重量部含有せしめた下地層と、メルトフローレイト
    が1〜10のポリプロピレン60〜40重量部及び酢酸
    ビニル含有率が35重量%以下のエチレン−酢酸ビニル
    共重合体40〜60重量部を混合した基材樹脂100重
    量部に、炭酸カルシウム又は炭酸カルシウムと水酸化ア
    ルミニウムとの混合物を150〜250重量部含有せし
    めた上地層を積層一体化して成る二層構造のタイル状の
    床材。
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