JP3119768B2 - 工作機械の潤滑油温度制御方法および装置 - Google Patents

工作機械の潤滑油温度制御方法および装置

Info

Publication number
JP3119768B2
JP3119768B2 JP05190307A JP19030793A JP3119768B2 JP 3119768 B2 JP3119768 B2 JP 3119768B2 JP 05190307 A JP05190307 A JP 05190307A JP 19030793 A JP19030793 A JP 19030793A JP 3119768 B2 JP3119768 B2 JP 3119768B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricating oil
speed
spindle
cooling
main shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP05190307A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0740184A (ja
Inventor
英雄 小松原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Makino Milling Machine Co Ltd
Original Assignee
Makino Milling Machine Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Makino Milling Machine Co Ltd filed Critical Makino Milling Machine Co Ltd
Priority to JP05190307A priority Critical patent/JP3119768B2/ja
Publication of JPH0740184A publication Critical patent/JPH0740184A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3119768B2 publication Critical patent/JP3119768B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Auxiliary Devices For Machine Tools (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は工作機械の潤滑油温度制
御方法および装置に関し、特に工作機械の主軸部で発生
する熱を冷却した潤滑油を循環して吸収し、主軸温度を
所定値に維持する工作機械の潤滑油温度制御方法および
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に工作機械は、その主軸の回転数や
加工抵抗などの加工条件に応じて発熱し、主軸部の温度
と主軸部から離れた工作機械の機体部の温度とには差が
生じる。このため工作機械各部には加工条件に応じた熱
歪を生じることとなり、精度の高い機械加工には障害と
なっていた。この問題に対し特公昭48−3797号公
報にその対策が開示されている。その開示された油温制
御装置は、潤滑油の油温が大気温度に対して常に一定の
温度差を保持すべくその大気温度の変動に追従するよう
潤滑油の油温を制御している。
【0003】しかしながら、上記の油温制御装置は、潤
滑油の循環時間、発熱体である主軸部からの熱が潤滑油
に伝達し、さらに温度検出器の出力として感知されるま
での時間遅れ等によって、応答性のよい油温制御が難し
い。特に主軸の回転数が変化したとき等加工条件が急激
に変更されたときにはその発熱量が変化し、その変化直
後は応答性のよい油温制御が困難である。この問題に対
し本出願人は「工作機械の主軸温度制御方法および装
置」と題する発明を特開昭64−51253号公報にそ
の対策として開示した。その開示した制御方法および装
置は、主軸の発熱量が変化する原因となる加工条件が変
化した直後においても、主軸部とその主軸部から離れた
機体部との温度差が一定となるように、主軸部へ供給す
る潤滑油の温度を制御し、主軸の熱膨張変化による加工
誤差をなくすることを目的とし、前記加工条件が急激に
変化した時から所定時間通常のフィードバック制御を停
止し、そのフィードバック制御停止時に、予め加工条件
に応じて設定した設定温度となるように油温調節器によ
り潤滑油の温度を即座に冷却または加熱して主軸部へ供
給し、前記所定時間経過後にフィードバック制御に戻る
工作機械の主軸温度制御方法および装置を提供してい
る。
【0004】しかしながら、上記の工作機械の主軸温度
制御方法および装置は、主軸の発熱量が変化する原因と
なる加工条件が変化した直後に潤滑油の温度制御を開始
するので、例えば主軸が高速回転数に切り換わるとき、
主軸は数秒の短時間で所定の高速回転数に切り換わり主
軸部の油温を上昇するのに対し、油温調節器は加工条件
に応じた設定温度に潤滑油を冷却するのに数分の時間を
要し、冷却が間に合わず、油温制御の応答性は不十分で
あるという問題がある。それゆえ予め冷却潤滑油を準備
しておき、前記加工条件が変化した直後にその準備した
冷却潤滑油を主軸部に即座に供給する制御方法および装
置が考えられるが、この場合は主軸の最大負荷に対し使
用最低回転数から使用最高回転数に切り換えたときに対
応できる冷却能力をもつ冷却潤滑油を常に所定量準備す
る必要があり、設備が大がかりとなり、またエネルギー
を無駄に消耗してしまうという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は上述の問題点のない、すなわち主軸回転数が低速
から高速に増速しても即座に適温の潤滑油を主軸部に供
給し、主軸温度の急変をなくし、主軸の熱膨張変化によ
る加工誤差をなくし、ひいては加工精度を向上し、かつ
不必要に大きな冷却能力を有する油温調節器を必要とせ
ず、またエネルギーを労費しない工作機械の潤滑油温度
制御方法および装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、冷却手段で冷却された潤滑油を工作機械の主軸部に
循環して主軸温度を所定値に維持する工作機械の潤滑油
温度制御方法において、主軸回転数に対応した必要冷却
熱量を予め記憶し、前記工作機械の加工プログラムを先
読みして主軸回転数が低速から高速に変速されることを
検知し、主軸回転数の変速に先立って次の高速の主軸回
転数に対応した必要冷却熱量の潤滑油を前記冷却手段か
ら吐出し、主軸回転数の変速が実行されるまでは、前記
主軸部からの戻り潤滑油の一部をそのまま前記冷却手段
から吐出される潤滑油と混合させ、現主軸回転数に対応
した必要冷却熱量の潤滑油が前記主軸部に供給されるよ
うその混合比を調節し、主軸回転数の変速後は前記混合
をやめて、前記冷却手段から吐出される潤滑油のみを即
座に前記主軸部へ供給するようにした工作機械の潤滑油
温度制御方法が提供される。
【0007】また、冷却手段で冷却された潤滑油を工作
機械の主軸部に循環して主軸温度を所定値に維持する工
作機械の潤滑油温度制御装置において、前記主軸部から
の潤滑油の戻り管路を2叉に分け、前記冷却手段と並列
に設けた潤滑油のバイパス回路と、前記冷却手段から吐
出される潤滑油と前記バイパス回路からの潤滑油とを混
合させて前記主軸部へ供給する可変混合バルブと、主軸
回転数に対応する必要冷却熱量、および前記冷却手段で
潤滑油の冷却熱量を増加させるのに必要な冷却熱量変更
所要時間を予め記憶する記憶手段と、前記工作機械の加
工プログラムを先読みして主軸回転数が低速から高速に
変速されることを検知した場合、前記記憶手段から次の
高速の主軸回転数に対応した必要冷却熱量とその冷却熱
量変更所要時間を求め、主軸回転数の変速に先立って前
記冷却手段の必要冷却熱量を前記求めた値に変更すると
ともに、主軸回転数が変速されるまでは現主軸回転数に
対応した必要冷却熱量の潤滑油が前記主軸部に供給され
るよう前記可変混合バルブの混合比を調節し、主軸回転
数の変速後は前記可変混合バルブによる混合をやめて、
前記冷却手段から吐出される潤滑油のみを即座に前記主
軸部へ供給するようにした制御手段と、を具備した工作
機械の潤滑油温度制御装置が提供される。
【0008】
【作用】本発明の工作機械の潤滑油温度制御方法および
装置は、工作機械の加工プログラムを先読みし、主軸回
転数が低速から高速に変速されることを予め検出し、変
速に間に合うよう潤滑油冷却手段を次の高速の主軸回転
数に対応した必要冷却熱量の潤滑油が吐出するように運
転する。主軸回転数が変速されるまでの間は、現主軸回
転数に対応する必要冷却熱量の潤滑油が主軸部に供給さ
れるよう可変混合バルブの混合比を調節する。主軸回転
数変速後は、冷却手段から吐出される高速の主軸回転数
に対応した必要冷却熱量を有する潤滑油のみが主軸部へ
供給されるよう直ちに可変混合バルブの混合比を変え
る。よって応答性の良い潤滑油温度制御が行える。
【0009】
【実施例】以下に図1を参照しつつ工作機械の主軸部5
と油温調節手段との間を循環する潤滑油の温度の制御方
法について説明する。図2および図3は主軸回転数を切
り換えるときの油温制御の処理を示すフローチャートで
ある。便宜上、図1に示すNC装置10にロードされた
所定の加工プログラムに基づき、工作機械の主軸部5に
より所定のワークを加工している所から説明することと
する。図1において、主軸部5から循環ポンプ30で回
収した潤滑油を2叉に分岐して、一方は冷却手段11に
よって潤滑油の温度調節が可能な冷却回路15を経由さ
せ、他方は温度調節を行わないバイパス回路17を経由
させ、可変混合バルブ3で合流させて主軸部5へ潤滑油
を循環供給し、主軸部5の潤滑と冷却を行っている。主
軸変速時前後を除いた定常時は、主軸部5の温度と室温
との差が所定値を維持するよう制御手段9によって冷却
手段11の冷却能力のフィードバックコントロールを行
っている。符号21から25はサーミスタ等の温度セン
サであり、順にその検出温度をTA ,TB ,TC ,TD
およびTE とする。25は室温を検出するための温度セ
ンサであり、本実施例では工作機械のベッド(図示せ
ず)などに取り付けられ、24は工作機械の主軸部5の
温度を検出するための温度センサであり本実施例では主
軸部5から帰還する潤滑油の温度を測定できるように取
り付けられる。また、符号27,28は流量計であり、
それぞれ循環する油量QA ,QB を計測するためのもの
である。温度センサの出力TA ,TB ,TC ,TD およ
びTE は制御手段9へ接続され処理され、流量QA ,Q
B も制御手段9へ接続され処理される。
【0010】次に図2、図3のフローチャートの各ステ
ップを説明する。 (ステップS1):NC装置10から主軸回転数N1を
読み取り記憶手段7の記憶部Nに記憶し、i=0とす
る。 (ステップS2):加工プログラムの現在実行している
ブロックの1ブロック先を読み取り、i=i+1を演算
する。 (ステップS3):ステップS2で読み取ったブロック
が主軸回転変速指令であるか否かを判別し、YESのと
きはステップS5へ進みi=nとし、NOのときはステ
ップS4へ進む。 (ステップS4):ステップS2で読み取ったブロック
の指令を実行するのに必要な時間を算出しti(i=
1,2,…,n)とし記憶する。 (ステップS5):主軸回転変速指令のブロックを読み
取るまでにステップS4で算出した各ブロックの実行時
間tiを加算し総和ts=t1+t2+…+tnを求
め、現在時刻toを加算しtc=t0+tsから主軸回
転を変速開始する時刻tcを求め記憶する。 (ステップS6):現在の回転数N1とステップS3の
主軸回転変速指令の回転数N2とを比較し、N1=N2
のときはステップS7へ進み、N1<N2のとき、すな
わち低速から高速に変速するときはステップS11へ進
み、N1>N2のとき、すなわち高速から低速に変速す
るときはステップS31へ進む。 (ステップS7):通常の潤滑油温のフィードバックコ
ントロールを継続する。
【0011】次に、低速から高速に変速するときについ
て説明する。 (ステップS11):主軸回転数N1に必要な冷却熱量
Wと主軸回転数N2に必要な冷却熱量W2を後述する図
4の(A)に示す対照表から求め、冷却熱量Wを主軸回
転数N2に必要な冷却熱量W2に上げるのに要する所要
時間trを後述する図4の(B)に示す対照表から求め
る。 (ステップS12):変速開始する時刻tcから所要時
間trを減算し、冷却開始時刻tsを求め記憶する。 (ステップS13):現在時刻toと冷却開始時刻ts
とを比較し、to<tsのとき、すなわち、まだ冷却開
始時刻tsにならない場合は、待ち時間を設けるためス
テップS14へ進み、to=tsのときはステップS1
5およびS17へ進む。 (ステップS14):所定時間後ステップS13へ戻
る。 (ステップS15):通常の潤滑油温のフィードバック
コントロールを一時休止して、冷却手段11の必要冷却
熱量Wを回転数N2に対応する冷却熱量W2に上げる。 (ステップS16):主軸部へ供給される油温TC が現
在の回転数N1に対応して適温となるように、可変混合
バルブの混合比を変更し、すなわち冷却バルブ13を絞
り、加熱バルブ14を開く。各バルブの開度は図4
(C)の対照表から求められる。 (ステップS17):現在の冷却熱量Wと回転数N2に
対応する必要冷却熱量W2とを比較し、W>W2のと
き、すなわち、まだ必要冷却熱量に到達していない場合
はステップS18へ進み、W=W2のときはステップS
19へ進む。 (ステップS18):所定時間後ステップS15へ戻
る。 (ステップS19):変速指令を読み取り、NC装置に
主軸回転数NをN1からN2へ変更する指令を出力し、
冷却用バルブ13を全開とし、加熱用バルブ14を全閉
とする。そして通常のフィードバックコントロールを再
開する。
【0012】次に高速から低速に変速するときについて
説明する。 (ステップS31):主軸回転数がN1からN2へ変速
することを読み取る。 (ステップS32):通常のフィードバックコントロー
ルを一時休止し、主軸部へ供給される油温TC が回転数
N2に対応して適温となるように、可変混合バルブの混
合比を変更し、すなわち冷却バルブ13を絞り、加熱バ
ルブ14を開く。各バルブの開度は、図4(C)の対照
表から求められる。 (ステップS33):現在の冷却熱量Wを主軸回転数N
2に対応する必要冷却熱量W2に下げる。 (ステップS34):現在の冷却熱量Wと回転数N2に
対応する必要冷却熱量W2とを比較し、W=W2のとき
はステップS35へ進み、W>W2のときはステップS
36へ進む。 (ステップS35):冷却用バルブ13を全開とし、加
熱用バルブ14を全閉とする。そして通常のフィードバ
ックコントロールを再開する。 (ステップS36):所定時間後ステップS32へ戻
る。
【0013】図4は対照表を示す図であり、(A)は主
軸回転数に対応する必要冷却熱量、(B)は変速前後の
主軸回転数差に対応する冷却熱量変更所要時間、および
(C)は主軸部へ供給する油温TC と冷却手段11の吐
出油温TA との差の絶対値に対応する可変混合バルブの
開度、をそれぞれ示す図である。図4の(A)に示す対
照表は、左の欄は主軸回転数を示し、右の欄は主軸が左
の欄に示す回転数のときに油温を適温とするため冷却手
段11に要求される必要冷却熱量の一例を示す。この対
照表により、例えば5000RPM から10000RPM に
主軸の回転数が変わると5000RPM のときの必要冷却
熱量は1KWで、10000RPM のときの必要冷却熱量は
3KWであるので、3−1=2(KW)の冷却熱量がさらに
必要であることが判る。なお、主軸回転数が左欄にある
ときはこの対照表から直接その主軸回転数に対応する必
要冷却熱量Wのデータを求めるが、主軸回転数が左欄に
ないときのその主軸回転数に対応する必要冷却熱量Wの
データはその主軸回転数の前後のデータから比例配分し
て求める。
【0014】図4の(B)に示す対照表は、左の欄は変
速前後の主軸回転数差を示し、右の欄は主軸が左の欄に
示す回転数差に変速されるときに、冷却手段11に要求
される追加の冷却熱量を供給し、変速後の主軸回転数の
ときに冷却手段11に要求される必要冷却熱量が供給さ
れるまでに要する時間、すなわち冷却熱量変更所要時間
の一例を示す。なお、主軸回転数差が左欄にあるときは
この対照表から直接その主軸回転数に対応する冷却熱量
変更所要時間trのデータを求めるが、主軸回転数差が
左欄にないときのその主軸回転数に対応する冷却熱量変
更所要時間trのデータはその主軸回転数差の前後のデ
ータから比例配分して求める。
【0015】図4の(C)に示す対照表は、左の欄は冷
却手段11の吐出油温TA と主軸部5へ供給される油温
C との温度差の絶対値を示し、右の欄は左の欄に示す
各温度差に対応する可変混合バルブを構成する冷却用バ
ルブ13と加熱用バルブ14の開度の比率(%)の一例
を示す。この開度により可変混合バルブ3の混合比が決
定される。なお、油温TA とTC 間の温度差が左欄にあ
るときはこの対照表から直接その温度差に対応する可変
混合バルブ3の混合比のデータを求めるが、油温TA
C 間の温度差が左欄にないときのその温度差に対応す
る可変混合バルブの混合比はその温度差の前後のデータ
から比例配分して求める。以上の図4の(A)〜(C)
の対照表に代えて、関数の形態で予め各データを記憶さ
せても良いことは言うまでもない。
【0016】図5の(A)は主軸回転数、(B)は潤滑
油の油温、(C)は流量のタイムチャートをそれぞれ示
す図である。本図において、横軸は時間(min) を示し、
縦軸は図5−(A)は回転数(RPM) 、図5−(B)は温
度(℃)、図5−(C)は流量(l/s)をそれぞれ示
す。加工プログラムの主軸回転の変速指令により、主軸
の回転数Nが現在時刻t0の回転数N1から時刻t3の
回転数N2に増速され、時刻t3の回転数N2から時刻
t4の回転数N3へ減速されるときの各部の潤滑油の油
温と流量の変化について以下に説明する。
【0017】最初に各部の油温について説明する。時刻
t0〜t1において、主軸回転数NはN1であり、TA
とTC はT1で一定であり、時刻t1〜t3において、
ここで時刻t1は主軸回転数N1からN2へ増速開始す
る時刻t3よりtr分前の時刻であり、前述のフローチ
ャートで説明した現在の冷却熱量Wを主軸回転数N1か
ら主軸回転数N2に必要な冷却熱量W2に上げるのに要
する所要時間である。TC は時刻t1〜t3までそのま
ま一定であるが、TA は時刻t1で主軸回転数N2の必
要冷却熱量を主軸部へ供給して安定する油温T2となる
よう冷却手段11の冷却能力を変更するので、時刻t1
〜t2において可変混合バルブの混合比が変更され、主
軸回転数がN2となったときに冷却手段11が必要冷却
熱量を主軸部5へ供給して安定する油温T2となるまで
下がり、時刻t2〜t3まではT2で一定である。時刻
t3〜t4において、TA とTC はT2で一定であり、
時刻t3にはすでにT2となっており、従来技術におけ
る冷却不足の問題は解決される。時刻t4以降におい
て、時刻t4で主軸回転数は即座にN3に変速され、冷
却手段11は主軸回転数がN3に対応する冷却能力に切
り換えられる。したがって即座に冷却用バルブ13は絞
られ、バルブ14は開かれると同時に、温度TC はT3
となり時刻t4以降T3で一定となる。温度TA は時刻
t4以降において温度T3となるよう冷却手段11の冷
却能力が変更されるので、時刻t5でT3となるまで徐
々に上がり時刻t5以降T3で一定となる。
【0018】次に各部の流量について説明する。時刻t
0〜t1において、主軸回転数NはN1であり、図4の
(A)の対照表に示すように主軸回転数Nに対応する必
要冷却熱量の油を冷却手段11により主軸部5へ供給す
るが、これは冷却手段11の冷却能力を冷却手段11の
インバータを調整して行われ、主軸回転数Nで通常加工
中の可変混合バルブ3の混合比、すなわち冷却用バルブ
13、加熱用バルブ14の開度は13を全開とし14を
全閉とする。時刻t0〜t1までのQA とQB は主軸回
転数がN1に対応する冷却手段11の冷却能力でバルブ
13は全開としバルブ14は全閉であるから、QA はQ
×(TA −TD )=Wの式から求められる値となる。こ
こで、Wは冷却手段11により得られる現在の冷却熱量
である。QB はバルブ14が全閉であるから0である。
時刻t1で冷却手段11の冷却能力を変更するが、TC
の温度を一定に保つため可変混合バルブ3の混合比を変
更する。すなわち冷却用バルブ13を絞り、加熱用バル
ブ14を開ける。時刻t2で冷却手段11は回転数N2
に対応する冷却能力に到達するので、時刻t1〜t2ま
では流量QA は徐々に減少し、流量QBは徐々に増加
し、時刻t2〜t3間は時刻t2の値で一定となる。時
刻t3〜t4間のQA とQB は、時刻t3で主軸の回転
数がN2となると可変混合バルブ3の混合比を変更し、
すなわち冷却用バルブ13、加熱用バルブ14の開度は
13を全開とし14を全閉とする。従ってQA は主軸回
転数N2の必要冷却熱量を主軸部5へ供給して安定する
油温T2とする熱量に基づき、Q×(TA −TD )=W
の式から求められる値となり、QB はバルブ14を全閉
とするので0となる。時刻t4で主軸回転数NはN3に
変速され、冷却手段11の冷却能力を変更し、TC を一
定に保ち従来技術のように過冷却とならないように、可
変混合バルブ3の混合比を変更し、すなわち冷却用バル
ブ13を絞り、加熱用バルブ14を開ける。従って時刻
t4〜t5までは流量QA は徐々に増加し、QB は0ま
で徐々に減少し、時刻t5以降は時刻t5の値で一定と
なる。このときのQA の値は時刻t4以降主軸回転数N
3の必要冷却熱量を主軸部5へ供給して安定する油温T
3とする熱量に基づき、Q×(TA −TD )=Wの式か
ら求められる値となる。
【0019】なお、バイパス回路17の途中にヒータな
どの加熱手段を介在させて、高速から低速へ変速した場
合の応答を更に速くすることも可能である。また、本実
施例では、可変混合バルブの混合比を図4(C)に示す
ような予め記憶手段に記憶したデータによって調節制御
したが、制御手段9によって温度TD と温度TE との差
が所定値になるようなフィードバックコントロールによ
って調節制御するようにしても良い。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の工作機械
の潤滑油温度制御方法および装置によれば、遅れによる
冷却不足、または過冷却もなく常時適切な温度の潤滑油
を主軸部へ供給することができるので主軸の熱変位をな
くし、すなわち主軸が加熱または過冷されることなく、
ひいては加工精度が向上する。また、本発明の工作機械
の潤滑油温度制御方法および装置によれば、最大発熱量
と同容量の冷却装置を用意すればよく、冷却遅れのため
に冷却不足の分だけ過冷却する必要がなくなるから最大
発熱量よりも大容量の冷却装置を設ける必要がなくな
り、経済的かつ冷却エネルギーの無駄がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る工作機械の潤滑油温度制
御装置の基本構成図である。
【図2】主軸回転数を切り換えるときの油温制御の処理
を示すフローチャート(1)である。
【図3】主軸回転数を切り換えるときの油温制御の処理
を示すフローチャート(2)である。
【図4】対照表を示す図であり、(A)は主軸回転数に
対応する必要冷却熱量、(B)は変速前後の主軸回転数
差に対応する冷却熱量変更所要時間、および(C)は主
軸部へ供給する油温TC と冷却手段の吐出油温TA との
差の絶対値に対応する可変混合バルブの開度、をそれぞ
れ示す図である。
【図5】(A)は主軸回転数、(B)は各部の潤滑油温
度、(C)は流量の時間的変化を示すタイムチャートを
それぞれ示す図である。
【符号の説明】
3…可変混合バルブ 5…主軸部 7…記憶手段 9…制御手段 10…NC装置 11…冷却手段 13…冷却用バルブ 14…加熱用バルブ 15…冷却回路 17…バイパス回路 21,22,23,24,25…温度センサ 27,28…流量計 30…ポンプ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却手段で冷却された潤滑油を工作機械
    の主軸部に循環して主軸温度を所定値に維持する工作機
    械の潤滑油温度制御方法において、 主軸回転数に対応した必要冷却熱量を予め記憶し、 前記工作機械の加工プログラムを先読みして主軸回転数
    が低速から高速に変速されることを検知し、 主軸回転数の変速に先立って次の高速の主軸回転数に対
    応した必要冷却熱量の潤滑油を前記冷却手段から吐出
    し、 主軸回転数の変速が実行されるまでは、前記主軸部から
    の戻り潤滑油の一部をそのまま前記冷却手段から吐出さ
    れる潤滑油と混合させ、現主軸回転数に対応した必要冷
    却熱量の潤滑油が前記主軸部に供給されるようその混合
    比を調節し、 主軸回転数の変速後は前記混合をやめて、前記冷却手段
    から吐出される潤滑油のみを即座に前記主軸部へ供給す
    るようにしたことを特徴とする工作機械の潤滑油温度制
    御方法。
  2. 【請求項2】 冷却手段で冷却された潤滑油を工作機械
    の主軸部に循環して主軸温度を所定値に維持する工作機
    械の潤滑油温度制御装置において、 前記主軸部からの潤滑油の戻り管路を2叉に分け、前記
    冷却手段と並列に設けた潤滑油のバイパス回路と、 前記冷却手段から吐出される潤滑油と前記バイパス回路
    からの潤滑油とを混合させて前記主軸部へ供給する可変
    混合バルブと、 主軸回転数に対応する必要冷却熱量、および前記冷却手
    段で潤滑油の冷却熱量を増加させるのに必要な冷却熱量
    変更所要時間を予め記憶する記憶手段と、 前記工作機械の加工プログラムを先読みして主軸回転数
    が低速から高速に変速されることを検知した場合、前記
    記憶手段から次の高速の主軸回転数に対応した必要冷却
    熱量とその冷却熱量変更所要時間を求め、主軸回転数の
    変速に先立って前記冷却手段の必要冷却熱量を前記求め
    た値に変更するとともに、主軸回転数が変速されるまで
    は現主軸回転数に対応した必要冷却熱量の潤滑油が前記
    主軸部に供給されるよう前記可変混合バルブの混合比を
    調節し、主軸回転数の変速後は前記可変混合バルブによ
    る混合をやめて、前記冷却手段から吐出される潤滑油の
    みを即座に前記主軸部へ供給するようにした制御手段
    と、を具備したことを特徴とする工作機械の潤滑油温度
    制御装置。
JP05190307A 1993-07-30 1993-07-30 工作機械の潤滑油温度制御方法および装置 Expired - Lifetime JP3119768B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05190307A JP3119768B2 (ja) 1993-07-30 1993-07-30 工作機械の潤滑油温度制御方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP05190307A JP3119768B2 (ja) 1993-07-30 1993-07-30 工作機械の潤滑油温度制御方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0740184A JPH0740184A (ja) 1995-02-10
JP3119768B2 true JP3119768B2 (ja) 2000-12-25

Family

ID=16255988

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP05190307A Expired - Lifetime JP3119768B2 (ja) 1993-07-30 1993-07-30 工作機械の潤滑油温度制御方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3119768B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100688961B1 (ko) * 2000-12-30 2007-03-09 두산인프라코어 주식회사 공작기계 주축의 냉각장치 및 방법
JP6490015B2 (ja) * 2016-01-14 2019-03-27 ファナック株式会社 機械の冷却機構
CN108857570A (zh) * 2018-07-17 2018-11-23 珠海格力电器股份有限公司 油冷机组系统及其控制方法
JP7448650B2 (ja) * 2020-05-29 2024-03-12 ファナック株式会社 工作機械システム

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0740184A (ja) 1995-02-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100383709B1 (ko) 개선된 난방 및 냉방 시스템용 시동 제어
JP4786960B2 (ja) 工作機械の温度制御方法および装置
US6554196B2 (en) Temperature control device
JP5394913B2 (ja) 工作機械の冷却装置及び冷却方法
US5040379A (en) Temperature controller of liquid cooling system
JPH01119811A (ja) 熱エネルギー伝逹装置の始動温度制御方法とこの方法を実施するまための装置
CA2165673A1 (en) Method and arrangement for controlling heat transfer in ventilation apparatus or air conditioning apparatus
JP3119768B2 (ja) 工作機械の潤滑油温度制御方法および装置
TW201016379A (en) Control method of the high precision machine tool cooling system
CN101887275B (zh) 高精度温度控制方法
JP6474108B2 (ja) チラーの制御方法及び装置
CN114740913A (zh) 一种车用温控模块控制方法和装置
JP2001300834A (ja) 工作機械の温度制御方法及び装置
JP2008221361A (ja) 工作機械の温度制御装置
JPH02104994A (ja) 液体冷却装置の温度制御装置
JP2529905B2 (ja) 工作機械の温度制御方法
JP2006105437A (ja) 冷却システム用制御装置、及び冷却システム用制御システム
JP3225546B2 (ja) 液温制御装置
JPH0579458B2 (ja)
JP5307529B2 (ja) 内燃機関の駆動系性能試験における流体温度調整方法及び流体温度調整装置
JP3292763B2 (ja) 吸収冷凍機の制御方法及び装置
JP2001074318A (ja) 冷却装置の制御方法
JP4160861B2 (ja) 冷凍サイクル装置
JPH09136244A (ja) 工作機械の主軸温度制御方法及び装置
JPH03202250A (ja) 主軸冷却装置の油温調整方法及び装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081013

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081013

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091013

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091013

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101013

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111013

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111013

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121013

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121013

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131013

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term