JP3118499B2 - アリル基を除去する方法 - Google Patents

アリル基を除去する方法

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JP3118499B2 JP07018337A JP1833795A JP3118499B2 JP 3118499 B2 JP3118499 B2 JP 3118499B2 JP 07018337 A JP07018337 A JP 07018337A JP 1833795 A JP1833795 A JP 1833795A JP 3118499 B2 JP3118499 B2 JP 3118499B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルコールのO−アリ
ルエーテルを対応するアルコールに、アミノ基含有化合
物のN−アリル誘導体を対応するアミノ基含有化合物に
又はオキシムのN−アリル誘導体を対応するオキシムに
変換する改良された化学的方法に関する。本発明の方法
は、パラジウム触媒の存在下、反応不活性溶剤中、アル
コールのO−アリルエーテル、アミノ基含有化合物のN
−アリル誘導体又はオキシムのN−アリル誘導体を、ス
ルフィン酸化合物と接触させる工程を含んでいる。
【0002】従って、本発明は、アリル基がヒドロキシ
ル基(オキシム中の−OHも含む)又はアミノ基を保護
するために用いられている場合に、その保護基を除去す
るのに有用である。さらに、本発明の方法は、緩やかな
条件下に実施できるので、処理されるヒドロキシル基又
はアミノ基含有化合物中の感受性の高い官能基に悪影響
を与えることなく、O−アリル基及びN−アリル基の脱
保護を行なうことができる。
【0003】
【従来の技術】O−アリルエーテルやアミノ基のN−ア
リル誘導体は求核反応や求電子反応に対して一般的に安
定である。従って、ヒドロキシル基をO−アリルエーテ
ルとして、またアミノ基をN−アリル誘導体として保護
することは、種々の生理活性化合物合成において非常に
役立つと考えられている。ところが、アリル基による保
護は頻繁には用いられていない。なぜならば、アリル基
の脱保護、すなわちアリル基をO−アリルエーテルやN
−アリル誘導体等から除去することが他の官能基に影響
を与えないような緩和な条件下では行えなかったからで
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特公平02−2625
42(米国特許第409100019号)は、パラジウ
ム又は銅化合物よりなる触媒の存在下、N−アリルアニ
リンにおけるアリル基を除去する方法を開示している。
このプロセスにおいては、アリル基を除去する際、厳し
い反応条件下で行わなければならなかった。
【0005】従って、O−アリルエーテル及びN−アリ
ル誘導体のようにアリル基を有する化合物からアリル基
を、緩和な条件下において、処理される化合物に結合し
ている他の官能基に悪影響を与えることなく、高収率且
つ、高い化学選択性をもって、除去できる方法が望まれ
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルコールの
O−アリルエーテルを対応するアルコールに、アミノ基
含有化合物のN−アリル誘導体を対応するアミノ基含有
化合物に又はオキシムのN−アリル誘導体を対応するオ
キシムに変換する方法であって、パラジウム触媒の存在
下、反応不活性溶剤中、アルコールのO−アリルエーテ
ル、アミノ基含有化合物のN−アリル誘導体又はオキシ
ムのO−アリル誘導体を、スルフィン酸化合物と接触さ
せることを特徴とする方法を提供する。以下、本発明を
詳細に説明する。
【0007】本発明は、処理されるアルコールのO−ア
リルエーテル、アミノ基含有化合物のN−アリル誘導体
又はオキシムのO−アリル誘導体からアリル基を除去す
るために、脱保護剤として、スルフィン酸化合物を使用
することを特徴とする。本発明において使用できるスル
フィン酸化合物は、脂肪族、脂環式、芳香族及び複素環
式スルフィン酸化合物並びにその塩を含む。
【0008】好ましいスルフィン酸化合物は、一般式: X−SO2M ・・・ (I) (式中、XはC120アルキル、置換C120アルキル
(置換基は独立にハロ、ニトロ、スルホ、オキソ、アミ
ノ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ又はそれらから誘
導される基である)、フェニル又は置換フェニル(置換
基は独立にC13アルキル、ハロ、ニトロ、スルホ、オ
キソ、アミノ、シアノ、カルボキシ又はそれらの基から
誘導される基である)であり;そしてMは水素、アルカ
リ金属又はアンモニウム塩残基である)で表わされる化
合物である。「ハロ、ニトロ、スルホ、オキソ、アミ
ノ、シアノ、カルボキシ又はヒドロキシから誘導される
基」とは、これらの基と、反応性を有する基を持つ化合
物との反応によって容易に形成されるものをいう(例え
ば、カルボキシル基の場合はエステル残基、ヒドロキシ
ル基の場合はエーテル残基、アミノ基の場合はアミド残
基)。
【0009】より好ましいスルフィン酸化合物は、一般
式(I)において、XがC110アルキル、置換C110
アルキル(置換基は独立にハロ又はヒドロキシであ
る)、フェニル又は置換フェニル(置換基は独立にC1
〜3アルキル又はハロである)、好ましくは一置換又は
二置換フェニルであり;そしてMが水素、アルカリ金属
又はアンモニウム塩残基である、化合物である。
【0010】特に好ましいスルフィン酸化合物は、経済
的に一置換又は二置換フェニルスルフィン酸化合物であ
って、一般式(I)において、Xがフェニル又はメチル
フェニルであり;Mがリチウム、ナトリウムもしくはカ
リウム等のアルカリ金属、又はアンモニウム塩残基(ア
ンモニア、第1アミン、第2アミン、第3アミン又は第
4アンモニウム塩残基から成る)である、化合物であ
る。
【0011】また、好ましい一般式(I)のスルフィン
酸化合物としては、C120(好ましくはC110)ア
ルキル置換スルフィン酸化合物、例えば、メチルスルフ
ィン酸、エチルスルフィン酸、イソブチルスルフィン
酸、オクチルスルフィン酸、ヘキサデシルスルフィン酸
及びそれらの塩が挙げられる。スルフィン酸に結合して
いるアルキル基は、それらが脱保護反応の妨げとならな
い限り、一又は二個の置換基(例えば、ハロ、ヒドロキ
シ)で置換されていてもよい。そのような化合物の例と
しては、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムが挙
げられる。
【0012】これらの化合物の中では、工学的に取得可
能という意味で最も好ましいのは、p−トルエンスルフ
ィン酸、p−トルエンスルフィン酸のリチウム塩、p−
トルエンスルフィン酸のナトリウム塩、p−トルエンス
ルフィン酸のカリウム塩、p−トルエンスルフィン酸の
アンモニウム塩、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスル
フィン酸のリチウム塩、ベンゼンスルフィン酸のナトリ
ウム塩、ベンゼンスルフィン酸のカリウム塩又はベンゼ
ンスルフィン酸のアンモニウム塩である。
【0013】本発明で用いられる脱保護剤は、処理され
るアルコールのO−アリルエーテル、アミノ基含有化合
物のN−アリル誘導体又はオキシムのN−アリル誘導体
のアリル基に対して、0.5〜5当量、好ましくは1.
0〜1.1当量用いられる。
【0014】ここで用いられる「アリル基」はアリル構
造を有し、本発明の方法によって除去できるいかなる基
をも意味する。ここで用いられる「アリル」は、2,3
位に炭素−炭素二重結合を有するアルキル基又は置換ア
ルキル基を意味する。「アリル基」の例としては、アリ
ル、メチルアリル、クロチル、クロロアリル、シンナミ
ル等が挙げられる。このようなアリル基は、ヒドロキシ
ル基又はアミノ基を保護するために用いられ、O−アリ
ルエーテル類又はN−アリルアミン化合物等として知ら
れている。またここで用いられる「ヒドロキシル基」
は、有機化合物中の−OH基を意味する。「ヒドロキシ
ル基」の例としては、アルコール中の−OH、フェノー
ル中の−OH、オキシム中の−OH、配糖体中の−OH
等が挙げられる。
【0015】本発明の方法により処理できるアルコール
のO−アリルエーテル、アミノ基含有化合物のN−アリ
ル誘導体又はオキシムのO−アリル誘導体は、ヒドロキ
シル基、アミノ基又はオキシムの−OH基がアリル基に
よって保護されているいかなる化合物でもよい。
【0016】好ましくは、前記O−アリルエーテルは、
例えばポリエーテル、マクロライド、オリゴ糖又は配糖
体のヒドロキシル基をアリル基で保護した化合物であ
り、特に3−O−アリル−1,2:5,6−ジ−O−イ
ソプロピリジン−α−D−グルコフラノースが挙げられ
る。又、前記オキシムのO−アリル誘導体は、例えばポ
リエーテル、マクロライド、オリゴ糖又は配糖体のヒド
ロキシル基をアリル基で保護した化合物であり、特に
(2aE,4E,8E)−(4’R,5’S,6S,
6’R,7S,11R,13S,15S,17aR,2
0aR,20bS)−6’−シクロヘキシル−4’,2
0b−ジヒドロキシ−20−(2−プロペニロキシイミ
ノ)−5’,6,8,19−テトラメチル−3’,
5’,6,6’,7,10,11,14,15,17
a,20,20a,20b−トリデカヒドロ−17−オ
キソスピロ[11,15−メタノ−2H,13H,17
H−フロ[4,3,2−pq][2,6]ベンゾジオキ
サシクロオクタデシン−13,2’−[2H]ピラン]
−7−イル=2、6−ジデオキシ−4−O−(2、6−
ジデオキシ−3−O−メチル−α−L−アラビノ−ヘキ
サピラノシル)−3−O−メチル−α−L−アラビノ−
ヘキサピラノシドが挙げられる。又、前記アミノ基含有
化合物のN−アリル誘導体は、例えばアルカロイド、ヌ
クレオシド又はペプチドのアミノ基をアリル基で保護し
た化合物であり、特にN−アリル−N−ペンチルフェニ
ルアミンが挙げられる。
【0017】本発明は、特に3−O−アリル−1,2:
5,6−ジ−O−イソプロピリジン−α−D−グルコフ
ラノースを、1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリジ
ン−α−D−グルコフラノースに、N−アリル−N−ペ
ンチルフェニルアミンをN−ペンチルフェニルアミンに
又は(2aE,4E,8E)−(4’R,5’S,6
S,6’R,7S,11R,13S,15S,17a
R,20aR,20bS)−6’−シクロヘキシル−
4’,20b−ジヒドロキシ−20−(2−プロペニロ
キシイミノ)−5’,6,8,19−テトラメチル−
3’,5’,6,6’,7,10,11,14,15,
17a,20,20a,20b−トリデカヒドロ−17
−オキソスピロ[11,15−メタノ−2H,13H,
17H−フロ[4,3,2−pq][2,6]ベンゾジ
オキサシクロオクタデシン−13,2’−[2H]ピラ
ン]−7−イル=2,6−ジデオキシ−4−O−(2,
6−ジデオキシ−3−O−メチル−α−L−アラビノ−
ヘキサピラノシル)−3−O−メチル−α−L−アラビ
ノ−ヘキサピラノシドを、(2aE,4E,8E)−
(4’R,5’S,6S,6’R,7S,11R,13
S,15S,17aR,20aR,20bS)−6’−
シクロヘキシル−4’,20b−ジヒドロキシ−20−
(ヒドロキシイミノ)−5’,6,8,19−テトラメ
チル−3’,5’,6,6’,7,10,11,14,
15、17a,20,20a,20b−トリデカヒドロ
−17−オキソスピロ[11,15−メタノ−2H,1
3H,17H−フロ[4,3,2−pq][2,6]ベ
ンゾジオキサシクロオクタデシン−13,2’−[2
H]ピラン]−7−イル=2,6−ジデオキシ−4−O
−(2,6−ジデオキシ)−3−O−メチル−α−L−
アラビノ−ヘキサピラノシル)−3−O−メチル−α−
L−アラビノ−ヘキサピラノシドに変換するのに好適で
ある。
【0018】本発明の実施において、アリル基の脱保護
反応は、パラジウム触媒の存在下に行なわれる。本発明
で使用できる好ましいパラジウム触媒は、アリル化合物
と反応して容易にπ−アリル錯体を形成するパラジウム
化合物である。さらに好ましいパラジウム触媒は、テト
ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、
ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム
(II)、ジクロロビス(トリイソプロポキシホスフィ
ン)パラジウム(II)等のホスフィン配位子を有する
もの又はパラジウム(II)ジアセテート等であり、ト
リフェニルホスフィン又はトリエチルホスファイト等と
共に通常用いられる(辻二郎, 「有機合成を変えた遷移
金属」, 化学同人,1991年参照)。パラジウム触媒
は、脱保護反応に十分な触媒活性を与えるような量用い
られ、一般的には、処理されるアルコールのO−アリル
エーテル、アミノ基含有化合物のN−アリル誘導体又は
オキシムのO−アリル誘導体に対して、0.1〜20モ
ル%、好ましくは2〜7モル%の量で用いられる。
【0019】脱保護反応は、適当な溶剤中で行なわれ
る。適当な溶剤としては、例えば、アルコール類(例え
ば、メタノール、エタノール)、水等のヒドロキシ基含
有溶剤;ハロゲン化アルキル化合物(例えば、ジクロロ
メタン、クロロホルム)、エステル類(例えば、酢酸メ
チル、酢酸エチル)、エーテル類(例えば、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン)、ニトリル類(例えば、
アセトニトリル、プロピオニトリル)、ケトン類(例え
ば、アセトン、メチルエチルケトン)、芳香族炭化水素
類(例えば、ベンゼン、トルエン)等のヒドロキシル基
を含有しない溶剤;それらの混合物が挙げられる。必要
に応じて、ヒドロキシル基を含有しない溶剤はヒドロキ
シル基含有溶剤と併用することができる。p−トルエン
スルフィン酸ナトリウム塩を用いる場合は、メタノール
又は水と、テトラヒドロフラン等を併用することができ
る。
【0020】脱保護反応は、非常に緩和な反応条件下で
行なうことができる。従って、本発明の方法は、多種の
官能基をもつ生理活性化合物合成する際に有用である。
【0021】脱保護反応の条件は、処理する化合物、使
用される脱保護剤、触媒、溶剤の種類等によって決定さ
れる。一般的には、脱保護反応は、−20℃〜100
℃、好ましくは、10℃〜40℃の温度で、1分〜18
時間、好ましくは5分〜6時間行なわれる。
【0022】次に、アリル基を除去する典型的な例を示
す。次の例は、例示的なものであって、本発明の範囲を
限定するものではない。
【0023】まず、処理されるアルコールのO−アリル
エーテル、アミノ基含有化合物のN−アリル誘導体又は
オキシムのO−アリル誘導体を、テトラヒドロフラン、
ジクロロメタン等の適当な溶剤にけん濁又は溶解させ
る。次にパラジウム触媒及びp−トルエンスルフィン酸
のような適当な脱保護剤を添加する。必要に応じてトリ
フェニルホスフィンなどを加える。反応混合物を、脱保
護に十分な時間及び適当な温度で攪拌し、反応を完結さ
せる。
【0024】本発明の方法における生成物が溶剤に難溶
性である場合、その生成物は、結晶として析出し、目的
とする化合物をろ過によって収集することができる。本
発明の方法における生成物が得られる反応混合物から析
出しにくい場合は、その生成物が溶けにくい他の溶剤を
加えて、その反応混合物と十分に混合し、結晶を析出さ
せる。他の方法としては、常套手段のシリカゲルカラム
クロマトグラフィーなどで精製する。
【0025】
【発明の効果】本発明の方法によれば、アルコールのO
−アリルエーテル類、アミノ基含有化合物のN−アリル
誘導体又はオキシムのN−アリル誘導体からアリル基
を、処理される化合物に結合している他の官能基に悪影
響を与えることなく、高収率且つ、高い化学選択性をも
って除去することができる。本発明の方法は、従来法と
比較して、より広い範囲の化合物を処理することができ
る。また、本発明で用いられる脱保護剤は一般的に廉価
であり、粗精製のN−アリル化合物を原料として使用す
る大規模生産には効果的に用いることができる。
【0027】
【実施例】本発明は、下記実施例を参照して、より詳細
に説明される。
【0028】調製例1:3−O−アリル−1,2:5,
6−ジ−O−イソプロピリジン−α−D−グルコフラノ
ースを以下の方法で調整した。ジメチルスルホキシド
(7.1ml)と水素化ナトリウム(355mg 60
%オイル、8.89mmol、n−ヘキサンで3回洗浄
後、真空乾燥)を室温において混合し、10分間攪拌し
た。1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリジン−α−
D−グルコフラノース(365mg、1.40mmo
l)を室温で、前記混合物へ添加した。この反応混合物
を10分間攪拌し、臭化アリル(1.13g、9.33
mmol)を添加した。その反応混合物を室温で2時間
攪拌し、水(10ml)へ注ぎ、エーテル(85ml)
で抽出した。その抽出物を水(10ml)で2回洗浄
し、硫酸マグネシウム上で乾燥、濾過を行い、真空乾燥
した。残査のシリカゲルクロマトグラフィー分離を行
い、3−O−アリル−1,2:5,6−ジ−O−イソプ
ロピリジン−α−D−グルコフラノース(415mg)
を無色オイルとして、99%の収率で得た。
【0029】調製例 2:N−アリル−N−ペンチルフ
ェニルアミンを以下の方法で調整した。N−アリルフェ
ニルアミン(1.95g、14.7mmol)とブロモ
ペンタン(2.22g、14.7 mmol)を温度8
0℃で16時間攪拌した。室温まで冷却後、混合物を水
酸化ナトリウム(714mg、17.9mmol)の水
溶液(1.5ml)で処理した後、30分間攪拌し、エ
ーテル(80ml)で抽出した。抽出物は炭酸カリウム
上で乾燥、濾過を行い、真空濃縮した。残査のシリカゲ
ルクロマトグラフフィー分離を行い、N−アリル−N−
ペンチルフェニルアミン(1.68g)を無色のオイル
として56%の収率で得た。
【0030】調整例 3:(2aE,4E,8E)−
(4’R,5’S,6S,6’R,7S,11R,13
S,15S,17aR,20aR,20bS)−6’−
シクロヘキシル−4’,20b−ジヒドロキシ−20−
(2−プロペニロキシイミノ)−5’,6、8、19−
テトラメチル−3’,5’,6,6’,7,10,1
1,14,15,17a,20,20a,20b−トリ
デカヒドロ−17−オキソスピロ[11,15−メタノ
−2H,13H,17H−フロ[4,3,2−pq]
[2,6]ベンゾジオキサシクロオクタデシン−13,
2’−[2H]ピラン]−7−イル=2,6−ジデオキ
シ−4−O−(2,6−ジデオキシ−3−O−メチル−
α−L−アラビノ−ヘキサピラノシル)−3−O−メチ
ル−α−L−アラビノ−ヘキサピラノシドを以下の方法
で調製した。(2aE,4E,8E)−(4’R,5’
S,6S,6’R,7S,11R,13S,15S,1
7aR,20R,20aR,20bS)−6’−シクロ
ヘキシル−5’,6,8,19−テトラメチル−3’,
5’,6,6’,7,10,11,14,15,17
a,20,20a,20b−トリデカヒドロ−4’,2
0,20b,−トリヒドロキシ−17−オキソスピロ
[11,15−メタノ−2H,13H,17H−フロ
[4,3,2−pq][2,6]ベンゾジオキサシクロ
オクタデシン−13,2’−[2H]ピラン]−7−イ
ル=2,6−ジデオキシ−4−O−(2、6−ジデオキ
シ−3−O−メチル−α−L−アラビノ−ヘキサピラノ
シル)−3−O−メチル−α−L−アラビノ−ヘキサピ
ラノシド(5.00g、5.47mmol)を塩化メチ
レン(70ml)に溶解させ、活性二酸化マンガン(1
7.5g、0.201mol)を加えた。15時間後及
び20時間後、活性二酸化マンガン(4.0g、46m
mol)をそれぞれ追加した。23時間後、反応液を濾
過し、二酸化マンガンを塩化メチレン(100ml)で
洗浄した。塩化メチレンの濾液と洗浄液を合わせて減圧
乾燥し、淡い黄色の白色の固体として20−オキソ体
(4.14g)を83%の収率で得た。上記で得られた
20−オキソ体(800mg、878μmol)をメタ
ノール(6ml)及びジオキサン(6ml)に溶解さ
せ、O−アリルヒドロキシアミン塩酸塩(580mg、
5、25mmol)の水溶液(6ml)を室温で滴下し
た。16時間室温で攪拌後、反応溶液を水(30ml)
中に注いだ。析出した白色固体を濾別し、水(15m
l)で洗浄した。得られた固体をシリカゲルクロマトグ
ラフィーで精製し、目的物(520mg)を白色固体と
して61%の収率で得た。
【0031】実施例 1: 3−O−アリル−1,2:5,6−ジ−O−イソプロピ
リジン−α−D−グルコフラノースからアリル基を除去 p−トルエンスルフィン酸(78.5mg、0.503
mmol)を室温で、3−O−アリル−1,2:5,6
−ジ−O−イソプロピリジン−α−D−グルコフラノー
ス(136mg、0.452mmol)とテトラキス
(トリフェニルホスフィン)パラジウム(36.6m
g、31.7μmol)のジクロロメタン溶液(4.5
ml)に添加した。この反応混合物を室温で25分間攪
拌し、トリエチルアミン(13μl、90μmol)を
加えた。その混合物のシリカゲルクロマトグラフフィー
分離を行い、1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリジ
ン−α−D−グルコフラノース(117mg)を固体と
して収率99%で得た。
【0032】実施例 2: N−アリル−N−フェニルアミンからアリル基を除去 p−トルエンスルフィン酸(188ml、1.20mm
ol)を室温でN−アリル−N−ペンチルフェニルアミ
ン(221mg、1.08mmol)とテトラキス(ト
リフェニルフォスフィン)パラジウム(87.8mg、
75.9μmol)のジクロロメタン溶液(11ml)
に添加した。反応混合物を室温で60分間攪拌し、炭酸
水素ナトリウムの飽和水溶液(6.8ml)を加えた。
5分間攪拌し、混合物をエーテル(80ml)で抽出し
た。残りを硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過、真空濃
縮を行った。その混合物のシリカゲルクロマトグラフィ
ー分離を行い、N−ペンチルフェニルアミン(164m
g)を無色のオイルとして収率93%で得た。
【0033】実施例 3: 調製例3で得た目的物からアリル基を除去 調整例3で得られた(2aE,4E,8E)−(4’
R,5’S,6S,6’R,7S,11R,13S,1
5S,17aR,20aR,20bS)−6’−シクロ
ヘキシル−4’,20b−ジヒドロキシ−20−(2−
プロペニロキシイミノ)−5’,6,8,19−テトラ
メチル−3’,5’,6,6’,7,10,11,1
4,15,17a,20,20a,20b−トリデカヒ
ドロ−17−オキソスピロ[11,15−メタノ−2
H,13H,17H−フロ[4,3,2−pq][2,
6]ベンゾジオキサシクロオクタデシン−13,2’−
[2H]ピラン]−7−イル=2,6−ジデオキシ−4
−O−(2,6−ジデオキシン−3−O−メチル−α−
L−アラビノ−ヘキサピラノシル)−3−O−メチル−
α−L−アラビノ−ヘキサピラノシド(53.0mg、
54.0μmol)及びトルエンスルフィン酸(14.
9mg、95.4μmol)をクロロホルム(550μ
l)に溶解させ、テトラキス(トリフェニルホスフィ
ン)パラジウム(6.6mg、5.7μmol)を添加
した。室温で1時間攪拌後、反応溶液のシリカゲルクロ
マトグラフィーを行い、(2aE,4E,8E)−
(4’R,5’S,6S,6’R,7S,11R,13
S,15S,17aR,20aR,20bS)−6’−
シクロヘキシル−4’,20b−ジヒドロキシ−20−
(ヒドロキシイミノ)−5’,6,8,19−テトラメ
チル−3’,5’,6,6’,7,10,11,14,
15,17a,20,20a,20b−トリデカヒドロ
−17−オキソスピロ[11,15−メタノ−2H,1
3H,17H−フロ[4,3,2−pq][2,6]ベ
ンゾジオキサシクロオクタデシン−13,2’−[2
H]ピラン]−7−イル=2,6−ジデオキシ−4−O
−(2,6−ジデオキシ−3−O−メチル−α−L−ア
ラビノ−ヘキサピラノシル)−3−O−メチル−α−L
−アラビノ−ヘキサピラノシド(44.7mg)を89
%の収率で得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07H 17/08 C07H 17/08 Z 19/06 19/06 19/16 19/16 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (56)参考文献 特開 平2−262542(JP,A) 特開 平6−220054(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07B 51/00 CA(STN)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルコールのO−アリルエーテルを対応す
    るアルコールに、アミノ基含有化合物のN−アリル誘導
    体を対応するアミノ基含有化合物に又はオキシムのN−
    アリル誘導体を対応するオキシムに変換する方法であっ
    て、パラジウム触媒の存在下、反応不活性溶剤中、アル
    コールのO−アリルエーテル、アミノ基含有化合物のN
    −アリル誘導体又はオキシムのO−アリル誘導体を、ス
    ルフィン酸化合物と接触させることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】前記スルフィン酸化合物が、一般式: X−SO2M ・・・ (I) (式中、XはC120アルキル、置換C120アルキル
    (置換基は独立にハロ、ニトロ、スルホ、オキソ、アミ
    ノ、シアノ、カルボキシ、ヒドロキシ又はそれから誘導
    される基である)、フェニル、又は置換フェニル(置換
    基は独立にC13アルキル、ハロ、ニトロ、スルホ、オ
    キソ、アミノ、シアノ、カルボキシ又はそれらの基から
    誘導される基である)であり;そしてMは水素、アルカ
    リ金属又はアンモニウム塩残基である)で表わされる、
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】前記パラジウム触媒がアリル化合物と反応
    して容易にπ−アリル錯体を形成することができるパラ
    ジウム化合物である、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】前記パラジウム触媒がテトラキス(トリフ
    ェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス
    (トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジク
    ロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジク
    ロロビス(トリイソプロポキシホスフィン)パラジウム
    (II)又はパラジウム(II)ジアセテートである、
    請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】Xがフェニル又はメチルフェニル;そして
    Mがリチウム、ナトリウム、カリウム、又はアンモニウ
    ム塩残基である、請求項2記載の方法。
  6. 【請求項6】前記スルフィン酸化合物が、p−トルエン
    スルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸のリチウム
    塩、p−トルエンスルフィン酸のナトリウム塩、p−ト
    ルエンスルフィン酸のカリウム塩、p−トルエンスルフ
    ィン酸のアンモニウム塩、ベンゼンスルフィン酸、ベン
    ゼンスルフィン酸のリチウム塩、ベンゼンスルフィン酸
    のナトリウム塩、ベンゼンスルフィン酸のカリウム塩又
    はベンゼンスルフィン酸のアンモニウム塩である、請求
    項5記載の方法。
  7. 【請求項7】前記溶剤がアルコール類、ハロゲン化アル
    キル化合物、エステル類、エーテル類、ニトリル類、ケ
    トン類、芳香族炭化水素類、水及びそれらの混合物から
    選ばれる、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】反応が−20℃〜100℃の温度で行なわ
    れる、請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】反応が10℃〜40℃の温度で行なわれ
    る、請求項8記載の方法。
  10. 【請求項10】前記アルコールのO−アリルエーテルが
    ポリエーテル、マクロライド、オリゴ糖又は配糖体のO
    −アリルエーテルである、請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】前記アミノ基含有化合物のN−アリル誘
    導体がアルカロイド、ヌクレオシド又はペプチドのN−
    アリル誘導体である、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】前記オキシムのO−アリル誘導体がポリ
    エーテル、マクロライド、オリゴ糖又は配糖体のO−ア
    リル誘導体である、請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】3−O−アリル−1,2:5,6−ジ−
    O−イソプロピリジン−α−D−グルコフラノースを、
    1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリジン−α−D−
    グルコフラノースに、N−アリル−N−ペンチルフェニ
    ルアミンをN−ペンチルフェニルアミンに又は(2a
    E,4E,8E)−(4’R,5’S,6S,6’R,
    7S,11R,13S,15S,17aR,20aR,
    20bS)−6’−シクロヘキシル−4’−20b−ジ
    ヒドロキシ−20−(2−プロペニロキシイミノ)−
    5’,6,8,19−テトラメチル−3’,5’,6,
    6’7,10,11,14,15,17a,20,20
    a,20b−トリデカヒドロ−17−オキソスピロ[1
    1,15−メタノ−2H,13H,17H−フロ[4、
    3、2−pq][2,6]ベンゾジオキサシクロオクタ
    デシン−13,2’−[2H]ピラン]−7−イル=
    2,6−ジデオキシ−4−O−(2,6−ジデオキシ−
    3−O−メチル−α−L−アラビノ−ヘキサピラノシ
    ル)−3−O−メチル−α−L−アラビノ−ヘキサピラ
    ノシドを、(2aE、4E、8E)−(4’R,5’
    S,6S,6’R,7S,11R,13S,15S,1
    7aR,20aR,20bS)−6’−シクロヘキシル
    −4’,20b−ジヒドロキシ−20−(ヒドロキシイ
    ミノ)−5’,6,8,19−テトラメチル−3’,
    5’,6,6’,7,10,11,14,15,17
    a,20,20a,20b−トリデカヒドロ−17−オ
    キソスピロ[11,15−メタノ−2H,13H,17
    H−フロ[4、3、2−pq][2,6]ベンゾジオキ
    サシクロオクタデシン−13,2’−[2H]ピラン]
    −7−イル=2,6−ジデオキシ−4−O−(2,6−
    ジデオキシ−3−O−メチル−α−L−アラビノ−ヘキ
    サピラノシル)−3−O−メチル−α−L−アラビノ−
    ヘキサピラノシドに変換する請求項1記載の方法
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