JP3117880B2 - 同期モータのベクトル制御における弱め界磁制御方法 - Google Patents

同期モータのベクトル制御における弱め界磁制御方法

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JP3117880B2
JP3117880B2 JP06222847A JP22284794A JP3117880B2 JP 3117880 B2 JP3117880 B2 JP 3117880B2 JP 06222847 A JP06222847 A JP 06222847A JP 22284794 A JP22284794 A JP 22284794A JP 3117880 B2 JP3117880 B2 JP 3117880B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば電気自動車の
動力源となる同期モータを制御する同期モータのベクト
ル制御における弱め界磁制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ベクトル制御理論の確立により、通常は
効率よく制御するために、d軸電流(以下、Id 電流と
記す)を零にする制御が一般的に用いられている。
【0003】最近は、同期モータの高速域回転制御を目
的として、Id 電流を積極的に利用し、Id 電流を流す
ことで、同期モータの有効磁束を弱め、高速域回転を可
能とする弱め界磁制御が、紹介され始めている。
【0004】本件発明者は、電気自動車の駆動モータと
して、同期モータを使用し、Id 電流を積極的に流すこ
とで、同期モータの高速回転制御を行うことを提案し
た。
【0005】図1に電気自動車の概略構成図を示す。
図1において、51は自動車の車体、52は前輪、5
3は後輪、54は同期モータ、55はトランスミッショ
ン、56はバッテリである。57はコントローラでアク
セル信号とブレーキ信号が入力される。この電気自動車
は、バッテリ56をエネルギー源として同期モータ54
が運転され、同期モータ54の駆動力がトランスミッシ
ョン55を介して後輪53に伝達される。同期モータ5
4の制御はコントローラ57により行われる。
【0006】電気自動車として、d軸電流を制御するこ
とで得られる効果として、以下のようなことがあげられ
る。
【0007】同期モータがある回転数までしか上がらな
いとする(例えば、5000rpm)。車速が高速にな
ると、同期モータの回転数も車輪に連動して高速にしな
ければならないが、同期モータの回転数が5000rp
mに達すると、それ以上回転数が上がらないので、さら
に速度を高めるためには、トランスミッションを利用し
て増速させることで対応している。
【0008】しかし、今回提案したd軸電流制御(弱め
界磁制御)を行うと、図1に示すように、弱め界磁制
御しなければ5000rpmまでしか回らない(実線A
1 同期モータを、例えば弱め界磁制御することで10
000rpmまで回転可能となり(実線A2 )、電気自
動車として、トランスミッションなしの車を提供できる
ことが期待できる。なお、図1において、TT1 ,T
1 /2はモータ停止時のトルクを示している。
【0009】また、トランスミッションがなくなった
分、コストダウン、さらには重量軽減の効果が生じ、効
率が良くなるという効果が期待できる。
【0010】そして、制御を適切に行えば、効率良く制
御でき、限られたエネルギー(バッテリー)で効率が良
いということで、航続距離が延びる等の効果が期待でき
る。
【0011】なお、モータ特性として10000rpm
まで回転可能な同期モータを作ったとすれば、同期モー
タが大きくなり、重量も大きく増加することになり、こ
のような構成は電気自動車には採用できない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、弱め界
磁制御を具体的に実現する手段についてはほとんど公表
されていない。
【0013】したがって、この発明の目的は、弱め界磁
を行って効率良く同期モータを制御することができる
期モータのベクトル制御における弱め界磁制御方法を提
供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の同期モー
タのベクトル制御における弱め界磁制御方法は、制御対
象となる同期モータにおける速度−トルク特性を弱め電
流を流さない状態と1つのレベルまたは複数の異なるレ
ベルで弱め電流を流す状態とでそれぞれ求めるステップ
と、前記同期モータに対する速度指令と前記同期モータ
の現在の速度の偏差から第1のトルク指令電流を演算に
より求めるステップと、現在の速度で発生するトルクを
前記速度−トルク特性上で弱め電流を流さない状態と1
つのレベルまたは複数の異なるレベルで弱め電流を流す
状態とでそれぞれ求めるステップと、前ステップで求め
たトルクと前記各速度−トルク特性のトルク定数とから
前記各トルクに対応したトルク電流を算出するステップ
と、前記同期モータに対する速度指令と前記同期モータ
の現在の速度の偏差から求めた第1のトルク指令電流と
前記各トルクに対応したトルク電流とを比較し、前記第
1のトルク指令電流が前記各トルクに対応したトルク電
流のどの範囲にあるかに応じて第2のトルク指令電流お
よび弱め電流を決定し出力するステップとを含む。
【0015】請求項2記載の同期モータのベクトル制御
における弱め界磁制御方法は、制御対象となる同期モー
タに対する速度指令と前記同期モータの現在の速度の偏
差からトルク指令電流を演算により求めるステップと、
弱め電流を流さない状態で現在の速度で前記トルク指令
電流を設定したときに同期モータの各部の電圧ベクトル
の和が前記同期モータへの印加電圧で決まる制限円内に
入っているかどうかを判定するステップと、前記同期
ータの各部の電圧ベクトルの和が前記同期モータへの印
加電圧で決まる制限円内に入っていないときに、前記
モータの各部の電圧ベクトルの和が前記同期モータへ
の印加電圧で決まる制限円内に入り、かつトルク電流が
前記速度の偏差から求まる指令トルク電流に対し弱め率
を乗じた値に等しくなるようにするという条件で弱め率
を適宜変更しながら弱め電流とトルク電流とを決定する
ステップとを含む。
【0016】請求項記載の同期モータのベクトル制御
における弱め界磁制御方法は、請求項1または請求項2
同期モータのベクトル制御における弱め界磁制御方法
において、回生制動力を制御する同期モータのベクトル
制御における弱め界磁制御方法であって、同期モータの
現在の速度ω m と同期モータの速度−トルク特性におけ
る無負荷回転数ω 1 より弱め率nを n=ω m /ω 1 ,1<n にしたがって算出するステップと、 前記弱め率nと前記
同期モータの有効磁束を完全に打ち消すことができる弱
め電流値I dFW から弱め電流I d d =(1−1/n)I dFW にしたがって算出するステップと、 前記弱め電流I d
スイッチング素子の上限電流I max と等しいときにトル
ク電流I q を零とし、前記弱め電流I d がスイッチング
素子の上限電流I max より小さいときに前記スイッチン
グ素子の上限電流I max よりトルク電流I q の最大値I
qmax1 qmax1 =√(I max 2 −I d 2 で算出するステップと、 バッテリへの充電電流の最大値
をI Bmax としたときに、トルク電流I q の最大値I
qmax1 と前記充電電流の最大値I Bmax を比較し、トルク
電流I q の最大値I qmax qmax1 ≧I Bmax のときは、I qmax =I Bmax qmax1 <I Bmax のときは、I qmax =I qmax1 にしたがって算出するステップと、 速度偏差からトルク
指令電流I * q0 を算出し、このトルク指令電流I * q0
前記弱め率nとでトルク電流I * q * q =n×I * q0 にしたがって算出するステップと、 |I * q |≦I qmax
のときはトルク電流をI * q とし、|I * q |>I qmax
のときはトルク電流を−I qmax とし、トルク電流がI *
q または−I qmax で、弱め電流I d d =(1−1/n)I dFW で過回生の状態が回避されるまで出力をする ステップと
を含む。
【0017】
【作用】請求項1の構成によれば、予め1または複数種
弱め電流を設定しておき、同期モータに対する速度指令
同期モータの現在の速度の偏差から求めた第1のトル
ク指令電流と各トルクに対応したトルク電流とを比較
し、第1のトルク指令電流が各トルクに対応したトルク
電流のどの範囲にあるかに応じて第2のトルク指令電流
および弱め電流を決定し出力する。この結果、簡単かつ
効率よく第2のトルク指令電流および弱め電流を決定す
ることができる。
【0018】請求項2の構成によれば、同期モータの各
部の電圧ベクトルの和が同期モータへの印加電圧で決ま
る制限円内に入り、かつトルク電流が速度の偏差から求
まる指令トルク電流に対し弱め率を乗じた値に等しくな
るようにするという条件で弱め率を適宜変更しながら弱
め電流とトルク電流とを決定する。この結果、少ない弱
め電流で最大トルクを発生することができ、最大効率制
御が可能である。
【0019】 請求項記載の構成によれば、同期モータ
が過回転状態になったときに、適正な弱め電流とトルク
電流を算出して同期モータを制御することで、過回転に
よる過回生が防がれる。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照しなが
ら説明する。
【0021】〔第1の実施例〕 この発明の第1の実施例の同期モータのベクトル制御に
おける弱め界磁制御方法を図1および図2に基づいて説
明する。
【0022】図1は、この発明の第1の実施例の同期モ
ータのベクトル制御における弱め界磁制御方法における
同期モータの弱め電流(弱め界磁電流)を決定するアル
ゴリズムを説明するための速度−トルク特性図である。
図1において、1は弱め電流を流さないとき(Id
0)、つまりバッテリ電圧とモータ定数で決まる特性図
で、そのときの同期モータのトルク定数をKT1、無負荷
回転数をω1 とする。2は弱め電流Id1を流したとき
(Id =Id1)の特性図で、そのときの同期モータのト
ルク定数をKT2、無負荷回転数をω2 とする。3は特性
図2と同様、弱め電流Id2(Id =Id2)を流したとき
の特性図で、そのときのトルク定数をKT3、無負荷回転
数をω3 とする。
【0023】以下に、同期モータの弱め電流を決定する
アルゴリズムについて説明する。
【0024】まず、速度指令ω* と現在の速度ωの偏差
から、トルク指令電流I* q0を演算により求める。
【0025】このトルク指令電流I* q0の大きさは、図
1中のi* q0となり、また図中の点線は、速度ゲインの
大きさで決まる傾きを有する。なお、図中では、説明を
わかりやすくするために、直線で近似している。
【0026】つぎに、現在の速度で発生するトルクを特
性図1,2,3より求める。図1より、特性図1のとき
のトルクはT1 、特性図2のときのトルクはT2 、特性
図3のときのトルクはT3 となる。
【0027】トルク定数Kt とトルクTとトルク電流i
との関係は、〔数1〕で与えられるので、各特性図1,
2,3のトルク定数KT1〜KT3とそのときのトルクT1
〜T3 とから、必要なトルク電流Iq1〜Iq3を〔数2〕
を用いて算出する。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】そして、上記速度の偏差から求められたト
ルク指令電流I* q0と、現在の速度で発生することので
きるトルク電流Iq1〜Iq3の大きさとを比較して下記の
条件に従って弱め電流I* d およびトルク指令電流I*
q を決定し、出力する。
【0031】 I* q0≦Iq1 トルク指令電流:I* q =I* q0 弱め電流 :I* d =0 Iq1<I* q0≦Iq2 トルク指令電流:I* q =I* q0×(ω2 /ω1 ) 弱め電流 :I* d =Id1q2<I* q0 トルク指令電流:I* q =I* q0×(ω3 /ω1 ) 弱め電流 :I* d =Id2 なお、弱め電流Id1,Id2は、同期モータの定数および
弱め率より予め〔数3〕を用いて算出する。
【0032】
【数3】
【0033】ただし、n0 :弱め率(=ω2 /ω1 ) n1 :弱め率(=ω3 /ω1 ) L :同期モータのインダクタンス ψ :同期モータの有効磁束 また、速度の偏差より求められたトルク指令電流I* q0
と、現在の速度で発生するトルクを出すために必要なト
ルク電流Iq1,Iq2,Iq3との大小判定を行う際、トル
ク指令電流I* q および弱め電流I* d がチャタリング
するのを防止するために、電流Iq1,Iq2,Iq3にヒス
テリシスを設けることが好ましい。さらに、ヒステリシ
スの幅は、電流Iq1,Iq2,Iq3と個別に設定できるよ
うにするのがよい。
【0034】なお、上記説明では、弱め電流を2パター
ン流すことを前提に説明を進めたが、同期モータのスム
ーズな回転を得るために弱め電流値をさらに増やして
も、上記アルゴリズムで同様に制御できることはいうま
でもない。
【0035】以上に述べたアルゴリズムで、弱め電流I
d (トルク電流Iq も)を決定する。
【0036】つぎに、スイッチング素子により、同期
ータの最大電流値Imax が制約されているため、トルク
電流Iq の上限が次式で制約される。つまり、
【0037】
【数4】
【0038】より、
【0039】
【数5】
【0040】となる。したがって、同期モータの速度−
トルク特性は、上記のトルク電流Iqの制限を付加する
と、図2に示すように階段状の特性となる。図2におい
て、B1 点はImax =Iq に対応したトルクの位置、B
2 点はImax 2 =Id1 2 +Iq 2 を満たすIq に対応し
たトルクの位置、B3 点はImax 2 =Id2 2 +Iq 2
満たすIq に対応したトルクの位置である。
【0041】以上のアルゴリズムをフローチャートに示
すと、図3のようになる。
【0042】ここで、弱め電流のパターンが多くなるほ
ど、スムーズな回転が得られることは、図2より明らか
である。この実施例の同期モータのベクトル制御におけ
る弱め界磁制御方法によれば、簡易な方式で弱め電流を
決定でき、効率良く同期モータを制御できる。
【0043】〔第2の実施例〕 この発明の第2の実施例の同期モータのベクトル制御に
おける弱め界磁制御方法を図4ないし図8に基づいて説
明する。
【0044】図4は、この発明の第2の実施例の同期モ
ータのベクトル制御における弱め界磁制御方法における
同期モータの弱め電流(弱め界磁電流)を決定するアル
ゴリズムを説明するためのベクトル図であり、トルク電
流Iq と弱め電流Id を流して同期モータが回転してい
るときの同期モータの各部の電圧のベクトル図である。
図4において、Kt 同期モータのトルク定数、Lq
同期モータのq軸インダクタンス、Ld 同期モータの
d軸インダクタンス、Rは同期モータの抵抗、Pは極対
数、ωm は現在の速度、Vは同期モータへの印加電圧で
ある。
【0045】また、同図において、Kt ・ωm は、ωm
の速度で回転しているときに同期モータが発生する誘起
電圧である。Iq ・Rは、トルク電流Iq 同期モータ
の抵抗分に流れたときに発生する電圧である。ωLq
q は、ωm の速度で回転しているときにq軸インダク
タンスに発生する電圧である。Id ・Rは、弱め電流I
d 同期モータの抵抗分に流れたときに発生する電圧で
ある。ωLd ・Id は、ωm の速度で回転しているとき
にd軸インダクタンスに発生する電圧である。
【0046】ここで、d軸電流は、q軸より90°位相
を進ませている。
【0047】つぎに、弱め界磁制御について、図5を参
照しながら説明する。図5(a)に示すように、回転速
度ωを上げていくと、誘起電圧ωm ・kt が大きくな
り、RIq やωLq q とベクトル加算した電圧値が、
電圧制限円となると、それ以上回転速度を上げることは
できなくなる。
【0048】そこで、図5(b)に示すように、電圧制
限円の電圧に対し、電流Id を流すことで、電圧制限円
に戻る方向の電圧ωLd d を発生させ、電圧余裕を発
生させる。そして、図5(c)に示すように、発生した
電圧余裕分だけ電動機の回転速度を上昇させたり、速度
が一定の場合は、電圧余裕分のトルク電流を流すことに
より、大きなトルクを発生することができる。
【0049】ここで、電圧余裕を発生させる電流I
d は、電圧制限円に戻る最小値でよい。これは、最小値
以上に電流Id を与えると、電流Id を流すことで発生
する銅損により効率が下がるからである。
【0050】したがって、計算されたトルク指令電流と
回転速度とから、ベクトル加算した電圧値が電圧制限円
内にあるかチェックする。そして、電圧制限円内であれ
ば、電流Id を流す必要がない(電圧余裕あり)。逆に
電圧制限円を超えておれば、電流Id を流すことで、電
圧制限円内に戻さなければならない。
【0051】そのために、まず弱め率を設定し、電流I
d の大きさを決める。そして、電流Id の大きさを制限
する(マグネット減磁防止)ため、弱め率nでリミット
することで、電流Id を制限する。つぎに、計算された
電流Id とIq がスイッチングデバイスの電流上限値に
あるかチェックし、最後に電圧制限円内に戻っているか
をチェックすることで、電流Id の大きさを決定する。
【0052】以下に、d軸電流を求めるアルゴリズムに
ついて説明する。
【0053】(A) 今、トルク電流Iq ,弱め電流I
d で、回転速度ωm 同期モータが回転するためには、
図4において、前述した各発生電圧のベトクル和が同期
モータの印加電圧Vの制限円内になくてはならない。
【0054】(B) 指令速度ω* m と現在の速度ωm
の偏差から、トルク指令電流I* q0を算出する。
【0055】(C) 算出したトルク指令電流I* q0
基づいて、弱め電流を流すかどうかを判定する。まず、
【0056】
【数6】
【0057】を満たすときは、弱め電流I* d =0と
し、トルク電流I* q =I* q0とする。また、
【0058】
【数7】
【0059】を満たすときは、弱め電流を流す。
【0060】(D) 弱め電流I* d およびトルク電流
* q の決定は以下のようにして行う。
【0061】(D−1) まず、弱め電流I* d は、
【0062】
【数8】
【0063】で求める。ただし、ψは同期モータの有効
磁束(=Kt /P)であり、nは弱め率(n>1)であ
る。
【0064】(D−2) つぎに、トルク電流I
* q は、つぎのように求める。
【0065】モータ電流は、
【0066】
【数9】
【0067】で求まるが、スイッチング素子の上限よ
り、モータ電流をImax に制限する必要があるため、
【0068】
【数10】
【0069】の関係にあてはまることが必要となる。し
たがって、トルク電流I* q0は、上記の数式に適合する
値に変更し、同期モータに出力するトルク電流I* q
値が〔数11〕で算出される。
【0070】
【数11】
【0071】で求める。
【0072】(D−3) つぎに、電圧Vの制限円
((A)で説明)に入っているかどうかを〔数12〕に
より判定する。
【0073】
【数12】
【0074】(D−4) 〔数12〕を満足すれば、つ
ぎにトルク指令電流I* q0に相当する指令トルク値を確
保するかどうかを判定する。つまり、弱め電流を印加す
ることで、トルク定数が下がる。そこで、速度偏差によ
り求めた必要トルクを確保するためには、〔数11〕で
求まったトルク電流I * q に対し、〔数13〕を満足す
るかの判定を行う。
【0075】
【数13】
【0076】の処理を行い、条件を満たさないときは、
弱め率nを大きくしていき、全て条件を満たす弱め率n
を決定し、その弱め率nに基づいてI* q ,I* d を決
定する。
【0077】以上のアルゴリズムをフローチャートで示
すと図8に示すようになる。
【0078】すなわち、弱め率nを任意に与え、〔数
8〕、〔数11〕、〔数12〕、〔数13〕を満足でき
る弱め率nを繰り返し計算して求める。
【0079】(D−5)つぎに、弱め率nの可変方法に
ついて、何種類かの例を説明する。
【0080】 nを1から順次大きくしていき、(D
−4)の〔数13〕の条件を満たす弱め電流率nを採用
する。
【0081】 図7に示すように、分類法で決めてい
く。
【0082】(例) n=2として、条件判定し、Yes
/No により、上図のようにnの値を変えていき、条件
を満たす最適な弱め率nを決定する。
【0083】 近似解を求め、その後nを可変してい
く(図6参照)。つぎの近似式
【0084】
【数14】
【0085】これは、図6中のωLd ・Id に対応する
が、この近似式に基づいて、弱め電流Id を求め、さら
に弱め率nを求める。弱め電流Id は、〔数15〕によ
り求めることができる。
【0086】
【数15】
【0087】また、弱め率nは、〔数8〕を変形して得
られる〔数16〕により求めることができる。
【0088】
【数16】
【0089】そして、近似式より求まった弱め率nか
ら、順次大きくしていき、(D−4)の〔数13〕の条
件を満たすnを採用する。
【0090】(E) これまでの説明で、電圧Vの制限
円は一定として考えてきたが、バッテリーを電源とした
時に、バッテリーの内部抵抗により、モータ電流の大き
さによって同期モータへの印加電圧Vが変わってくる。
すなわち、電圧Vの制限円が動くということになり、そ
のときの電圧Vは〔数17〕により規定される。
【0091】
【数17】
【0092】ただし、VBattはバッテリー電圧、RB
バッテリー内部抵抗、Vdropはスイッチング素子による
電圧降下分、ηは効率である。
【0093】この実施例の同期モータのベクトル制御に
おける弱め界磁制御方法によれば、少ない(最適)弱め
電流で最大トルクを発生することができるため、最大効
率制御が可能となる。
【0094】〔第の実施例〕 この発明の第の実施例を図に基づいて説明する。
【0095】この実施例は、同期モータが過回転し、バ
ッテリーへの過回生を防ぐための方法(アルゴリズム)
を示す実施例であり、以下にそのアルゴリズムを図
参照しながら説明する。
【0096】 現在の速度がωm 、弱め電流を流さ
ない無負荷回転数がω1 とすると、まず弱め率nを〔数
18〕にしたがって算出する。
【0097】
【数18】
【0098】 つぎに、弱め電流Id を〔数19〕に
したがって算出する(図の破線で示す特性図4参
照)。
【0099】
【数19】
【0100】ただし、IdFW 同期モータの有効磁束を
完全に打ち消すことができる弱め電流値である。
【0101】 弱め電流のリミット処理を行う。
【0102】スイッチング素子の上限電流Imax から電
流値が〔数20〕のように制約される。
【0103】
【数20】
【0104】 トルク電流Iq を算出する。
【0105】(4−1)Id =Imax のときはIq =0
とする。
【0106】(4−2)Id <Imax のとき(A) ス
イッチング素子の上限より、トルク電流Iq の最大値I
qmax1 を〔数21〕にしたがって算出する。
【0107】
【数21】
【0108】(B) バッテリーへの充電電流の最大値
をIBmaxとすると、トルク電流Iqの最大値Iqmax1
充電電流の最大値IBmaxを比較し、トルク電流の最大値
qmax を算出する。ただし、Iqmax>0,IBmax>0
とする。
【0109】Iqmax1 ≧IBmaxのときは、Iqmax=I
Bmaxqmax1 <IBmaxのときは、Iqmax=Iqmax1 (C) 速度偏差から求まるトルク指令電流I* q0を算
出する。前記で算出した弱め率nで、トルク指令電流I
* q0を補正すると、〔数22〕のようになる。
【0110】
【数22】
【0111】(D) トルク電流のリミット処理を行
う。
【0112】|I* q |≦Iqmaxのときは、トルク電流
をI* q とする。
【0113】|I* q |>Iqmaxのときは、トルク電流
を−Iqmaxとする。
【0114】(4−3)(4−2)で算出した出力電
流、つまり トルク電流I* q または−Iqmax 弱め電流 Id =(1−1/n)IdFW で、過回生の状態が回避されるまで出力しつづけ、回避
されると、通常の方法(実施例1,2参照)で出力電流
を決定する。
【0115】この実施例によると、過回生(過充電)に
よるバッテリーを保護することが可能となる。(回生量
をコントロールする)つまり、回生量を抑えながら、
モータ回転を落としていくことが可能である。
【0116】
【発明の効果】請求項1の同期モータのベクトル制御に
おける弱め界磁制御方法によれば、予め1または複数種
弱め電流を設定しておき、同期モータに対する速度指令
同期モータの現在の速度の偏差から求めた第1のトル
ク指令電流と各トルクに対応したトルク電流とを比較
し、第1のトルク指令電流が各トルクに対応したトルク
電流のどの範囲にあるかに応じて第2のトルク指令電流
および弱め電流を決定し出力するので、簡単かつ効率よ
く第2のトルク指令電流および弱め電流を決定すること
ができる。
【0117】請求項2の同期モータのベクトル制御にお
ける弱め界磁制御方法によれば、同期モータの各部の電
圧ベクトルの和が同期モータへの印加電圧で決まる制限
円内に入り、かつトルク電流が速度の偏差から求まる指
令トルク電流に対し弱め率を乗じた値に等しくなるよう
にするという条件で弱め率を適宜変更しながら弱め電流
とトルク電流とを決定するので、少ない弱め電流で最大
トルクを発生することができ、最大効率制御が可能であ
る。
【0118】 請求項記載の構成によれば、同期モータ
が過回転状態になったときに、適正な弱め電流とトルク
電流を算出して同期モータを制御することで、過回転に
よる過回生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例の同期モータのベクト
ル制御における弱め界磁制御方法のアルゴリズムを示す
トルク−速度特性図である。
【図2】同じくこの発明の第1の実施例の同期モータの
ベクトル制御における弱め界磁制御方法のアルゴリズム
を示すトルク−速度特性図である。
【図3】同じくこの発明の第1の実施例の同期モータの
ベクトル制御における弱め界磁制御方法のアルゴリズム
を示すフローチャートである。
【図4】この発明の第2の実施例の同期モータのベクト
ル制御における弱め界磁制御方法のアルゴリズムを示す
モータの各部の電圧ベクトル図である。
【図5】同じくこの発明の第2の実施例の同期モータの
ベクトル制御における弱め界磁制御方法における弱め界
磁制御のベクトル図である。
【図6】同じくこの発明の第2の実施例の同期モータの
ベクトル制御における弱め界磁制御方法のアルゴリズム
を示すモータの各部の電圧ベクトル図である。
【図7】弱め率の決定方法を示す概略図である。
【図8】同じくこの発明の第2の実施例の同期モータの
ベクトル制御における弱め界磁制御方法のアルゴリズム
を示すフローチャートである。
【図9】この発明の第の実施例のモータの制御方法の
アルゴリズムを示すトルク−速度特性図である。
【図10】電気自動車の概略構成図である。
【図11】モータの弱め界磁制御の様子を示すトルク−
速度特性図である。
【符号の説明】
ω* 速度指令 ω 速度 T1 〜T3 トルク KT1〜KT3 トルク定数 Iq1〜Iq3 トルク電流
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−169291(JP,A) 特開 平7−46720(JP,A) 特開 平7−87780(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 21/00 H02P 5/408 - 5/412 H02P 7/628 - 7/632 B60L 1/00 - 15/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御対象となる同期モータにおける速度
    −トルク特性を弱め電流を流さない状態と1つのレベル
    または複数の異なるレベルで弱め電流を流す状態とでそ
    れぞれ求めるステップと、 前記同期モータに対する速度指令と前記同期モータの現
    在の速度の偏差から第1のトルク指令電流を演算により
    求めるステップと、 現在の速度で発生するトルクを前記速度−トルク特性上
    で弱め電流を流さない状態と1つのレベルまたは複数の
    異なるレベルで弱め電流を流す状態とでそれぞれ求める
    ステップと、 前ステップで求めたトルクと前記各速度−トルク特性の
    トルク定数とから前記各トルクに対応したトルク電流を
    算出するステップと、 前記同期モータに対する速度指令と前記同期モータの現
    在の速度の偏差から求めた第1のトルク指令電流と前記
    各トルクに対応したトルク電流とを比較し、前記第1の
    トルク指令電流が前記各トルクに対応したトルク電流の
    どの範囲にあるかに応じて第2のトルク指令電流および
    弱め電流を決定し出力するステップとを含む同期モータ
    のベクトル制御における弱め界磁制御方法。
  2. 【請求項2】 制御対象となる同期モータに対する速度
    指令と前記同期モータの現在の速度の偏差からトルク指
    令電流を演算により求めるステップと、 弱め電流を流さない状態で現在の速度で前記トルク指令
    電流を設定したときに同期モータの各部の電圧ベクトル
    の和が前記同期モータへの印加電圧で決まる制限円内に
    入っているかどうかを判定するステップと、 前記同期モータの各部の電圧ベクトルの和が前記同期
    ータへの印加電圧で決まる制限円内に入っていないとき
    に、前記同期モータの各部の電圧ベクトルの和が前記
    モータへの印加電圧で決まる制限円内に入り、かつト
    ルク電流が前記速度の偏差から求まる指令トルク電流に
    対し弱め率を乗じた値に等しくなるようにするという条
    件で弱め率を適宜変更しながら弱め電流とトルク電流と
    を決定するステップとを含む同期モータのベクトル制御
    における弱め界磁制御方法。
  3. 【請求項3】 回生制動力を制御する同期モータのベク
    トル制御における弱め界磁制御方法であって、同期モータの現在の速度ω m と同期モータの速度−トル
    ク特性における無負荷回転数ω 1 より弱め率nを n=ω m /ω 1 ,1<n にしたがって算出するステップと、 前記弱め率nと前記同期モータの有効磁束を完全に打ち
    消すことができる弱め電流値I dFW から弱め電流I d d =(1−1/n)I dFW にしたがって算出するステップと、 前記弱め電流I d がスイッチング素子の上限電流I max
    と等しいときにトルク電流I q を零とし、前記弱め電流
    d がスイッチング素子の上限電流I max より小さいと
    きに前記スイッチング素子の上限電流I max よりトルク
    電流I q の最大値I qmax1 qmax1 =√(I max 2 −I d 2 で算出するステップと、 バッテリへの充電電流の最大値をI Bmax としたときに、
    トルク電流I q の最大値I qmax1 と前記充電電流の最大
    値I Bmax を比較し、トルク電流I q の最大値I qmax qmax1 ≧I Bmax のときは、I qmax =I Bmax qmax1 <I Bmax のときは、I qmax =I qmax1 にしたがって算出するステップと、 速度偏差からトルク指令電流I * q0 を算出し、このトル
    ク指令電流I * q0 と前記弱め率nとでトルク電流I * q
    * q =n×I * q0 にしたがって算出するステップと、 |I * q |≦I qmax のときはトルク電流をI * q とし、
    |I * q |>I qmax のときはトルク電流を−I qmax
    し、トルク電流がI * q または−I qmax で、弱め電流I
    d d =(1−1/n)I dFW で過回生の状態が回避されるまで出力をする ステップと
    を含む請求項1または請求項2記載の同期モータのベク
    トル制御における弱め界磁制御方法。
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